JPH08198889A - ジヒドロフェナジン化合物 - Google Patents

ジヒドロフェナジン化合物

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JPH08198889A
JPH08198889A JP3148295A JP3148295A JPH08198889A JP H08198889 A JPH08198889 A JP H08198889A JP 3148295 A JP3148295 A JP 3148295A JP 3148295 A JP3148295 A JP 3148295A JP H08198889 A JPH08198889 A JP H08198889A
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Haruo Seto
治男 瀬戸
Kazuo Araya
一男 新家
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Nippon Chemiphar Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規ジヒドロフェナジン化合物およびそれを
用いた医薬品を提供する。 【構成】 下記式で表わされるジヒドロフェナジン化合
物およびこのジヒドロフェナジン化合物からなるグルタ
ミン酸毒性の抑制剤または抗酸化剤。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なジヒドロフェナ
ジン化合物およびそれを用いた医薬品に関するものであ
る。
【0002】
【発明の背景】L−グルタミン酸は、タンパク質を構成
する天然のアミノ酸の一種であるが、神経細胞に対する
毒性を有していることが知られている。このグルタミン
酸毒性を抑制する作用を有する物質が得られれば、その
物質は脳代謝を賦活したり改善するための医薬として利
用できることが予想される。また、活性酸素が関与する
と考えられる疾患には、炎症、リウマチ関節炎、自己免
疫疾患、放射線による皮膚疾患、パーキンソン氏病、心
臓や脳の虚血障害がある。活性酸素を適切に除去できる
抗酸化剤が得られれば、その抗酸化剤は、これらの疾患
の治療薬として利用できることが予想される。
【0003】ところで、微生物学において知られている
多数の微生物の大部分が、土壌中に生存している。抗生
物質のような有用な物質を生産する微生物、特に放線菌
も、大部分が土壌由来である。土壌中から、新規で有用
な物質を生産する微生物を見出す作業が、従来から続け
られている。例えば、特開昭64−22861号公報に
は、ストレプトマイセス属に属する菌株から生産された
下記の化合物が開示されている。
【0004】
【化4】
【0005】特開昭64−22861号公報の記載によ
ると、上記化合物は、スーパーオキサイドを除去する作
用を有する。また、Tetrahedron Letters 32, No.7, 94
3-946(1991) には、ストレプトマイセス属に属する菌株
から生産された下記の化合物が開示されている。
【0006】
【化5】
【0007】上記RはHまたはCH3 である。上記論文
の記載によると、上記化合物は、ビタミンEのようなラ
ジカルのスカベンジャーとしての機能を示す。
【0008】
【発明の要旨】本発明者は、土壌中からストレプトマイ
セス属に属する新しい放線菌の菌株を発見した。この菌
株は、1994年12月22日に工業技術院生命工学工
業技術研究所へ寄託した。受託番号は、FERM P−
14717である。本発明者が、この菌株について研究
を進めたところ、この菌株は、下記式で表わされる新規
なジヒドロフェナジン化合物を生産することが判明し
た。
【0009】
【化6】
【0010】上記ジヒドロフェナジン化合物について、
さらに研究を進めたところ、この物質は、グルタミン酸
毒性の抑制作用および抗酸化作用を有していることが判
明した。
【0011】
【発明の具体的な説明】まず、新規なジヒドロフェナジ
ン化合物について説明する。化学構造は、上記式の通
り、ピラノース構造を有するα−L−ラムノースの1位
の水酸基と、カルボキシルジヒドロフェナジン化合物の
カルボキシル基とがエステル結合している。なお、この
エステル結合は、加水分解および再結合が可能である。
従って、この化合物をα−L−ラムノースとカルボキシ
ルジヒドロフェナジン化合物とに分解し、分解産物であ
るカルボキシルジヒドロフェナジン化合物と他の糖とを
エステル結合させて、他の種類のジヒドロフェナジン化
合物を合成することもできる。ジヒドロフェナジン化合
物の物理化学的な性質は以下の通りである。
【0012】形状: オレンジ色粉末 融点: 59.0〜61.0℃ 比旋光度:[α]D 20 =−106.3°(=0.00
5,MeOH) 分子式: C313227 分子量: 544.2211(実測値、HRFAB−M
S) 544.2209(計算値) 溶解性: MeOH、CH3 Cl、DMSO、アセトン
に可溶 ヘキサンに不溶
【0013】上記分子式および分子量は、m−ニトロベ
ンジルアルコールをマトリックスとして用いたFABマ
ススペクトルにおいて決定した。この化合物は、FAB
マススペクトルにおいて、m/z544の(M)+ ピー
クを示した。図1は、紫外−可視吸収スペクトルを示す
グラフである。測定はメタノール中で実施し、走査速度
は120.0nm/分である。バンドパスは、2.00
nmである。図1に示されるように、229nm(28
900)、245nm(27400)、296nm(2
6000)、367nm(4000)および490nm
(11700)に吸収ピークが存在する。酸およびアル
カリによる吸収ピークの変化は見られなかった。図2
は、赤外吸収スペクトルを示すグラフである。測定は、
KBr錠剤法により実施した。赤外吸収スペクトルにお
いて、水酸基(3450cm-1)、第2級アミン(33
30cm-1)、ケトン(1680cm-1)およびエステ
ル(1680cm-1,1260cm-1)に由来する吸収
が観測された。図3は、 1H−NMRスペクトルを示す
グラフである。測定は、500MHzで、重アセトン中
で実施した。図4は、13C−NMRスペクトルを示すグ
ラフである。測定は、500MHzで、重アセトン中で
実施した。
【0014】なお、薄層クロマトグラフィー(クロロホ
ルム/メタノール=10/1)のRf値は、0.42で
あった。上記ジヒドロフェナジン化合物は、今のとこ
ろ、本発明者が発見した菌株の培養によってのみしか得
られていない。次に、この菌株について説明する。
【0015】1994年12月22日に工業技術院生命
工学工業技術研究所へ寄託した、受託番号FERM P
−14717の菌株は、東京都文京区で採取された土壌
見本から単離されたものである。この菌株は、ストレプ
トマイセス属に属する放線菌である。形態としては、基
生菌糸が分断しない。気菌糸は短い主軸を形成し、それ
より不規則に直状または曲状に長く分岐し、10〜50
個またはそれ以上の胞子鎖を形成する。胞子は非運動性
で、円筒形あるいは長楕円形を呈し、幅0.5乃至0.
8μmである。また、胞子表面は平滑である。菌核、胞
子嚢、その他の特殊形態は観察されない。細胞壁化学型
は、I型である。この菌株の顕微鏡写真を図5(100
倍)および図6(約12000倍)に示す。なお、図6
に示す白いバーの長さは、500nmである。次に、菌
株を(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地、(2)グル
コース・アスパラギン寒天培地、(3)グリセリン・ア
スパラギン寒天培地、(4)無機塩・スターチ寒天培
地、(5)チロシン寒天培地、(6)栄養寒天培地、
(7)イースト・麦芽寒天培地および(8)オートミー
ル寒天培地で培養した結果を示す。上記各種培地上での
培養性状を第1表に示す。
【0016】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 培地 集落表面の菌叢色 集落の裏面色 拡散性色素 ──────────────────────────────────── (1)灰色系列 (d) 明茶味灰色 (5cb) なし (2)灰色系列 (3fe) 暗茶色 (6pl〜6pn) 淡橙色 (5ca) (3)灰色系列 (d) 暗赤味茶色から暗茶色(6pl〜6pn) 淡橙色 (4ea) (4)灰色系列(3fe〜5fe) 暗茶色 (6nl) 淡赤色(6l/2gc) (5)灰色系列 (5fe) 暗赤味橙色 (6le) 桃味白色 (5cb) (6)気菌糸なし 明茶味灰色 (3ec〜3dc) なし (7)灰色系列 (5fe) 茶色から暗茶色 (5ni〜5pn) 暗橙色 (5ic) (8)灰色系列(3fe〜5fe) 灰味赤茶色 (6l/2ni) 淡赤色 (7gc) ──────────────────────────────────── 註:かっこ内は、カラー・ハーモニー・マニュアル(コンテナー・コーポレーシ ョン・オブ・アメリカ、1950)の色標コードを示す。
【0017】第1表に示されているように、集落表面の
菌叢色は灰色系列である。また、裏面色は暗赤味茶色お
よび暗茶色を呈する。拡散性色素は、淡橙色から淡赤色
や暗橙色が認められる。これらの色素の色相は、pHの
変動では変化しなかった。さらに、生理的性状および炭
素源の同化性を下記第2表に示す。
【0018】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 生理的性状および炭素源の同化性 ──────────────────────────────────── 生育温度範囲 20〜37℃ 最適温度 30〜37℃ メラニン様色素の生産:チロシン寒天培地 + ペプトン・イースト鉄寒天培地 + トリプトン・イースト・ブロス培地 + スターチの加水分解 + ゼラチンの液化 + 脱脂牛乳のペプトン化 + 脱脂牛乳の凝固 − 硝酸塩の還元 + 炭素源の同化:D−グルコース + L−アラビノース + D−キシロース + D−フラクトース − シュクロース − L−ラムノース − ラフィノース − −イノシトール − D−マンニット + ────────────────────────────────────
【0019】以上のように、本菌株は中温性であり、炭
素源の同化能としては、グルコース、アラビノース、キ
シロース、マンニットを利用する。本菌株の形態的性状
と細胞壁化学型から、本菌株はストレプトマイセス属に
位置する。上述の諸性状(胞子鎖形態、胞子表面、菌叢
色、裏面色、拡散性色素、炭素源の同化能等)をもと
に、「細菌名承認リスト、1980」およびそれ以降の
有効名リストに記載されたストレプトマイセス属の種に
ついて検索し、近縁種を選出した。ストレプトマイセス
・パーペオフスカス(Streptomyces purpeofuscus) の診
断性状を選択すると、下記第3表に示すように、本菌株
とストレプトマイセス・パーペオフスカスの性状は、炭
素源の同化能(マンニットのみ異なる)以外は、よく一
致している。
【0020】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 比較項目 本菌株 ストレプトマイセス・ パーペオフスカス ──────────────────────────────────── 胞子鎖形態:直状または曲状 + + 胞子表面: 平滑 + + 菌叢色: 灰色 + + 裏面色: 赤/橙色 + + pH感受性 − − 拡散性色素:産生 + + pH感受性 − − メラニン色素産生 + + スターチの加水分解 + + 硝酸塩の還元 + + 生育温度:10℃ − − 37℃ + + 45℃ + + 炭素源の同化能:アラビノース + + キシロース + + イノシトール − − マンニット + − ラムノース − − ラフィノース − − シュクロース − − フラクトース − − ガラクトース + + ────────────────────────────────────
【0021】以上のように、本菌株は、ストレプトマイ
セス・パーペオフスカスが最も近似であるので、その種
名で寄託した。寄託した菌株の表示(寄託者が付した識
別のための表示)は、2887−SVS2である。前述
したジヒドロフェナジン化合物は、本菌株のような生産
菌を適当な培地で好気的に培養して、培養物から目的物
を採取することにより製造できる。培地は、ジヒドロフ
ェナジン化合物生産菌が利用できる栄養源から構成す
る。炭素源としては、グリセロールが好ましい。窒素源
としては、モラセス、カゼインおよびポリペプトンが好
ましく利用できる。また、必要に応じて無機塩類を添加
することができる。醗酵中の発泡を抑制するために、適
当な消泡剤(例、シリコーン)を添加してもよい。
【0022】ジヒドロフェナジン化合物の大量生産に
は、好気的深部培養条件を採用することが好ましい。こ
の条件は、他の一般的な生物活性物質の大量生産のため
の培養条件と同様である。少量生産の場合は、フラスコ
内での振盪培養を採用することができる。また、ジャー
・ファーメンターを用いて培養してもよい。その場合、
生産過程における生育遅延を避けるために、醗酵槽への
接種には、微生物の栄養細胞を用いることが好ましい。
このためには、比較的少量の培地に微生物の細胞を接種
し、該接種培地を培養して微生物の栄養細胞を生産し、
次に培養した栄養細胞を醗酵槽に移すことが好ましい。
栄養細胞を生産するための培地は、ジヒドロフェナジン
化合物を生産するための培地と異なるものであってもよ
い。
【0023】培養混合物の攪拌および通気は、通常の方
法で実施できる。攪拌には、プロペラまたは類似の機械
的攪拌装置を用いることができる。醗酵槽の回転または
振盪により攪拌してもよい。通気には、種々のポンプ装
置を用いることができる。また、培地に滅菌空気を通す
ことにより通気してもよい。醗酵温度は、一般に10乃
至40℃、好ましくは20乃至30℃である。醗酵時間
は、一般に50乃至200時間である。醗酵時間は、醗
酵条件および規模に応じて変化する。醗酵が完了後、種
々の慣用的な回収および精製方法により、培養液からジ
ヒドロフェナジン化合物を回収できる。回収方法として
は、溶媒抽出、クロマトグラフィーあるいは再結晶化が
採用できる。溶媒抽出および再結晶化では、ジヒドロフ
ェナジン化合物に適当な溶媒を用いる。二種類以上の溶
媒を併用してもよい。
【0024】ジヒドロフェナジン化合物は、一般に培養
菌体成分中に見出される。従って、培養液を遠心あるい
は濾過して得られた菌体を適当な溶媒で抽出してから、
ジヒドロフェナジン化合物の精製処理を実施することが
好ましい。溶媒としては、アセトンやメタノールを用い
ることができる。ジヒドロフェナジン化合物の精製は、
抽出液を慣用的な方法に従って処理することにより実施
できる。例えば、抽出液から蒸発あるいは蒸留によって
溶媒を除去した後、適当な溶媒(例、酢酸エチル)で再
抽出、乾固を繰り返し、ジヒドロフェナジン化合物を含
有する残留物を得ることができる。これを粗標品とし
て、慣用的な精製方法、例えば、シリカゲルクロマトグ
ラフィーやHPLC分取を行ない、ジヒドロフェナジン
化合物を精製することができる。
【0025】本菌株以外の微生物についても、通常の方
法によって、ジヒドロフェナジン化合物生産株を、自然
界から分離することが可能である。具体的には、抗生物
質生産菌の単離方法と同様に実施できる。また、本菌株
に、放射線照射や他の突然変異を誘発する処理を実施し
て、ジヒドロフェナジン化合物の生産性を向上させても
よい。ジヒドロフェナジン化合物の生合成は、放線菌が
生産する抗生物質と同様に、多くの遺伝子が関与すると
推定される。遺伝子組替え技術の発達に伴い、このよう
な物質の生合成についても、遺伝子操作が可能になって
いる。このため、この菌株のジヒドロフェナジン化合物
の生合成に関与する遺伝子を、他の菌株に導入して、得
られた形質転換株にジヒドロフェナジン化合物を生産さ
せることもできる。
【0026】以上のように得られたジヒドロフェナジン
化合物は、グルタミン酸毒性の抑制作用を示す。また、
ジヒドロフェナジン化合物は、抗酸化作用も有する。従
って、本発明のジヒドロフェナジン化合物は、グルタミ
ン酸毒性の抑制剤または抗酸化剤として有用である。本
発明のジヒドロフェナジン化合物のグルタミン酸毒性の
抑制作用は、従来知られている化合物よりも強く、十数
nMでグルタミン酸毒性を50%程度抑制することがで
きる。公知のグルタミン酸毒性の抑制作用を示す化合物
は、軽度の脳虚血による神経細胞死を抑制し、脳代謝を
賦活する。従って、本発明のジヒドロフェナジン化合物
も、脳梗塞や脳血管性痴呆症のような脳虚血障害に対す
る治療薬として有効である。グルタミン酸は、様々な機
構により毒性を発現することが示唆されているが、いず
れの系においても活性酸素のようなフリーラジカルが発
現に関与するとされている。このため、ビタミンEのよ
うな抗酸化剤がグルタミン酸毒性を抑制することが知ら
れている。本発明のジヒドロフェナジン化合物も、同様
な抗酸化作用を示す。従って、本発明のジヒドロフェナ
ジン化合物は、活性酸素が関与する疾患、例えば炎症、
関節リウマチ、自己免疫疾患の治療薬としても有効であ
る。
【0027】
【実施例】
[実施例1] 「醗酵」スターチ(1%)、ポリペプトン(1%)およ
び肉エキス(1%)を含有するPCI培地(滅菌前pH
7.0)15mlを分注した試験管に、ストレプトマイ
セス・パーペオフスカス2887−SVS2株の斜面培
養1白金耳を接種し、27℃で3日間振盪培養を行なっ
た。次いで、この前培養物2mlを、グリセリン(2
%)、モラセス(1%)、カゼイン(0.5%)、ポリ
ペプトン(0.1%)および炭酸カルシウム(0.4
%)を含有する培地100mlを分注した、こぶ付き5
00ml三角フラスコ6本に接種し、27℃で2日間振
盪培養を行なった。以上のように調製した種600ml
をグリセリン(2%)、モラセス(1%)、カゼイン
(0.5%)、ポリペプトン(0.1%)および炭酸カ
ルシウム(0.4%)を含有する生産培地30リットル
に接種した。培養は、ジャー・ファーメンターにて、毎
分30リットルの通気と400rpmの攪拌を行ないな
がら、27℃で3日間醗酵を行なった。
【0028】「単離と精製」培養液30リットルを遠心
分離し、得られた菌体を等量のアセトンにて抽出した。
アセトンを濃縮除去後、pH3.0の条件で酢酸エチル
にて抽出した。有機相を減圧濃縮したのち、ヘキサンで
洗浄後、不溶性画分をシリカゲルクロマトグラフィー
(WAKOGEL C-100 、500ml)に付した。カラムをヘ
キサン/酢酸エチル=2/1(1.5リットル)で洗
い、クロロホルム/メタノール=20/1(1.5リッ
トル)にて溶出した。活性画分を集め、減圧濃縮したの
ち、逆相シリカゲルカラム(Senshu ODS-SS-1020-T、5
00ml)に付し、90%メタノールにて溶出した。得
られた活性画分を減圧濃縮したのち、逆相シリカゲルカ
ラム(Senshu Pak. PEGASIL ODS 、直径20mm×25
0mm)を用いて、85%メタノールの溶媒系にてHP
LC分取を行なった。活性ピークを減圧濃縮して、本発
明のジヒドロフェナジン化合物を、赤色粉末として30
mgを得た。
【0029】[実施例2] 「神経細胞に対するグルタミン酸毒性抑制効果」グルタ
ミン酸毒性抑制試験では、マウス神経芽細胞腫とラット
網膜神経細胞とのハイブリドーマ(N18−RE−10
5細胞)を用いた。このハイブリドーマに、高濃度のグ
ルタミン酸(1〜10mM)を添加するとシスチンの細
胞内取り込み阻害による酸化的ストレスによる細胞死が
認められる(Neuron 2, 1547(1989)およびJ. Pharmaco
l. Exp. Ther, 250, 1132(1989)参照)。このグルタミ
ン酸誘発細胞死に対する本発明のジヒドロフェナジン化
合物の作用を調べた。10%FCSおよびHAT(hypo
xanthine 0.1mM、aminopterin 40nM、thymid
ine 0.14mM、シグマ社製)を含むダルベッコ変法
MEM培地を入れた96穴マイクロプレートに6.25
×103 cells/cm3 となるようにハイブリドーマ細胞を
接種した。24時間後、10mMグルタミン酸と本発明
のジヒドロフェナジン化合物を添加した。グルタミン酸
添加後、さらに24時間培養したのち、細胞および培地
中に含まれている乳酸脱水素酵素(LDH)活性を測定
した。下記式のようにLDH放出率を計算して、グルタ
ミン酸毒性を評価した。
【0030】
【数1】LDH放出率={培地内LDH活性/(細胞内
+培地内LDH活性)}×100
【0031】測定結果を図7に示す。図7は、横軸を本
発明のジヒドロフェナジン化合物の濃度、縦軸をLDH
放出率として、測定結果をプロットしたグラフである。
【0032】
【発明の効果】本発明のジヒドロフェナジン化合物は、
グルタミン酸毒性の抑制作用および抗酸化作用を示す。
従って、本発明のジヒドロフェナジン化合物は、グルタ
ミン酸毒性の抑制剤または抗酸化剤としての効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】紫外−可視吸収スペクトルを示すグラフであ
る。
【図2】赤外吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】1H−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図4】13C−NMRスペクトルを示すグラフである。
【図5】菌株の顕微鏡写真(100倍)である。
【図6】菌株の顕微鏡写真(約12000倍)である。
【図7】グルタミン酸毒性の測定結果を示すグラフであ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式で表わされるジヒドロフェナジン
    化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】 下記式で表わされるジヒドロフェナジン
    化合物からなるグルタミン酸毒性の抑制剤。 【化2】
  3. 【請求項3】 下記式で表わされるジヒドロフェナジン
    化合物からなる抗酸化剤。 【化3】
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