JPH08283241A - カルバゾール誘導体 - Google Patents

カルバゾール誘導体

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JPH08283241A
JPH08283241A JP7110054A JP11005495A JPH08283241A JP H08283241 A JPH08283241 A JP H08283241A JP 7110054 A JP7110054 A JP 7110054A JP 11005495 A JP11005495 A JP 11005495A JP H08283241 A JPH08283241 A JP H08283241A
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carbazole derivative
strain
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streptomyces
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Haruo Seto
治男 瀬戸
Kazuo Araya
一男 新家
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Nippon Chemiphar Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D209/00Heterocyclic compounds containing five-membered rings, condensed with other rings, with one nitrogen atom as the only ring hetero atom
    • C07D209/56Ring systems containing three or more rings
    • C07D209/80[b, c]- or [b, d]-condensed
    • C07D209/82Carbazoles; Hydrogenated carbazoles
    • C07D209/88Carbazoles; Hydrogenated carbazoles with hetero atoms or with carbon atoms having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. ester or nitrile radicals, directly attached to carbon atoms of the ring system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
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    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P17/00Preparation of heterocyclic carbon compounds with only O, N, S, Se or Te as ring hetero atoms
    • C12P17/10Nitrogen as only ring hetero atom

Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規カルバゾール誘導体、それを生産できる
菌株およびそれを用いた医薬品を提供する。 【構成】 下記式で表わされるカルバゾール誘導体、受
託番号FERM P−14780にて工業技術院生命工
学技術研究所にて寄託された放線菌の菌株およびこのカ
ルバゾール誘導体からなるグルタミン酸毒性の抑制剤ま
たは抗酸化剤。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なカルバゾール誘
導体、それを生産できる菌株、およびそれを用いた医薬
品に関するものである。
【0002】
【発明の背景】L−グルタミン酸は、タンパク質を構成
する天然のアミノ酸の一種であるが、神経細胞に対する
毒性を有していることが知られている。このグルタミン
酸毒性を抑制する作用を有する物質が得られれば、その
物質は脳代謝を賦活したり改善するための医薬として利
用できることが予想される。また、活性酸素が関与する
と考えられる疾患には、炎症、リウマチ関節炎、自己免
疫疾患、放射線による皮膚疾患、パーキンソン氏病、心
臓や脳の虚血障害がある。活性酸素を適切に除去できる
抗酸化剤が得られれば、その抗酸化剤は、これらの疾患
の治療薬として利用できることが予想される。
【0003】ところで、微生物学において知られている
多数の微生物の大部分が、土壌中に生存している。抗生
物質のような有用な物質を生産する微生物、特に放線菌
も、大部分が土壌由来である。土壌中から、新規で有用
な物質を生産する微生物を見出す作業が、従来から続け
られている。例えば、特開平5−201977号公報に
は、ストレプトマイセス属に属する菌株(種はS.イク
スホリエタス)から生産された下記の化合物が開示され
ている。
【0004】
【化5】
【0005】特開平5−201977号公報の記載によ
ると、上記化合物は抗酸化作用を有する。上記化合物
は、Tetrahedron Letters 34, No.31, 4943-4944(1993)
にも記載されている。また、特開平6−32778号公
報には、上記と同じ菌株が生産する下記の類似の化合物
が開示されている。
【0006】
【化6】
【0007】特開平6−32778号公報の記載による
と、上記化合物も抗酸化作用を有している。
【0008】
【発明の要旨】本発明者は、土壌中からストレプトマイ
セス属に属する新しい放線菌の菌株を発見した。この菌
株は、1995年2月22日に工業技術院生命工学工業
技術研究所へ寄託した。受託番号は、FERM P−1
4780である。本発明者が、この菌株について研究を
進めたところ、この菌株は、下記式で表わされる新規な
カルバゾール誘導体を生産することが判明した。
【0009】
【化7】
【0010】上記カルバゾール誘導体について、さらに
研究を進めたところ、この物質は、グルタミン酸毒性の
抑制作用および抗酸化作用を有していることが判明し
た。
【0011】
【発明の具体的な説明】まず、新規なカルバゾール誘導
体について説明する。カルバゾール誘導体は、上記式の
通り、カルバゾール環とシクロヘキセン環とがメチレン
基を介して結合している基本構造を有する。カルバーゾ
ール環の1位に結合している2−ヒドロキシプロピル基
では、2位の炭素原子が不斉炭素になっている。カルバ
ゾール誘導体の物理化学的な性質は以下の通りである。
【0012】 形状: 赤褐色粉末 融点: 157〜158℃ 分子式: C2631NO3 分子量: 406.2394(実測値、HRFAB−MS) 406.2382(計算値)
【0013】上記分子式および分子量は、m−ニトロベ
ンジルアルコールをマトリックスとして用いたFABマ
ススペクトルにおいて決定した。この化合物は、FAB
マススペクトルにおいて、m/z406の(M+H)+
ピークを示した。図1は、紫外−可視吸収スペクトルを
示すグラフである。測定はメタノール中で実施し、走査
速度は120.0nm/分である。バンドパスは、2.
00nmである。このスペクトルの特徴的な吸収から、
この化合物は特開平5−201977号公報記載の化合
物と同様の発色団を有することが示唆された。なお、ア
ルカリ性で極大吸収が長波長側にシフトした。図2は、
赤外吸収スペクトルを示すグラフである。測定は、KB
r錠剤法により実施した。赤外吸収スペクトルにおい
て、キノンカルボニル(1620cm-1,1645cm
-1)、第2級アミン(3230cm-1)および水酸基
(3450cm-1)に由来する吸収が観測された。図3
は、 1H−NMRスペクトルを示すグラフである。測定
は、DMSO−d6 中で実施した。図4は、13C−NM
Rスペクトルを示すグラフである。測定は、DMSO−
6 中で実施した。
【0014】上記カルバゾール誘導体は、今のところ、
本発明者が発見した菌株の培養によってのみしか得られ
ていない。次に、この菌株について説明する。
【0015】1995年2月22日に工業技術院生命工
学工業技術研究所へ寄託した、受託番号FERM P−
14780の菌株は、東京都足立区で採取された土壌試
料から単離されたものである。この菌株は、ストレプト
マイセス属に属する放線菌である。形態としては、基生
菌糸が分断しない。気菌糸は長い主軸を形成し、それよ
り不規則に分岐した先端に、10〜50個またはそれ以
上からなる3〜7回転の螺旋状の胞子鎖を形成する。胞
子は非運動性で、楕円形を呈し、幅0.4乃至0.5μ
m、長さ0.6乃至0.8μmである。また、胞子表面
はとげ状である。菌核、胞子嚢、その他の特殊形態は観
察されない。細胞壁化学型は、I型である。この菌株の
顕微鏡写真を図5(100倍)および図6(約1200
0倍)に示す。なお、図6に示す白いバーの長さは、5
00nmである。次に、菌株を(1)シュクロース・硝
酸塩寒天培地、(2)グルコース・アスパラギン寒天培
地、(3)グリセリン・アスパラギン寒天培地、(4)
無機塩・スターチ寒天培地、(5)チロシン寒天培地、
(6)栄養寒天培地、(7)イースト・麦芽寒天培地お
よび(8)オートミール寒天培地で培養した結果を示
す。上記各種培地上での培養性状を第1表に示す。
【0016】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 培地 集落表面の菌叢色 集落の裏面色 拡散性色素 ──────────────────────────────────── (1) 気菌糸なし 明橙色 なし (2) 緑色系列 明橙色から明赤味橙色 なし (3) 緑色系列 明橙色 なし (4) 緑色系列 淡黄味橙色 なし (5) 緑色系列 赤味茶色 茶味白色 (6) 気菌糸なし 濁赤色 なし (7) 気菌糸なし 淡茶色 なし (8) 緑色系列 淡赤味橙色 なし ────────────────────────────────────
【0017】第1表に示されているように、集落表面の
菌叢色は緑色系列である。また、裏面色は明橙色から明
赤味橙色を呈する。これらの色はpHで変化する。拡散
性色素は、メラニン色素以外は認められなかった。さら
に、生理的性状および炭素源の同化性を下記第2表に示
す。
【0018】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 生理的性状および炭素源の同化性 ──────────────────────────────────── 生育温度範囲 20〜45℃ 最適温度 25〜37℃ メラニン様色素の生産:チロシン寒天培地 ± ペプトン・イースト鉄寒天培地 + トリプトン・イースト・ブロス培地 ± スターチの加水分解 + ゼラチンの液化 − 脱脂牛乳のペプトン化 − 脱脂牛乳の凝固 − 硝酸塩の還元 + 炭素源の同化:D−グルコース + L−アラビノース + D−キシロース + D−フラクトース + シュクロース + L−ラムノース + ラフィノース + −イノシトール + D−マンニット + ────────────────────────────────────
【0019】以上のように、本菌株は中温性であり、炭
素源としては、全ての糖を利用できる。本菌株の形態的
性状と細胞壁化学型から、本菌株はストレプトマイセス
属に位置する。上述の諸性状(胞子鎖形態、胞子表面、
菌叢色、裏面色、拡散性色素、炭素源の同化能等)をも
とに、「細菌名承認リスト、1980」およびそれ以降
の有効名リストに記載されたストレプトマイセス属の種
について検索し、近縁種を選出した。ストレプトマイセ
ス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromoge
nes)の診断性状を選択すると、下記第3表に示すよう
に、本菌株とストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス
の性状は、裏面色および拡散性色素以外は、よく一致し
ている。
【0020】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 比較項目 本菌株 ストレプトマイセス・ ビリドクロモゲネス ──────────────────────────────────── 胞子鎖形態:螺旋状 + + 胞子表面: とげ状 + + 菌叢色: 緑色 + + 裏面色: 不鮮明色 + − 赤/橙色 + − 緑色 − + pH感受性 + + 拡散性色素:産生 − + pH感受性 + + メラニン色素産生 + + スターチの加水分解 + + 硝酸塩の還元 + + 生育温度:10℃ − − 37℃ + + 45℃ + + 炭素源の同化能:アラビノース + + キシロース + + イノシトール + + マンニット + + ラムノース + + ラフィノース + + シュクロース + ± ────────────────────────────────────
【0021】以上のように、本菌株は、ストレプトマイ
セス・ビリドクロモゲネスが最も近似であるので、その
種名で寄託した。寄託した菌株の表示(寄託者が付した
識別のための表示)は、2942−SVS3である。前
述したカルバゾール誘導体は、本菌株のような生産菌を
適当な培地で好気的に培養して、培養物から目的物を採
取することにより製造できる。培地は、カルバゾール誘
導体生産菌が利用できる栄養源から構成する。炭素源と
しては、グリセロールが好ましい。窒素源としては、モ
ラセス、カゼインおよびポリペプトンが好ましく利用で
きる。また、必要に応じて無機塩類を添加することがで
きる。醗酵中の発泡を抑制するために、適当な消泡剤
(例、シリコーン)を添加してもよい。
【0022】カルバゾール誘導体の大量生産には、好気
的深部培養条件を採用することが好ましい。この条件
は、他の一般的な生物活性物質の大量生産のための培養
条件と同様である。少量生産の場合は、フラスコ内での
振盪培養を採用することができる。また、ジャー・ファ
ーメンターを用いて培養してもよい。その場合、生産過
程における生育遅延を避けるために、醗酵槽への接種に
は、微生物の栄養細胞を用いることが好ましい。このた
めには、比較的少量の培地に微生物の細胞を接種し、該
接種培地を培養して微生物の栄養細胞を生産し、次に培
養した栄養細胞を醗酵槽に移すことが好ましい。栄養細
胞を生産するための培地は、カルバゾール誘導体を生産
するための培地と異なるものであってもよい。
【0023】培養混合物の攪拌および通気は、通常の方
法で実施できる。攪拌には、プロペラまたは類似の機械
的攪拌装置を用いることができる。醗酵槽の回転または
振盪により攪拌してもよい。通気には、種々のポンプ装
置を用いることができる。また、培地に滅菌空気を通す
ことにより通気してもよい。醗酵温度は、一般に10乃
至40℃、好ましくは20乃至30℃である。醗酵時間
は、一般に50乃至200時間である。醗酵時間は、醗
酵条件および規模に応じて変化する。醗酵が完了後、種
々の慣用的な回収および精製方法により、培養液からカ
ルバゾール誘導体を回収できる。回収方法としては、溶
媒抽出、クロマトグラフィーあるいは再結晶化が採用で
きる。溶媒抽出および再結晶化では、カルバゾール誘導
体に適当な溶媒を用いる。二種類以上の溶媒を併用して
もよい。
【0024】カルバゾール誘導体は、一般に培養菌体成
分中に見出される。従って、培養液を遠心あるいは濾過
して得られた菌体を適当な溶媒で抽出してから、カルバ
ゾール誘導体の精製処理を実施することが好ましい。溶
媒としては、アセトンやメタノールを用いることができ
る。カルバゾール誘導体の精製は、抽出液を慣用的な方
法に従って処理することにより実施できる。例えば、抽
出液から蒸発あるいは蒸留によって溶媒を除去した後、
適当な溶媒(例、酢酸エチル)で再抽出、乾固を繰り返
し、カルバゾール誘導体を含有する残留物を得ることが
できる。これを粗標品として、慣用的な精製方法、例え
ば、シリカゲルクロマトグラフィーやHPLC分取を行
ない、カルバゾール誘導体を精製することができる。
【0025】本菌株以外の微生物についても、通常の方
法によって、カルバゾール誘導体生産株を、自然界から
分離することが可能である。具体的には、抗生物質生産
菌の単離方法と同様に実施できる。また、本菌株に、放
射線照射や他の突然変異を誘発する処理を実施して、カ
ルバゾール誘導体の生産性を向上させてもよい。カルバ
ゾール誘導体の生合成は、放線菌が生産する抗生物質と
同様に、多くの遺伝子が関与すると推定される。遺伝子
組替え技術の発達に伴い、このような物質の生合成につ
いても、遺伝子操作が可能になっている。このため、こ
の菌株のカルバゾール誘導体の生合成に関与する遺伝子
を、他の菌株に導入して、得られた形質転換株にカルバ
ゾール誘導体を生産させることもできる。
【0026】以上のように得られたカルバゾール誘導体
は、グルタミン酸毒性の抑制作用を示す。また、カルバ
ゾール誘導体は、抗酸化作用も有する。従って、本発明
のカルバゾール誘導体は、グルタミン酸毒性の抑制剤ま
たは抗酸化剤として有用である。本発明のカルバゾール
誘導体のグルタミン酸毒性の抑制作用は、従来知られて
いる化合物よりも強く、10数nMでグルタミン酸毒性
を50%程度抑制することができる。公知のグルタミン
酸毒性の抑制作用を示す化合物は、軽度の脳虚血による
神経細胞死を抑制し、脳代謝を賦活する。従って、本発
明のカルバゾール誘導体も、脳梗塞や脳血管性痴呆症の
ような脳虚血障害に対する治療薬として有効である。グ
ルタミン酸は、様々な機構により毒性を発現することが
示唆されているが、いずれの系においても活性酸素のよ
うなフリーラジカルが発現に関与するとされている。こ
のため、ビタミンEのような抗酸化剤がグルタミン酸毒
性を抑制することが知られている。本発明のカルバゾー
ル誘導体も、同様な抗酸化作用を示す。従って、本発明
のカルバゾール誘導体は、活性酸素が関与する疾患、例
えば炎症、関節リウマチ、自己免疫疾患の治療薬として
も有効である。
【0027】
【実施例】
[実施例1] 「醗酵」スターチ(1%)、ポリペプトン(1%)、肉
エキス(1%)およびモラセス(1%)を含有する培地
(pH:7.0)15mlを分注した試験管に、ストレ
プトマイセス・ビリドクロモゲネス2942−SVS3
株の斜面培養1白金耳を接種し、27℃で2〜3日間振
盪培養を行なった。次いで、この前培養物2mlずつ
を、スターチ(2.5%)、大豆ミール(1.5%)、
乾燥酵母(0.2%)および炭酸カルシウム(0.4
%)を含有する培地100mlを分注した、こぶ付き5
00ml三角フラスコに接種し、27℃で5日間回転培
養を行なった。
【0028】「単離と精製」培養液2リットルを遠心分
離し、得られた菌体に600mlのアセトンを加えて抽
出した。アセトンを留去し、濃縮液を150mlの酢酸
エチルにて2回抽出した。有機相を濃縮し油状の濃縮液
を得た。この濃縮物を20mlのクロロホルムに溶解
し、120mlのn−ヘキサンを添加した。沈澱画分を
クロロホルム/メタノール(=50/1)溶媒にて、シ
リカゲルカラム(3φ×30cm)クロマトグラフィー
を行なった。さらに活性成分を濃縮乾固した後、メタノ
ールに溶解し、逆相シリカゲルカラム(Senshu Pak. PE
GASIL ODS 、20φ×250mm)を用いて、90%メ
タノールの溶媒系にてHPLC分取を行ない、本発明の
カルバゾール誘導体を、4mgの赤褐色粉末として得
た。
【0029】[実施例2] 「神経細胞に対するグルタミン酸毒性抑制効果」グルタ
ミン酸毒性抑制試験では、マウス神経芽細胞腫とラット
網膜神経細胞とのハイブリドーマ(N18−RE−10
5細胞)を用いた。このハイブリドーマに、高濃度のグ
ルタミン酸(1〜10mM)を添加するとシスチンの細
胞内取り込み阻害による酸化的ストレスによる細胞死が
認められる(Neuron 2, 1547(1989)およびJ. Pharmaco
l. Exp. Ther, 250, 1132(1989)参照)。このグルタミ
ン酸誘発細胞死に対する本発明のカルバゾール誘導体の
作用を調べた。10%FCSおよびHAT(hypoxanthi
ne 0.1mM、aminopterin 40nM、thymidine
0.14mM、シグマ社製)を含むダルベッコ変法ME
M培地を入れた96穴マイクロプレートに6.25×1
3 cells/cm3 となるようにハイブリドーマ細胞を接種
した。24時間後、10mMグルタミン酸と本発明のカ
ルバゾール誘導体を添加した。グルタミン酸添加後、さ
らに24時間培養したのち、細胞および培地中に含まれ
ている乳酸脱水素酵素(LDH)活性を測定した。下記
式のようにLDH放出率を計算して、グルタミン酸毒性
を評価した。
【0030】
【数1】LDH放出率={培地内LDH活性/(細胞内
+培地内LDH活性)}×100
【0031】測定結果を図7に示す。図7は、横軸を本
発明のカルバゾール誘導体の濃度、縦軸をLDH放出率
として、測定結果をプロットしたグラフである。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明のカルバゾール誘
導体は、グルタミン酸毒性の抑制作用および抗酸化作用
を示す。従って、本発明のカルバゾール誘導体は、グル
タミン酸毒性の抑制剤または抗酸化剤としての効果を有
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】紫外−可視吸収スペクトルを示すグラフであ
る。
【図2】赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】1H−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図4】13C−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図5】菌株の顕微鏡写真(100倍)である。
【図6】菌株の顕微鏡写真(約12000倍)である。
【図7】グルタミン酸毒性の測定結果を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 1/20 8828−4B C12N 1/20 A // C12P 17/10 C12P 17/10 (C12N 1/20 C12R 1:465) (C12P 17/10 C12R 1:465)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式で表わされるカルバゾール誘導
    体。 【化1】
  2. 【請求項2】 ストレプトマイセス属に属し、下記式で
    表わされるカルバゾール誘導体を生産する能力を有する
    放線菌の菌株。 【化2】
  3. 【請求項3】 ストレプトマイセス属に属し、受託番号
    FERM P−14780にて工業技術院生命工学工業
    技術研究所に寄託された放線菌の菌株。
  4. 【請求項4】 ストレプトマイセス属に属し、受託番号
    FERM P−14780にて工業技術院生命工学工業
    技術研究所に寄託された放線菌の菌株から生産され、哺
    乳類の神経細胞に対するL−グルタミン酸の毒性を抑制
    する作用を有する物質。
  5. 【請求項5】 下記式で表わされるカルバゾール誘導体
    からなるグルタミン酸毒性の抑制剤。 【化3】
  6. 【請求項6】 下記式で表わされるカルバゾール誘導体
    からなる抗酸化剤。 【化4】
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