JPH0827493A

JPH0827493A - アニオン界面活性剤および高嵩密度粒状洗剤組成物の製造方法

Info

Publication number: JPH0827493A
Application number: JP18886594A
Authority: JP
Inventors: Eisaku Ikeda; 栄作池田; Hitoshi Tanaka; 斉田中; Yoshiari Oowaku; 善有大和久; Tomoki Kubo; 知己久保
Original assignee: Lion Corp
Current assignee: Lion Corp
Priority date: 1994-07-18
Filing date: 1994-07-18
Publication date: 1996-01-30

Abstract

(57)【要約】【構成】撹拌機能および剪断機能を備えた高速ミキサ
ー内に、アニオン界面活性剤の液状酸型前駆体および液
状アルカリ性塩を微粒子状態で連続的に供給するととも
に、粉粒状アルカリ性無機物質を連続的に供給して混
合、中和を行ない、このとき前記液状アルカリ性塩と粉
粒状アルカリ性無機物質との合計供給量は前記液状酸型
前駆体を完全に中和するに足る量以上とし、かつ、前記
液状アルカリ性塩の供給量は前記液状酸型前駆体を完全
に中和するに足る量の５０％以上とし、高速ミキサー内
の平均滞留時間を５秒未満としてアニオン界面活性剤を
製造し、また、高嵩密度粒状洗剤組成物を製造する。【効果】中和時間を短縮してアニオン界面活性剤を製
造することができ、しかも、任意濃度の界面活性剤を含
む高嵩密度粒状洗剤組成物を単一工程で連続して製造す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、アニオン界面活性剤の
製造方法および、衣料用洗剤などとして用いられる高嵩
密度粒状洗剤組成物の製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、衣料用粒状洗剤は、噴霧乾燥法に
より嵩密度０．３ｇ／ｃｃ程度の中空ビーズ状粒子とし
て製造されていた。しかし近年、コンパクト化を目的と
し、界面活性剤を多量に含み嵩密度の大きな高嵩密度粒
状洗剤が主流を占めてきている。

【０００３】このような高嵩密度粒状洗剤の製造方法と
して、乾燥工程を経ることなく、アニオン界面活性剤の
液状酸型前駆体、例えばアルキルベンゼンスルホン酸を
アルカリ塩を用いて中和し、ハンドリング可能なペース
トまたは粉粒状の洗剤組成物とする製造方法が注目され
ており、その代表的な方法が、特開昭６１−６６７９８
号公報、特開平２−２１８６５８号公報、特開平３−３
３１９９号公報などに報告されている。しかしこれらの
方法は、粒状洗剤組成物を製造するために複数のステッ
プを経ることが必要であり、中和完了に数分の時間を要
していた。

【０００４】この欠点を解決する方法として、特開平５
−８６４００号公報に単一ステップ法が記載されてい
る。この方法は、アニオン界面活性剤の酸型前駆体２０
〜４５％と少なくとも等量の固体水溶性アルカリ無機材
料とを、高速ミキサー／デンシファイヤーに供給し、平
均滞留時間５〜３０秒、ミキサー内粉末の含水量が５〜
１５％で、８０％以上の中和度を達成して単一ステップ
で高嵩密度粒状洗剤を製造するものである。

【０００５】しかしながら、アニオン界面活性剤の酸型
前駆体を出発原料とする従来の製造方法では、中和完了
のために約５〜３０秒あるいは数分の時間を必要とし、
また、単一ステップ法である場合は少なくとも等量の固
体水溶性アルカリ性無機物材料の添加を必須としてお
り、アニオン界面活性剤の添加比率が２０〜４５％に限
定されるという欠点を有している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、アニオン界
面活性剤の液状酸型前駆体を中和してアニオン界面活性
剤または粒状の高嵩密度洗剤組成物を製造するに際し、
中和時間を短縮し、また、得られる洗剤組成物中のアニ
オン界面活性剤配合量の設定の自由度を大きくすること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明のアニオン界面活
性剤の製造方法は、撹拌機能および剪断機能を備えた高
速ミキサー内に、アニオン界面活性剤の液状酸型前駆体
および液状アルカリ性塩を微粒子状態で連続的に供給す
るとともに、粉粒状アルカリ性無機物質を連続的に供給
して混合、中和を行ない、このとき前記液状アルカリ性
塩と粉粒状アルカリ性無機物質との合計供給量は前記液
状酸型前駆体を完全に中和するに足る量以上とし、か
つ、前記液状アルカリ性塩の供給量は前記液状酸型前駆
体を完全に中和するに足る量の５０％以上とし、高速ミ
キサー内の平均滞留時間が５秒未満であることを特徴と
する。

【０００８】本発明の高嵩密度粒状洗剤組成物の製造法
は、撹拌機能および剪断機能を備えた高速ミキサー内
に、アニオン界面活性剤の液状酸型前駆体および液状ア
ルカリ性塩を微粒子状態で連続的に供給するとともに、
粉粒状アルカリ性無機物質を連続的に供給して混合、中
和を行ない、このとき前記液状アルカリ性塩と粉粒状ア
ルカリ性無機物質との合計供給量は前記液状酸型前駆体
を完全に中和するに足る量以上とし、かつ、前記液状ア
ルカリ性塩の供給量は前記液状酸型前駆体を完全に中和
するに足る量の５０％以上とし、高速ミキサー内の平均
滞留時間を５秒未満とし、中和により生成したアニオン
界面活性剤を１０〜６０重量％含み、含水量が５〜１５
％である粉粒物を得ることを特徴とする。

【０００９】

【発明の実施態様】本発明は、アニオン界面活性剤の酸
型前駆体をアルカリ性液体成分で中和しながら、同時に
粉粒状アルカリ性無機材料とともに連続的に造粒するも
のであり、この中和・造粒には、撹拌機能および剪断機
能を具えた高速ミキサーが用いられる。

【００１０】このような高速ミキサーとしては、堅型シ
リンダーの中に混合ブレードが取り付けられた高速撹拌
軸を有する高速ミキサーが好適であり、シュギミキサー
などがある。図１は、本発明で用いられる高速ミキサー
の構成例を模式的に示す説明図である。

【００１１】堅型シリンダー１１の中心には、駆動モー
タ１３によって駆動される高速回転軸１５が設けられて
おり、この高速回転軸１５には混合ブレード１７が取り
付けられている。堅型シリンダー１１の上部に粉体原料
として粉粒状アルカリ性無機物質を定量的に連続供給す
ると、粉粒状アルカリ性無機物質は高速回転軸１５の高
速回転により渦巻状の激しい乱流を起こす。この乱流の
中にアニオン界面活性剤の液状酸型前駆体をスプレーノ
ズル２１から微粒子状態で連続供給し、また同時に、液
状アルカリ性塩をスプレーノズル２３から同様に微粒子
状態で連続供給し、液状酸型前駆体と液状アルカリ性塩
との微粒子とを接触せしめると、速やかに中和反応が起
こり、塩型のアニオン界面活性剤が生成する。

【００１２】水酸化ナトリウム水溶液などの液状アルカ
リ性塩は、酸型前駆体を完全に中和する量の５０％以
上、好ましくは８０％以上の量を供給する。この量が５
０％未満であると、中和反応の進行が緩やかとなり５秒
未満での完全な中和が難しくなる。最も好ましくは、酸
型前駆体を完全に中和するのに必要とされる量の液状ア
ルカリ性塩を供給する。

【００１３】また、液状アルカリ性塩との接触によって
も残存する未中和の酸型前駆体は、粉粒状アルカリ無機
物質と接触して中和される。したがって、本発明では、
液状アルカリ性塩と粉粒状アルカリ性無機化合物との合
計量は、酸型前駆体を完全に中和するに足る量以上とす
ることが必要である。

【００１４】このように本発明では、アニオン界面活性
剤の酸型前駆体の５０〜１００％を液状アルカリ性塩で
中和して塩型のアニオン界面活性剤に変換することによ
り、アニオン界面活性剤が得られ、また、最終洗剤組成
物中に含まれるアニオン界面活性剤の量が、粉粒物アル
カリ性無機物質との関係において量的に制約を受けず、
洗剤組成物中におけるアニオン界面活性剤配合量の自由
度が増加する。

【００１５】粉粒状アルカリ無機物質、液状酸型前駆体
および液状アルカリ性塩が堅型シリンダー１１内に供給
されると、高速ミキサーのもつ撹拌機能および剪断機能
により、瞬間的に良好に混合されて中和反応が起こり、
粉体原料とアニオン界面活性剤は良好な混合状態を保っ
て堅型シリンダー１１の内面をスパイラル状に下部排出
口に向かって下降する。この間に混合ブレード１７と堅
型シリンダー１１の内面によって連続的に転動、整粒作
用が為され、アニオン界面活性剤を含む造粒物が、堅型
シリンダー１１の下部の排出口から排出、回収される。
上記の高速ミキサーによれば、非常に短い滞留時間で完
全な中和、混合が可能であり、平均滞留時間は５秒未
満、好ましくは１〜２秒とする。

【００１６】本発明では、高速ミキサー処理の間、生成
物は微粒状または粒状であり、ケーキングやドウの形成
がないため、得られた造粒物は、熟成工程や他の追加工
程を必要とすることなく、アニオン界面活性剤として、
或はそのまま平均粒径３００〜８００μｍ程度の高嵩密
度粒状洗剤組成物とすることができる。また、必要に応
じて、造粒後に粉砕して粒径を調整したり、整粒した
り、微粒ゼオライト等の流動性向上剤を添加したり、酵
素等の洗剤成分を粉体混合するなどして、最終的な高嵩
密度粒状洗剤組成物とすることもできる。

【００１７】アニオン界面活性剤の液状酸型前駆体およ
び液状アルカリ性塩は、それぞれ一流体ノズル、二流体
ノズル等のスプレーノズルにより供給されるが、二流体
ノズルを用いるのが好適であり、特に１個の二流体ノズ
ルにて、酸型前駆体と液状アルカリ性塩とをそれぞれオ
リフィスより同時に噴霧し、直接連続的に接触させる供
給方法は、高速ミキサーの平均滞留時間の短縮に極めて
有効である。図２は、１個のニ流体ノズル３１から酸型
前駆体とアルカリ性塩とを同時に噴霧する場合について
の、二流体ノズル３１のノズル先端部を示す説明図であ
る。この実施例では内周側のオリフィス３３が酸型前駆
体が噴霧され、一方、外周側のオリフィス３５から液状
アルカリ性塩が噴霧され、両者は直接連続的に混合され
る。

【００１８】酸型前駆体および液状アルカリ性塩は、微
粒子化して供給されるが、粒径３００μｍ以下の微粒子
として供給することが好適であり、好ましくは６０μｍ
以下の微粒子とすることにより、特に造粒物の流動性を
向上することができる。

【００１９】高速ミキサーによる混合、中和反応におい
ては、水分量が適正であることが重要であり、反応速度
に極めて大きな影響を与える。高速ミキサーによって得
られる造粒物の含水量が５重量％以上であれば十分に本
発明の作用効果を発揮しうるが、１５重量％を超えると
造粒物の流動性が劣化する場合がある。したがって、高
速ミキサーにより得られる造粒物の水分量が５〜１５重
量％となるように調整する必要があり、特に含水量を５
〜１０重量％に調整することにより、得られる造粒物の
流動性が向上する。

【００２０】上記の含水量を達成する水分は、原料物質
である酸型前駆体、液状アルカリ性塩および粉体原料中
に予じめ配合しておくことができるが、これらからもた
らされる水分のみでは含水量が不足する場合は、高速ミ
キサー内に水を別個に噴霧して含水量を調整すればよ
い。

【００２１】アニオン界面活性剤の酸型前駆体として
は、直接アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィン
スルホン酸、アルキル硫酸エステルなどが用いられ、ナ
トリウム塩、カリウム塩などに中和される。本発明で
は、得られる高嵩密度粒状洗剤組成物中に、中和により
生成したアニオン界面活性剤が１０〜６０重量％、好ま
しくは１０〜４０重量％含まれるように、酸型前駆体を
噴霧添加する。

【００２２】液状アルカリ性塩としては、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリなど公知の材
料の水溶液を任意に選択できる。粉粒状アルカリ性無機
物質としては、任意のものを使用しうるが、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム等の炭酸塩が好適である。粉粒状ア
ルカリ性無機物質は、その粉粒体をそのまま用いてもよ
く、他の洗剤成分とともに噴霧乾燥粒子中に配合し、こ
の噴霧乾燥粒子の形で高速ミキサーに供給してもよい。
また、粉粒状アルカリ性無機物質として、粒径が数１０
μｍのオーダーのものを用いると、高速ミキサーから得
られる造粒物の流動性を向上することができる。

【００２３】本発明では、粉体原料として他の常用の洗
剤原料を高速ミキサーに供給することができる。これら
洗剤原料は、それ自体をそのまま供給してもよく、噴霧
乾燥粒子中に配合して噴霧乾燥粒子の形で供給してもよ
い。洗剤原料としては、アニオン界面活性剤、ノニオン
界面活性剤等の界面活性剤、珪酸ナトリウム等のアルカ
ルビルダー、ゼオライト、硫酸ナトリウム等の中性ビル
ダー、石鹸、亜硫酸ナトリウム、蛍光剤などが挙げられ
る。特に、ゼオライト、またはゼオライトを含む噴霧乾
燥粒子を粉体原料の一部として供給することにより、高
速ミキサーから得られる造粒物の流動性を改善すること
ができる。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、中和時間を短縮してア
ニオン界面活性剤を製造することができ、しかも、任意
濃度の界面活性剤を含む高嵩密度粒状洗剤組成物を単一
工程で連続して製造することができる。したがって、装
置の小型化ができ、設置スペースおよび動力の節減が可
能となり、また、大部分のアニオン界面活性剤を噴霧乾
燥工程を経ることなく洗剤中に配合できるためエネルギ
ーコスト上も有利であり、工業的に優れた製造方法であ
る。

【００２５】

【実施例】高速ミキサーとしてシュギミキサーＦＸ１６
０型（シュギ社製）を用い、アニオン界面活性剤造粒物
ないしは高嵩密度粒状洗剤組成物を調整した。直鎖アル
キルベンゼンスルホン酸（ＬＡＳ−Ｈ）および水酸化ナ
トリウム水溶液は、それぞれ個別のプランジャー式定量
ポンプと二流体噴霧ノズルを用いて、また、粉体原料は
定量フィダーを用いて、それぞれ表１に示した量でシュ
ギーミキサーに供給してアニオン界面活性剤ないしは高
嵩密度粒状洗剤組成物を調製し、その性状を表１に示し
た。このときＬＡＳ−Ｈおよび水酸化ナトリウム水溶液
は液滴径６０μｍに微粒化して噴霧した。また、実験Ｎ
ｏ．１，２，３は１個の二流体ノズルにて一緒に酸型前
駆体（ＬＡＳ−Ｈ）と水酸化ナトリウム水溶液とを噴霧
した。一方、実験Ｎｏ．４，５は２個の二流体ノズルを
用い、ＬＡＳ−Ｈと水酸化ナトリウム水溶液とをそれぞ
れ別個に噴霧した。なお、シュギミキサーの製造能力は
２００〜３００ｋｇ／Ｈｒでミキサー回転数は３０００
ｒｐｍであった。

【００２６】また、製造物性状の中和度は、製造物を−
１５℃のクロロホルムに溶解し、これを０．４５μｍの
濾紙にて吸収濾過した後、濾紙のｐＨを測定しｐＨ９以
上を○と判定した。

【００２７】

【表１】表１：製造条件および製造物性状実験No. １２３４５原料組成(wt%): LAS-H 32 39 48 33 30 水酸化ナトリウム 6 10 12 3 3 炭酸ナトリウム 62 51 40 64 58 ゼオライト − − − − 9 運転条件 NaOH添加量(%) 100 100 100 50 50 滞留時間(秒) 1 1 1 1 1 製造物性状 LAS-Na分(wt%) 34.9 40.0 50.0 35.8 32.5 嵩密度(g/cc) 0.67 0.59 0.73 0.76 0.72 安息角(度) 60 60 70 60 50 含水量(wt%) 6.0 8.9 11.1 5.8 6.8 中和度(-) ○ ○ ○ ○ ○ ＮａＯＨ添加量：ＬＡＳ−Ｈを完全に中和するに必要な水酸化ナトリウム量を１００％としたときの、各実験における水酸化ナトリウムの添加量ＬＡＳ−Ｈ：アルキル基の炭素数が１０〜１４の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明で用いられる高速ミキサーを示す模式図
である。

【図２】本発明における二流体ノズルによる噴霧の一例
を示す説明図である。

【符号の説明】

１１堅型シリンダー１３モータ１５高速回転軸１７混合ブレード２１スプレーノズル２３スプレーノズル３１二流体ノズル３３オリフィス３５オリフィス

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者久保知己東京都墨田区本所１丁目３番７号ライオン株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】撹拌機能および剪断機能を備えた高速ミ
キサー内に、アニオン界面活性剤の液状酸型前駆体およ
び液状アルカリ性塩を微粒子状態で連続的に供給すると
ともに、粉粒状アルカリ性無機物質を連続的に供給して
混合、中和を行ない、このとき前記液状アルカリ性塩と
粉粒状アルカリ性無機物質との合計供給量は前記液状酸
型前駆体を完全に中和するに足る量以上とし、かつ、前
記液状アルカリ性塩の供給量は前記液状酸型前駆体を完
全に中和するに足る量の５０％以上とし、高速ミキサー
内の平均滞留時間が５秒未満であることを特徴とするア
ニオン界面活性剤の製造方法。
【請求項２】撹拌機能および剪断機能を備えた高速ミ
キサー内に、アニオン界面活性剤の液状酸型前駆体およ
び液状アルカリ性塩を微粒子状態で連続的に供給すると
ともに、粉粒状アルカリ性無機物質を連続的に供給して
混合、中和を行ない、このとき前記液状アルカリ性塩と
粉粒状アルカリ性無機物質との合計供給量は前記液状酸
型前駆体を完全に中和するに足る量以上とし、かつ、前
記液状アルカリ性塩の供給量は前記液状酸型前駆体を完
全に中和するに足る量の５０％以上とし、高速ミキサー
内の平均滞留時間を５秒未満とし、中和により生成した
アニオン界面活性剤を１０〜６０重量％含み、含水量が
５〜１５％である粉粒物を得ることを特徴とする高嵩密
度粒状洗剤組成物の製造方法。