JPH08277852A - タンデム型油圧クラッチにおける給油構造 - Google Patents

タンデム型油圧クラッチにおける給油構造

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JPH08277852A
JPH08277852A JP7902695A JP7902695A JPH08277852A JP H08277852 A JPH08277852 A JP H08277852A JP 7902695 A JP7902695 A JP 7902695A JP 7902695 A JP7902695 A JP 7902695A JP H08277852 A JPH08277852 A JP H08277852A
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chamber
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洋一 小島
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圭弘 児玉
Haruhiko Yoshikawa
晴彦 吉川
Kazuhisa Yamamoto
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タンデムに配置された一対のクラッチの相互
干渉を防止しながら、エンジン始動時におけるクラッチ
の係合応答性を向上させる。 【構成】 トランスミッションのケーシング1に固定し
たサポート2の外周にクラッチハブ13が相対回転自在
に嵌合する。クラッチハブ13に第1クラッチ油室20
に作動油を供給する第1環状溝2iと第2クラッチ油室
24に作動油を供給する第2環状溝2kとを形成すると
ともに、第1、第2環状溝2i,2k間に第1シールリ
ング40L 及び第2シールリング41R を介して第3環
状溝2nを形成する。エンジンの始動時に第3環状溝2
nに供給した潤滑油が第1、第2シールリング40L
41R を通って第1、第2クラッチ油室20,24を満
たし、クラッチC1 ,C2 の速やかな係合を可能にす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内軸の外周に相対回転
自在に嵌合する外軸の外周に第1クラッチピストンを駆
動する第1クラッチ油室及び第2クラッチピストンを駆
動する第2クラッチ油室を軸方向に並設したタンデム型
油圧クラッチに関し、特にそのクラッチ油室に対する給
油構造に関する。
【0002】
【従来の技術】タンデム型油圧クラッチでは、一方のク
ラッチ油室に連なる油路からシール部材を通して漏れた
作動油が他方のクラッチ油室に連なる油路に流入する
と、両クラッチの作動が相互に干渉する可能性がある。
そこで、特開平2−125164号公報に記載されたも
のは、第1クラッチの油路と第2クラッチの油路との間
にシール部材を挟んでドレン油路を設け、このドレン油
路を大気に開放することにより両クラッチの作動の干渉
を回避している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、エンジンの
停止後に所定時間が経過するとクラッチ油室内の作動油
は重力で排出されてしまうため、次にエンジンを始動し
てクラッチを係合させる際にクラッチ油室内に作動油が
充満するのに時間がかかり、クラッチが即座に係合せず
に応答性が低下する問題がある。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で、タンデムに配置された一対のクラッチの相互干渉を
防止しながら、エンジン始動時におけるクラッチの係合
応答性を向上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に記載された発明は、内軸の外周に相対回
転自在に嵌合する外軸の外周に第1クラッチピストンを
駆動する第1クラッチ油室及び第2クラッチピストンを
駆動する第2クラッチ油室を軸方向に並設し、内軸の外
周に軸方向に離間して形成した第1環状溝及び第2環状
溝と、外軸を貫通して第1環状溝及び第2環状溝にそれ
ぞれ連通する第1油孔及び第2油孔とを通して第1クラ
ッチ油室及び第2クラッチ油室に独立に作動油を給油す
るタンデム型油圧クラッチにおいて、内軸の外周の第1
環状溝及び第2環状溝間に第3環状溝を形成し、第3環
状溝及び第1環状溝間に第1シール部材を配置するとと
もに第3環状溝及び第2環状溝間に第2シール部材を配
置し、第3環状溝に供給した潤滑油を第1シール部材及
び第2シール部材を通して第1環状溝及び第2環状溝に
供給することを特徴とする。
【0006】また請求項2に記載された発明は、請求項
1の構成に加えて、内軸に形成した潤滑油路を第3環状
溝に連通させたことを特徴とする。
【0007】また請求項3に記載された発明は、請求項
2の構成に加えて、前記潤滑油路を外軸の外周に形成さ
れて遠心油圧をキャンセルするキャンセラー油室に連通
させたことを特徴とする。
【0008】また請求項4に記載された発明は、請求項
1の構成に加えて、前記潤滑油路の第3環状溝よりも下
流側に絞りを設けたことを特徴とする。
【0009】
【作用】請求項1の構成によれば、第1クラッチの作動
時に第1クラッチ油室に連なる第1環状溝から第1シー
ル部材を通して漏れた作動油と、第2クラッチの作動時
に第2クラッチ油室に連なる第2環状溝から第2シール
部材を通して漏れた作動油とが第3環状溝に補集される
ため、両クラッチの作動が相互に干渉することが防止さ
れる。また、第1クラッチ油室及び第2クラッチ油室が
空の状態にあるとき、第3環状溝に供給した潤滑油が第
1シール部材及び第2シール部材を通して第1環状溝及
び第2環状溝に漏れて第1クラッチ油室及び第2クラッ
チ油室に供給されるため、第1クラッチ及び第2クラッ
チを時間遅れなく係合させることができる。
【0010】請求項4の構成によれば、潤滑油路の第3
環状溝よりも下流側に設けた絞りにより潤滑油に圧力を
発生させ、潤滑油を第3環状溝から第1シール部材及び
第2シール部材を通して第1環状溝及び第2環状溝に供
給することができる。
【0011】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。
【0012】図1〜図5は本発明の一実施例を示すもの
で、図1は自動車用トランスミッションの部分断面図、
図2は図1の2−2線矢視図、図3は図1の3−3線断
面図、図4は図2の4A−4A線、4B−4B線及び4
C−4C線断面図、図5は作動油及び潤滑油の油圧回路
図である。
【0013】図1に示すように、トランスミッションの
ケーシング1の内面に内軸としてのサポート2の右端が
3本のボルト3…により固定されており、このサポート
2の左端内周にメインシャフト4の右端外周がニードル
ベアリング5を介して回転自在に嵌合する。
【0014】メインシャフト4の外周にはシングルピニ
オン式の第1遊星歯車機構P1 及びダブルピニオン式の
第2遊星歯車機構P2 が軸方向に並置される。第1遊星
歯車機構P1 及び第2遊星歯車機構P2 はそれぞれサン
ギヤ61 ,62 、プラネタリキャリヤ71 ,72 及びリ
ングギヤ81 ,82 を備えており、両プラネタリキャリ
ヤ71 ,72 はセンタープレート91 ,92 を介して一
体に結合されるとともに、両リングギヤ81 ,82 は一
体に形成される。プラネタリキャリヤ71 に支持された
複数個のピニオン101 …は、サンギヤ61 及びリング
ギヤ81 に同時に噛合する。また、プラネタリキャリヤ
2 に支持された内側の複数個のピニオン102 …はサ
ンギヤ62 に噛合するとともに外側の複数個のピニオン
102 …はリングギヤ82 に噛合し、且つ内側及び外側
のピニオン102 …は相互に噛合する。
【0015】一体に形成された両リングギヤ81 ,82
は、第1クラッチC1 を介してメインシャフト4に結合
される。また、第1遊星歯車機構P1 のサンギヤ61
メインシャフト4にニードルベアリング11を介して回
転自在に支持されており、このサンギヤ61 に一体に結
合されて半径方向外側に延びるサンギヤ拘束部材12
は、第2クラッチC2 を介してメインシャフト4に結合
される。
【0016】次に、第1クラッチC1 及び第2クラッチ
2 の構造を説明する。
【0017】メインシャフト4の右端にスプライン結合
されて前記サポート2の外周に相対回転自在に嵌合する
クラッチハブ13は、本発明の外軸を構成する。クラッ
チハブ13とサンギヤ拘束部材12との間にはスラスト
ベアリング14が介装され、またクラッチハブ13とケ
ーシング1との間にもスラストベアリング15が介装さ
れる。クラッチハブ13の右端に固着されたクラッチド
ラム16は、ケーシング1の内壁面に沿って延在し、そ
の左端は第1遊星歯車機構P1 のリングギヤ8 1 の半径
方向外側に達している。
【0018】クラッチハブ13の外周及びクラッチドラ
ム16の内周間には、第1クラッチピストン17が相対
回転不能且つシール部材18,19を介して軸方向摺動
自在に嵌合しており、クラッチドラム16及び第1クラ
ッチピストン17間に第1クラッチ油室20が形成され
る。クラッチハブ13の外周及び第1クラッチピストン
17の内周間には、第2クラッチピストン21が相対回
転不能且つシール部材22,23を介して軸方向摺動自
在に嵌合しており、第1クラッチピストン17及び第2
クラッチピストン21間に第2クラッチ油室24が形成
される。キャンセラープレート25は、その内周がクリ
ップ26でクラッチハブ13に固定され、且つ外周がシ
ール部材27を介して第2クラッチピストン21の内周
に軸方向摺動自在に嵌合する。第2クラッチピストン2
1及びキャンセラープレート25間にキャンセラー油室
28が形成される。
【0019】第1クラッチC1 は、リングギヤ81 に相
対回転不能且つ軸方向摺動自在に係合する複数枚のクラ
ッチ板29…と、これらクラッチ板29…に交互に重ね
合わされてクラッチドラム16の内周に相対回転不能且
つ軸方向摺動自在に係合する複数枚のクラッチ板30…
とを備えており、両クラッチ板29…,30…は左動す
る第1クラッチピストン17の先端の押圧部17aに押
圧されて相互に密着可能である。第2クラッチC2 は、
サンギヤ拘束部材12に相対回転不能且つ軸方向摺動自
在に係合する複数枚のクラッチ板31…と、これらクラ
ッチ板31…に交互に重ね合わされて第1クラッチピス
トン17の内周に相対回転不能且つ軸方向摺動自在に係
合する複数枚のクラッチ板32…とを備えており、両ク
ラッチ板31…,32…は左動する第2クラッチピスト
ン21の先端の押圧部21aに押圧されて相互に密着可
能である。
【0020】キャンセラー油室28の内部に位置するよ
うに、キャンセラープレート25の右側面及び第2クラ
ッチピストン21の左側面に、それぞれ合成樹脂製の詰
め物33,34が装着される。詰め物33は比較的に大
きな体積を有しており、その半径方向内側に円周方向に
離間して複数のバネ座33a…が凹設されるとともに、
その半径方向外側にシール部材27へのゴミの付着を防
止するための突起部33bが形成される。また、詰め物
34は比較的に小さな体積を有しており、その半径方向
内側に円周方向に離間して複数のバネ座34a…が突設
されるとともに、その半径方向外側にシール部材27へ
のゴミの付着を防止するための突起部34bが形成され
る。而して、両詰め物33,34のバネ座33a…,3
4a…間に、第2クラッチピストン21を右方向に付勢
する複数の戻しバネ35…が縮設される。
【0021】前記詰め物33,34によってキャンセラ
ー油室28内のデッドボリュームを減少させ、エンジン
の運転開始時における残油の油面内径を小さくすること
ができる。
【0022】次に、図2及び図3を併せて参照しながら
キャンセラー油室28への吸排油構造について説明す
る。
【0023】ケーシング1に形成された油路1aが、サ
ポート2にその中心軸から偏心して軸方向に形成された
油路2aに連通し、この油路2aの左端はサポート2の
外周に刻設された環状溝2bに連通する。環状溝2bは
一対の堰2c,2cによって劣弧よりなる給油溝2dと
優弧よりなる排油溝2eとに仕切られており、前記油路
2aは給油溝2dに開口する。環状溝2bを一対の堰2
c,2cで仕切ることにより給油溝2d及び排油溝2e
を形成したので、給油溝2d及び排油溝2eの加工コス
トを削減するとともにスペースの有効利用を図ることが
できる。環状溝2bの外周を閉塞するクラッチハブ13
は円周方向に等間隔に離間した8個の油孔13a…を備
えており、これら油孔13a…はキャンセラー油室28
に連通する。環状溝2bとクラッチハブ13との間は、
一対のシール部材36,36によってシールされる。
【0024】また、排油溝2eはサポート2を直径方向
に貫通する油路2f,2fを介してニードルベアリング
5に連通し、そこから更にメインシャフト4の右端を直
径方向に貫通する油路4a,4aを介して、メインシャ
フト4を軸方向に貫通する油路4bに連通する。
【0025】サポート2の中心に設けられたチェック弁
37は、弁座2gと、この弁座2gに着座可能なボール
38と、このボール38を弁座2gに向けて付勢するス
プリング39とを備える。弁座2gの上流はサポート2
の右端に沿って半径方向に形成された油路2hを介して
前記油路2aに連通し、また弁座2gの下流はメインシ
ャフト4の油路4bに連通する。
【0026】図4を併せて参照すると明らかなように、
第1クラッチC1 の第1クラッチ油室20は、クラッチ
ハブ13に形成した複数個の油孔13b…、サポート2
の外周に形成した第1環状溝2i及びサポート2に軸方
向に形成した油路2jを介して、ケーシング1に形成さ
れた図示せぬ油路に連通する(図4(A)参照)。第2
クラッチC2 の第2クラッチ油室24は、クラッチハブ
13に形成した複数個の油孔13c…、サポート2の外
周に形成した第2環状溝2k及びサポート2に軸方向に
形成した油路2mを介して、ケーシング1に形成された
図示せぬ油路に連通する(図4(B)参照)。第1環状
溝2i及び第2環状溝2k間に位置するようにサポート
2の外周に形成した第3環状溝2nは、サポート2に半
径方向に形成した油路2oを介して前記油路2aに連通
する。
【0027】サポート2の外周に形成した第1環状溝2
iの左右両側には合成樹脂製の一対の第1シールリング
40L ,40R が配置され、またサポート2の外周に形
成した第2環状溝2kの左右両側には合成樹脂製の一対
の第2シールリング41L ,41R が配置される。従っ
て、中央の第3環状溝3nと右側の第1環状溝2iとは
第1シールリング40L を介して隔てられ、中央の第3
環状溝3nと左側の第2環状溝2kとは第2シールリン
グ41R を介して隔てられる。
【0028】図5に示すように、オイルタンク51から
オイルポンプ52で汲み上げられたオイルはレギュレー
タ53で調圧された後、その一部は作動油として第1ソ
レノイドバルブ54及び第2ソレノイドバルブ55を経
て第1クラッチC1 の第1クラッチ油室20及び第2ク
ラッチC2 の第2クラッチ油室24に供給される。また
レギュレータ53で調圧されたオイルの残部は潤滑油と
なってトランスミッションの各部に供給されるととも
に、第1クラッチ油室20及び第2クラッチ油室24に
作用する遠心油圧を打ち消すべくキャンセラー油室28
に供給される。潤滑油をオイルタンク51に戻す潤滑油
通路の末端部には、潤滑油に所定の圧力を持たせるため
の絞り56が設けられる。
【0029】トランスミッションは3個の油圧クラッチ
と2個の油圧ブレーキとによって1速変速段〜5速変速
段及び後進変速段を選択的に確立可能であり、第1クラ
ッチC1 及び第2クラッチC2 は3個の油圧クラッチの
うちの2個を構成する。第1ソレノイドバルブ54及び
第2ソレノイドバルブ55を開閉制御することにより、
第1クラッチC1 及び第2クラッチC2 の係合及び係合
解除は各々独立に制御される。
【0030】具体的には、第1クラッチC1 は4速変速
段及び5速変速段の確立時に係合し、1速変速段、2速
変速段、3速変速段及び後進変速段の確立時に係合解除
される。第2クラッチC2 は1速変速段、2速変速段、
3速変速段及び4速変速段の確立時に係合し、5速変速
段及び後進変速段の確立時に係合解除される。
【0031】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例
の作用について説明する。
【0032】第1クラッチC1 を係合させるべく第1ソ
レノイドバルブ54を開弁すると、作動油は油路2jか
ら第1環状溝2i及び油孔13b…を経て第1クラッチ
油室20に流入し、第1クラッチピストン17を左動さ
せる。その結果、クラッチ板29…,30…が密着して
第1クラッチC1 が係合し、第1遊星歯車機構P1 及び
第2遊星歯車機構P2 のリングギヤ81 ,82 がクラッ
チ板29…、クラッチ板30…、クラッチドラム16及
びクラッチハブ13を介してメインシャフト4に結合さ
れる。第1クラッチピストン17が左動する際に第2ク
ラッチピストン21も一体に左動するが、第1クラッチ
ピストン17及び第2クラッチピストン21の相対的な
位置関係は一定に保持されるため、第2クラッチC2
係合することはない。
【0033】第2クラッチC2 を係合させるべく第2ソ
レノイドバルブ55を開弁すると、作動油は油路2mか
ら第2環状溝2k及び油孔13c…を経て第2クラッチ
油室24に流入し、第2クラッチピストン21を左動さ
せる。その結果、クラッチ板31…,32…が密着して
第2クラッチC2 が係合し、第1遊星歯車機構P1 のサ
ンギヤ61 がサンギヤ拘束部材12、クラッチ板31
…、クラッチ板32…、第1クラッチピストン17、ク
ラッチドラム16及びクラッチハブ13を介してメイン
シャフト4に結合される。
【0034】第1クラッチC1 の第1クラッチ油室20
から環状溝2iを経てサポート2及びクラッチハブ13
の摺動面に漏れた作動油と、第2クラッチC2 の第2ク
ラッチ油室24から環状溝2kを経てサポート2及びク
ラッチハブ13の摺動面に漏れた作動油とは、シールリ
ング40L ,41R を通して第3環状溝2nに補集さ
れ、そこから油路2oを経て油路2aに排出される。こ
れにより、第1クラッチC1 の作動及び第2クラッチC
2 の作動が相互に影響を及ぼすことがない。
【0035】第1クラッチ油室20及び第2クラッチ油
室24はメインシャフト4と一体に回転するため、第1
クラッチ油室20内の作動油に作用する遠心力が第1ク
ラッチピストン17をクラッチドラム16に対して左方
向に付勢し、その付勢力は第2クラッチピストン21に
も伝達される。更に第2クラッチ油室24内の作動油に
作用する遠心力が第2クラッチピストン21を第1クラ
ッチピストン17に対して左向きに付勢する。
【0036】一方、キャンセラー油室28もメインシャ
フト4と一体に回転するため、その内部の潤滑油に作用
する遠心力がキャンセラープレート25に対して第2ク
ラッチピストン21を右方向に付勢し、その付勢力は第
1クラッチピストン17にも伝達される。このようにし
て、第1クラッチ油室20及び第2クラッチ油室24内
の作動油に作用する遠心力がキャンセラー油室28内の
潤滑油に作用する遠心力に釣合い、遠心力の影響を補償
することができる。
【0037】エンジンの運転中にオイルポンプ52から
供給された潤滑油は、ケーシング1の油路1a、サポー
ト2の油路2a、サポート2の給油溝2d及びクラッチ
ハブ13の油孔13a…を介してキャンセラー油室28
内に供給され、余剰の潤滑油はキャンセラー油室28か
らクラッチハブ13の油孔13a…、サポート2の排油
溝2e、サポート2の油路2f,2f、ニードルベアリ
ング5及びメインシャフト4の油路4a,4aを介して
メインシャフト4の油路4bに排出され、そこからトラ
ンスミッションの各潤滑部に供給される。このとき、潤
滑油の供給圧が過大になると、チェック弁37のボール
38がスプリング39に抗して弁座2gから離間し、潤
滑油はキャンセラー油室28をバイパスしてサポート2
の油路2hからメインシャフト4の油路4bに排出され
る。これにより、潤滑油供給経路に設けられたレギュレ
ータ53の調圧性能に悪影響が及ぶことが防止される。
【0038】さて、エンジンが停止するとキャンセラー
油室28内への潤滑油の供給が中止され、キャンセラー
油室28内の潤滑油はクラッチハブ13の油孔13a
…、サポート2の排油溝2e、サポート2の油路2f,
2f、ニードルベアリング5及びメインシャフト4の油
路4a,4aを介してメインシャフト4の油路4bに排
出される。このとき、キャンセラー油室28からメイン
シャフト4の油路4bまでの潤滑油排出経路には絞りが
存在しないため、エンジンの停止後にキャンセラー油室
28内の潤滑油の所定量が速やかに排出される。
【0039】もしも、エンジンの停止時にキャンセラー
油室28内の潤滑油が充分に排出されないと仮定する
と、特に寒冷地におけるエンジンの冷間始動時に、キャ
ンセラー油室28内に残留した潤滑油の粘性が高まって
第1クラッチピストン17及び第2クラッチピストン2
1の左動を妨げ、第1クラッチC1 及び第2クラッチC
2 の係合に遅れが発生する可能性がある。しかしなが
ら、本実施例では前述した如くキャンセラー油室28内
の潤滑油の所定量が速やかに排出されるため、エンジン
の再始動時に第1クラッチC1 及び第2クラッチC2
係合に遅れが発生する虞がない。
【0040】また、エンジンが始動すると、オイルポン
プ52からの潤滑油が油路1a、油路2a、給油溝2d
及び油孔13a…を介してキャンセラー油室28内に供
給される。このとき、油路1aからキャンセラー油室2
8までの潤滑油供給経路には絞りが存在しないため、エ
ンジンの始動後に速やかにキャンセラー油室28内に潤
滑油を供給し、第1クラッチ油室20及び第2クラッチ
油室24内の作動油に作用する遠心力の影響を補償する
ことができる。
【0041】更に、エンジンの停止後に所定時間が経過
すると、第1クラッチC1 の第1クラッチ油室20内の
作動油及び第2クラッチC2 の第2クラッチ油室24内
の作動油は重力で排出されてしまう。従って、この状態
からエンジンを再始動して第1クラッチC1 又は第2ク
ラッチC2 を係合させるとき、特に作動油の粘度が高い
低温時には、空になった第1クラッチ油室20又は第2
クラッチ油室24に作動油を充満させるのに時間がかか
って応答性が低下してしまう問題がある。
【0042】しかしながら、本実施例ではエンジンの始
動によりオイルポンプ52が作動すると直ちに潤滑油が
第3環状溝2nに供給され、このとき第1クラッチ油室
20及び第2クラッチ油室24が空であれば第3環状溝
2nと第1環状溝2i及び第2環状溝2kとの間に圧力
差があるため、第3環状溝2nの潤滑油はシールリング
40L ,41R を通って第1環状溝2i及び第2環状溝
2kにリークし、第1クラッチ油室20及び第2クラッ
チ油室24に供給される。その結果、第1ソレノイドバ
ルブ54又は第2ソレノイドバルブ55が開弁したと
き、第1クラッチC1 又は第2クラッチC2 を速やかに
係合させて応答性を高めることが可能となる。
【0043】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
【0044】例えば、実施例では内軸であるサポート2
が固定されており、外軸であるクラッチハブ13が回転
するが、内軸及び外軸は両者が相対回転するものであれ
ば、何れが回転しても良い。
【0045】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載された発
明によれば、内軸の外周の第1環状溝及び第2環状溝間
に第3環状溝を形成し、第3環状溝及び第1環状溝間に
第1シール部材を配置するとともに第3環状溝及び第2
環状溝間に第2シール部材を配置したので、第1クラッ
チの作動時に第1クラッチ油室に連なる第1環状溝から
第1シール部材を通して漏れた作動油と、第2クラッチ
の作動時に第2クラッチ油室に連なる第2環状溝から第
2シール部材を通して漏れた作動油とを第3環状溝に補
集して両クラッチの作動の相互干渉を防止しながら、第
1クラッチ油室及び第2クラッチ油室が空の状態にある
とき、第3環状溝に供給した潤滑油を第1シール部材及
び第2シール部材を通して第1環状溝及び第2環状溝に
供給することにより、第1クラッチ油室及び第2クラッ
チ油室を潤滑油で満たして両クラッチを時間遅れなく係
合させることができる。
【0046】また請求項2に記載された発明によれば、
内軸に形成した潤滑油路を第3環状溝に連通させたの
で、第3環状溝に簡単に潤滑油を導くことができる。
【0047】また請求項3に記載された発明によれば、
潤滑油路を外軸の外周に形成されて遠心油圧をキャンセ
ルするキャンセラー油室に連通させたので、キャンセラ
ー油室用の潤滑油を第3環状溝に導くことができる。
【0048】また請求項4に記載された発明によれば、
潤滑油路の第3環状溝よりも下流側に絞りを設けたの
で、潤滑油に所定の圧力を発生させて第3環状溝から第
1シール部材及び第2シール部材を通して第1環状溝及
び第2環状溝に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車用トランスミッションの部分断面図
【図2】図1の2−2線矢視図
【図3】図1の3−3線断面図
【図4】図2の4A−4A線、4B−4B線及び4C−
4C線断面図
【図5】作動油及び潤滑油の油圧回路図
【符号の説明】
2 サポート(内軸) 2a 潤滑油路(油路) 2i 第1環状溝 2k 第2環状溝 2n 第3環状溝 13 クラッチハブ(外軸) 13b 第1油孔 13c 第2油孔 17 第1クラッチピストン 20 第1クラッチ油室 21 第2クラッチピストン 24 第2クラッチ油室 28 キャンセラー油室 40L 第1シールリング(第1シール部材) 41R 第2シールリング(第1シール部材) 56 絞り
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 和久 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内軸(2)の外周に相対回転自在に嵌合
    する外軸(13)の外周に第1クラッチピストン(1
    7)を駆動する第1クラッチ油室(20)及び第2クラ
    ッチピストン(21)を駆動する第2クラッチ油室(2
    4)を軸方向に並設し、内軸(2)の外周に軸方向に離
    間して形成した第1環状溝(2i)及び第2環状溝(2
    k)と、外軸(13)を貫通して第1環状溝(2i)及
    び第2環状溝(2k)にそれぞれ連通する第1油孔(1
    3b)及び第2油孔(13c)とを通して第1クラッチ
    油室(20)及び第2クラッチ油室(24)に独立に作
    動油を給油するタンデム型油圧クラッチにおいて、 内軸(2)の外周の第1環状溝(2i)及び第2環状溝
    (2k)間に第3環状溝(2n)を形成し、第3環状溝
    (2n)及び第1環状溝(2i)間に第1シール部材
    (40L )を配置するとともに第3環状溝(2n)及び
    第2環状溝(2k)間に第2シール部材(41R )を配
    置し、第3環状溝(2n)に供給した潤滑油を第1シー
    ル部材(40L )及び第2シール部材(41R )を通し
    て第1環状溝(2i)及び第2環状溝(2k)に供給す
    ることを特徴とする、タンデム型油圧クラッチにおける
    給油構造。
  2. 【請求項2】 内軸(2)に形成した潤滑油路(2a)
    を第3環状溝(2n)に連通させたことを特徴とする、
    請求項1記載のタンデム型油圧クラッチにおける給油構
    造。
  3. 【請求項3】 前記潤滑油路(2a)を外軸(13)の
    外周に形成されて遠心油圧をキャンセルするキャンセラ
    ー油室(28)に連通させたことを特徴とする、請求項
    2記載のタンデム型油圧クラッチにおける給油構造。
  4. 【請求項4】 前記潤滑油路(2a)の第3環状溝(2
    n)よりも下流側に絞り(56)を設けたことを特徴と
    する、請求項1記載のタンデム型油圧クラッチにおける
    給油構造。
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