JPH08294873A - 研磨体 - Google Patents

研磨体

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JPH08294873A
JPH08294873A JP10393195A JP10393195A JPH08294873A JP H08294873 A JPH08294873 A JP H08294873A JP 10393195 A JP10393195 A JP 10393195A JP 10393195 A JP10393195 A JP 10393195A JP H08294873 A JPH08294873 A JP H08294873A
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polishing
layer
abrasive
resin
particle size
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JP10393195A
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Tadashi Ishiguro
忠 石黒
Masaaki Fujiyama
正昭 藤山
Katsumi Ryomo
克己 両毛
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チッピングの発生を防止しつつ高い研磨力を
有する研磨層を形成するとともに、良好な湿式研磨を可
能とする。 【構成】 主たる研磨剤21と結合剤22からなる研磨層20
を支持体10上に有してなり、主たる研磨剤の平均粒子サ
イズが3〜15μmであり、前記研磨層表面の中心線平
均表面粗さRaが0.5〜2.5μmでかつ水との接触
角が20〜50度の範囲に設けてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、研磨剤を結合剤に分散
してなる研磨層を支持体上に設けてなり、磁気記録再生
装置の磁気ヘッド、セラミックなどの硬脆材料の研磨、
クリーニング、ポリッシュ、バーニッシュ、テクスチャ
ー等に用いられる研磨テープ、研磨ディスク等の研磨
体、特にVTRあるいはオーディオデッキの磁気ヘッド
等の粗研磨を行う研磨テープとして最適な研磨体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、ビデオ用あるいはオーディオ用
磁気ヘッドの研磨は、通常はプラスチック支持体の表面
に研磨層を設けた研磨テープ等の研磨体を接触させて行
われているが、磁気ヘッドの需要増大に伴い生産性の向
上が課題となっている。また、研磨時には、磁気ヘッド
等の被研磨物の研磨面に傷(スクラッチ)が発生した
り、一部が欠けるチッピングが発生して不良品となる場
合がある。
【0003】研磨体を使用した研磨では、研磨体をその
まま被研磨物の研磨面にドライ状態で接触させる乾式研
磨と、クーラント等の水を介在させたウェット状態で接
触させる湿式研磨とがあり、被研磨物の材質、研磨体の
種類等に応じて研磨方式が選択される。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】前述のような被研磨
物の研磨処理効率を高める方法としては、研磨機におけ
る研磨速度、押圧力等の研磨条件を変更するほかに、研
磨体の研磨層における研磨剤を硬度が大きいもの、平均
粒子サイズが大きいもの、または研磨層表面の表面粗さ
が粗いものを使用することなどによって、研磨力の増大
を図っていた。
【0005】しかし、上記のような方法では、研磨体に
よる研磨力は増大するが、それに比例して、前記したチ
ッピング等に起因する不良品の発生率が増大する問題を
有している。また、研磨体としては、前述の乾式研磨で
も湿式研磨でも両方の研磨態様にも使用でき、特に湿式
研磨において良好な研磨特性が得られるものが要求され
ている。
【0006】また、被研磨物として、高密度記録用の薄
膜ヘッドやアモルファスヘッド、積層ヘッド、MIGヘ
ッド、MRヘッド等の幅の狭い磁気ヘッドに対しその粗
研磨を行う際には、特にチッピングが発生しやすく、研
磨力を高めることに起因してチッピングの発生が増大
し、製品歩留まりが低下してかえって処理効率が低下す
る恐れがある。
【0007】本発明は上記従来技術の問題点に鑑みなさ
れたものであって、幅の狭い被研磨物に対してもチッピ
ングの発生を伴うことなく高い研磨力が得られるように
した研磨体を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の研磨体は、主たる研磨剤と結合剤からなる研磨層を
支持体上に有してなり、前記主たる研磨剤の平均粒子サ
イズが3〜15μmであり、前記研磨層表面の中心線平
均表面粗さRa(JIS B R0601−1982)
が0.5〜2.5μmでかつ水との接触角が20〜50
度の範囲であることを特徴とするものである。
【0009】本発明における研磨体の構造を、図1に概
略的に示す。この研磨体は、支持体10上に研磨層20が形
成されたものであり、該研磨層20は微粉末粒子状の研磨
剤21と結合剤22を主体とし、結合剤22中に研磨剤21が分
散固定されたものである。
【0010】本発明の研磨体の層構成は、基本的に支持
体10上に研磨層20を設けるものであるが、その他にバッ
ク層、中間層、各層間の剥離防止層すなわち下塗層を設
けてもよく、バック層、中間層、下塗層は、摩擦や弾
性、密着強度のコントロールのために設けられる。バッ
ク層は支持体の研磨層と反対側裏面に摩擦低減用に、中
間層は支持体と研磨層の間に研磨剤を含まない層で構成
され、下塗層は2層間の密着強度を増すために設けられ
る。
【0011】本発明における研磨層20の研磨剤21として
は、主たる研磨剤にアルミナ(α−アルミナ)を使用す
るのが望ましく、該アルミナの平均粒子サイズは3〜1
5μが好ましく、4〜8μmが最も好ましい。この範囲
より平均粒子サイズが大きくなると研磨時のチッピング
不良が増大し、平均粒子サイズが上記範囲より小さい微
粒子側では研磨力が不足し研磨時間が長くなる。
【0012】研磨剤としては、上記主たる研磨剤(α−
アルミナ)のほかに第2成分として、平均粒子サイズが
0.05μmから3μmの酸化クロム、炭化珪素、非磁
性酸化鉄、ダイヤモンド、γ−アルミナ、α,γ−アル
ミナ、熔融アルミナ、酸化セリウム、コランダム、人造
ダイヤモンド、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダ
ムと磁鉄鉱)、ガーネット、珪石、窒化珪素、窒化硼
素、炭化モリブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チ
タンカーバイド等で、主としてモ−ス硬度6以上の微粒
子材料が1内至4種迄の組合わせで使用できる。これら
の併用される研磨剤のpHは2〜10のものが望まし
く、特に5〜10のものが好適に用いられる。これらの
研磨剤は研磨層の主たる構成物質として用いられる。
【0013】なお、前記研磨剤の平均粒子サイズの測定
方法は、日機装製MICROTRAC装置を用い、累積
高さ50%の時の粒子サイズを平均粒子サイズとしてい
る。
【0014】一方、研磨層の中心線平均表面粗さRaは
前記の0.5〜2.5μmの範囲が好ましく、さらに好
ましくは1.0〜2.2μmの範囲である。この表面粗
さは、主たる研磨剤の粒子サイズの変更および2次的に
配合する研磨剤によって調整可能であるとともに、研磨
層を形成した後の表面平滑化加工(バーニッシュ)によ
っても調整可能であり、両者の関係は研磨剤が粗粒子な
ほど表面粗さRaを小さく平滑化し、研磨剤が微粒子な
ほど表面粗さRaを大きく粗面化することが良好な結果
が得られる傾向にある。
【0015】この中心線平均表面粗さRaの測定方法
は、小坂制作所(株)の三次元表面検査機を用い、針
圧:φ2μm、針先荷重:30mg、掃引速度:0.1mm
/sec 、掃引距離:0.2mm、測定箇所:20カ所、カ
ットオフ:0.08mmの条件で測定したものである。
【0016】また、前記研磨層表面の水との接触角は、
前記のように20〜50度が好ましく、さらに好ましく
は20〜40度である。この水との接触角の測定は、例
えば、10μLの蒸留水を研削層の表面に滴下し、その
水滴の接触角を、例えば協和界面科学(株)製のCA−
D装置で求めた値であり、その値が小さいほど表面張力
が小さく水に対する濡れ性(親水性)が高い特性を有す
るものである。
【0017】この水との接触角が50度を越えると研磨
速度は増大するがチッピング故障が増大するとともに湿
式研磨では水がはじかれて十分な研磨特性が得られなく
なり、20度未満では濡れすぎて研磨速度が低下すると
ともに乾式研磨には適さなくなるものである。上記水に
対する接触角の調整は、研磨層に配合する分散剤の添加
量と表面粗さとによって調整可能である。すなわち、分
散剤の添加量を増大すると接触角が小さくなり、表面粗
さRaが小さく平滑面となると接触角が大きくなる傾向
にある。
【0018】一方、前記支持体10は、研磨テープを構成
する場合には支持体の厚みは2.5〜500μmに形成
可能であるが、好ましくは3〜50μmの範囲である。
また支持体の長手もしくは幅方向のいずれかのヤング率
が400Kg/mm2 以上であることが望ましい。
【0019】上記支持体10の素材としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリ
エステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セ
ルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等
のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂
類、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリ
スルホン、ポリフェニルスルホン、ポリベンゾオキサゾ
ール等のプラスチックのほかに、アルミニウム、銅等の
金属、ガラス等のセラミックス等も使用出来る。このな
かで特にポリエチレンナフタレートもしくはポリアミド
が好ましい。これらの支持体は研磨層の塗設に先立っ
て、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗処理、熱処
理、除塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理を行って
もよい。これら支持体に関しては、例えば西独特許33
38854A、特開昭59−116926号、特開昭6
1−129731号、米国特許4388368号;三石
幸夫著、『繊維と工業』31巻(p50〜55、197
5年)などに記載されている。研磨テープ等の場合これ
ら支持体の中心線平均表面粗さRaは0.001〜1.
5μm(カットオフ値0.25mm)が好ましい。
【0020】研磨層20に使用される結合剤22としては、
従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、
電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型
樹脂、ポリイソシアネートやこれらの混合物が使用され
る。
【0021】上記熱可塑性樹脂としては軟化温度が15
0℃以下、平均分子量が10000〜300000、重
合度が約50〜2000程度のものでより好ましくは2
00〜700程度であり、例えば、塩化ビニル酢酸ビニ
ル共重合体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニ
ルビニルアルコール共重合体、塩化ビニルビニルアルコ
ール共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステ
ルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化
ビニリデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重
合体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合
体、メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メ
タクリル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラス
トマー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセルロース
−ポリアミド樹脂、ポリフッカビニル、塩化ビニリデン
アクリロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリ
ル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、
セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、
セルロースダイアセテート、セルローストリアセテー
ト、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エ
チルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロー
ス、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共
重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ク
ロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミ
ノ樹脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂及びこれらの
混合物等が使用される。
【0022】また上記熱硬化性樹脂あるいは反応型樹脂
としては、塗布液の状態では200000以下の分子量
であり、塗布、乾燥後に加熱加湿することにより、縮
合、付加等の反応により分子量は無限大となるものが好
適に用いられる。また、これらの樹脂のなかで、樹脂が
熱分解するまでの間に軟化または溶融しないものが好ま
しい。具体的には例えばフェノール樹脂、フェノキシ樹
脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹
脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メ
ラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル
系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エポキシ−ポリアミド
樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエ
ステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メ
タクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマー
の混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネー
トとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グ
リコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリ
イソシアネートの混合物、ポリアミン樹脂、ポリイミン
樹脂及びこれらの混合物等である。
【0023】これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反
応型樹脂は、主たる官能基以外に官能基として、カルボ
ン酸(COOM)、スルフィン酸、スルフェン酸、スル
ホン酸(SO3 M)、燐酸(PO(OM)(OM))、
ホスホン酸、硫酸(OSO3M)、及びこれらのエステ
ル基等の酸性基(MはH、アルカリ金属、アルカリ土類
金属、炭化水素基)、アミノ酸類;アミノスルホン酸
類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、ス
ルフォベタイン、ホスホベタイン、アルキルベタイン型
等の両性類基、アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド
基等また、水酸基、アルコキシル基、チオール基、アル
キルチオ基、ハロゲン基(F、Cl、Br、I)、シリ
ル基、シロキサン基、エポキシ基、イソシアナト基、シ
アノ基、ニトリル基、オキソ基、アクリル基、フォスフ
ィン基を通常1種以上6種以内含んでもよい。そして各
々の官能基は、樹脂1gあたり1×10-6eq〜1×1
-2eq含むことが好ましい。
【0024】これらのバインダー樹脂は単独または組合
わされたものが使用され、ほかに添加剤が加えられる。
研磨層の研磨剤および(もしくは)強磁性微粉末とバイ
ンダーとの混合割合は重量比で研磨剤および(もしく
は)強磁性微粉末との合計100重量部に対してバイン
ダー樹脂が5〜70重量部の範囲で使用される。バック
層の微粉末とバインダー樹脂の混合割合は重量比で微粉
末100重量部に対してバインダー樹脂が8〜400重
量部の範囲で使用される。
【0025】上記ポリイソシアネートとしては、トリレ
ンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソ
シアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネ
ート類、また当該イソシアネート類とポリアルコールと
の生成物、またイソシアネート類の縮合によって生成し
た2〜10量体のポリイソシアネート、またポリイソシ
アネートとポリウレタンとの生成物で末端官能基がイソ
シアネートであるもの等を使用することができる。これ
らポリイソシアネート類の平均分子量は100〜200
00のものが好適である。
【0026】これらポリイソシアネートの市販されてい
る商品名としては、コロネートL、コロネートHL、コ
ロネート2030、コロネート2031、ミリオネート
MR、ミリオネートMTL(日本ポリウレタン株製)、
タケネートD−102、タケネートD−110N、タケ
ネートD−200、タケネートD−202、タケネート
300S、タケネート500(武田薬品株製)、スミジ
ュールT−80、スミジュール44S、スミジュールP
F、スミジュールL、スミジュールN、デスモジュール
L、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジ
ュールHL、デスモジュールT65、デスモジュール1
5、デスモジュールR、デスモジュールRF、デスモジ
ュールSL、デスモジュールZ4273(住友バイエル
社製)等があり、これらを単独若しくは硬化反応性の差
を利用して二つ若しくはそれ以上の組み合わせによって
使用することができる。
【0027】また、硬化反応を促進する目的で、水酸基
(ブタンジオール、ヘキサンジオール、分子量が100
0〜10000のポリウレタン、水等)、アミノ基(モ
ノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン
等)を有する化合物や、金属酸化物の触媒や鉄アセチル
アセトネート等の触媒を併用することも出来る。これら
の水酸基やアミノ基を有する化合物は、多官能であるこ
とが望ましい。上記のポリイソシアネートは研磨層、バ
ック層ともバインダー樹脂とポリイソシアネートの総量
100重量部あたり2〜70重量部で使用することが好
ましく、より好ましくは5〜50重量部の範囲である。
【0028】その他、前記研磨層中には各種の機能を持
った添加剤が添加される。例えば、分散剤、潤滑剤、帯
電防止剤、酸化防止剤、防黴剤、着色剤、溶剤等が加え
られる。
【0029】上記分散剤、分散助剤は結合剤への研磨剤
の分散を助ける目的で、および研磨層表面の水との接触
角を低下させる目的で添加され、特にスルホ琥珀酸、ス
ルホ琥珀酸金属塩、スルホ琥珀酸エステルや、一般的に
湿潤剤と呼ばれているアニオン系やカチオン系界面活性
剤が好ましい。これらの分散剤は通常一種類以上で用い
られ、一種類の分散剤はバインダー100重量部に対し
て0.005〜20重量部の範囲で添加される。これら
分散剤の使用方法は、強磁性微粉末や非磁性微粉末の表
面に予め被着させても良く、また分散途中で添加しても
よい。
【0030】上記潤滑剤(粉末状潤滑剤)としては、グ
ラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、弗化黒鉛、
炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化錫、二硫化タングステン等の無機微
粉末、アクリルスチレン系樹脂微粉末、ベンゾグアナミ
ン系樹脂微粉末、メラミン系樹脂微粉末、ポリオレフイ
ン系樹脂微粉末、ポリエステル系樹脂微粉末、ポリアミ
ド系樹脂微粉末、ポリイミド系樹脂微粉末、ポリフッカ
エチレン系樹脂微粉末等の樹脂微粉末等がある。
【0031】また有機化合物系潤滑剤としては、シリコ
ンオイル(ジアルキルポリシロキサン、ジアルコキシポ
リシロキサン、フェニルポリシロキサン、フルオロアル
キルポリシロキサン(信越化学製KF96、KF69
等))、脂肪酸変性シリコンオイル、フッ素アルコー
ル、ポリオレフィン(ポリエチレンワックス、ポリプロ
ピレン等)、ポリグリコール(エチレングリコール、ポ
リエチレンオキシドワックス等)、テトラフルオロエチ
レンオキシドワックス、ポリテトラフルオログリコー
ル、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロ脂肪
酸、パーフルオロ脂肪酸エステル、パーフルオロアルキ
ル硫酸エステル、パーフルオロアルキルスルホン酸エス
テル、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸エステ
ル、パーフルオロアルキル燐酸エステル等の弗素や珪素
を導入した化合物、アルキル硫酸エステル、アルキルス
ルホン酸エステル、アルキルホスホン酸トリエステル、
アルキルホスホン酸モノエステル、アルキルホスホン酸
ジエステル、アルキル燐酸エステル、琥珀酸エステル等
の有機酸および有機酸エステル化合物、トリアザインド
リジン、テトラアザインデン、ベンゾトリアゾール、ベ
ンゾトリアジン、ベンゾジアゾール、EDTA等の窒素
・硫黄を含む複素(ヘテロ)環化合物、炭素数10〜4
0の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜40個の一価のアルコ
ールもしくは二価のアルコール、三価のアルコール、四
価のアルコール、六価のアルコールのいずれか1つもし
くは2つ以上とからなる脂肪酸エステル類、炭素数10
個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合計して
炭素数が11〜70個となる一価〜六価のアルコールか
らなる脂肪酸エステル類、炭素数8〜40の脂肪酸或い
は脂肪酸アミド類、脂肪酸アルキルアミド類、脂肪族ア
ルコール類も使用できる。
【0032】これら潤滑剤化合物の具体的な例として
は、カプリル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ラウリン
酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミ
リスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸
オクチル、ミリスチン酸2エチルヘキシル、パルミチン
酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチ
ル、パルミチン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸エチ
ル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ス
テアリン酸オクチル、ステアリン酸2エチルヘキシル、
ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステア
リン酸2エチルペンチル、ステアリン酸2ヘキシルデシ
ル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミ
ド、ステアリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキ
シエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、ア
ンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビ
タントリステアレート、アンヒドロソルビタンテトラス
テアレート、オレイルオレート、オレイルアルコール、
ラウリルアルコール、モンタンワックス、カルナウバワ
ックス等があり単独若しくは組み合わせて添加される。
【0033】上記潤滑剤としては、潤滑油添加剤も単独
若しくは組合せで使用でき、防錆剤として知られている
酸化防止剤(アルキルフェノール、ベンゾトリアジン、
テトラアザインデン、スルファミド、グアニジン、核
酸、ピリジン、アミン、ヒドロキノン、EDTA等の金
属キレート剤)、錆どめ剤(ナフテン酸、アルケニルコ
ハク酸、燐酸、ジラウリルフォスフェート等)、油性剤
(ナタネ油、ラウリルアルコール等)、極圧剤(ジベン
ジルスルフィド、トリクレジルフォスフェート、トリブ
チルホスファイト等)、清浄分散剤、粘度指数向上剤、
流動点降下剤、泡どめ剤等がある。これらの潤滑剤はバ
インダー100重量部に対して0.01〜30重量部の
範囲で添加される。これらについては、『アイビーエム
テクニカル ディスクロジャー ブリテン』Vol.
9,No7,p779(1966年12月)、『エレク
トロニク』1961年No12,p380、『化学便
覧』応用編(p954−967,1980年丸善株発
行)等に開示されている化合物を参照できる。
【0034】帯電防止剤等として研磨層に使用されるカ
ーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サ
ーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用
いることができる。これらカーボンブラックは帯電防止
剤のほか、遮光剤、摩擦係数調節剤、耐久性向上剤とし
ても使用される。カーボンブラックの米国における略称
の具体例を示すと、SAF、ISAF、IISAF、
T、HAF、SPF、FF、FEF、HMF、GPF、
APF、SRF、MPF、ECF、SCF、CF、F
T、MT、HCC、HCF、MCF、LFF、RCF等
があり、米国のASTM規格のD−1765−82aに
分類されているものを使用することができる。
【0035】本発明に使用されるこれらカーボンブラッ
クの平均粒子サイズは、5〜1000nm(電子顕微
鏡)、窒素吸着法比表面積は1〜800m2 /g、p
Hは4〜11(JIS規格K−6221−1982
法)、ジブチルフタレート(DBP)吸油量は10〜8
00ml/100g(JIS規格K−6221−198
2法)である。本発明に使用されるカーボンブラックの
平均粒子サイズは、塗布膜の表面電気抵抗を下げる目的
で5〜100nmのカーボンブラックを、また塗布膜の
強度を制御するときに50〜1000nmのカーボンブ
ラックを用いる。
【0036】また塗布膜の表面粗さを制御する目的で、
スペーシングロス減少のための平滑化のためにより微粒
子のカーボンブラック(100nm未満)を、粗面化し
て摩擦係数を下げる目的で粗粒子のカーボンブラック
(100nm以上)を用いてもよい。このようにカーボ
ンブラックの種類と添加量は研磨体(研磨テープもしく
はクリーニングテープ等)に要求される目的に応じて使
い分けられる。また、これらのカーボンブラックを、分
散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用
してもよい。また、カーボンブラックを製造するときの
炉の温度を2000℃以上で処理して表面の一部をグラ
ファイト化したものも使用できる。また、特殊なカーボ
ンブラックとして中空カーボンブラックを使用すること
もできる。
【0037】これらのカーボンブラックは研磨層の場
合、研磨剤および(もしくは)強磁性微粉末の合計10
0重量部に対して0.1〜100重量部で用いることが
望ましい。またバック層の場合、樹脂100重量部に対
して20〜400重量部で用いることが望ましい。本発
明に使用出来るカーボンブラックは例えば『カーボンブ
ラック便覧』(カーボンブラック協会編、昭和46年発
行)を参考にすることが出来る。
【0038】本発明に用いる防黴剤としては2−(4−
チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フルオロジ
クロロメチルチオ)−フタルイミド、10,10’−オ
キシビスフェノキサルシン、2,4,5,6テトラクロ
ロイソフタロニトリル、P−トリルジヨードメチルスル
ホン、トリヨードアリルアルコール、ジヒドロアセト
酸、フェニルオレイン酸水銀、酸化ビス(トリブチル
錫)、サルチルアニライド等がある。このようなもの
は、例えば「微生物災害と防止技術」1972年工学図
書、「化学と工業」32,904(1979)等に示さ
れている。
【0039】前記溶剤は分散、混練、塗布の際に任意の
比率で使用される。この溶剤(有機溶媒)としては、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラ
ン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピル
アルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコー
ル系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソ
ブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコー
ルモノエチルエーテル等のエステル系;ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテ
ル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどの
エーテル系;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾー
ル、クロルベンゼン、スチレンなどのタール系(芳香族
炭化水素);メチレンクロライド、エチレンクロライ
ド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリ
ン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素、N,N−ジ
メチルホルムアルデヒド、ヘキサン等のものが使用でき
る。またこれら溶媒は通常任意の比率で2種以上で用い
る。また1重量%以下の量で微量の不純物(その溶媒自
身の重合物、水分、原料成分等)を含んでもよい。
【0040】これらの溶剤は、研磨層塗布液もしくはバ
ック液、下塗液の合計固形分100重量部に対して10
0〜20000重量部で用いられる。好ましい塗布液の
固形分率は1〜40重量%である。またバック液の好ま
しい固形分率は1〜20重量%である。有機溶媒の代わ
りに水系溶媒(水、アルコール、アセトン等)を使用す
ることもできる。
【0041】前記研磨層の形成は、上記の研磨剤、結合
剤、添加剤等を任意の組成に組合せて溶剤に溶解し、混
練、分散して塗布溶液とし、この塗布液を支持体上に塗
布し、乾燥して研磨層を設けた後、所定の形状例えばテ
ープ状に裁断し、表面をクリーニングしてなる。
【0042】上記の分散、混練の方法には特に制限はな
く、また各成分の添加順序(樹脂、粉体、潤滑剤、溶媒
等)、分散、混練中の添加位置、分散温度(0〜80
℃)などは適宜設定することができる。研磨層塗布液お
よびバック層塗布液の調製には通常の混練機、例えば、
二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブル
ミル、トロンミル、サンドグラインダー、ツェグバリ
(Szegvari)アトライター、高速インペラー、
分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパ
ー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニ
ーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダ
ー、ディスパーザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー
押出し機、二軸スクリュー押出し機、及び超音波分散機
などを用いることができる。通常の分散、混練にはこれ
らの機械を複数備え、連続的に処理を行う。混練、分散
に関する技術の詳細は、T.C.パットン著『ペイント
フロー アンド ピグメント ディスパージョン』1
964年(ジョン・ウイリー&サンズ社発行)、田中信
一著『工業材料』25巻37(1977)などや当該書
籍の引用文献に記載されている。これら分散、混練の補
助材料として分散、混練を効率よく進めるため、球相当
径で10cmφ〜0.05mmφの径のスチールボー
ル、スチールビーズ、セラミツクビーズ、ガラスビー
ズ、有機ポリマービーズを用いることが出来る。またこ
れら材料は球形に限らない。また、米国特許第2581
414号及び同第2855156号などの明細書にも記
載がある。本発明においても上記の書籍や当該書籍の引
用文献などに記載された方法に準じて混練分散を行い研
磨層塗布液およびバック層塗布液を調製することができ
る。
【0043】支持体上へ前記の研磨層用塗布液を塗布す
る方法としては、塗布液の粘度を1〜20000センチ
ストークス(25℃)に調整し、エアードクターコータ
ー、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズ
コーター、含浸コーター、リバースロールコーター、ト
ランスファーロールコーター、グラビアコーター、キス
コーター、キヤストコーター、スプレイコーター、ロッ
ドコーター、正回転ロールコーター、カーテンコータ
ー、押出コーター、バーコーター、リップコータ等が利
用でき、その他の方法も可能であり、これらの具体的説
明は朝倉書店発行の『コーティング工学』253頁〜2
77頁(昭和46.3.20発行)等に詳細に記載され
ている。これら塗布液の塗布の順番は任意に選択でき、
また所望の液の塗布の前に下塗層あるいは支持体との密
着力向上のためにコロナ放電処理等を行っても良い。ま
た研磨層もしくはバック層を多層で構成したいときは、
同時多層塗布、逐次多層塗布等を行ってもよい。これら
は、例えば、特開昭57−123532号公報、特公昭
62−37451号公報、特開昭59−142741号
公報、特開昭59−165239号公報の明細書等に示
されている。
【0044】このような方法により、支持体上に約1〜
100μmほどで塗布された研磨層塗布液は、直ちに2
0〜130℃で多段階で乾燥させる処理を施したのち、
形成した研磨層を0.1〜10μmの厚みに乾燥する。
このときの支持体の搬送速度は、通常10m/分〜90
0m/分で行われ、複数の乾燥ゾーンで乾燥温度を20
℃〜130℃で制御し塗布膜の残留溶剤量を0.1〜4
0mg/m2 とする。また必要により同様の手順でバッ
ク層を設けてもよく、引き続き表面平滑化加工を施し、
研磨層もしくはバック層の中心線平均表面粗さRaを前
述の0.5〜2.5μm(カットオフ0.08mm)と
し、所望の形状に裁断したりして、本発明の研磨テープ
等の研磨体を製造する。これらの製造方法は研磨剤等の
粉体の予備処理・表面処理、混練・分散、塗布・乾燥、
平滑処理、熱処理、EB処理、表面クリーニング処理、
裁断、巻き取り(研磨テープの場合所望のプラスチック
や金属のリールに巻き取る)の工程を連続して行うこと
が望ましい。
【0045】前記研磨体は、最終工程ないしはそれ以前
の工程において、その研磨層、バック層、エッジ端面、
ベース面等をバーニッシュおよび(または)クリーニン
グすることが望ましい。バーニッシュは研磨体の表面粗
度と研磨力を制御するために施し、具体的にはサファイ
ア刃、剃刀刃、超硬材料刃、ダイアモンド刃、セラミッ
クス刃のような硬い材料により研磨体表面の突起部分を
そぎ落とし均一にもしくは平滑にする。これら材料のモ
ース硬度は8以上が好ましいが、特に制限はなく突起を
除去できるものであれば良い。これら材料の形状は特に
刃である必要はなく、角型、丸型、ホイール(回転する
円筒形状の周囲にこれらの材質を付与したもの)のよう
な形状でも使用できる。また研磨体のクリーニングは、
表面の汚れや余分な潤滑剤を除去する目的で研磨体表層
を不織布などで研磨層面、バック層面、エッジ端面、バ
ック側のベース面をワイピングすることにより行う。こ
のようなワイピングの材料としては例えば日本バイリー
ン製の各種バイリーンや東レ製のトレシー、エクセー
ヌ、商品名キムワイプ、また不織布はナイロン製不織
布、ポリエステル製不織布、レーヨン製不織布、アクリ
ロニトリル製不織布、混紡不織布など、ティッシュペー
パー等が使用できる。
【0046】本発明に使用される研磨剤、結合剤、添加
剤(潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、表面処理剤、カーボ
ンブラック、遮光剤、酸化防止剤、防黴剤等)、溶剤及
び支持体(下塗層、バック層、バック下塗層を有しても
よい)或いはその製法に関しては、特公昭56−268
90号等に記載されている磁気記録媒体のものを参考に
できる。
【0047】
【発明の作用及び効果】上記のような本発明の研磨体に
よれば、研磨剤の平均粒子サイズ及び表面粗さと水との
接触角を最適化することにより研磨体に適度の湿潤性を
与え、このため高い研磨力を維持しながらチッピングを
防止できる。特に、磁気ヘッド等の幅が狭くかつ硬脆材
質の被研磨物に対しても、粗研磨を高速で行うことがで
き、生産性の高い研磨処理が可能となる。さらに、上記
のような、研磨剤の粒子サイズ、表面粗さ、水に対する
接触角の設定により、特に湿式研磨において良好な研磨
が可能となる。
【0048】
【実施例】以下に本発明を研磨テープの実施例により具
体的に説明する。なお、以下に示す成分、割合、操作順
序等は本発明の精神から逸脱しない範囲において変更し
うるものであることは当業者にとっては容易に理解され
ることであり、本発明が下記の実施例に制限されないこ
とは勿論である。なお実施例中の「部」は、いずれも
「重量部」を表すものである。
【0049】<実施例1〜5>この実施例は、厚さ30
μmのポリエチレンテレフタレート(PET)による支
持体上に、ポリエステルポリウレタン樹脂からなる下塗
層を0.5μm厚に塗布し、その上に下記の組成をオー
プンニーダーで混練し、希釈剤をアジターで加え粘度を
調整した研磨層用塗布液を、乾燥後の厚さが15μmと
なるようにドクターブレードで塗布を行い、乾燥するこ
とにより研磨テープのサンプルを作成した。
【0050】上記研磨層における研磨剤としては、各実
施例で平均粒子サイズが異なる3種のアルミナ微粉末を
使用し、一定量の分散剤の添加と表面平滑化処理によ
り、研磨層の表面粗さRaを所定値に調整した後、1
2.65mm幅に裁断し、研磨粒子サイズ、表面粗さ、
水との接触角が異なる本発明実施例1〜5の研磨テープ
を得た。
【0051】上記研磨テープによる研磨特性をテストし
た結果を表1に示す。このテストは、フェライト磁気ヘ
ッドを研磨機を使用して湿式研磨を行ったものであり、
比較例1〜4の研磨テストも行っている。この表1にお
ける「水との接触角」とは、10μLの蒸留水をテープ
表面に滴下し、その水滴の接触角度を前記のように測定
したものである。「研磨量」とは、フェライトヘッドを
5秒研磨したときの高さ低減量(ヘッドハイトロス)を
測定した。また、「チッピング」の評価は、上記研磨量
を測定したときに、フェライト磁気ヘッドのガラス部の
欠け状態を顕微鏡(×100倍)にて観察し、欠けがな
いものを○、欠け面積がガラス部の全体に対して1/2
0未満を△、欠け面積がガラス部の全体に対して1/2
0以上発生しているものを×と評価している。
【0052】比較例としては、次のような研磨テープで
ある。比較例1は、研磨剤としてのアルミナの粒子サイ
ズが20μmと大きなものを使用し、これに伴い表面粗
さが大きく、水との接触角が小さくなっている。その他
は本発明実施例と同じ処方及び作成方法にて作成してい
る。比較例2は、研磨剤としてのアルミナの粒子サイズ
が0.8μmと小さなものを使用し、これに伴い表面粗
さが小さくなり、その他は本発明実施例と同じ処方及び
作成方法にて作成した。さらに、比較例3は、分散剤の
添加量を0部とした以外は、本発明実施例1と同じ処方
にて作成したものであり、水との接触角度が大きくなっ
ている。比較例4は、上記比較例3と逆に分散剤の添加
量を増大したものであり、水との接触角が小さくなって
いる。
【0053】 〔塗布液組成〕 研磨剤(アルミナ、平均粒径は別紙のサイズ、モース硬度9): 100部 結合剤(ポリエステル、スルホン酸ナトリウム2×10-3 当量/g樹脂含有、Mw70000 ): 12部 結合剤(ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン(1モル) のTDI(3モル)付加物): 3部 カーボンブラック(コンダクテックスSC): 1部 分散剤(ジ2エチルヘキシルスルホ琥珀酸ナトリウムエステル):0.5部 溶 剤(メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=2/1): 200部 希釈剤(トルエン/MIBK): 150部
【0054】
【表1】
【0055】表1の結果から、本発明実施例1〜5で
は、研磨剤の粒子サイズ、表面粗さ、水との接触角の適
正な設定により、良好な湿式研磨量が得られるととも
に、チッピングの発生は見られず良好な研磨面が得られ
ている。実施例1〜3は研磨剤の粒子サイズは同じであ
るが、研磨層の表面粗さが異なっており、表面粗さを大
きくした方が研磨量が大きな値となっていることから、
チッピングの発生しない範囲で表面粗さを大きくする方
が大きな研磨力が得られる。実施例4は研磨剤の粒子サ
イズが大きめで、実施例5は研磨剤の粒子サイズが小さ
めのものであり、粒子サイズが大きくなると研磨量も大
きな値となる傾向にある。
【0056】一方、比較例1は研磨剤の粒子サイズが大
きすぎることで、研磨量は大きいがチッピングが発生し
て好ましくない。比較例2は研磨剤の粒子サイズが小さ
すぎることで、チッピングの発生はないが研磨量が小さ
くて処理効率が低下する。
【0057】比較例3は分散剤が添加されていないこと
で水との接触角が大きく、湿式研磨では水をはじいて良
好な研磨が行えずに研磨量が小さいとともにチッピング
の発生も見られている。さらに、比較例4は分散剤の添
加量が大きく水との接触角が小さくなり、研磨面が濡れ
すぎて研磨量が小さくなっている。
【0058】なお、実施例の分散剤では、その添加量が
2重量%で水との接触角が20度となり、添加量が0.
3重量%で水との接触角が50度となるので、この範囲
内で分散剤を添加するのが好ましい。
【0059】<実施例6,7>この実施例は、研磨層用
塗布液の組成を下記に変更して、前記実施例1〜5と同
様にして研磨テープのサンプルを作成した。
【0060】上記研磨層における研磨剤としては、各実
施例で平均粒子サイズが異なる2種のアルミナ微粉末を
使用し、研磨層の表面粗さRaを調整し、水との接触角
が異なる本発明実施例6および7の研磨テープを得た。
【0061】上記研磨テープによる研磨特性をテストし
た結果を表2に示す。このテストは、前例と同様にフェ
ライト磁気ヘッドの湿式研磨であり、比較例5および6
の研磨テストも行っている。
【0062】比較例5は、研磨剤としてのアルミナの粒
子サイズが18μmと大きなものを使用し、その他は実
施例6の組成と同様であり、表面粗さが大きくなってい
る。比較例6は、研磨剤としてのアルミナの粒子サイズ
が0.5μmと小さなものを使用し、これに伴い表面粗
さが小さくなっている。
【0063】 〔塗布液組成〕 研磨剤(アルミナ、平均粒径は別紙のサイズ、モース硬度9): 100部 結合剤(ポリエステルポリウレタン、スルホン酸含有): 25部 結合剤(ポリイソシアネート): 6部 微粒子研磨剤(酸化クロム、平均粒径0.3μm): 10部 分散剤(ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウムエステル): 0.3部 溶 剤(メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=2/1): 200部 希釈剤(トルエン/MIBK): 150部
【0064】
【表2】
【0065】表2についても表1と同様な結果が得られ
ている。すなわち、本発明実施例6および7では、研磨
剤の粒子サイズ、表面粗さ、水との接触角の適正な設定
により、良好な湿式研磨量が得られるとともに、チッピ
ングの発生は見られず良好な研磨面が得られている。一
方、比較例5は研磨剤の粒子サイズが大きすぎること
で、研磨量は大きいがチッピングが発生して好ましくな
い。比較例6は研磨剤の粒子サイズが小さすぎること
で、チッピングの発生はないが研磨量が小さくて処理効
率が低下する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による研磨体の構造を示す概略図
【符号の説明】
10 支持体 20 研磨層 21 研磨剤 22 結合剤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる研磨剤と結合剤からなる研磨層を
    支持体上に有してなる研磨体において、前記主たる研磨
    剤の平均粒子サイズが3〜15μmであり、前記研磨層
    表面の中心線平均表面粗さRaが0.5〜2.5μmで
    かつ水との接触角が20〜50度の範囲であることを特
    徴とする研磨体。
  2. 【請求項2】 前記主たる研磨剤が、アルミナであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の研磨体。
  3. 【請求項3】 前記主たる研磨剤の他に微粒子研磨剤を
    添加したことを特徴とする請求項2に記載の研磨体。
  4. 【請求項4】 前記研磨層表面の水との接触角は、該研
    磨層に配合する分散剤の添加量と表面粗さとによって調
    整することを特徴とする請求項1に記載の研磨体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002370157A (ja) * 2001-06-15 2002-12-24 Toray Ind Inc 研磨パッド
JP2016140938A (ja) * 2015-01-30 2016-08-08 富士紡ホールディングス株式会社 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法
JP2023171076A (ja) * 2022-05-20 2023-12-01 大和化成商事株式会社 磁性シート、ホワイトボード、および磁性シートの製造方法

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