JPH08298928A - 冷凍揚げ物食品調製用油脂組成物及びこれで揚げた食品 - Google Patents

冷凍揚げ物食品調製用油脂組成物及びこれで揚げた食品

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JPH08298928A
JPH08298928A JP7129733A JP12973395A JPH08298928A JP H08298928 A JPH08298928 A JP H08298928A JP 7129733 A JP7129733 A JP 7129733A JP 12973395 A JP12973395 A JP 12973395A JP H08298928 A JPH08298928 A JP H08298928A
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oil
fatty acid
sucrose fatty
fried
weight
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JP7129733A
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Makoto Koike
真 小池
Hideki Yokomichi
秀季 横道
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷凍食品をカラッとしていて油っぽくなく、
サクミ感があり、しかもジュ−シ−な状態で揚げること
ができる冷凍揚げ物食品調製用油脂組成物及びこれで揚
げた食品を提供する。 【構成】 食用油脂中に下記組成のショ糖脂肪酸エステ
ル混合物を0.01〜5重量%含有する冷凍揚げ物食品
調製用油脂組成物: [SME]<10重量%、[SDE]及び/又は[ST
E]≧45重量% ここで、[SME]はショ糖脂肪酸エステル混合物中の
ショ糖脂肪酸モノエステルの含有量を、[SDE]はシ
ョ糖脂肪酸エステル混合物中のショ糖脂肪酸ジエステル
の含有量を、[STE]はショ糖脂肪酸エステル混合物
中のショ糖脂肪酸トリエステルの含有量をそれぞれ表
す。上記の油脂組成物で揚げた食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍揚げ物食品をより
おいしく揚げるために加熱媒体として有利に用いること
ができる油脂組成物及びこれで揚げた食品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、調理が簡単で、かつ保存が可能な
ことから冷凍食品の需要は、ファミリーレストラン、フ
ァ−ストフード等の外食産業は勿論のこと、一般の家庭
に於いても増大している。また調理の手軽さや保存性に
加え、消費者のグルメ嗜好から本格的な風味のものが求
められるようになって来ている。冷凍食品には、揚げ物
類、米飯類、麺類、菓子類等があるが、中でも揚げ物類
の占める比率は高く、中心的な製品である。冷凍揚げ物
類としては、例えば、フライ、コロッケ、カツ、天ぷ
ら、空揚げ、フライドポテト等が挙げられる。
【0003】冷凍食品とは、前処理を施し、品温が−1
8℃以下になるように急速凍結し、包装された規格品
で、簡単な調理で食膳に供されるものである。凍結工程
の際、氷結晶が大きくなり過ぎると、細胞組織を破壊し
て食品の品質を劣化させると共に、調理時に発生する遊
離水の原因となり、油で揚げた時に沸騰して衣が破れた
りして製品の価値を著しく損なう。このため、一般に氷
結晶が生成増大する温度帯(通常0〜−5℃)を急速に
通過するような凍結方法(すなわち急速凍結)を利用
し、製造時における氷結晶の生成増大を最小限にとどめ
ているが、流通時に製品を凍結保存する際にも、氷結晶
は成長増大するため、氷結晶の生成は避けられないのが
現状である。このため冷凍揚げ物食品に対しては、一般
に衣の厚さを厚くすることによって衣の破壊、はがれ、
崩れなどを防ぐなどの対策が取られるが、これにより衣
のサクミ感が損なわれる等の問題が生じる。
【0004】一般に、天ぷら、フライ、フリッター、空
揚げ等の揚げ物は、魚、肉、野菜等の食品材料(種)
に、下味をつけたり小麦粉等の穀粉を主成分とする衣を
付着するなどした後、180℃前後の油中で揚げて種を
蒸し焼きにしたものであり、調理後の衣はカラッとして
いて油っぽくなく、サクミ感があり、一方種は余り乾き
過ぎることなくジュ−シ−であるものがおいしいとされ
ている。従来このような揚げ物調製用の油脂としては、
例えば、コ−ン油、なたね油、大豆油、綿実油、米油、
サフラワ−油、ごま油、ひまわり油、オリ−ブ油、ラ−
ド、ヘット等の油脂が多く用いられている。
【0005】上記のような油脂を用いて、カラッとして
いて油っぽくなく、サクミ感のある食感の衣を有し、ま
た種もジューシーな状態で揚げるには、油脂の選択、あ
るいは揚げ温度、時間などの揚げ条件、揚げ操作などの
各条件の選択において熟練を要する。従来からカラッと
感、サクミ感を良くするために、調理時間を長くした
り、加熱調理温度を高温にするといった方法がよくとら
れるが、その結果、種の水分までも蒸散し過ぎて種のジ
ュ−シ−感が失われたり、また衣の色が極端に褐変また
は黒変するなどの問題が生じる。このため、外観上、種
と衣のバランスの良いところで調理を終了しているが、
こうすると衣中の水分の蒸散が充分に行われず、揚げ上
がり後、すぐに衣がしんなりとなり、サクミ感のある衣
とはなりにくくなる。特に、冷凍揚げ物食品は、前述の
ように衣を厚く付着させたものが多く、上記のような油
脂を用いる調製では、通常の揚げ物の調理に比べ種と衣
をバランス良く揚げるための温度条件等の調節が難し
く、冷凍揚げ物食品を大量に処理する場合には更に困難
である。
【0006】冷凍揚げ物食品の食感、品質をより向上さ
せるために衣材料や装置の改良が従来から試みられてい
る。例えば、衣材料の改良については、アルギン酸とカ
ルシウム塩を用いたもの(特公昭51−16932号公
報)、二酸化珪素を添加したもの(特開平5−2448
83号公報)、あるいはうるち米やもち米の粉末または
馬鈴薯の澱粉末、いわゆる餅取り粉を用いたもの(特開
平6−253763号公報)等が提案されている。また
フライ衣付装置を改良したもの(特開平6−13370
5号公報)、前処理工程を加えたもの(特開平5−30
8926号公報)等も提案されている。しかしながら、
上記のような方法を利用し、従来の油脂で揚げたもの
は、油っぽさ、サクミ感、種の食感等の全てにおいて未
だ充分満足できるものは得られず、また装置等の改良に
おいては、大量生産に向かないといった欠点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冷凍
食品をカラッとした食感で油っぽくなく、サクミ感があ
り、しかもジュ−シ−な状態で揚げることができる冷凍
揚げ物食品調製用油脂組成物(以下単に、油脂組成物と
称する場合がある)及びこれで揚げた食品を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、冷凍揚げ物
食品の調理過程での衣の水分と種の水分の変化に着目
し、鋭意研究を行った。その結果、特定の組成のショ糖
脂肪酸エステル混合物を通常使用する油脂に添加するこ
とで、揚げる際の温度を過度に上昇させることなく衣の
水分を早く蒸散させることができることを見出し、本発
明を完成させた。すなわち、特定の組成のショ糖脂肪酸
エステル混合物の添加で調理時の衣の水分の蒸散が促進
され、カラッとしていて油っぽくなく、サクミ感のある
衣が得られると共に、種の水分は保持されたまま調理さ
れるため、種はジューシーに仕上がっておいしい冷凍揚
げ物食品を作ることができる。
【0009】本発明は、食用油脂中に下記組成のショ糖
脂肪酸エステル混合物を0.01〜5重量%含有する冷
凍揚げ物食品調製用油脂組成物にある。 [SME]<10重量%、[SDE]及び/又は[ST
E]≧45重量% ここで、[SME]はショ糖脂肪酸エステル混合物中の
ショ糖脂肪酸モノエステルの含有量を、[SDE]はシ
ョ糖脂肪酸エステル混合物中のショ糖脂肪酸ジエステル
の含有量を、[STE]はショ糖脂肪酸エステル混合物
中のショ糖脂肪酸トリエステルの含有量をそれぞれ表
す。
【0010】また本発明は、上記の油脂組成物で揚げた
食品にもある。
【0011】本発明は以下の態様であることが好まし
い。 (1)[SME]≦5重量%(更に好ましくは、≦2重
量%)。 (2)[SDE]+[STE]≧60重量%(更に好ま
しくは、≧70重量%、特に≧80重量%)。 (3)[SDE]≧25重量%(更に好ましくは、≧3
0重量%、特に≧40重量%)。 (4)[STE]≧25重量%(更に好ましくは、≧3
0重量%、特に≧40重量%)。 (5)上記油脂組成物が更にジグリセリドを5〜95重
量%(更に好ましくは、7〜70重量%)含む。 (6)食用油脂中に上記組成のショ糖脂肪酸エステル混
合物を0.05〜3重量%含有する。
【0012】以下に、本発明の冷凍揚げ物食品調製用油
脂組成物について説明する。まず、本発明の油脂組成物
に含まれるショ糖脂肪酸エステル混合物(以下、ショ糖
エステル混合物と称する場合がある)について説明す
る。一般に、ショ糖エステル混合物(SEと称する。以
下同様)は、エステル化度(エステル置換度)が1のシ
ョ糖モノエステル(SME)、エステル化度が2のショ
糖ジエステル(SDE)、エステル化度が3のショ糖ト
リエステル(STE)、エステル化度が4のショ糖テト
ラエステル(STeE)、そしてエステル化度が5〜8
のショ糖ポリエステル(SPE)で構成されている。な
お、本明細書において、[SME]、[SDE]、[S
TE]、[STeE]、そして[SPE]は、ショ糖脂
肪酸エステル混合物(SE)中のそれぞれのエステル組
成の含有量(重量%)を表わす。
【0013】本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステル
混合物は、[SME]<10重量%であり、かつ[SD
E]及び/又は[STE]≧45重量%である。本発明
者の検討では、SE中のSMEの含有量が10重量%以
上になると、加熱調理において油脂の着色や揚げ物の着
色が生じ易くなり、また油溶性が低下し、ショ糖脂肪酸
エステル混合物の食用油脂への均一な混合がしにくくな
る。またSE中のSDEまたはSTEの含有量、あるい
はSDEとSTEとの合計の含有量が45重量%以上に
なると、衣からの水分蒸散量が多くなり、揚げ物がカラ
ッと仕上がって油っぽくなく、サクミ感が増し、また種
自体もジュ−シ−な状態で揚げられることが判明した。
【0014】本発明においては、[SME]は5重量%
以下であることが好ましく、更に好ましくは、2重量%
以下、特に0〜1重量%である。また[SDE]又は
[STE]は、それぞれ25重量%以上であることが好
ましく、更に好ましくは、30重量%以上、特に40重
量%以上である。また、[SDE]+[STE]は、5
0重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは、
60重量%以上、特に70重量%以上である。
【0015】本発明で用いられるショ糖脂肪酸エステル
混合物において、[STeE]や[SPE]は特に制限
はないが、SE中のSTeEやSPEの含有量、特にS
PEの含有量が多くなると油っぽさが増す。このためS
E中のSPEの含有量は30重量%以下に抑えることが
好ましく、更に好ましくは20重量%以下、特に15重
量%以下であることが好ましい。またSE中のSTeE
の含有量は、風味やショ糖脂肪酸エステル混合物の油溶
性の面から、1〜30重量%であることが好ましく、更
に好ましくは、3〜20重量%である。
【0016】本発明のショ糖脂肪酸エステル混合物は、
既知の合成法を利用して調製することができる。一般に
行われる方法は、ショ糖と脂肪酸メチルとのエステル化
反応により生成する方法であるが、ショ糖と脂肪酸メチ
ルの相溶性溶媒(通常、ジメチルホルムアミド)を用
い、炭酸カリウムを触媒とし、減圧下加熱反応させる方
法や、ショ糖と脂肪酸メチルを水と多量の乳化剤を用い
て、加熱し、ミクロエマルジョンとした後、これを減圧
脱水し、触媒として炭酸カリウムを加えて反応させる方
法が代表的である。また炭酸カリウムを触媒として、シ
ョ糖と油脂を直接加熱反応させる方法も利用できる。得
られた反応生成物から、過剰のショ糖や溶媒を除去後、
クロロホルム−メタノ−ルを展開溶媒としたシリカゲル
カラムにて分画し、得られた各分画物を目的とする配合
に再配合することにより、本発明のショ糖脂肪酸エステ
ルを調製することができる。なお、市販品のショ糖脂肪
酸エステル混合物から上記の方法にて分画し、得られた
各分画物を再配合することによっても調製することがで
きる。更に市販品のショ糖脂肪酸エステル混合物をヘキ
サンに溶解後、エタノールと水を添加し、エタノールと
水の量比を調節することによって得られたものも利用す
ることができる。
【0017】食用油脂としては、天ぷらなどの揚げ油と
して一般的に使用可能とされている各種の油から任意に
選んで用いることができる。その例として大豆油、菜種
油、コーン油、紅花油、ひまわり油、綿実油、オリーブ
油、ごま油などの液状油脂、パーム油、ラードなどの固
形状、あるいは半固形状油脂を挙げることができる。ま
た必要に応じて食用油脂に通常使用されている抗酸化
剤、香料、乳化剤等を添加してもよい。
【0018】本発明の冷凍揚げ物食品調製用油脂組成物
は、上記ショ糖脂肪酸エステルが食用油脂中に0.01
〜5重量%(好ましくは0.05〜3重量%)含有され
ている。
【0019】本発明の油脂組成物には、更にジグリセリ
ドが油脂組成物中に5重量%〜95重量%(更に好まし
くは、7〜70重量%)含まれていることが好ましい。
これにより調理後の衣のカラッとした食感が増大する。
ジグリセリドは通常、モノグリセリド、ジグリセリド及
びトリグリセリドのグリセリド混合物として供給される
が、そのグリセリド混合物の組成が、ジグリセリド:モ
ノグリセリドの重量比が5:1〜990:1(更に好ま
しくは10:1〜100:1)の範囲にあることが好ま
しい。グリセリド混合物中のモノグリセリド含量が多い
と風味が悪化するばかりか、加熱調理の際には発煙を起
こしやすくなる。本発明においては、グリセリド混合物
中のジグリセリドの含有量は30重量%以上であること
が好ましく、更に好ましくは50重量%以上、特に、7
0重量%以上である。またモノ、ジ及びトリグリセリド
を構成する脂肪酸残基の炭素数は8〜24であることが
好ましく、更に低温下でも均一、良好な液状性を得るた
めに、炭素数16以上の飽和脂肪酸含量が25重量%以
下(更に好ましくは20重量%以下)であることが更に
好ましい。モノ、ジ及びトリグリセリドを構成する全構
成脂肪酸中の不飽和脂肪酸残基の含有量は60重量%以
上であることが好ましく、更に好ましくは70重量%以
上特に80重量%以上である。
【0020】本発明に使用されるジグリセリドは、不飽
和脂肪酸残基のレベルの高い油脂、例えば、サフラワー
油、オリーブ油、コーン油、菜種油、大豆油、ゴマ油、
更にラード、牛脂、魚油、乳脂、あるいはそれらの分別
油、ランダム化油、硬化油、エステル交換油から選ばれ
た一種または二種以上の油脂と、グリセリンの混合物を
エステル交換反応するか、またはこれらの油脂由来の不
飽和脂肪酸レベルの高い脂肪酸とグリセリンをエステル
化反応して得られるジグリセリド含有量の高い油脂を単
独もしくは上述の原料油脂とを混合することにより得る
ことができる。反応で生成した過剰のモノグリセリドは
分子蒸留法またはクロマトグラフィー法により除去する
ことができる。これらの反応はアルカリ触媒等を用いた
化学反応でも行うことが可能であるが、1,3位選択的
リパーゼ等を用いて酵素的に温和な条件で反応を行うの
が風味等の点で優れており好ましい。
【0021】本発明の冷凍揚げ物食品調製用油脂組成物
は、前述のように、小麦粉、コーンスターチ、バレイシ
ョ澱粉、卵(全卵、卵白、卵黄)、調味料などからなる
衣を有する、天ぷら、フリッタ−、空揚げ、フライ等に
適用できる。これらの冷凍揚げ物食品の具体例として
は、鶏肉、豚肉、牛肉等の肉類、海老、メルル−サ、サ
ケ、ホタテ等の魚介類、玉葱、人参等の野菜類等を挙げ
ることができる。なお、本発明の油脂組成物は、衣を有
しない、例えば、フライドポテト、春巻き、ギョ−ザ、
シュ−マイ、肉団子等の冷凍食品においても適用するこ
とができる。
【0022】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を記載し、本発明
をさらに具体的に説明する。
【0023】[実施例1〜5]及び[比較例1〜4] (ショ糖脂肪酸エステルa〜eの調製)市販ショ糖脂肪
酸エステルをクロロホルム−メタノ−ルを展開溶媒とし
たシリカゲルカラムにて分画し、得られた各分画物を脂
肪酸メチルおよびショ糖により合成することによって得
たショ糖脂肪酸エステルを必要に応じて再調合すること
により調製した。以上のようにして得た各ショ糖脂肪酸
エステル(SE)中のエステル組成を下記の表1に示
す。
【0024】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── SE中のエステル組成(重量%) 試料 SME SDE STE STeE SPE ──────────────────────────────────── a(本発明) 0.5 31.5 40.4 13.3 14.3 b(本発明) 4.0 66.7 25.1 3.0 1.2 c(本発明) 1.2 27.3 64.5 4.6 2.4 ──────────────────────────────────── d(比較) 0.3 2.5 8.1 24.5 64.6 e(比較) 72.1 22.6 4.3 1.0 0.0 ────────────────────────────────────
【0025】(ジグリセリド混合物f〜hの調製)固定
化1、3位選択的リパ−ゼである市販リパ−ゼ製剤(商
品名:「Lypozyme3A」、ノボインダストリ−A. S.社
製)を触媒として、下記表2に記載の動植物由来脂肪酸
860gとグリセリン140gとを40〜60℃で反応
させた。反応終了後、リパ−ゼ製剤を濾別した。反応生
成物を分子蒸留にかけ、常法により精製を行って、各種
のジグリセリド混合物(試料:f〜h)を得た。表2に
各試料のグリセリド組成及と不飽和脂肪酸残基の含有量
を示す。
【0026】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── グリセリド組成(重量%) 油脂 トリグリ ジグリ モノグリ 不飽和脂肪酸残基の 試料 起源 セリド セリド セリド の含有量(重量%)* ──────────────────────────────────── f 菜種油 18 80 2 92.8 g 大豆油 63 35 2 85.9 h コーン油 15 70 15 85.1 ──────────────────────────────────── *GLCによる分析値である。
【0027】上記表1の試料(ショ糖脂肪酸エステル混
合物)と表2の試料(ジグリセリド混合物)とを用いて
下記表3に示す配合の各種の油脂組成物を調製した。
【0028】[冷凍天ぷらによる評価]得られた油脂組
成物を電気フライヤー(SEF-D9A 型、三洋電機(株)
製)に10kg入れ、180℃に加熱した。これに冷凍
天ぷら(商品名:野菜かきあげ、加ト吉(株)製)を投
じ、3分後に取り出し、各種野菜かきあげ天ぷらを調製
した。出来上がった各種天ぷらのカラッと感、衣のサク
ミ感、及び種のジュ−シ−感について官能テストを実施
し、評価した。
【0029】評価は、以下の基準で行った。 「カラッとした食感(カラッと感)」における評価 A:非常にカラッとしていて、全く油っぽくない。 B:かなりカラッとしているが、わずかに油っぽさを感
じる。 C:しんなりしていて、油っぽさを感じる。 D:かなりしんなりしていて、非常に油っぽさを感じ
る。 「サクミ感」における評価 A:非常にさくっとしている。 B:かなりさくっとした感じはあるが、わずかにしんな
りした感じも残る。 C:全体にしんなりしていてさくっとした感じは余りな
い。 D:さくっとした感じは全く感じられない。 「種のジュ−シ−感」における評価 A:非常にジュ−シ−である。 B:種の周辺部がやや乾燥したところもあるが、全体に
ジュ−シ−である。 C:種の中心部はジュ−シ−あるが、周辺部が乾燥して
いる。 D:種全体が乾燥しており、余りジュ−シ−さを感じら
れない。 結果をまとめて表3に示す。
【0030】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── 油脂組成物の配合(重量%) 評 価 結 果 ショ糖エステル ジグリセリド サラダ油 カラっ サクミ ジュー 試料 配合量 試料 配合量 配合量 と感 感 シー感 ──────────────────────────────────── 実施例 1 a 0.2 − 0 99.8 B B B 2 b 0.3 − 0 99.7 A A A 3 a 0.2 f 15 84.8 A A A 4 b 0.5 g 20 79.5 A A A 5 c 1.2 h 8 90.8 A A A ──────────────────────────────────── 比較例 1 − 0 − 0 100.0 D D D 2 d 0.3 f 8.5 91.2 C C D 3 d 0.2 − 0 99.8 D C D 4 − 0 f 8.5 91.5 C D D ────────────────────────────────────
【0031】上記表3の結果から、特定の組成のショ糖
脂肪酸エステルを添加して調製した本発明の油脂組成物
を用いることにより、カラっとした食感で油っぽくな
く、かつサクミ感もあり、また種はジューシーで非常に
おいしい天ぷらを得ることができる。特に、ジグリセリ
ドを添加することで更に良好な食感の天ぷらを得ること
ができる。尚、調理後の天ぷらをテイクアウト用の弁当
に入れて、12時間後に同様な評価を行ったところ、本
発明の油脂組成物で揚げた天ぷら(本発明品、実施例1
〜5)は、12時間後においても比較品の天ぷら(比較
例1〜4)より評価の全ての点において優れていた。
【0032】[実施例10〜12]および[比較例7〜
8] 上記表1の試料(ショ糖脂肪酸エステル混合物)と表2
の試料(ジグリセリド混合物)とを用いて下記表4に示
す配合の各種の油脂組成物を調製した。
【0033】[冷凍豚カツによる評価]得られた油脂組
成物を中華鍋(直径30cm、高さ10cm)に900
g入れ、175℃まで加熱した。冷凍豚カツ(商品名:
とんかつ、極洋(株)製)を油脂組成物中に投じ、4分
後に取り出し、各種豚カツを調製した。得られた各種豚
カツのカラッと感、衣のサクミ感、種のジュ−シ−感に
ついて前記と同様に官能テストを実施し、評価した。結
果を表4に示す。
【0034】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── 油脂組成物の配合(重量%) 評 価 結 果 ショ糖エステル ジグリセリド サラダ油 カラっ サクミ ジュー 試料 配合量 試料 配合量 配合量 と感 感 シー感 ──────────────────────────────────── 実施例 6 a 0.1 − 0 99.9 B B B 7 b 0.5 − 0 99.5 B A A 8 a 0.2 f 15 84.8 A A A 9 c 0.3 h 10 89.7 A A A ──────────────────────────────────── 比較例 5 − 0 − 0 100.0 D D D 6 e 0.2 − 0 99.8 D C D ────────────────────────────────────
【0035】上記表4の結果から、冷凍豚カツを用いた
場合においても特定の組成のショ糖脂肪酸エステルを添
加して調製した本発明の油脂組成物を用いることによ
り、カラっとした食感で油っぽくなく、かつサクミ感も
あり、また種はジューシーで非常においしい豚カツを得
ることができる。またジグリセリドを添加することで前
記の冷凍天ぷらと同様に更に良好な食感の豚カツを得る
ことができる。
【0036】[実施例10〜12]および[比較例7〜
8] 上記表1の試料(ショ糖脂肪酸エステル混合物)と表2
の試料(ジグリセリド混合物)とを用いて下記表5に示
す配合の各種の油脂組成物を調製した。
【0037】[冷凍鶏の空揚げによる評価]得られた油
脂組成物10kgを電気フライヤ−(三洋電機SEF-D9A
型)に入れ、175℃に加熱した。冷凍鶏の空揚げ(商
品名:デリカ用チキンから揚げ、加ト吉(株))を17
5℃に加熱した油脂組成物中に投じ、4分後に取り出
し、各種鶏の空揚げを調製した。出来上がった各種鶏の
空揚げのカラッと感、衣のサクミ感、種のジュ−シ−感
について、官能テストを実施し評価した。結果を表5に
示す。
【0038】
【表5】 表5 ──────────────────────────────────── 油脂組成物の配合(重量%) 評 価 結 果 ショ糖エステル ジグリセリド サラダ油 カラっ サクミ ジュー 試料 配合量 試料 配合量 配合量 と感 感 シー感 ──────────────────────────────────── 実施例 10 c 0.2 − 0 99.8 B B B 11 a 4.8 f 10 85.2 A A A 12 b 2.5 g 20 77.5 A A A ──────────────────────────────────── 比較例 7 − 0 − 0 100.0 D D D 8 d 0.2 − 0 99.8 D C D ────────────────────────────────────
【0039】上記表5の結果から、冷凍の鶏の空揚げを
用いた場合においても特定の組成のショ糖脂肪酸エステ
ルを添加して調製した本発明の油脂組成物を用いること
により、カラっとした食感で油っぽくなく、かつサクミ
感もあり、また種はジューシーで非常においしい鶏の空
揚げを得ることができる。またジグリセリドを添加する
ことで前記の冷凍天ぷらと同様に更に良好な食感の鶏の
空揚げを得ることができる。
【0040】[実施例13〜16]および[比較例9〜
11] 上記表1の試料(ショ糖脂肪酸エステル混合物)と表2
の試料(ジグリセリド混合物)とを用いて下記表6に示
す配合の各種の油脂組成物を調製した。
【0041】[冷凍ポテトフライによる評価]得られた
油脂組成物を鉄製の揚げ物用鍋(直径15cm、高さ8
cm)に500g入れ、180℃に加熱した。そしてこ
れに冷凍ポテトフライ(商品名:ゴ−ルデンクリンク
ル、日本ハムハインツ(株)製)を投じ、4.5分後に
取り出し、各種ポテトフライを調製した。出来上がった
各種ポテトフライのカラッと感、サクミ感、ジュ−シ−
感について前記と同様に官能テストを実施し、評価し
た。結果を第6表に示す。
【0042】
【表6】 表6 ──────────────────────────────────── 油脂組成物の配合(重量%) 評 価 結 果 ショ糖エステル ジグリセリド サラダ油 カラっ サクミ ジュー 試料 配合量 試料 配合量 配合量 と感 感 シー感 ──────────────────────────────────── 実施例 13 a 0.3 − 0 99.7 B A B 14 b 0.3 − 0 99.7 B A A 15 a 0.4 f 15 84.6 A A A 16 c 1.5 h 10 88.5 A A A ──────────────────────────────────── 比較例 9 − 0 − 0 100.0 D D D 10 d 0.2 − 0 99.8 D C D 11 e 0.1 − 0 99.9 D C D ────────────────────────────────────
【0043】上記表6の結果から、衣のない冷凍食品
(ポテトフライ)を用いた場合においても特定の組成の
ショ糖脂肪酸エステルを添加して調製した本発明の油脂
組成物を用いることにより、カラっとした食感で油っぽ
くなく、かつサクミ感もあり、また種はジューシーで非
常においしいポテトフライを得ることができる。またジ
グリセリドを添加することで前記の冷凍の天ぷらと同様
に更に良好な食感のポテトフライを得ることができる。
【0044】
【発明の効果】本発明に従う油脂組成物を用いること
で、比較的おいしく揚げることが難しいとされる冷凍揚
げ物食品においてもカラッとした食感で、サクミ感もあ
り、そして種もジュ−シ−な状態で揚げることができ
る。特に、特定の組成のショ糖脂肪酸エステルの他に、
更にジグリセリドを加えることで更においしい揚げ物食
品をを作ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 1/48 A23L 1/48 C11C 3/00 C11C 3/00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用油脂中に、下記の組成のショ糖脂肪
    酸エステル混合物を0.01〜5重量%含有する冷凍揚
    げ物食品調製用油脂組成物: [SME]<10重量%、[SDE]及び/又は[ST
    E]≧45重量% ここで、[SME]はショ糖脂肪酸エステル混合物中の
    ショ糖脂肪酸モノエステルの含有量を、[SDE]はシ
    ョ糖脂肪酸エステル混合物中のショ糖脂肪酸ジエステル
    の含有量を、[STE]はショ糖脂肪酸エステル混合物
    中のショ糖脂肪酸トリエステルの含有量をそれぞれ表
    す。
  2. 【請求項2】 上記油脂組成物が更にジグリセリドを5
    〜95重量%含む請求項1に記載の冷凍揚げ物食品調製
    用油脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の油脂組成物で揚げた食
    品。
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