JPH08290176A - シアン含有廃水の処理方法 - Google Patents

シアン含有廃水の処理方法

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JPH08290176A
JPH08290176A JP9385395A JP9385395A JPH08290176A JP H08290176 A JPH08290176 A JP H08290176A JP 9385395 A JP9385395 A JP 9385395A JP 9385395 A JP9385395 A JP 9385395A JP H08290176 A JPH08290176 A JP H08290176A
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JP
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treatment liquid
liquid
temperature
wastewater
cyanide
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JP9385395A
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English (en)
Inventor
Michio Futagawa
道夫 二川
Yoshiaki Harada
吉明 原田
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】付加的な処理を要せずに、シアン含有廃水中の
シアンを完全に且つ安価に分解し得る新たな技術を提供
する。 【構成】シアン含有廃水を最終処理液との熱交換により
150℃に加熱後、第一反応塔5内にて、廃水が液相を
維持する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン化合物等を分
解するに必要な理論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸
化処理して、生成したスラッジおよび/または金属成分
を第一反応塔から除去する。得られた処理液の残余に硫
黄化合物を加え、第二反応塔14内において、金属を活
性成分とする触媒の存在下且つ処理液中のシアン化合物
等を分解するに必要な理論酸素量以上の酸素の存在下
に、150℃以上且つ処理液が液相を維持する圧力に保
ち、湿式酸化処理して、得られた高温高圧の処理液を常
温常圧に戻し、スラッジおよび/または金属成分を分離
除去して最終処理液を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遊離シアン、シアン錯
塩、シアン錯イオン、金属シアンなどを含むシアン含有
廃水(以下においては、この廃水を単にシアン含有廃水
ということがある)の処理方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】シアン含有廃水中のシアン分
解方法としては、塩素系薬品、オゾン、鉄塩などの薬剤
による処理法のほかに、熱分解乃至熱加水法などの種々
の方法が提案されている。
【0003】例えば、特公昭52−45679号は、
「150℃以上の温度において加熱処理することを特徴
とするテトラシアノニッケル酸塩・シアン廃液の処理方
法」を開示している。
【0004】特公昭55−50718号は、「鉄シアン
錯イオンを含むシアン廃液を、該廃液中の鉄シアン錯イ
オン/モルあたり2モル以上のアルカリ金属水酸化物の
共存下において140℃以上の温度で加熱処理すること
を特徴とする鉄シアン錯イオンを含むシアン廃液の処理
方法」を開示している。
【0005】特開平1−115490号は、基本的に
は、シアン廃液を予熱後、加熱用蒸気により高温高圧下
で熱加水分解する方法を開示している。
【0006】特開平1−194997号は、「シアン含
有液中のシアンを熱分解した熱分解液を、通性嫌気性菌
を馴養変性させた好気性菌にて処理することを特徴とす
るシアン含有液の処理方法」を開示している。
【0007】しかしながら、薬剤による処理は、経済性
の面からも適用できる廃水中のシアン濃度に限界があ
り、また鉄塩を加えて難溶性錯塩とする方法は、シアン
を含むスラッジの処理を必要とする。
【0008】さらに、熱分解法には、(イ)シアン錯イ
オンの種類によっては、シアン化合物を完全に分解する
ために長時間を必要とするので、通常の処理方法では、
処理後のスラッジ中にシアンの一部が残留する、(ロ)
このため、処理水をさらに生物処理する方法が提案され
ているが(特開平1−194997号参照)、この方法
では、特定の菌体による処理が必要であり、また、窒素
除去を必要とする場合には、アンモニアストリッパー或
いは生物学的脱窒設備を必要とする、(ハ)処理方法が
回分式である場合には、大量の廃水処理には適さない、
などの問題点がある。
【0009】一般的には、シアンを含むスラッジは、有
害廃棄物として処理する必要がある。また、従来の処理
方法によれば、シアン錯イオンを含む高濃度シアン含有
廃液の処理は、工程が複雑となり、処理コストが高くな
る、などの問題点がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、付
加的な処理を必要とすることなく、シアン含有廃水中の
シアンを実質的に完全に且つ安価に分解し得る新たな技
術を提供することを主な目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の様な
技術の現状に鑑みて種々研究を重ねた結果、特定の条件
下にシアン含有廃水を湿式酸化処理する場合には、上記
の課題をほぼ達成し得ることを見出した。
【0012】即ち、本発明は、下記の方法を提供するも
のである; I.(1)シアン含有廃水を最終処理液との熱交換によ
り予め150℃までの温度に加熱した後、第一の反応塔
内において、150℃以上の温度且つ廃水が液相を維持
する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン化合物、窒素化合
物、有機性物質および無機性物質を分解するに必要な理
論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸化処理する工程、
(2)上記(1)の工程で生成したスラッジおよび/ま
たは金属成分を第一の反応塔から除去する工程、(3)
上記(1)の工程で得られた高温高圧の処理液の残余に
硫酸、硫黄および硫黄化合物の少なくとも1種を加え、
第二の反応塔内において、金属および金属化合物の少な
くとも1種を活性成分とする触媒の存在下且つ処理液中
のシアン化合物、窒素化合物、有機性物質および無機性
物質を分解するに必要な理論酸素量以上の酸素の存在下
に、150℃以上の温度且つ処理液が液相を維持する圧
力に保ちつつ、湿式酸化処理する工程、および(4)上
記(3)の工程で得られた高温高圧の処理液を常温常圧
に戻した後、スラッジおよび/または金属成分を分離除
去することにより、最終処理液を得る工程を備えたこと
を特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
【0013】II.(1)シアン含有廃水を最終処理液
との熱交換により予め150℃までの温度に加熱した
後、第一の反応塔内において、150℃以上の温度且つ
廃水が液相を維持する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン
化合物、窒素化合物、有機性物質および無機性物質を分
解するに必要な理論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸
化処理する工程、(2)上記(1)の工程で生成したス
ラッジおよび/または金属成分を第一の反応塔から除去
する工程、(3)上記(1)の工程で得られた高温高圧
の処理液の残余に硫酸、硫黄および硫黄化合物の少なく
とも1種を加え、第二の反応塔内において、金属および
金属化合物の少なくとも1種を活性成分とする触媒の存
在下且つ処理液中のシアン化合物、窒素化合物、有機性
物質および無機性物質を分解するに必要な理論酸素量以
上の酸素の存在下に、150℃以上の温度且つ処理液が
液相を維持する圧力に保ちつつ、湿式酸化処理する工
程、(4)上記工程(3)における処理後の気液分離に
より得られた気相の少なくとも一部を上記工程(1)に
循環して、工程(1)における酸素源として利用する工
程、および(5)上記(3)の工程で得られた高温高圧
の処理液を常温常圧に戻した後、スラッジおよび/また
は金属成分を分離除去することにより、最終処理液を得
る工程を備えたことを特徴とするシアン含有廃水の処理
方法。
【0014】III.(1)シアン含有廃水を最終処理
液との熱交換により予め150℃までの温度に加熱した
後、第一の反応塔内において、150℃以上の温度且つ
廃水が液相を維持する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン
化合物、窒素化合物、有機性物質および無機性物質を分
解するに必要な理論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸
化処理する工程、(2)上記(1)の工程で生成したス
ラッジおよび/または金属成分を第一の反応塔から除去
する工程、(3)上記(1)の工程で得られた高温高圧
の処理液に硫酸、硫黄および硫黄化合物の少なくとも1
種を加え、第二の反応塔内において、金属および金属化
合物の少なくとも1種を活性成分とする触媒の存在下且
つ処理液中のシアン化合物、窒素化合物、有機性物質お
よび無機性物質を分解するに必要な理論酸素量以上の酸
素の存在下に、150℃の温度且つ処理液が液相を維持
する圧力に保ちつつ、湿式酸化処理する工程、(4)上
記(3)の工程における処理後の気液分離により得られ
た液相の少なくとも一部を上記(3)の工程での処理液
の1〜10倍量の割合で工程(3)に循環する工程、お
よび(5)上記(3)の工程で得られた高温高圧の処理
液を常温常圧に戻した後、スラッジおよび/または金属
成分を分離除去することにより、最終処理液を得る工程
を備えたことを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
【0015】IV.(1)シアン含有廃水を最終処理液
との熱交換により予め150℃までの温度に加熱した
後、第一の反応塔内において、150℃以上の温度且つ
廃水が液相を維持する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン
化合物、窒素化合物、有機性物質および無機性物質を分
解するに必要な理論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸
化処理する工程、(2)上記(1)の工程で生成したス
ラッジおよび/または金属成分を第一の反応塔から除去
する工程、(3)上記(1)の工程で得られた高温高圧
の処理液に硫酸、硫黄および硫黄化合物の少なくとも1
種を加え、第二の反応塔内において、金属および金属化
合物の少なくとも1種を活性成分とする触媒の存在下且
つ処理液中のシアン化合物、窒素化合物、有機性物質お
よび無機性物質を分解するに必要な理論酸素量以上の酸
素の存在下に、150℃以上の温度且つ処理液が液相を
維持する圧力に保ちつつ、湿式酸化処理する工程、
(4)上記工程(3)における処理後の気液分離により
得られた気相の少なくとも一部を上記工程(1)に循環
して、工程(1)における酸素源として利用する工程、
および(5)上記(3)の工程における処理後の気液分
離により得られた液相の少なくとも一部を上記(3)の
工程での処理液の1〜10倍量の割合で工程(3)に循
環する工程、および(6)上記(3)の工程で得られた
高温高圧の処理液を常温常圧に戻した後、スラッジおよ
び/または金属成分を分離除去することにより、最終処
理液を得る工程を備えたことを特徴とするシアン含有廃
水の処理方法。
【0016】なお、以下においては、上記I乃至IVの
発明をそれぞれ本願第1発明乃至本願第4発明といい、
全ての発明を総括する場合には、単に本発明という。
【0017】本発明が対象とするシアン含有廃水は、特
に限定されず、メッキ産業から排出される各種のシアン
含有廃液、鉄鋼類の軟窒化処理、液体浸炭処理、化成処
理などの表面処理に使用されるシアン液、これらの表面
処理過程から排出されるシアン廃液などが例示される。
これらのシアン含有廃水は、さらに各種の有機性および
無機性の物質(ギ酸、酢酸などの有機酸など)、アンモ
ニアなどの各種の窒素化合物(本明細書においては、シ
アン化合物以外のアンモニアなどの窒素化合物を単に窒
素化合物という)、トリクロロエチレンなどの有機塩素
化合物などを併せて含有している場合もある。
【0018】本発明は、さらに、Mg、Al、Si、
P、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Cdなどの金属成分の1種または2種以上を
含む廃水または汚泥類の処理にも、有用である。この様
な金属成分を含む廃水或いは汚泥類としては、厨芥、
紙、プラスチック類などを含む生活廃水、し尿、製紙工
場廃水、製薬工場廃水、石炭の液化或いはガス化に伴い
発生する廃水、都市ゴミの熱分解に伴い発生する廃水、
産業廃水の生物処理(嫌気性処理、好気性処理)に伴い
発生する汚泥、下水汚泥、下水汚泥の油化に伴い発生す
る廃水、写真廃水、印刷廃水、農薬関連廃水、染色廃
水、半導体製造工場廃水などの各種の廃水或いは汚泥類
が例示される。
【0019】以下図面を参照しつつ、本願第1乃至第4
発明について詳細に説明する。以下においては、説明を
簡略とするために、シアン含有廃水を対象とする場合に
ついて説明する。
【0020】I.本願第1発明 図1は、本願第1発明の概要を示すフローシートであ
る。
【0021】シアン含有廃液は、廃水貯槽1からポンプ
2により所定の圧力まで昇圧され、さらに圧縮機22に
より予め昇圧された酸素含有ガスを混合され、次いで熱
交換器3により150℃までの温度に加熱された後、第
一次反応塔5(以下においては、後記の第二次反応塔1
4と区別するために必要でない限り、単に反応塔5とい
う)に供給される。熱交換器3の熱源としては、第二次
反応塔14(以下においては、第一次反応塔5と区別す
るために必要でない限り、単に反応塔14という)から
の高温の処理済液を循環させて使用する。冬季などにお
いて反応時に所定の反応温度を維持できない場合或いは
所定の温度までの昇温を必要とする場合などには、加熱
器4により加熱したり、或いは蒸気発生器6から反応塔
5に蒸気を供給することもできる。また、スタートアッ
プに際して反応塔内温度を所定温度とするためにも、反
応塔5内に直接蒸気を送入して昇温したり、或いは熱交
換器3と反応塔5との間に加熱器4を設けて昇温するこ
ともできる。
【0022】第一次反応における温度は、通常150℃
程度以上、より好ましくは150〜370℃程度であ
る。反応時の温度が高い程、シアン化合物分解除去率が
高まり、また反応塔内での廃水滞留時間も短縮される
が、反面において設備費が増大するので、反応温度は、
廃水中のシアン化合物濃度、要求される処理の程度、運
転費、建設費などを総合的に考慮して、定めれば良い。
反応時の圧力は、所定温度において廃水が液相を保持し
得る圧力以上であれば良い。
【0023】シアン含有廃水に添加される酸素量は、シ
アン化合物、窒素化合物、有機性および無機性の物質を
無害の生成物にまで分解するに必要な理論酸素量未満、
より好ましくは理論酸素量の0.01〜0.5倍量程
度、特に好ましくは理論酸素量の0.02〜0.4倍量
程度とする。酸素量が理論酸素量の0.01倍を下回る
場合には、シアン化合物などの分解が不十分となるのに
対し、0.5倍量を上回っても、分解効率のそれ以上の
改善は認められない。酸素源としては、空気、酸素富化
空気、酸素、不純物としてシアン化水素、硫化水素、ア
ンモニア、硫黄酸化物、有機硫黄化合物、窒素酸化物、
炭化水素などの1種または2種以上を含有する酸素含有
廃ガスなどが例示される。
【0024】なお、反応塔5の内部には、複数の棚段
(トレイ)を設けることにより、反応を促進することも
できる。
【0025】或いは、反応塔5の内部には、金属酸化
物、金属などの充填物を充填しておくことにより、反応
を促進することもできる。この様な充填体としては、公
知の触媒担体として使用されているものをそのまま利用
することが出来る。より具体的には、アルミナ、シリ
カ、ジルコニア、チタニア、これらの金属酸化物を含む
複合金属酸化物(アルミナ−シリカ、アルミナ−シリカ
−ジルコニア、チタニア−ジルコニアなど)、これらの
金属酸化物または複合金属酸化物を主成分とする金属酸
化物系充填体ならびに鉄、アルミニウムなどの金属系充
填体などが挙げられる。これらの中では、耐久性に優れ
たジルコニア、チタニア、チタニア−ジルコニアがより
好ましい。充填体の形状は、特に限定されず、球状、ペ
レット状、円柱状、破砕片状、粉末状、ハニカム状など
の任意の形状であって良い。
【0026】反応塔5には、時間の経過とともに、スラ
ッジ(例えば、廃水が鉄シアン錯イオン含有廃水である
場合には、黒色のFe34を主成分とする)が堆積す
る。堆積したスラッジは、反応塔5下方のバルブaを開
けて、反応塔5内のスラッジ液をタンク40に移送した
後、バルブaを閉じることにより、除去することが出来
る。タンク40には、必要に応じて蒸気発生器6から蒸
気を供給し、スラッジ中のシアンを完全に分解すること
が出来る。タンク40には、スラッジおよび/または金
属成分が次第に堆積してくるので、バルブbを開けて、
スラッジ液を排出する。反応塔5内で生成したスラッジ
は、例えば、上記の様なロックホッパ方式により、半連
続的に抜き出すことが出来る。
【0027】なお、シアン含有廃水は、150℃程度以
上で特にシアンの分解反応が促進され、スラッジが形成
される傾向にある。従って、熱交換器3におけるスラッ
ジの堆積を抑制するために、必要ならば、熱交換に使用
される反応塔14からの処理済液に対し、冷却された最
終処理済液20の一部をポンプ21を介してライン33
および31を経て循環混合して、熱交換器3におけるシ
アン含有廃水の温度を150℃程度以下に抑制すること
が好ましい。
【0028】反応塔5を出た第一次処理液11は、硫酸
貯槽25から硫酸が添加され、さらに圧縮機22により
予め昇圧された酸素含有ガスが混合された後、触媒を充
填された第二次反応塔14に供給される。第一次処理液
は、廃水に由来するかなり多量のアルカリ金属化合物を
含んでいる場合がある。従って、第一次処理液中のアル
カリ金属合計量1モル当り0.25〜0.55倍量の硫
酸を添加することにより、そのpH調整を行なう。ま
た、この硫酸添加により、反応塔14における窒素化合
物(特にNO2態窒素およびNO3態窒素)の生成を抑制
することもできる。なお、硫酸に代えて或いは硫酸とと
もに、反応塔14における反応条件下に硫酸を生成し得
る物質(例えば、硫黄、チオ硫酸アンモニウムなどの硫
黄化合物)を添加しても良い。本発明においては、特に
明示しない限り、“硫酸”という用語は、これらの「硫
酸形成物質」をも包含するものとする。
【0029】第二次反応に際しても、冬季などにおいて
反応時に所定の反応温度を維持できない場合には、加熱
器13により加熱を行ったり或いは蒸気発生器(図示せ
ず)から反応塔14に蒸気を供給することもできる。ま
た、スタートアップに際して反応塔14の内部を所定温
度とするために、反応塔5からの高温の第一次処理液を
循環して昇温を行ったり、反応塔14に蒸気を直接送入
して昇温を行ったり、或いは加熱器13により昇温を行
うこともできる。
【0030】反応塔14からの処理済液(第二次処理
液)は、ライン30および31を経て熱交換器3におけ
る熱源として利用された後、冷却器15に送られ、さら
に気液分離器16に送られて、気相17と液相18とに
分離される。
【0031】第一次反応塔5と第二次反応塔14との相
違は、後者においては担体に担持された触媒が充填され
ている点にある。
【0032】触媒活性成分としては、鉄、コバルト、ニ
ッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウ
ム、白金、銅、金およびタングステン、ならびにこれら
金属の水不溶性乃至水難溶性の化合物が挙げられる。こ
の様な化合物のより具体的な例としては、酸化物(酸化
コバルト、酸化鉄など)、塩化物(二塩化ルテニウム、
二塩化白金など)、硫化物(硫化ルテニウム、硫化ロジ
ウムなど)などが挙げられる。これら金属およびその化
合物は、単独で使用しても良く或いは2種以上を併用し
ても良い。これらの触媒活性成分は、常法に従って、公
知の金属酸化物担体および金属担体担体に担持した状態
で使用される。金属酸化物担体および金属担体として
は、特に限定されず、公知の触媒担体として使用されて
いるものを使用することができる。金属酸化物担体とし
ては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、これ
ら金属酸化物を含む複合金属酸化物(アルミナ−シリ
カ、アルミナ−シリカ−ジルコニア、チタニア−ジルコ
ニアなど)、これら金属酸化物または複合金属酸化物を
主成分とする金属酸化物系担体などが挙げられ、金属担
体としては、鉄、アルミニウムなどが挙げれる。これら
の担体中では、耐久性に優れたジルコニア、チタニアお
よびチタニア−ジルコニアがより好ましい。
【0033】担持触媒の形状も、特に限定されず、球
状、ペレット状、円柱状、破砕片状、粉末状、ハニカム
状などが挙げられる。この様な担持触媒を充填使用する
場合の反応塔容積は、固定床の場合には、液の空間速度
が0.5〜10Hr-1程度、より好ましくは1〜5Hr
-1程度となる様にするのが良い。固定床で使用する担持
触媒の大きさは、球状、ペレット状、円柱状、破砕片
状、粉末状などの場合には、通常3〜50mm程度、よ
り好ましくは5〜25mm程度である。また、触媒をハ
ニカム状担体に担持して使用する場合のハニカム構造体
としては、開口部が四角形、六角形、円形などの任意の
形状のものが使用される。単位容積当たりの面積、開口
率なども特に限定されるものではないが、通常単位容積
当りの面積として200〜800m2/m3 、開口率4
0〜80%程度のものを使用する。ハニカム構造体の材
質としても、上記と同様の金属酸化物および金属が例示
され、耐久性に優れたジルコニア、チタニアおよびチタ
ニア−ジルコニアがより好ましい。
【0034】反応塔14内で流動床を形成させる場合に
は、反応塔内で担持触媒が流動床を形成し得る量、即ち
通常シアン含有廃水の重量を基準として、0.01〜2
0%程度、より好ましくは0.05〜10%程度を第一
次処理液にスラリー状に懸濁させ、使用する。流動床を
採用する場合には、担持触媒を第一次処理液中にスラリ
ー状に懸濁させた状態で反応塔14に供給し、反応終了
後に塔外に排出された第二次処理液から触媒を沈降、遠
心分離などの適当な方法により分離回収し、再使用す
る。従って、第二次処理液からの触媒の分離回収の容易
さを考慮すれば、流動床において使用する担持触媒の粒
径は、0.15〜0.5mm程度とすることがより好ま
しい。触媒活性金属の担持量は、特に限定されるもので
はないが、通常担体重量の0.01〜25%程度、より
好ましくは0.1〜3%程度の範囲内にある。
【0035】第二次処理液から得られた液相18は、固
液分離器19に送られ、液相中に含まれる金属および/
またはスラッジ成分を除去された後、最終処理済液20
となる。固液分離器19における分離方法としては、重
力沈降による分離、磁石による分離、フィルタープレス
による分離、凝集沈殿による分離などの公知の方法を採
用することが出来る。
【0036】II.本願第2発明 図2は、本願第2発明の概要を示すフローシートであ
る。
【0037】本願第2発明は、反応塔14からの第二次
処理液を気液分離器23で気相と液相とに分離し、反応
に使用されなかった残存酸素を含む気相の少なくとも一
部を反応塔5に循環して、その酸素源として使用する以
外の点では、実質的に本願第1発明と異なるところはな
い。
【0038】即ち、本願第二発明では、第一次反応塔5
における酸素量が、理論酸素量の0.01〜0.5倍量
となる様に、気液分離器23で得られた気相をライン2
4を経て反応塔5に循環する。液相は、ライン30およ
び31を経て熱交換器3に送られ、シアン含有廃水の加
熱に使用される。従って、圧縮器22からの酸素含有ガ
スの供給は、第一次反応塔5へ導入されるシアン含有廃
水に対しては行なわなれず、第二次反応塔14へ供給さ
れる第一次処理液に対してのみ行なわれる。
【0039】その結果、酸素含有ガス使用量が減少し、
圧縮機22の動力消費も減少するという実用的効果が達
成される。
【0040】III.本願第3発明 図3は、本願第3発明の概要を示すフローシートであ
る。
【0041】本願第3発明は、気液分離器23により分
離された第二次処理液の一部をライン30から分岐する
ライン29およびポンプ26を経て反応塔14に循環す
る以外の点では、実質的に本願第1発明と異なるところ
はない。この第二次処理液の循環により、反応塔14内
の液線速度が上昇して、第一次処理液中に残存する金属
成分の触媒表面への付着が減少するとともに、反応塔1
4内流量の増大により、また反応塔14内の温度分布が
均一化されることにより、優れた触媒活性が長期にわた
り維持される。廃水含有成分の分解に伴う反応熱のため
に、反応塔14内の温度が上昇する場合には、気液分離
器23からライン29およびポンプ26を経て反応塔1
4に至る循環経路の任意の位置に熱交換器(図示せず)
を設けて余剰の熱を回収することにより、反応塔14内
の温度をコントロールすることが出来る。
【0042】第二次処理液の循環量は、触媒活性の低下
の進行程度に応じて適宜定められば良いが、通常反応塔
14に供給されてくる第一次処理液の1〜20倍量程度
であり、より好ましくは1〜10倍量程度である。
【0043】IV.本願第4発明 図4は、本願第4発明の概要を示すフローシートであ
る。
【0044】本願第4発明は、気液分離器23により分
離された第二次処理液の一部をライン30から分岐する
ライン29およびポンプ26を経て第二次反応塔14に
循環するとともに、分離された気相をライン24を経て
第一次反応塔5に循環する以外の点では、実質的に本願
第1発明と異なるところはない。
【0045】この液相の循環により、本願第3発明と同
様の効果が達成される。また、気相の循環により、本願
第2発明と同様の効果も達成される。
【0046】
【発明の効果】本発明方法によれば、廃水中のシアン錯
イオンおよびシアンが実質的に完全に分解され、最終処
理液および生成されるスラッジ中に殆ど含まれなくな
る。また、廃水中の窒素酸化物、有機性物質および無機
性物質も、実質的に完全に分解される。さらに、安定し
た廃水処理効果が達成される。
【0047】最終的な気液分離後の気相および液相(最
終処理液)のいずれにも、有害成分の存在は実質的に認
められない。酸素源として酸素含有廃ガスを使用する場
合にも、気相および液相のいずれにも、廃ガスに由来す
る有害成分の存在は実質的に認められない。また、形成
されるスラッジは、沈降性に優れており、取扱が容易で
ある。
【0048】さらに、本発明方法によれば、各工程が連
続的に実施され、処理フローが極めて簡単なので、処理
コスト(設備費、運転費など)が著しく低下するととも
に、工程管理が容易となる。
【0049】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明確にする。
【0050】実施例1 図1に示すフローに従って、本願第1発明により、表1
に組成を示すシアン錯イオン含有廃液を処理した。
【0051】
【表1】
【0052】pH10.6のシアン含有廃水を空間速度
1.0Hr-1(空塔基準)および質量速度14.15m
3・m-2・Hr-1で第一次反応塔5に供給しつつ、空気
を空間速度3.4Hr-1(空塔基準、標準状態換算)で
供給した。空気供給量は、理論酸素量(82.5Nm3
/kl)の0.0103倍量に相当する量であった。
【0053】反応に際しては、廃水および空気を熱交換
器3の入口側に導入するとともに、熱交換器3の出口側
(反応塔5の入口側)での気液混合物の温度が150℃
となる様に、最終処理液20の一部をポンプ21および
ライン33を経て、ライン30および31から循環され
てくる反応塔14からの第二次処理液に循環混合して、
温度調節を行なった。また、反応塔5には、蒸気発生器
6から蒸気を送給することにより、反応塔5内を温度2
20℃、圧力30kg・cm-2に保持した。なお、反応
塔5には、70cmおきに棚段を取り付けた。
【0054】反応塔5内で形成されるスラッジ乃至金属
成分は、反応塔5の下部に設けたバルブaを開き、反応
塔5内のスラッジ液をタンク40に移送した後、バルブ
aを閉じることにより、除去した。タンク40内に堆積
するスラッジの除去は、蒸気発生器6からタンク40に
蒸気を導入して約220℃に30分間保持した後、冷却
し、次いでバルブbを開いてスラッジ液を排出すること
により、行った。
【0055】得られた第一次処理液11の組成などを表
2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】引き続いて、第一次処理液11中のアルカ
リ金属含有量(Na=0.909mol・l-1、K=
0.322mol・l-1の合計1.231mol・
-1)の約1/2倍量に相当する0.62mol・l-1
の硫酸を貯槽25から第一次処理液11に加えた後、こ
れを空間速度0.75Hr-1(空塔基準)および質量速
度14.15m3・m-2・Hr-1で反応塔14に供給し
つつ、同時に空気を空間速度90.4Hr-1(空塔基
準、標準状態換算)で供給した。空気供給量は、理論酸
素量の1.1倍量に相当する量であった。なお、反応塔
14内には、チタニア担体に担体重量の2%のルテニウ
ムを担持させた球形触媒(直径4〜6mm)を充填する
とともに、その内部の温度および圧力を反応塔5とほぼ
同一に保持した。
【0058】反応塔14からの第二次処理液の組成など
を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】次いで、第二次処理液を冷却器15におい
て冷却した後、固液分離器19において温度25℃で常
圧下に凝集沈殿処理に供した。
【0061】得られた最終処理液20の組成などを表4
に示す。
【0062】
【表4】
【0063】注;金属成分として、カドミウム、クロ
ム、鉛、水銀およびこれらの化合物などは、検出されな
かった。
【0064】表1と表4との対比から明らかな様に、本
発明方法によれば、シアン成分は、実質的に完全に分解
され、また反応の過程においてシアンから生成されるア
ンモニアとギ酸も最終的には殆ど分解されていた。ま
た、金属成分の大部分は、反応塔5の下部から除去する
ことが出来た。気液分離器16で分離された気相17
は、シアンおよびアンモニアを含まず、実質的にO2
2およびCO2とからなっていた。
【0065】反応塔5からタンク40に送られた後、蒸
気処理されて分離されたスラッジは、黒色を呈してお
り、Fe23およびFe34を主成分とし、その他の成
分として、P25、Na2O、ZnO、SiO2などを含
み、CN含有量は1mg・kg-1以下で、沈降性の良好
な沈殿物であった。
【0066】比較例1 反応塔5に空気を供給しない以外は実施例1と同様にし
て前記表1に示す組成のシアン含有廃水の処理を行なっ
た。
【0067】第一次処理液、第二次処理液および凝集沈
殿処理後の最終処理液の性状をそれぞれ表5、表6およ
び表7に示す。
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
【表7】
【0071】第一次処理液中のT−CNは、0.48m
g・1-1であり、シアンは完全には分解されていない。
また、第一次処理液中のNH3−Nは、6690mg・
-1、TODは24800mg・l-1であった。
【0072】反応塔5下部からタンク40を経て直接抜
出されたスラッジは、黒色を呈しており、Fe34を主
成分とし、その他の成分として、P25、Na2O、Z
nO、SiO2などを含み、CN含有量は169mg・
kg-1で、沈降性の低い沈殿物であった。
【0073】これに対し、実施例1と同様にしてタンク
40に堆積させたスラッジに蒸気を導入して処理するこ
とにより得られたスラッジ液では、シアン含有量は、1
mg・kg-1未満であった。
【0074】なお、第二次処理液の水質は、実質的に実
施例1とほぼ同様であった。
【0075】比較例2 反応塔14へ供給される第一次処理液に硫酸を供給しな
い以外は実施例1と同様にして前記表1に示す組成のシ
アン含有廃水の処理を行なった。
【0076】第二次処理液および凝集沈殿後の最終処理
液の性状をそれぞれ表8および表9に示す。
【0077】
【表8】
【0078】
【表9】
【0079】実施例1と本比較例との対比から明らかな
様に、第一次処理液に硫酸を加えておくことにより、全
窒素成分、特にNO2およびNO3態窒素の生成を抑制す
る効果が達成される。
【0080】実施例2および比較例3〜8 図2に示すフローに従って、表1に組成を示すシアン錯
イオン含有廃液を本願第2発明により処理した。
【0081】即ち、理論酸素量の0.25倍量に相当す
る量の排ガスを反応塔14からライン24を経て反応塔
5に循環供給するとともに、ライン30からの第二次処
理液およびライン33からの最終処理液の反応塔5への
循環量を制御することにより、表10に示す様に、熱交
換器3の出口側(反応塔5の入口側)における気液混合
物の温度を種々調整する以外は実施例1と同様にしてシ
アン含有廃水の湿式酸化分解を行なった。
【0082】
【表10】
【0083】シアン錯体成分などの分解による熱交換
器、加熱器およびこれらの配管内でのスラッジ生成量を
実施例1(熱交換器3の出口側温度150℃)における
生成量を基準(100)として表11に示す。
【0084】
【表11】
【0085】熱交換器3の出口(反応塔5の入口)にお
ける温度が150℃を上回る様にシアン含有廃水の加熱
を行なう場合には、熱交換器、加熱器およびこれらの配
管内でのスラッジ生成量が増大するので、圧力損失が大
きくなる。従って、蒸気洗浄、ジェット水流洗浄、薬剤
洗浄などにより、これらの機器類から定期的に生成スラ
ッジを除去する必要がある。
【0086】即ち、安定した運転を継続的に行ない得る
時間は、実施例1に比して比較例8では、約1/30に
過ぎない。換言すれば、本願第2発明によれば、熱交換
器3の出口側温度を150℃以下に調整することによ
り、スラッジの生成を抑制しつつ装置全体の運転を長期
にわたり安定して行なうことができる。
【0087】実施例3〜6および比較例9 図2に示すフローに従って、且つ表12に示す様に、反
応塔14からのガス循環量を制御することにより反応塔
5に供給する酸素量(理論酸素量を1とする場合の相対
的酸素量)を種々変える以外は実施例1と同様にして、
シアン含有廃水の湿式酸化分解処理を行なった。
【0088】
【表12】
【0089】酸素供給量が理論酸素量の0.01倍に相
当する量に満たない比較例9の場合には、第一次処理液
からT−CNが0.31mg・l-1検出され、また反応
塔5から直接抜き出したスラッジからT−CNが89m
g・kg-1検出された。
【0090】これに対し、実施例1および実施例2〜6
では、第一次処理液中のT−CNは、0.1mg・l-1
以下であった。また、タンク40に抜き出したスラッジ
液に蒸気発生機6から蒸気を導入し、タンク内を約22
0℃に30分間保持した後、スラッジを抜き出したとこ
ろ、スラッジ中のT−CNは、1mg・kg-1以下であ
った。
【0091】なお、理論酸素量の0.5倍に相当する量
以上の酸素を供給する場合にも、処理済液中のT−CN
は0.1mg・l-1以下であったが、圧縮動力費の増
大、系内の液蒸発量の増加による加熱燃料(或いは蒸気
量)の増加などの不利益を伴なうので、好ましくない。
【0092】なお、比較例9および実施例2〜6のいづ
れにおいても、第二次処理液および排ガスの性状は、実
質的に実施例1と同様であった。
【0093】実施例7 図3に示すフローに準じて、前記表1に組成を示すシア
ン錯イオン含有廃液を本願第3発明により処理した。
【0094】即ち、反応塔5に径5mmのチタニア球体
を充填したこと、および反応塔14における気液混合生
成物を気液分離器23で分離処理した後、第一次処理液
に対し2.5倍量に相当する分離液(液相)を反応塔1
4内に循環したこと以外は、実施例1と同様にして反応
を行なった。
【0095】反応塔5からの第一次処理液の水質および
気液分離後のスラッジを実施例1のそれらと同様(処理
済液のT−CN=0.1mg・l-1以下、スラッジ中の
CN含有量=1mg・kg-1以下)とするために必要な
反応塔5における滞留時間は、実施例1に比して、約1
8%短縮された。また、反応塔5の下部から得られた黒
色のスラッジは、沈降性の良好な沈殿物であった。
【0096】なお、充填体として、上記のチタニア球体
に代えてジルコニア球体或いはチタニア−ジルコニア球
体を使用する場合にも、同様な効果が達成された。
【0097】上記の様な反応塔14への第二次処理液の
循環により、最終処理液中にNH3−Nが検出されるま
での時間は、実施例1に比して、約4倍に延長された。
【0098】実施例8〜11 反応塔5における処理温度を種々変える以外は実施例1
と同様にして前記表1に組成を示すシアン錯イオン含有
廃液を処理し、前記表2に示す処理水質とほぼ同様の水
質を得た。実施例1における第一次反応塔5の滞留時間
を100とした場合の結果を表13に示す。
【0099】
【表13】
【0100】実施例12〜22 図4に示すフローに従って、反応塔14における充填触
媒を種々変更すること、反応塔14での生成物(第二次
処理液)の気液分離後の排ガスを理論酸素量の0.02
倍に相当する割合で反応塔5に循環供給すること、およ
び第一次処理液11に対し、反応塔14での生成物(第
二次処理液)の気液分離後の液相を3倍量の割合で循環
供給すること以外は、実施例1と同様にしてシアン含有
廃水の処理を行なった。
【0101】使用した触媒と第二次処理液の性状を表1
4に示す。
【0102】
【表14】
【0103】実施例23 図2に示すフローに従って、前記表1に組成を示すシア
ン錯イオン含有廃液を本願第2発明により処理した。
【0104】pH10.6のシアン含有廃水を空間速度
1.0Hr-1(空塔基準)および質量速度14.15m
3・m-2・Hr-1で反応塔5に供給しつつ、反応塔14
から得られた気相をライン24を経て空間速度8.9H
-1(空塔基準、標準状態換算)で供給した。気相供給
量は、理論酸素量(82.5Nm3/kl)の0.01
03倍量に相当する量とした。
【0105】第一次処理液の反応塔14での処理および
気液分離は、実施例1と同様にして行なった。
【0106】第一次処理液、第二次処理液および最終処
理液についての結果は、実施例1とほぼ同様であった。
【0107】実施例24 図3に示すフローに従って、前記表1に組成を示すシア
ン錯イオン含有廃液を本願第3発明により処理した。
【0108】実施例1と同様にしてシアン錯イオン含有
廃液を反応塔5で処理し、次いで第一次処理液に硫酸を
添加した後、反応塔14で処理した。但し、反応塔14
からの処理液を気液分離器23で気液分離した後、得ら
れた液相を第一次処理液に対し循環混合した。この際、
反応塔14に第一次処理液と循環液相との混合液を空間
速度3.6Hr-1(空塔基準)および質量速度42.5
3・m-2・Hr-1で供給した。
【0109】この方法において、反応塔5からの第一次
処理液の水質および最終処理液の水質は、実施例1とほ
ぼ同様であったが、反応塔14からの第二次処理液の水
質は、実施例1の場合に比して更に改善されていた。
【0110】特にこの方法においては、反応塔14内で
の液線速度の度上昇により、触媒表面への金属成分の付
着が減少し、また触媒表面の液膜抵抗の減少によるもの
と推測される原因により、高度の触媒活性が長期にわた
り維持された。より具体的には、最終処理液中にNH3
−Nが検出されるまでの時間は、実施例1の場合と比較
して、約4倍に延長された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1発明の概要を示すフローシートであ
る。
【図2】本願第2発明の概要を示すフローシートであ
る。
【図3】本願第3発明の概要を示すフローシートであ
る。
【図4】本願第4発明の概要を示すフローシートであ
る。
【符号の説明】
1…廃水貯槽 2…ポンプ 3…熱交換器 4…加熱器 5…第一次反応塔 6…蒸気発生器 11…第一次処理液 13…加熱器 14…第二次反応塔 15…冷却器 16…気液分離器 17…気相 18…液相 19…固液分離器 20…最終処理液 21…ポンプ 22…圧縮機 23…気液分離器 24…排ガス循環ライン 25…硫酸貯槽 26…ポンプ 29…第二次処理液循環ライン 30…第二次処理液循環ライン 31…第二次処理液循環ライン 32…第二次処理液循環ライン 33…最終処理液循環ライン 40…タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/38 B01J 23/38 M 23/42 23/42 M 23/44 23/44 M 23/46 23/46 M 301 301M 311 311M 23/52 23/52 M 23/70 23/70 M 23/72 23/72 M 23/745 C02F 1/58 CDCN 23/75 B01J 23/74 301M 23/755 311M C02F 1/58 CDC 321M

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)シアン含有廃水を最終処理液との熱
    交換により予め150℃までの温度に加熱した後、第一
    の反応塔内において、150℃以上の温度且つ廃水が液
    相を維持する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン化合物、
    窒素化合物、有機性物質および無機性物質を分解するに
    必要な理論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸化処理す
    る工程、(2)上記(1)の工程で生成したスラッジお
    よび/または金属成分を第一の反応塔から除去する工
    程、(3)上記(1)の工程で得られた高温高圧の処理
    液の残余に硫酸、硫黄および硫黄化合物の少なくとも1
    種を加え、第二の反応塔内において、金属および金属化
    合物の少なくとも1種を活性成分とする触媒の存在下且
    つ処理液中のシアン化合物、窒素化合物、有機性物質お
    よび無機性物質を分解するに必要な理論酸素量以上の酸
    素の存在下に、150℃以上の温度且つ処理液が液相を
    維持する圧力に保ちつつ、湿式酸化処理する工程、およ
    び(4)上記(3)の工程で得られた高温高圧の処理液
    を常温常圧に戻した後、スラッジおよび/または金属成
    分を分離除去することにより、最終処理液を得る工程を
    備えたことを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  2. 【請求項2】工程(1)の第一の反応塔内に蒸気を送入
    して昇温する請求項1に記載の廃水の処理方法。
  3. 【請求項3】工程(3)における硫酸、硫黄および硫黄
    化合物の少なくとも1種の添加量が、工程(1)で得ら
    れた処理液中のアルカリ金属の合計量1モル当り0.2
    5〜0.55倍量(硫酸として)である請求項1に記載
    の廃水の処理方法。
  4. 【請求項4】工程(3)における触媒活性成分が、鉄、
    コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
    ム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンなら
    びにこれら金属の水に不溶性乃至難溶性の化合物からな
    る群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載
    の廃水の処理方法。
  5. 【請求項5】(1)シアン含有廃水を最終処理液との熱
    交換により予め150℃までの温度に加熱した後、第一
    の反応塔内において、150℃以上の温度且つ廃水が液
    相を維持する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン化合物、
    窒素化合物、有機性物質および無機性物質を分解するに
    必要な理論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸化処理す
    る工程、(2)上記(1)の工程で生成したスラッジお
    よび/または金属成分を第一の反応塔から除去する工
    程、(3)上記(1)の工程で得られた高温高圧の処理
    液の残余に硫酸、硫黄および硫黄化合物の少なくとも1
    種を加え、第二の反応塔内において、金属および金属化
    合物の少なくとも1種を活性成分とする触媒の存在下且
    つ処理液中のシアン化合物、窒素化合物、有機性物質お
    よび無機性物質を分解するに必要な理論酸素量以上の酸
    素の存在下に、150℃以上の温度且つ処理液が液相を
    維持する圧力に保ちつつ、湿式酸化処理する工程、
    (4)上記工程(3)における処理後の気液分離により
    得られた気相の少なくとも一部を上記工程(1)に循環
    して、工程(1)における酸素源として利用する工程、
    および(5)上記(3)の工程で得られた高温高圧の処
    理液を常温常圧に戻した後、スラッジおよび/または金
    属成分を分離除去することにより、最終処理液を得る工
    程を備えたことを特徴とするシアン含有廃水の処理方
    法。
  6. 【請求項6】工程(1)の第一の反応塔内に蒸気を送入
    して昇温する請求項5に記載の廃水の処理方法。
  7. 【請求項7】工程(3)における硫酸、硫黄および硫黄
    化合物の少なくとも1種の添加量が、工程(1)で得ら
    れた処理液中のアルカリ金属の合計量1モル当り0.2
    5〜0.55倍量(硫酸として)である請求項5に記載
    の廃水の処理方法。
  8. 【請求項8】工程(3)における触媒活性成分が、鉄、
    コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウ
    ム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステンなら
    びにこれら金属の水に不溶性乃至難溶性の化合物からな
    る群から選ばれた少なくとも1種である請求項5に記載
    の廃水の処理方法。
  9. 【請求項9】(1)シアン含有廃水を最終処理液との熱
    交換により予め150℃までの温度に加熱した後、第一
    の反応塔内において、150℃以上の温度且つ廃水が液
    相を維持する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン化合物、
    窒素化合物、有機性物質および無機性物質を分解するに
    必要な理論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸化処理す
    る工程、(2)上記(1)の工程で生成したスラッジお
    よび/または金属成分を第一の反応塔から除去する工
    程、(3)上記(1)の工程で得られた高温高圧の処理
    液に硫酸、硫黄および硫黄化合物の少なくとも1種を加
    え、第二の反応塔内において、金属および金属化合物の
    少なくとも1種を活性成分とする触媒の存在下且つ処理
    液中のシアン化合物、窒素化合物、有機性物質および無
    機性物質を分解するに必要な理論酸素量以上の酸素の存
    在下に、150℃の温度且つ処理液が液相を維持する圧
    力に保ちつつ、湿式酸化処理する工程、(4)上記
    (3)の工程における処理後の気液分離により得られた
    液相の少なくとも一部を上記(3)の工程での処理液の
    1〜10倍量の割合で工程(3)に循環する工程、およ
    び(5)上記(3)の工程で得られた高温高圧の処理液
    を常温常圧に戻した後、スラッジおよび/または金属成
    分を分離除去することにより、最終処理液を得る工程を
    備えたことを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  10. 【請求項10】工程(1)の第一の反応塔内に蒸気を送
    入して昇温する請求項9に記載の廃水の処理方法。
  11. 【請求項11】工程(3)における硫酸、硫黄および硫
    黄化合物の少なくとも1種の添加量が、工程(2)で得
    られた処理液中のアルカリ金属の合計量1モル当り0.
    25〜0.55倍量(硫酸として)である請求項9に記
    載の廃水の処理方法。
  12. 【請求項12】工程(3)における触媒活性成分が、
    鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラ
    ジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステン
    ならびにこれら金属の水に不溶性乃至難溶性の化合物か
    らなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項9に
    記載の廃水の処理方法。
  13. 【請求項13】(1)シアン含有廃水を最終処理液との
    熱交換により予め150℃までの温度に加熱した後、第
    一の反応塔内において、150℃以上の温度且つ廃水が
    液相を維持する圧力に保ちつつ、廃水中のシアン化合
    物、窒素化合物、有機性物質および無機性物質を分解す
    るに必要な理論酸素量未満の酸素の存在下に湿式酸化処
    理する工程、(2)上記(1)の工程で生成したスラッ
    ジおよび/または金属成分を第一の反応塔から除去する
    工程、(3)上記(1)の工程で得られた高温高圧の処
    理液に硫酸、硫黄および硫黄化合物の少なくとも1種を
    加え、第二の反応塔内において、金属および金属化合物
    の少なくとも1種を活性成分とする触媒の存在下且つ処
    理液中のシアン化合物、窒素化合物、有機性物質および
    無機性物質を分解するに必要な理論酸素量以上の酸素の
    存在下に、150℃以上の温度且つ処理液が液相を維持
    する圧力に保ちつつ、湿式酸化処理する工程、(4)上
    記工程(3)における処理後の気液分離により得られた
    気相の少なくとも一部を上記工程(1)に循環して、工
    程(1)における酸素源として利用する工程、(5)上
    記(3)の工程における処理後の気液分離により得られ
    た液相の少なくとも一部を上記(3)の工程での処理液
    の1〜10倍量の割合で工程(3)に循環する工程、お
    よび(6)上記(3)の工程で得られた高温高圧の処理
    液を常温常圧に戻した後、スラッジおよび/または金属
    成分を分離除去することにより、最終処理液を得る工程
    を備えたことを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  14. 【請求項14】工程(1)の第一の反応塔内に蒸気を送
    入して昇温する請求項13に記載の廃水の処理方法。
  15. 【請求項15】工程(3)における硫酸、硫黄および硫
    黄化合物の少なくとも1種の添加量が、工程(3)で得
    られた処理液中のアルカリ金属の合計量1モル当り0.
    25〜0.55倍量(硫酸として)である請求項13に
    記載の廃水の処理方法。
  16. 【請求項16】工程(3)における触媒活性成分が、
    鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラ
    ジウム、イリジウム、白金、銅、金およびタングステン
    ならびにこれら金属の水に不溶性乃至難溶性の化合物か
    らなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項13
    に記載の廃水の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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