JPH08283413A - ポリフェニレンスルフィド共重合体アイオノマーの製法 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド共重合体アイオノマーの製法

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JPH08283413A
JPH08283413A JP7086804A JP8680495A JPH08283413A JP H08283413 A JPH08283413 A JP H08283413A JP 7086804 A JP7086804 A JP 7086804A JP 8680495 A JP8680495 A JP 8680495A JP H08283413 A JPH08283413 A JP H08283413A
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JP
Japan
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polyphenylene sulfide
carboxyl group
copolymer
subgroup
mol
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Application number
JP7086804A
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English (en)
Inventor
Yoshifumi Noto
好文 能登
Akiyuki Imamura
彰志 今村
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 非核置換フェニレンスルフィド構造単位(−
64−S−)とカルボキシル基含有フェニレンスルフ
ィド構造単位〔−C63(COOH)−S−〕とからな
るカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド共重合
体(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部を、該共重
合体(A)が溶融した状態でを塩基性金属化合物
(B)、例えばナトリウムメトキシドにより中和する。 【効果】 方法が簡単で、耐熱性が高く、溶融時の粘度
低下の少ないポリフェニレンスルフィド共重合体アイオ
ノマーが容易に得られる。しかも、この製法ではマグネ
シウム、亜鉛、アルミニウムなどの広範囲の金属種を含
む塩基性金属化合物が使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリフェニレンスルフィ
ド共重合体アイオノマーの製法に関するものである。さ
らに詳細には、各種成型品やフィルム、繊維、電気・電
子部品等の材料として好適な、耐熱性、成型加工性、寸
法安定性等に優れ、かつ他の樹脂および/又は無機充填
材と接着性、相溶性等の良好なポリフェニレンスルフィ
ド共重合体アイオノマーの製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリフェニレンスルフィド共重合
体アイオノマーの製法としては、例えば極性溶媒中で、
ジハロゲノフェニレンとアルカリ金属硫化物とジハロゲ
ノ安息香酸アルカリ金属塩とを接触させる方法が特開昭
63−305131号公報、特開平4−159328号
公報、特開平4−180924号公報等に開示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法で得られるポリフェニレンスルフィド共重合体ア
イオノマーは、次いで酸類で中和して分離精製するカル
ボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド共重合体の製
造に、中間体として通常使用されるもので、親水性が高
く、分離精製が著しく困難であるため、ポリフェニレン
スルフィド共重合体アイオノマーの製法としては実質的
でない。また、これらの方法で用いられるジハロゲノ安
息香酸アルカリ金属塩は、アルカリ金属の種類により、
溶媒への不溶化や反応中のゲル化などが生ずるために、
アルカリ金属種としてはナトリウム、カリウムなどに限
定されるなどの課題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成すべく鋭意検討した結果、カルボキシル基含有
ポリフェニレンスルフィド共重合体を、溶融させた状態
で塩基性金属化合物により中和すると、耐熱性が高く、
溶融時の粘度低下の少ないポリフェニレンスルフィド共
重合体アイオノマーが用意に得られること、更にこの方
法ではマグネシウム、亜鉛、アルミニウムなど、より広
範囲の金属種を含む塩基性金属化合物が使用できること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、非核置換フェニレンスル
フィド構造単位(−C64−S−)とカルボキシル基含
有フェニレンスルフィド構造単位〔−C63(COO
H)−S−〕とからなるカルボキシル基含有ポリフェニ
レンスルフィド共重合体(A)中のカルボキシル基の一
部乃至全部を、該カルボキシル基含有ポリフェニレンス
ルフィド共重合体(A)が溶融した状態で塩基性金属化
合物(B)により中和することを特徴とするポリフェニ
レンスルフィド共重合体アイオノマーの製法を提供する
ものである。
【0006】以下に本発明を、詳しく説明する。本発明
の製法で用いるカルボキシル基含有ポリフェニレンスル
フィド共重合体(A)としては、非核置換フェニレンス
ルフィド構造単位(−C64−S−)とカルボキシル基
含有フェニレンスルフィド構造単位〔−C63(COO
H)−S−〕とを必須の構成成分として含む共重合体で
あればよく、例えば非核置換フェニレンスルフィド構造
単位(−C64−S−)とカルボキシル基含有フェニレ
ンスルフィド構造単位〔−C63(COOH)−S−〕
とを必須の構成成分としてなるランダム共重合体や、非
核置換フェニレンスルフィド構造単位(−C64−S
−)からなるポリフェニレンスルフィドブロック(a
1 )と、カルボキシル基含有フェニレンスルフィド構造
単位〔−C63(COOH)−S−〕からなるカルボキ
シル基含有ポリフェニレンスルフィドブロック(a2
とを必須の構成成分としなるブロック共重合体などが挙
げられ、なかでも非置換フェニレンスルフィド構造単位
(−C64−S−)やカルボキシル基含有フェニレンス
ルフィド構造単位〔−C63(COOH)−S−〕のよ
うな主鎖を構成するフェニレンスルフィド構造単位中の
90モル%以上がp−フェニレンスルフィドであるもの
が耐熱性に優れる点で好ましく、更にブロック共重合体
が耐熱性に優れると共に溶融時の粘度低下が少なく成形
性に優れる点で特に好ましい。
【0007】上記カルボキシル基含有ポリフェニレンス
ルフィド共重合体(A)中に含まれるカルボキシル基の
含有率は、主鎖を構成するフェニレンスルフィド構造単
位1モル当たり、通常0.005〜0.50モルとなる
範囲であり、なかでも高分子量化が可能で、アイオノマ
ー化による耐熱性、接着性などの改良効果が高く、溶融
時の粘度低下や他の樹脂との相溶性の低下などの少ない
ポリフェニレンスルフィド共重合体アイオノマーが得ら
れる点で0.005〜0.30モルとなる範囲が好まし
い。
【0008】また、上記カルボキシル基含有ポリフェニ
レンスルフィド共重合体(A)がブロック共重合体の場
合、核置換フェニレンスルフィド構造単位(−C64
S−)からなるポリフェニレンスルフィドブロック(a
1 )とカルボキシル基含有フェニレンスルフィド構造単
位〔−C63(COOH)−S−〕からなるカルボキシ
ル基含有ポリフェニレンスルフィドブロック(a2 )の
重量比(a1 )/(a 2 )は、通常70/30〜99/
1であり、なかでもアイオノマー化による耐熱性、接着
性などの改良効果が高く、溶融時の粘度低下、機械的強
度低下、他の樹脂との相溶性低下などが少ない点で72
/28〜95/5の範囲が好ましい。
【0009】本発明の製法で用いるカルボキシル基含有
ポリフェニレンスルフィド共重合体(A)の製法として
は、特に限定はないが、例えば(1)極性溶媒中で、ジ
ハロゲノベンゼンとジハロゲノ安息香酸とを混合してス
ルフィド化剤と反応させる方法、(2)ポリフェニレン
スルフィドプレポリマ−の存在する極性溶媒中で、ジハ
ロゲノ安息香酸とスルフィド化剤を反応させる方法、
(3)カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィドプ
レポリマ−の存在する極性溶媒中で、ジハロベンゼンと
スルフィド化剤を反応させる方法、(4)極性溶媒中
で、ポリフェニレンスルフィドプレポリマ−とカルボキ
シル基含有ポリフェニレンスルフィドプレポリマ−を反
応させる方法、(5)上記(1)〜(4)の方法におい
て、ジハロゲノ安息香酸又はカルボキシル基含有ポリフ
ェニレンスルフィドプレポリマ−の代わりにその金属塩
を用いて反応させた後、酸を加えて中和する方法等の公
知の方法が用いられる。
【0010】上記カルボキシル基含有ポリフェニレンス
ルフィド共重合体(A)をアイオノマー化するために使
用する塩基性金属化合物(B)としては、金属含有のア
ルカリ性物質で、カルボン酸と反応性を持つものであれ
ば何でも良く、各種の金属酸化物、金属アルコキシド、
金属アルキルアセチネート、例えば1A亜族2〜6周期
元素であるリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウ
ム、セシウム、2A亜族3〜6周期元素であるマグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、4A亜
族4周期元素であるチタン、6A亜族4〜5周期元素で
あるクロム、モリブデン、7A亜族4周期元素であるマ
ンガン、8族4〜5周期元素である鉄、ルテニウム、コ
バルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、1B〜2B
亜族4〜5周期元素である銅、銀、亜鉛、カドミウム、
3B〜4B亜族3〜5周期元素であるアルミニウム、ス
ズ等の酸化物、アルコキシド、アルキルアセトネ−トな
どが挙げられる。
【0011】上記塩基性金属化合物(B)のなかでも、
1A亜族2〜6周期元素であるリチウム、ナトリウム、
カリウム、ルビジウム、セシウム、2A亜族3〜6周期
元素であるマグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウム、4A亜族4周期元素であるチタン、8族
4周期元素である鉄、コバルト、ニッケル、1B〜2B
亜族4周期元素である銅、亜鉛、3B亜族3周期元素で
あるアルミニウム、4B亜族5周期元素であるスズ等の
酸化物、アルコキシド、アルキルアセトネ−トが好まし
く、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシ
ウム、バリウム、チタン、ニッケル、亜鉛、アルミニウ
ム、スズの酸化物、アルコキシド、アルキルアセトネ−
トが好ましい。更に、これらの金属のアルコキシドおよ
びアセチルアセトネ−トが最も好ましい。
【0012】塩基性金属化合物(B)の代表的な具体例
としては、ナトリウムオキシド、ナトリウムメトキシ
ド、ナトリウムアセチルアセトネ−ト、マグネシウムオ
キシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムアセチ
ルアセトネ−ト、ジンクエトキシド、ジンクアセチルア
セトネ−ト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニ
ウムアセチルアセトネ−ト等が挙げられるが、これらに
限定されるものではなく、公知の中和剤、例えば(株)
アイビ−ツ−が平成元年10月に発行した「アイオノマ
−の物性と工業的応用」に記載の中和剤が使用できる。
【0013】これら塩基性金属化合物(B)の使用量
は、カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド共重
合体(A)の主鎖を構成するフェニレンスルフィド構造
単位1モル当たり、通常0.005〜0.30モル、好
ましくは0.01〜0.25モルとなる範囲であり、特
に0.02〜0.20モルとなる範囲が最も好ましい。
尚、カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド共重
合体(A)中のカルボキシル基1モル当たりの塩基性金
属化合物(B)の使用量は、通常0.02〜1.10モ
ルの範囲である。
【0014】本発明のポリフェニレンスルフィド共重合
体アイオノマーは、カルボキシル基含有ポリフェニレン
スルフィド共重合体(A)が溶融した状態で、該共重合
体(A)中のカルボキシル基を塩基性金属化合物(B)
により中和すればよく、例えば該共重合体(A)を、加
熱ロ−ル、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、単軸押出
機、2軸押出機等の通常使用される溶融混練機を用いて
溶融状態とし、塩基性金属化合物(B)を添加して溶融
混練し、該共重合体(A)中のカルボキシル基を中和し
てアイオノマー化する方法、該共重合体(A)と塩基性
金属化合物(B)とをヘンシェルミキサ−、リボンミキ
サ−等の一般に用いられる混合機により予め混合し、前
記のような溶融混練機により溶融混練し、該共重合体
(A)中のカルボキシル基を塩基性金属化合物(B)に
より中和してアイオノマー化する方法等が挙げられる。
尚、工業的には、単軸押出機、2軸押出機等の押出機で
該共重合体(A)と塩基性金属化合物(B)とを溶融混
練する方法がなかでも好ましい。
【0015】アイオノマー化温度は、カルボキシル基含
有ポリフェニレンスルフィド共重合体(A)の組成、塩
基性金属化合物(B)の種類、溶融混練機の種類等によ
り異なるので一概に規定はできないが、通常270〜3
80℃、好ましくは280〜340℃の範囲であり、ア
イオノマー化の時間は、アイオノマー化温度によって異
なるが、通常0.5〜30分間、好ましくは1〜20分
間、更に好ましくは2〜15分間である。
【0016】本発明の製法により得られたポリフェニレ
ンスルフィド共重合体アイオノマーは、そのまま射出成
形、押出成形、圧縮成形、ブロ−成形のような各種溶融
加工法により、耐熱性、寸法安定性等に優れた成形物に
することができる。さらに強度、耐熱性、加工性、寸法
安定性等の性能を改善するために、各種充填剤と組み合
わせて使用することも可能である。
【0017】充填剤としては、繊維状充填剤、無機充填
剤等が挙げられる。繊維状充填剤としては、たとえばガ
ラス繊維、炭素繊維、シランガラス繊維、セラミック繊
維、アラミド繊維、金属繊維、チタン酸カリウム、炭化
珪素、硫酸カルシゥム、珪酸カルシゥム等の繊維、ウォ
ラストナイト等の天然繊維等が使用できる。また無機充
填剤としては、例えば硫酸バリウム、硫酸カルシゥム、
クレー、バイロフェライト、ベントナイト、セリサイ
ト、ゼオライト、マイカ、雲母、タルク、アタルパルジ
ャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシゥ
ム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ等が使用できる。
【0018】更に、同様に下記のごとき合成樹脂やエラ
ストマーを混合した樹脂組成物としても適用できる。こ
れら合成樹脂としては、例えばポリエステル、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリカーボネイ
ト、ポリフェニレンエーテル、ポリスルフォン、ポリエ
ーテルスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
エ−テルケトン、ポリアリーレン、ポリ四弗化エチレ
ン、ポリ二弗化エチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ウレ
タン樹脂、等が挙げられ、エラストマ−としては、ポリ
オレフィン系ゴム、弗素ゴム、シリコーンゴム、等が挙
げられる。
【0019】また、本発明の目的を逸脱しない範囲で、
離型剤、着色剤、耐熱安定剤、紫外線安定剤、発泡剤、
防錆剤、離燃剤、滑剤、カップリング剤等の各種の添加
剤をを含有せしめることもできる。
【0020】本発明の製法で得られたポリフェニレンス
ルフィド共重合体アイオノマーは、各種成型品やフイル
ム、繊維、電気、電子部品等の材料として好適である。
【0021】
【実施例】次に、本発明のポリフェニレンスルフィド共
重合体アイオノマーの製法を実施例および比較例により
更に詳細に説明する。元より本発明はかかる実施例のみ
に限定されるものではない。尚、例中の部および%はす
べて重量基準である。
【0022】また、例中で示した針入温度および動的粘
性率(η′)は、以下の方法で測定した。 (1)針入温度:セイコ−電子工業社製のTMA−SS
120装置を用い、直径10mm、厚さ4mmの円盤を
試料として、針状圧子の面積1.0mm2 、圧子荷重5
0g/mm2 、昇温速度2℃/minの条件でJIS
K−7206の気体加熱法に準拠して測定した。 (2)動的粘性率(η′):レオメトリック社製のレオ
メトリック・ダイナミック・スペクトロメ−タ−を用
い、直径50mm、厚さ2mmの円盤を試料として、、
温度316℃、角周波数10rad/secの条件で測
定した。
【0023】参考例1(カルボキシル基含有ポリフェニ
レンスルフィドランダム共重合体の調製) 2lオ−トクレ−ブにN−メチルピロリドン(以下、N
MPと略す)540g、水硫化ナトリウム1.2水塩
(以下、NaSHと略す)155.2g(2.0モ
ル)、水酸化ナトリウム(以下、NaOHと略す)80
g(2.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、200℃ま
で昇温して水とNMPの混合物を留去した。次いで、こ
の系にp−ジクロロベンゼン(以下、DCBと略す)2
91.1g(1.98モル)と2,4−ジクロロ安息香
酸(以下、DCBAと略す)3.8g(0.02モル)
をNMP230gに溶かした溶液を添加し、窒素雰囲気
下、200℃で4時間反応させた。反応容器を冷却後、
内容物を取り出し、熱水と希塩酸で3回洗浄した後、メ
タノ−ルで2回洗浄し、ポリマ−ケ−キを濾別した。こ
のケ−キを80℃で減圧乾燥し、白色粉末状のカルボキ
シル基含有ポリフェニレンスルフィドランダム共重合体
を96.4%の収率で得た。表1に主鎖を構成するフェ
ニレンスルフィド構造単位1モル当たりのカルボキシル
基の仕込モル数と、得られたランダム共重合体の動的粘
性率(η′)を示す。
【0024】参考例2(同上) DCBの使用量を267.3g(1.80モル)、DC
BAの使用量を34.7g(0.20モル)に変更した
以外は参考例1と同様にして白色粉末状のカルボキシル
基含有ポリフェニレンスルフィドランダム共重合体を9
5.8重量%の収率で得た。収率は95.8%であり、
表1に主鎖を構成するフェニレンスルフィド構造単位1
モル当たりのカルボキシル基の仕込モル数と、得られた
ランダム共重合体の動的粘性率(η′)を示す。
【0025】参考例3(同上) DCBの使用量を235.2g(1.50モル)、DC
BAの使用量を76.4g(0.50モル)に変更した
以外は参考例1と同様にして白色粉末状のカルボキシル
基含有ポリフェニレンスルフィドランダム共重合体を9
0.6%の収率で得た。表1に主鎖を構成するフェニレ
ンスルフィド構造単位1モル当たりのカルボキシル基の
仕込モル数と、得られたランダム共重合体の動的粘性率
(η′)を示す。
【0026】参考例4(カルボキシル基含有ポリフェニ
レンスルフィドブロック共重合体の調製) 2lオ−トクレ−ブにNMP600g、硫化ナトリウム
5水塩(以下、 Na2Sと略す)325.2g(1.9
4モル)を仕込み、窒素雰囲気下、200℃まで昇温し
て水とNMPの混合物を留去した。次いで、この系にD
CB282.2g(1.92モル)を200gのNMP
に溶かした溶液を添加し、220℃で5時間、さらに2
40℃で2時間窒素雰囲気下で反応させて、ポリフェニ
レンスルフィドブロック(a1 )の反応溶液を得た。こ
の反応溶液を約80℃まで冷却した系に、DCBA1
5.3g(0.08モル)とNa2S 13.5g(0.
08モル)を添加し、220℃で5時間、更に240℃
で2時間反応させた。反応容器を冷却後、得られた反応
物を水洗し、次いでNMP/水(3/2重量比)混合溶
媒による洗浄を2回行い、更に希塩酸で処理し、熱水に
よる洗浄とメタノ−ルによる洗浄を順次2回行って、ポ
リマ−ケ−キを濾別した。このケ−キを80℃で減圧乾
燥して、白色粉末状のカルボキシル基含有ポリフェニレ
ンスルフィドブロック共重合体を97.7%の収率で得
た。表1に主鎖を構成するフェニレンスルフィド構造単
位1モル当たりのカルボキシル基の仕込モル数と、得ら
れたブロック共重合体の動的粘性率(η′)を示す。
【0027】参考例5(同上) Na2S の使用量を260.4g(1.55モル)、D
CBの使用量を226.4g(1.54モル)に変更し
た以外は参考例4と同様にしてポリフェニレンスルフィ
ドブロック(a1 )の反応溶液を得、更にNa2S の使
用量を77.3g(0.46モル)、DCBAの使用量
を87.9g(0.46モル)に変更した以外は参考例
4と同様にして白色粉末状のカルボキシル基含有ポリフ
ェニレンスルフィドブロック共重合体を95.3%の収
率で得た。表1に主鎖を構成するフェニレンスルフィド
構造単位1モル当たりのカルボキシル基の仕込モル数
と、得られたブロック共重合体の動的粘性率(η′)を
示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例1 参考例1で得たランダム共重合体100部に、ナトリウ
ムメトキシド0.5部(該ランダム共重合体中のカルボ
キシル基1モル当たり1.05モル)を添加し、ラボプ
ラストミル中で300℃、10分間溶融混練して該ラン
ダム共重合体中のカルボキシル基を中和してポリフェニ
レンスルフィドランダム共重合体アイオノマーを得た。
次いで、これを粉砕し、300℃のペレタイザーでペレ
ット化した後、射出成形機で試験片を作成し、針入温度
と動的粘性率(η′)を測定した。測定結果を表2に示
す。
【0030】実施例2 参考例2で得たランダム共重合体100部に、ナトリウ
ムメトキシド2.2部(該ランダム共重合体中のカルボ
キシル基1モル当たり1.0モル)を用いた以外は実施
例1と同様にしてポリフェニレンスルフィドランダム共
重合体アイオノマーを得、次いで同様にして針入温度と
動的粘性率(η′)を測定した。測定結果を表2に示
す。
【0031】実施例3 参考例4で得たランダム共重合体100部に、ナトリウ
ムメトキシド0.136部(該ランダム共重合体中のカ
ルボキシル基1モル当たり1.0モル)を用いた以外は
実施例1と同様にしてポリフェニレンスルフィドブロッ
ク共重合体アイオノマーを得、次いで同様にして針入温
度と動的粘性率(η′)を測定した。測定結果を表2に
示す。
【0032】実施例4 参考例5で得たランダム共重合体100部に、ナトリウ
ムメトキシド9.9部(該ランダム共重合体中のカルボ
キシル基1モル当たり0.8モル)を用いた以外は実施
例1と同様にしてポリフェニレンスルフィドブロック共
重合体アイオノマーを得、次いで同様にして針入温度と
動的粘性率(η′)を測定した。測定結果を表2に示
す。
【0033】実施例5 参考例3で得たランダム共重合体100部に、ナトリウ
ムメトキシド0.9部(該ランダム共重合体中のカルボ
キシル基1モル当たり0.1モル)を用いた以外は実施
例1と同様にしてポリフェニレンスルフィドランダム共
重合体アイオノマーを得、次いで同様にして針入温度と
動的粘性率(η′)を測定した。測定結果を表2に示
す。
【0034】比較例1 2lオ−トクレ−ブに、NMP540g、NaSH15
5.2g(2.0モル)およびNaOH80g(2.0
モル)を仕込み、窒素雰囲気下、200℃まで昇温する
ことにより水とNMPの混合物を留去した。次いでこの
系にDCB294.0g、NMP230gに溶かした溶
液を添加し、200℃で4時間窒素雰囲気下で反応させ
た。反応容器を冷却後内容物を取り出し、熱水と希塩酸
さらにメタノ−ルで3回洗浄し、ポリマ−ケ−キを濾別
した。このケ−キを80℃で減圧乾燥し、白色粉末状の
ポリフェニレンスルフィドを98%の収率で得、次いで
このポリフェニレンスルフィドを用いた以外は実施例1
と同様にして針入温度と動的粘性率(η′)を測定し
た。測定結果を表2に示す。
【0035】比較例2 参考例5で得たブロック共重合体をそのまま用いた以外
は実施例1と同様にして針入温度と動的粘性率(η′)
を測定した。測定結果を表2に示す。
【0036】比較例3 2lオ−トクレ−ブにNMP540g、NaSH15
5.2g(2.0モル)、NaOH80g(2.0モ
ル)を仕込み、窒素雰囲気下、200℃まで昇温して水
とNMPの混合物を留去した。次いで、この系にDCB
267.3gと2,4−ジクロロ安息香酸ナトリウム塩
21.3gをNMP230gに溶かした溶液を添加し、
窒素雰囲気下、200℃で4時間反応させた。反応容器
を冷却後、内容物を取り出し、水を加えて水洗を試みた
が、系が乳濁状になり、濾過分離が出来なかった。こた
め遠心沈降分離法、非溶媒による分別法など一般に行わ
れる分別精製法により精製を試みたが、分離が著しく困
難であり、精製されたポリフェニレンスルフィド共重合
体のナトリウム塩を得ることは出来なかった。
【0037】
【表2】
【0038】実施例6〜17 参考例5で得たブロック共重合体100部に、該ランダ
ム共重合体中のカルボキシル基1モル当たり0.5モル
に相当する表3記載の塩基性金属化合物をそれぞれ用い
た以外は実施例1と同様にしてポリフェニレンスルフィ
ドブロック共重合体アイオノマーを得、次いで同様にし
て針入温度と動的粘性率(η′)を測定した。測定結果
を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】
【発明の効果】カルボキシル基含有ポリフェニレンスル
フィド共重合体を、溶融させた状態で塩基性金属化合物
により中和するという簡単な方法で、耐熱性が高く、溶
融時の粘度低下の少ないポリフェニレンスルフィド共重
合体アイオノマーが容易に得られる。しかも、この製法
ではマグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどの広範囲の
金属種を含む塩基性金属化合物が使用できる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非核置換フェニレンスルフィド構造単位
    (−C64−S−)とカルボキシル基含有フェニレンス
    ルフィド構造単位〔−C63(COOH)−S−〕とか
    らなるカルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド共
    重合体(A)中のカルボキシル基の一部乃至全部を、該
    カルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド共重合体
    (A)が溶融した状態で塩基性金属化合物(B)により
    中和することを特徴とするポリフェニレンスルフィド共
    重合体アイオノマーの製法。
  2. 【請求項2】 カルボキシル基含有ポリフェニレンスル
    フィド共重合体(A)が、非核置換フェニレンスルフィ
    ド構造単位(−C64−S−)からなるポリフェニレン
    スルフィドブロック(a1 )と、カルボキシル基含有フ
    ェニレンスルフィド構造単位〔−C63(COOH)−
    S−〕からなるカルボキシル基含有ポリフェニレンスル
    フィドブロック(a2 )とからなるブロック共重合体で
    ある請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 カルボキシル基含有ポリフェニレンスル
    フィド共重合体(A)が、主鎖を構成するフェニレンス
    ルフィド構造単位1モル当たり、カルボキシル基を平均
    0.005〜0.50モル有する共重合体である請求項
    1又は2記載の製法。
  4. 【請求項4】 塩基性金属化合物(B)が、金属酸化
    物、金属アルコキシド又は金属アルキルアセトネートで
    ある請求項1、2又は3記載の製法。
  5. 【請求項5】 塩基性金属化合物(B)中の金属が、1
    A亜族の2〜6周期元素、2A亜族の3〜6周期元素、
    4A亜族の4周期元素、6A亜族の4〜5周期元素、7
    A亜族の4周期元素、8族の4〜5周期元素、1B〜2
    B亜族の4〜5周期元素又は3B〜4B亜族の3〜5周
    期元素である請求項4記載の製法。
  6. 【請求項6】 塩基性金属化合物(B)が、1A亜族2
    〜6周期元素、2A亜族3〜6周期元素、4A亜族の4
    周期元素、8族4周期元素、1B〜2B亜族4周期元素
    又は3B亜族3周期元素の、アルコキシド又はアセチル
    アセトネ−トである請求項1、2又は3記載の製法。
  7. 【請求項7】 塩基性金属化合物(B)の使用量が、カ
    ルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド共重合体
    (A)の主鎖を構成するフェニレンスルフィド構造単位
    1モル当たり、0.005〜0.30モルとなる範囲で
    ある請求項1〜6のいずれか1つに記載の製法。
  8. 【請求項8】 塩基性金属化合物(B)の使用量が、カ
    ルボキシル基含有ポリフェニレンスルフィド共重合体
    (A)中のカルボキシル基1モル当たり、0.02〜
    1.10モルとなる範囲である請求項7記載の製法。
  9. 【請求項9】 カルボキシル基含有ポリフェニレンスル
    フィド共重合体(A)を塩基性金属化合物(B)と共に
    270〜380℃で溶融混練する請求項1〜8のいずれ
    か1つに記載の製法。
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