JPH1082919A - ファイバグレーティングの作成方法及び光ファイバ - Google Patents

ファイバグレーティングの作成方法及び光ファイバ

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JPH1082919A
JPH1082919A JP9189865A JP18986597A JPH1082919A JP H1082919 A JPH1082919 A JP H1082919A JP 9189865 A JP9189865 A JP 9189865A JP 18986597 A JP18986597 A JP 18986597A JP H1082919 A JPH1082919 A JP H1082919A
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fiber
core
grating
light
optical fiber
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JP9189865A
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English (en)
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Toru Iwashima
徹 岩島
Masaichi Mobara
政一 茂原
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバが本来有する強度を保持した状態
でファイバグレーティングを作成する方法及びこのファ
イバグレーティングを備えた光ファイバを提供するもの
である。 【解決手段】 感光性のコア12あるいは感光性のコア
12とクラッド11を有する光ファイバ10の外周に、
コア12あるいはコア12とクラッド11が感光する所
定波長の光を透過する薄層14を設けて被覆ファイバ1
5を形成する第1工程と、被覆ファイバ15の所定領域
に側方から所定波長の光を照射して、コア12あるいは
コア12とクラッド11の軸方向に屈折率縞13を形成
する第2工程とを有する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバのコア
部の屈折率を光軸に沿って周期的に変化させてファイバ
グレーティングを作成する方法及びこのファイバグレー
ティングを有する光ファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光ファイバ通信技術の進展にとも
ない、ネットワークの複雑化や信号波長の多重化などが
進行し、システム構成は高度化しつつある。このような
光通信システムでは、光回路素子の重要性が増大してい
る。光回路素子における一般的構成の一つとしてのファ
イバ型素子は、小型で挿入損失が小さいことや、光ファ
イバとの接続が容易であること等の利点を有している。
そして、このようなファイバ型素子として、ファイバ型
フィルターが知られている。
【0003】最近では、コア部に酸化ゲルマニウムをド
ープした石英系光ファイバについて、紫外光照射によっ
てコア部の屈折率が変化するという知見が周知であり、
このような光誘起屈折率変化を利用したファイバ型フィ
ルターとして、光ファイバ型回折格子が研究開発されて
いる。この光ファイバ型回折格子は、光ファイバ内を進
行する光のうち特定波長の光部分を反射するものであ
り、一般に、紫外光の照射によって光ファイバのコア部
に屈折率が光軸に沿って周期的に変化した領域を形成す
る(グレーティング)ことにより製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】紫外光照射による屈折
率変化は、コア部のガラス中に存在するゲルマニウム関
連のガラス欠陥に起因することが知られている。しか
し、従来のような酸化ゲルマニウムをコア部にドープし
ただけのガラス光ファイバではガラス欠陥の数が少ない
ため、紫外光を照射しても屈折率変化量Δnが小さく、
したがって、反射率も小さい。 反射率を高くするため
には、上記の式が示すようにグレーティング長を大きく
する方法もあるが、紫外光レーザビームを照射するにあ
たって、レーザビームに高い均一性が要求され、そのた
めに紫外光照射を行う光学系が複雑になる。
【0005】そこで、反射率を高くするため、紫外光の
照射光量に対する屈折率の変加量を増大させるべく、水
素を光ファイバに添加する方法が知られている。光ファ
イバへの水素の添加は、高圧の水素加圧処理によって行
われるが、屈折率変化を大きくするためには、添加水素
濃度が高いことが望ましい。このため、高濃度の水素を
添加する方法としては、一般に水素を高圧に加圧した容
器内に光ファイバを一定期間放置して行う。しかるに従
来は、通常グレーティングの作製においては被覆を除去
し、ガラスを露出させた状態で照射する方法が採られて
いた。被覆を除去するために、光ファイバの表面が直接
空気と接触し、ガラスの表面が酸化劣化を起こしたる、
製造中に光ファイバの表面に傷を付けて、急激に引張り
強度の低下をきたすといった問題があった。また、グレ
ーティング作製後に、光ファイバに再被覆を施すといっ
た問題があった。
【0006】そこで本発明の目的は、光ファイバが本来
有する強度を保持した状態でファイバグレーティングを
作成する方法を提供するものである。本発明の目的は、
さらに、反射率の優れたファイバグレーティングを形成
しながら引張強度の大きい光ファイバを提供するもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるファイバ
グレーティングの作成方法は、感光性のコアあるいは感
光性のコアとクラッドを有する光ファイバの外周に、コ
アあるいはコアとクラッドが感光する所定波長の光を透
過する被覆を光ファイバ上に形成する第1工程と、被覆
ファイバの所定領域に側方から所定波長の光を照射し
て、コアあるいはコアとクラッドの所定領域に屈折率を
変化させる第2工程とを備えることを特徴とする。
【0008】この発明によれば、第1工程において光フ
ァイバの外周に被覆を形成した後、第2工程において被
覆が施された状態の被覆ファイバにグレーティングを形
成するので、光ファイバの表面は直接空気と触れること
がないので酸化されることがなく、又製造中に光ファイ
バの表面に傷が付けられることがないので光ファイバ本
来の強度が保持される。
【0009】本発明の第1工程において、光ファイバの
上に設けられる被覆がシリコン樹脂、エポキシ樹脂等の
有機樹脂の場合は、グレーティングするための紫外光の
透過損失が少ないので、効率がよくなる。その中、シリ
コン樹脂は通常の被覆ファイバに適用されている材料な
ので入手しやすく、低コストとなる。また、シリコン樹
脂の厚さを5〜10μm程度では、紫外光は殆ど損失を
受けないでグレーティングを形成することができる。
【0010】本発明の作成方法において、第1工程で光
ファイバに被覆を形成した後、第2工程で被覆された光
ファイバにグレーティングを施すに先立ち、被覆ファイ
バに水素を添加することを特徴とする。グレーティング
を施す前に水素を添加処理することによって、迅速、か
つ、効果的にグレーティングを形成することができるの
で望ましい。
【0011】本発明の作成方法において、第2工程でグ
レーティングを施した後、被覆ファイバの上に紫外線硬
化型樹脂あるいはナイロン等の補強層を施すと、光ファ
イバの強度が確保されるので望ましい。
【0012】本発明における第2工程は、位相格子法、
ホログラフィック法あるいは強度変調マスク法のいずれ
かの方法によって屈折率縞を形成する工程であることを
特徴とし、また、波長が190〜330nmの紫外光、
波長が450〜550nmの可視光あるいは波長が0.
12〜0.7nmのX線のいずれかの光を照射して屈折
率を変化させる工程であることを特徴とする。
【0013】本発明によれば、被覆ファイバの上から光
を照射してファイバグレーティングを形成するための波
長帯域は、紫外光、可視光あるいはX線のいずれも可能
であるが、照射光が被覆層を透過する透過性の観点から
は、紫外光より可視光、可視光よりX線が優れており、
効率よくグレーティングを形成することができる。
【0014】本発明における第1工程は、光ファイバの
外周に紫外線硬化樹脂、シリコン樹脂あるいはカーボン
のいずれかの薄層を設ける工程であることを特徴とす
る。これらの被覆材料は、光ファイバの機械的強度なら
びに伝送特性を保持するのに適していると共に、グレー
ティングを形成するための照射光に対する減衰が小さい
ので好適である。
【0015】本発明の光ファイバは、感光性のコアある
いは感光性のコアとクラッドを有する光ファイバを線引
し、その直後にコアあるいはコアとクラッドが感光する
所定波長の光を透過する薄層が被覆されると共に、水素
が添加され、その後、所定波長の光を照射することによ
りコアあるいはコアとクラッドの軸方向に屈折率の縞を
形成したことを特徴とする。
【0016】本発明に係わる光ファイバによれば、被覆
された薄層を介して水素が添加されると共に、被覆ファ
イバの上から光を照射してグレーティングが形成される
ので、ガラス状態の光ファイバが酸化劣化し、あるいは
表面傷が発生するのを防止することができる。さらに、
本発明の光ファイバは線引直後に被覆されるのでガラス
本来の強度を保持しており、高強度の光ファイバを得る
ことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明のファイバグレーティングの作成方法に係わる実施
形態について詳細に説明する。なお、図面の説明におい
て同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省
略する。
【0018】ファイバグレーティングを有する光ファイ
バは、光ファイバの軸にそってコア内に細かなピッチの
周期的屈折率分布をもたせたものである。さらに、この
ファイバグレーティングは、(1)ファイバーブラッグ
グレーティングと(2)長周期グレーティングとに分け
られる。ファイバーブラッググレーティングは、屈折率
分布の光学的周期が半波長の垂直グレーティングとして
書き込まれると、ファイバーコアにはグレーティングの
各部で部分反射されるので全体的には多数の後進波が発
生し、その位相が揃っているので強めあいの干渉を起こ
す。この結果、鋭い波長選択性をもつ反射光が発生する
ものである。
【0019】一方、長周期グレーティングは、ファイバ
グレーティングを有する光ファイバを伝送するコアモー
ドとクラッドモード間の結合を誘起するとともに、グレ
ーティングの周期がコアモードとクラッドモードとの光
路差で2πにすると、コアモードからクラッドモードへ
の強いパワー変換が生じる。その結果、クラッドモード
は急速に減衰するので、ファイバー透過光はスペクトル
の窪みがあらわれるというものである。
【0020】(実施形態1)最初に、ファイバーブラッ
ググレーティングの作成方法について説明する。図1
は、被覆ファイバに水素を圧入するための装置を示す図
である。図1において、圧力容器20内には石英ガラス
からなる光ファイバ10の周りを薄層14で覆われた被
覆ファイバ15(図2参照)を設置し、バルブ21側か
ら水素(H2)ガスを送り込み、ヒータなどの温度調節
器23で圧力容 器20の温度を設定する。
【0021】被覆ファイバ15は、コア部に酸化ゲルマ
ニウム(GeO2)を含む通常の石英系光ファイバであ
り、薄層14としてはシリコン樹脂、エポキシ樹脂等の
有機材料が用いられる。これらの有機材料は熱線を吸収
して硬化するが、グレーティングのために使用される紫
外光には直接的に影響を及ぼさないので、グレーティン
グの効率がよい。その中、シリコン樹脂は通常の被覆フ
ァイバに適用されている材料なので入手しやすく、低コ
ストとなる。また、シリコン樹脂の厚さを5〜10μm
の程度にすると、紫外光は殆ど損失を受けないでグレー
ティングすることができる。
【0022】本実施形態において薄層14に有機材料を
用いるので、グレーティングの効率を向上させるための
水素添加処理は常温〜100℃の範囲で行われる。水素
添加処理は10〜400気圧で行う。水素圧力が10気
圧未満では水素の添加の効果が実質的になく、400気
圧を超えると水素添加の効果が飽和するからである。被
覆ファイバ15に水素が添加されると、光ファイバ10
のコア部にドープされている酸化ゲルマニウムが還元さ
れ易くなり、GeやSiと結合している酸素が一部取り
除かれる現象が発生する。結合酸素が一部取り除かれた
GeやSiが結合しあえば、酸素欠損型の欠陥が新たに
生じることとなり、光ファイバのコア部において通常わ
ずかしか存在しなくなり、酸素欠損型の欠陥が増大す
る。
【0023】次いで、高圧状態で水素添加された加圧容
器20の圧力を常圧まで降下して被覆ファイバ15を取
出す。このように本発明は、光ファイバ10の上には薄
層14を設けた状態で水素添加処理をし、またグレーテ
ィングを施すので、ガラスファイバ10の表面は空気と
直接接触しないので空気中の水分と反応して劣化するこ
とがない。さらにガラスファイバの表面に傷を付けるこ
とが防止されるので、ガラス本来の強度を保持すること
ができる。
【0024】次に、水素添加処理された被覆ファイバに
紫外光を照射する方法について説明する。図3は位相格
子法による紫外光の干渉縞を照射するための説明図であ
る。被覆ファイバ15は、石英を主成分とするものであ
り、コアにのみ屈折率上昇材のゲルマニウムが添加され
ている。このゲルマニウムは、周知の通り、波長193
nm又は248nm付近の紫外光に対する感光材として
の役割も有している。すなわち、ゲルマニウムが添加さ
れた石英ガラスは、上記のような波長の紫外光が照射さ
れると、その照射部分において上昇するという性質をも
っている。このことに鑑み、光ファイバ15への照射紫
外光として、波長248nm帯のエキシマレーザ光を用
いている。
【0025】水素添加処理された被覆ファイバ15に所
定波長の紫外光を照射すると、酸化ゲルマニウムをドー
プしたコア部12における露光領域の屈折率が変化す
る。現在、このような紫外光照射による屈折率変化のメ
カニズムは、完全には解明されていない。しかしなが
ら、この屈折率変化には光ファイバ10のコア部12に
通常わずかに存在しているGeに関連した酸素欠損型の
欠陥が関与しているものと、一般に推定されている。水
素添加工程で添加された光ファイバ10のコア部12で
は、通常わずかしか存在しない酸素欠損型の欠陥が増大
しているので、紫外光の露光領域における屈折率変化が
大きくなる。
【0026】格子が所定間隔Λ´で配列された位相格子
60の表面の法線方向に対して紫外光を角度θで照射し
て干渉させている。そのため、コア部12の露光領域に
おける干渉縞の間隔Λは、 Λ=Λ´ (1) となる。したがって、コア部12の露光領域には、異な
る屈折率を有する領域が干渉縞の間隔Λを周期として光
ファイバ10の軸方向に配列されるので、格子13が形
成されることになる。
【0027】周知なブラッグの回折条件に基づいてコア
部12の屈折率nと格子13の周期Λとを用い、このフ
ァイバ型回折格子の反射波長λRは、 λR=2nΛ =2nΛ´ (2) となる。また、格子13の長さLと屈折率差Δnとを用
い、このファイバ型回折格子の反射率Rは、 R=tanh2(LπΔn/λR) (3) ここで、L:グレーティング長 Δn:光誘起による屈折率の変化量 λR:反射波長 となる。したがって、光ファイバ10のコア部12で
は、格子13が10-4〜10-3程度の大きい屈折率変化
で形成されているので、反射波長λRの反射率Rが10
0%近い値に達する。
【0028】次に、ホログラフィック法によって水素添
加処理された被覆ファイバに紫外光を照射する方法を説
明する。図4は、ホログラフィック法による紫外光の干
渉縞を照射するための説明図であり、干渉機構40を用
いて干渉空間50を形成するように、光源30から出射
された紫外光を干渉させ、この干渉空間50に被覆ファ
イバ15を設置する。干渉機構40は、ビームスプリッ
タ41およびビームスプリッタ41を挟むように配置さ
れた2つのミラー42、43で構成されている。
【0029】図4において、二つのコヒーレントな紫外
光を被覆ファイバ15の光軸方向に対する角度θ1、θ2
(=180゜−θ1)で入射して干渉させる。そのた
め、被覆ファイバ15の径方向に対するコヒーレントな
紫外光の入射角度θ(=90゜−θ1)と紫外光の波長
λとを用い、干渉空間50における干渉縞の間隔Λは、 Λ=λ/(2 sin θ) (4) となる。したがって、コア部12の露光領域には、異な
る屈折率を有する領域が干渉縞の間隔Λを周期として光
ファイバ12の軸方向に配列されるので、回折格子13
が形成されることになる。
【0030】ブラッグの回折条件に基づいてコア部12
の屈折率nと格子13の周期Λとを用い、このファイバ
型回折格子の反射波長λRは、 λR =2nΛ =λn/sin θ (5) となる。また、格子13の長さLと屈折率差Δnとを用
い、このファイバ型回折格子の反射率Rは、上述した式
(3)に示すようになる。したがって、光ファイバ10
のコア部12では、格子13が10-4〜10-3程度の大
きい屈折率変化で形成されているので、反射波長λR
反射率Rが 100%近い値に達する。
【0031】こうして作成されたファイバブラッググレ
ーティングは、機械的強度を確保するために薄層14の
上からナイロンあるいは紫外線硬化型樹脂等の外皮を設
けた状態で光学部品が形成される。
【0032】上記のファイバ型回折格子は、以下のよう
にして反射率が測定される。図5は、ファイバブラッグ
グレーティングの反射率測定を行うシステムの構成図で
ある。図5に示すように、このシステムは光源70、被
覆ファイバ15及び光スペクトルアナライザ90を光カ
プラ80で光結合して構成されている。光源70は通常
発光ダイオード等であり、被覆ファイバ15における反
射波長λRを有する光成分を含む光を出射する。光カプ
ラ80は通常の溶融延伸型ファイバカプラであり、光源
70からの入射光を被覆ファイバ15に出力するととも
に被覆ファイバ15からの反射光を光スペクトルアナラ
イザ90に出力する。光スペクトルアナライザ90は、
被覆ファイバ15からの反射光における波長と光強度と
の関係を検出する。なお、被覆ファイバ15の開放端
は、マッチングオイル100中に浸されている。このマ
ッチングオイル100は、通常の屈折率整合液であり、
不要な反射光成分を除去している。
【0033】図5のシステムによれば、光源70から出
射された光は、光カプラ80を介して被覆ファイバ15
に入射する。光ファイバ素線15では、コア部12に形
成されている格子13が特定波長の光成分を反射する。
被覆ファイバ15から出射された光は、光カプラ80を
介して光スペクトルアナライザ90で受光される。光ス
ペクトルアナライザ90では、波長と光強度とからなる
光ファイバ素線15の反射スペクトルが検出される。
【0034】(実施例)図6に示すように、光ファイバ
10を線引きすると同時に、シリコン樹脂を塗布・硬化
して、直径125μmの石英ファイバの上に、シリコン
樹脂からなる厚さ10μmの薄層14を施した被覆ファ
イバ15を作製した。シリコン層14の厚さは線引速度
を制御することによってに調節した。これを温度25℃
に保持された圧力容器20内に入れ、水素ガスを240
気圧に封入して、1週間放置した。その後、水素の圧力
を常圧まで下げ、圧力容器20を開放して被覆ファイバ
15−1を取出した。取出した被覆ファイバ15は上述
した位相格子法によってグレーティングを施した。シリ
コン層14を設けた状態及びこれをを除去してガラスフ
ァイバとした状態について引張強度試験を行ったとこ
ろ、夫々6kgと5kgであった。
【0035】(比較例)水素添加処理を行なった被覆フ
ァイバ15のシリコン層14除去し、露出したガラスフ
ァイバ10にグレーティングを形成した後、引張強度試
験を行ったところ、1.0kgであった。さらに、この
水素添加されたガラスファイバ10についてグレーティ
ングを施し、引張強度試験を行ったところ0.6kgで
あった。空気中に曝されたために酸化劣化を起こし、被
覆除去ガラスファイバの表面に微小傷が付いたために強
度が低下したものと考えられる。ガラスファイバ10の
水素添加処理及びグレーティングは実施例1と同一の手
順、同一条件で行なった。
【0036】このように被覆ファイバのコアに直接グレ
ーティングが形成された光ファイバは、引張り強度の優
れた特性が得られる。一方、グレーティングが形成され
た光ファイバに張力が加えられると、屈折率縞の間隔が
大きくなるので光ファイバを伝搬する光の反射波長は張
力に比例して長波長側にシフトする。したがって、本発
明の方法によって得られた引張り強度の大きい光ファイ
バは、張力測定のセンサとして用いることができる。
【0037】(実施形態2)次に、被覆ファイバに長周
期グレーティングを形成する方法について説明する。図
7は、本実施形態に係わる長周期グレーティングの作成
方法を表す図である。図7(a)は、強度変調マスク6
1を介して被覆ファイバ15に紫外光31を照射するこ
とで光ファイバ15のコアに長周期グレーティングを形
成するものである。
【0038】被覆ファイバ15は、石英を主成分とする
ものであり、コアにのみ屈折率上昇材のゲルマニウムが
添加されている。このゲルマニウムは、周知の通り、波
長193nm又は248nm付近の紫外光に対する感光
材としての役割も有している。すなわち、ゲルマニウム
が添加された石英ガラスは、上記のような波長の紫外光
が照射されると、その照射部分において上昇するという
性質をもっている。このことに鑑み、被覆ファイバ15
への照射紫外光として、波長248nm帯のエキシマレ
ーザ光を用いている。
【0039】強度変調マスク61は、透明な石英ガラス
平板61aの表面に複数の帯状クロム層61bを等間隔
に蒸着している。このクロム層61bは、紫外光31を
遮断する作用を有している。従って、石英ガラス平板6
1aのクロム蒸着面には、光遮断部(クロム層)と光透
過部(各クロム層の間に位置するガラス表面)とが交互
に格子状に配列されていることになる。本実施形態で
は、この強度変調マスク61のクロム蒸着面の反対側の
面に紫外光ビーム31が照射され、クロム層間のガラス
表面を透過した紫外光のみが光ファイバ15に照射され
る。このため、被覆ファイバ15には、紫外光が等間隔
の格子状に照射されることになる。この照射光は、感光
材であるゲルマニウムが添加されているコアに入射し
て、コアの屈折率変化を誘起する。これにより、被覆フ
ァイバ15のコアには、屈折率が局所的に上昇した複数
の部位がコアの軸線に沿って格子状に等間隔に配列され
ることになる。
【0040】図7(b)は、このようにして長周期グレ
ーティングを形成した後におけるコア及びクラッドのフ
ァイバ軸方向に沿った屈折率分布を示す図である。図7
(b)に示すように、上記の紫外光照射によって、コア
に複数の局所的な屈折率上昇部が形成されており、長周
期グレーティングを構成している。なお、図面の簡略化
のため、図7(b)には、紫外光照射による屈折率上昇
部が3個だけ示されているが、実際の長周期グレーティ
ングは、通常、このような屈折率上昇部を数百個程度ま
で複数含んで構成されている。
【0041】被覆ファイバに紫外光を照射して長周期グ
レーティングを形成する場合は、実施形態1と同様にシ
リコン樹脂あるいはエポキシ樹脂の薄層が好ましく、さ
らに5〜10μmの厚さが望ましい。
【0042】(実施形態3)実施形態1及び2において
は、紫外光を照射してファイバグレーティングを作成す
る方法について説明した。すなわち、被覆ファイバの上
から紫外光を照射すると、光ファイバの外周に被覆され
た薄層によって紫外光が減衰する傾向があるので、比較
的減衰の少ないシリコン樹脂を用いるとともに、その厚
さを5〜10μmに限定することによって良好な結果を
得ることができた。
【0043】これに対して、実施形態3では光ファイバ
の被覆材料およびその厚さに影響され難いファイバグレ
ーティングを作成する方法について説明する。すなわ
ち、最近の研究成果によると、ゲルマニウムが添加され
た光ファイバのコアは、波長が240nm付近の紫外光
で吸収が生じるが、240nmの2倍の波長の光でも屈
折率変化が生じることが解ってきた。この480nm付
近の可視光による屈折率変化のメカニズムは二光子吸収
によるものと考えられている。
【0044】このような可視光によってファイバグレー
ティングを作成する場合は、比較的透明なシリコン樹
脂、あるいは紫外線硬化型樹脂等の有機材料を光ファイ
バの被覆材として使用しても、この被覆材による可視光
の減衰は小さいので、効率よくファイバグレーティング
を形成することができる。また、実施形態1で説明した
照射方法、即ち、ホログラフィック法、位相格子法およ
び実施形態2に示した強度変調マスク法のいずれの方法
をも適用することができる。
【0045】このような波長帯域の可視光を用いると、
被覆ファイバに用いられる被覆材料はシリコン樹脂ある
いはエポキシ樹脂に制限されることなく(一般に透明な
樹脂であれば使用可能である)、その被覆厚さも数十μ
mまで使用できるという利点がある。
【0046】(実施形態4)ファイバグレーティングを
作成するための照射光としてX線を用いることができ
る。X線は被覆ファイバの外周を覆っている被覆材料に
よって殆ど影響されないので、最も効果的にファイバグ
レーティングを作成することができる。実施形態4で
は、このようなX線によって被覆ファイバにグレーティ
ングを作成する方法を示すものである。
【0047】図8は、被覆ファイバ15にX線を照射し
てファイバグレーティングを形成する装置の断面図であ
る。図8において、シンクロトロン放射光装置(図示せ
ず)からの波長0.12nm〜0.7nmのX線が発射
され、X線の強度変調マスク62を介して被覆ファイバ
15に照射される。
【0048】シンクロトロン放射光(SR光)はシンク
ロトロン放射装置からSR光導入管25を通してSR光
照射室24内に導かれる。照射室24は大気圧のヘリウ
ムを含んでいるのに対して、導入管25のシンクロトロ
ン放射光装置側は超高真空に維持されているので、導入
管25の途中に隔膜26が設けられている。
【0049】X線強度変調マスク62は、X線を透過す
る支持膜62aとその上に所定の間隔で格子状にX線の
シールド層62bが設けられている。支持膜62aは、
X線に対して機械的強度とX線透過能を有する窒化ケイ
素膜、炭化ケイ素膜、ダイヤモンド膜が用いられる。X
線シールド層62bは、X線に対して遮蔽能力を有する
タングステン層、タンタル層が用いられる。
【0050】被覆ファイバ15のコアにはゲルマニウム
を含んでいるので、X線の照射を受けた領域は屈折率が
増大してコアの軸方向にX線強度変調マスク62のパタ
ーンによる屈折率変化が得られる。この時、光ファイバ
の被覆材としてシリコン樹脂や紫外線硬化型樹脂等の有
機材料あるいはカーボン等の無機材料が使用されても、
これらの被覆材によってコアを照射するためのX線は殆
ど減衰をうけないので効率よくグレーティングを形成す
ることができるという利点がある。
【0051】以上説明したように本発明は、表1に示す
ように、ガラスファイバの外周にシリコン樹脂あるいは
紫外線硬化樹脂からなる有機材料及びカーボンの薄層が
施された光ファイバの上から波長の可視光、紫外光ある
いはX線を照射してグレーティングを形成するので高強
度の光ファイバが得られる。ここで、波長450〜55
0nmの可視光はカーボンを透過しにくい性質があるの
で、薄層としてカーボンを用いるときはできるだけ薄く
することが好ましい。また、波長190〜330nmの
紫外光も紫外線硬化樹脂を透過しにくい性質があるの
で、紫外線硬化樹脂を薄層として用いるときもできるだ
け薄くすることが好ましい。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように、外周を
保護するための被覆層を設けた光ファイバについて水素
の添加処理ならびにグレーティングを形成するので、ガ
ラスファイバの表面が直接空気と接触することがなく、
また、ガラスファイバの表面に傷の発生するのを防止で
きるので、光ファイバが本来有する強度を保持すること
ができる。
【0054】このようにして形成された光ファイバは、
引張り強度が大きく、また、張力が付加されるとグレー
ティングによる反射波長がシフトするので、張力測定用
センサに適する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ファイバグレーティングの作成方法における水
素添加工程を説明する図である。
【図2】ファイバグレーティングの作成方法に用いられ
る被覆ファイバの構成を示す図である。
【図3】ファイバグレーティングの作成方法における回
折格子書き込み工程(位相格子法)を説明する図であ
る。
【図4】ファイバグレーティングの作成方法における回
折格子書き込み工程(ホログラフィック法)を説明する
図である。
【図5】ファイバブラッググレーティングの反射率を測
定するシステムを示す構成図である。
【図6】線引工程において、光ファイバの上に有機材料
の薄層を形成する方法を説明する図である。
【図7】ファイバグレーティングの作成方法における回
折格子書き込み工程(強度変調マスク法)を説明する図
である。
【図8】ファイバグレーティングの作成方法における回
折格子書き込み工程(X線による強度変調マスク法)を
説明する図である。
【符号の説明】
1・・・母材、2・・・加熱装置、3・・・有機材料の塗布装
置、4・・・加熱炉、10・・・光ファイバ(ガラスファイ
バ)、11・・・クラッド部、12・・・コア部、13・・・回
折格子、14・・・薄層、15・・・被覆ファイバ、20・・・
圧力容器、21、22・・・バルブ、23・・・温度調節器、
24・・・SR光照射室、25・・・SR光導入管、26・・・
ベリリュウム隔膜、40・・・干渉機構、41・・・ビームス
プリッタ、42、43・・・ミラー、50・・・干渉空間、6
0・・・位相格子、61、62・・・強度変調マスク、30、
70・・・光源、80・・・光カプラ、90・・・光スペクトル
アナライザ、100・・・マッチングオイル。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光性のコアあるいは感光性のコアとク
    ラッドを有する光ファイバの外周に、前記コアあるいは
    前記コアとクラッドが感光する所定波長の光を透過する
    被覆を前記光ファイバ上に形成する第1工程と、 前記被覆ファイバの所定領域に側方から前記所定波長の
    光を照射して、前記コアあるいは前記コアとクラッドの
    所定領域に屈折率を変化させる第2工程と、を備えるこ
    とを特徴とするファイバグレーティングの作成方法。
  2. 【請求項2】 前記第1工程は、光ファイバの外周に紫
    外線硬化樹脂、シリコン樹脂あるいはカーボンのいずれ
    かの被覆を設ける工程であることを特徴とする請求項1
    に記載のファイバグレーティングの作成方法。
  3. 【請求項3】 前記シリコン樹脂の被覆厚は5〜10μ
    mであることを特徴とする請求項2に記載のファイバグ
    レーティングの作成方法。
  4. 【請求項4】 前記第1工程で光ファイバに被覆を形成
    した後、前記第2工程で被覆された光ファイバにグレー
    ティングを施すに先立ち、当該被覆ファイバに水素を添
    加することを特徴とする請求項1に記載のファイバグレ
    ーティングの作成方法。
  5. 【請求項5】 前記第2工程でグレーティングを施した
    後、前記被覆ファイバの上に補強層を施すことを特徴と
    する請求項1に記載のファイバグレーティングの作成方
    法。
  6. 【請求項6】 前記第2工程は、位相格子法、ホログラ
    フィック法あるいは強度変調マスク法のいずれかの方法
    によって前記屈折率の縞を形成する工程であることを特
    徴とする請求項1に記載のファイバグレーティングの作
    成方法。
  7. 【請求項7】 前記第2工程は、波長が190〜330
    nmの紫外光、波長が450〜550nmの可視光ある
    いは波長が0.12〜0.7nmのX線のいずれかの光
    を照射して屈折率を変化させる工程であることを特徴と
    する請求項1又は6に記載のファイバグレーティングの
    作成方法。
  8. 【請求項8】 感光性のコアあるいは感光性のコアとク
    ラッドを有する光ファイバを線引し、その直後に前記コ
    アあるいは前記コアとクラッドが感光する所定波長の光
    を透過する薄層が被覆されると共に、水素が添加され、
    その後、前記所定波長の光を照射することにより前記コ
    アあるいは前記コアとクラッドの軸方向に屈折率の縞を
    形成したことを特徴とする光ファイバ。
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