JPH08295738A - 主鎖の一部にアントリレン基を含有するポリシラン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

主鎖の一部にアントリレン基を含有するポリシラン誘導体及びその製造方法

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JPH08295738A
JPH08295738A JP7125975A JP12597595A JPH08295738A JP H08295738 A JPH08295738 A JP H08295738A JP 7125975 A JP7125975 A JP 7125975A JP 12597595 A JP12597595 A JP 12597595A JP H08295738 A JPH08295738 A JP H08295738A
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group
formula
structural unit
carbon atoms
compound
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JP7125975A
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Hiroshi Suzuki
浩 鈴木
Akira Kuriyama
晃 栗山
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Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可視領域に発光を示し、発光効率に優れ、通
常の有機溶媒に可溶性の高分子有機ケイ素系ポリマ−及
びその製造方法の提供。 【構成】 式A 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜3の直鎖状アルキル基であり、
Phはフェニル基である)で表される構造単位Aと式B 【化2】 (式中、R2 及びR3 は同一のもしくは異なる炭素数1
〜10のアルキル基、アリ−ル基またはアラルキル基で
ある)で表される構造単位Bからなり、構造単位A/構
造単位Bのモル比(%)が 0.5〜10%であって重量平均
分子量が、1,000 〜1,000,000 である、主鎖の一部にア
ントリレン基を含有するポリシラン誘導体、及びその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光材料、光電導性材
料、レジスト材料等として注目されつつある有機ケイ素
系ポリマ−及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機ケイ素系ポリマ−は、発光機能等を
有するポリマ−として近年注目を浴びている。例えば、
有機ポリシランは主鎖のSi-Si 結合に由来するσ−σ共
役により発光を示すことが明らかとなっている。例え
ば、代表的なポリシランであるポリ(メチル−n−プロ
ピルシラン)は340nmを極大波長とする発光スペク
トルを示し、また、ポリ(ジ−n−ヘキシルシラン)は
342nmを極大波長とする発光を示す。しかしなが
ら、上記ポリシラン類は発光波長が紫外線領域にあるた
め、表示素子等の材料として応用できるものではなかっ
た。これに対して、2つの置換基がすべてアリール基で
あるポリ(ジフェニルシラン)において、その側鎖に位
置する両方のフェニル基のパラ位にアルキル基を導入し
た、有機溶媒に可溶性のポリ(ジ−p−アルキルフェニ
ルシラン)は、可視領域である400nm付近に発光極
大を有することが知られている[ケミカルレビューズ
(ChemicalReviews)、第89巻、第6号、第1382頁
(1989年)]。しかしながら、その発光効率はかな
り低いものであり、しかも、有機溶媒に可溶性のポリ
(ジ−p−アルキルフェニルシラン)を得るためには、
そのアルキル基に比較的長鎖のn−ブチルやn−ヘキシ
ルを導入することが必要であった。そのため、該ポリマ
ーを得るための原料モノマーの合成が非常に困難となる
上に、モノマーの反応性も落ち、生成ポリマーが数%程
度の収率でしか得られなく、発光効率の低さと併せて実
用上充分満足できるものではない。また、有機ケイ素系
ポリマ−に関する文献として、式
【0003】
【化5】
【0004】(式中、Ra は炭素数2〜30のπ共役型
の2価の有機基を表し、Rb は炭素数1〜30の炭化水
素基を表し、Xa はハロゲン原子を表し、mは1≦m≦
2、nはn≧2を満たす数を表す)で表される含ケイ素
有機化合物(Ra として挙げられた種々の基中にアリー
レン基がある)を開示した特開平6−9786号があ
り、またこの文献中の先行技術の記載でポリ(ジシラニ
レンフェニレン)誘導体、ポリ(ジシラニレンナフチレ
ン)誘導体等が言及されている。しかし、この化合物は
発光効率が低く、実用上充分満足できるものではない。
また、式
【0005】
【化6】
【0006】(式中、Rc 及びRd は同一のもしくは異な
る炭素数1〜6の直鎖状アルキル基であり、かつRc
びRd の炭素数の合計が8以下であり、Xb 及びXc は同
一のもしくは異なるハロゲン原子である)で表される
9,10−ビス(ジアルキルハロシリル)アントラセン
(特願平6−129692)、及びそれを用いて主鎖の
一部にアントリレン基を導入したポリシラン誘導体(特
願平6−129693)が、本出願人によって、特許出
願されているが、このポリシラン誘導体は、Rc 及びRd
に芳香族基がない。なお、上記の9,10−ビス(ジア
ルキルハロシリル)アントラセンのうち、式
【0007】
【化7】
【0008】で表される化合物はすでに公開されている
〔日本化学会第68回春季大会予稿集353頁(199
4)〕。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、可視領
域に発光を示し、発光効率に優れ、機械的強度に優れ、
通常の有機溶媒に可溶性の高分子量有機ケイ素系ポリマ
ーを得ることを目的として鋭意研究を重ねた結果、かか
る目的に合致するポリマーを見出し本発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、式A
【0011】
【化8】
【0012】(式中、Rは炭素数1〜3 の直鎖状アルキ
ル基であり、Phはフェニル基である)で表される構造単
位Aと式B
【0013】
【化9】
【0014】(式中、R2及びR3は同一のもしくは異なる
炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアラル
キル基である)で表される構造単位Bからなり、構造単
位A/構造単位Bのモル比(%)が0.5 〜10%であって
重量平均分子量が1,000 〜1,000,000 である、主鎖の一
部にアントリレン基を含有するポリシラン誘導体、及び
その製造方法を提供するものである。
【0015】本発明のポリシラン誘導体の一方の構造単
位であるAにおいて、Rは炭素数1〜3の直鎖状アルキ
ル基であり、好ましくはメチル基である。Rが分岐状で
あるか、炭素数が3を越えると、その立体障害により、
式〔1〕で表される化合物と式〔2〕で表される化合物
との、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属共存下に
おける反応性が低下し、本発明のポリシラン誘導体の収
率の低下につながり、工業的に不利である。Rとして具
体的にはメチル基、エチル基及びn−プロピル基が挙げ
られる。
【0016】本発明のポリシラン誘導体の他方の構造単
位であるBにおいて、R2及びR3は同一であっても異なっ
ていてもよく、炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状
アルキル基、アリール基またはアラルキル基である。当
該アルキル基は好ましくは炭素数1〜6の直鎖状もしく
は分岐状アルキル基であり、具体的にはメチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル
基、sec−ブチル基等が挙げられる。また当該アラル
キル基におけるアルキレン基としてはメチレン基、エチ
レン基等が挙げられる。また、本発明において当該アリ
ール基及びアラルキル基は、当該ポリシラン誘導体を製
造する後述の重合に際し、式〔2〕で表されるシラン化
合物及びアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と反応
しない置換基を、芳香環上に有するものをも含めるもの
とし、かかる置換基としては、例えば炭素数1〜6、好
ましくは1〜4の直鎖状もしくは分岐状アルキル基(例
えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピ
ル基等)、炭素数1〜6、好ましくは1〜4の直鎖状も
しくは分岐状アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキ
シ基等)等が挙げられる。当該アリール基として具体的
にはフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、
クメニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル
基、ナフチル基等が挙げられる。また当該アラルキル基
として具体的にはベンジル基、トリルメチル基、キシリ
ルメチル基、クメニルメチル基、フェネチル基、ジフェ
ニルメチル基、トリチル基、トリトリルメチル基、トリ
(ジメチルフェニル)メチル基、メトキシフェニルメチ
ル基、ジエトキシフェニルメチル基等が挙げられる。
【0017】R2とR3の組合せは特に限定されないが、そ
れらのいずれかが炭素数1〜6、より好ましくは1〜4
の直鎖上もしくは分岐状アルキル基、更に好ましくはメ
チル基であり、他方が炭素数1〜6、特に1〜4の直鎖
状もしくは分岐状アルキル基、アリール基またはアラル
キル基であることが好ましい。特に好ましいR2とR3の組
合せは、一方がメチル基で他方が炭素数1〜4の直鎖状
アルキル基またはアリール基の組合せである。
【0018】本発明のポリシラン誘導体を構成する構造
単位A/構造単位Bのモル比(%)は0.5 〜10%であ
り、好ましくは1 〜5 %である。当該モル比(%)が0.
5 %より小さいとアントリレン基の割合が少なくなりす
ぎ、可視領域での発光が起こらないか微弱すぎ、また発
光効率が悪くなる。また10%より大きいと構造単位Bの
繰り返し数が十分でなく、ポリシランとしての機能、例
えばエネルギーバンドやホール(正孔)輸送性が得られ
ない。ポリシラン部が充分なエネルギーバンド(σ−σ
バンド)を形成し、かつホール輸送性を有し、さらにア
ントリレン部のπ電子と共役するには、当該モル比
(%)が5%以下であることが好ましく、また充分な可
視発光の機能を得るには当該モル比(%)が1%以上で
あることが好ましい。なお、上記モル比(%)は後述の
方法によって求められるモル比(%)を意味する。
【0019】本発明のポリシラン誘導体の重量平均分子
量は1,000 〜1,000,000 、好ましくは1,000 〜500,000
である。重量平均分子量が1,000 未満の場合には、ポリ
マーの単離精製が困難となり、また生成したポリマーは
成形加工し難いポリマーであり、1,000,000 を越える場
合には、溶媒に溶解した場合、粘度が高くなり過ぎ、ス
ピンコートやキャスティング法等による成膜性能が悪く
なる。なお、上記重量平均分子量はGPC法(ポリスチ
レン換算)によって求められる重量平均分子量を意味す
る。本発明のポリシラン誘導体は種々の有機溶媒、特に
非プロトン性有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キ
シレン、n−ヘキサン、n−オクタン、テトラヒドロフ
ラン等に溶解する。本発明のポリシラン誘導体は式
〔1〕
【0020】
【化10】
【0021】(式中、Rは炭素数1〜3 の直鎖状アルキ
ル基であり、Phはフェニル基であり、X1及びX2は同一の
もしくは異なるハロゲン原子である)で表される9,1
0−ビス(アルキルフェニルハロシリル)アントラセン
(以下、ビスシリルアントラセン化合物〔1〕と称す
る)と、式〔2〕
【0022】
【化11】
【0023】(式中、R2及びR3は同一のもしくは異なる
炭素数1〜10のアルキル基、アリール基またはアラル
キル基であり、X3及びX4は同一のもしくは異なるハロゲ
ン原子である)で表されるシラン化合物(以下、シラン
化合物〔2〕と称する)とを、アルカリ金属もしくはア
ルカリ土類金属の共存下に、不活性溶媒中で反応させる
ことにより得ることができる。ビスシリルアントラセン
化合物〔1〕は新規化合物であり、その製法は後述す
る。ビスシリルアントラセン化合物〔1〕のR は本発明
のポリシラン誘導体に関して説明した通りである。ま
た、X1またはX2で示されるハロゲン原子としては、好ま
しくは塩素原子または臭素原子が挙げられ、特に好まし
くは塩素原子である。
【0024】本発明に係るビスシリルアントラセン化合
物〔1〕の具体例として、9,10−ビス(メチルフェ
ニルクロロシリル)アントラセン、9,10−ビス(エ
チルフェニルクロロシリル)アントラセン、9,10−
ビス(n−プロピルフェニルクロロシリル)アントラセ
ン、9,10−ビス(メチルフェニルブロモシリル)ア
ントラセン、9,10−ビス(エチルフェニルブロモシ
リル)アントラセン、9,10−ビス(n−プロピルフ
ェニルブロモシリル)アントラセン、9−メチルフェニ
ルクロロシリル−10−メチルフェニルブロモシリルア
ントラセン、9−エチルフェニルクロロシリル−10−
エチルフェニルブロモシリルアントラセン、9−n−プ
ロピルフェニルクロロシリル−10−n−プロピルフェ
ニルブロモシリルアントラセンが挙げられ、好ましい例
として、9,10−ビス(メチルフェニルクロロシリ
ル)アントラセン、9,10−ビス(メチルフェニルブ
ロモシリル)アントラセンが挙げられ、特に好ましい例
として、9,10−ビス(メチルフェニルクロロシリ
ル)アントラセンが挙げられる。
【0025】本発明に係るシラン化合物〔2〕のR2及び
R3は本発明のポリシラン誘導体に関して説明した通りで
ある。また、X3またはX4で示されるハロゲン原子として
は、好ましくは塩素原子または臭素原子が挙げられ、特
に好ましくは塩素原子である。シラン化合物〔2〕の好
ましい例としてはジメチルジクロロシラン、ジエチルジ
クロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、ジブチルジ
クロロシラン、ジペンチルジクロロシラン、ジヘキシル
ジクロロシラン、メチルエチルジクロロシラン、メチル
プロピルジクロロシラン、メチルブチルジクロロシラ
ン、メチルペンチルジクロロシラン、メチルヘキシルジ
クロロシラン、エチルプロピルジクロロシラン、エチル
ブチルジクロロシラン、エチルペンチルジクロロシラ
ン、エチルヘキシルジクロロシラン、プロピルブチルジ
クロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、エチル
フェニルジクロロシラン、メチルトリルジクロロシラ
ン、エチルトリルジクロロシラン、メチルキシリルジク
ロロシラン、エチルキシリルジクロロシラン、メチルナ
フチルジクロロシラン、メチルペンジルジクロロシラ
ン、エチルベンジルジクロロシラン、メチルフェネチル
ジクロロシラン等が挙げられ、特に好ましい例としてジ
メチルジクロロシラン、メチルエチルジクロロシラン、
メチルn−プロピルジクロロシラン、メチルn−ブチル
ジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等が挙
げられる。本発明のポリシラン誘導体は上記ビスシリル
アントラセン化合物〔1〕と上記シラン化合物〔2〕と
を、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、特に好ま
しくはアルカリ金属の共存下に、不活性溶媒中で反応さ
せることにより得られるが、アルカリ金属としてはリチ
ウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、リチウム、
ナトリウムが好ましく、ナトリウムが特に好ましい。ア
ルカリ土類金属としてはマグネシウム、カルシウム等が
挙げられる。
【0026】原料として用いるビスシリルアントラセン
化合物〔1〕とシラン化合物〔2〕の最適な割合は、両
原料の反応性によって異なるので、目的とするポリシラ
ン誘導体の構造単位A/構造単位Bのモル比(%)を設
定した上で、実験的に所要量を確認して使用することが
望ましい。またアルカリ金属またはアルカリ土類金属の
使用割合は、ビスシリルアントラセン化合物〔1〕及び
シラン化合物〔2〕の合計量1モルを基準として2〜5
モルが好ましい。2モル未満では反応生成物の収率の低
下につながり、5モルを越えても、それに見合う効果が
期待できず不経済であり、また過剰のアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の量が増加するため、その後処理が
困難となる。不活性溶媒としては非プロトン性溶媒が好
適であり、具体例としてはベンゼン、トルエン、キシレ
ン、n−ヘキサン、n−オクタン、テトラヒドロフラン
等が挙げられる。不活性溶媒は、シラン化合物〔2〕の
濃度が100mmol/L 〜1mol/Lとなる程度に用いるのが好適
である。
【0027】反応温度は好ましくは0℃以上で反応溶媒
の沸点以下である。反応は不活性ガス雰囲気下で行うの
が好ましい。反応時間は使用する反応溶媒や反応温度に
より変化するが、反応は通常24時間以内で終了する。
反応終了後、反応液を濾過して副生成物の金属塩を除
き、濾液をメタノール等の貧溶媒中に滴下して生成物を
沈澱させることにより、目的のポリシラン誘導体を得る
ことができる。上記ポリマーの製造原料の一つであるビ
スシリルアントラセン化合物〔1〕も新規化合物であっ
て、例えば、式〔3〕
【0028】
【化12】
【0029】で表される9,10−ジリチオアントラセ
ンまたは式〔4〕
【0030】
【化13】
【0031】(式中、X5はハロゲン原子である。)で表
されるグリニャール試薬、すなわち9,10−ジマグネ
シウムハロゲノアントラセンと、式〔5〕
【0032】
【化14】
【0033】(式中、Rは炭素数1〜3の直鎖状アルキ
ル基であり、Phはフェニル基であり、X6はハロゲン原子
である) で表されるアルキルフェニルジハロシランと
を、不活性溶媒中不活性ガス雰囲気下において反応させ
ることにより、容易にしかも高収率で得ることができ
る。式〔4〕においてX5で示されるハロゲン原子として
は、好ましくは塩素原子または臭素原子が挙げられ、特
に好ましくは塩素原子である。式〔5〕においてX6で示
されるハロゲン原子としては、好ましくは塩素原子また
は臭素原子が挙げられ、特に好ましくは塩素原子であ
る。不活性溶媒としては非プロトン性有機溶媒が好適で
あり、具体例としてはジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、n−ヘキサン、n−オクタン、n−ペンタン、
ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。不活性
ガスとしてはアルゴン、窒素等が挙げられる。不活性溶
媒は9,10−ジリチオアントラセン〔3〕または9,
10−ジマグネシウムハロゲノアントラセン〔4〕の濃
度が100mmol/L 〜2mol/Lとなる程度に用いるのが好適で
ある。アルキルフェニルジハロシラン〔5〕と9,10
−ジリチオアントラセン〔3〕または9,10−ジマグ
ネシウムハロゲノアントラセン〔4〕との反応割合は、
9,10−ジリチオアントラセン〔3〕または9,10
−ジマグネシウムハロゲノアントラセン〔4〕に対し、
アルキルフェニルジハロシラン〔5〕が2〜10当量で
あるのが好ましく、更に好ましくは2〜6当量である。
2当量未満では反応生成物の収量が低下する恐れがあ
り、10当量を越えても目的生成物の収率に好影響はな
く、アルキルフェニルジハロシラン〔5〕を無駄に使用
することとなり、工業的に不利である。反応温度は−3
0〜70℃が好ましく、更に好ましくは0〜50℃であ
り、最適には10〜50℃である。−30℃未満では反
応速度が十分でない場合があり、70℃を越えると反応
の選択率が低下する恐れがある。反応時間は反応温度、
反応溶媒等により変化するが、反応は通常24時間以内
で終了する。
【0034】ビスシリルアントラセン化合物〔1〕にお
いて、X1とX2とが異なる化合物を得たい場合には、例え
ば、X6がX1であるアルキルフェニルジハロシラン〔5〕
とX6がX2であるアルキルフェニルジハロシラン〔5〕の
混合物を用いるとか、両化合物を時間をずらして9,1
0−ジリチオアントラセン〔3〕または9,10−ジマ
グネシウムハロゲノアントラセン〔4〕と順次反応させ
る等の手段を取ることができる。上記反応による反応液
から、生成したビスシリルアントラセン化合物〔1〕を
取得するには、副生したハロゲン化リチウムまたはハロ
ゲン化マグネシウムの沈澱を濾過、デカンテーション等
により反応液から除去した後、反応溶媒を例えば減圧留
去し、残渣をペンタン等の不活性溶媒から再結晶する等
の方法により精製すればよい。取得されるビスシリルア
ントラセン化合物〔1〕は黄色の固体である。なお、ビ
スシリルアントラセン化合物〔1〕は次の重合のために
は必ずしも精製してなくてもよく、例えば上記で反応溶
媒を減圧留去した後の段階で重合に供してもよい。
【0035】また、ビスシリルアントラセン化合物
〔1〕の製造に用いるアルキルフェニルジハロシラン
〔5〕と、生成したビスシリルアントラセン化合物
〔1〕と反応させるシラン化合物〔2〕とが同一の化合
物の場合には、ビスシリルアントラセン化合物〔1〕の
製造時に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を共
存させると共に、アルキルフェニルジハロシラン〔5〕
をビスシリルアントラセン化合物〔1〕の製造のみなら
ず、次のポリマーの製造にも十分な量用いることによ
り、一つの反応系において本発明のポリシラン誘導体を
得ることができる。
【0036】
【実施例】以下、実施例及び参考例に基づいて本発明を
具体的に説明する。参考例中、重量平均分子量及び数平
均分子量はGPC法(ポリスチレン換算)によって、構
造単位のモル比(%)及び発光効率は以下に記述する方
法によって求めた。 (1)構造単位のモル比(%) 下記〜の手順により算出する。 アントラセンについて標準吸光度を次の通り求める。
所定モル量のアントラセンをクロロホルム溶媒に溶解し
た標準溶液を調製して、そのUV吸光のλmaxにおけ
るモル吸光度を測定し、これを標準吸光度とする。 目的生成中の構造単位Aのモル数を次の通り求める。
標準溶液と同一溶媒でかつ同モル濃度(ポリマー全体の
数平均分子量から換算)の目的生成物(ポリマー)溶液
を調製し、UV吸光におけるアントラセンに帰属される
λmaxのモル吸光度を測定し、先の標準吸光度で除す
ることにより、目的生成中におけるアントリレン基のモ
ル数を求める。これは構造単位Aのモル数に等しい。 目的生成中の構造単位Aの重量を下式により算出す
る。 構造単位Aの重量=(原料に用いたビスシリルアントラ
セン化合物〔1〕からハロゲン原子X1及びX2を差し引い
た構造単位Aの分子量)×(構造単位Aのモル数) 目的生成中の構造単位Bのモル数を下式により算出す
る。 構造単位Bのモル数=(モル吸光度の測定に用いた目的
生成物の重量−構造単位Aの重量)/(原料に用いたシ
ラン化合物〔2〕からハロゲン原子X3及びX4を差し引い
た構造単位Bの分子量) 目的生成中の構造単位A/構造単位Bのモル比(%)
を下式により算出する。 構造単位A/構造単位B〔モル比(%)〕=(で求め
た構造単位Aのモル数)×100/(で求めた構造単
位Bのモル数)
【0037】(2)発光効率 クロロホルム中、標準物質として式
【化15】 で表されるAlq3 (発光効率10.1%)を用いて測
定した。
【0038】参考例 撹拌装置及び外部冷却外套を備えた反応器に9,10−
ジブロモアントラセン21.5g(64mmol) を入れ、系内を真
空脱気後、乾燥アルゴン雰囲気にした。脱水精製したジ
エルチルエーテル260mlを加え、n−ブチルリチウム(1
0.2g)のヘキサン(100ml) 溶液を徐々に反応器に供給
し、アルゴン雰囲気下、10〜30℃で3時間撹拌を行
い、9,10−ジリチオアントラセンを製造した。撹拌
装置及び外部冷却外套を備えた別の反応器に、ジエチル
エーテル100ml及びメチルフェニルジクロロシラン66.9g
(350mmol)を入れ、アルゴン雰囲気下、常温において、
上記で得た9,10−ジリチオアントラセンを内容物に
滴下し、10〜30℃で20時間撹拌を行い反応させ
た。副生した塩化リチウムを濾別し、反応溶媒を減圧留
去した後、n−ペンタンから再結晶することにより、
9,10−ビス(メチルフェニルクロロシリル)アント
ラセンを黄色固体として得た。収率は42%であった。
【0039】この化合物の塩素含有量を分析した結果、
塩素含有量が14.41 重量%であり、計算値の14.54 重量
%と良く一致した。また1H核磁気共鳴スペクトル〔重ク
ロロホルム(7.25ppm) を標準として測定した〕を図1に
示す。図1よりケミカルシフトδ(ppm) は8.4 〜7.3
(9,10−置換アントラセン)、7.7 〜7.4 (Si−C6
H5)、1.3 (Si−CH3)であり、また、MSスペクトルで測
定した結果、m/z 488(M+ ) であり、取得した化合物
が、9,10−ビス(メチルフェニルクロロシリル)ア
ントラセンであることを確認した。
【0040】実施例1 アントリレン基含有メチルフェニルポリシランの合成 アルゴン雰囲気中で300ml の容器にナトリウム4.6g
及びトルエン140ml を仕込んだ。次に系内をトルエンの
沸点まで加熱し、還流雰囲気でナトリウムを溶融させ、
激しく撹拌してナトリウムを細かく分散させた。その後
撹拌しながら内容物温度を溶媒の沸点付近に保ち、参考
例で得られた9,10−ビス(メチルフェニルクロロシ
リル)アントラセン2.5mmol (1.22g)のトルエン(10
ml)溶液及び24倍モル量のメチルフェニルジクロロシ
ラン(11.33 g)の混合物を徐々に滴下した。滴下終了
後、溶媒の沸点付近で2時間反応させた。重合反応終了
後、室温まで冷却し、副生した塩化ナトリウム及び過剰
の金属ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮し、大量の
メタノールに滴下してポリマーを沈澱させた。沈澱ポリ
マーを分取、乾燥させることにより、化1におけるR =
メチル基である構造単位Aと、化2におけるR2=メチル
基、R3=フェニル基である構造単位Bからなる目的ポリ
マー3.42g(収率55.0%)を黄色固体として得た。本ポ
リマーは重量平均分子量(Mw)が406,000 の成分と7,200
の成分からなるバイモーダルの分子量分布を示した(図
2)。本ポリマー全体の数平均分子量(Mn)は5,800 であ
り、また本ポリマーの構造単位A/構造単位Bのモル比
(%)は2.8%であった。また本ポリマーは発光スペク
トルによれば480nm に発光を示した。さらに本ポリマー
の発光効率は 85 %であった。
【0041】実施例2 アントリレン基含有ジメチルポリシランの合成 ナトリウム4.6 g及び参考例で得られた9,10−ビス
(メチルフェニルクロロシリル)アントラセン5.0mmol
(2.44g)のトルエン(10ml)溶液及び12倍モル量のジ
メチルジクロロシラン(7.78g)を用いて、実施例1と
同様の条件、手順で、化1におけるR =メチル基である
構造単位Aと、化2におけるR2= R3=メチル基である構
造単位Bからなる黄色のポリマーを合成した。ポリマー
収量は0.94g(収率16.9%)であった。本ポリマーはMw
が1,200 のモノモーダルの分子量分布を示した(図
3)。本ポリマーのMnは600 であり、また本ポリマーの
構造単位A/構造単位Bのモル比(%)は6.5 %であっ
た。また本ポリマーは発光スペクトルによれば450nm に
発光を示した。
【0042】
【発明の効果】本発明のポリシラン誘導体は発光波長が
可視領域に存在し、かつ発光効率が大であるので、表示
素子等の電子材料としての応用が可能であり、有機溶
媒、好ましくは非プロトン性有機溶媒、特にベンゼン、
トルエン、キシレン等の無極性芳香族系溶媒に可溶なの
でフィルムに成形しやすく、機械的強度に優れ、従って
電子材料への成形が容易であると共に、当該ポリマー自
体の物性を測定するに好都合であり、かつ高分子なので
フィルムに成形できる。従ってかかる本発明のポリシラ
ン誘導体は発光材料、光電導体、フォトレジスト、光記
憶材料等として用い得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例の9,10−ビス(メチルフェニルクロ
ロシリル)アントラセンの1H核磁気共鳴スペクトルを示
す。
【図2】実施例1で得られたポリマーの分子量分布を示
す。
【図3】実施例2で得られたポリマーの分子量分布を示
す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式A 【化1】 (式中、R は炭素数1〜3 の直鎖状アルキル基であり、
    Phはフェニル基である)で表される構造単位Aと式B 【化2】 (式中、R2及びR3は同一のもしくは異なる炭素数1〜1
    0のアルキル基、アリール基またはアラルキル基であ
    る)で表される構造単位Bからなり、構造単位A/構造
    単位Bのモル比(%)が0.5〜10%であって重量平均分
    子量が1,000 〜1,000,000 である、主鎖の一部にアント
    リレン基を含有するポリシラン誘導体。
  2. 【請求項2】 式〔1〕 【化3】 (式中、Rは炭素数1〜3 の直鎖状アルキル基であり、
    Phはフェニル基であり、X1及びX2は同一のもしくは異な
    るハロゲン原子である)で表される9,10−ビス(ア
    ルキルフェニルハロシリル)アントラセンと、式〔2〕 【化4】 (式中、R2及びR3は同一のもしくは異なる炭素数1〜1
    0のアルキル基、アリール基またはアラルキル基であ
    り、X3及びX4は同一のもしくは異なるハロゲン原子であ
    る)で表されるシラン化合物とを、アルカリ金属もしく
    はアルカリ土類金属の共存下に不活性溶媒中で反応させ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリシラン誘導体の
    製造方法。
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