JPH11305051A - ファイバグレーティング作製方法、及び、ファイバグレーティング - Google Patents

ファイバグレーティング作製方法、及び、ファイバグレーティング

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JPH11305051A
JPH11305051A JP10112259A JP11225998A JPH11305051A JP H11305051 A JPH11305051 A JP H11305051A JP 10112259 A JP10112259 A JP 10112259A JP 11225998 A JP11225998 A JP 11225998A JP H11305051 A JPH11305051 A JP H11305051A
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optical fiber
coating layer
grating
core
fiber
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JP10112259A
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Kazuo Imamura
一雄 今村
Tadahiko Nakai
忠彦 中井
Takahide Sudo
恭秀 須藤
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産性の向上を阻害することなしに伝送特性
と機械的強度特性との両立を図る。 【解決手段】 コア及びクラッドからなる光ファイバ素
線1′に対し紫外線透過樹脂を用いて膜厚37.5μm
の厚肉の被覆層4をシングルコートにより形成する。こ
の光ファイバ心線1を被覆層の外周面がシリンドリカル
レンズ系7により焦点Fに向かい集光される紫外レーザ
光のビームパターンBPの外縁に内接するように位置付
ける。被覆層の外側から位相マスク7を介して1.5k
J/cm2の照射エネルギー密度で紫外レーザ光を照射
してブラッググレーティングをコアに書き込む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバのコア
に対し縞状に屈折率に差をつけた回折格子(グレーティ
ング)を書き込み、このグレーティングによってそのグ
レーティングに対応した特定波長の光を反射させるデバ
イスもしくはフィルタとして用いられるファイバグレー
ティング及びその作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種のファイバグレーティ
ングとして、光ファイバのコアに対しグレーティングを
2光束干渉法もしくは位相マスク法等によって書き込ま
れたものが知られている(例えば、特開平6−2358
08号公報、特開平7−140311号公報、特許第2
521708号参照)。このようなファイバグレーティ
ングでは、ゲルマニュウム(Ge )をドープした石英ガ
ラス(コア)に対しコヒーレントな紫外レーザー光を照
射することにより該当箇所に光誘起屈折率変化を生ぜし
めてグレーティングが生成(書き込み)されるようにな
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ファイバグ
レーティングは、ファイバ軸方向に周期的な屈折率変調
が形成されたものであり、この屈折率変調の周期や変調
形状を変化させることにより、フィルタ,分波器,分散
補償器,ファイバレーザーミラー,EDF利得等価器,
共振器,温度センサ等の用途への応用が考えられてい
る。そして、これらの各種用途に用いられるファイバグ
レーティングには所定の伝送特性が必要機能として求め
られるは当然のこととして、いずれの用途に用いる場合
であっても所定の機械的強度特性を有していることが実
用に供する上で重要になる。
【0004】しかし、伝送特性を満足させようとすると
機械的強度特性が犠牲になりそれを補完する処理が必要
になる一方、機械的強度特性を満足させようとすると伝
送特性が犠牲になるというように、伝送特性と機械的強
度特性とを両立させるのは以下に説明するように困難な
状況にある。
【0005】すなわち、グレーティングの書き込み対象
である光ファイバは、一般に、コアとクラッドとからな
る光ファイバ素線の外周面に紫外線を吸収して硬化反応
を生じる紫外線硬化型樹脂等による被覆層が被覆された
ものであり、紫外線照射により上記グレーティングを書
き込むには、上記の2光束干渉法もしくは位相マスク法
等にしても通常は書き込み対象部位の被覆層を除去した
状態で行われるため、機械的強度特性は低下する傾向に
ある。このため、グレーティングの書き込み終了後にそ
の被覆層除去部分に対し再被覆が行われることになる
が、再被覆を行うにはリコートもしくはパッケージング
等の再被覆のための処理技術が必要になる。上記被覆層
を除去すると、光ファイバ素線の外表面(クラッドの外
表面)が外気と接触することになり、書き込み作業期間
における空気との接触により光ファイバ素線に劣化が進
行して伝送特性の悪化を招くおそれがある。その上に、
上記書き込み対象部位の被覆層の除去は光ファイバ素線
に対する損傷防止のために機械的手段ではなく例えば薬
品により溶解させるという化学的処理により行われ、こ
の被覆層の除去工程に手間がかかるためグレーティング
書き込みを大量処理する上で効率を阻害する要因となっ
ている。
【0006】一方、上記の如く被覆層の形成後にグレー
ティングの書き込みを行うために被覆層を除去するので
はなく、被覆層を形成する前にいわゆるインラインにて
シングルパルスによるグレーティングの書き込みを行う
ことも試みられているが、この場合には、上記の如き強
度劣化は生じないとの知見が示されているものの(V.
Hagemann et al ,Mechanical resistance of draw−to
wer−Bragg−gratingsensors,Electron.Lett.,3
4,pp211〜212,1998参照)、紫外線照射に
よる屈折率増加の度合いが低く、それに対応して、書き
込まれたグレーティングの反射率は低いものになってし
まう。
【0007】また、被覆層の形成後であっても、その被
覆層を除去しないで被覆層の外側から紫外線を照射する
ことによりグレーティングの書き込みを有効に行うに
は、書き込み対象の光ファイバのコア部分の光誘起屈折
率変化に対する感度(フォトセンシティビティ)を高め
ることが考えられる。このフォトセンシティビティを高
める、すなわち、比較的大きな光誘起屈折率変化を生じ
させる手法として、書き込み対象のコアとして、通常濃
度(コア/クラッドの比屈折率差が例えば0.9%にな
る程度の濃度)よりも高濃度(比屈折率差が例えば1.
5〜2.0%になる程度の濃度)のGe をドープしたコ
アを用いるか、もしくは、通常濃度のGeをドープした
後に高圧下で水素を充填したコアを用いることが提案さ
れている(電子情報通信学会論文誌Vol.J79-C-1 ,No.1
1 ,415 頁,1996年11月参照)。
【0008】しかしながら、紫外線照射を被覆層除去状
態で行う場合の機械的強度特性の低下及び伝送特性の低
下を克服しかつ生産性を向上する上で、被覆層除去を行
わないで紫外線照射を被覆層の外側から行うことが望ま
しいものの、被覆層の外側から紫外線の照射を行うため
には、その被覆層が紫外線を透過するものであることが
前提条件となる上に、被覆層による透過減衰を考慮して
その被覆層をなるべく薄く(例えば膜厚10μmに)す
る必要が生じる。この場合、被覆層を薄くすると伝送特
性をたとえ満足させ得たとしても、所定の機械的強度特
性が確保し難くなる。すなわち、膜厚の薄さ自体に基づ
く破断強度不足や疲労係数の低下に加え、ガラス部分及
び被覆層部分の紫外線照射による強度劣化を招き易く、
このような強度劣化は膜厚が薄いほど顕著になる傾向に
ある。このため、被覆層外側からのグレーティングの書
き込みの後に補強のためにさらに所定膜厚の二次被覆を
行う必要が生じる。これでは、被覆層除去後に再被覆す
る場合と同様にファイバグレーティングを大量生産する
上での効率化が図れないことになる。
【0009】一方、上記の被覆層を機械的強度特性の確
保のために分厚くし、紫外線の照射エネルギーを透過特
性が低下する分大きくすることも考えられるが、照射エ
ネルギーをあまり大きくすると上記被覆層自体のヤング
率の急増(硬度の急増)により実用上の柔軟性を確保し
得なくなる上に被覆層自体及びガラス部分が脆くなり、
逆に強度劣化を招くことになる。このように、従来のフ
ァイバグレーティングの作製においては、生産性を向上
させる上で伝送特性と機械的強度特性との両立が困難で
あるという不都合を生じている。
【0010】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、生産性の向上
を阻害することなしに伝送特性と機械的強度特性との両
立を図り得るファイバグレーティング及びその作製方法
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明は、紫外線を透過し得る被覆層を機械的
強度特性を満足し得る比較的厚肉の特定膜厚にして形成
し、その後に上記厚肉の被覆層の外側から紫外線を照射
しても、その照射エネルギーを特定範囲に設定すること
により高反射率の優れた伝送特性を有しかつ上記被覆層
自体の強度劣化を招かないファイバグレーティングが得
られることに着目してなされたものである。具体的に
は、請求項1に記載の如く、書き込み対象の光ファイバ
素線に対し被覆を施し、この被覆層の外側から紫外線を
照射することにより上記光ファイバ素線のコアに対しグ
レーティングを書き込むファイバグレーティング作製方
法を対象にして、上記被覆層を紫外線透過型樹脂により
ファイバグレーティングが接続される接続対象の光ファ
イバ心線と同等の機械的強度特性を発揮し得るよう厚肉
に形成した後に、上記紫外線の照射を照射エネルギー密
度が少なくとも1.5kJ/cm2程度になるように行
うことを特定事項とするものである。
【0012】上記第1の発明の場合、被覆層の膜厚を接
続対象の光ファイバ心線と同等の機械的強度特性を発揮
し得るような厚肉に形成しても、上記の照射エネルギー
密度で紫外線の照射を行うことにより書き込み対象のコ
アに対し高反射率の優れた伝送特性のグレーティングを
形成することができ、かつ、ガラス部分及び被覆層に対
する紫外線照射に伴う強度劣化を最小限に抑制して上記
の機械的強度特性を保持し得ることになる。しかも、グ
レーティングの書き込み前に所定の厚肉の被覆層が形成
されているため、生産性の向上を阻害することなくファ
イバグレーティングの大量生産が可能になる。なお、フ
ァイバグレーティングの主な種類として、ほぼ0.5μ
m周期の屈折率変調を実現してコアへの後方結合を実現
する短周期ファイバグレーティングと、ほぼ100〜5
00μm周期の屈折率変調を実現してクラッドへの前方
結合を実現する長周期ファイバグレーティングとがある
が、本発明はいずれの種類のファイバグレーティングに
も適用可能である。
【0013】ここで、上記被覆層は光ファイバ素線の線
引直後にシングルコートにより形成するのが生産性の観
点から最も好ましく、その「膜厚」としてはグレーティ
ング書き込み後の機械的強度特性がファイバグレーティ
ングが接続される通常の通信用光ファイバ心線と同程度
になるようにすればよい。具体的には、少なくとも30
μm程度の膜厚になるようにすればよい。好ましくは、
125μmの光ファイバ素線であれば例えば37.5μ
mというように30〜40μmの膜厚の被覆層を形成す
ればよい。また、上記の紫外線の「照射エネルギー密
度」としては、上記の如き膜厚の被覆層に対し少なくと
も1.5kJ/cm2程度に設定すればよく、好ましく
は被覆層のヤング率増大を所定範囲に抑制する上で1.
5〜4.0kJ/cm2の範囲内の値にすればよい。ま
た、上記の照射エネルギー密度での照射方法としては、
パルス当たりのエネルギーを一定にして微小パルス幅で
所定のパルス周波数で繰り返し照射する、連続して照射
する、間隔を開けて単発的に大エネルギーで照射する等
の種々の方法を採用してもよい。
【0014】また、このような照射エネルギー密度での
紫外線照射はその紫外線をシリンドリカルレンズにより
集光して照射すればよく、その場合には、その集光され
て焦点に向かうビームパターンの内部位置に上記被覆層
の全体が位置するようにすればよい。上記シリンドリカ
ルレンズにより集光すればその焦点位置で紫外線の照射
密度が最も高くなるものの、書き込み対象の光ファイバ
心線の被覆層の外側から紫外線照射を行う場合にはその
光ファイバ心線を上記焦点位置に配設すると被覆層が局
部的にダメージを受けて焦げたり変色(黄変)したりす
ることなる。上記の如く被覆層全体がビームパターンの
内部位置に位置するようにすれば、被覆層にダメージを
受けることなく所定の照射密度で均一に照射することが
可能になる。加えて、上記ビームパターンの内部位置で
あっても、照射処理の短時間化を図る観点から、書き込
み対象の光ファイバ心線を上記光ファイバ心線の被覆層
の外周面が上記ビームパターンの外縁に内接する位置に
配設するのが最も好ましい。すなわち、上記の内接する
位置が上記焦点位置に最も近い位置となり、かつ、被覆
層の全体がビームパターンの内部に配置される位置とな
るため、被覆層のダメージを回避し得る範囲で最も高い
照射密度の紫外線を照射し得ることになる。
【0015】さらに、上記第1の発明において、請求項
7に記載の如く書き込み対象のコアに対し紫外線の照射
前に水素を充填しておくことにより、紫外線照射に対す
る光誘起屈折率変化の増大化が得られ、より一層高い反
射率のグレーティングの形成が可能になる。また、上記
書き込み対象のコアとして、請求項8に記載の如くGe
に加え少なくともSnを共にドープして得られたものを
用いることにより、たとえ上記Geドープ濃度を接続対
象の光ファイバ心線と同等にしたとしても紫外線照射に
対する光誘起屈折率変化の増大化が得られ、より一層高
い反射率のグレーティングの形成が可能になる。すなわ
ち、グレーティングにより反射される特定波長λBは次
の(1)式により表され、その特定波長λBを反射する
反射率RBは(2)式により表される。
【0016】
【数1】
【0017】
【数2】
【0018】ここで、上記のSnを共ドープしたコアに
対し紫外線を照射した場合に上記(2)式における屈折
率変調分Δnが通常濃度のGeをドープしただけのコア
と比べ増大し、その結果、反射率RBが増大することに
なる。従って、上記のSnを共ドープしたコアに書き込
まれるグレーティングの反射率の増大効果が得られるこ
とになる。これにより、上記接続対象の光ファイバ心線
とファイバグレーティングとを接続してもGeドープ濃
度の差に起因する接続損失の増大という事態が生じるこ
とはない。つまり、光誘起屈折率変化を増大させるため
に高濃度のGe をドープしたコアを用いた場合には、作
製されたファイバグレーティングをフィルタ等として使
用するために通常の光ファイバに介装すると、上記ファ
イバグレーティングに対し接続(融着)される光ファイ
バのコアが通常濃度でGe ドープされた通常仕様のもの
であるため両コア間の整合がとれず、Ge ドープの濃度
の差に起因して接続損失が増大してしまうという不都合
が生じることになるが、上記の請求項7ではこのような
不都合が生じることはない。上記のGeに加えて共ドー
プする元素としては、Snの他に、SnとAl、B等の
内から選択した元素との組み合わせとしてもよい。さら
に、例えばセシウム(Ce )、プラセオジウム(Pr )
もしくはテルビウム(Tb )の各種金属元素の内の一種
もしくは二種以上をGe と共ドープしてもよい。また、
上記の水素充填を行わなくても、上記のSn等の共ドー
プによって反射率の増大が定常的に得られ、水素充填を
行った場合に時間経過と共にその水素の拡散が生じるこ
とに起因するグレーティング形成期間の制約を受けるこ
ともない。
【0019】第2の発明は、上記第1の発明における被
覆層の外側から紫外線を照射する場合にシリンドリカル
レンズにより集光した紫外線を照射することによりファ
イバグレーティングを作製する方法を独立して特定した
ものである。具体的には、請求項5に記載の如く、書き
込み対象の光ファイバ素線に対し被覆を施し、この被覆
層の外側から上記光ファイバ素線のコアに対し紫外線を
照射することによりグレーティングを書き込むファイバ
グレーティング作製方法を対象にして、シリンドリカル
レンズを介して紫外線を照射するようにし、上記被覆が
施された光ファイバを、上記シリンドリカルレンズとこ
のシリンドリカルレンズの焦点との間の位置であって、
上記シリンドリカルレンズにより上記焦点に向けて集光
される紫外線のビームパターンの内部位置に被覆層を含
めた全体が位置するように配設することを特定事項とす
るものである。
【0020】上記第2の発明の場合、シリンドリカルレ
ンズにより集光した紫外線を書き込み対象の光ファイバ
心線の被覆層の外側から照射することによりグレーティ
ングの書き込みを行う場合における好適な照射方法が特
定されることになる。すなわち、紫外線照射を被覆層の
外側からではなく被覆層を除去した状態で行う場合には
上記シリンドリカルレンズにより集光された焦点位置で
紫外線の照射密度が最も高くなるために、被覆層除去後
のガラス部分をなるべく上記焦点位置近傍に配設するの
が好ましいものの、紫外線照射を被覆層の外側から行う
場合にはその光ファイバ心線を上記焦点位置に配設する
と被覆層が局部的にダメージを受けて焦げたり変色(黄
変)したりすることなる。これに対し、上記の如く被覆
層全体がビームパターンの内部に位置するように配設す
れば、被覆層にダメージを与えることなく所定の照射密
度で均一に照射することが可能になる。加えて、上記ビ
ームパターンの内部位置であっても、請求項6記載の如
く書き込み対象の光ファイバ心線を上記光ファイバ心線
の被覆層の外周面が上記ビームパターンの外縁に内接す
る位置に配設するのが最も好ましい。すなわち、上記の
内接する位置が上記焦点位置に対し最も近い位置とな
り、かつ、被覆層の全体がビームパターンの内部に配置
される位置となるため、被覆層のダメージを回避し得る
範囲で最も高い照射密度の紫外線を照射し得ることにな
る。これにより、グレーティングの書き込み処理の短時
間化が図られ、ファイバグレーティング作製の効率化が
図られることになる。
【0021】なお、この第2の発明においても、請求項
7に記載の如くコアに対し紫外線照射前に水素充填を行
う、あるいは、請求項8に記載の如くGeに加え少なく
ともSnを共にドープしたコアを用いるようにしてもよ
く、このようにすることにより、上記の第1の発明にお
いて記載したと同様の作用が得られる。
【0022】第3の発明は、上記第1の発明の作製方法
により作製されたファイバグレーティングに係るもので
あり、請求項9に記載の如く書き込み対象の光ファイバ
素線に対し紫外線透過型樹脂を用いて膜厚が少なくとも
30μm程度になるように被覆層をシングルコートによ
り形成した後、この被覆層の外側から紫外線を少なくと
も1.5kJ/cm2の照射エネルギー密度で照射する
ことにより上記光ファイバ素線のコアに対しグレーティ
ングが書き込まれてなることを特定事項とするものであ
る。
【0023】上記第3の発明の場合、少なくとも30μ
m程度と比較的厚肉の被覆層の外側から紫外線照射を行
うことにより形成されたファイバグレーティングであっ
ても、照射エネルギー密度を上記の如くすることによ
り、書き込まれたグレーティングは高反射率の優れた伝
送特性を有する上に、紫外線照射によるガラス部分及び
被覆層の強度劣化もなく接続対象の光ファイバ心線とほ
ぼ同等の機械的強度を有し、伝送特性と機械的強度特性
との双方を満足したファイバグレーティングが実現され
る。しかも、被覆層を除去することなしに被覆層の外側
からの紫外線照射によりファイバグレーティングの形成
が可能である上に、その被覆層も紫外線照射前にシング
ルコートにより形成されるため、生産性の向上をも図り
得る。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0025】図1は、本発明の実施形態に係るファイバ
グレーティング作製方法の原理を示し、1はファイバグ
レーティングを構成する書き込み対象の光ファイバとし
ての所定長さの光ファイバ心線、2はブラッググレーテ
ィング(Bragg Grating)21が書き込まれるコア、3
は上記光ファイバ心線1のクラッド、4はこのクラッド
3の外表面に被覆された被覆層である。
【0026】上記コア2としては、通常仕様の光ファイ
バと同等濃度のGe に加えSn 、或いは、Sn 及びAl
、もしくは、Sn,Al及びBのドーパントを添加し
たものを用いるのが光誘起屈折率変化を定常的に高める
上で好ましい。ここで、通常仕様の光ファイバとは上記
光ファイバ心線1に対し接続される接続対象の光ファイ
バ心線のことであり、このような光ファイバ心線はその
コアに対し比屈折率差が0.9%となる程度の量のGe
がドープされて製造されたものである。そして、上記光
ファイバ心線1のコア2には、上記の通常仕様の光ファ
イバのコアと同量(比屈折率差が0.9%となる程度の
量)のGe に加え、濃度10000ppm以上、好まし
くは濃度10000〜15000ppmのSn 、或い
は、このような濃度のSn 及び濃度1000ppm以下
のAl等を共ドープすればよい。上記のドープは種々の
公知の方法により行えばよく、例えば液浸により行う場
合には、上記Ge やSn の化合物(Sn の場合、例えば
Sn Cl2 ・2H2 O)をメチルアルコールと混合し、
その溶液の中に浸漬すればよい。
【0027】上記被覆層4は上記コア2及びクラッド3
からなる光ファイバ素線1′の線引き工程に引き続いて
シングルコートにより少なくとも30μm程度の膜厚に
なるように形成されたものである。この被覆層4の形成
素材は紫外線を透過する特性を有する紫外線透過型の樹
脂が用いられる。この紫外線透過型の樹脂としては、ブ
ラッググレーティング21の書き込みのために照射され
る紫外線の特定波長帯(例えば240nm〜270nm
の波長帯)を少なくとも透過させるものであればよく、
特に好ましくは上記特定波長帯の紫外線を殆ど吸収せず
に透過させる一方、上記特定波長帯よりも短い波長また
は長い波長の紫外線を吸収して硬化反応を生じさせるも
のを用いればよい。つまり、同じ樹脂ではあるが波長に
よって紫外線吸収特性が異なり、上記特定波長帯では紫
外線透過型である一方、上記特定波長帯よりも短い波長
域または長い波長域では紫外線硬化型であるような樹脂
により上記被覆層4を形成するのが最も好ましい。この
ような樹脂としては、ウレタン系アクリレートもしくは
エポキシ系アクリレートに対し例えば240nmよりも
短い波長域または270nmよりも長い波長域の紫外線
を受けて硬化反応を開始・促進させるような光開始剤
(フォトイニシエータ)を配合したものを用いればよ
い。
【0028】また、このような被覆層4により被覆され
た光ファイバ心線1に対し紫外線照射前に特にコア2に
対し水素充填を行うのが光誘起屈折率変化を高める上で
好ましい。水素充填を行う場合には上記光ファイバ心線
1を水素が充填された密閉容器内に入れ、室温状態でほ
ぼ20MPaの圧力下で約2週間放置すればよい。
【0029】次に、上記光ファイバ心線1の外側、つま
り、被覆層4の外側から紫外線を照射することによりコ
ア2に対しブラッググレーティング21の書き込みを行
う。このブラッググレーティング21の書き込みは周知
の種々の方法を採用して行えばよく、例えば位相マスク
法により行う場合には、図2に作製装置の例を示すよう
に上記光ファイバ心線1の側方直前に格子状の位相マス
ク5を配設し、この位相マスク5に対しNd−YAGレ
ーザ源6から例えばその4倍波長(4ω)である266
nmのコヒーレント紫外レーザ光をシリンドリカルレン
ズ系7により集光した状態で照射すればよい。これによ
り、上記紫外レーザ光が位相マスク5及び被覆層4を透
過し、上記コア2に対し上記位相マスク5の格子ピッチ
に対応したグレーティングピッチの部分の屈折率が増大
されてブラッググレーティング21が書き込まれること
になる。なお、図2中8は紫外レーザ光を拡大して平行
ビーム化するビームエキスパンダー、9は上記の平行ビ
ーム化された紫外レーザ光のパワーが均一の部分を切り
出す微小幅のスリット、10は上記光ファイバ心線1の
長手方向(一点鎖線の矢印参照)に移動可能とされた可
動式反射ミラー、11は光スペクトルアナライザ、12
は光アイソレータ、13は光カプラである。
【0030】以上の被覆層4の外側から紫外線を照射す
るグレーティングの書き込み方法を前提にして本実施形
態では以下の方法を採用している。
【0031】すなわち、上記紫外レーザ光の照射を、そ
の照射エネルギー密度が1.5kJ/cm2程度になる
ように行う。これにより、被覆層4の外側から紫外レー
ザ光の照射を行う場合に、その被覆層4がほぼ30μm
以上というかなり厚肉の膜厚を有していても、その被覆
層4を透過してコア2に対し高屈折率変調を生じさせて
高反射率のブラッググレーティング21を書き込みし得
るようになる。
【0032】加えて、図3に示すように書き込み対象の
光ファイバ心線1をシリンドリカルレンズ系7により集
光される紫外レーザ光のビームパターンBPに対し特定
の位置に位置付け、この状態で紫外レーザ光の照射を行
うようにする。上記ビームパターンBPはシリンドリカ
ルレンズ系7に入射した平行ビームが焦点Fに向かうよ
うに集光されたものであり、このビームパターンBPに
対し上記光ファイバ心線1の全体が上記ビームパターン
BPの内部に位置し、かつ、その光ファイバ心線1の被
覆層4の外周面が上記ビームパターンBPの外縁に内接
するように上記光ファイバ心線1を位置付ける。なお、
このような位置関係を満足すれば、上記光ファイバ心線
1の配設位置は図3に実線で示すように焦点Fの前側で
あると、同図に一点鎖線で示すように焦点Fの後側であ
るとを問わない。一例を示すと、焦点距離L1が100
mmの場合に、外径200μmの光ファイバ心線1を焦
点Fからほぼ2mmの距離L2だけ離れた光軸上に配設
すればよい。光ファイバ心線1の全体を上記ビームパタ
ーンBPの内部に位置付けることにより、上記の被覆層
4の全体に対し均一な照射エネルギー密度で紫外レーザ
光を照射することができるようになる。その上に、上記
光ファイバ心線1を焦点F側に対しより近づけた位置に
配設した場合に生じ易い被覆層4の局部的なダメージ
(強度劣化)発生等を防止し、かつ、このような強度劣
化の発生を防止し得る範囲で最も照射エネルギー密度が
高くなる位置において上記光ファイバ心線1に対する照
射を行うことができ、グレーティングの書き込みに要す
る時間の短縮化を図ることができる。
【0033】
【実施例】上記実施形態の作製方法により作製したファ
イバグレーティングについて伝送特性及び機械的強度特
性を確認した。伝送特性については特定波長の光に対す
る反射率,半値全幅及びサイドローブを、機械的強度特
性についてはファイバグレーティング部分の疲労係数,
破断強度及び被覆層4のヤング率変化を測定・試験し
た。
【0034】−供試体− (供試体の仕様)試験に用いた光ファイバ心線1の仕様
を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】VAD法と液浸法との併用により通常濃度
のGeに対し15000ppmのSnと900ppmの
Alとを共ドープしたコアガラスを作製し、この周囲に
クラッドガラスをコラプスしたファイバ母材を線引きし
て光ファイバ素線1′(図4参照)とし、引き続いてこ
の光ファイバ素線1′に対しシングルコートにより紫外
線透過型の紫外線硬化樹脂を用いて膜厚37.5μmの
被覆層4を形成して光ファイバ心線1を作製した。この
光ファイバ心線1の比屈折率差Δは0.97%、モード
フィールド径は5.55μm、カットオフ波長は127
0nm、クラッド径(光ファイバ素線1′の外径)は1
25μm、被覆外径(光ファイバ心線1の外径)は20
0μmである。そして、この光ファイバ心線1を20M
Paの高圧水素を充填した密封容器中に約2週間封入す
ることにより上記光ファイバ心線1に対する高圧水素充
填を行った。
【0037】(Sn共ドープによる反射特性試験)コア
2に対しGe のドープ量を通常濃度にしつつもSn を共
ドープすることにより光誘起屈折率変化の増大が生じる
ことを、書き込まれたグレーティングの反射率が増大す
ることにより確認した。なお、このコア2に対し水素の
高圧充填の有無による反射率の相違も併せて確認した。
また、本試験では被覆層4を除去した状態で紫外レーザ
光を照射することによりグレーティングの書き込みを行
った。
【0038】コア2に対し通常仕様の濃度(光ファイバ
素線の比屈折率差Δが0.9%になる程度の量)のGe
と10000ppmのSn とを共ドープした試料E−1
と、これに対しさらに上記の高圧水素充填を施した試料
E−2と、上記コア2に対し通常仕様の濃度でGe のみ
をドープした試料N−1と、これに対しさらに高圧水素
充填を施した試料N−2と、上記コア2に対し通常仕様
よりも高濃度(比屈折率差Δが2.0%になる程度の
量)のGe のみをドープした試料H−1と、これに対し
さらに高圧水素充填を施した試料H−2とを作成し、反
射率の性能比較を行った。
【0039】上記の6種類の試料E−1,N−1,H−
1,E−2,N−2,H−2についての紫外光の照射時
間に対する反射率特性を図5に示す。
【0040】この図5によれば、高圧水素充填を施さな
くても、試料E−1では通常濃度のGeに加えSn を共
ドープすることにより、通常濃度のGe のみをドープし
た試料N−1と比べ大幅に反射率を増大させることがで
きる上に、比屈折率差で2.0%と高濃度のGeをドー
プした試料H−1とほぼ同等の高反射率を得ることがで
きた。
【0041】また、高圧水素充填を施こした場合であっ
ても、試料E−2では通常濃度のGeに加えSn を共ド
ープすることにより、高濃度のGeをドープした試料H
−2とほぼ同等の高反射率を得ることができる上に、通
常濃度のGe のみをドープした試料N−2と比べ極めて
短時間の紫外光の照射により95%以上という高反射率
を得ることができた。
【0042】なお、上記の試料E−1及びE−2におい
て、共ドープするSnの濃度を上記の如く10000p
pmではなく15000ppmにした場合においても、
高反射率化の効果は10000ppmにした場合とほぼ
同等であった。
【0043】(被覆材料の吸光特性試験)被覆層4を形
成した樹脂の紫外線照射エネルギー密度に対する吸光度
の変化を確認した。上記樹脂と同一材料により厚み60
μmのシートを形成し、このシートに対し同一の照射条
件で照射エネルギー密度(単位:kJ/cm2)のみ
「0」,「1.5」,「9.0」の3種類に変化させて
紫外線を照射した場合の波長に対する吸光度の変化を測
定した。その結果を図6に示す。
【0044】図6において、D0は照射エネルギー密度
が「0」、すなわち、紫外線の非照射の場合、D1は照
射エネルギー密度が「1.5」の場合、D2は照射エネ
ルギー密度が「9.0」の場合をそれぞれ示す。
【0045】上記図6によると、波長250〜300n
mの範囲では上記のD0,D1,D2は共に吸光度が
1.0近傍であり、照射エネルギー密度がD1の「1.
5」及びD2の「9.0」とかなり高い場合でも波長2
70nm付近は1以下と良好であった。従って、被覆層
4の外側から後述の如く波長266nmの紫外レーザ光
を照射しても、その光入射エネルギーを減衰させずに透
過しコア2に対し上記紫外レーザ光を照射させ得る。
【0046】−作製装置の仕様− 紫外線光源として、最大平均パワーが100mW、パル
ス幅が50ns、パルス周波数が10HzのNd−YA
Gレーザ源6(図2参照)を用いた。このNd−YAG
レーザの4倍波長である266nmの紫外レーザ光を光
ファイバ心線1に対し被覆層4上で照射エネルギー密度
が1.5kJ/cm2となるように照射した。その際、
図3に示すようなビームパターンBP内に対し光ファイ
バ心線1を被覆層4の外周面が内接することになる位置
に配設した。この場合の位相マスク7上に入射される平
均パワーは10mW、外径200μmの光ファイバ心線
1に照射される紫外線光の寸法は約2mm(ファイバ軸
方向)×約0.2mm(ファイバ径方向)である。上記
位相マスク7としては格子ピッチが1065nm、長さ
が25mmのものを用いた。そして、可動式ミラー10
を滑らかに連続して上記ファイバ軸方向(長手方向)に
移動させて軸方向に24mmの長さのブラッググレーテ
ィング21の書き込みを行った。
【0047】−伝送特性− 作製されたファイバグレーティングの反射スペクトルを
測定した。その結果を図7に示す。この図7によれば、
中心波長1544.6nmにおいて最大反射率が99%
以上、半値全幅(FWHM)が0.14nm、サイドロ
ーブも中心波長域で25dB以上抑制され、優れた伝送
特性が実現されている。
【0048】−機械的強度特性− (破断強度)同一条件で作製した多数のファイバグレー
ティングについて破断強度を測定した。その結果のワイ
ブル分布を図8に示す。なお、測定時の試験室の温度は
22℃、湿度は50%RHに制御した。また、引っ張り
条件はゲージ長さを100mm、引っ張り速度を100
mm/minとした。
【0049】上記の図8によれば、破断強度の最大値は
5.42GPa、最小値は4.40GPa、平均値は
4.90GPaであり、ファイバグレーティングの接続
対象である通常の通信用光ファイバ心線とほぼ同等の破
断強度を有している。
【0050】(疲労係数)ブラッググレーティング21
の形成前と形成後、すなわち、紫外レーザ光の照射前と
照射後との供試体について、上記の破断強度の測定にお
ける引っ張り速度を3水準に変化させることにより動疲
労特性を評価して疲労係数(n値)を求めた。
【0051】その結果、表2に示すようにグレーティン
グ形成前の疲労係数は23、グレーティング形成後の疲
労係数は20であった。
【0052】
【表2】
【0053】グレーティングの形成により疲労係数は2
3から20へとわずかに低下して破断に至るまでの期間
がわずかに短くなるものの、グレーティング形成後であ
っても実用上何ら問題のない疲労係数を有している。な
お、上記のファイバグレーティングの接続対象である通
常の通信用光ファイバ心線の疲労係数は23〜24程度
である。
【0054】(被覆層4のヤング率変化)照射時間を0
分、20分、50分にして照射エネルギー密度(単位:
kJ/cm2)を「0」,「3.0」,「7.5」とし
た場合の被覆層4のヤング率の変化を測定した。具体的
には、上記の各場合におけるファイバグレーティング作
製後の供試体の紫外レーザ光が照射された部位の被覆層
4を照射方向に対し前面側と後面側とに2分割されるよ
うにファイバ軸方向に切断し、半円筒形状の照射前面側
被覆片4a(図4参照)と、照射後面側被覆片4bとの
試料を作製した。そして、これらの両被覆片4a,4b
を上記ファイバ軸方向にゲージ長さ15mm、引っ張り
速度1mm/minで引っ張り、2.5%伸長時の引っ
張り力からヤング率を求めた。この結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】表3によると、照射前面側被覆片4aのヤ
ング率は、紫外レーザ光の未照射状態の459MPaか
ら3.0kJ/cm2の照射エネルギー密度で照射する
ことにより540MPaまで増大し、7.5kJ/cm
2の照射エネルギー密度で照射することにより601M
Paまで増大するというように、それぞれ17.7%、
30.9%の増大を生じた。一方、照射後面側被覆片4
bのヤング率は、紫外レーザ光の未照射状態の459M
Paから3.0kJ/cm2の照射エネルギー密度で照
射することにより533MPaまで増大し、7.5kJ
/cm2の照射エネルギー密度で照射することにより5
40MPaまで増大し、それぞれ16.1%、17.7
%の増大に止まった。従って、被覆層4のヤング率の増
大変化度合いは照射エネルギー密度の大小に依存し、照
射時間の経過に伴う照射エネルギー密度の増大に従って
ヤング率が増大している。しかも、そのヤング率の増大
は照射エネルギー密度がより高い照射前面側の被覆層4
においてより大きく進行している。
【0057】ここで、被覆層4のヤング率があまり増大
すると硬くなって光ファイバ心線1の柔軟性を阻害する
傾向になる。そして、硬くなる程、被覆層4が脆くなっ
て強度特性としては悪化する。一般に、被覆層4のヤン
グ率の増大度合いとして、安全側に見込んでも20%の
範囲内であれば光ファイバ心線として実用上何ら問題は
ないとされており、上記実施例における照射エネルギー
密度が1.5kJ/cm2程度であれば被覆層4のヤン
グ率増大度合いは全く問題がなく、十分に柔軟性を保持
して良好な強度特性を発揮することができる。また、照
射エネルギー密度が3.0kJ/cm2であっても、最
も大きい変化を示す照射前面側でもヤング率の増大は1
7.7%に止まり、十分な柔軟性と強度特性を有してい
るといえる。特に、照射エネルギー密度が高い程、より
高い屈折率変調を生じさせてより高い反射率のグレーテ
ィング形成が行い得ることから、被覆層4の膜厚を上記
実施例の37.5μmよりも分厚くしても、優れた伝送
特性と、より高い機械的強度特性とを合わせ持つファイ
バグレーティングの作製を行うことができる。上記照射
前面側被覆片4aについて、上記の安全側の基準である
20%というヤング率の増大度合いに相当する照射エネ
ルギー密度を上記表3から比例配分により求めると3.
8kJ/cm2となり、被覆層4の柔軟性という観点か
らはほぼ4.0kJ/cm2の照射エネルギー密度まで
は照射可能であると考えられる。
【0058】(被覆層4の表面性状)光ファイバ心線1
を図3に示す位置に位置付けた状態で紫外レーザ光を
1.5kJ/cm2の照射エネルギー密度で照射した場
合の被覆層4の表面性状について目視により観察した。
その結果、黄変やダメージも全くなく良好な状態であっ
た。
【0059】−ファイバグレーティングの温度特性、張
力特性− (温度特性)作製されたファイバグレーティングを用い
て中心波長の温度依存性及び張力依存性を調べた結果を
図9及び図10に示す。
【0060】これによると、温度変化もしくは張力変化
に対応して中心波長はリニアにシフト(変化)し、温度
依存性については図9より0.011nm/℃、張力依
存性については図10より1.3nm/Nという結果が
得られた。しかも、張力依存性については40Nまでの
繰り返しの張力印加しても、中心波長のシフトの再現性
は良好であった。従って、温度センサもしくは張力セン
サとしての用途にも好適となる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜4,
6,7のいずれかに記載の発明におけるファイバグレー
ティング作製方法によれば、高反射率の優れた伝送特性
と、被覆層の膜厚を接続対象の光ファイバ心線と同等の
機械的強度特性との双方を共に有するファイバグレーテ
ィングを得ることができる。加えて、ガラス部分及び被
覆層に対する紫外線照射に伴う強度劣化を最小限に抑制
して上記の機械的強度特性を保持することができる。従
って、紫外線照射後の補完的な処理を必要とすることな
く伝送特性と機械的強度特性との両立を図ることがで
き、生産効率の向上を図ることができる。
【0062】また、請求項5〜8のいずれかに記載の発
明におけるファイバグレーティング作製方法によれば、
被覆層にダメージを与えることなく所定の照射密度で均
一に照射することができ、加えて、書き込み対象の光フ
ァイバ心線をその被覆層の外周面が上記ビームパターン
の外縁に内接する位置に配設することにより、被覆層の
ダメージを回避し得る範囲で最も高い照射密度の紫外線
を照射することができ、グレーティングの書き込み処理
の短時間化、ファイバグレーティング作製の効率化を図
ることができる。
【0063】さらに、請求項9に記載の発明におけるフ
ァイバグレーティングによれば、高反射率の優れた伝送
特性を有する上に、紫外線照射によるガラス部分及び被
覆層の強度劣化もなく接続対象の光ファイバ心線とほぼ
同等の機械的強度を有し、伝送特性と機械的強度特性と
の双方を満足させることができ、しかも、生産効率の向
上をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるファイバグレーティ
ングの作製原理を示す図である。
【図2】作製装置を示す模式図である。
【図3】光ファイバ心線とシリンドリカルレンズ系との
位置関係を示す図である。
【図4】光ファイバ心線の拡大横断面図である。
【図5】各種ファイバグレーティングの紫外光の照射時
間に対する反射率特性を示す図である。
【図6】紫外線吸光度の照射エネルギー密度に対する依
存特性を示す図である。
【図7】ファイバグレーティングの反射スペクトルを示
す図である。
【図8】ファイバグレーティングの破断強度のワイブル
分布を示す図である。
【図9】ファイバグレーティングの中心波長の温度特性
を示す図である。
【図10】ファイバグレーティングの中心波長の張力印
加特性を示す図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ心線(被覆が施された光ファ
イバ) 1′ 光ファイバ素線 2 コア 3 クラッド 4 被覆層(紫外線透過型樹脂の被覆層) 7 シリンドリカルレンズ系(シリンドリカ
ルレンズ) 21 ブラッググレーティング(グレーティン
グ) F 焦点(シリンドリカルレンズの焦点) BP ビームパターン

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 書き込み対象の光ファイバ素線に対し被
    覆を施し、この被覆層の外側から紫外線を照射すること
    により上記光ファイバ素線のコアに対しグレーティング
    を書き込むファイバグレーティング作製方法において、 上記被覆層を紫外線透過型樹脂によりファイバグレーテ
    ィングが接続される接続対象の光ファイバ心線と同等の
    機械的強度特性を発揮し得るよう厚肉に形成した後に、 上記紫外線の照射を照射エネルギー密度が少なくとも
    1.5kJ/cm2程度となるように行うことを特徴と
    するファイバグレーティング作製方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 被覆層をシングルコートにより膜厚が少なくとも30μ
    m程度になるように形成することを特徴とするファイバ
    グレーティング作製方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 紫外線の照射エネルギー密度を実質的に1.5〜4.0
    kJ/cm2の範囲の値に設定することを特徴とするフ
    ァイバグレーティング作製方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、 シリンドリカルレンズを介して紫外線を照射するように
    し、 被覆が施された光ファイバを、上記シリンドリカルレン
    ズとこのシリンドリカルレンズの焦点との間の位置であ
    って、上記シリンドリカルレンズにより上記焦点に向け
    て集光される紫外線のビームパターンの内部位置に被覆
    層を含めた全体が位置するように配設することを特徴と
    するファイバグレーティング作製方法。
  5. 【請求項5】 書き込み対象の光ファイバ素線に対し被
    覆を施し、この被覆層の外側から上記光ファイバ素線の
    コアに対し紫外線を照射することによりグレーティング
    を書き込むファイバグレーティング作製方法において、 シリンドリカルレンズを介して紫外線を照射するように
    し、 被覆が施された光ファイバを、上記シリンドリカルレン
    ズとこのシリンドリカルレンズの焦点との間の位置であ
    って、上記シリンドリカルレンズにより上記焦点に向け
    て集光される紫外線のビームパターンの内部位置に被覆
    層を含めた全体が位置するように配設することを特徴と
    するファイバグレーティング作製方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または請求項5において、 光ファイバをその被覆層の外周面が紫外線のビームパタ
    ーンの外縁に内接するように配設することを特徴とする
    ファイバグレーティングの作製方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または請求項5において、 書き込み対象のコアに対し、紫外線の照射前に水素を充
    填するようにすることを特徴とするファイバグレーティ
    ングの作製方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または請求項5において、 書き込み対象のコアとして、Geに加え少なくともSn
    を共にドープして得られたものを用いるようにすること
    を特徴とするファイバグレーティングの作製方法。
  9. 【請求項9】 書き込み対象の光ファイバ素線に対し紫
    外線透過型樹脂を用いて膜厚が少なくとも30μm程度
    になるように被覆層をシングルコートにより形成した
    後、この被覆層の外側から紫外線を少なくとも1.5k
    J/cm2程度の照射エネルギー密度で照射することに
    より上記光ファイバ素線のコアに対しグレーティングが
    書き込まれてなることを特徴とするファイバグレーティ
    ング。
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