JPH08290587A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

Info

Publication number
JPH08290587A
JPH08290587A JP3372596A JP3372596A JPH08290587A JP H08290587 A JPH08290587 A JP H08290587A JP 3372596 A JP3372596 A JP 3372596A JP 3372596 A JP3372596 A JP 3372596A JP H08290587 A JPH08290587 A JP H08290587A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
piezoelectric element
drive signal
piezoelectric
recording apparatus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP3372596A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3519535B2 (ja
Inventor
Akira Takayama
暁 高山
Noriko Kudo
紀子 工藤
Shiro Saito
史郎 斉藤
Mamoru Izumi
守 泉
Chiaki Tanuma
千秋 田沼
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP3372596A priority Critical patent/JP3519535B2/ja
Publication of JPH08290587A publication Critical patent/JPH08290587A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3519535B2 publication Critical patent/JP3519535B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14008Structure of acoustic ink jet print heads
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14322Print head without nozzle

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速で且つ高画質の記録が可能なインクジェ
ット記録装置を提供する。 【解決手段】 駆動回路106は、被記録体上に記録す
る画像の階調レベルに応じ、液体インク109の液面か
ら吐出されるインク滴数が変化するように、圧電素子1
01への駆動信号の印加時間を制御する。駆動信号の印
加に応じ、圧電素子アレイ101から放射される超音波
は、アレイ方向に集束され、音響マッチング層105を
介して音響レンズ107に入射され、さらにアレイ方向
と直交する方向に集束され、インク液面近傍に点状に集
束する。インク液面近傍では、集束された超音波により
発生した圧力(放射圧)によってインクメニスカス11
1が形成され、この先端から、前記印加時間に応じたイ
ンク滴が吐出される。吐出されたインク滴被記録体に付
着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液体インクを液
滴化し、被記録体上に吐出させることで画像を記録する
インクジェット記録装置に関し、特に、圧電素子から放
射される超音波の圧力によりインク滴を吐出し、このイ
ンク滴を被記録体上に付着させるインクジェット記録装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】液体インクを液滴と呼ばれる小さな粒状
にして記録媒体上に吐出させることにより画点を形成し
て画像を記録する装置は、インクジェットプリンタとし
て実用化されている。
【0003】一般に、インクジェット記録方式を適用し
た装置では、溶媒の蒸発や揮発によって局部的なインク
の濃縮が生じ易く、このため、解像度に対応した個別の
細いノズルにおける目詰まりが発生する。例えば、イン
クジェットの形成に蒸気の圧力を用いる方式では、イン
クとの熱的あるいは化学的な反応により生成される不溶
物が付着し、又、圧電素子による圧力を用いる方式で
は、インク流路等の複雑な構造により、前記ノズルにお
ける目詰まりが発生する。通常、数十〜百数十程度のノ
ズルを使用するシリアル走査型ヘッドでは、目詰まりの
頻度を低く抑えることができるような処理が施されてい
るが、数千もの多数のノズルが必要とされるライン走査
型ヘッドでは目詰まりの頻度が高く、これによりインク
ジェット記録装置の信頼性が低下する。
【0004】又、従来のインクジェット記録装置では、
解像度を向上するためにはいくつかの問題点がある。例
えば、蒸気の圧力を使う装置では、直径20μm(記録
紙上に直径50数μm程度の記録ドットに相当する)以
下の粒径のインク滴を生成することが困難である。又、
圧電素子が発生する圧力を使う装置では、記録ヘッドが
複雑な構造となるために、この記録ヘッドを加工する技
術上の問題が生じ、高い解像度を実現する記録ヘッドの
製造が困難である。
【0005】一方、近年、薄膜圧電体により構成された
圧電素子によって発生する超音波の圧力を用いてインク
液面からインクを吐出させる方式が提案されている。こ
の方式は、個別のドット毎のノズルやインク流路の隔壁
を必要としない、いわゆるノズルレス方式である。この
ため、この方式をライン走査型ヘッドに適用した場合、
目詰まりをが防止され、たとえ目詰まりが生じた場合で
あっても復旧が容易になる。また、非常に小さい径のイ
ンク滴を安定に生成して吐出させることができるため、
高解像度化にも適している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した超
音波を用いたインクジェット記録装置において高画質の
記録を実現するためには、解像度の向上に加え、階調性
の向上が要求される。ここで、階調性の向上とは、多階
調の画点の形成が可能であることを示す。
【0007】前述したように、解像度の向上は、インク
滴を微小にすることにより実現できる。一方、階調性に
ついては、例えば、インク滴の大きさやインク滴の数を
多段階に変化させることにより、複数の階調を実現する
手法が提案されている。例えばゼロックス社による特開
昭63−16645には、1画素につきインクジェット
ヘッドの圧電素子を複数回繰り返し駆動することで複数
のインク滴を吐出させ、先に被記録体上に付着したイン
ク滴が乾燥する前に次のインク滴を重ね書きする第1の
方法と、圧電素子に印加する駆動信号を調整して、イン
ク滴の大きさを変える第2の方法が開示されている。
【0008】しかし、複数のインク滴による重ね書きで
1画素を記録する第1の方法は、圧電素子を複数回繰り
返し駆動する必要がある。このため、多階調の画点を実
現する場合、1画素当たりの記録に時間がかかり、高速
記録に適さないという問題がある。また、インク滴の大
きさを変える第2の方法では、インク滴の大きさに与え
る影響が比較的小さく、このため階調数を多くすること
ができない。この発明は、前述した実情に鑑みてなされ
たものであり、高速で且つ高画質の記録が可能なインク
ジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に係る第1のイ
ンクジェット記録装置は、液体インクを保持するインク
保持室と、前記液体インクに音響的に接続された圧電素
子からなる超音波発生器と、前記液体インクの表面から
インク滴群が吐出するように、前記超音波発生器に一連
の駆動信号を印加する駆動信号印加手段と、前記インク
滴群のインク滴数が所望の階調に応じたインク滴数にな
るように前記駆動時間を制御する第1の制御手段とを具
備することを特徴とする。
【0010】更に、圧電素子への駆動信号の印加時間間
隔(待機時間)についても、被記録体上に記録すべき画
像の階調レベルに応じた駆動信号の印加時間の制御に伴
い、駆動信号の印加時間が長くなるほど、つまりインク
滴の吐出数が多くなるほど長くなるように制御すること
が望ましい。即ち、前記インクジェット記録装置は、複
数のインク滴群を吐出させる際、第1のインク滴群の全
てのインク滴が吐出した後に次のインク滴群を吐出させ
るための一連の駆動信号を印加するように駆動間隔を制
御する第2の制御手段を具備することを特徴とする。
【0011】又、前記インクジェット記録装置は、前記
超音波発生器から生じる超音波を前記液体インクの表面
近傍に集束させる集束手段を具備することを特徴とす
る。前記超音波発生器は、複数の圧電素子が配列され、
前記集束手段は、複数の圧電素子が配列された圧電素子
に、前記液体インクの表面近傍に超音波が集束するよう
に、異なる位相の駆動信号を印加することが望ましい。
【0012】前記集束手段は、フレネルレンズや凹面レ
ンズを含む音響レンズであることが望ましい。フレネル
レンズを用いる場合、レンズが平面構造のレンズとな
り、音響マッチング層を含む積層構造となる。従って、
パタ−ニング、エッチングなどのリソグラフィ技術を適
用して生産が可能となり、製造性に優れる。
【0013】又、前記インクジェット記録装置では、前
記インク滴群のインク滴数が1の場合の前記一連の駆動
信号の印加時間の最短時間をtとした時、インク滴群の
インク滴数を2以上にするために一連の駆動信号の印加
時間を1.2t以上にするようにしてもよい。
【0014】この発明に係る第2のインクジェット記録
装置は、液体インクを保持するインク保持室と、前記液
体インクに音響的に接続された圧電素子からなる超音波
発生器と、前記液体インクの表面からインク滴群を吐出
するように、前記超音波発生器に駆動信号を印加する駆
動信号印加手段と、複数のインク滴群を吐出させる際、
第1のインク滴群の全てのインク滴が吐出した後に次の
インク滴群を吐出させるための駆動信号を印加するよう
に駆動間隔を制御する第1制御手段とを具備することを
特徴とする。
【0015】このインクジェット記録装置は、更に、前
記インク滴群のインク滴数が所望の階調に応じたインク
滴数になるように前記駆動時間を制御する第2制御手段
を具備することを特徴とする。
【0016】このような構成を有する第1及び第2のイ
ンクジェット記録装置では、圧電素子への駆動信号印加
時間を制御することでインク滴の吐出数を変化させ、圧
電素子の1回の駆動で階調記録を行うことができる。こ
のため、高速の階調記録が可能であり、また駆動信号印
加時間の変化幅を大きくすることにより容易に階調数を
多くとることができる。
【0017】この発明に係る第3のインクジェット記録
装置は、液体インクを保持するインク保持室と、順次積
層された第1電極、第1圧電体層、第2電極、及び第2
圧電体層からなり、前記液体インクと音響的に接続され
た圧電素子と、前記液体インクの液面からインク滴が吐
出するように、前記圧電素子に駆動信号を印加する駆動
信号印加手段とを具備することを特徴とする。
【0018】ここで、圧電素子は具体的には例えば厚み
の異なる第1および第2の圧電体層を音響的に直列接続
して構成された積層構造、すなわち第1の電極、第1の
圧電体層、第2の電極、および第2の圧電体層を順次積
層してなる構造であり、場合によっては第2の圧電体層
上にはさらに第3の電極が形成される。この場合、第1
および第2の圧電体層は互いに逆向きに分極されるか、
または同じ向きに分極されるか、あるいは一方のみが分
極される。第1および第2の圧電体層が互いに逆向きに
分極されている場合および同じ向きに分極されている場
合、駆動信号は分極方向と逆向きに電界がかかる関係で
印加される。また、第1および第2の圧電体層の少なく
とも一方のみが分極されていれば、分極されている方の
圧電体層に駆動信号を印加していもよい。
【0019】このような構成のインクジェット記録装置
では、圧電素子から放射される超音波の周波数をより多
段階に変化させてインク滴の大きさを広範囲に変えるこ
とができるため、多階調の記録が可能であり、また圧電
素子の1回の駆動で1画素を記録できるので高速の記録
ができる。さらに、インク滴の大きさを変化させること
により画点の大きさや濃度の変化が得られるため、面積
階調法において2値面積階調に比較してより小さな画素
内で同一の階調が得られる多値面積階調を行うことがで
き、解像度の点でも有利となる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明に
係るインクジェット記録装置の第1及び第2の実施の形
態を説明する。この発明に係るインクジェット記録装置
の第1の実施の形態を図1〜図9を参照して説明する。
【0021】先ず、ここで、第1の実施の形態の基本的
概念を図1(a),(b)、及び図2(a),(b)を
参照して説明する。圧電素子から放射及び集束される超
音波の圧力を用いてインク滴を吐出させ、これを被記録
体上に付着させて画像記録を行う超音波インクジェット
記録装置の駆動実験から、圧電素子を一連の駆動信号で
駆動させる、即ち圧電素子に一連のバースト波を印加し
たときに、連続的に印加される高周波の駆動信号の印加
時間によって、連続して吐出するインク滴の数(吐出
数)nが2個以上である条件が存在し、その場合に必要
な最短の駆動信号印加時間t(n)は、インク滴の吐出
数が1個の場合に必要な駆動信号印加時間t(1)より
は長く、そのn倍の時間よりは明らかに短いことが本願
発明者らにより見いだされ、確認された。また、同様の
条件において、次の駆動信号を圧電素子に印加できる状
態、より具体的には駆動信号を印加してもインクメニス
カスからスプラッシュやサテライトが発生しなくなる状
態になるまでの最短の待機時間T(n)は、インク滴を
1個吐出した後の待機時間T(1)よりは長く、そのn
倍の時間より明らかに短いことも確認された。ここで、
待機時間とは、第1のバースト波を印加し終わってから
第2のバースト波を印加するまでの時間を示す。
【0022】前記第2の駆動信号は、第1の駆動信号に
起因するインク滴群が吐出された後に印加する必要があ
る。もし、第2の駆動信号をインク滴群が吐出されない
前に印加した場合、インク液面からスプラッシュが発生
し、インク滴を吐出させることができない。ここでい
う、インク滴群とは、少なくとも1つ以上のインク滴を
含んでいる。このような結果から、n個のインク滴の吐
出条件での最短の周期はt(n)+T(n)であり、n
[t(1)+T(1)]よりも短く、この傾向はnが大
きいほど顕著となる。この第1の実施の形態は、このよ
うに知見に基づいてなされたものであり、以下その原理
を説明する。
【0023】図1(a)は、インク液面から吐出するイ
ンク滴が1個の場合の吐出過程を模式的に示した図であ
る。圧電素子からインク液面に集束する超音波が放射さ
れると、まず超音波による圧力で集束領域のインク液面
が押し上げられインクメニスカスが形成される。この
後、インクメニスカスの先端が括れ、インク滴が1個吐
出する。インク滴が吐出した後では、次の超音波に与え
る影響が無視できる程度まで超音波は十分に減衰してい
る。又、インクメニスカスは、インク滴が吐出された後
では超音波が減衰しているためにインク液面を押し上げ
る力が弱まり、表面張力で押し戻され低面積が広がるよ
うな形に変形しつつ低下する。
【0024】従って、待機時間(駆動信号を印加して
後、次の駆動信号を印加するまでの間隔)は、インクメ
ニスカスが完全に消失するまでの時間を意味するのでは
く、インク滴群が吐出するまでの時間を意味する。
【0025】図1(b)は、インク液面から吐出するイ
ンク滴が2個の場合の吐出過程を模式的に示した図であ
る。この場合には、前記図1(a)に示されるインク滴
1個の場合より長い時間にわたって圧電素子に駆動信号
を印加し、超音波が放射される。この印加時間の長い駆
動信号により、圧電素子からインク液面に集束する超音
波が放射されると、まず超音波の圧力(インク滴1個の
場合より大きい)で集束領域のインク液面が図1(a)
より高く押し出されてインクメニスカスが形成され、先
端から第1番目のインク滴(第1滴)が吐出される。次
いで、比較的短時間の間にインク滴が切れたインクメニ
スカスの先端近傍が再び括れ、第2番目のインク滴(第
2滴)が吐出される。以後は、インク滴を1個吐出する
場合と同様にインクメニスカスは表面張力で押し戻さ
れ、底面積が広がるような形に変形しつつ低下する。そ
して、インクメニスカスがある程度まで低下し、次の超
音波の放射が可能な状態となる。但し、図1(b)にお
けるインクメニスカスは、前記図1(a)におけるイン
クメニスカスより大きいため、待機時間はインク滴を1
個吐出する場合より長く必要となる。通常、インク滴が
吐出するメカニズムとして、インクが吐出するまでにイ
ンク液面にメニスカスを形成する必要がある。この発明
では1滴目のインク吐出のために形成したメニスカスか
ら繰返しインクを吐出させることで、メニスカスの形成
時間を短縮することが可能になり、ひいては階調制御を
短時間で処理することが可能となる。
【0026】ここで、図2(a),(b)に、前記図1
(a),(b)のようなインク滴吐出過程を得るための
圧電素子に印加する駆動信号波形の例を示す。図2
(a)では、圧電素子にt(1)なる時間幅のバースト
信号からなる高周波の駆動信号がT(1)なる待機時間
をおいて印加される。図2(b)では、圧電素子にt
(2)なる時間幅のバースト信号からなる高周波の駆動
信号がT(2)なる待機時間をおいて印加される。ここ
で、駆動信号の周波数は20MHzに設定され、また各
駆動信号の印加時間および待機時間は、それぞれt
(1)=10μsec、T(1)=600μsec、t
(2)=15μsec、T(2)=800μsecのよ
うに設定される。
【0027】このように圧電素子への駆動信号印加時間
を適切に変化させることにより、インク滴の吐出数を変
動させることができる。従って、このインク滴吐出数が
被記録体上に記録すべき画像の階調レベルに応じて変化
するように圧電素子への駆動信号の印加時間を制御する
ことによって、所望の階調に応じた記録を実現すること
ができる。
【0028】前述したように、インク滴吐出には、高周
波バースト波信号を用いるが、1滴目のインク吐出のた
めに形成したメニスカスから繰返しインクを吐出させる
ためのバースト波の印加時間(波数)tnは、インク滴
1滴を吐出するために必要なバースト波信号印加時間を
示す場合、1.2t≦tnを満足することが望ましく、
tn≦30t程度で十分に階調制御可能であることか
ら、印字の高速化の面で、tn≦30tとすることが望
ましい。
【0029】一連の駆動信号とは、インク吐出に影響が
なければ駆動信号として印加されるバースト波中に多少
の切れ目が存在する条件を許容するものである。例え
ば、一連の駆動信号として印加されるバースト波中、5
%以下であれば不連続な波を含んでいてもインク吐出に
影響を与えることはない。
【0030】以下、この第1の実施の形態を詳細に説明
する。図3(a)〜(c)は、この発明に係るインクジ
ェット記録装置の第1の実施の形態における、インクジ
ェットヘッド部を示す。このインクジェットヘッド部
は、複数の圧電素子を一次元に配列した圧電素子アレイ
を用いたアレイ型超音波インクジェットヘッドであり、
図3(a)はアレイ方向と直交する方向に沿う断面図
を、図3(b)はアレイ方向に沿う断面図を、図3
(c)はこのインクジェットヘッド部の斜視図を示して
いる。
【0031】圧電素子アレイ101は、数μm〜数十μ
m厚の圧電体層102とその両面に被着された第1,第
2電極103,104によって構成される。この圧電素
子アレイ101は、例えば耐熱ガラスで構成される音響
マッチング層105上に形成される。圧電体層102
は、全体としてはアレイ方向に延びた帯状に形成されて
いるが、分離された複数の圧電素子を形成するように素
子分離されている。第1電極103は圧電体層102の
素子分離と同様に各々の圧電素子に対応して分離され、
第2電極104は各圧電素子に共通の帯状電極となって
いる。第1電極103の各々は、音響マッチング層10
5上の圧電素子アレイ101側に実装された駆動IC1
06にワイヤボンディング等により電気的に接続されて
おり、共通の帯状電極である第2電極104は電気的に
接地されている。
【0032】音響マッチング層105の圧電素子アレイ
101と反対側に面上には、圧電素子アレイ101のア
レイ方向および超音波の放射方向と直交する方向に超音
波を集束するための一次元音響レンズ107が接着され
ており、この音響レンズ107の音響マッチング層10
5と反対側の面はインク室108内のインク109の底
面に接している。尚、この例では一次元音響レンズ10
7として凹面レンズを用いているが、後述するように、
表面に曲率を持たないフレネルレンズを適用することも
できる。
【0033】インク室108は、圧電素子アレイ101
によるフェーズドアレイ走査及び一次元音響レンズ10
7による回折によって集束する超音波の通路を包み込む
ように徐々に狭まった形状をなしている。更に、超音波
の集束点近傍において、数十μm〜数百μm程度の幅の
スリット状のオリフィス110が設けられている。イン
ク109の表面(インク液面)は、オリフィス110の
位置とほぼ同一面上に位置する。
【0034】駆動IC106は、階調画像データに応じ
て圧電素子アレイ101のアレイ方向に隣接する所定数
の圧電素子を1ブロックとしてブロック単位で駆動する
ことによって、電子スキャンを行う。具体的には、選択
したブロックの各圧電素子に所定の位相差を持たせた高
周波の駆動信号を供給し、それらの圧電素子を同時に駆
動することによって、圧電素子アレイ101から放射さ
れる超音波をアレイ方向に集束する。このアレイ方向へ
の集束処理を同時駆動する圧電素子の位置を例えば1素
子分ずつ順次ずらして繰り返し行うことにより、集束さ
れる超音波の放射方向をアレイ方向にリニアに移動する
ことができる。
【0035】このような駆動IC106による処理に従
って、圧電素子アレイ101から放射されるアレイ方向
に集束された超音波は、音響マッチング層105を介し
て一次元音響レンズ107に入射され、さらにアレイ方
向と直交する方向に集束されて最終的にインク液面近傍
に点状に集束する。インク液面近傍では、集束された超
音波により発生した圧力(放射圧)によってインク液面
に円錐状のインクメニスカス111が形成され、この
後、インクメニスカス111の先端からインク滴112
が吐出される。吐出されたインク滴112は図示しない
被記録体に付着し、被記録体に付着したインク滴112
は乾燥して定着する。この場合、圧電素子アレイ101
のアレイ方向への超音波の移動によって主走査が行われ
るので、被記録体をインクジェットヘッド部のアレイ方
向(主走査方向)と直交する方向に相対的に移動させて
副走査を行う。このような主走査及び副走査を適宜行う
ことにより、被記録体上に2次元の画像を記録すること
ができる。
【0036】前記駆動IC106は被記録体上に記録す
べき画像(階調画像)の階調レベルに応じて、つまり画
像データの濃度値に応じてインク液面からのインク滴の
吐出数が変化するように圧電素子アレイ101への駆動
信号の印加時間を制御する機能を有している。以下、図
4及び図5(a)〜(e)を参照して駆動IC106に
よる、駆動信号の印加時間制御について説明する。
【0037】図4及び図5(a)〜(e)は、この第1
の実施の形態における圧電素子アレイ101の駆動処理
の一例を説明するための図であり、インクジェットヘッ
ドのインク液面からのインク滴の吐出数が0〜2の場合
の例である。図4に示されるように、圧電素子アレイ1
01の各ブロックの駆動モードとしてグラウンド駆動、
t(1)駆動およびt(2)駆動の3種類のモードが予
め設定されている。
【0038】グラウンド駆動モードは、図5(a)に示
される駆動信号波形のようにブロック内の圧電素子への
駆動信号の印加電圧をグラウンドレベルにする(つまり
駆動信号を印加しない)モードである。従って、このグ
ラウンドモードで信号の供給されたブロックからは超音
波が放射されず、これによりインク滴が吐出されない。
t(1)駆動モードは、図5(b),(c)に示される
駆動信号波形のようにブロック内の圧電素子に印加する
駆動信号として、0相,π相の前記図2(a)で説明し
た時間幅t(1)の駆動信号の組み合わせを用いるモー
ドである。このモードでは、信号が供給されたブロック
から集束された超音波が放射され、図1(a)に示され
るようにインク液面から1個のインク滴112が吐出さ
れる。t(2)駆動モードは、図5(d),(e)に示
される駆動信号波形のように、ブロック内の圧電素子に
印加する駆動信号として、0相,π相の前記図2(b)
で説明した時間幅t(2)の駆動信号の組み合わせを用
いるモードであり、このモードでは信号が供給されたブ
ロックから集束された超音波が放射され、図2(b)に
示されるようにインク液面から2個のインク滴112
a,112bが吐出される。
【0039】尚、t(1)駆動モードおよびt(2)駆
動モードでは、待機時間つまり駆動信号の印加時間間隔
は、前記図2(a),(b)に示されるようにそれぞれ
T(1)およびT2(2)のように異なって設定され
る。
【0040】次に、前記図4、及び図5(a)〜(e)
を参照して説明した駆動方法を実現するための回路構成
の一例について説明する。図6は、図3(a)〜(c)
に示される駆動IC106の内部構成を示すブロック図
である。同図において、シリアルに入力される階調画像
データ120は、駆動パターン制御回路121に入力さ
れる。駆動パターン制御回路121は、n個の駆動信号
セレクタ122−1〜122−nと駆動信号分配回路1
23を制御する回路である。ここで、nは圧電素子アレ
イ101の1ブロック内の圧電素子数、つまり同時駆動
される圧電素子の数(以下、同時駆動素子数という)に
等しい。
【0041】駆動信号セレクタ122−1〜122−n
は、0相駆動信号、π相駆動信号およびグラウンドレベ
ル(GND)の信号である無駆動信号のいずれかを選択
する回路であり、0相駆動信号、π相駆動信号および無
駆動信号のいずれの駆動信号を選択するかは駆動パター
ン制御回路121により制御され、また選択した駆動信
号を出力する時間(駆動信号印加時間)とその出力間隔
(駆動信号印加時間間隔)も駆動パターン制御回路12
1によって制御される。
【0042】駆動信号セレクタ122−1〜122−n
で選択された駆動信号は、駆動信号分配回路123に入
力される。駆動信号分配回路123は、駆動信号セレク
タ122−1〜122−nで選択されたn個の駆動信号
をドライバ素子群124に供給する。ドライバ素子群1
24は、図3(a)〜(c)における圧電素子アレイ1
01の各圧電素子に1対1で対応するドライバ素子から
なり、圧電素子アレイ101の第1電極103と第2電
極104間に高周波の駆動信号を印加する。
【0043】階調性画像データ120が1画素分入力さ
れると、駆動パターン制御回路121から駆動信号セレ
クタ122−1〜122−nにセレクタ信号が供給さ
れ、それに基づいて駆動信号セレクタ122−1〜12
2−nは0相駆動信号、π相駆動信号および無駆動信号
のいずれかを選択する。具体的には、例えば階調性画像
データ120の濃度値が「0」の場合、駆動信号セレク
タ122−1〜122−nは無駆動信号を選択する。ま
た、階調性画像データ120の濃度値が「1」の場合、
駆動信号セレクタ122−1〜122−nは0相駆動信
号またはπ相駆動信号を選択して時間t(1)にわたり
出力し、さらに階調性画像データ120の濃度値が
「2」の場合、駆動信号セレクタ122−1〜122−
nは0相駆動信号またはπ相駆動信号を選択して時間t
(2)にわたり出力する。
【0044】こうして駆動信号セレクタ122−1〜1
22−nで選択された駆動信号は、駆動パターン制御回
路121によって制御される駆動信号分配回路13によ
り、現在入力されている階調性画像データ40が主走査
方向1ラインのどの画素のデータであるかに応じて選択
されたn個のドライバ素子群124に入力される。そし
て、これらn個のドライバ素子群124により駆動信号
が電圧増幅され、圧電素子アレイ101の対応するn個
の圧電素子に同時に印加される。
【0045】すなわち、階調性画像データ120が1画
素目のデータの場合は、圧電素子アレイ101の1番目
〜n番目の圧電素子に対応したドライバ素子に駆動信号
が入力され、2画素目のデータの場合は圧電素子アレイ
101の2番目〜(n+1)番目の圧電素子に対応した
ドライバ素子に駆動信号が入力され、以下同様にしてi
番目のデータに対応して圧電素子アレイ101のi番目
〜(n+i)番目の圧電素子に対応したドライバ素子に
駆動信号が入力される。従って、階調性画像データ12
0として1ライン分のデータが入力されると、圧電素子
アレイ101から放射される超音波は1ライン分リニア
に移動し、もって1ラインの記録が行われる。この場
合、記録画像の階調数は階調レベル「0」〜「2」の3
階調となる。
【0046】なお、階調レベル「1」、「2」のときは
駆動信号セレクタ122−1〜122−nが0相駆動信
号、π相駆動信号のいずれかを選択するのであるが、こ
れらのうちのいずれの駆動信号を選択するかは例えばフ
レネル回折の式に従って予め決められており、駆動パタ
ーン制御回路121にプログラムされているものとす
る。これによって、圧電素子アレイ101のn個の圧電
素子で構成される各ブロックから放射される超音波は、
圧電素子アレイ101のアレイ方向に集束される。
【0047】以上、説明したように、この第1の実施の
形態によれば、圧電素子への駆動信号印加時間を制御す
ることでインク滴の吐出数を変化させ、これにより圧電
素子の1回の駆動で階調記録を行うことができるため、
高速の階調記録が可能であり、また駆動信号印加時間の
変化幅を大きくすることにより容易に階調数増やすこと
ができる。従って、多階調の記録ができ、高速で且つ高
画質の記録が可能なインクジェット記録装置を実現する
ことができる。
【0048】次に、この第1の実施の形態における、イ
ンクジェット記録装置のインクジェットヘッド部の変形
例を説明する。図7は、この変形例の構成を示す断面図
であり、前記図3(a)〜(c)に示されるインクジェ
ットヘッド部では、圧電素子101および音響マッチン
グ層105が水平に配置されていたのに対して、この変
形例では、圧電素子131および音響マッチング層13
5は垂直に配置されている。圧電素子131の構成は、
基本的に前記図3(a)と同様であり、圧電体層132
とその両面に被着された第1,第2電極133,134
によって構成される。但し、駆動IC136に接続され
ている第1電極133は、前記音響マッチング層135
に接するように設けられており、第2電極134は、ワ
イヤボンディングされて接地されている。更に、この変
形例ではインク室138が音響マッチング層135の前
面まで延在していると共に、インク室138の底面に凹
面鏡143が形成されている。この凹面鏡143は、前
記図3(a)に示される音響レンズ107に代えて用い
られるものであり、圧電素子131から放射され音響マ
ッチング層135を介して凹面鏡143に入射する超音
波は、凹面鏡143により反射および集束されて図の上
方に向かう。インク室138は、凹面鏡143で反射お
よび集束された超音波の通路を包み込むように徐々に狭
まった形状をなし、超音波の集束点近傍において数十μ
m〜数百μm程度の幅のスリット状のオリフィス140
となる。インク139の表面(インク液面)は、前述し
た第1の実施の形態と同様にオリフィス140の位置と
ほぼ同一面上に位置する。
【0049】このような変形例における、圧電素子13
1の駆動制御は、前述した処理と同様であるので詳細な
説明は省略する。又、前述した駆動制御を実施すること
により、図3〜図6を参照して説明した実施の形態と同
様の効果を得ることができる。
【0050】次に、前述した第1の実施の形態におい
て、凹面レンズ107の代わりにフレネルレンズを用い
た例を図8(a)〜(c)を参照して説明する。図8
(a)は、前記第1の実施の形態においてフレネルレン
ズを用いたインクジェット記録装置のインクジェットヘ
ッド部の概略斜視図であり、図8(b)は、前記図8
(a)に示されるインクジェットヘッド部を8B方向に
見た概略平面図、図8(c)は前記図8(a)に示され
るインクジェットヘッドを8C方向に見た概略平面図で
ある。バッキング材を兼ねた1.1mm厚のガラス基板
160上には、EB蒸着法によりTi/Au電極を厚さ
がそれぞれ0.05μm、0.3μmとなるように形成
した後、エッチング加工を施すことにより、アレイ状に
並ぶ個別電極153が形成されている。この個別電極1
53上には、圧電体152としてrfスパッタ装置を用
いて比誘電率が10で膜厚28μmのZnO薄膜が形成
されている。更に、圧電体152上にTi/Au電極を
厚さがそれぞれ0.05μm、0.3μmとなるように
共通電極154が形成されている。又、副走査方向の電
極の長さ、すなわち口径は2.04mmとし、ガラス基
板160の圧電素子152が形成された面と反対の面は
サンドブラスト処理が施され表面粗さ5μmである。音
響レンズ(フレネルレンズ)157は、音響マッチング
層を兼ねており、密度2.20×103kg/m3 、音
速2.95m/sで、厚さ22μmになるように、エポ
キシ樹脂とアルミナ粉末の混合物を、前記共通電極15
4上に塗布、硬化し、更に所定のパターンを形成するよ
うにエッチング処理が施されている。
【0051】前記圧電体152の両端に電圧が印加され
ることにより圧電素子から超音波が発生する。さらに共
通電極154上には、各圧電素子から発生される超音波
それぞれをインク液面に集束させると共に、各圧電素子
から発生された超音波の集束点が主走査方向と平行な直
線となるように音響レンズ157が配置されている。
【0052】圧電体152に適用できる材料は、圧電材
料であればよく、特に限定されないが、例えば、発生す
る超音波の周波数や素子の大きさなどに応じ、ジルコン
・チタン酸鉛(PZT)などのセラミック、フッ化ビニ
リデンと三フッ化エチレンとの共重合体などの高分子、
ニオブ酸リチウムなどの単結晶、酸化亜鉛などの圧電性
半導体などを適用することができる。更に、この圧電体
152に形成する電極は、通常Ti,Ni,Al,C
u,Auなどを、蒸着やスパッタによる薄膜法や、ガラ
スフリットを銀ペーストなどに混合したスクリ−ン印刷
による焼き付け法などで形成することができる。
【0053】また、圧電素子から発生された超音波は、
側壁161によって保持されたインク159に伝達さ
れ、インク液面近傍で集束する。さらに圧電素子から発
生される超音波の主走査方向(アレイの配列方向)成分
は、m個の圧電素子からなる電圧素子群を制御すること
により集束される。即ち、同時駆動させる圧電素子群の
各圧電素子から発生される超音波が、インク液面近傍の
1点で集束するようなタイミングで、駆動IC156
が、配線162を介して個別電極153に駆動電圧を印
加することにより主走査方向に超音波が集束する。
【0054】このような処理により、インク液面近傍の
ー点に、インク滴を吐出させるのに十分な音圧となるよ
うに圧電素子群から発生された超音波を集束することが
可能となる。これにより、1滴のインクを吐出させるこ
とができる。
【0055】更に、同時に記録できない隣接した記録位
置には、同時に駆動する圧電素子群を、対象とする記録
位置に応じてシフトすることにより、アレイ方向に超音
波をスキャンさせることができる。
【0056】以下、フレネル駆動について説明する。前
述したように、主走査方向の超音波成分は圧電素子群中
の各素子に遅延時間を持たせる、即ち、位相差を持たせ
て圧電素子群を同時駆動させることにより所定の液面に
集束されている。このような位相の設定方法は、フレネ
ル輪帯の理論に基づいてn個の圧電素子を2種類の位相
グループに分ける方法を適用する。具休的には、まず下
記(1)式あるいは(2)式を用いてフレネル輪帯の半
径を求める。
【0057】 r( n) =[(2n−1) λi /2×{ F+( 2n−1) λi /8}]12 …( 1) r( n) =(nλi F)12 …(2) ここで、λi はインク液中での超音波の波長、Fは焦点
距離であり、nはインク液の深さであり0以上の整数で
ある。
【0058】ここで、前記圧電素子群の中心位置からの
距離をDとした時に、 r(2n)<D<r(2n+1) の範囲に存在する圧電素子が、 r(2n)<D<r(2n+2) の範囲に存在する圧電素子に対して位相が逆になるよう
に遅延時間をそれぞれ設定する。
【0059】駆動周波数が50MHz、すなわちインク
液中での超音波の波長が30μm、焦点距離が3.3m
mとした場合に、前記(1)式より求めた各フレネル輪
帯の半径r(n)(n=0〜10)は下記の表1に示さ
れるようになる。
【0060】
【表1】
【0061】ここで、第1の駆動モードでの同時駆動素
子数mを24とし、圧電素子アレイの配列ピッチを85
μm(#1/300インチ)とする。この場合のフレネ
ル輪帯に基づいて決定した圧電素子群の位相配列パター
ンは、下記の表2に示されるようになる。
【0062】
【表2】
【0063】ここでは、各圧電素子に印加される駆動信
号の位相を0位相とそれに対して逆位相のπ位相で示し
ている。24素子からなる圧電素子群を前記表2に示さ
れる位相配列パターンで駆動することにより、各素子か
ら放射された超音波は圧電素子の8番目と9番目の素子
の中間点上のインク液面で集束する。これにより、この
圧電素子の8番目と9番目の中間点上からインク滴が吐
出する。この時のインク液面上での音場(音圧分布)を
図9に示す。
【0064】同じ走査ライン上で、同時にインク滴を吐
出させる位置が同時駆動素子群の幅(85μm×12=
1.36mm)以上離れている場合、前述した駆動モー
ドを用いてアレイ上の複数の位置で圧電素子群を構成
し、駆動することにより、複数の位置でインク滴を吐出
させることができる。また、記録速度よりも、吐出させ
るインク滴の形状の均一化を図って記録画像の品質を向
上させることを優先させる場合、前記駆動モードのみを
用いて、同時駆動する圧電素子群の組み合せを順次アレ
イ方向にずらしてスキャンさせる方法を適用してもよ
い。
【0065】音響レンズ157はフレネル輪帯理論に基
づき、所定の位置に焦点距離を合わせて溝を加工する。
以上説明した駆動制御はあくまでもインク滴が1滴の場
合であり、多階調を実現するためには、前述した処理と
同様の駆動制御を行えばよい。従って、詳細な説明は省
略する。又、前述した駆動制御を実施することにより、
図3〜図6を参照して説明した実施の形態と同様の効果
を得ることができる。
【0066】更に、凹面レンズの代わりにフレネルレン
ズを用いることにより、レンズが平面構造のレンズとな
り、音響マッチング層を含む積層構造となる。従って、
パタ−ニング、エッチングなどのリソグラフィ技術を適
用して生産が可能となり、製造性に優れる。
【0067】次に、図10〜図13を参照してこの発明
に係るインクジェット記録装置の第2の実施の形態を説
明する。この第2の実施の形態では、奇数次だけではな
く、偶数次の超音波を励起する構造を有する圧電素子を
用い、この圧電素子に印加する駆動信号の周波数を制御
することにより吐出されるインク滴の大きさを変更し、
多階調の記録を行う。
【0068】図10(a)〜(c)は、この第2の実施
の形態に適用される積層型圧電素子の種々の例を示す断
面図である。図10(a)に示される圧電素子は、第1
及び第2の圧電体層201,202が音響的に直列に接
続され、さらに圧電体層201,202はその分極方向
が同図において矢印に示されるように、互いに逆向きに
分極されている。圧電体層201の圧電体層202と反
対側の面上、圧電体層201と圧電体層202との間、
及び圧電体層202の圧電体層201と反対側の面上に
は、電極203,204及び205がそれぞれ設けられ
ている。この積層型圧電素子の両側の電極203,20
5には、一対の引き出し端子206,207がそれぞれ
設けられている。この引き出し端子206,207間に
高周波の駆動信号を印加すると、圧電体層201,20
2には互いに逆向きに電界がかかる。
【0069】図10(b)に示される圧電素子は、圧電
体層201,202が、同図の矢印に示されるように同
じ向きに分極されている点と、引き出し端子206,2
07が電極203と内層の電極204にそれぞれ設けら
れている点とが前記図10(a)示されている圧電素子
と異なっている。ここで、引き出し端子206,207
間に高周波の駆動信号を印加すると、圧電体層201,
202には互いに逆向きの電界がかかる。
【0070】図10(c)に示される圧電素子は、第1
の圧電体層201のみが分極され、引き出し端子20
6,207が電極203と内層の電極204にそれぞれ
設けられている点が前記図10(a)に示される圧電素
子と異なっている。この場合、引き出し端子206,2
07間に高周波の駆動信号を印加すると、圧電体層20
1のみに電界がかかる。
【0071】圧電体層201,202を構成する圧電材
料には、例えばジルコン酸チタン酸鉛(PZT)やチタ
ン酸鉛などのセラミック圧電材料、ZnOやAlNなど
の半導体圧電材料、またポリ弗化ビニリデン(PVD
F)やポリ弗化ビリニデンと二弗化エチレンの共重合体
(P(VDF−TrFE))などの高分子圧電材料など
を用いることができる。
【0072】また、電極203,204,205の材料
としては、例えばTi,Ni,Al,Cu,Cr,Au
などの単層あるいは積層の金属蒸着膜、また銀ペースト
にガラスフリットを混合して印刷塗布した後に焼き付け
処理を行った金属焼き付け膜などを用いることができ
る。更に、内層の電極204については、両側の圧電体
層201,202のいずれかあるいは両方に電極を形成
した後に貼り合わせてもよく、あるいは圧電体層20
1,202がセラミックの場合、ドクタ・ブレード法を
用いて電極204を圧電体層201,202と共に一体
焼成して作製することも可能である。特に、電極204
と圧電体層201,202を一体焼成する場合には、電
極204として一体焼成温度よりも高融点の電極材料を
用いることが望ましく、例えばPt,Ag/Pd系など
にセラミック粉を混合したものが用いられる。
【0073】なお、前記図10(c)に示される圧電素
子において、分極されていない圧電体層202について
は、分極された圧電体層201と同じ音響インピーダン
スを持つ材質の非圧電材料で置換することができる。従
って、例えば分極された単板構造の圧電素子を圧電体層
と同じ音響インピーダンスを持つ樹脂などで回路基板上
に固定するなどの態様をとることも可能である。
【0074】図10(a)における電極204は、圧電
体層201,202を分極するために用いられ、分極後
には電極としての機能は必要とされない。従って、図1
0(a)に示される圧電体素子は、圧電体層201,2
02中に内部電極として形成される電極204が圧電体
層201,202中に拡散し、電極しての信頼性が低下
するおそれがある前記図10(a)〜(c)に示される
圧電素子に比較して、その信頼性が向上する。また、図
10(c)に示される圧電素子は、電極205の形成が
不要な分、製造工程を簡略化できる上に、電極203,
204間の圧電体層201の厚みを任意の厚さに設定す
ることが可能であるため(圧電体層202と同じ厚さを
除く)、駆動回路等との間の配線が容易となる。
【0075】次に、前述した図10(a)〜(c)に示
される圧電素子における、圧電体層と基本共振周波数と
の関係を説明する。図10(a)〜(c)に示される圧
電素子において、基本共振周波数f1は圧電体層20
1,202の合計の厚さtで決まり、具体的にはtがほ
ぼ半波長となる周波数となる。又、圧電体層201,2
02の界面で反射がほとんど生じないことが、f1のn
次高調波(nは2以上の整数)が発生する条件である。
このような条件を満足するためには、圧電体層201,
202は同一材料で構成することが好ましいが、音響イ
ンピーダンス(密度と音速の積)が±20%以内のもの
であれば必ずしも同一材料でなくともよい。
【0076】圧電体層201,202の合計の厚さtを
固定して個々の厚さを変えると、基本共振周波数を含む
奇数次高調波と偶数次高調波の駆動電圧に対する超音波
への変換効率、すなわち電気機械変換効率が変化する。
通常、インク滴の吐出に必要なエネルギーは、基本共振
周波数が高周波になるほど少ない。図10(a)〜
(c)おいて、電極203側から超音波がインク中に放
射される場合、圧電体層201を圧電体層202よりも
2倍以上厚くすることにより、2次高調波による電気機
械変換効率は圧電体層201の方が大きくなる。その結
果、駆動回路との電気的整合を考慮した上で、インク滴
の吐出に必要な最小駆動電圧を、基本共振周波数を含む
奇数次高調波による場合と偶数次高調波による場合とを
ほぼ同じにすることが可能となる。圧電体層201,2
02の全体が有する電気機械変換効率は一定であるの
で、前述したように圧電体層201,202の厚さの比
を変更することは、各圧電体層に係る電気機械変換効率
を調整することを意味する。
【0077】また、図10(a)〜(c)に示される圧
電素子の構成の違いは、駆動回路との電気的整合性と、
引き出し端子を設けるため電極からリードする場合の簡
易性にそれぞれ特徴がある。図10(a),(b)は、
圧電体層201,202が電気的に直列接続か並列接続
かの違いであり、電気的インピーダンスは図10(a)
に示される圧電素子の方が大きくなる。図10(c)で
は、圧電体層201のみによりインピーダンスが決ま
る。従って、図10(a)〜(c)に示される各圧電素
子は、使用する圧電材料の誘電率と周波数定数によって
使い分けられる。また、電極からのリードの引き出しに
ついては、図10(a)に示される圧電素子は引き出し
端子206,207が両方とも外部電極からであるのに
対し、図10(b),(c)は一方の引き出し端子が内
部電極からリードすることになる。従って、前記整合性
と同様に、使用用途に応じて圧電素子の構成が選択され
る。
【0078】電極203,204,205の厚さは、駆
動周波数で決まる波長の1%以下が望ましい。これは、
一般に電極材料と圧電材料は音響インピーダンスが異な
るため、圧電材料の共振に影響を与えないようにするた
めである。
【0079】このように、被記録体上に記録すべき画像
の階調レベルに応じて、圧電素子への前記駆動信号の周
波数を切り替えることによって、インク滴の大きさを変
えることができ、多階調の記録が可能となる。
【0080】次に、上述した積層型圧電素子を用いたイ
ンクジェット記録装置の一例を説明する。図11は、こ
の第2の実施の形態に係るインクジェット記録装置のイ
ンクジェットヘッド部の構成を示す断面図である。この
インクジェットヘッド部において、圧電素子211に
は、前記図10(a)に示される構造を有する圧電素子
を適用している。この圧電素子211は、例えば耐熱ガ
ラスで構成される音響マッチング層215上に形成され
ている。電極203は音響マッチング層215上の圧電
素子211側に実装された駆動IC216にワイヤボン
ディング等により電気的に接続されており、電極205
は電気的に接地されている。
【0081】音響マッチング層215の圧電素子211
と反対側に面上には、音響レンズ217が接着されてお
り、この音響レンズ217の音響マッチング層215と
反対側の面はインク室218内のインク219の底面に
接している。なお、この例では音響レンズ217として
凹面レンズを用いているが、フレネルレンズを用いても
よい。
【0082】インク室218は、音響レンズ217によ
って集束する超音波の通路を包み込むように徐々に狭ま
った形状をなし、超音波の集束点近傍において数十μm
〜数百μm程度の幅のスリット状のオリフィス220と
なる。インク219の表面(インク液面)は、オリフィ
ス220の位置とほぼ同一面上に位置する。
【0083】駆動IC216は、階調画像データに応じ
て圧電素子211に高周波の駆動信号を供給する。これ
により圧電素子211から超音波が音響マッチング層2
15側に放射される。放射された超音波は、音響レンズ
217により集束され、インク液面近傍に点状に集束す
る。インク液面近傍に集束された超音波による圧力(放
射圧)によって、インク液面に円錐状のインクメニスカ
ス221が形成され、形成されたインクメニスカス22
1の先端からインク滴222が吐出される。吐出された
インク滴222は図示しない被記録体に付着し、被記録
体に付着したインク滴22は乾燥して定着する。のイン
クジェットヘッド部と被記録体を相対的に移動させて主
走査および副走査を行いつつ同様の動作を行うことによ
り、被記録体上に2次元の画像を記録することができ
る。
【0084】次に、被記録体上に、複数の階調レベルに
応じて画像を記録する階調制御処理について説明する。
駆動IC216は被記録体上に記録すべき画像(階調画
像)の階調レベルに応じ、即ち階調画像データの濃度値
に応じて、圧電素子211に印加する駆動信号の周波数
を切り替える機能を有する。この周波数切り替え機能に
より、インク液面からのインク滴の大きさを変化させて
被記録体上に階調画像を記録することが可能となる。図
12は、駆動IC216の動作原理を示す図であり、周
波数f1,f2,…,fNの高周波駆動信号源を有し、
画像データの濃度値に応じてスイッチ223を切り替え
ることにより、f1,f2,…,fNの高周波駆動信号
の一つを圧電素子211に印加する構成である。ここ
で、f1は圧電素子211の基本周波数、f2,…,f
Nは2次高調波、3次高調波、4次高調波、…N次高調
波の周波数である。このように、図11に示されるよう
に、インクジェットヘッドが1つの圧電素子で1個のイ
ンク滴を吐出し、1画素を記録する構成の場合、前述し
た駆動信号周波数を切り替えることにより、インク滴の
大きさがN種類となるため、N階調の階調画像を記録す
ることができる。
【0085】具体的に、圧電材料として比誘電率が20
00のPZT(ジルコンチタン酸鉛)系セラミックを用
い、電極としてTi/Auを0.05μm/0.2μm
の巻く津圧となるようにスパッタ形成し、圧電体層20
1の厚さを115μm、圧電体層202の厚さを55μ
mとした圧電素子を用いて実験したところ、N=3、f
1=10MHz(f2=20MHz,f3=30MH
z)であり、インク滴の大きさはf1では200μm、
f2では100μm、f3では約70μmと、圧電素子
に印加する駆動信号の周波数にほぼ反比例する形でイン
ク滴の大きさが3段階に変化した。
【0086】従来の単板構造の圧電素子では、基本波周
波数および奇数次の周波数でのみしか駆動できないた
め、インク滴の大きさを3段階に変化させようとする
と、同じくf1=10MHzの場合、圧電素子に印加す
る駆動信号の周波数をf1=10MHz,f3=30M
Hz,f5=50MHzの3段階に変化させることにな
るが、圧電素子は高次周波数の共振ほど効率が急激に低
下ため、例えばf5=50MHzでは超音波のパワーが
低下し、インク滴の形成が難しくなる可能性がある。こ
れに対して、この第2の実施の形態によればインク滴の
大きさを同じ3段階に変化させる場合でも、圧電素子に
印加する駆動信号の最高周波数はf3=30MHzでよ
く、この最高周波数でも超音波のパワーを比較的大きく
確保することができる。
【0087】図13は、この第2の実施の形態に係るイ
ンクジェット記録装置のインクジェットヘッド部の変形
例であり、複数の圧電素子を1次元に配列した圧電素子
アレイを用いたフェーズドアレイ型超音波インクジェッ
トヘッドのアレイ方向に沿う断面図を示している。圧電
素子アレイ231は、基本的には、前記図10(a)に
示される構造の圧電素子を1次元に配列した構成となっ
ており、前記図11と同様に例えば耐熱ガラス製の音響
マッチング層235上に形成されている。この場合、圧
電体層201上の電極203は全体としてはアレイ方向
に延びた帯状に形成されているが、分離された複数の圧
電素子を形成するように分離されている。又、圧電体層
202の下部の電極205は各圧電素子に共通の帯状電
極である。分離された電極203の各々は、音響マッチ
ング層235上の圧電素子アレイ231側に実装された
駆動IC236(尚、図13では簡単な等価回路で示し
ている)にワイヤボンディング等により電気的に接続さ
れており、共通の帯状電極である電極205は電気的に
接地されている。
【0088】音響マッチング層235の圧電素子アレイ
231と反対側に面上には、圧電素子アレイ231のア
レイ方向および超音波の放射方向と直交する方向に超音
波を集束するための一次元音響レンズ237が接着され
ており、この音響レンズ237の音響マッチング層23
5と反対側の面はインク室内のインク239の底面に接
している。なお、この例では一次元音響レンズ237と
して凹面レンズを用いているが、平面構造のフレネルレ
ンズを用いてもよい。インク室は、圧電素子アレイ23
1によるフェーズドアレイ走査および一次元音響レンズ
237によって集束する超音波の通路を包み込むように
徐々に狭まった形状をなし、超音波の集束点近傍におい
て、数十μm〜数百μm程度の幅のスリット状のオリフ
ィス240が形成されている。インク239の表面(イ
ンク液面)は、オリフィス240の位置とほぼ同一面上
に位置する。
【0089】駆動IC236は、階調画像データに応じ
て圧電素子アレイ231のアレイ方向に隣接する所定数
の圧電素子を1ブロックとしてブロック単位で駆動する
ことによって、フェーズドアレイ走査を行う。具体的に
は、選択したブロックの各圧電素子に所定の位相差を持
たせた高周波の駆動信号を駆動信号源251からスイッ
チ252を介して供給し、それらの圧電素子を同時に駆
動することによって、圧電素子アレイ231から放射さ
れる超音波をアレイ方向に集束させる。この動作を同時
駆動する圧電素子の位置を例えば1素子分ずつ順次ずら
せて繰り返し行うことにより、集束される超音波の放射
方向をアレイ方向にリニアに移動することができる。
【0090】圧電素子アレイ231から放射されるアレ
イ方向に集束された超音波は、音響マッチング層235
を介して一次元音響レンズ237に入射され、更に、ア
レイ方向と直交する方向に集束され、インク液面近傍に
点状に集束する。以後は、前述した実施の形態と同様に
インク液面近傍に集束された超音波により発生した圧力
(放射圧)によってインク液面に円錐状のインクメニス
カス241が成長し、このインクメニスカス241の先
端からインク滴242が吐出される。吐出されたインク
滴242は図示しない被記録体に付着し、被記録体に付
着したインク滴242は乾燥して定着する。この場合、
圧電素子アレイ231のアレイ方向への超音波の移動に
よって主走査を行った後、インクジェットヘッド部と被
記録体をアレイ方向(主走査方向)と直交する方向に相
対的に移動させて副走査を行い、同様の動作を繰返し行
うことにより、被記録体上に2次元の画像を記録するこ
とができる。
【0091】ここで、駆動IC236の駆動信号源は、
複数の周波数(図13では2種類の周波数)でかつ位相
を制御できるように構成されており、駆動IC236
は、被記録体上に記録すべき画像(階調画像)の階調レ
ベルに応じて、つまり画像データの濃度値に応じてイン
ク液面からのインク滴の大きさが変化するように圧電素
子アレイ231への駆動信号の周波数を制御する機能を
有する。このようにインクジェットヘッドからのインク
滴の大きさが変化することにより、被記録体上に階調画
像を記録することができる。また、駆動信号の位相を先
の実施の形態と同様に制御することにより、超音波を圧
電素子アレイのアレイ方向に集束させることができる。
【0092】以上説明したように、この第2の実施の形
態によれば、奇数次のみならず偶数次の超音波を励起で
きる積層構造の圧電素子を用い、圧電素子から放射され
る超音波の周波数をより多段階に変化させてインク滴の
大きさを広範囲に変えることができるため、多階調の記
録が可能であり、しかも圧電素子の1回の駆動で1画素
を記録できるので高速の記録ができる。さらに、インク
滴の大きさを変化させることにより画点の大きさや濃度
の変化が得られるため、面積階調法において2値面積階
調に比較してより小さな画素内で同一の階調が得られる
多値面積階調を行うことができ、解像度の点でも有利と
なる。
【0093】
【発明の効果】以上詳述したように、この第1の実施の
形態によれば、圧電素子への駆動信号印加時間を制御す
ることでインク滴の吐出数を変化させ、これにより圧電
素子の1回の駆動で階調記録を行うことができるため、
高速の階調記録が可能であり、また駆動信号印加時間の
変化幅を大きくすることにより容易に階調数増やすこと
ができる。従って、多階調の記録ができ、高速で且つ高
画質の記録が可能なインクジェット記録装置を実現する
ことができる。
【0094】又、この第2の実施の形態によれば、奇数
次のみならず偶数次の超音波を励起できる積層構造の圧
電素子を用い、圧電素子から放射される超音波の周波数
をより多段階に変化させてインク滴の大きさを広範囲に
変えることができるため、多階調の記録が可能であり、
しかも圧電素子の1回の駆動で1画素を記録できるので
高速の記録ができる。さらに、インク滴の大きさを変化
させることにより画点の大きさや濃度の変化が得られる
ため、面積階調法において2値面積階調に比較してより
小さな画素内で同一の階調が得られる多値面積階調を行
うことができ、解像度の点でも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係るインクジェ
ット記録装置における、インク吐出原理を説明するため
の図であり、吐出数が1個の場合と2個の場合のインク
滴吐出過程を示す図。
【図2】インク滴吐出過程を得るために圧電素子に印加
する駆動信号波形の例を示す図。
【図3】この発明の第1の実施の形態に係るインクジェ
ット記録装置のインクジェットヘッド部の構成を説明す
るための図。
【図4】前記第1の実施の形態におけるインクジェット
記録装置の駆動処理を説明するための模式図。
【図5】前記第1の実施の形態におけるインクジェット
記録装置の駆動処理において圧電素子アレイに印加され
る各種信号波形を示す図。
【図6】前記第1の実施の形態におけるインクジェット
記録装置における駆動ICの内部構成の一例を示すブロ
ック図。
【図7】前記第1の実施の形態に係るインクジェット記
録装置における、インクジェットヘッド部の変形例を示
す図。
【図8】前記第1の実施の形態に係るインクジェット記
録装置において、フレネルレンズを適用した場合のイン
クジェットヘッド部を説明する図。
【図9】前記フレネルレンズを適用した場合のインクジ
ェットヘッド部において、インク液面上での音場(音圧
分布)の一例を示すグラフ。
【図10】この発明の第2の実施の形態に係るインクジ
ェット記録装置のインクジェットヘッド部に適用される
各種圧電素子の断面図。
【図11】前記第2の実施の形態に係るインクジェット
ヘッド部の構成を示す断面図。
【図12】前記第2の実施の形態に係るインクジェット
記録装置における駆動ICの動作を説明するための模式
図。
【図13】前記第2の実施の形態に係るインクジェット
記録装置におけるインクジェットヘッド部の変形例を示
す図。
【符号の説明】
101…圧電素子 102…圧電体層 103,104…電極 105…音響マッチング層 106…駆動IC 107…音響レンズ(凹面
レンズ) 108…インク室 109…液体インク 110…オリフィス 111…インクメニスカス 112…インク滴 120…階調画像データ 121…駆動パターン制御
回路 122−1〜122−n…駆動信号セレクタ 123…駆動信号分配回路 124…ドライバ素子群 131…圧電素子 132…圧電体層 133,134…電極 135…音響マッチング層 136…駆動IC 137…音響レンズ 138…インク室 139…液体インク 140…オリフィス 141…インクメニスカス 142…インク滴 143…凹面鏡 152…圧電体層 153,154…電極 156…駆動IC 157…音響レンズ(フレ
ネルレンズ) 159…液体インク 160…ガラス基板 161…側壁 162…配線 201,202…圧電体層 203,204,205…
電極 206,207…引き出し端子 211…圧電素子 215…音響マッチング層 216…駆動IC 217…音響レンズ 218…インク室 219…液体インク 220…オリフィス 221…インクメニスカス 222…インク滴 223…スイッチ 231…圧電素子アレイ 235…音響マッチング層 236…駆動IC 237…音響レンズ 239…液体インク 240…オリフィス 241…インクメニスカス 242…インク滴 251…駆動信号源 252…スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 泉 守 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 田沼 千秋 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体インクを保持するインク保持室と、 前記液体インクに音響的に接続された圧電素子からなる
    超音波発生器と、 前記液体インクの表面からインク滴群が吐出するよう
    に、前記超音波発生器に一連の駆動信号を印加する駆動
    信号印加手段と、 前記インク滴群のインク滴数が所望の階調に応じたイン
    ク滴数になるように前記駆動時間を制御する第1の制御
    手段とを具備することを特徴とするインクジェット記録
    装置。
  2. 【請求項2】 複数のインク滴群を吐出させる際、第1
    のインク滴群の全てのインク滴が吐出した後に次のイン
    ク滴群を吐出させるための一連の駆動信号を印加するよ
    うに駆動間隔を制御する第2の制御手段を具備すること
    を特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記超音波発生器から生じる超音波を前
    記液体インクの表面近傍に集束させる集束手段を具備す
    ることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録
    装置。
  4. 【請求項4】 前記超音波発生器は、複数の圧電素子が
    配列されたことを特徴とする請求項1記載のインクジェ
    ット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記集束手段は、複数の圧電素子が配列
    された圧電素子に、前記液体インクの表面近傍に超音波
    が集束するように、異なる位相の駆動信号を印加するこ
    とを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装
    置。
  6. 【請求項6】 前記集束手段は、音響レンズであること
    を特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】 前記集束手段は、フレネルレンズである
    ことを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装
    置。
  8. 【請求項8】 前記インク滴群のインク滴数が1の場合
    の前記一連の駆動信号の印加時間の最短時間をtとした
    時、インク滴群のインク滴数を2以上にするために一連
    の駆動信号の印加時間を1.2t以上にすることを特徴
    とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 液体インクを保持するインク保持室と、 前記液体インクに音響的に接続された圧電素子からなる
    超音波発生器と、 前記液体インクの表面からインク滴群を吐出するよう
    に、前記超音波発生器に駆動信号を印加する駆動信号印
    加手段と、 複数のインク滴群を吐出させる際、第1のインク滴群の
    全てのインク滴が吐出した後に次のインク滴群を吐出さ
    せるための駆動信号を印加するように駆動間隔を制御す
    る第1制御手段とを具備することを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  10. 【請求項10】 前記インク滴群のインク滴数が所望の
    階調に応じたインク滴数になるように前記駆動時間を制
    御する第2制御手段を具備することを特徴とする請求項
    9記載のインクジェット記録装置。
  11. 【請求項11】 液体インクを保持するインク保持室
    と、 順次積層された第1電極、第1圧電体層、第2電極、及
    び第2圧電体層からなり、前記液体インクと音響的に接
    続された圧電素子と、 前記液体インクの液面からインク滴が吐出するように、
    前記圧電素子に駆動信号を印加する駆動信号印加手段と
    を具備することを特徴とするインクジェット記録装置。
JP3372596A 1995-02-21 1996-02-21 インクジェット記録装置 Expired - Fee Related JP3519535B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3372596A JP3519535B2 (ja) 1995-02-21 1996-02-21 インクジェット記録装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-32363 1995-02-21
JP3236395 1995-02-21
JP3372596A JP3519535B2 (ja) 1995-02-21 1996-02-21 インクジェット記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08290587A true JPH08290587A (ja) 1996-11-05
JP3519535B2 JP3519535B2 (ja) 2004-04-19

Family

ID=26370918

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3372596A Expired - Fee Related JP3519535B2 (ja) 1995-02-21 1996-02-21 インクジェット記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3519535B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6412895B1 (en) 1997-10-23 2002-07-02 Nec Corporation Electrostatic ink jet printer
US6422685B1 (en) 2000-05-16 2002-07-23 Fuji Xerox Co., Ltd. Driving circuit for acoustic printer and acoustic printer using the same
US6450615B2 (en) 1997-02-19 2002-09-17 Nec Corporation Ink jet printing apparatus and method using a pressure generating device to induce surface waves in an ink meniscus
WO2020092407A1 (en) * 2018-10-29 2020-05-07 Labcyte Inc. Acoustic droplet ejection of non-newtonian fluids

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6450615B2 (en) 1997-02-19 2002-09-17 Nec Corporation Ink jet printing apparatus and method using a pressure generating device to induce surface waves in an ink meniscus
US6412895B1 (en) 1997-10-23 2002-07-02 Nec Corporation Electrostatic ink jet printer
US6422685B1 (en) 2000-05-16 2002-07-23 Fuji Xerox Co., Ltd. Driving circuit for acoustic printer and acoustic printer using the same
WO2020092407A1 (en) * 2018-10-29 2020-05-07 Labcyte Inc. Acoustic droplet ejection of non-newtonian fluids
KR20210073559A (ko) * 2018-10-29 2021-06-18 랩사이트 아이엔씨. 비-뉴턴 유체의 음향 액적 토출
CN113195102A (zh) * 2018-10-29 2021-07-30 拉伯赛特股份有限公司 非牛顿流体的声学液滴喷射
JP2022509515A (ja) * 2018-10-29 2022-01-20 ラブサイト インコーポレイテッド 非ニュートン流体の音響液滴吐出
AU2019370221B2 (en) * 2018-10-29 2023-05-11 Labcyte Inc. Acoustic droplet ejection of non-Newtonian fluids
CN113195102B (zh) * 2018-10-29 2023-09-15 拉伯赛特股份有限公司 非牛顿流体的声学液滴喷射
US11890870B2 (en) 2018-10-29 2024-02-06 Labcyte, Inc. Acoustic droplet ejection of non-newtonian fluids

Also Published As

Publication number Publication date
JP3519535B2 (ja) 2004-04-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0728584B1 (en) Ink-jet printer
EP0692383B1 (en) Ink jet recording device
JPS63162253A (ja) インク印刷用音響プリントヘッド
JP3805756B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3413048B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3519535B2 (ja) インクジェット記録装置
US6123412A (en) Supersonic wave, ink jet recording apparatus including ink circulation means
JP2000025216A (ja) 音響小滴噴出装置及びそれを用いた印刷における均一性を改善する方法
JP3450703B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3512605B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3466829B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3432934B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3720958B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3426954B2 (ja) インクジェット記録装置
JPH0939224A (ja) インクジェット記録装置
JPH1191093A (ja) インクジェット記録装置
JP3469036B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3425292B2 (ja) インクジェット記録装置
JP3455415B2 (ja) インクジェット記録装置
JPH1177994A (ja) インクジェット記録装置
JPH1177995A (ja) インクジェット記録装置
JP3486080B2 (ja) インクジェット記録装置
JPH1086406A (ja) インクジェット記録装置
JPH09150502A (ja) 液滴噴射装置
JPH11254666A (ja) 記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040127

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040129

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080206

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090206

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110206

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 8

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130206

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140206

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees