JP3189422B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物

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JP3189422B2 JP26590492A JP26590492A JP3189422B2 JP 3189422 B2 JP3189422 B2 JP 3189422B2 JP 26590492 A JP26590492 A JP 26590492A JP 26590492 A JP26590492 A JP 26590492A JP 3189422 B2 JP3189422 B2 JP 3189422B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアリーレンスルフ
ィド樹脂組成物に関する。更に詳しくは、金属腐蝕性が
著しく低減されたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド樹脂は、卓越
した耐熱性,耐薬品性及び難燃性を有するエンジニアリ
ングプラスチックとして近年注目されており、これらの
各種特性を生かし、自動車部品分野,電気・電子部品分
野等で大きな需要の伸びをみせている。しかしながら、
ポリアリーレンスルフィド樹脂をフィルム、繊維或いは
成形体として電気・電子部品類に用いる場合、ポリアリ
ーレンスルフィド樹脂本来の成形加工性及び電気絶縁性
を発揮させるには、ポリアリーレンスルフィド樹脂の腐
蝕性を低減させることが必要である。例えば、電子部品
の被覆・封止材料としてポリアリーレンスルフィド樹脂
を用いる場合、部品類の電極,配線,リードフレーム等
が腐蝕し、トラブルの発生原因になることがしばしばあ
る。
【0003】ポリアリーレンスルフィド樹脂の腐蝕性低
減法としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂にハイド
ロタルサイト化合物を添加する方法(特開昭60−18
6561号公報)、炭酸亜鉛,炭酸マンガン,炭酸マグ
ネシウムを添加する方法(特開平2−191655号公
報)等が知られている。しかしながら、いずれの方法に
おいても腐蝕性の低減効果が不十分である。
【0004】また、ポリアリーレンスルフィド樹脂にア
ルカリ金属の炭酸塩,珪酸塩,水酸化物を添加する方法
(米国特許第4,017,450号公報)が知られてい
る。しかし、これらの効果は充分ではなく、しかも電気
的性質に悪影響を及ぼすという問題を有している。更
に、性能が比較的よい炭酸リチウムは高価であるという
経済的な問題及び添加による機械的強度の低下という問
題を有している。
【0005】本発明同様の目的でポリアリーレンスルフ
ィド樹脂に結晶性のアルミノケイ酸塩(総称:ゼオライ
ト)を添加することは知られている(特開昭62−16
7356号公報,特開昭62−295956号公報
等)。しかしながら、結晶性アルミノケイ酸塩を添加す
ることで若干の改良効果はあるものの、電気・電子部品
分野で用いられる電極,リードフレーム,リード線等の
被覆または封止用途などに用いられた場合、腐食性の低
減化が不十分であり更なる改良が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を改善し、ポリアリーレンスルフィド樹脂の金属腐蝕性
を著しく低減し、従来品より低腐蝕性であるポリアリー
レンスルフィド樹脂を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
現状に鑑み、ポリアリーレンスルフィド樹脂の金属腐蝕
性の低減を行うため鋭意研究を進めた。その結果、アル
ミノケイ酸塩中の陽イオンを特定の金属イオンで交換し
た無定形アルミノケイ酸塩と特定の金属炭酸塩の両成分
を添加することで、ポリアリーレンスルフィド樹脂の腐
蝕性が著しく低減することを見出し、本発明を完成し
た。
【0008】即ち本発明は、(A)ポリアリーレンスル
フィド樹脂100重量部、 (B)下記一般式で示される無定形のアルミノケイ酸塩
0.1〜10重量部、 MI 2O・Al23・xSiO2IIO・Al23・xSiO2III 23・Al23・xSiO2 (ここで、MI,MII又はMIIIは、Mn,Fe,Co,
Ni,Cu,Zn,Snの中から選ばれる金属イオン、
xは2以上の数) (C)平均粒子径0.5μm以下、BET比表面積15
2/g以上の微細金属炭酸塩0.1〜10重量部及び
(ここで、金属は、Ca,Mg,Sr,Ba,Zn,L
iの中から選ばれる) (D)繊維状充填材及び/又は無機充填材0〜300重
量部からなることを特徴とする金属に対する腐食性が著
しく改良されたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に
関する。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】本発明で用いられる成分(A)のポリアリ
ーレンスルフィド樹脂は、繰り返し単位が一般式−Ar
−S−で表される単位の一種或いは二種以上からなる高
分子である。ここで、具体的に−Ar−S−は、下記の
構造単位で構成されているものが挙げられる。
【0011】
【化1】
【0012】(但し、R1,R2は、各々水素原子,アル
キル基,フェニル基,アルコキシル基,ニトロ基,ハロ
ゲン原子,アルキレングリコール基,ヒドロキシル基,
ニトリル基,カルボキシル基,スルホン基又はアミノ基
である。Xは、メチレン,エチレン,イソプロピル,エ
ーテル,ケトン又はスルホン基である。) 特に好ましくは、ポリフェニレンスルフィド樹脂であ
る。ポリフェニレンスルフィド樹脂は、一般式
【0013】
【化2】
【0014】で示される繰返単位を持った構造が70モ
ル%以上、好ましくは90モル%以上含まれているもの
であり、他の成分が共重合されたものであっても良い。
【0015】ポリアリーレンスルフィド樹脂は、一般
に、特公昭44−2761号公報,特公昭45−336
8号公報,米国特許第3,274,165号公報,特公
昭46−27255号公報等で代表される製造法により
得られる比較的分子量の小さい重合体と特公昭52−1
2240号公報に代表される本質的に線状で比較的高分
子量の重合体とがあり、前者の重合体は、酸素雰囲気下
或いは過酸化物等の架橋剤の存在下で加熱することによ
り高重合度化して用いることも可能である。
【0016】本発明に使用するに適したポリアリーレン
スルフィド樹脂の溶融粘度(高化式フローテスターによ
り(ダイス:直径=0.5mm,長さ=2mm)300
℃,10kg荷重での測定)は、本質的に線状で比較的
高分子量の重合体であれば50〜50000ポイズ、好
ましくは100〜30000ポイズのものが使用でき
る。また、架橋剤などの存在下で加熱することにより高
重合度化した重合体であれば加熱処理前の粘度が50〜
20000ポイズのものであり、加熱処理後の粘度が1
50〜50000ポイズ、好ましくは200〜3000
0ポイズのものが使用できる。ここで、溶融粘度が50
ポイズ未満の場合は、機械的強度が低下し、50000
ポイズを越える場合は、成形性に難点を生じることがあ
る。
【0017】次に、本発明で用いられる成分(B)の無
定形のアルミノケイ酸塩とは、アルミノケイ酸塩の陽イ
オンを遷移金属等により粒子表面をイオン交換処理した
化合物である。このアルミノケイ酸塩は、無定形であ
り、X線回折による分析方法により結晶構造に起因する
回折パターンが現れない化合物であり、下記の一般式で
表される化学組成を有する化合物である。
【0018】MI 2O・Al23・xSiO2IIO・Al23・xSiO2III 23・Al23・xSiO2 (ここで、MI,MII又はMIIIは、Mn,Fe,Co,
Ni,Cu,Zn,Snの中から選ばれる金属イオン、
xは2以上の数) これらのうち、xが2〜100の範囲のものが好適に用
いられる。
【0019】本発明で用いるアルミノケイ酸塩は、まず
ケイ酸アルカリ水溶液と含アルミニウム水溶液を同時に
且つ連続的に反応させることにより、アルミノケイ酸の
アルカリ金属塩を得、これを所望の金属イオンによって
イオン交換処理することにより製造できる。
【0020】上記のケイ酸アルカリ水溶液として、ケイ
酸ナトリウム,ケイ酸カリウム,ケイ酸リチウム等の各
水溶液が、また、含アルミニウム水溶液としては、硫酸
アルミニウム,塩化アルミニウム,アルミン酸ナトリウ
ム等の各水溶液が好適に使用される。
【0021】上記のアルミノケイ酸塩のアルカリ金属塩
を調製するための好ましい実施方法は、撹拌機を備えた
オーバーフロー型の反応槽に撹拌下で両水溶液を同時に
且つ連続的に供給して反応させる方法である。アルミノ
ケイ酸塩のアルカリ金属塩を調製するための別の実施方
法として、反応スラリーを排出することなく両水溶液を
撹拌条件下の反応槽に同時に供給する回分方式の調製方
法ももちろん適用することができる。次に、得られたア
ルミノケイ酸塩は、金属イオンの硫酸塩,硝酸塩,塩化
物水溶液と接触させ、洗浄することで容易にイオン交換
することができる。ここで、金属イオンはMn,Fe,
Co,Ni,Cu,Zn,Snが用いられる。
【0022】本発明で用いられるアルミノケイ酸塩の添
加量は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100重量部に
対して0.1〜10重量部の範囲であり、好ましくは
0.5〜8重量部の範囲である。ここで、添加量が0.
1重量部未満の場合は、腐蝕性の低減効果が乏しく、ま
た、10重量部を越える場合は、成形後の力学強度が低
下するため好ましくない。
【0023】次に、本発明で用いられる成分(C)の微
細金属炭酸塩とは、炭酸カルシウム,炭酸マグネシウ
ム,炭酸ストロンチウム,炭酸バリウム,炭酸亜鉛,炭
酸リチウムの中から選ばれる化合物であり、特に好まし
くは、炭酸カルシウム,炭酸亜鉛,炭酸リチウムであ
る。
【0024】微細金属炭酸塩平均粒子径及びBET比表
面積は、平均粒子径が0.5μm以下、好ましくは平均
粒子径0.1μm以下であり、且つBET比表面積が1
5m2/g以上、好ましくは25m2/g以上である。こ
こで、平均粒子径が0.5μmより大きいもの又はBE
T比表面積が15m2/gより小さいものは、金属に対
する腐食性低減効果が乏しく好ましくない。
【0025】微細金属炭酸塩の添加量は、ポリアリーレ
ンスルフィド樹脂100重量部に対して、0.1〜10
重量部の範囲であり、好ましくは0.5〜8重量部の範
囲である。ここで、添加量が0.1重量部未満の場合
は、腐蝕性の低減効果が乏しく、10重量部を越える場
合は、成形後の力学強度が低下するため好ましくない。
【0026】また、成分(B)の無定形のアルミノケイ
酸塩と成分(C)の微細金属炭酸塩の配合比は特に限定
はないが、好ましくは(B):(C)=30〜70:7
0〜30の範囲である。ここで、成分(B)と成分
(C)の両成分がポリアリーレンスルフィド樹脂中に添
加されていない場合は、金属の腐蝕性低減効果が小さく
好ましくない。
【0027】更に、本発明で用いられる成分(B)の無
定形のアルミノケイ酸塩及び成分(C)の微細金属炭酸
塩は、ポリアリーレンスルフィド樹脂への分散性を向上
させるために、樹脂酸,リグニンなどで表面処理して使
用することも可能である。
【0028】次に、本発明で用いられる成分(D)の繊
維状充填材及び/又は無機充填材は特に限定はないが、
以下の充填材が用いられる。
【0029】例えば、繊維状充填材としては、ガラス繊
維,炭素繊維,グラファイト化繊維,ウィスカー,金属
繊維,無機系繊維,有機系繊維,鉱石系繊維等が使用可
能であり、以下のものが例示される。
【0030】ガラス繊維としては、通常のガラス繊維の
他にニッケル,銅等で金属コートしたガラスファイバ
ー、シランファイバー、アルミノケイ酸塩ガラスファイ
バー、中空ガラスファイバー、ノンホローガラスファイ
バー等が使用可能である。
【0031】炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル
を原料とするPAN系、ピッチを原料とするピッチ系繊
維が用いられる。
【0032】無機系繊維としては、ロックウール、ジル
コニア、アルミナシリカ、チタン酸バリウム、炭化ケイ
素、アルミナ、シリカ、高炉スラグ等の各種繊維が用い
られる。
【0033】鉱石系繊維としては、アスベスト、ワラス
テナイト、マグネシウムオキシサルフェート等が使用さ
れる。
【0034】有機系繊維としては、全芳香族ポリアミド
繊維、フェノール樹脂繊維、全芳香族ポリエステル繊維
等が用いられる。
【0035】ウィスカーとしては、窒化ケイ素ウィスカ
ー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸バリ
ウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、炭化ケ
イ素ウィスカー、ボロンウィスカー等が用いられる。
【0036】次に、無機充填材としては、板状,粉粒状
の無機物であり、例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、タルク、マイカ、クレイ、シリカ、アルミナ、カオ
リン、ジルコニア、ゼオライト、石膏、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸
カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、アパタ
イト、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化銅、酸化鉄、酸化ス
ズ、酸化マグネシウム、カーボンブラック、黒鉛、ガラ
スパウダー、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、ハイ
ドロタルサイト又は成分(C)として用いるものよりも
粒径が大きいあるいは比表面積の小さい炭酸リチウム,
炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,炭酸亜鉛等を充填
材として用いることができる。
【0037】繊維状充填材及び/又は無機充填材の添加
量は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100重量部に対
して0〜300重量部の範囲であり、好ましくは20〜
200重量部の範囲である。ここで、繊維状充填材及び
/又は無機充填材の配合比は、特に限定はない。但し、
繊維状充填材及び/又は無機充填材の添加量がポリアリ
ーレンスルフィド樹脂100重量部に対して300重量
部を越える場合は、成形に難点を生じるため好ましくな
い。
【0038】また、本発明に用いられる繊維状充填材及
び/又は無機充填材は、ポリアリーレンスルフィド樹脂
との接着性を高めるため、一般に用いられる公知の表面
処理剤、収束剤を併用することが可能であり好ましい。
例を示せば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合
物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化
合物である。これらの化合物は、充填剤に予め表面処理
又は収束処理を施して用いるか、又は材料調整の際に同
時に添加しても良い。
【0039】更に、本発明の組成物に対して、本発明の
目的を損なわない範囲で酸化防止剤、熱安定剤、紫外線
吸収剤、滑剤、離型剤、染料,顔料などの着色剤、難燃
剤、難燃助剤、帯電防止剤などの通常の添加剤を一種又
は二種以上添加することもできる。
【0040】また、必要に応じてポリエチレン、ポリブ
タジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリス
チレン、ポリブテン、ポリαーメチルスチレン、ポリ酢
酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸エステル、
ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ナ
イロン6,ナイロン66,ナイロン610,ナイロン1
2,ナイロン11,ナイロン46等のポリアミド、ポリ
エチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレー
ト,ポリアリレート,液晶ポリマー等のポリエステル、
ポリウレタン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポ
リフェニレンオキシド、ポリスルフォン、ポリエーテル
スルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミ
ドイミド、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹
脂などの単独重合体、ランダム又はブロック、グラフト
共重合体の一種以上を本発明の樹脂組成物に混合して使
用することもできる。
【0041】本発明の樹脂組成物は、上述した成分を溶
融混練することによって得られる。例えば、上述した成
分を予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール混練
機、一軸混練機、二軸混練機等を用いて溶融混練し、ペ
レット化することができる。溶融混練は、一般に290
〜370℃の温度で行うことができる。得られたペレッ
トは、通常の押出成形、射出成形、圧縮成形の手段を用
いて任意の形状に成形できる。
【0042】
【実施例】次に、実施例及び比較例を示して本発明を更
に具体的に説明するが、本発明は、これらに限定される
ものではない。尚、以下の実施例で用いたポリアリーレ
ンスルフィド樹脂組成物の腐食性試験は、以下の方法に
より行った。
【0043】○腐食性試験 (I)ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物のペレット
10gを図1に示すような秤量瓶に入れ、その中にハン
ダメッキが施されたリードフレームを入れて200℃,
48時間オーブン中で加熱した。次に、シャーレを85
℃,85RH%の高温・恒湿槽に入れ、10時間処理を
行った。その後、シャーレを室温に冷却し、ハンダメッ
キが施されたリードフレームの腐食度の判定を目視にて
行った。
【0044】判定 ◎;変色なし ○;わずかに灰色に変色 △;灰色に変色 ×;黒色に変色 (II)ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物のペレッ
ト10gを図1に示すような秤量瓶に入れ、その中に銀
板(0.2mm(厚み)×25mm×25mm)を入れ
て150℃,500時間オーブン中で加熱した。その
後、シャーレを室温に冷却し、銀板の腐食度の判定を目
視にて行った。
【0045】判定 ◎;変色なし ○;わずかに灰色に変色 △;灰色に変色 ×;黒色に変色 参考例1 本発明に用いたポリフェニレンスルフィド樹脂(以下P
PSと略す)は、以下のように合成した。15l容量の
オートクレーブに硫化ナトリウムNa2S・2.9H2
1.8モル、N−メチル−2ピロリドン(以下NMPと
略す)4.5kgを入れ、窒素気流下撹拌して200℃
まで昇温し、主に水からなる留出液636gを留去し
た。系を170℃まで冷却した後、p−ジクロルベンゼ
ン1.8モルをNMP1.5kgとともに添加し、窒素
気流下に系を封入、昇温して250℃にて3時間重合を
行った。重合終了後、系を冷却し、内容物を水中に投
入、ポリマーを沈澱させた後、沈澱したポリマーをグラ
スロートで捕集し、約10lの温水で洗浄,濾過を繰り
返し、一晩加熱真空乾燥し、ポリマーを単離した。得ら
れたポリマーは1.85kg、収率95%であり、溶融
粘度(300℃にて直径0.5mm、長さ2mmのダイ
ズを用い、荷重10kgで高化式フローテスターで測定
した値)は250ポイズであった。次に、得られたポリ
マーを空気中250℃に設定したオーブンに入れ、その
まま3時間硬化させ、溶融粘度1400ポイズのPPS
を得た。
【0046】参考例2 <アルミノケイ酸塩の調製>あらかじめ、40℃に保持
した硫酸アルミニウム水溶液(Al23=7.8重量
%,H2SO4=22.5重量%)とケイ酸ナトリウム水
溶液(SiO2=13.0重量%,Na2O=5.4重量
%)とをオーバーフロータイプの反応槽に、それぞれ4
ml/分の速度で供給し、撹拌下で反応させた。このと
きの該反応液スラリーのpHは6.5であった。
【0047】反応が完了したスラリー状生成物は濾過
し、洗浄液中に硫酸イオンが検出されなくなるまで水洗
し、洗浄ケーキを得た。この洗浄ケーキは無定形のアル
ミノケイ酸塩であり、原子吸光光度法で求めた化学組成
はウェットベースで(Na2O=3.1重量%,Al2
3=5.0重量%,SiO2=29.9重量%)であっ
た。この無定形のアルミノケイ酸塩を100℃で乾燥し
た。以下、Na−Gと省略する。
【0048】参考例3 <アルミノケイ酸塩のイオン交換>参考例2で得られた
無定形のアルミノケイ酸塩を硫酸銅,硫酸亜鉛,硫酸ニ
ッケルの各水溶液でイオン交換し、濾過後、硫酸イオン
が検出されなくなるまで水洗し、100℃で乾燥した。
以下、イオン交換後のアルミノケイ酸塩を各々Cu−
G,Zn−G,Ni−Gと省略する。また、ここで下記
の装置,測定条件で測定したCu−GのX線回折パター
ンを図2に示す。
【0049】装置;理学電気製、ガイガーフレックス2
013型、管球1.5kW 測定条件;光源:Cu−Kα線、電圧:40kV、電
流:25mA 実施例1〜3 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、参考例3で調
製したイオン交換したアルミノケイ酸塩及び平均粒子径
0.03μm,BET比表面積51m2/gの微細炭酸
カルシウム(白石工業(株)製)を表1に示す組成で混
合し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−45)
を用い、330℃の温度で押出し造粒を行い、ペレット
を得た。次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾燥し
た後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結果を
表1に示す。
【0050】実施例4 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、参考例3で調
製したイオン交換したアルミノケイ酸塩及び平均粒子径
0.07μm,BET比表面積17m2/gの微細炭酸
カルシウム(白石工業(株)製)を表1に示す組成で混
合し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−45)
を用い、330℃の温度で押出し造粒を行い、ペレット
を得た。次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾燥し
た後、腐蝕性の試験(■),(II)を行った。結果を
表1に示す。
【0051】実施例5 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、参考例3で調
製したイオン交換したアルミノケイ酸塩及び平均粒子径
0.12μm,BET比表面積34m2/gの微細炭酸
亜鉛を表1に示す組成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工
(株)製、PCM−45)を用い、330℃の温度で押
出し造粒を行い、ペレットを得た。
【0052】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0053】比較例1 参考例1のPPSとガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)を表1に示す組
成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−
45)を用い、330℃の温度で押出し造粒を行い、ペ
レットを得た。次に、ペレットを120℃で2時間除湿
乾燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。
結果を表1に示す。
【0054】比較例2 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)及び参考例3で
調製したイオン交換したアルミノケイ酸塩を表1に示す
組成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM
−45)を用い、330℃の温度で押出し造粒を行い、
ペレットを得た。
【0055】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0056】比較例3 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)及び平均粒子径
0.03μm,BET比表面積51m2/gの微細炭酸
カルシウム(白石工業(株)製)を表1に示す組成で混
合し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−45)
を用い、330℃の温度で押出し造粒を行い、ペレット
を得た。
【0057】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0058】比較例4 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)及び平均粒子径
0.12μm,BET比表面積34m2/gの微細炭酸
亜鉛を表1に示す組成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工
(株)製、PCM−45)を用い、330℃の温度で押
出し造粒を行い、ペレットを得た。
【0059】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0060】比較例5 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、参考例3で調
製したイオン交換したアルミノケイ酸塩及び平均粒子径
4.0μm,BET比表面積1.2m2/gの炭酸カル
シウム(白石工業(株)製)を表1に示す組成で混合
し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−45)を
用い、330℃の温度で押出し造粒を行い、ペレットを
得た。
【0061】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0062】比較例6 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、参考例3で調
製したイオン交換したアルミノケイ酸塩及び平均粒子径
2.0μm,BET比表面積7.1m2/gの炭酸亜鉛
を表1に示す組成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工
(株)製、PCM−45)を用い、330℃の温度で押
出し造粒を行い、ペレットを得た。
【0063】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0064】比較例7 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、参考例2で調
製したアルミノケイ酸塩及び平均粒子径0.03μm,
BET比表面積51m2/gの微細炭酸カルシウム(白
石工業(株)製)を表1に示す組成で混合し、二軸押出
機(池貝鉄工(株)製、PCM−45)を用い、330
℃の温度で押出し造粒を行い、ペレットを得た。
【0065】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0066】比較例8 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、参考例2で調
製したアルミノケイ酸塩及び平均粒子径0.12μm,
BET比表面積34m2/gの炭酸亜鉛を表1に示す組
成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−
45)を用い、330℃の温度で押出し造粒を行い、ペ
レットを得た。
【0067】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0068】比較例9 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、平均粒子径
4.0μm,BET比表面積1. 2m2/gの炭酸カル
シウム(白石工業(株)製)を表1に示す組成で混合
し、二軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM−45)を
用い、330℃の温度で押出し造粒を行い、ペレットを
得た。
【0069】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0070】比較例10 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、平均粒子径
2.0μm,BET比表面積7. 1m2/gの炭酸亜鉛
を表1に示す組成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工
(株)製、PCM−45)を用い、330℃の温度で押
出し造粒を行い、ペレットを得た。
【0071】比較例11 参考例1のPPS、ガラス繊維(セントラルガラスファ
イバー(株)製、チョプドストランド)、モルデナイト
型ゼオライト(クニミネ工業社製、SiO2/Al23
モル比10)及び平均粒子径0.03μm,BET比表
面積51m2/gの炭酸カルシウム(白石工業(株)
製)を表1に示す組成で混合し、二軸押出機(池貝鉄工
(株)製、PCM−45)を用い、330℃の温度で押
出し造粒を行い、ペレットを得た。
【0072】次に、ペレットを120℃で2時間除湿乾
燥した後、腐蝕性の試験(I),(II)を行った。結
果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、ポリアレーレンスルフ
ィド樹脂に、イオン交換したアルミノケイ酸塩と微細金
属炭酸塩を配合することにより、腐蝕性が著しく低減し
たポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができる。
【0075】これにより、電気・電子部品など金属腐蝕
性が問題となる分野で広く利用され、工業的価値は高
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜5,比較例1〜11の加熱処理した
樹脂の金属に対する腐蝕性を調べる試験の概略図であ
る。
【図2】参考例3で調製した無定形アルミノケイ酸銅塩
のX線回折パターンを示す図である。
【符号の説明】
1;オーブン 2;秤量瓶 3;シャーレ 4;ハンダメッキを施したリードフレーム又は銀坂 5;試料(PPSペレット)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂10
    0重量部、 (B)下記一般式で示される無定形のアルミノケイ酸塩
    0.1〜10重量部、 MI 2O・Al23・xSiO2IIO・Al23・xSiO2III 23・Al23・xSiO2 (ここで、MI,MII又はMIIIは、Mn,Fe,Co,
    Ni,Cu,Zn,Snの中から選ばれる金属イオン、
    xは2以上の数) (C)平均粒子径0.5μm以下、BET比表面積15
    2/g以上の微細金属炭酸塩0.1〜10重量部及び
    (ここで、金属は、Ca,Mg,Sr,Ba,Zn,L
    iの中から選ばれる) (D)繊維状充填材及び/又は無機充填材0〜300重
    量部からなる樹脂組成物。
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