JP3734212B2 - タンパク質の選択的断片化方法 - Google Patents

タンパク質の選択的断片化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に特定タンパク質以外のタンパク質に断片化する方法、及びタンパク質断片化用組成物に関する。
また、本発明は、特定タンパク質の影響を受けない糖化タンパク質の測定方法、糖化タンパク質測定用組成物に関する。
さらに、本発明は、このような特定タンパク質に対するプロテアーゼの作用を選択的に阻害するプロテアーゼ阻害剤に関する。本発明のプロテアーゼ阻害剤は、本発明のタンパク質の選択的な断片化方法、糖化タンパク質の測定方法に用いられる。
本発明におけるタンパク質の選択的な断片化方法、糖化タンパク質の測定方法及びこれらの方法のために用いられる組成物は、臨床検査に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病の診断及び管理を行なう上で糖化蛋白質の測定は非常に重要であり、過去約1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する糖化ヘモグロビン、過去約2週間の平均血糖値を反映する糖化アルブミン及び、血清中の還元能を示す糖化タンパク質の総称であるフルクトサミン等が日常的に測定されている。糖化ヘモグロビンはヘモグロビンのβ鎖N末端バリンのα−アミノ基が、また糖化アルブミン、糖化グロブリン成分、フルクトサミンはリジン残基のε−アミノ基が糖化されている。
【0003】
また糖尿病患者ではグロブリン蛋白質量が変化しフルクトサミンの値に影響を及ぼすことが知られており〔Rodrigues S et al. Clin. Chem.35:134-138(1989)〕、糖尿病を診断、管理する上でグロブリン成分の影響を受けない糖化蛋白質の測定系が望まれている。また同様に様々な疾病で変化する特定タンパク質の影響を受けないタンパク質の断片化方法及びこれを用いた糖化タンパク質の定量方法が望まれている。
【0004】
糖化タンパク質の定量法としては、以下の (a)〜(e) の方法及び酵素法が知られている。
(a) クロマトグラフィを用いる方法〔J.Clin.Chim. Clin. Biochem.19:81-87(1981) 〕
(b) 電気泳動法〔Clin. chem.26: 1958-1602(1980)〕
(c) 免疫法〔JCCLA 18: 620(1993) 〕
(d) アルカリ性に於ける糖化タンパク質の還元性を利用したフルクトサミンの 測定方法〔Clin. Chim. Acta 127: 87-95(1982) 〕
(e) チオバルビツール酸を用いる方法〔Clin. Chim.Acta 112: 197-204(1981)〕
【0005】
しかし、前記(a) 及び(b) の方法は操作性、精度、高価な専用装置を必要とするなどの問題が多く、前記(c) の方法は精度が必ずしも良くなく、また前記(d) 及び(e) の方法は検体中の共存物質の影響を受け特異性の点で問題があった。
【0006】
また、精度が高く、簡便かつ安価な定量方法としては酵素法があげられる。そして、この糖化タンパク質の測定に使用する酵素として下記 (f)〜(k) の少なくとも糖化アミノ酸に作用する酵素が知られている。
(f) フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ:コリネバクテリウム(Corynebacterium) 属由来(特公平 6-65300号公報)、アスペルギルス(Aspergillus) 属由来(特開平3-155780号公報)、ギベレラ(Gibberella)属由来(特開平7-289253号公報)。
(g) フルクトシルアミンデグリカーゼ(特開平 6-46846号公報)。
(h) フルクトシルアミノ酸分解酵素(特開平4-4874号公報)。
(i) ケトアミンオキシダーゼ(特開平5-192193号公報)。
(j) アルキルリジナーゼ:(特開平2-195900号公報)。
(k) CH-OH 基を水素供与体とし NADおよび/またはNADPを水素供与体とする酸化還元酵素:(特開平2-195899号公報)。
【0007】
上記(f) のコリネバクテリウム(Corynebacterium) 属由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(特公平 5-33997号公報)はε−アミノ基が糖化されたアミノ酸には作用しないα−アミノ基糖化アミノ酸特異的な酵素であるが、熱安定性が45℃ -10分の熱処理にて90%以上失活することから、実用上の使用は困難である。一方、その他の上記 (f)〜(k) の酵素はε−アミノ基及びα−アミノ基が糖化されたアミノ酸両方に良く作用し熱安定性、反応性にも優れたものが存在することからβ鎖N末端バリンのα−アミノ基が糖化された糖化ヘモグロビン、リジン残基のε−アミノ基が糖化されている糖化アルブミン、フルクトサミン測定に用いることが出来る。
【0008】
また、本発明者らのグループは上記微生物由来の少なくとも糖化アミノ酸に作用する酵素を生産する実質上純粋な形質転換された微生物を作成し、熱安定性が高く、ε−アミノ基及びα−アミノ基の糖化された糖化アミノ酸共にに反応性が高い、フルクトシルアミンオキシダーゼを効率よく生産する方法を開発してきた(特開平 10-201473号公報)。
しかし、これらの酵素はすべて糖化アミノ酸に対する作用が強いが、目的とする糖化タンパク質にはほとんど作用を示さない。よって糖化タンパク質を測定するには化学的な方法若しくは酵素的な方法を用いて糖化タンパク質を断片化し糖化アミノ酸若しくは糖化ペプチドを生成せしめ、続いて前記少なくとも糖化アミノ酸に作用する酵素を作用させる必要がある。糖化タンパク質を断片化する方法としては酵素的な方法が好ましい。
【0009】
糖化タンパク質にプロテアーゼを作用させ、続いて少なくとも糖化アミノ酸に作用する酵素を用いて測定を行なった例としては下記の (l)〜(o) がある。
(l) プロナーゼ処理−フルクトシルアミンデグリカーゼにてフルクトサミンを測定(特開平6-46846 号公報)。
(m) プロテアーゼ処理を行ないフルクトシルアミノ酸オキシダーゼにて検出(特開平5-192193号公報)。
(n) リジン残基遊離試薬−ε−アルキルリジナーゼにて検出(特開平2-195900号公報)。
(o) リジン残基遊離試薬-CH-OH基を水素供与体とし NADおよび/またはNADPを水素供与体とする酸化還元酵素にて検出(特開平2-195899号公報)。
【0010】
上記 (l)〜(o) の方法を用いれば血清中の糖化タンパク質の定量が可能であるが、特定のタンパク質のみを断片化することはできない。つまりグロブリン成分に作用せずに血漿中のアルブミン若しくは全血中のヘモグロビンに作用するプロテアーゼはこれまで知られていない。
【0011】
糖化アルブミンを測定する酵素法として、アスペルギルス属由来プロテアーゼまたはプロテアーゼタイプ XIVでタンパク質を分解しフルクトサミンオキシダーゼにて定量する方法(WO98/48043)が知られているが、実施例には試料にアルブミン標品を用いており、グロブリン成分の影響がないことは示されていない。さらに本発明者らの実験によればこれらのプロテアーゼはグロブリン成分にも良く作用し、血清、血漿試料を用いた場合にグロブリン成分の影響を受けずに糖化アルブミンのみを測定することはできなかった。
【0012】
また、アマドリ化合物の測定法としてエキソ型プロテアーゼ又はエンド型プロテアーゼを用いて糖化アルブミン又は糖化ヘモグロビンを測定する方法(WO97/13872)が知られているが、同様に実施例には試料にアルブミン及びヘモグロビンの標準品を用いており、グロブリン成分の影響がないことは示されていない。また本発明者らの実験によれば実際に使用できる糖化アルブミンに作用するプロテアーゼ及び糖化ヘモグロビンに作用するプロテアーゼはエキソ型、エンド型共にグロブリン成分に対する作用が認められ、グロブリン成分の影響を受けずに糖化アルブミン若しくは糖化ヘモグロビンを測定することは困難であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
被検液、特に血清、血漿中の糖化タンパク質を測定するに当たり、様々な疾病の影響を受けずに正確に測定を行なうには、疾病により変化する特定タンパク質の影響を回避する必要がある。
【0014】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであって、被検液中に存在する特定のタンパク質の影響を受けず、目的とするタンパク質を断片化し、さらに必要に応じてこの断片化されたタンパク質を定量する方法及びこの方法に使用するタンパク質の断片化用あるいは定量用組成物を提供することを目的とする。
さらに、具体的には、本発明は、血清、血漿等の被検液に存在するグロブリン成分の影響を受けずに、目的とする糖タンパク質を断片化し、さらに必要に応じてこの断片化された糖タンパク質を定量する方法及びこの方法に使用するタンパク質の断片化用あるいは定量用組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、これらの断片化方法、定量方法及びこれらの方法で使用する組成物において用いられるグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記のように疾病により変化する特定タンパク質の影響を回避するためには、プロテアーゼ処理に特異性を持たせて主に特定タンパク質以外のタンパク質を選択的に断片化するか、若しくは特定タンパク質から生じる断片に作用せずに、かつ糖化アミノ酸に作用する酵素を用いて定量すれば良い。しかし様々な種類のプロテアーゼを用いても特定タンパク質とりわけグロブリン成分以外のタンパク質を選択的に断片化することは困難であった。さらに実用に耐えうる程度に安定で糖化アミノ酸に作用する酵素は、ε−アミノ基及びα−アミノ基が糖化されたアミノ酸両方に良く作用する為に、特定タンパク質とりわけグロブリン成分から生じた断片とその他のタンパク質由来の断片とを見分けることも困難であった。
【0016】
本発明者らは鋭意検討の結果、プロテアーゼ反応液に、ある種の金属イオン、プロテインG若しくはプロテインAを共存させることでプロテアーゼの特定タンパク質とりわけグロブリン成分への作用を選択的に阻害できること、またこの反応液に糖化アミノ酸に作用する酵素を直接作用させても酵素作用が阻害されることなく、再現性良く、精度良くかつ簡便に糖化タンパク質が測定できること、さらに同様の手法を用いて前記以外の特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤をスクリーニングできることを見出し本発明の完成に至った。
【0017】
すなわち、本発明は、このような目的を達成するためになされたものであって、次のとおりのタンパク質の選択的断片化方法及びタンパク質断片化用組成物に関する。
1.被検液に、プロテアーゼ及び特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤を添加し、主に特定タンパク質以外のタンパク質を断片化することよりなるタンパク質の選択的断片化方法。
2.プロテアーゼ及び特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤を含有してなるタンパク質断片化用組成物。
【0018】
本発明における被検液としては、特定タンパク質としてグロブリン成分を含有し、さらにグロブリン成分以外のタンパク質を含有する被検液、例えば採取された血液、血清、血漿等を例示することができる。また、特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤としては、グロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤、例えば金属イオン、特に遷移金属、周期表 III族またはIV族の金属のイオンを単独にまたは組み合わせて用いられる。好適には、亜鉛、ニッケル、鉄、銅、コバルト、アルミニウム、カリウム、錫、鉛等のイオンが単独又は組み合わせて用いられる。また、さらにグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤としてプロテインG及び/又はプロテインAが用いられる。
【0019】
さらに、本発明は、次のとおりの糖化タンパク質の定量方法及び糖化タンパク質定量用組成物に関する。
1.被検液に、プロテアーゼ及び特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤を添加し、主に特定タンパク質以外のタンパク質を断片化し、当該タンパク質から生成した糖化アミノ酸及び/又は糖化ペプチドを定量することよりなる糖化タンパク質の定量法。
2.プロテアーゼ、特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤及び糖化アミノ酸に作用する酵素を含有してなる糖化タンパク質定量用組成物。
また、本発明は、前記したようなグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤(グロブリン成分に対するプロテアーゼの作用を特異的に阻害するプロテアーゼ阻害剤)に関する。
【0020】
本発明における被検液として前記と同様の被検液が、また特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤とては、前記と同様の阻害剤が用いられる。また、前記当該タンパク質は、糖化アルブミンまたは糖化ヘモグロビンであることが、さらにタンパク質から糖化アミノ酸及び/又は糖化ペプチドの生成には、糖化アミノ酸に作用する酵素、例えばフルクトシルアミンアオキダーゼを用いることが好ましい。
【0021】
これらは、臨床生化学検査におけるタンパク質の選択的断片化法、断片化用組成物及び糖化タンパク質の測定に有用な定量方法、定量用組成物として用いられる。
【0022】
以下、この発明の構成及び好ましい形態について更に詳しく説明する。
本発明の測定対象となる被検液は、特定タンパク質及び特定タンパク質以外のタンパク質を含有する被検液であれば如何なるものを用いても良いが、好ましくは少なくともグロブリン成分とグロブリン成分以外のタンパク質を含有する被検液であり、さらに好ましくは、血液成分、例えば血清、血漿、血球、全血等が挙げられる。また分離された赤血球も、分離の条件によってはグロブリン成分が混入し測定値に影響を与える可能性があることからさらに好ましい被検液として用いることができる。
【0023】
本発明のタンパク質の選択的断片化方法に使用しうるプロテアーゼは、被検液に含まれるタンパク質に有効に作用するものであればいかなるものを用いても良く、例えば動物、植物、微生物由来のプロテアーゼ等が挙げられる。具体的な例を以下に示すがこれらは1例に過ぎず、なんら限定されるものではない。
【0024】
動物由来のプロテアーゼの例としては、エラスターゼ(Elastase)、トリプシン(Tripsin) 、キモトリプシン(Chymotripsin)、ペプシン(Pepsin)、牛膵臓プロテアーゼ、カテプシン(Cathepsin) 、カルパイン(Calpain) 、プロテアーゼタイプ-I、プロテアーゼタイプ-XX(以上シグマ社製)、アミノペプチダーゼM (AminopeptidaseM)、カルボキシペプチダーゼA(Carboxypeptidase A)(以上ベーリンガー・マンハイム社製)、パンクレアチン(Pancreatin :和光純薬製)等が挙げられる。
【0025】
植物由来のプロテアーゼの例としては、カリクレイン(Kallikrein)、フィシン(Ficin) 、パパイン(Papain)、キモパパイン(Chimopapain) 、ブロメライン(Bromelain)(以上シグマ社製)、パパインW-40、ブロメラインF(以上天野製薬社製)等が挙げられる。
【0026】
微生物由来のプロテアーゼの例としては、下記 (1)〜(14)が挙げられる。
(1) バチルス(Bacillus)属由来プロテアーゼ;ズブチリシン(Subtilisin)、プロテアーゼ−タイプ -VIII、-IX 、-X、-XV 、-XXIV 、-XXVII、−XXXI(以上、シグマ社製)、サーモリシン(thermolysin) 、ナガーゼ(Nagarse)(以上、和光純薬社製)、オリエンターゼ-90N、-10NL 、-22BF 、-Y、-5BL、ヌクレイシン(以上、阪急バイオインダストリー社製)、プロレザー、プロテアーゼ-N、-NL 、-S「アマノ」(以上、天野製薬社)、GODO-BNP、-BAP (以上、合同酒清社精製)、プロチン-A、-P、デスキン、デピレイス、ビオソーク、サモアーゼ(以上、大和化成社製)、トヨチームNEP(東洋紡績社製)、ニュートラーゼ、エスペラーゼ、サビナーゼ、デュラザイム、バイオフィードプロ、アルカラーゼ、NUE 、ピラーゼ、クリアーレンズプロ、エバラーゼ、ノボザイム-FM 、ノボラン(以上、ノボノルディスクバイオインダストリー社製)、エンチロン-NBS、-SA(以上、洛東化成工業社製)、アルカリプロテアーゼ GL440、オプティクリーン -M375プラス、-L1000、-ALP440(以上、協和発酵社製)、ビオプラーゼAPL-30、SP-4FG、XL-416F 、AL-15FG(以上、ナガセ生化学工業社製)、アロアーゼAP-10 、プロテアーゼY、(以上、ヤクルト薬品工業社製)、コロラーゼ-N、-7089 、ベロンW(以上、樋口商会社製)、キラザイム P-1(ロシュ社製)等。
【0027】
(2) アスペルギルス(Aspergillus) 属由来プロテアーゼ;プロテアーゼタイプ−XIII, -XIX, -XXIII (以上、シグマ社製)、スミチーム -MP、-AP 、-LP 、-FP 、LPL, エンザイムP-3(以上、新日本化学工業株式会社製)、オリエンターゼ-20A、-ONS、-ON5、テトラーゼS(以上、阪急バイオインダストリー社製)、ニューラーゼA、プロテアーゼ-A、-P、-M「アマノ」(以上、天野製薬社)、IP酵素、モルシンF、AOプロテアーゼ(以上、キッコーマン社製)、プロチン-F、-FN 、-FA(以上、大和化成社製)、デナプシン2P、デナチーム -SA-7、-AP 、デナザイム AP(以上、ナガセ生化学工業社製)、プロテアーゼYP-SS 、パンチダーゼ -NP-2、-P (以上、ヤクルト社製)、サカナーゼ(科研ファルマ社製)、フレーバーザイム(ノボノルディスクバイオインダストリー社製)、ベロンPS(樋口商会社製)等。
【0028】
(3) リゾパス(Rhizopus)属由来プロテアーゼ;プロテアーゼタイプ XVIII (シグマ社製)、ペプチダーゼR、ニューラーゼF(以上、天野製薬社製)、XP-415 (ナガセ生化学工業社製)等。
(4) ペニシリウム(Penicillium) 属由来プロテアーゼ;PD酵素(キッコーマン社製)等。
(5) ストレプトマイセス(Streptomyces)属由来プロテアー;プロテアーゼ−タイプ XIV;別称 Pronase、-XXI (以上、シグマ社製)、アクチナーゼ -AS、-AF(以上、科研ファルマ社製)、タシナーゼ(協和発酵社製)、alkalofilicproteinase(東洋紡社製)等。
【0029】
(6) スタフィロコッカス(Staphylococcus)属由来プロテアーゼ;プロテアーゼタイプXVII (シグマ社製)等。
(7) クロストリジウム(Clostridium) 属由来プロテアーゼ;クロストリパイン(Clostripain)、ノンスペシフィック ニュートラルプロテアーゼ(nonspesificproteinase) (以上、シグマ社製)等。
(8) リソバクター(Lysobacter)属由来プロテアーゼ;エンドプロテイナーゼLys-c(シグマ社製)等。
【0030】
(9) グリフォラ(Grifola) 属由来プロテアーゼ;メタロエンドペプチダーゼ(Metalloendopeputidase; シグマ社製)等。
(10) 酵母(Yeast) 属由来プロテアーゼ;プロテイナーゼA(Proteinase A;シグマ社製)、カルボキシペプチダーゼY(carboxypeptid aseY; ベーリンガー・マンハイム社製)等。
(11) トリチラチウム(Tritirachium)属由来プロテアー;プロテイナーゼK(Proteinase K;シグマ社製)等。
【0031】
(12) サーマス(Thermus) 属由来プロテアーゼ;アミノペプチダーゼT(Aminopeptidase T;ベーリンガー・マンハイム社製)等。
(13) シュードモナス(Pseudomonus) 属由来プロテアーゼ;エンドプロテイナーゼAsp-N(EndoproteinaseAsp-N;和光純薬社製)等。
(14) アクロモバクター(Achromobacter) 属由来プロテアーゼ;リジルエンドペプチダーゼ(LysylEndopeputidase) 、アクロモペプチダーゼ(以上和光純薬社製)等。
【0032】
本発明のタンパク質の断片化法に使用しうる特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤は、被検液に、プロテアーゼを特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤の存在下で作用せしめ、主に特定タンパク質以外のタンパク質を断片化しうる阻害剤であればいかなるものを用いても良い。例えばグロブリン成分及びグロブリン成分以外のタンパク質を含有する被検液に、プロテアーゼをグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤存在下作用せしめ、主にグロブリン成分以外のタンパク質を断片化しうるグロブリン成分選択的な阻害剤が好ましい。その例として金属イオン、プロテインA、プロテインGが挙げられる。これらの物質の効果は後述する特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤のスクリーニング方法によって確認することができ、またこれ以外の物質でも後述する特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤のスクリーニング方法によって選択されるもので有ればいずれの阻害剤でも用いることができる。
【0033】
金属イオンとしては、例えば、遷移金属、周期表 III族、IV族の金属のイオンが好ましく、遷移金属イオンとしては亜鉛、ニッケル、鉄、銅、コバルトイオンがより好ましく、 III族金属イオンとしてはアルミニウム、ガリウムイオンがより好ましく、IV族金属イオンとしては錫、鉛イオンがより好ましい。さらに金属の毒性、血清との相互作用による沈殿の生成等を考慮すると、アルミニウム若しくはニッケルイオンが最も好ましい。尚、これらの金属イオンは単独若しくは組み合わせて用いても良い。
【0034】
また、使用しうる金属イオンの濃度としては、特定タンパク質へのプロテアーゼ作用を阻害することができる金属イオン濃度で有ればいかなる濃度のものを用いても良いが、例えばグロブリン成分へのプロテアーゼ作用阻害することができる金属イオン濃度としては10μM 〜1.0M程度が好ましく、50μM 〜100mM 程度がより好ましい。また、金属イオンを添加するには例えば、その金属イオン放出能力のある塩の水溶液を用いれば良い。
【0035】
主に特定タンパク質以外のタンパク質を選択的に断片化する反応の液組成については、使用するプロテアーゼの至適pHを考慮し、反応が効率よく進行するようにpH及びプロテアーゼ濃度を決定し、その後特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤を有効な濃度になるよう適宜調製して添加すればよい。
【0036】
例えば、前記プロテアーゼ−タイプ−XXVII(シグマ社製)は、pHが7〜10付近でタンパク質分解活性が強く、反応のpHは7〜10を選択できる。またプロテアーゼ添加濃度は実際に使用される反応時間中に被検液中のタンパク質を十分に分解し得る濃度で有れば良い。
【0037】
特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤として、例えばグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤であるアルミニウムイオンを使用する場合、フルクトシルアミンオキシダーゼを用いてグロブリン成分の断片化溶液中の糖化アミノ酸及び/または糖化ペプチドを検出すると、0.05mM以上でグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害作用が確認され、さらに0.3mM 以上で実質的にグロブリン成分から糖化アミノ酸及び/または糖化ペプチドが検出できなくなること、及び10mM以上に於いて試料の白濁が観察されることから0.05mM〜100mM が好ましく、 0.3mM〜10mMがより好ましい。
【0038】
本発明の糖化タンパク質定量方法に於ける測定対象である糖化タンパク質としては、例えば糖化アルブミンまたは糖化ヘモグロビンが挙げられるが、測定対象となる糖化タンパク質は何らこれらに限定されるものではなく、特定タンパク質以外のタンパク質由来の糖化タンパク質、例えばグロブリン成分以外のタンパク質由来の糖化タンパク質で有れば、何れの糖化タンパク質を測定しても良い。
【0039】
本発明の糖化タンパク質定量方法に使用しうるプロテアーゼは、被検液に含まれる糖化タンパク質に有効に作用し、かつ当該タンパク質由来の糖化アミノ酸及び/若しくは糖化ペプチドを有効に生成するものであればいかなるものを用いても良いが、例えば前記タンパク質の断片化方法に用いることが出来る動物、植物、微生物由来のプロテアーゼ等が挙げられる。また、測定対象である糖化タンパク質が糖化アルブミンである場合にはバチルス(Bacillus)属及びストレプトマイセス(Streptomyces)属の微生物由来プロテアーゼがヒトアルブミンに対する作用が大きい為より好ましく、また測定対象である糖化タンパク質が糖化ヘモグロビンで有る場合にはバチルス(Bacillus)属、アスペルギルス(Aspergillus) 属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、トリチラチウム(Tritirachium)属由来のプロテアーゼがヒトヘモグロビンに対する作用が大きい為により好ましい。
【0040】
本発明に於ける糖化タンパク質の定量方法に於けるプロテアーゼの活性は、一般的なプロテアーゼ活性測定法を用いるよりも、生じる糖化アミノ酸、糖化ペプチドを定量して活性とする方が実用的である。プロテアーゼのヒトアルブミン中の糖化アルブミン、及びヒトヘモグロビン中の糖化ヘモグロビンに対する活性は下記の方法にて測定した。
【0041】
<<プロテアーゼの糖化タンパク質に対する活性測定方法>>
<基質>
下記の市販の標準品を基質として用い、基質濃度は標準ヒト血清濃度を考慮し設定した。また標準品中に含まれる糖化アルブミン若しくは糖化ヘモグロビンの含有率はあらかじめ公知の方法で測定しておく。
HSA基質溶液;Albumin Human; Essentially Globulin Free; 25mg/ml、糖化アルブミン率=31.9%、フルクトサミン値=265 μmol/L 〔シグマ社製;基質溶液中のアルブミンの濃度はアルブミン測定キット(アルブミンII−HAテストワコー;和光純薬社製)にて定量し、糖化アルブミン率は糖化アルブミン測定計(GAA-2000;京都第一科学社製)にて測定し、フルクトサミン値はフルクトサミン測定キット(オートワコー フルクトサミン(和光純薬社製)にて測定した。〕
Hb基質溶液;Hemoglobin Human; 55mg/ml、糖化ヘモグロビン率;HbA1c =4.5 %〔シグマ社製;HbA1c 値は糖化ヘモグロビン計(ハイオートエーワンシーHA-8150 ;京都第一科学社製)にて測定した。〕
【0042】
<プロテアーゼ反応試料作成方法>
HSA基質溶液 200μl 、プロテアーゼ溶液40μl 、及び1M トリス緩衝液pH8.0 、10μl を良く混合し37℃-30 分反応させ、ウルトラフリーMC(分画分子量1万;ミリポア社製)で濾過し、濾液をプロテアーゼ反応試料とする。また、HSA基質溶液の代わりに蒸留水を用い同様の操作を行ない、ブランク試料とする。
一方、Hb基質溶液の場合は基質溶液 150μl 、プロテアーゼ溶液を60μl 及び1M トリス緩衝液 pH8.0、5μl を良く混合し37℃−60分反応させ、HSA基質溶液と同様の操作を行なう。
【0043】
<プロテアーゼ反応試料中の糖化アミノ酸及び糖化ププチドの測定方法>
<反応液組成>
50mM トリス緩衝液、pH8.0
0.02% 4−アミノアンチピリン(和光純薬社製;以下4-AAと略す。)
0.02% N−エチル -N-(2ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-m- トルイジン(同人化学研究所社製;以下、TOOSと略す。)
2U/ml フルクトサミンオキシダーゼ(旭化成工業社製;以下、FOD と略す。)
5U/ml パーオキシダーゼ(シグマ社製;以下、POD と略す。)
【0044】
<反応手順>
上記反応液 300μl をセルに分注し37℃−3分間インキュベーションし 555nmを測光する(A0)。続いてプロテアーゼ反応試料30μl を添加し37℃−5分間インキュベーションし 555nmを測光する(A1)。またプロテアーゼ反応試料の代わりにブランク試料を用い同様の操作を行ないA0ブランク、A1ブランクを測定する。プロテアーゼの糖化蛋白質への作用を吸光度変化で示すと下式となる。
ΔA=(A1-A0) −(A1ブランク−A0ブランク)
【0045】
活性は基質溶液から37℃、1分間に1μM の糖化アミノ酸を生じるプロテアーゼ活性を1Uとし、下記HSA基質溶液を用いた場合は式1より、またHb基質溶液を用いた場合には式2より活性を計算し、得られた活性はそれぞれU(糖化アルブミン;以下GAと略す。)、U(糖化ヘモグロビン;以下、GHと略す。) と表記する。
【0046】
【式1】
Figure 0003734212
ΔA:吸光度変化(Abs)
40 :プロテアーゼ液量(μl)
250 :総プロテアーゼ反応液量 (μl)
30 :プロテアーゼ反応時間(分)
30 :プロテアーゼ反応溶液量(μl)
330 :糖化アミノ酸類測定反応液総量(μl)
39.2 :4-AA、 TOOS のミリモル分子吸光系数
2 :1分子の色素を生じる為に必要な過酸化水素の数
【0047】
【式2】
Figure 0003734212
ΔA:吸光度変化(Abs)
60 :プロテアーゼ液量(μl)
215 :総プロテアーゼ反応液量(μl)
60 :プロテアーゼ反応時間(分)
30 :プロテアーゼ反応溶液量(μl)
330 :糖化アミノ酸類測定反応液総量(μl)
39.2 :4-AA、TOOSのミリモル分子吸光系数
2 :1分子の色素を生じる為に必要な過酸化水素の数
【0048】
本発明の糖化タンパク質の定量方法に使用しうる糖化アミノ酸に作用する酵素としては、前記プロテアーゼの作用により、被検液に含まれる糖化タンパク質から生成される糖化アミノ酸、糖化ペプチドに有効に作用し、実質的に糖化タンパク質が測定できる糖化アミノ酸に作用する酵素であれば如何なるものを用いても良いが、安定性が高い酵素が好ましい。
【0049】
好ましい酵素の例としては、ギベレラ(Gibberella)属またはアスペルギルス(Aspergillus) 属(例えばIFO-6365、-4242 、-5710 等)由来フルクトサミンオキシダーゼ、カンジダ(Candida) 属由来フルクトシルアミンデグリカーゼ、ペニシリウム(Penicillium) 属(例えばIFO-4651、-6581 、7905、-5748 、-7994 、-4897 、-5337 等)由来フルクトシルアミノ酸分解酵素、フサリウム(Fusarium)属(例えばIFO-4468、 -4471、-6384 、 -7706、-9964 、-9971 、 -31180、-9972 等)由来、アクレモニウム(Acremonium)属由来又はデブリオマイゼス(Debaryomyces)属由来ケトアミンオキシダーゼ等の糖化アミノ酸に作用するオキシダーゼが挙げられ、最も好ましい例としてはプロテアーゼと共存した状態でも十分な活性を有する、遺伝子組み換え型フルクトサミンオキシダーゼ(旭化成工業社製)が挙げられる。
【0050】
糖化アミノ酸に作用するオキシダーゼの活性は下記の方法にて測定した。
<<糖化アミノ酸に作用するオキシダーゼの活性測定法>>
<反応液の組成>
Figure 0003734212
【0051】
上記の反応液1mlを小試験管に入れ、37℃で5分間予備加温した後、適当に希釈した酵素液0.02mlを添加して攪拌し、反応を開始する。正確に10分間反応の後に0.5 %のSDS を2ml添加して反応を停止し、波長 500nmの吸光度を測定する(As ) 。またブランクとして酵素液のかわりに蒸留水0.02mlを用いて同一の操作を行なって吸光度を測定する(Ab ) 。この酵素作用の吸光度(As ) と盲検の吸光度(Ab ) の吸光度差(As − Ab ) より酵素活性を求める。別にあらかじめ過酸化水素の標準溶液を用いて吸光度と生成した過酸化水素との関係を調べておく。37℃、1分間に1μM の過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義し、計算式は下記の通りである。
酵素活性(U/ml)=(As − Ab ) ×1.16×酵素の希釈率
【0052】
本発明の糖化タンパク質の定量方法に於ける液組成については、前記主に特定タンパク質以外、若しくはグロブリン成分以外のタンパク質を選択的に断片化する反応の液組成を用いて主に特定タンパク質、若しくはグロブリン以外のタンパク質を選択的に断片化し、当該タンパク質より生じた糖化アミノ酸及び/若しくは糖化ペプチドを公知の方法を用いて定量すればよい。
【0053】
当該タンパク質より生じた糖化アミノ酸及び/若しくは糖化ペプチドを定量する方法としては除タンパク後糖化アミノ酸、糖化ペプチドの還元能を利用して色素等を発色させて定量しても良く、また好ましくは除タンパクすることなくクロマトグラフィー、抗原抗体反応、酵素反応等の手段を用いて定量しても良く、最も好ましくは糖化アミノ酸に作用する酵素を用いて定量すればよい。
【0054】
また糖化アミノ酸に作用する酵素を用いる場合にはグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤の種類によっては酵素の作用を阻害するものもあるので実際の測定試薬を組む中で適宜微調整することが好ましい。
例えば前記プロテアーゼ−タイプ−XXVII(シグマ社製)はpHが7〜10付近でタンパク質分解活性が強く、反応のpHは7〜10を選択できる。またプロテアーゼ添加濃度は実際に使用される反応時間中に被検液中の糖化蛋白質を十分に分解し得る濃度で有れば良く、0.1mU 〜100U(GA)/ml 若しくは U(GH)/ml が好ましく、1.0 mU〜50U(GA)/ml若しくは U(GH)/ml がより好ましい。さらにグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤として例えばアルミニウムイオンを使用する場合好ましくは0.05mM以上、実質的にグロブリン成分へのプロテアーゼ作用が無くなる0.3mM 以上がさらに好ましく、また糖化アミノ酸に作用する酵素を0.5mM 以上から阻害し始め、また被検液添加時の濁りが1mM 以上から顕著になることから、0.05mM〜1mM が好ましく、0.1mM 〜0.5mM がさらに好ましい。
【0055】
糖化アミノ酸に作用する酵素を用いて断片化された糖化タンパク質を測定する反応の液組成については、使用する糖化アミノ酸に作用する酵素の至適pHを考慮し、反応が効率よく進行するようにpHを選択しその後糖化アミノ酸に作用する酵素量を決定すればよい。
例えば遺伝子組み換え型フルクトサミンオキシダーゼ(旭化成工業社製)の場合、最大活性の50%以上の活性を示す領域が pH6.5〜10と広く、反応のpHは 6.5〜10を選択できる。また酵素添加濃度は実際に使用される反応時間中に被検液中の糖化蛋白質を十分に分解し得る濃度で有れば良く、0.01U 〜1000U/mlが好ましく、0.1U〜500U/ml がより好ましく、0.5U、100U/ml が最も好ましい。
【0056】
以上のことから、本発明に於けるタンパク質断片化組成物は、プロテアーゼ及び特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤若しくはグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤を含有するものとして調製すれば良く、また特定タンパク質若しくはグロブリン成分の影響を受けない糖化タンパク質定量用組成物は、プロテアーゼ、特定タンパク質選択的な阻害剤若しくはグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤及び糖化アミノ酸に作用する酵素を含有するものとして調製すれば良く、これらの組成物は、例えば液状品及び液状品の凍結物あるいは凍結乾燥品として提供できる。
【0057】
さらに本発明に基づくタンパク質断片化組成及び糖化蛋白質を定量する酵素反応組成には、例えば界面活性剤、塩類、緩衝剤、pH調製剤や防腐剤などを適宜選択して添加しても良い。
【0058】
適宜な添加物において、界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類〔例えばポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(トリトンX-100)、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル(以上、ナカライテスク社製)〕、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類〔;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ツイーン20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(ツイーン40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ツイーン60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ツイーン80)、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート(ツイーン85)(以上関東化学社製)〕、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンステロール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンラノリン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、Nアシルアミノ酸塩類、アルキルエーテルカルボン酸塩類、アルキルリン酸塩、Nアシルタウリン酸塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、レシチン誘導体(以上、日光ケミカルズ社製)、アデカトール720N、アデカトール B-795、アデカトールSO-120、アデカノールB-795(以上旭電化工業社製)、ポリエチレングリコール類、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールイソオクチルフェニルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、トリトンX-305 、トリトン X-114、トリトン X-405、トリトンWR-1339(以上、ナカライテスク社製)等の0.01〜10%、好適には0.05〜5 %、各種金属塩類、例えば塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マンガン、塩化コバルト、塩化亜鉛、塩化カルシウム等の 1mM〜5M、好適には10mM〜1M、各種緩衝液、例えばトリス−塩酸緩衝液、グリシン-NaOH 緩衝液、燐酸緩衝液、グッドの緩衝液等の10mM〜2M、好適には20mM〜1M、各種防腐剤、例えばアジ化ナトリウムの0.01〜10%、好適には0.05〜1%を適宜添加すればよい。
【0059】
また本発明に基づく糖化タンパク質の定量方法に於ける糖化アミノ酸に作用する酵素作用の検出は、例えばデヒドロゲナーゼを用いた場合には補酵素の変化量を、例えば補酵素としてNADを用いて生成される変化の量として還元型補酵素である還元型NADをその極大吸収波長域である340nm 付近の波長にて比色計で測定する等公知の技術を用い直接定量するか、若しくは生じた還元型補酵素を各種ジアフォラーゼ、またはフェナジンメトサルフェート(以下、PMS と略す。)、メトキシ PMS、ジメチルアミノベンゾフェノキサジニウムクロライド(メルドラブルー)等の電子キャリアー及びニトロテトラゾリウム、WST-1 、WST-8(以上同人化学研究所社製)に代表される各種テトラゾリウム塩等の還元系発色試薬を用い間接的に定量してもよく、またこれ以外の公知の方法により直接、間接的に測定してもよい。
【0060】
また例えばオキシダーゼを用いた場合には、酸素の消費量または反応生成物の量を測定することが好ましい。反応生成物として、例えばフルクトサミンオキシダーゼを用いた場合には反応により過酸化水素及びグルコソンが生成し、過酸化水素及びグルコソン共に公知の方法により直接、間接的に測定することが出来る。
【0061】
上記過酸化水素の量は、例えばパーオキシダーゼ等を用いて色素等を生成し、発色、発光、蛍光等により定量しても良く、また電気化学的手法によって定量しても良く、カタラーゼ等を用いてアルコールからアルデヒドを生成せしめて、生じたアルデヒドの量を定量しても良い。
過酸化水素の発色系は、パーオキシダーゼの存在下で4-AA若しくは3-メチル -2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等のカップラーとフェノール等の色原体との酸化縮合により色素を生成するトリンダー試薬、パーオキシダーゼの存在下で直接酸化、呈色するロイコ型試薬等を用いることが出来る。
【0062】
トリンダー型試薬の色原体としては、フェノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体等が使用可能であり、具体例としてN, Nジメチルアニリン、N、N-ジエチルアニリン、2,4-ジクロロフェノール、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ -3-スルホプロピル)-3, 5-ジメトキシアニリン(DAOS)、N-エチル-N- スルホプロピル-3,5ジメチルアニリン(MAPS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-3, 5-ジメチルアニリン(MAOS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-m- トルイジン(TOOS)、N-エチル-N- スルホプロピル-m- アニシジン(ADPS)、N-エチル-N- スルホプロピルアニリン(ALPS)、N-エチル-N- スルホプロピル-3、5-ジメトキシアニリン(DAPS)、N-スルホプロピル-3、5-ジメトキシアニリン(HDAPS) 、N-エチル-N- スルホプロピル-m- トルイジン(TOPS)、N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3- スルホプロピル)-m-アニシジン(ADOS)、N-エチル-N- (2- ヒドロキシ-3- スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N-(2- ヒドロキシ-3- スルホプロピル) -3、5-ジメトキシアニリン(HDAOS) 、N-スルホプロピル−アニリン(HALPS)(以上同人化学研究所社製)等が挙げられる。
【0063】
またロイコ型試薬の具体例としては、o−ジアニシジン、o−トリジン、3, 3ジアミノベンジジン、3,3,5,5-テトラメチルベンジジン;以上同人化学研究所社製、N- (カルボキシメチルアミノカルボニル)-4, 4-ビス(ジメチルアミノ) ビフェニルアミン(DA64)、10-(カルボキシメチルアミノカルボニル) -3, 7-ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67);以上和光純薬社製等が挙げられる。
【0064】
さらに蛍光法には、酸化によって蛍光を発する化合物、例えばホモバニリン酸、4-ヒドロキシフェニル酢酸、チラミン、パラクレゾール、ジアセチルフルオレスシン誘導体等を、化学発光法には、触媒としてルミノール、ルシゲニン、イソルミノール、ピロガロール等を用いることが出来る。
カタラーゼ等を用いてアルコールからアルデヒドを生成せしめて、生じたアルデヒドを定量する方法としては、ハンチ反応を用いる方法や、MBTHとの縮合反応により発色させる方法、若しくはアルデヒドデヒドロゲナーゼを用いる方法等が挙げられる。
グルコソンの定量はジフェニルアミン等の公知のアルドース試薬を用いて定量すればよい。
【0065】
また過酸化水素を電極を用いて測定する場合、電極には、過酸化水素との間で電子を授受することの出来る材料である限り特に制限されないが、例えば白金、金若しくは銀等が挙げられ、電極測定方法としてはアンペロメトリー、ポテンショメトリー、クーロメトリー等の公知の方法を用いることが出来、さらにオキシダーゼまたは基質と電極との間の反応に電子伝達体を介在させ、得られる酸化、還元電流或いはその電気量を測定しても良い。電子伝達体としては電子伝達機能を有する任意の物質が使用可能であり、例えばフェロセン誘導体、キノン誘導体等の物質が挙げられる。またオキシダーゼ反応により生成する過酸化水素と電極の間に電子伝達体を介在させ得られる酸化、還元電流またはその電気量を測定しても良い。
【0066】
かくして調製された本発明の糖化タンパク質の定量用組成物によって、被検液中の糖化タンパク質を定量するには、糖化タンパク質定量用組成物に被検液0.001 〜0.5ml を加え、37℃の温度にて反応させ、レートアッセイを行なう場合には、反応開始後の一定時間後の2点間の数分ないし数十分間、例えば3分後と4分後の1分間、または3分ごと8分後の5分間における変化した補酵素、溶存酸素、過酸化水素若しくはその他生成物の量を直接または間接的に前記の方法で測定すれば良く、エンドポイントアッセイの場合には反応開始後一定時間後の変化した補酵素、溶存酸素、過酸化水素若しくはその他生成物の量を同様に測定すれば良い。この場合既知濃度の糖化タンパク質を用いて測定した場合の吸光度等の変化と比較すれば被検液中の糖化タンパク質の量を求めることができる。
【0067】
<<特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤のスクリーニング方法>>
特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤をスクリーニングするには、目的とする特定タンパク質、例えばヒトグロブリン成分、目的とする特定タンパク質以外のタンパク質、例えばヒトアルブミン、ヒトヘモグロビンをそれぞれ単独で溶解した基質溶液に、候補物質の共存下及び非共存下に前記プロテアーゼを反応せしめて、続いて若しくは同時に糖化アミノ酸に作用する酵素を用いて生成した糖化アミノ酸若しくは糖化ペプチドを定量し、目的とする特定タンパク質以外のタンパク質、例えばヒトアルブミン若しくはヒトヘモグロビンの定量値の変化に比して特定タンパク質の定量値、例えばヒトグロブリン成分の定量値が優位に低下している物質を選択すればよい。
【0068】
本スクリーニング法に於ける目的とする特定タンパク質、例えばヒトグロブリン成分、及び目的とする特定タンパク質以外のタンパク質、例えばヒトアルブミン、ヒトヘモグロビンはどのようなものを用いても良いが、特定タンパク質は目的とする特定タンパク質以外のタンパク質を含まないものが好ましく、また特定タンパク質以外のタンパク質は特定タンパク質を含まないものが好ましい。
【0069】
例えば、特定タンパク質がヒトグロブリン成分であり、特定タンパク質以外のタンパク質がヒトアルブミン、ヒトヘモグロビンである場合には、ヒトグロブリン成分は、アルブミン及びヘモグロビンを含まないものが好ましく、またヒトアルブミン、ヒトヘモグロビンはヒトグロブリン成分を含まないものが好ましい。また目的とする特定タンパク質及び特定タンパク質以外のタンパク質はどのような濃度を用いても良いが、例えば特定タンパク質以外のタンパク質としてヒトアルブミン、ヒトヘモグロビンを用いた場合には、ヒトアルブミンの調製濃度は1〜200mg/mlが好ましく、10〜100mg/mlがより好ましく、ヒト健常者濃度35〜55mg/ml が最も好ましく、ヒトヘモグロビンの調製濃度は1〜500mg/mlが好ましく10〜200mg/mlがより好ましい。
【0070】
目的とする特定タンパク質がグロブリン成分の場合、ヒトグロブリン成分の調製濃度は 0.1〜200mg/mlが好ましく、0.5 〜100mg/mlがより好ましく、chon FractionII 、III の場合は 5〜25mg/ml が最も好ましく、chon FractionIV の場合には1〜15mg/ml が最も好ましい。またヒトグロブリン成分は血清タンパク質のアルブミン以外の成分の総称であるから様々な種類の製造法が存在する為に用いるヒトグロブリンの種類に応じて適宜濃度を変更しても良い。
【0071】
前記のごとく調製された基質溶液及びプロテアーゼ溶液好ましくは0.01mU〜100U(GA)/ml 若しくはU(GH)/mlを1:0.01〜1:100 程度の比率で候補物質の共存下及び非共存下にて混合し、プロテアーゼが十分に基質溶液に作用しうるpH、温度にて好ましくは1分〜12時間、より好ましくは5分〜2時間反応を行ない、基質溶液を断片化せしめればよい。
【0072】
プロテアーゼ処理された基質溶液中の糖化アミノ酸若しくは糖化ペプチドを定量するには、続いて若しくは同時に前記少なくとも糖化アミノ酸に作用する酵素を好ましくは0.01〜 000U/ml、さらに好ましくは 0.1〜200U/ml の濃度で用い、また糖化アミノ酸に作用する酵素が充分に糖化アミノ酸類に反応しうるpH、温度にて好ましくは1秒〜12時間、さらに好ましくは1分から2時間反応を行ない、変化した補酵素、溶存酸素、過酸化水素若しくはその他生成物の量を直接または間接的に前記の方法で測定すれば良い。また同様の操作を基質溶液のかわりに蒸留水を用いて行ない、試薬ブランクとして基質溶液の測定値から差し引く。
【0073】
最後にそれぞれの候補物質により得られた定量値を比較し、候補物質添加時に、ヒトアルブミン若しくはヒトヘモグロビンが十分に定量出来る範囲内に於いて、特定タンパク質の定量値がヒトアルブミン若しくはヒトヘモグロビンの定量値に対して50%〜75%、好ましくは76〜99%、最も好ましくは実質的に作用しない程度に減少している候補物質を特定タンパク質選択的なプロテアーゼ阻害剤として選択する。
【0074】
本発明の特定タンパク質選択的なプロチアーゼ阻害剤は、粉末、顆粒、水溶液等の形で提供することができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を詳しく述べるが、本発明は何らこれにより限定されるものではない。
【参考例1】
グロブリン成分に作用しないプロテアーゼをスクリーニングする目的で、プロテアーゼをアルブミン、グロブリン成分及びヘモグロビンに作用させ生じた糖化アミノ酸若しくは糖化ペプチドをフルクトサミンオキシダーゼにて定量した。
【0076】
<基質溶液>
1;HSA基質溶液(プロテアーゼの糖化タンパク質に対する活性測定方法
に用いたものに同じ。)
2;G−II,III 基質溶液、フルクトサミン値48μmol/L 〔Globulins Hum an Cohn Fraction II 、III ;16.9mg/ml (シグマ社製)〕
3;G−IV基質溶液、フルクトサミン値26μmol/L 〔Globulins Human Co hn Fraction IV;6mg/ml(シグマ社製)〕
4;G−I基質溶液、フルクトサミン値77μmol/L 〔グロベニンI;glovenin -I;免疫グロブリン製剤(武田薬品社製)〕
5;Hb基質溶液(プロテアーゼの糖化タンパク質に対する活性測定方法に用いたものに同じ。)
なお基質溶液のフルクトサミン値はフルクトサミン測定キット(オートワコーフルクトサミン(和光純薬社製)にて測定した。
【0077】
<プロテアーゼ反応試料作成>
Hb以外の基質溶液 200μl、プロテアーゼ溶液100mg/ml (この濃度が作成できない場合は可能な限り濃い濃度、また溶液状のものはそのままの濃度) 40μl 、及び1M トリス緩衝液(pH8) 10μl を良く混合し37℃-30 分反応させ、1万膜(ウルトラフリーMC;ミリポア社製)で濾過し、濾液をプロテアーゼ反応試料とした。また、基質の代わりに蒸留水を用い同様の操作を行ない、ブランク試料とした。
【0078】
一方、Hb基質溶液の場合は基質溶液 150μl 、プロテアーゼ溶液200mg/ml(この濃度が作成できない場合は可能な限り濃い濃度、また溶液状のものはそのままの濃度)を60μl 及び1M トリス緩衝液(pH8)5μl を良く混合し37℃−60分反応させ、ウルトラフリーMC(分画分子量1万;ミリポア社製)で濾過し、濾液をプロテアーゼ反応試料とした。また、基質の代わりに蒸留水を用い同様の操作を行ない、ブランク試料とした。
【0079】
<プロテアーゼ反応試料中の糖化アミノ酸及び糖化ププチドの測定>
<反応液組成>
50mM トリス緩衝液 pH8.0
0.02% 4-AA(和光純薬社製)
0.02% TOOS (同人化学研究所社製)
2U/ml FOD(旭化成工業社製)
5U/ml POD(シグマ社製)
【0080】
<反応手順>
上記糖化アミノ酸測定反応液 300μl をセルに分注し37℃−3分間インキュベーションし555nm を測光する(A0)。続いてプロテアーゼ反応試料30μlを添加し37℃−5分間インキュベーションし555nm を測光する(A1)。またプロテアーゼ反応試料の代わりにブランク試料を用い同様の操作を行ないA0ブランク、A1ブランクを測定する。プロテアーゼの糖化蛋白質への作用を吸光度変化で示すと下式となる。
ΔA=(A1-A0) − (A1ブランク−A0ブランク)
pH8における代表的なプロテアーゼのアルブミン、グロブリン、ヘモグロビンへの作用(ΔA)を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0003734212
【0082】
G-IV基質溶液中の糖化タンパク質に対する作用はどのプロテアーゼも小さい若しくは0であった為、またG-II、-III基質溶液の測定値とG-I 基質溶液の測定値がほぼ同じであったために表1にはグロブリン成分についてG-I 基質溶液の結果のみを記載した。表1から分かるようにアスペルギルス(Aspergillus) 属由来のプロテアーゼ、及びプロテアーゼタイプ XIVはグロブリン成分中の糖化グロブリンにも良く作用している。さらにアルブミン中の糖化アルブミン及びヘモグロビン中の糖化ヘモグロビンに作用するエンド型、エキソ型プロテアーゼは共にグロブリン成分中の糖化グロブリンに作用を示した。よって血清又は血漿中の糖化アルブミン若しくは全血及び血球中の糖化へモグロビンを測定する場合にプロテアーゼの選択のみではグロブリン成分の影響を回避できないと考えられた。また同様にプロテアーゼの選択のみでは特定タンパク質の影響を回避できないと考えられた。
【0083】
【実施例1】
<グロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤のスクリーニング>
前記HSA基質溶液に高い作用を示すオリエンターゼ22BF (阪急バイオインダストリー社製)を用いて、HSA基質溶液を基準に、前記各種グロブリン基質溶液へのプロテアーゼ作用を低下させる物質をスクリーニングした。
基質溶液(HSA 基質溶液、G-I 基質溶液)100 μl 、オリエンターゼ22BF(100mg/ml ;約 9mU(GA)/ml)20μl 、1Mトリス緩衝液 (pH8.0)5 μl 及び金属 0.10M〜0.01M 、プロテインA若しくはプロテインG(シグマ社製)10mg/ml 、10μl を良く混合し37℃−30分反応させウルトラフリーMC(分画分子量1万;ミリポア社製)で濾過し、濾液をプロテアーゼ反応試料とする。また基質の代わりに蒸留水を用い同様の操作を行ない、ブランク試料とし、さらに金属イオン、プロテインA若しくはプロテインGの代わりに蒸留水を添加したものをコントロール試料とする。
【0084】
前記の添加する金属溶液は KCl, NaCl, NaF, NaN3, AgCl, LiCl, NH4Cl, MgCl2,PbCl2, NiCl2, MnCl2, SnCl2, GaCl2, GeCl2, CaCl2; 100mM, ZnCl2, CoCl2,Na5MoO4, FeSO4;50mM, ZnSO4,酢酸バリウム, CuCl2, CuSO4, Fe2(SO4)3,AlCl3;10mM (以上和光純薬社製)で調製した。
【0085】
<反応液> 参考例1と同じ。
<反応手順> 参考例1と同じ手順で行なった。
HSA基質溶液から得られた吸光度変化△A(HSA) 及び G-I基質溶液から得られた吸光度変化△A(G-I) の割合;△A(G-I)/△A(HSA)X100 を様々な候補物質の共存下及び非共存下(コントロール試料)にて比較した。その結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
Figure 0003734212
【0087】
表2から分かるように亜鉛、コバルト、鉛、ニッケル、錫、ガリウム、銅、鉄、アルミニウムイオン、プロテインA及びプロテインGにグロブリン成分中の糖化グロブリンへのプロテアーゼ作用を阻害する効果が確認され、これらグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤及びプロテアーゼを用いることにより主にグロブリン以外のタンパク質を断片化できることが明白となった。また同様な方法を用いることにより、その他のグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤をスクリーニングできることが明白であり、さらに異なるプロテアーゼ及び反応条件、例えばpH、温度等に於けるグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤のスクリーニングも可能であることが分かった。
【0088】
さらに、HSA基質溶液の代わりにHb基質溶液を用いることにより、糖化ヘモグロビン測定時に用いることが出来るグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤をスクリーニングできること及びグロブリン成分基質溶液のかわりに目的とする特定タンパク質基質溶液を用いることにより、特定タンパク質選択的な阻害剤をスクリーニングできることも分かった。
【0089】
【実施例2】
<鉛イオンのグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害効果>
<R−1>
10mM Tris 緩衝液 pH8.5
8mM 4-AA(和光純薬社製)
15U/ml POD (シグマ社製)
200mg/ml プロテアーゼ;約8mU(GA)/ml
0.3 〜1.0mM PbCl2
プロテアーゼ濃度は、オリエンターゼ 22BF; 0.3mM (阪急バイオインダストリー社製)、プロテアーゼ−タイプ−VIII; 0.4mM 、プロテアーゼ−タイプ−XIV; 1.0mM、プロテアーゼ−タイプ−XXVII; 0.3mM (以上シグマ社製)を使用。
【0090】
<R−2>
Figure 0003734212
【0091】
<操作>
上記 R-1、270 μl をセルにとり基質溶液9μl を添加し37℃−5分間反応させ 570nmのA0を測定する。続いて R-2、90μl を添加し37℃−5分間発色反応を行ない 570nmのA1を測定した。同様に試料の代わりに蒸留水を用いてブランクの測定を行ない、ΔA=(A1-A0) − (A1ブランク−A0ブランク)を算出した。また鉛イオンを添加しないR−1を作成し同様に測定を行ないコントロールとした。結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
Figure 0003734212
【0093】
表3から分かるようにオリエンターゼ22BF、プロテアーゼ−タイプ−VIII、プロテアーゼ−タイプ− XIV、プロテアーゼ−タイプ− XXVIIすべて鉛イオン共存下にG-II、I II、G-IV、G-I 基質溶液中の糖化グロブリンへのプロテアーゼ作用が低下し、一方HSA基質溶液中の糖化アルブミンに対する作用は保持されていた。このことから本発明でスクリーニングされたグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤はプロテアーゼの種類を問わず有効であることが明らかとなった。また血清にプロテアーゼ及びグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤を添加し主にグロブリン成分以外のアルブミンを断片化することが様々な種類のプロテアーゼについても可能であり、続いて生成した糖化アミノ酸及び/または糖化ペプチドを、少なくとも糖化アミノ酸に作用する酵素を用いて測定することによりグロブリン成分の影響を受けずに糖化アルブミンが測定できることが明らかとなった。さらに糖化ヘモグロビンを測定する場合にも本発明を用いることにより、グロブリン成分の影響を回避できることが分かった。
【0094】
【実施例3】
(糖化アルブミンの希釈直線性)
Figure 0003734212
【0095】
<操作>
HSA 、G-IV及び G-Iの0.0 、0.5 、 1.0、1.5 、2.0 倍濃度の試料を調製し希釈直線性を確認した。操作は実施例2に同じ。但しHSA1.0倍濃度は10回測定しCV値を計算した。その結果を図1に示す。
図1から分かるようにG-I 、G-IV基質溶液共に濃度を変化させても吸光度変化が得られなかった。一方、HSA基質溶液は濃度に応じて良好な直線性が得られ、グロブリン成分の影響を実質的に受けずに糖化アルブミンが定量されていることが明白である。またHSA1.0倍濃度ではCV値=1.2 %と良好な再現性が確認されており、本発明の測定系を用いて10分の反応時間で糖化アルブミンが選択的に、感度良く、また再現良く測定されていることが明らかとなった。
【0096】
【実施例4】
(糖化ヘモグロビンの希釈直線性)
Figure 0003734212
【0097】
<操作>
Hb、G-IV及びG-I の 0.0、0.5 、1.0 、1.5 、2.0 倍濃度の試料を調製し直線性を確認した。上記プロテアーゼ反応試薬65μl 及び基質溶液 150μl を良く混合し37℃−60分間反応させ、ウルトラフリーMC(分画分子量1万;ミリポア社製)で濾過し濾液をプロテアーゼ反応試料とした。また基質溶液の代わりに蒸留水を用い同様の操作を行ない、ブランク試料とした。
続いて R-2、 270μl をセルに取り555nm の吸光度A0を測定する。さらにプロテアーゼ反応試料を30μl添加し37℃−5分間発色反応を行ない555 nmのA1を測定した。同様にブランク試料の測定を行ない、(A1-A0)-(A1 ブランク−A0ブランク)を算出した。さらにHbの1.0 倍濃度は10回測定しCV値を計算した。その結果を図2に示す。
【0098】
図2から分かるように G-I、G-IV共に基質濃度を変化させても吸光度変化が得られなかった。一方、Hbは濃度に応じて良好な直線性が得られておりグロブリン成分の影響を実質的に受けずに糖化ヘモグロビンが定量されていることが明白となった。またHb1.0 倍濃度ではCV値=2.0 %と良好な再現性が確認されており、本発明の測定系を用いて糖化ヘモグロビンが、感度良く、また再現良く測定されていることが明らかとなった。
【0099】
【実施例5】
(糖化アルブミンの直線性)
Figure 0003734212
上記血清A,Bを10:0, 8:2, 6:4, 4:6, 2:8, 0:10の割合で混合し試料とした。
【0100】
<操作>
上記 R-1、 810μl をセルにとり試料27μl を添加し37℃−5分間反応させ570 nmのA0を測定する。続いて R-2、 270μl を添加し37℃−5分間発色反応を行ない570nm のA1を測定した。同様に試料の代わりに蒸留水を用いてブランクの測定を行ない、(A1-A0)-(A1 ブランク−A0ブランク)を算出した。結果を図3に示す。
【0101】
図3から分かるようにアルブミン濃度を一定にした異なる糖化アルブミン率の試料に於いても良好な直線性が得られた。従って本発明である糖化タンパク質の定量方法により、実際の血清、血漿中の糖化アルブミンを定量的に検出できることが分かった。また血清の代わりに赤血球を溶血し作成したヘモグロビン基質溶液を用いても同様の直線性が確認された為、本発明である糖化タンパク質の定量方法により、糖化ヘモグロビンを定量的に検出できることも確認できた。
【0102】
【実施例6】
(糖化アルブミンHPLC法と酵素法(本発明)の相関性)
Figure 0003734212
【0103】
<操作> 操作は実施例2に同じ。
糖尿病患者血清14検体を用い本発明に基づく酵素法と、公知のHPLC法の相関を確認した。尚HPLC法の測定は、糖化アルブミン計(GAA-2000;京都第一科学社製)にて糖化アルブミン率を測定した。本発明に基づく定量方法から得られる吸光度変化は糖化アルブミン率と、相関係数r=0.984 と非常によい相関を示し、本発明に基づく定量方法は糖化アルブミンを正確に定量していることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例3に基づく HSA、G-IV、G-I の定量曲線及び再現性である。
【図2】本発明の実施例4に基づくHb、G-IV、G-I の定量曲線及び再現性である。
【図3】本発明の実施例5に基づく糖化アルブミンの定量曲線である。

Claims (7)

  1. グロブリン成分及びグロブリン成分以外のタンパク質として糖化アルブミン又は糖化ヘモグロビンを含有する被検液に、プロテアーゼ、及びグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤として亜鉛、ニッケル、鉄、銅、コバルト、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、のイオン単独又はその組み合わせ、或いはプロテインA又はプロテインGを添加し、主にグロブリン成分以外のタンパク質を断片化することを特徴とする糖化タンパク質の選択的断片化方法。
  2. グロブリン成分及びグロブリン成分以外のタンパク質として糖化アルブミン又は糖化ヘモグロビンを含有する被検液に、プロテアーゼ、及びグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤として亜鉛、ニッケル、鉄、銅、コバルト、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、のイオン単独又はその組み合わせ、或いはプロテインA又はプロテインGを添加し、主にグロブリン成分以外のタンパク質を断片化し、当該タンパク質から生成した糖化アミノ酸及び/又は糖化ペプチドを定量することを特徴とする糖化タンパク質の定量方法。
  3. 生成した糖化アミノ酸及び/又は糖化ペプチドの定量を、フルクトシルアミンオキシダーゼを用いて行なう請求項2記載の糖化タンパク質の定量方法。
  4. 1)プロテアーゼ、2)亜鉛、ニッケル、鉄、銅、コバルト、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、のイオン単独又はその組み合わせ、或いはプロテインA又はプロテインGを含有してなる糖化アルブミン若しくは糖化ヘモグロビンの選択的断片化用組成物。
  5. 1)プロテアーゼ、2)亜鉛、ニッケル、鉄、銅、コバルト、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、のイオン単独又はその組み合わせ、或いはプロテインA又はプロテインG、及び3)フルクトシルアミンオキシダーゼを含有してなる糖化アルブミン若しくは糖化ヘモグロビンの定量用組成物。
  6. 糖化アルブミン若しくは糖化ヘモグロビンの選択的断片化方法又は糖化アルブミン若しくは糖化ヘモグロビンの定量方法のための、グロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤としての、亜鉛、ニッケル、鉄、銅、コバルト、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、のイオン単独もしくはその組み合わせ、或いはプロテインA又はプロテインGの使用。
  7. グロブリン成分及びグロブリン成分以外のタンパク質として糖化アルブミン又は糖化ヘモグロビンを含有する被検液中の、主として糖化アルブミン又は糖化ヘモグロビンを断片化するためのグロブリン成分選択的なプロテアーゼ阻害剤として亜鉛、ニッケル、鉄、銅、コバルト、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、のイオン単独又はその組み合わせ、或いはプロテインA又はプロテインGプロテアーゼの組み合わせの使用。
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