JPH08242889A - D−アラニンの測定方法およびその測定用キット - Google Patents

D−アラニンの測定方法およびその測定用キット

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JPH08242889A
JPH08242889A JP8180895A JP8180895A JPH08242889A JP H08242889 A JPH08242889 A JP H08242889A JP 8180895 A JP8180895 A JP 8180895A JP 8180895 A JP8180895 A JP 8180895A JP H08242889 A JPH08242889 A JP H08242889A
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JP
Japan
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alanine
amino acid
oxidase
pyruvic acid
enzyme
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Application number
JP8180895A
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English (en)
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Masahiko Yabuuchi
正彦 薮内
Minoru Masuda
増田  稔
Koichi Sanada
浩一 眞田
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Nippon Kayaku Co Ltd
Ikeda Shokken KK
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
Ikeda Shokken KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】腎疾患などの診断に有用な簡便で特異的なD−
アラニンの測定方法およびその測定用キットを提供す
る。 【構成】検体に、D−アラニンを酸化し得る酵素を作用
させ、該酵素反応によるD−アラニンの酸化で生じたピ
ルビン酸にピルビン酸に作用する酵素などを作用させ、
該ピルビン酸を検出することより成る特異的なD−アラ
ニンの測定方法およびその測定用キット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、簡便で特異的なD−ア
ラニンの測定方法およびその測定用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】D−アミノ酸の血中濃度は、腎疾患で上
昇することが知られている ( Clinical Science 73 105
-108 (1987) 、Journal of Chromatography 614 7-17
(1993)、北里医学 23 51-62 (1993))。また、D−アラ
ニンは、血中の主要なD−アミノ酸の中でも、腎疾患で
最も大きく変動する成分である (北里医学 23 51-62
(1993))ことから、新しい腎疾患のマーカーとして期待
されている。
【0003】これまで、D−アラニンの測定は、煩雑な
前処理と、特殊な分析装置を必要とする分離分析方法で
行われていた。例えば、2次元薄層クロマトグラフィ−
によりD/L−アラニンを分取後、液体クロマトグラフ
ィー (HPLC) でD−アラニンを光学分割して定量す
る方法 ( Biochimica et Biophysica Acta 1115 208-2
11 (1992))、除蛋白処理とイオン交換カラム処理後に揮
発性物質に誘導体化し、光学活性カラムを用いるガスク
ロマトグラフィーで光学分割し定量する方法 (Journal
of Chromatography 614 7-17 (1993)) 、除蛋白処理後
にキラル誘導体化し、HPLCで光学分割し定量する方
法 (北里医学 23 51-62 (1993))などが知られていた。
【0004】また、D−アミノ酸を各成分に分離するこ
となく、混合物のままでD−アミノ酸オキシダーゼを使
用して酸化し、生成したケト酸をジニトロフェニルヒド
ラゾンに誘導体化後、吸光度法で全D−アミノ酸を定量
する方法 ( Analytical Biochemistry 150 238-242 (19
85) 、Clinical Science 73 105-108 (1987))が試みら
れているが、汎用型の自動生化学分析装置に適応可能
で、D−アラニンに特異的で実用的な分析方法は、未だ
開発されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、本発明の目的は、複雑な前処
理操作などを必要とせず、汎用型の自動生化学分析装置
に適応可能であり、簡便で特異的なD−アラニンの測定
方法の提供にある。また、本発明の他の目的は、腎疾患
などの診断に利用できるD−アラニンの測定用キットの
提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の要旨は、検体に、D−アラニンからピルビン酸を生成
させる酵素を作用させ、該酵素反応によって生じたピル
ビン酸を特異的に検出する検体中のD−アラニンの測定
方法に存する。本発明の第2の要旨は、ピルビン酸の検
出にピルビン酸の酸化または還元酵素を使用するD−ア
ラニンの測定方法に存する。
【0007】本発明の第3の要旨は、D−アラニン及び
ピルビン酸を含有する検体に、予め、乳酸脱水素酵素、
該酵素に対する補酵素の還元体を作用させた後、D−ア
ミノ酸オキシダーゼを作用させ、D−アミノ酸オキシダ
ーゼ添加後の補酵素の還元体の吸光度変化を測定する検
体中のD−アラニンの測定方法に存する。
【0008】本発明の第4の要旨は、検体に、D−アミ
ノ酸オキシダーゼを作用させてD−アラニンをピルビン
酸に変換後、過酸化水素検出試薬とピルビン酸オキシダ
−ゼを添加することによって、該ピルビン酸を検出する
検体中のD−アラニンの測定方法に存する。
【0009】本発明の第5の要旨は、乳酸脱水素酵素、
該酵素に対する補酵素の還元体およびD−アミノ酸オキ
シダーゼを含有するD−アラニン測定用キットに存す
る。さらに、本発明の第6の要旨は、D−アミノ酸オキ
シダーゼ、過酸過水素検出試薬およびピルビン酸オキシ
ダーゼを含有するD−アラニン測定用キットに存する。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
D−アラニン測定の対象となる検体としては、特に制限
されるものではない。例えば、D−アラニンを含有する
食品、生体試料、それらの抽出液や各種の処理液などが
挙げられる。D−アラニンは、腎疾患の診断指標として
期待されており、とくに、血漿、血清、組織の抽出液、
尿などの生体試料が有用である。
【0011】本発明で使用されるD−アラニンからピル
ビン酸を生成させる酵素としては、L−体のアミノに対
しては作用せず、D−体のアミノ酸に対してのみ作用
し、酵素反応の平衡が生成物のケト酸に傾いているもの
であれば何であってもよく、基質特異性がD−アラニン
に特異的である必要はない。酵素学的には、オキシダー
ゼ、デヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼに分類され
るものが知られており、これらのいずれの酵素であって
もよい。
【0012】具体的に、オキシダーゼとしてはD−アミ
ノ酸オキシダーゼ (EC 1.4.3.3) 、デヒドロゲナーゼと
してはD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ (EC 1.4.99.1)、
トランスアミナーゼとしてはD−アラニンアミノトラン
スフェラーゼ (EC 2.6.1.21)があるが、D−アミノ酸オ
キシダーゼ (EC 1.4.3.3) がより好ましい。ここで、D
−アミノ酸オキシダーゼとは、国際生化学連合(I.
U.B.)の酵素委員会で EC 1.4.3.3 と分類されるも
のであれば何であってもよく、その酵素の由来は問わな
い。
【0013】本発明で使用されるピルビン酸を検出する
方法は、ピルビン酸に特異性が高い方法であれば何であ
ってもよく、特に限定されないが、汎用型の自動生化学
分析装置に適用できる酵素を使用する方法がより好まし
く、特にピルビン酸を還元または酸化する酵素を使用す
る方法が好ましく、中でも、前記の本発明の第3の要旨
または第4の要旨に記載の測定方法が好ましい。
【0014】ピルビン酸を還元する酵素としては、乳酸
脱水素酵素 (EC 1.1.1.27 、EC 1.1.2.3) とD−乳酸脱
水素酵素 (EC 1.1.1.28 、EC 1.1.2.4) がある。また、
ピルビン酸を酸化する酵素としては、ピルビン酸脱水素
酵素 (EC 1.2.2.2、EC 1.2.4.1) 、ピルビン酸酸化酵素
(ピルビン酸オキシダーゼ) (EC 1.2.3.3、EC 1.2.3.
6) 、ピルビン酸合成酵素 (EC 1.2.7.1)などがある。
【0015】これらの酵素反応を使用してピルビン酸を
検出する方法としては、反応に使用した成分または反応
の結果生じた成分の中から、吸光度測定法、蛍光強度測
定法、電気化学的測定法などの検出方法にマッチした成
分を選び、その成分の生成量または減少量を計測すれば
よい。
【0016】具体例を示すと、ニコチンアミドアデニン
ジヌクレオチドフォスフェート(NADP)やニコチン
アミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を補酵素とす
る脱水素酵素 EC 1.1.1.27、 EC 1.1.1.28、EC 1.2.4.1
を使用する場合、補酵素の還元体NAD(P)Hの量的
変化を、吸光度測定法、蛍光強度測定法、電気化学的測
定法などで測定すればよい。
【0017】シトクロムC、フェリシアンイオン、メチ
レンブルー、2,6−ジクロロフェノールインドフェノ
ール(DCIP)などを電子受容体とする脱水素酵素 E
C 1.2.3.3 、 EC 1.2.4.1 を使用する場合、これらの電
子受容体の吸光度変化を測定すればよい。フラビンアデ
ニンジヌクレオチド(FAD)を補酵素とするピルビン
酸合成酵素 (EC 1.2.7.1) を使用する場合、補酵素の吸
光度変化を測定すればよい。
【0018】ピルビン酸を検出する酵素反応で、補酵素
の還元体や過酸化水素を生成するものを使用する場合
は、さらに、高感度な吸光度法、蛍光法、化学発光法な
どが利用できる。具体例を示すと、酸素を電子受容体と
するピルビン酸酸化酵素( EC1.2.3.3 、EC 1.2.3.6)
を使用する場合、過酸化水素が生成し、過酸化水素の検
出法として公知の比色法、蛍光法、化学発光法、電極法
などが利用できる。
【0019】比色法では、ペルオキシダーゼなどの触媒
により、過酸化水素でペルオキシダーゼの基質を酸化発
色させ、発色強度を分光光度計で測定する。ペルオキシ
ダーゼの基質としては、o−フェニレンジアミン、5−
アミノサリチル酸、4−アミノアンチピリンとフェノー
ル、2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリ
ン−6−スルフォン酸)、ビス〔3−ビス(4−クロロ
フェニル)メチル−4−ジメチル−アミノフェニル〕ア
ミン等が利用できる。
【0020】蛍光法では、ペルオキシダーゼ等の触媒に
より、過酸化水素で基質を酸化して蛍光物質を生成さ
せ、その蛍光強度を蛍光光度計で測定する。ペルオキシ
ダーゼの基質としては、p−ヒドロキシフェニル酢酸、
p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸などが利用でき
る。
【0021】化学発光法では、ペルオキシダーゼなどの
触媒により、過酸化水素で基質を酸化して発光させ、そ
の発光強度をルミノメーターで測定する。化学発光する
基質としては、ルミノール化合物、ルシゲニン、アリル
シュウ酸エステル類の化合物などが利用できる。
【0022】NADまたはNADP〔NAD(P)〕を
補酵素とする脱水素酵素( EC 1.1.1.27、 EC 1.1.1.2
8、EC 1.2.4.1)においては、補酵素の還元体NAD
(P)Hの量的変化を、NAD(P)Hの吸光度や蛍光
強度として直接測定する方法以外に、ジアフォラーゼな
どの酵素を用い、NAD(P)Hで各種のテトラゾリウ
ム類を還元し、着色性のフォルマザンとして検出する。
【0023】また、脱水素酵素に対して、NAD(P)
Hとチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドフォス
フェート(チオ−NADP)又はチオニコチンアミドア
デニンジヌクレオチド(チオ−NAD)の2種類の補酵
素を作用させて基質をサイクリングさせ、生成し蓄積し
たチオ−NADP又はチオ−NADの還元体〔チオ−N
AD(P)H〕の吸光度を測定する高感度検出法が利用
できる。
【0024】本発明で使用される酵素、補酵素、その還
元体、試薬などは、臨床検査に使用できる程度に精製さ
れたものが好ましい。反応は公知の方法に準じて行うこ
とが出来る。これらの酵素や試薬などの使用量は、反応
温度、反応時間、反応 pH 、レート法またはエンドポイ
ント法などの反応速度論上の設定、使用する酵素の性質
や試薬の純度などにより左右されるが、反応液中の濃度
として概ね以下に示す量であればよい。
【0025】D−アミノ酸オキシダーゼは、通常 0.05
〜50U/mL、好ましくは 0.2〜20U/mLである。乳酸脱水素
酵素は、通常 0.5〜500U/mL 、好ましくは2 〜100U/mL
である。乳酸脱水素酵素に対する補酵素の還元体は、通
常 0.01 〜1mg/mL、好ましくは0.05〜0.5mg/mLである。
ピルビン酸オキシダ−ゼは、通常 0.1〜100U/mL 、好ま
しくは0.5 〜20U/mLである。その他の酵素、試薬などを
使用する場合も公知の方法に準じて適宜使用できる。
【0026】反応温度は、通常5〜50℃、好ましくは
20〜40℃であり、反応時間は、通常1〜60分、好
ましくは 1〜10分である。反応 pH は用いる酵素によっ
て異なり、各酵素の至適 pH の近辺が望ましいが、複数
の酵素を同時に作用させるような場合には、必ずしも個
々の酵素の至適 pH にこだわる必要はなく、酵素の反応
率、基質親和性、特異性、安定性、経済性などの点で制
約の大きい酵素に有利な様に、各酵素の活性が消失しな
い pH 範囲から選択すればよい。
【0027】酵素反応は、速度論上からはレート法とエ
ンドポイント法の2つに分類されている。本質的にはこ
れらの何れであってもよいが、検体の種類、干渉成分の
存在、測定対象とする基質の濃度、反応時間、要求され
る精度などの条件により、適宜選択される。
【0028】D−アラニンの測定に必要な前記の各成分
を含む試薬溶液を常法に従って調製し、D−アラニンの
測定用キットとして診断薬に組み立てることが出来る。
各成分は、前記の使用量に応じた割合となる様に組合せ
て、キットとすることが出来る。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。
【0030】実施例1A法 (D−アミノ酸オキシダーゼ
と乳酸脱水素酵素を使用する方法) 160mg/L 濃度のD−アラニン標準液を蒸留水で倍々希釈
し、標準液の希釈系列を作製した。この標準液の希釈系
列を検体とし、 100μL の各検体に、0.32mmol/LのNA
DHを含む 1.5M トリス塩酸緩衝液(pH 10.6) 400μL
、蒸留水 700μL、1000U/mL濃度の乳酸脱水素酵素 (ウ
シ心臓由来) の硫安分散液 20μL を添加し、37℃で
5分間インキュベートして恒温化した。
【0031】75U/mL濃度のD−アミノ酸オキシダーゼ
(ブタ腎臓由来) の硫安分散液20μLを添加して攪拌後、
37℃で5分間反応し、340 nm におけるD−アミノ
酸オキシダーゼ添加後の吸光度の低下を分光光度計で測
定した。検量線の測定結果を図1に示す。検量線は1か
ら 80mg/L までほぼ直線となり、D−アラニンの測定が
可能であった。
【0032】実施例2(A法による血清検体の測定) 健常者の血清Aと、血清AにD−アラニンを 80mg/L 添
加したものを検体として、A法(実施例1)に従って操
作し、図1の検量線から検体中のD−アラニンの濃度を
求め、その結果を表1に示す。D−アラニンは、健常者
の血清にはごく僅かしか含まれていないことが知られて
いる。また、腎不全患者を想定したD−アラニン添加血
清での測定値は、ほぼ理論値に近い96%の回収率であ
った。このことから、A法は信頼できるD−アラニンの
測定法であることが示された。
【0033】
【表1】
【0034】実施例3(A法の特異性) D−体とL−体の各種アミノ酸水溶液を検体として、A
法(実施例1)に従って操作し、図1の検量線から検体
中の見かけのD−アラニン濃度を求め、その結果を表2
に示す。D−アミノ酸と広く反応し全く特異性のないD
−アミノ酸オキシダーゼを使用しているにもかかわら
ず、A法はD−アラニンに極めて特異的であった。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】 Val : バリン (以下同じ) Pro : プロリン (以下同じ) Ser : セリン (以下同じ) Leu : ロイシン (以下同じ) Met : メチオニン (以下同じ) Asp : アスパラギン酸 (以下同じ) Glu : グルタミン酸 (以下同じ) Ala : アラニン (以下同じ)
【0037】実施例4(A法の汎用型生化学分析装置へ
の適用) D−アラニンの標準液と実施例2と同一の血清検体のそ
れぞれ20μL に、 0.12mmol/LのNADH、400U/mL 濃
度の乳酸脱水素酵素 (ウシ心臓由来) を含む 0.5M トリ
ス塩酸緩衝液(pH 9.3)からなる第1試薬(R−1)300
μL を添加して37℃で5分間インキュベートした。
【0038】その後、10U/mL濃度のD−アミノ酸オキシ
ダーゼ (微生物由来) を含む 0.5Mトリス塩酸緩衝液(pH
8.3)からなる第2試薬(R−2)50μL を添加して3
7℃で5分間反応し、第2試薬添加後の主波長 340nm
(副波長 405nm)における吸光度の低下を、日立715
0形自動分析装置で測定した。表1に示す様に、実施例
2とほぼ同様な結果が得られた。
【0039】実施例5 B法 (D−アミノ酸オキシダー
ゼとピルビン酸オキシダーゼを使用する方法) 40mg/L濃度のD−アラニン標準液を蒸留水で倍々希釈
し、標準液の希釈系列を作製した。この標準液の希釈系
列を検体とし、それぞれの 50μL の各検体に、110mmol
/Lトリス塩酸緩衝液(pH 8.5) 450μL 、75U/mL濃度のD
−アミノ酸オキシダーゼ (ブタ腎臓由来) の硫安分散液
50μL を添加し、37℃で5分間反応した。
【0040】13U/mL濃度のペルオキシダーゼ (西洋わさ
び由来) 、9U/mL濃度のアスコルビン酸オキシダーゼ
(キュウリ由来) と10mmol/Lリン酸カリウムを含む 150m
mol/Lグッド緩衝液 (MES,pH 6.0) 300μL 、0.14m
mol/Lビス[3−ビス(4−クロロフェニル) メチル−4−
ジメチルアミノフェニル] アミン(BCMA)と10mmol
/Lリン酸カリウムを含む 150mmol/Lグッド緩衝液 (ME
S,pH 6.0) 200μL を添加した。
【0041】さらに、37℃で3分間インキュベートし
て恒温化後、12U/mL濃度のピルビン酸オキシダーゼ (微
生物由来) と10mmol/Lリン酸カリウムを含む 150mmol/L
グッド緩衝液 (MES,pH 6.0) 300μL を添加し、3
7℃で10分間発色反応を行い、発色反応における 755nm
の吸光度の増加を分光光度計で測定した。検量線の測定
結果を図2に示す。検量線は1から 40mg/L までほぼ直
線となり、D−アラニンの測定が可能であった。
【0042】実施例6(B法による血清検体の測定) 健常者の血清Bと、血清BにD−アラニンを 20mg/L 添
加したものを検体として、B法(実施例5)に従って操
作し、図2の検量線から検体中のD−アラニン一次測定
値を求めた。また、更に、B法での測定において、D−
アミノ酸オキシダーゼ溶液を蒸留水に置き換えて同様に
操作し、血清中の内因性ピルビン酸による干渉量を求め
た。
【0043】これをD−アラニン一次測定値から差引い
て補正しD−アラニン測定値とした。その結果を表4に
示す。D−アラニンは、健常者の血清には極わずかしか
含まれていないことが知られている。また、腎不全患者
を想定したD−アラニン添加血清での測定値は、ほぼ理
論値に近い98%の回収率であった。このことから、A
法と同様にB法は、信頼できるD−アラニンの測定法で
あることが示された。
【0044】表4のD−アラニンは、実施例5の測定法
において、D−アミノ酸オキシダーゼ溶液を蒸留水に置
き換えて測定し、血清中の内因性ピルビン酸による干渉
量を求め、これを差引いてD−アラニンの測定値とし
た。
【0045】
【表4】
【0046】実施例7(B法の特異性) D−体とL−体の各種アミノ酸水溶液を検体として、B
法(実施例5)に従って操作し、図2の検量線から検体
中の見かけのD−アラニン濃度を求め、その結果を表5
に示す。D−アミノ酸と広く反応し全く特異性の無いD
−アミノ酸オキシダーゼを使用しているにもかかわら
ず、B法はD−アラニンに極めて特異的であった。
【0047】
【表5】
【0048】実施例8(B法の改良法) D−アラニンの標準液と実施例6と同一の血清検体のそ
れぞれ 50μL に、400U/mL のカタラーゼ(ウシ肝臓由
来)を含む 110mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.5) 450μL 、
75U/mL濃度のD−アミノ酸オキシダーゼ (ブタ腎臓由
来) の硫安分散液50μL を添加し、37℃で5分間反応
した。
【0049】反応液に、13U/mL濃度のペルオキシダーゼ
(西洋わさび由来) 、9U/mL濃度のアスコルビン酸オキ
シダーゼ (キュウリ由来) 、 0.1%濃度のアジ化ナトリ
ウムと10mmol/Lリン酸カリウムを含む 150mmol/Lグッド
緩衝液 (MES,pH 6.0) 300μL 、0.14mmol/Lビス[3
−ビス(4−クロロフェニル) メチル−4−ジメチルアミ
ノフェニル] アミン(BCMA)と10mmol/Lリン酸カリ
ウムを含む 150mmol/Lグッド緩衝液 (MES,pH 6.0)
200μL を添加し、さらに、37℃で3分間インキュベ
ートした。
【0050】恒温化後、12U/mL濃度のピルビン酸オキシ
ダーゼ (微生物由来) と10mmol/Lリン酸カリウムを含む
150mmol/Lグッド緩衝液 (MES,pH 6.0) 300μL を
添加し、37℃で10分間発色反応を行い、発色反応にお
ける 755nmの吸光度の増加を分光光度計で測定した。ま
た、血清検体については、D−アミノ酸オキシダーゼ溶
液を蒸留水に置き換えて同様に操作し、血清中の内因性
ピルビン酸による干渉量を求め、D−アラニン測定値か
ら差引いて補正した。表4に示す様に、実施例6とほぼ
同様な結果が得られた。
【0051】実施例9(B法の汎用型生化学分析装置へ
の適用) D−アラニンの標準液と実施例6と同一の血清検体、そ
れぞれ 10μL に、10U/mL濃度のD−アミノ酸オキシダ
ーゼ (微生物由来) 、10U/mL濃度のアスコルビン酸オキ
シダーゼ (キュウリ由来) 、400U/mL のカタラーゼ(ウ
シ肝臓由来)、2.5mmol/L 濃度の3−ヒドロキシ−2,
4,6−トリヨード安息香酸(HTIB)を含む 50mmo
l/L トリス塩酸緩衝液(pH 8.5)からなる第1試薬(R−
1) 200μL を加えて37℃で5分間インキュベートし
た。
【0052】次いで、6U/mL 濃度のピルビン酸オキシダ
ーゼ (微生物由来) 、6.5U/mL 濃度のペルオキシダーゼ
(西洋わさび由来) 、2mmol/L 濃度の4−アミノアンチ
ピリン、0.05%濃度のアジ化ナトリウムと20mmol/Lリン
酸カリウムを含む 200mmol/Lグッド緩衝液 (MES,pH
6.0) からなる第2試薬(R−2) 200μL を添加し、
37℃で5分間発色反応を行った。
【0053】第2試薬添加後の主波長 546nm(副波長 6
60nm)における吸光度の増加を、日立7150形自動分
析装置で測定した。また、血清検体については、D−ア
ミノ酸オキシダーゼ溶液を除いた第1試薬に置き換えて
同様に操作し、血清中の内因性ピルビン酸による干渉量
を求め、D−アラニン測定値から差引いて補正した。表
4に示す様に、実施例6とほぼ同様な結果が得られた。
【0054】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、腎疾患な
どの診断に利用できる簡便で特異的なD−アラニンの測
定方法およびD−アラニンの測定用キットが提供され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のA法によるD−アラニンの検量線であ
る。
【図2】本発明のB法によるD−アラニンの検量線であ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体に、D−アラニンからピルビン酸を
    生成させる酵素を作用させ、該酵素反応によって生じた
    ピルビン酸を特異的に検出することを特徴とする検体中
    のD−アラニンの測定方法。
  2. 【請求項2】 D−アラニンからピルビン酸を生成させ
    る酵素が、D−アミノ酸オキシダーゼである請求項1記
    載の測定方法。
  3. 【請求項3】 ピルビン酸を検出する方法が、ピルビン
    酸を還元または酸化する酵素を使用する方法である請求
    項1又は請求項2記載の測定方法。
  4. 【請求項4】 D−アラニン及びピルビン酸を含有する
    検体に、予め、乳酸脱水素酵素と該酵素に対する補酵素
    の還元体を作用させた後、D−アミノ酸オキシダーゼを
    作用させ、D−アミノ酸オキシダーゼ添加後の補酵素の
    還元体の吸光度の変化を測定する検体中のD−アラニン
    の測定方法。
  5. 【請求項5】 検体に、D−アミノ酸オキシダーゼを作
    用させてD−アラニンをピルビン酸に変換後、過酸化水
    素検出試薬とピルビン酸オキシダ−ゼを添加することに
    よって、該ピルビン酸を検出する検体中のD−アラニン
    の測定方法。
  6. 【請求項6】 乳酸脱水素酵素、該酵素に対する補酵素
    の還元体およびD−アミノ酸オキシダーゼを含有するD
    −アラニン測定用キット。
  7. 【請求項7】 D−アミノ酸オキシダーゼ、過酸化水素
    検出試薬およびピルビン酸オキシダ−ゼを含有するD−
    アラニン測定用キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015178345A1 (ja) * 2014-05-20 2015-11-26 日東紡績株式会社 生体試料中の亜鉛測定試薬及び測定方法

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