JPH082827B2 - パラヒドロキシベンズアルデヒドの製造法 - Google Patents

パラヒドロキシベンズアルデヒドの製造法

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JPH082827B2
JPH082827B2 JP25553687A JP25553687A JPH082827B2 JP H082827 B2 JPH082827 B2 JP H082827B2 JP 25553687 A JP25553687 A JP 25553687A JP 25553687 A JP25553687 A JP 25553687A JP H082827 B2 JPH082827 B2 JP H082827B2
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融 徳丸
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完治 西沢
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はパラヒドロキシベンズアルデヒドの改良され
た製造法に関する。
<従来の技術及びその問題点> パラヒドロキシベンズアルデヒドは有機化学工業の広
い分野における原料化合物として重要であり、その製造
法についても、たとえばパラクレゾール又はパラクレゾ
ール含有混合物をコバルト化合物および塩基の存在下、
溶媒中で酸素または酸素含有ガスで酸化する方法(特開
昭55−81832号公報)がよく知られている。
しかるに、同公報では、(1)酸素および酸素含有ガ
スの圧力は特に制限はないが、通常は1気圧以上100気
圧以下であること、(2)酸素含有ガスにおける酸素の
含有率については特に制限はないが、操作の安全性や反
応の速度を考慮して適当な値が決定されるとの記載があ
ること、(3)実施例としては空気・1気圧の一例(実
施例−15)を除き、全て酸素ガス雰囲気下1気圧で行わ
れている。
しかし、工業的に実施する際には、安全面よりみて、
溶媒蒸気との混合系で爆発しない限界酸素濃度以下で
行うか、酸素含有ガスとの混合系で爆発しない限界溶
媒濃度以下で行うか、 のどちらかで行なう必要がある。
即ち、前者は酸素又は酸素含有ガスをパラクレゾール
の酸化反応速度に対して導入し、気相部の酸素濃度を爆
発下限界濃度以下に保って、酸化反応を行なう方法であ
り、後者は気相部の溶媒濃度を爆発下限界濃度以下に保
って酸化反応を行なう方法である。
例えば、酸素源として空気を使用する場合には、実用
的に酸化反応圧力を高くして溶媒濃度を低下させ、爆発
範囲外で酸化反応を行なうことになるが、この方法では
酸素分圧が高くなり、パラヒドロキシベンズアルデヒド
収率が激減したり、反応速度が予想外に遅くなり、実用
に耐えないことが明らかとなった。更に、前記特開昭55
−81832号公報では、酸化反応時の撹拌については特別
に言及されていないが、実施例−14に1000rpmで高速撹
拌すると記載されており、この実施例から撹拌動力を50
φアンカー羽根として計算すると、約20kw/m3となり、
工業的な規模で実施する場合は電力代が高くなり、決し
て経済的な方法と言えない。又、この反応方式は表面吸
収反応であり、スケールアップしていくと単位反応マス
当りの表面積を充分に得ることが出来ず、工業的には実
施困難である。
一般に酸化反応の工業化にあたっては、種々の因子が
錯綜し、経済的で工業化可能な方法を確立するには、多
くの困難を伴なうものである。
<問題点を解決するための手段> 本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、パラクレゾール
又はパラクレゾール含有混合物をコバルト化合物および
塩基の存在下、溶媒中で酸素または酸素含有ガスで酸化
するにあたっては、酸化反応容器、気相部の酸素濃度、
酸素分圧、撹拌動力、更には液深が重要な因子であるこ
とを見い出し、これらを適正な条件に保つことによっ
て、より有利な工業化への道を拓き、本発明を完成する
に至った。
即ち、本発明は、パラクレゾールまたはパラクレゾー
ル含有混合物を、コバルト化合物および塩基の存在下、
溶媒中で酸素または酸素含有ガスで酸化するパラヒドロ
キシベンズアルデヒドの製造法において、 (1) 酸化反応容器として、通気撹拌槽型式、撹拌翼
の回転により中空撹拌軸を経由して反応器空間部の気体
を液底部に吸い込み循環する反応槽または反応槽底部の
液をポンプにより循環する反応槽を用いること (2) 気相部の酸素濃度を0.1〜12%になる様に酸素
または酸素含有ガスを導入すること (3) 平均酸素分圧を0.1〜2atmの範囲内で行うこと (4) 撹拌動力を1.5〜10kw/m3の条件下で行なうこと (5) 液深を0.2〜10mの条件下で行なう ことを特徴とするパラヒドロキシベンズアルデヒドの
製造法である。
以下本発明の態様について各項目毎に分けて説明す
る。
本発明の方法における酸化反応容器としては、(1)
通気撹拌槽型式、(2)の撹拌翼の回転により、中空撹
拌軸を経由して、反応器空間部の気体を液底部に吸い込
み循環する反応槽または(3)反応槽底部の液をポンプ
循環する反応槽が用いられ、具体的には、(1)として
は気液撹拌槽型、多段翼槽型などが挙げられ、(2)と
しては、キャビテーター等が挙げられ、また(3)とし
てはポンプ吐出側にスタティックミキサーやエゼクター
などを取りつけ、酸素含有ガスを導入することもできる
型式で、液のガスは反応槽底部又は気相部に吹き込むこ
とのできる反応槽であり、ブスループリアクターなどが
好ましく用いられる。
これら、(1)、(2)、(3)の反応槽は単独又は
組み合わせて用いることも可能である。
一般に酸素分圧が高い方が酸化速度が大となるが、本
酸化反応では余り高いとパラヒドロキシベンズアルデヒ
ドの得量が減じ、場合により反応速度自身をも低下せし
めることが判明した。本発明者らは、酸素分圧の範囲
は、平均酸素分圧0.1〜2.0atm好ましくは0.1〜1.5atmで
あるときにパラヒドロキシベンズアルデヒドの収率・反
応速度等において優れることを見出した。これらの適正
酸素分圧は、用いる酸素又は酸素含有ガスの圧力、酸素
濃度等の調節により得られる。
一般に、撹拌動力とは、撹拌機の摩擦損失等を除い
た、反応液に加えられる正味の撹拌エネルギーをいう
が、本発明においては反応液単位容積あたりの正味撹拌
動力として表現する。
本発明の酸化反応においては、撹拌動力が極めて重要
な因子であり、これがある程度以上に保たれないと有利
な工業化を実現する酸化反応速度が得られないという一
般の酸化反応とはかけはなれた事実を見い出した。
即ち、本発明で必要とされる撹拌動力は、反応液単位
容積あたりの正味撹拌動力が1.5kw/m3以上であることが
必要である。
上限は強いて制限されないが、電力代等を考慮する
と、10kw/m3以下が好ましい。また後述する液深効果等
と相乗されて、下限に近い撹拌動力を採用することが可
能となる。
本発明にいう液深とは、当該酸化反応において仕込み
混合液が占める液高さをいう。
一般に酸素及び酸素含有ガスを反応液中に吹き込みな
がら酸化する場合、微小な吹き込みノズルにする程、微
細な気泡が生成し、気液接触が良好となり、酸化反応速
度が大となり、有利となる。
しかし、吹き込みノズルが微小になると、長時間の反
応で生成した反応物の結晶化の為、吹き込みノズルの閉
塞を生じ、ガス吹き込みが困難になる等の不利な点を招
き、実際には30μm未満の焼結フィルターの様な微小な
吹き込みノズルは採用できないことを見い出した。
また、本酸化反応では液深が0.2m未満の浅いうちは30
μm未満の焼結フィルターの様な微小な吹き込みノズル
から、酸素及び酸素含有ガスを吹き込む方が、酸素反応
速度は大きくなる。しかし、液深が0.2m以上深くなる
と、30μm以上の焼結フィルター又は1φ以上の単一孔
及び複数孔の様な大きいノズルより吹き込む方がかえっ
て酸化反応速度は大きくなることを見い出した。
本発明者らは、本酸化反応では液深を0.2m以上に深く
することにより、30μm以上の焼結フィルター又は1φ
以上の単一孔及び複数孔の様な吹き込みノズルを用いて
も閉塞しないことを見出した。液深の上限については特
に制限はないが、反応器の撹拌及びその撹拌軸支持の問
題によりせいぜい10mの液深迄である。
以上詳述した通り、本発明者等は以上述べた諸因子を
巧妙に組み合わせることにより、工業的に極めて有利な
パラヒドロキシベンズアルデヒドを製造する方法を見出
し、本発明を完成したものである。
本発明において出発原料として用いられるパラクレゾ
ール又はパラクレゾール含有混合物とは、メタクレゾー
ル・オルトクレゾール等を含有する合成クレゾールある
いはコールタールより分留されるクレゾール酸類等パラ
クレゾールを含有するクレゾール混合物であっても良い
が、混合物を使用する場合はパラクレゾール含量が高い
程好ましい。たとえば、メタ/パラ比40/60〜0.1/99.9
の混合クレゾールを用いることが可能である。なお、本
発明における以下の説明においては、「パラクレゾール
又はパラクレゾール含有混合物」を単に「パラクレゾー
ル」として説明する。
本発明で使用されるコバルト化合物については従来公
知のものが使用され、特に本発明において制限されるも
のではないが、たとえばコバルト化合物としてはフッ化
コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバル
トなどのハロゲン化コバルト、酢酸コバルト、ステアリ
ン酸コバルト、シュー酸コバルト、ナフテン酸コバルト
などの有機酸コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルト、
ホウ酸コバルト、炭酸コバルト、シアン化コバルト、リ
ン酸コバルトなどの無機酸コバルト、一酸化コバルト、
三二酸化コバルト、四三酸化コバルトなどの酸化コバル
トあるいは水酸化コバルト及び金属コバルトなどであ
る。
また、コバルトキレートなどのコバルト錯体も有効で
ある。たとえばコバルトアセチルアセトナート、ビス
(ジメチルグリオキシマト)コバルト、コバルトポルフ
ィン、N,N′−エチレンビス(サリチリデンイミナト)
コバルトなどである。
上記のコバルト化合物の中でも塩化コバルト、酢酸コ
バルト、硝酸コバルト、一酸化コバルトなどの含水塩ま
たは無水物および金属コバルトなどが特に好適に用いら
れる。
コバルト化合物の使用量はパラクレゾールに対して0.
0001当量以上であれば特に制限はないが、好ましくは0.
0005〜0.05当量の範囲内である。
本発明に用いる塩基としては、パラクレゾールよりも
塩基性の高いものであればよく、カ性ソーダ、カ性カ
リ、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化金属類あるい
はナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、リ
チウムアルコキシド、マグネシウムアルコキシド、カル
シウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドなどの
金属アルコキシド類(ここにおいて、アルコキシドとし
ては、例えばメトキシド、エトキシド、イソプロポキシ
ド、ターシャリブトキシドなどである)あるいはリチウ
ムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミドなどの金
属アミド類(ここにおいて、アミドとしては例えば無置
換アミド、エチルアミド、ジエチルアミド、ジイソプロ
ピルアミドなど)などである。上記塩基中でもカ性ソー
ダ、カセイカリ、ナトリウムメトキシド、カリウムメト
キシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、
カリウムターシャリブトキシド、ナトリウムアミドなど
が特に好適に用いられる。
塩基の使用量はパラクレゾールに対して当量以上であ
れば特に制限はない。好ましくは1〜10当量の範囲内で
ある。
本発明の反応における溶媒は種々のものが用いられ
る。酸素に対して安定でしかも基質に対して適当な溶解
度を有するものならいずれを用いてもよい。適当な溶媒
としては例えばアルコール類、炭化水素類、エーテル
類、ハロゲン化炭化水素類、アミン類、ジメチルホルム
アミド類、ジメチルスルホキシド類などがあげられる。
これ等を単独で使用することも2種以上を混合して使用
することもできる。また水を含有しても使用可能であ
る。
上記溶媒の中でもアルコール類、例えばメタノール、
エタノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、
イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリ
ブタノールなどが特に好ましい。これ等溶媒の使用量は
パラクレゾールに対して1〜20倍重量部、好ましくは1
〜6倍重量部である。
また、アルコール溶倍の場合、10重量%までの水を含
有していても使用可能であり、この場合は精留等により
精製して再使用する上で経済的に有利である。
本発明の方法において、酸化剤である酸素はいわゆる
不活性ガス(例えば窒素、アルゴンなど)で希釈し、酸
素含有ガスといて用いることが好ましい。特に本発明に
おいて、空気を酸素含有ガスとして好適に用いることが
でき、一般的には反応液中に吹き込む方法が採用される
が、この方法に限定されるものではない。これらの酸素
含有ガスの圧力は特に制限はないが、通常1〜100気圧
であるが、好ましくは1〜50気圧である。しかしこれは
酸素濃度等とともに平均酸素分圧が本発明にいう適正条
件になるように選択されるべきである。
反応温度は0〜300℃の範囲で実施されるが、好まし
くは30〜100℃である。
かかる酸素反応により得られた酸化生成混合物は、溶
媒回収、酸析、溶剤による抽出、蒸留あるいは再結晶ま
たは昇華などの手段で処理され、目的とするパラヒドロ
キシベンズアルデヒドが単離される。
<発明の効果> かくして、本発明の方法に従えば、工業的に極めて有
利に、すなわち、高収率・高反応速度で、かつ工業的操
作上容易で、しかも安全性に優れる方法によって、目的
とするパラヒドロキシベンズアルデヒドを製造すること
ができるのであって、その工業的意義は極めて大きいも
のがある。
<実施例> 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではないこと
は勿論である。
実施例−1〜5、比較例−1〜3 50φの6枚片側ディスク付タービン羽根を8段取り付
けた内径80φの反応器に1178gのパラクレゾール、0.68g
の二価酢酸コバルト四水塩、926gのカ性ソーダ、1984g
のメタノールを仕込み、底部より3φの単一孔ノズルに
て酸素含有ガスを吹き込み反応温度75℃で反応した。こ
の時撹拌速度は600rpmで正味消費撹拌動力は3.0kw/m3
あり、仕込み液の液深は0.74mであった。又、反応圧
力、吹き込みガスや気相部の酸素濃度、反応時間は表−
1に示す条件で反応を行った。
結果を表−1に示す。
実施例−6〜12及び比較例4〜5 195φ6枚平羽根タービンを6段有する200の反応器
に33.0kgのパラクレゾール、22.0gの二価酢酸コバルト
四水塩、25.9kgのカ性ソーダ、53.0kgのメタノールを仕
込み、底部より15φ単一孔ノズルにて空気を吹き込み、
気相部酸素濃度を6.0%に調節して、反応圧力(ゲージ
圧)5.0kg/cm2、反応温度75℃にて、正味消費撹拌動力
を表−2に示す条件で反応した結果、表−2に示す反応
速度定数を得た。この時の平均酸素分圧は0.60atmであ
り、液深は1.5mであった。尚、この時のパラヒドロキシ
ベンズアルデヒド選択率は80.1〜82.3%であった。
実施例−13 50φの6枚片側ディスク付タービン羽根を8段に取り
付けた内径80φの反応器に1178gのパラクレゾール、0.6
8gの二価酢酸コバルト四水塩、926gのカ性ソーダ、1894
gのメタノールを仕込み、底部より1φ複数孔(9コ)
ノズルにて空気を吹き込み気相部の酸素濃度を6.0%に
調節し、反応温度75℃、反応圧力(ゲージ圧)6.0kg/cm
2で8時間反応した。この時の撹拌速度は600rpmで正味
消費撹拌動力は3.0kw/m2であり、仕込み液の液深は0.74
mであった。尚、平均酸素分圧は0.72atmであり、吹き込
みノズルの閉塞はみられなかった。反応結果は表−3に
示す。
実施例−14 50φの6枚片側ディスク付タービン羽根を4段に取り
付け、原料仕込み量を1/2とした他は実施例−13と同様
にして反応を行なった。この時の液深は0.37mであり、
吹き込みノズルの閉塞はなかった。反応結果は表−3に
示す。
比較例−6 50φの6枚片側ディスク付タービン羽根を2段に取り
つけ、原料仕込み量を1/4とした他は実施例−13と同様
にして反応を行なった。この時の液深は0.185mであり、
吹き込みノズルの閉塞はみられなかった。反応結果は表
−3に示す。
実施例−15〜16及び比較例−7〜10 吹き込みノズルに20μm、40μmの焼結フィルターを
用いた他は実施例−13〜14、比較例−6と同様に反応を
行なった。
この時20μm焼結フィルターノズルは閉塞傾向であ
り、長時間の反応が困難であった。反応結果は表−3に
示す。
表−3において、20μm焼結フィルターノズルの比較
例をみると、40μm焼結フィルターノズル、1φ複数孔
ノズルに較べ液深の効果が逆にあらわれていることが判
る。
即ち微小な吹き込みノズルを使用すると液深の浅いう
ちは大きい反応速度が得られるが、液深が深くなると、
反応速度定数は小さくなる。その反面ある程度大きい吹
き込みノズルを使用すると、液深が深くなるに従い反応
速度定数が大きくなり実用上まことに好都合である。
実施例−17 195φの6枚片側ディスク付タービ羽根を3段に有す
る内径305φの反応器にパラクレゾール70%、メタクレ
ゾール30%を含む混合クレゾールを33kg、カセイソーダ
25.9kg、二価酢酸コバルト四水塩22g、メタノール54kg
を仕込み、10φの単一孔ノズルより空気を吹き込み気相
部の酸素濃度を3.1%に調節し、反応温度75℃、反応圧
力(ゲージ圧)5.0kg/cm2で反応を行なった。
この時の撹拌速度は310rpmで正味消費撹拌動力は3.6k
w/m3であり、液深は1.5mであった。また、平均酸素分圧
は0.47atmであった。
反応速度定数は0.83Hr-1atm-1を得て、反応時間16Hr
でのパラクレゾール転化率は99.85%で、パラヒドロキ
シベンズアルデヒド収率82.1%、メタクレゾール回収率
95%の好結果を得た。
メタノール回収、酸析、溶媒抽出、蒸留により、高純
度のパラヒドロキシベンズアルデヒドと純メタクレゾー
ルを同時に取得できた。
実施例−18 羽根先端に2φ4コの孔のあいた50φ4枚片側ディス
ク付タービン羽根とドラフトチューブ付の1のキャビ
テーター反応器にパラクレゾール142g、二価酢酸コバル
ト四水塩0.14g、カ性ソーダ190g、メタノール390gを仕
込み反応温度75℃、反応圧力(ゲージ圧)7.0kg/cm2
液深0.22mの条件にて気相部に6.0%酸素を300N/Hr吹
き込み気相部酸素濃度5.0%に調節して16時間反応し
た。この時の撹拌速度は2000rpmであり、平均酸素分圧
は0.35atmであった。反応混合物を酸析、スロロホルム
抽出処理してガスクロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、パラクレゾール転化率は99.1%であり、パラヒドロ
キシベンズアルデヒド収率は81.5%であった。尚、反応
速度定数は0.84Hr-1atm-1であった。
実施例−19 実施例−17の反応器底部液を100/minで反応器の気
相部にポンプを用いて循環した以外は実施例−17と同様
にして10時間反応を行ったところ、パラクレゾール転化
率は99.8%で、パラヒドロキシベンズアルデヒド収率8
1.8%、メタクレゾール回収率94.9%の好結果を得た。
なお、反応速度定数は1.32Hr-1、atm-1であった。
実施例−20 実施例−19のポンプ吐出側に20A×2mのスタティック
ミキサーを取りつけ、全吹き込み空気の1/2量をスサテ
ィックミキサーの入口に供給し、液とガスを反応槽底部
に導入した以外は実施例−19と同様にして8時間反応を
行ったところ、パラクレゾール転化率は99.8%で、パラ
ヒドロキシベンズアルデヒド収率82.0%、メタクレゾー
ル回収率95.1%の好結果を得た。なお、反応速度定数は
1.65Hr-1、atm-1であった。
実施例−21 実施例−20のポンプ吐出側にエゼクターを取りつけた
以外は実施例−20と同様にして9時間反応を行ったとこ
ろ、パラクレゾール転化率は99.8%で、パラヒドロキシ
ベンズアルデヒド収率81.9%、メタクレゾール回収率9
4.7%の好結果を得た。なお、反応速度定数は1.47H
r-1、atm-1であった。
比較例−11 184φの6枚片側ディスク付タービン羽根の付いた30
反応器にパラクレゾール70.0%、メタクレゾール30.0
%を含む混合クレゾール4.3kg、カ性ソーダ3.4kg、メタ
ノール6.9kg、二価酢酸コバルト四水塩2.9gを仕込み、
気相部に空気を吹き込み、気相部酸素濃度を8.0%に調
節し、反応温度75℃、反応圧力(ゲージ圧)6.0kg/cm2
で16時間反応した。この時撹拌速度は420rpmで正味撹拌
動力は17.3kw/m3であり、液深は0.25m、平均酸素分圧は
0.48atmであった。
反応混合物を酸析、クロロホルム抽出処理して、ガス
クロマトグラフィーで分析したところ、パラクレゾール
の転化率は45.6%であり、メタクレゾール回収率は96.3
%、パラヒドロキシベンズアルデヒド収率は36.0%であ
った。この比較例は表面吸収反応であり、酸化反応速度
(k=0.079Hr-1atm-1)が非常に遅く、撹拌動力も大き
いため工業的な規模で実施することは困難である。
<明細書に記載した用語の意味> (1)平均酸素分圧とは、吹き込み側酸素分圧と反応器
気相部酸素分圧の対数平均値を示す。ただし、実施例−
16と比較例−10は気相部酸素分圧である。
尚、反応器気相部酸素分圧とは、溶媒、窒素等の不活
性ガスを除いた酸素の分圧を示す。
(2)液深とは、仕込み原料混合液が占める液高さをい
う。
(3)パラヒドロキシベンズアルデヒド収率とは、対仕
込みパラクレゾールモルあたりの生成したパラヒドロキ
シベンズアルデヒドのモル百分率である。
(4)メタクレゾール回収率は対仕込みメタクレゾール
あたりの回収されたメタクレゾールの百分率である。
(5)パラヒドロキシベンズアルデヒド選択率とは反応
で消費したパラクレゾールモルあたりの生成したパラヒ
ドロキシベンズアルデヒドのモル百分率である。
(6)パラクレゾールの転化率とは、対仕込みパラクレ
ゾールモルあたりの反応で消費したパラクレゾールのモ
ル百分率である。
(7)反応速度定数 K〔Hr-1atm-1〕次式により求め
られる。
dc/dt=kCO2 C:パラクレゾールのモル濃度〔mol/〕 t:反応時間〔Hr〕 O2:平均酸素分圧〔atm〕
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢幡 学 大分県大分市大字鶴崎2200番地 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 西沢 完治 大阪府大阪市東区北浜5丁目15番地 住友 化学工業株式会社内 (72)発明者 堀川 泰彦 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 株式会 社住化分析センター内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラクレゾールまたはパラクレゾール含有
    混合物を、コバルト化合物および塩基の存在下、溶媒中
    で酸素または酸素含有ガスで酸化するパラヒドロキシベ
    ンズアルデヒドの製造法において、 (1) 酸化反応容器として、通気撹拌槽型式、撹拌翼
    の回転により中空撹拌軸を経由して反応器空間部の気体
    を液底部に吸い込み循環する反応槽または反応槽底部の
    液をポンプにより循環する反応槽を用いること (2) 気相部の酸素濃度を0.1〜12%になる様に酸素
    または酸素含有ガスを導入すること (3) 平均酸素分圧を0.1〜2atmの範囲内で行うこと (4) 撹拌動力を1.5〜10kw/m3の条件下で行なうこと (5) 液深を0.2〜10mの条件下で行なう ことを特徴とするパラヒドロキシベンズアルデヒドの製
    造法。
JP25553687A 1986-12-17 1987-10-08 パラヒドロキシベンズアルデヒドの製造法 Expired - Fee Related JPH082827B2 (ja)

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