JPH08288567A - 磁気ヘッドおよび磁界検出器 - Google Patents

磁気ヘッドおよび磁界検出器

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JPH08288567A
JPH08288567A JP7085519A JP8551995A JPH08288567A JP H08288567 A JPH08288567 A JP H08288567A JP 7085519 A JP7085519 A JP 7085519A JP 8551995 A JP8551995 A JP 8551995A JP H08288567 A JPH08288567 A JP H08288567A
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JP
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magnetic
magnetic field
head
detector
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JP7085519A
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English (en)
Inventor
Masakatsu Senda
正勝 千田
Koji Takei
弘次 武井
Osamu Ishii
修 石井
Yasuhiro Koshimoto
泰弘 越本
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 出力、SN比、感度、信号検出精度の低さ、
および部品構成の複雑さを解決した、磁気ヘッドおよび
磁界検出器を提供する。 【構成】 自身が形成する磁気回路の、検出すべき外部
磁界に面した一部には、ギャップが設けられた少なくと
も1個のリング状磁性体コアと、該磁性体コア内に直接
あるいは非磁性絶縁体を介して設けられた少なくとも2
個の検出導体とからなるか、リング型インダクティブヘ
ッドの磁性体コア内に直接あるいは非磁性絶縁体を介し
て少なくとも2個の検出導体が設けられている磁気ヘッ
ドであり、これら磁気ヘッドと、互いに伝送線路により
接続されている、第1の整合器、高周波発振器、第2の
整合器および検波器とからなるか、整合器、結合器、高
周波発振器および検波器とからなる磁界検出器である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ヘッドおよび該磁
気ヘッドを有してなる磁界検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録などに用いられる磁気ヘ
ッドとしては、リング型インダクティブヘッド、および
強磁性体の異方性磁気抵抗効果(MR効果)を利用した
磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)が、多く使用され
てきた。
【0003】従来のリング型インダクティブヘッドの構
造を図14,15に示す。従来のリング型インダクティ
ブヘッドでは、記録過程において、巻線コイルに電流を
流して磁性体コアを磁化し、ギャップからの漏洩磁界に
よって磁気媒体を磁化して信号を記録する。一方、再生
過程においては、磁気媒体から発生する媒体磁界をギャ
ップで拾って磁性体コアを磁化し、巻線コイルに誘導さ
れる誘導起電力によって信号を再生する。記録密度が上
昇すると、1ビットが占有する磁化面積は減少し、従っ
て、そこから得られる磁界強度は減少する。従来のリン
グ型インダクティブヘッドでは、磁界強度の減少に伴
い、再生出力は急減する。すなわち、従来のリング型イ
ンダクティブヘッドでは再生過程における出力、SN
比、感度が、低いという欠点があった。
【0004】従来のMRヘッドの構造とこれを用いた従
来の磁界検出器を、図16に示す。MR効果による抵抗
Rの変化は、次式で表される。
【0005】
【数1】 R=R0 +ΔRcos2 θ …(1) ここで、R0 は磁化方向が電流方向と垂直になった場合
の抵抗、ΔRは磁化方向が電流方向と平行になった場合
の抵抗とR0 との差、θは磁化方向と電流方向との間の
角度である。SN比はΔR/R0 (MR比)で、信号出
力電圧は定電流源から流す電流と抵抗変化との積で各々
表される。
【0006】代表的なMRヘッド用材料としては、Ni
Fe,NiCo,NiCu合金などが挙げられる。これ
ら材料のMR比はいずれも数%程度と低く、ΔRも小さ
な値でしかない。従って、従来のMRヘッドでは、出
力、SN比、感度ともにさほど大きな値は期待できな
い。また、MR効果では、抵抗の磁界依存性にヒステリ
シスおよびバルクハウゼンジャンプが現われ、これが信
号検出精度を著しく低下させる原因となる。以上、従来
のMRヘッドおよびこれを用いた磁界検出器では、出
力、SN比、感度、信号検出精度が低いという問題があ
った。
【0007】(1)式から明らかなように、MR効果は
磁界反転に対して対称であるため、外部磁界の極性を検
出するには、直流バイアス磁界を磁気抵抗素子に印加し
動作点を移動させ、線型性を持たす必要がある。従来の
MRヘッドでは、図16に示すように、直流バイアス用
導体ラインを新たに設置し、これに流す直流電流から発
生する磁界を直流バイアス磁界として利用する。しか
し、この方法では、構成部品数が増え、部品設計上、部
品作製上、複雑さを伴うという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の磁気ヘッドおよび磁界検出器において問題であった、
出力、SN比、感度、信号検出精度の低さ、および部品
構成の複雑さを解決した、磁気ヘッドおよび磁界検出器
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の磁気ヘッドは、自身が形成する磁気回路の
検出すべき外部磁界に面した一部にギャップが設けられ
た少なくとも1個のリング状磁性体コアと、該磁性体コ
ア内に直接あるいは非磁性絶縁体を介して設けられた少
なくとも2個の検出導体とからなることを特徴とする。
あるいは、リング型インダクティブヘッドの磁性体コア
内に直接あるいは非磁性絶縁体を介して少なくとも2個
の検出導体が設けられていることを特徴とする。
【0010】また、本発明の磁界検出器は、上記いずれ
かの磁気ヘッドと、前記検出導体に接続された第1の整
合器と、前記第1の整合器に接続された高周波発振器
と、前記検出導体に接続された第2の整合器と、前記第
2の整合器に接続された検波器と、を具備し、これらは
互いに伝送線路により接続されていることを特徴とす
る。あるいは、上記いずれかの磁気ヘッドと、前記検出
導体に接続された整合器と、前記整合器に接続された結
合器と、前記結合器に接続された高周波発振器と、前記
結合器に接続された検波器とを具備し、これらは互いに
伝送線路により接続されていることを特徴とする。
【0011】本発明の磁界検出器は、従来の磁界検出器
と、部品構成、回路構成、検出原理が異なる。
【0012】
【作用】本発明の磁界検出器によれば、検出原理として
透磁率変化に基づくインピーダンスの外部磁界依存性を
利用すること、および磁気ヘッドと回路系とのインピー
ダンスを整合させることにより、外部磁界変化を大きな
電圧変化として取り出すことができ、そのため高出力、
高SN比、高感度となる。
【0013】また、キャリア周波数として数百MHzの
高周波を使用すること、および磁性体コアを多層構造と
することにより、磁性体コアの磁化過程からヒステリシ
ス、バルクハウゼンジャンプを取り除くことができ、そ
のため信号検出精度が高くなる。
【0014】さらに、検出導体あるいは巻線コイルが直
流バイアス用導体ラインを兼ねることにより、部品点数
を減らすことができ、そのため部品構成が単純となる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0016】(実施例1)図1(a)(b)は、本発明
の磁気ヘッドの第1の実施例を示す図であり、自身が形
成する磁気回路の検出すべき外部磁界10に面した一部
にギャップ11が設けられた1個のリング状磁性体コア
2と、該磁性体コア2内に非磁性絶縁体8を介して設け
られた2個の検出導体1,1′とから構成される。な
お、磁性体コア2は図2に示すように複数であっても同
様の効果を得ることができる。また、検出導体1,1′
は磁性体コア2内に直接設けられても同様の効果を得る
ことができる。また、図3に示すように、検出導体は
1,1′,1″,・・・と3個以上であっても同様の効
果を得ることができる。検出導体1の両端をa,b、検
出導体1′の両端をa′,b′、検出導体1″の両端を
a″, b″,・・・と表すことにする。
【0017】(実施例2)図4,図5は、本発明の磁気
ヘッドの第2の実施例を示す図であり、リング型インダ
クティブヘッドの磁性体コア2内に直接2個の検出導体
1,1′が設けられた構成をなす。なお、検出導体1,
1′は、磁性体コア2内に非磁性絶縁体8を介して設け
られても同様の効果を得ることができる。また、図6に
示すように、検出導体は1,1′,1″,・・・と3個
以上であっても同様の効果を得ることができる。検出導
体1の両端をa、b、検出導体1′の両端をa′,
b′、検出導体1″の両端をa″,b″,・・・と表す
ことにする。
【0018】(実施例3)図7は本発明の磁界検出器の
第1の実施例を示す図であり、本磁界検出器は、上記第
1あるいは第2のいずれかの磁気ヘッド3と、前記検出
導体1の両端a,b、前記検出導体1′の両端a′,
b′、前記検出導体1″の両端a″,b″,・・・に接
続された第1の整合器4と、前記第1の整合器4に接続
された高周波発振器6と、前記検出導体1の両端a,
b、前記検出導体1′の両端a′,b′、前記検出導体
1″の両端a″,b″,・・・に接続された第2の整合
器4′と、前記第2の整合器4′に接続された検波器7
と、を具備し、これらは互いに伝送線路14により接続
されてなる構成をなす。
【0019】(実施例4)図8は本発明の磁界検出器の
第2の実施例を示す図であり、本磁界検出器は、上記第
1あるいは第2のいずれかの磁気ヘッド3と、前記検出
導体1の両端a,b、前記検出導体1′の両端a′,
b′、前記検出導体1″の両端a″,b″,・・・に接
続された整合器4と、前記整合器4に接続された結合器
5と、前記結合器5に接続された高周波発振器6と、前
記結合器5に接続された検波器7と、を具備し、これら
は互いに伝送線路14により接続されてなる構成をな
す。
【0020】前記構成において、検出導体1の両端が
a,b、検出導体1′の両端がa′,b′、検出導体
1″の両端がa″,b″,・・・であり、a,a′,
a″,・・・はすべて同じ伝送線路に、また、b,
b′,b″,・・・はすべて別の同じ伝送線路に接続さ
れる。すなわち、図7の構成では、第1の整合器4につ
ながる伝送線路14の上側(外側)の線路と第2の整合
器4′につながる伝送線路14の上側(外側)の線路
に、a,a′,a″,・・・はすべて接続し、また、第
1の整合器4につながる伝送線路14の下側(内側)の
線路と第2の整合器4′につながる伝送線路14の下側
(内側)の線路に、b,b′,b″,・・・はすべて接
続する。一方、図8の構成では、整合器4につながる伝
送線路14の上側の線路に、a,a′,a″,・・・は
すべて接続し、また、整合器4につながる伝送線路14
の下側(内側)の線路に、b,b′,b″,・・・はす
べて接続する。
【0021】本発明の磁気ヘッドの再生過程は、従来の
リング型インダクティブヘッド同様、外部磁界10がリ
ング状磁性体コア2を一周するリング動作となる。
【0022】信号出力、SN比、感度を向上させるた
め、以下のような構造上の工夫を施すことが効果的であ
る。
【0023】本磁気ヘッドの動作周波数は、後述するよ
うに、数百MHzの高周波となる。高周波では、表皮効
果により磁性体の有効体積が減少し、出力、SN比、感
度が低下する。表皮効果を回避する方法として、磁性体
コア2の断面構造を、図9に示すように、磁性層21と
非磁性絶縁層22とを交互に積層した多層構造とするこ
とが効果的である。この際、磁性層21の層厚を表皮深
さより薄く、また非磁性絶縁層22の層厚を磁性層21
間の電気的絶縁を保ち得る厚さ以上に設定することが効
果的である。なお、このような多層構造は後述するよう
に磁性体コア2の磁化過程におけるヒステリシス、バル
クハウゼンジャンプを取り除く上でも有用である。
【0024】数百MHzの高周波磁界には、一軸磁気異
方性の困難軸方向の磁化過程のみが応答する。高周波磁
界の方向は、高周波電流通電方向の円周方向となる。従
って容易軸方向が検出導体1,1′,1″,・・・にお
ける高周波電流通電方向と一致する一軸磁気異方性を磁
性体コア2に付与させることが有利である。
【0025】後述するように、インピーダンスは高周波
電流の周波数が磁性体コア2の磁気共鳴周波数近傍とな
った場合に最大となるため、高周波発振器6から供給す
る高周波電流の周波数を磁性体コア2の磁気共鳴周波数
近傍に設定することがインピーダンス変化比、電圧振幅
変化比および出力を大きくする上で効果的である。
【0026】極性検出機能を持たすには、検出導体1,
1′,1″,・・・あるいは巻線コイル12に流す直流
バイアス電流から生ずる直流バイアス磁界を利用でき
る。この場合、検出導体1,1′,1″,・・・あるい
は巻線コイル12が直流バイアス用導体ラインを兼ねる
ため、部品構成が単純となる。巻線コイル12はターン
数がハーフターン以上であればこの機能を持つ。また、
高周波発振器6には直流バイアス電流を印加する機能が
必要であり、検波器7には直流をカットする機能が必要
である。高周波発振器6、検波器7は、これらの機能を
有している。なお、検出導体1,1′,1″,・・・か
らの直流バイアス磁界を利用する場合、直流バイアス磁
界は磁性体コア2中で検出導体1,1′,1″,・・・
の周りを周回するため、これが有効となるには検出導体
1,1′,1″,・・・の左右で磁性体コアの磁化過程
に非対称性が必要になる。例えば、検出導体1,1′,
1″,・・・の磁性体コア右部を検出導体1,1′,
1″,・・・の段差上に形成すると、反磁界の影響によ
り磁性体コア右部の磁化過程に変化が生じる。これを利
用することにより磁性体コア左右部の磁化過程に非対称
性を付与できる。
【0027】本発明の磁界検出器では、数百MHzの高
周波を扱うため、磁気ヘッド3、第1の整合器4、第2
の整合器4′、結合器5、高周波発振器6、検波器7間
は伝送線路14で接続されることが必要である。伝送線
路としては、同軸線路、マイクロストリップ線路、トリ
プレート線路、平行線路などが挙げられる。
【0028】以下に、本発明による磁気ヘッドおよび磁
界検出器の検出原理を説明する。検出導体の数は2個と
し、磁界検出器は第1の実施例に記載のものとした場合
について説明する。検出導体1,1′に高周波発振器6
から周波数fcar の高周波電流を供給する時、検出導体
1,1′の両端a−a′,b−b′間のインピーダンス
total は、検出導体1,1′のみのインピーダンスZ
0 と、磁性体コア2に由来するインピーダンスZm との
和として、
【0029】
【数2】 Ztotal =Z0 +Zm …(2) で記述される。Zm は次式のように磁性体コア2の比透
過率μr とfcar との積に比例する。
【0030】
【数3】 Zm ∝ μr ×fcar …(3) 磁性体コア2のμr は、外部磁界10の強度に応じて有
限値から零まで大きく変化するため、Zm 、従って、Z
total も大きく変化する。インピーダンス変化をΔZm
とすると、従来のMR比に対応する量はインピーダンス
変化比ΔZm /Ztotal であり、その最大値はZm /Z
total である。
【0031】本磁気ヘッドおよび磁界検出器では、基本
的には、このインピーダンス変化(ΔZm )に基づく電
圧振幅変化を検波器7で検波し、信号を出力する。すな
わち、外部磁界10の変化は、上記fcar の高周波をキ
ャリアとする振幅変調として検出される。
【0032】磁気媒体上の微小ビットの磁界を検出する
には、磁気ヘッド自体もマイクロ化する必要があり、こ
のため、一般には、上記Ztotal ,Zm ,ΔZm は、さ
ほど大きな値にはならない。すなわち、結合器5、高周
波発振器6、検波器7、検波器7の後段回路のインピー
ダンスをZc とすると、一般に、Ztotal ,Zm ,ΔZ
m ≪Zc の関係となる。この場合、反射損が大きくな
り、高周波発振器6からの電力は効率良く磁気ヘッド3
に供給されない。第1の整合器4は磁気ヘッド3のイン
ピーダンスを高周波発振器6のインピーダンスZc に整
合させる機能を持ち、これにより高周波発振器6からの
電力をほとんど全て磁気ヘッド3に供給させることが可
能となる。一方、第2の整合器4′は磁気ヘッド3のイ
ンピーダンスを検波器7および検波器7の後段回路のイ
ンピーダンスZc に整合させる機能を持つ。磁気ヘッド
3のインピーダンスがZc に整合されると、検波器7前
段でのインピーダンス変化はΔZm ×(Zc /Z
total )となり、またこの時、信号の変化比はΔZm
total に維持される。信号出力はインピーダンス変化
に比例するため、このことはSN比を維持したまま信号
出力9がZc /Ztotal 倍となって検出されることを意
味する。
【0033】このように、本発明の磁界検出器では、高
周波発振器6からの電力を効率良く磁気ヘッド3に供給
でき、さらに、磁気ヘッド3における大きなインピーダ
ンス変化比(SN比)をそのまま維持しつつ、インピー
ダンス変化(信号出力)をZ c /Ztotal 倍大きくさせ
ることができる。なお、高周波発振器6の出力設定を大
きくすれば反射損が大きい場合でも、磁気ヘッド3への
供給電力を任意に大きく設定できるため、第1の整合器
4は必ずしも必要ではない。
【0034】磁界検出器を第2の実施例とした場合に
は、結合器5は高周波発振器6からの高周波信号を結合
器4側にのみ通し、磁気ヘッド3から整合器4を介して
出力される信号を検波器7側にのみ通す機能を有する。
整合器4により高周波発振器6からの電力を効率よく磁
気ヘッド3に供給でき、さらに磁気ヘッド3における大
きなインピーダンス変化比(SN比)をそのままに維持
しつつ、インピーダンス変化(信号出力)をZc /Z
total 倍大きくさせることができる点は、磁界検出器と
して第1の実施例を用いた場合と同様である。
【0035】図5を例にとり、2個の検出導体1,1′
が磁性体コア内に設けられた場合の動作を説明する。図
10,図11は電圧振幅(Vpp)の外部磁界(Hext
依存性を示す図である。各図において、(a)は検出導
体1に対する図であり、(b)は検出導体1′に対する
図である。巻線コイル12に直流電流を流し、時計回り
の直流バイアス磁界を印加することにより、動作点は各
々PX ,Py 点に移動している。図5の上向きを外部磁
界の正方向と定義し、下向きを負方向と定義した。図1
0はリング状磁性体コア2を反時計回りに一周するよう
な外部磁界が入射した場合の動作を表し、図11は磁性
体コア2全体が上方に磁化するように外部磁界が入射し
た場合の動作を表す。前者は信号磁界に対応し、後者は
同相のノイズ磁界に対応する。図10では、PX ,Py
ともにグラフの上方へ移動するため全電圧振幅も増加す
るが、図11では、PX はグラフの下方へ移動し、Py
はグラフの上方へ移動するため、両者がキャンセルし、
全電圧振幅は変化しない。すなわち、図1(b)、図5
のように、複数の検出導体1,1′を設置した場合、信
号磁界は出力として検出されるが、同相ノイズは出力に
寄与しないため、SN比を飛躍的に向上させることが可
能となる。これを差動構成と呼ぶ。なお、検出導体が3
個以上の場合も同様に、同相ノイズのみがキャンセルさ
れるように検出導体を設置することができ、SN比を向
上させることが可能である。
【0036】以下に具体例を示す。磁気ヘッドは図4,
図5のタイプとし、磁界検出器は図7のタイプとし、磁
性体コア2には図9の多層構造を採用した。磁性層21
にはNiFeを使用し、層厚は表皮深さより十分薄い5
0nmとした。非磁性絶縁層22にはSiO2 を使用
し、層厚は磁性層21間の電気的絶縁を保ち得る厚さで
ある50nmとした。磁性体コア2の先端幅は5μm、
高さは200μmとした。磁性体コア2には容易軸方向
が高周波電流通電方向と一致する一軸磁気異方性3〜5
Oeを付与した。検出導体1,1′にはCuを使用
し、検出導体1,1′の幅は5μm、厚さは2μm、長
さは10μmとした。成膜はイオンビームスパッタ法に
より、加工はフォトリソグラフ法により行った。成膜条
件は、動作真空度Ar 1×10-4Torr、加速電圧
1kV、基板温度 室温〜160℃とし、基板にはガラ
スを使用した。一軸異方性磁界は、成膜中、基板表面に
平行に数百Oeの静磁界を印加することにより付与し
た。Zc は50Ωとし、伝送線路には同軸ケーブルを使
用した。
【0037】図12に検出導体1のインピーダンス(Z
total )のキャリア周波数(fcar)依存性を示す。検
出導体1′の特性も同様であった。実線は零磁界状態、
破線は十分大きな外部磁界を印加した状態でのZtotal
値である。750MHzにおいて、両者の差は、(1.
0−0.4)Ωの最大値となり、この時、インピーダン
ス変化比ΔZm /Ztotal は、(1.0−0.4)/
1.0=0.60(60%)と、従来のMR効果に比較
して10倍以上の大きさとなる。750MHz付近でZ
total 値が最大となるのは、この周波数帯域が磁性体コ
ア2に用いたNiFeの磁気共鳴周波数700〜800
MHzに一致し、この時μr ×fcar が最大となるため
である。
【0038】図13に750MHzでの検波器7前段で
の電圧振幅変化比(ΔVpp/Vpp)の外部磁界依存性を
示す。Ztotal 〜1Ω、Zc =50Ωであり、整合器
4′により両者間の整合がとられている。ΔVpp/Vpp
は、磁性体コア2に用いたNiFeの一軸異方性磁界で
ある3〜5 Oe前後で大きく減少し、数Oeでほぼ一
定値60%となる。これは図12の結果と一致し、磁気
ヘッド3部におけるインピーダンス変化比が電圧振幅変
化比にも維持されていることが確認できる。また、検波
器7前段でのインピーダンス変化は30Ωと測定され、
磁気ヘッド3部におけるインピーダンス変化0.6Ωの
50倍(Zc /Ztotal 倍)になっていることが確認さ
れた。また、検出導体が1個の場合と比較すると、検出
導体1,1′で電流が分流するため、出力電圧ΔVpp
体には変化なかったが、SN比は10dB向上している
ことが確認された。なお、図13の特性には、ヒステリ
シスおよびバルクハウゼンジャンプは現われず、検出精
度も高いことが確認できる。ヒステリシスおよびバルク
ハウゼンジャンプは、磁性体コア2における不連続磁壁
移動が原因で生ずる。磁性体コア2として図9の多層構
造をとった場合、磁性層21間の静磁結合により還流磁
区構造が消失し、磁壁数は激減する。また、磁性体コア
2は数百MHzの高周波キャリアによりシェイキングさ
れながら磁化するため、不連続磁壁移動の原因となる磁
壁ピン留め現象が回避される。本発明では、これら多層
構造と高周波キャリアの採用により磁性体コア2におけ
る不連続磁壁移動が取り除かれ、ヒステリシスおよびバ
ルクハウゼンジャンプの発生が抑制される。
【0039】成膜法としては、イオンビームスパッタ法
以外に、RFスパッタ法、マグネトロンスパッタ法、蒸
着法、メッキ法などの方法が挙げられ、いずれも同様の
効果を得ることができる。
【0040】磁性体コア2、磁性層21としては、F
e,Co,Niをベースとした磁性材料、例えば、Ni
FeMo,NiFeCu,NiFeCr,NiFeN
b,NiFeTi,NiFeSi,FeSi,FeC,
FeC,FeN,CoFe,FeSiAl,FeB,F
eBSi,CoBSi,FeCoBSi,FeCoNi
BSi,CoXa(Xa:Y,Zr,Hf,Ti,N
b,Mo,W,Re,Ni,Fe,Mn),CoXbX
c(Xb:Y,Zr,Hf,Nb,Mo,W,Re,N
i,Fe,Mn、Xc:Y,Zr,Hf,Ti,Nb,
Mo,W,Re,Ni,Fe,Mn)を、また非磁性絶
縁体8および非磁性絶縁層22としては、SiO2 ,A
lN,Al23 ,BN,TiN,SiC,ポリエチレ
ンナフタレート(PEN),ポリエチレンテレフタレー
ト(PET),ポリイミド,カプトン,フォトレジスト
を、検出導線1,1′,1″,・・・としては、Cu,
Al,Ag,Au,Pt,Sn,Cr,Zn,Inを使
用でき、いずれも同様の効果を得ることができる。
【0041】以上の結果から明らかなように、本発明の
磁気ヘッドおよび磁界検出器では、従来の磁気ヘッドお
よび磁界検出器に比べ、出力、SN比、感度、信号検出
精度が高く、また部品構成が単純化するという改善があ
った。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気ヘッ
ドおよび磁界検出器によれば、外部磁界変化を、外部磁
界変化を反映した磁性体コアの透磁率変化に基づくイン
ピーダンス変化に変換し、このインピーダンス変化に比
例した大きな電圧変化として検出でき、さらに同相ノイ
ズがキャンセルされるため、高出力、高SN比、高感度
となる。また、ヒステリシス、バルクハウゼンジャンプ
が現われないため、高精度な検出が可能であり、検出系
の構成が単純で感度が高く、高信頼性を有する。さら
に、検出導体あるいは巻線コイルが、直流バイアス用導
体ラインを兼ねるため、部品構成が単純となり、構成部
品点数の削減、構成の簡易化による製造コストの低減、
製作工程の削減を図ることができ、量産性および経済性
に優れるなど数々の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の磁気ヘッドの第1の実施例を
示す図であり、(b)は本発明の磁気ヘッドの第1の実
施例の要部の断面構成図である。
【図2】本発明の磁気ヘッドの第1の実施例の変形例を
示す図である。
【図3】本発明の磁気ヘッドの第1の実施例の断面構成
の変形例を示す図である。
【図4】本発明の磁気ヘッドの第2の実施例を示す図で
ある。
【図5】本発明の磁気ヘッドの第2の実施例の断面構成
を示す図である。
【図6】本発明の磁気ヘッドの第2の実施例の断面構成
の変形例を示す図である。
【図7】本発明の磁界検出器の第1の実施例の要部の配
線図である。
【図8】本発明の磁界検出器の第2の実施例の要部の配
線図である。
【図9】本発明の磁界検出器の磁性体コア2の断面構造
の一例を示す図である。
【図10】本発明の磁気ヘッドの動作を説明する電圧振
幅(Vpp)の外部磁界(Hext )依存性を示すグラフで
あり、(a)は検出導体1に対するグラフであり、
(b)は検出導体1′に対するグラフである。
【図11】本発明の磁気ヘッドの動作を説明する電圧振
幅(Vpp)の外部磁界(Hext )依存性を示すグラフで
あり、(a)は検出導体1に対するグラフであり、
(b)は検出導体1′に対するグラフである。
【図12】インピーダンス(Ztotal )のキャリア周波
数(fcar )依存性を示すグラフである。
【図13】電圧振幅比変化(ΔVpp/Vpp)の外部磁界
依存性を示すグラフである。
【図14】従来のリング型インダクティブヘッドを示す
図である。
【図15】従来のリング型インダクティブヘッドの要部
の断面構成を示す図である。
【図16】従来の磁気抵抗効果型ヘッドとそれを用いた
磁界検出器を示す図である。
【符号の説明】
1,1′,1″,・・・ 検出導体 2 磁性体コア 3 磁気ヘッド 4 第1の整合器 4′ 第2の整合器 5 結合器 6 高周波発振器 7 検波器 8 非磁性絶縁体 9 信号出力 10 外部磁界 11 ギャップ 12 巻線コイル 13 磁気媒体 14 伝送線路 15 電極 21 磁性層 22 非磁性絶縁層
フロントページの続き (72)発明者 越本 泰弘 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自身が形成する磁気回路の検出すべき外
    部磁界に面した一部にギャップが設けられた少なくとも
    1個のリング状磁性体コアと、該磁性体コア内に直接あ
    るいは非磁性絶縁体を介して設けられた少なくとも2個
    の検出導体とからなることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 リング型インダクティブヘッドの磁性体
    コア内に直接あるいは非磁性絶縁体を介して少なくとも
    2個の検出導体が設けられていることを特徴とする磁気
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の磁気ヘッド
    と、 前記検出導体に接続された第1の整合器と、 前記第1の整合器に接続された高周波発振器と、 前記検出導体に接続された第2の整合器と、 前記第2の整合器に接続された検波器と、 を具備し、これらは互いに伝送線路により接続されてい
    ることを特徴とする磁界検出器。
  4. 【請求項4】 請求項1または2に記載の磁気ヘッド
    と、 前記検出導体に接続された整合器と、 前記整合器に接続された結合器と、 前記結合器に接続された高周波発振器と、 前記結合器に接続された検波器と、 を具備し、これらは互いに伝送線路により接続されてい
    ることを特徴とする磁界検出器。
JP7085519A 1995-04-11 1995-04-11 磁気ヘッドおよび磁界検出器 Pending JPH08288567A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8134801B2 (en) * 2007-03-19 2012-03-13 Dimambro Bryan Electromagnetic data storage devices

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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