JPH08286052A - 光導波路型回折格子の作製方法 - Google Patents

光導波路型回折格子の作製方法

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JPH08286052A
JPH08286052A JP7088326A JP8832695A JPH08286052A JP H08286052 A JPH08286052 A JP H08286052A JP 7088326 A JP7088326 A JP 7088326A JP 8832695 A JP8832695 A JP 8832695A JP H08286052 A JPH08286052 A JP H08286052A
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JP
Japan
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optical waveguide
diffraction grating
hydrogen
refractive index
light
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Application number
JP7088326A
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English (en)
Inventor
Masumi Ito
真澄 伊藤
Maki Inai
麻紀 稲井
Tadashi Enomoto
正 榎本
Susumu Inoue
享 井上
Masaichi Mobara
政一 茂原
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定波長の光成分に対する反射率を増大させ
るファイバ型回折格子の作製方法及び回折格子作製用フ
ァイバを提供する。 【構成】 加熱水素ガス供給器110から、加熱した水
素(H2 )ガスをコア部に酸化ゲルマニウム(Ge
2 )を含む通常の石英系光導波路10に吹きつけ、水
素還元処理を行いながら、干渉機構40で紫外光の干渉
光を生成し、この干渉光を照射して石英系光導波路10
内の酸素欠損型欠陥の増大させ、大きな屈折率変化を生
じさせて回折格子を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光導波路のコア部の屈
折率を光軸に沿って周期的に変化させて回折格子を形成
する光導波路型回折格子の作製方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、光ファイバ通信技術の進展に伴
い、ネットワークの複雑化や信号波長の多重化などが進
行し、システム構成は高度化しつつある。このような光
通信システムでは、光回路素子の重要性が増大してい
る。
【0003】光回路素子における一般的構成の一つとし
てファイバ型素子は、小型で挿入損失が小さいことや、
光ファイバとの接続が容易であること等の利点を有して
いる。そして、このようなファイバ型素子として、ファ
イバ型フィルターが知られている。
【0004】最近では、コア部に酸化ゲルマニウムをド
ープした石英系光ファイバについて、紫外光照射によっ
てコア部の屈折率が変化するという知見が周知であり、
このような光誘起屈折率変化を利用したファイバ型フィ
ルターとして、光ファイバ型回折格子が研究開発されて
いる。
【0005】この光ファイバ型回折格子は、光ファイバ
内を進行する光のうち特定波長の光成分を反射するもの
であり、一般に、紫外光の照射によって光ファイバのコ
ア部に屈折率が光軸に沿って周期的に変化した領域を形
成することにより作製されている。この作製方法には、
信頼性の高い光ファイバ型回折格子を生産性良く作製す
ることができるという利点がある。
【0006】このような光ファイバ型回折格子において
は反射率Rが重要な特性であり、この反射率Rは、グレ
ーティング長(コア部の屈折率が光軸に沿って周期的に
変化した領域の長さ)と光誘起による屈折率の変化量に
依存する。この関係は、次式のように表される。
【0007】R=tanh2 (LπΔn/λR ) ここで、Rは反射率、Lはグレーティング長、Δnは光
誘起による屈折率の変化量、λR は反射波長である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】紫外光照射による屈折
率変化は、コア部のガラス中に存在するゲルマニウム関
連のガラス欠陥に起因することが知られている。しか
し、従来のような酸化ゲルマニウムをコア部にドープし
ただけのガラス光ファイバではガラス欠陥の数が少ない
ため、紫外光を照射しても屈折率変化量Δnが小さく、
したがって、上記の式から明らかなように反射率も低
い。具体的に言えば、紫外光照射によるコア部の屈折率
変化は10-5程度であり、反射率は数%と過小である。
【0009】反射率を高くするためには、上記の式が示
すようにグレーティング長Lを大きくする方法もある
が、紫外光レーザビームを照射するにあたって、レーザ
ビームに高い均一性が要求され、そのために紫外光照射
を行う光学系が複雑になるという問題点がある。また、
ガラス欠陥が少ないため、紫外光照射による屈折率変化
の速度が遅く、反射率を高くしようとすると、照射時間
が長くなって生産性が低下するという問題点がある。
【0010】上記のような問題点は、光ファイバのみな
らず薄膜導波路のような光導波路に回折格子領域を形成
して光導波路型素子を作製する場合にも同様に存在す
る。
【0011】本発明は、光ファイバや薄膜導波路のよう
な光導波路について存在する上記の問題点に鑑みなされ
たものであり、反射率の高い光導波路型回折格子を容易
に、生産性良く作製する方法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光導波路型
回折格子の作製方法は、上記の目的を達成するために、
光導波路の所定領域に加熱された水素ガスを吹きつけな
がら、光導波路の所定領域のコア部に紫外光を照射し、
所定領域の前記コア部の屈折率を変化させる工程を備え
ることを特徴とする。
【0013】ここで、吹きつける水素ガスの温度は、3
00℃以上かつ1000℃以下であることが好適であ
る。
【0014】また、上記光導波路のコア部は、石英ガラ
スに酸化ゲルマニウムをドープして形成されていること
が望ましい。
【0015】また、紫外光の照射は、紫外光を干渉させ
て生じた干渉縞をコア部の所定領域に照射して行うこと
ができる。なお、紫外光の干渉縞は、紫外光を2つの分
岐光に分岐し、一方の分岐光をコア部の軸方向に対して
第1角度で所定領域に照射すると共に、他方の分岐光を
コア部の軸方向に対して第1角度の補角となる第2角度
で所定領域に照射して形成される。また、紫外光の干渉
縞は、所定周期で配列された格子を有する位相格子を光
ファイバに隣接して設置し、紫外光を位相格子の面方向
に対して所定角度で照射して形成されるものでも良い。
【0016】
【作用】酸化ゲルマニウムをドープした石英ガラス系の
光導波路において、紫外光照射による屈折率変化のメカ
ニズムは、完全に解明されてはいない。しかしながら、
重要な原因として、ゲルマニウムに関連した酸素欠損型
の欠陥が考えられており、このような欠陥としてSi−
GeまたはGe−Geなどの中性酸素モノ空孔が想定さ
れている。このような屈折率変化のメカニズムに関して
は、文献「1993年電子情報通信学会春季大会, C-243,p
p.4-279」などに記載されている。
【0017】本出願の発明者らは、酸化ゲルマニウムを
ドープした石英系の光導波路に通常わずかしか存在しな
い酸素欠損型の欠陥を増大させることにより、紫外光照
射による屈折率変化が増大するであろうと推定した。そ
して、光導波路内に存在するゲルマニウムに関連した酸
素欠損型の欠陥を増大するためには、光導波路を水素雰
囲気で還元処理することが有効であることを見出した。
【0018】光導波路を水素雰囲気で還元処理すること
により、光導波路には水素が添加される。本発明者らの
知見によれば、水素が添加された光導波路に紫外光が照
射されると、添加水素が光導波路材料中のゲルマニウ
ム、シリカ、酸素と反応して、Ge−H,Ge−OH,
Si−H,Si−OHという新たな結合を形成し、これ
らの結合が屈折率変化を高める。
【0019】光導波路の水素による還元処理の方法とし
て、光導波路全体を水素雰囲気中に置く方法が考えられ
る。しかしながら、この還元処理の方法では、光導波路
全体が還元処理されることになり、還元処理中での光導
波路のガラス部材と水素との反応によるガラスの劣化が
光導波路全体で発生することになる。また、光導波路が
光ファイバであり、この光ファイバに樹脂コーティング
されたものを水素雰囲気中に置くこととすると、光ファ
イバのガラス部材のみならずコーティング樹脂も同時に
劣化する。これらの劣化は、光導波路全体としての強度
の低下を招くこととなる。
【0020】本発明に係る光導波路型回折格子の作製方
法によれば、回折格子を形成したい光導波路の所定領域
に加熱された水素ガスを吹きつけながら、光導波路の所
定領域のコア部に紫外光を照射する。加熱された水素ガ
スが回折格子を形成したい光導波路の所定領域に吹きつ
けられることにより、この所定領域のコア部に水素が添
加される。このとき、光導波路を構成する石英(SiO
2 )や、これにドープされている酸化ゲルマニウム(G
eO2 )が全体的に還元され易くなり、GeやSiと結
合している酸素が一部取り除かれる現象が発生すると推
察される。結合酸素が一部取り除かれたGeやSiが結
合しあえば、Si−GeまたはGe−Geなどの中性酸
素モノ空孔、すなわち酸素欠損型の欠陥が新たに生じる
こととなる。これにより、光導波路のコア部における酸
素欠損型の欠陥が増大し、紫外光照射による屈折率変化
が高まる。
【0021】吹きつける水素ガスの温度は、300℃以
上かつ1000℃以下であることが好適である。この加
熱温度が300℃未満の場合、光導波路を構成するガラ
スと水素との反応が遅いので、生産性が向上しない。こ
の加熱温度が1300℃を越える場合、光導波路を構成
するガラスの強度が低減する。
【0022】上記の加熱した水素ガスの吹きつけと同時
に、紫外光がコア部における所定領域に照射されると、
添加水素がコア部のゲルマニウム、シリカ、酸素と反応
して、Ge−H,Ge−OH,Si−H,Si−OHと
いう結合が形成され、これらの結合が光誘起屈折率変化
を高める。したがって、酸素欠損型欠陥の増大による効
果と添加水素の反応により生成された新たな結合(Ge
−H等)による効果とが相舞って、紫外光の照射領域で
は大きな屈折率変化が生じる。
【0023】これにより、コア部に屈折率が局部的に高
まった領域が光軸に沿って配列された格子(グレーティ
ング)が形成され、光導波路型回折格子が完成する。こ
の光導波路型回折格子のコア部を進行する光が格子領域
に至ると、屈折率変化の周期に対応した特定波長の光成
分が十分な反射率で反射されるので、本発明の光導波路
型回折格子は光導波路型フィルタとして機能する。
【0024】紫外光の照射について、紫外光を干渉させ
て生じた干渉縞をコア部の所定領域に照射して行うこと
が容易である。なお、紫外光の干渉縞は、分岐した紫外
光の一方をコア部の軸方向に対して第1角度で、他方を
第1角度の補角となる第2角度で、共に所定領域に照射
して形成されることが適切である。このホログラフィッ
ク法によれば、コア部の屈折率変化は、これら二つの分
岐光の入射角度に対応した周期で生じる。また、紫外光
の干渉縞は、所定周期で配列された格子を有する位相格
子に紫外光を位相格子の面方向に対して所定角度で照射
して形成されることが適切である。この位相格子法によ
れば、コア部の屈折率変化は、位相格子の格子配列に対
応した周期で生じる。
【0025】
【実施例】以下、本発明に係る実施例について、図1〜
図4を参照して説明する。なお、図面の説明においては
同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略す
る。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一
致していない。
【0026】本実施例の光導波路型回折格子の作製方法
では、まず、光導波路として光ファイバを用意する。
【0027】次に、光導波路の所定領域に加熱された水
素ガスを吹きつけながら、光導波路の所定領域のコア部
に紫外光を照射する。
【0028】具体的には、図1に示すように、加熱水素
供給器110から加熱された水素ガスを光ファイバ10
に吹きつける。
【0029】光ファイバ10は、コア部に酸化ゲルマニ
ウム(GeO2 )を含む通常の石英系光ファイバであ
り、本実施例では、被覆のされていない裸光ファイバで
ある。裸光ファイバとするのは、加熱により被覆が損
傷、劣化するのを防ぐためである。吹きつける水素ガス
の温度は、300℃以上かつ1000℃以下であること
が好適である。この加熱温度が300℃未満の場合、光
導波路を構成するガラスと水素との反応が遅いので、生
産性が向上しない。この加熱温度が1300℃を越える
場合、光導波路を構成するガラスの強度が低減する。本
実施例では、加熱温度を約800℃とした。
【0030】本実施例のような水素還元によれば、光フ
ァイバ10に添加された水素により光ファイバ10のコ
ア部にドープされている酸化ゲルマニウムが還元され易
くなり、GeやSiと結合している酸素が一部取り除か
れる現象が発生する。結合酸素が一部取り除かれたGe
やSiが結合しあえば、酸素欠損型の欠陥が新たに生じ
ることとなり、光導波路のコア部において通常わずかし
か存在しない酸素欠損型の欠陥が増大する。
【0031】次に、光ファイバ内のコア部に二つの紫外
光を干渉させつつ照射し、屈折率が所定周期で変化した
領域を形成する。
【0032】図1では、本実施例における、ホログラフ
ィック法による紫外光照射の態様を示している。図1に
示すように、干渉機構40を用いて干渉空間50を生成
するように、光源30から出射された紫外光を干渉さ
せ、この干渉空間50に光ファイバ10を設置する。そ
して、加熱器110によって、干渉光の照射領域を約2
00℃に加熱しながら、1分間紫外干渉光を1分間にわ
たって照射する。加熱方法としては、ドライヤによる熱
風の吹きつけや赤外線発生器による赤外線照射などがあ
る。本実施例では、加熱器110としてドライヤを採用
し、熱風の吹きつけにより加熱を行った。
【0033】光源30は、SHG(高調波発生器)アル
ゴンレーザやKrFエキシマレーザ等であり、所定波長
を有するコヒーレントな紫外光を出射する。干渉機構4
0は、ビームスプリッタ41及びミラー42,43で構
成されている。ビームスプリッタ41は、光源30から
の紫外光を二つの分岐光に二分岐させる。ミラー42及
び43は、ビームスプリッタ41からの分岐光をそれぞ
れ反射し、光ファイバ10の軸方向に対して所定角度θ
1 ,θ2 でそれぞれ入射して共面ビームとして相互に干
渉させる。光ファイバ10は、シリカガラスからなるク
ラッド部11及びコア部12で構成されている。コア部
12は、上述したように酸化ゲルマニウムがドープされ
ており、クラッド部11と比較して高屈折率を有する。
なお、二つの分岐光の入射角度θ1 及びθ2 は相互に補
角であり、これらの和(θ1 +θ2 )は180°にな
る。
【0034】こうして、光ファイバ10に所定波長の紫
外光を照射するので、酸化ゲルマニウムをドープしたコ
ア部12における露光領域の屈折率が変化する。現在、
このような紫外光照射による屈折率変化のメカニズム
は、完全に解明されてはいない。しかしながら、これを
説明するものとして、クラマース・クローニッヒ機構、
双極子モデル及び圧縮モデルなどが一般に提案されてい
る。ここでは、クラマース・クローニッヒ機構に基づい
て説明を行う。
【0035】光ファイバ10内のコア部12には、Ge
に関連した酸素欠損型の欠陥が通常わずかに存在してい
る。ここで、欠陥をGe−Siの中性酸素モノ空孔で代
表すると、その欠陥は紫外光照射によって Ge−Si → Ge・+Si+ +e- (1) で示すように転化する。この反応で放出された電子は転
化した欠陥の周辺に位置するGeにトラップされるの
で、コア部12の光吸収特性が変化する。このような欠
陥における吸収スペクトルによると、紫外光照射前には
波長240〜250nm付近にピークが現れるが、紫外
線照射後には波長210nm付近及び280nm付近に
ピークが遷移することが確認されている。この遷移によ
りコア部の屈折率が変化すると考えられている。なお、
周知なクラマース・クローニッヒの関係式に基づき、欠
陥の吸収スペクトル変化から見積ったコア部12におけ
る屈折率変化の値は、反射率の測定値から算出した屈折
率変化の値に良く一致している。
【0036】上記で還元処理された光ファイバ10のコ
ア部12では、上述したように通常わずかしか存在しな
い酸素欠損型の欠陥が増大しているので、紫外光の露光
領域における屈折率変化が大きくなる。これに加えて、
紫外光がコア部に照射されると、酸素が取り除かれたG
eやSi、あるいは通常のGe−O−Siのような結合
と、光導波路に添加された水素とが反応して、Ge−
H,Ge−OH,Si−H,Si−OHという結合が形
成される。本出願の発明者らは、これらの結合が新たな
光吸収帯を形成することにより、紫外光照射による屈折
率変化が高まると推察する。したがって、本発明の方法
によれば、酸素欠損型欠陥の増大による効果と添加水素
の反応により生成された新たな結合(Ge−H等)によ
る効果とが相舞って、紫外光の露光領域における屈折率
変化が10-4〜10-3程度に大きくなる。
【0037】本実施例では、二つのコヒーレントな紫外
光を光ファイバ10の軸方向に対する角度θ1 ,θ
2 (=180°−θ1 )で入射して干渉させている。そ
のため、光ファイバ10の径方向に対するコヒーレント
な紫外光の入射角度θ(=90°−θ1 )と紫外光の波
長λとを用い、干渉空間50における干渉縞の間隔Λ
は、 Λ=λ/(2sinθ) (2) となる。したがって、コア部12の露光領域には、異な
る屈折率を有する領域が干渉縞の間隔Λを周期として光
ファイバ10の軸方向に配列されるので、格子13が形
成されることになる。
【0038】周知なブラッグの回折条件に基づいてコア
部12の屈折率nと格子13の周期Λとを用い、このフ
ァイバ型回折格子の反射波長λR は、 λR =2nΛ =λn/sinθ (3) となる。また、格子13の長さLと屈折率差Δnとを用
い、このファイバ型回折格子の反射率Rは、 R=tanh2 (LπΔn/λR ) (4) となる。したがって、光ファイバ10のコア部12で
は、格子13が10-4〜10-3程度の大きい屈折率変化
で形成されているので、反射波長λR の反射率が100
%近い値に達する。
【0039】なお、このようなホログラフィック法で
は、光源30としては干渉性の良好なレーザが必要であ
る。また、高精度の位置調整や安定性が必要となる。
【0040】以上のようなホログラフィック法に替え
て、位相格子を介して紫外光を照射する位相格子法も使
用できる。図2は、位相格子法による紫外光照射の説明
図である。
【0041】図2に示すように、光ファイバ10を位相
格子60に隣接して設置し、光源30から出射された紫
外光を位相格子60表面の法線方向に対して所定角度θ
で入射させる。そして、ホログラフック法の場合と同様
に、加熱水素供給器110から800℃に加熱された水
素ガスを光ファイバ10に吹きつける。
【0042】光源30は、SHGアルゴンレーザやKr
Fエキシマレーザ等であり、これらは所定波長を有する
コヒーレントな紫外光を出射する。位相格子60は、所
定周期で格子を配列して形成されている。光ファイバ1
0は、シリカガラスからなるクラッド部11及びコア部
12で構成されている。コア部12は、上述したように
酸化ゲルマニウムがドープされており、クラッド部11
と比較して高屈折率を有する。
【0043】こうして、ホログラフック法と同様に、光
ファイバ10に所定波長の紫外光を照射するので、酸化
ゲルマニウムをドープしたコア部12における露光領域
の屈折率が変化する。
【0044】また、格子が所定間隔Λ´で配列された位
相格子60表面の法線方向に対して紫外光を角度θで照
射して干渉させている。そのため、コア部12の露光領
域における干渉縞の間隔Λは、 Λ=Λ´ (5) となる。したがって、コア部12の露光領域には、異な
る屈折率を有する領域が干渉縞の間隔Λを周期として光
ファイバ10の軸方向に配列されるので、格子13が形
成されることになる。
【0045】周知なブラッグの回折条件に基づいてコア
部12の屈折率nと格子13の周期Λとを用い、このフ
ァイバ型回折格子の反射波長λR は、 λR =2nΛ =2nΛ´ (6) となる。また、格子13の長さLと屈折率差Δnとを用
い、このファイバ型回折格子の反射率Rは、上述した式
(4)に示すようになる。したがって、光ファイバ10
のコア部12では、格子13が10-4〜10-3程度の大
きい屈折率変化で形成されているので、反射波長λR
反射率が100%近い値に達する。
【0046】なお、このような位相格子法によれば、上
述したホログラフィック法に要求される位置調整や安定
性の条件が緩和される。また、通常のリソグラフィ技術
や化学エッチングにより、格子の周期を自由に選択する
ことができるので、複雑な形状も実現可能である。
【0047】次に、ファイバ型回折格子の反射率測定を
行うシステムの一実施例を説明する。このシステムは、
本発明に係る作製方法で形成されたファイバ型回折格子
に特定波長の光成分を含む光を入射し、そのファイバ型
回折格子からの反射光のスペクトルを測定する。
【0048】具体的には、図3に示すように、このシス
テムは、光源70、光ファイバ10及び光スペクトルア
ナライザ90を光カプラ80で光結合して構成されてい
る。光ファイバ10は、上記第1または第2実施例及び
第3または第4実施例で形成した格子(グレーティン
グ)13を有するファイバ型回折格子である。光源70
は通常の発光ダイオード等であり、光ファイバ10にお
ける反射波長λR を有する光成分を含む光を出射する。
光カプラ80は通常の溶融延伸型ファイバカプラであ
り、光源70からの入射光を光ファイバ10に出力する
と共に光ファイバ10からの反射光を光スペクトルアナ
ライザ90に出力する。光スペクトルアナライザ90
は、光ファイバ10からの反射光における波長と光強度
との関係を検出する。なお、光ファイバ10の開放端
は、マッチングオイル100中に浸されている。このマ
ッチングオイル100は、通常の屈折率整合液であり、
不要な反射光成分を除去している。
【0049】このような構成によれば、光源70から出
射された光は、光カプラ80を介して光ファイバ10に
入射する。光ファイバ10では、コア部12に形成され
ている格子13が特定波長の光成分を反射する。光ファ
イバ10から出射された光は、光カプラ80を介して光
スペクトルアナライザ90で受光される。光スペクトル
アナライザ90では、波長と光強度とからなる光ファイ
バ10の反射スペクトルが検出される。
【0050】図3のシステムによる測定結果、ホログラ
フィック法または位相格子法で作製した光導波路型回折
格子の反射率は約99%であった。
【0051】なお、図4に、本発明に係る作製方法で形
成されたファイバ型回折格子における水素の加熱温度と
反射率との関係を示す。図4から、水素の加熱温度を3
00℃以上とすることが、高反射率達成にあたって好適
であることが確認できる。
【0052】次に、本出願の発明者らは、光導波路内に
添加される水素の濃度に着目した。すなわち、水素が添
加された光導波路に紫外光が照射されると、添加水素が
光導波路材料中のゲルマニウム、シリカ、酸素と反応し
て、Ge−H,Ge−OH,Si−H,Si−OHとい
う新たな結合を形成する。ここで、本出願の発明者ら
は、これらの結合が新たな光吸収帯を形成することに起
因して、光導波路のコア部に水素を添加することによ
り、紫外光照射による屈折率変化が高まることを見出だ
した。
【0053】水素の添加による屈折率変化は、光導波路
のコア部に添加される水素の量が多い程、大きくなると
推察される。そこで、本発明者らは、様々な濃度の水素
を光ファイバのコア部に添加してから、紫外光を照射
し、得られたファイバ型回折格子の反射率を調べて、水
素の添加濃度とその効果との関係を調査した。
【0054】図5は、調査結果を示すグラフである。こ
のグラフに示されるように、水素(H2 )無添加の光フ
ァイバでは反射率は20%であるが、コア部に添加され
た水素濃度が増加するにつれて反射率が上昇し、500
ppmで反射率30%、1000ppmで反射率50
%、3000ppm以上では反射率99%に達すること
が分かった。なお、1ppmは、1モルのSiO2 に1
-6モルの水素が含まれていることを表す。
【0055】次に、紫外光を照射して反射率が飽和する
までの照射時間の水素濃度依存性を調べた。図6は、こ
の結果を示すグラフである。このグラフに示されるよう
に、水素濃度の増加とともに必要な照射時間は減少し、
20000ppmにおいて10分まで短縮される。これ
は、水素無添加の光ファイバに要する時間のほぼ20分
の1に相当する。さらに高濃度では、照射時間が短くな
り、48000ppmで1分となったところで照射時間
の短縮化傾向が飽和した。
【0056】以上の結果によれば、コア部の水素濃度が
500ppm以上であると、反射率上昇の効果が著し
い。さらに、50%以上の反射率を得るためには、水素
濃度が1000ppm以上であることが、また、90%
以上の極めて高い反射率を得るためには、水素濃度が2
000ppm以上であることが必要である。さらに高い
反射率99%を得るためには、水素濃度が3000pp
m以上であることが必要である。一方、水素濃度が48
000ppm以上では紫外光照射時間の短縮効果が飽和
しており、反射率上昇の効果も既に飽和しているので、
これ以上水素添加濃度を増やしても意義は少ないと思わ
れる。したがって、光導波路のコア部に含まれる水素の
濃度は、約500ppm以上であることが好ましく、特
に、約500〜約48000ppmの範囲にあることが
適当である。
【0057】なお、上記の水素濃度は以下の方法により
推定されたものである。次の表1は、この水素濃度推定
に当たって用いるもので、ロッド径1mmの石英ガラス
への水素の溶解度を示すものである。
【0058】
【表1】
【0059】水素濃度推定に当たっては、まず、表1の
データに基づき、温度と拡散度との関係を比例関係と見
なし、最小二乗法を用いて、ほぼ常温の20℃(293
K)における石英ガラスに対する水素の溶解度を算出す
る。これをppm単位に換算すると、20℃における飽
和水素濃度が約121ppmと求まる。
【0060】ゲルマニウムがドープされたコアを有する
20℃の光ファイバに関して、波長1.24μm光の水
素分子による吸収損失は約6dB/kmであることが分
かっている。このことから、20℃の光ファイバにおい
て、吸収損失1dB/km当たりの水素濃度は、 121/6=約20ppm/(dB/km) と求まる。
【0061】続いて、水素が添加された光ファイバ(温
度20℃)の損失スペクトルを測定し、水素分子に起因
する波長1.24μmの吸収ピークが示す損失値[dB
/km]を求める。この損失値に吸収損失1dB/km
当たりの水素濃度20ppm/(dB/km)を掛ける
ことにより、添加水素濃度[ppm]が求まる。すなわ
ち、1.24μm光の損失値を20倍したものが上記し
た添加水素濃度の推定値である。
【0062】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
光導波路型回折格子の作製方法によれば、光導波路に回
折格子が形成されるべき所定領域に加熱された水素ガス
を吹きつけながら、紫外光が所定領域のコア部に照射さ
れるので、回折格子が形成される光導波路の所定領域以
外の領域でのガラス部材の劣化を避けながら、酸素欠損
型の欠陥が増大するとともに水素の反応による新しい結
合を生じさせ、これによって、光導波路全体として強度
が維持され、前記所定領域では極めて大きな屈折率変化
が生じた光導波路型回折格子を実現できる。
【0063】これにより、光導波路のコア部に屈折率が
局部的に大きく変化した領域を光軸に沿って配列して格
子(グレーティング)を形成することができるので、こ
の光導波路を進行する光のうち、屈折率変化の周期に対
応した特定波長の光成分が極めて高反射率で反射され
る。したがって、本発明の方法によれば、極めて高い反
射率を有する光導波路型回折格子を作製することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のファイバ型回折格子の作製方
法の説明図である。
【図2】本発明の実施例のファイバ型回折格子の作製方
法の説明図である。
【図3】本発明に係る作製方法で形成されたファイバ型
回折格子における反射率測定を行うシステムを示す構成
図である。
【図4】本発明に係る作製方法で形成されたファイバ型
回折格子における水素ガス加熱温度と反射率との関係を
示すグラフである。
【図5】光ファイバに添加する水素の濃度と得られるフ
ァイバ型回折格子の反射率との関係を示すグラフであ
る。
【図6】光ファイバに添加する水素の濃度と反射率が飽
和するまでの紫外光照射時間との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10…光ファイバ、11…クラッド部、12…コア部、
13…格子、30,70…光源、40…干渉機構、41
…ビームスプリッタ、42,43…ミラー、50…干渉
空間、60…位相格子、80…光カプラ、90…光スペ
クトルアナライザ、100…マッチングオイル、110
…加熱水素ガス供給器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 享 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 茂原 政一 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導波路の所定領域に加熱された水素ガ
    スを吹きつけながら、前記光導波路の前記所定領域のコ
    ア部に紫外光を照射し、前記所定領域の前記コア部の屈
    折率を変化させる工程を備えることを特徴とする光導波
    路型回折格子の作製方法。
  2. 【請求項2】 前記水素ガスの温度は、300℃以上か
    つ1000℃以下であることを特徴とする請求項1記載
    の光導波路型回折格子の作製方法。
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