JPH08273676A - 固体電解質型燃料電池の燃料電極とその成膜方法 - Google Patents

固体電解質型燃料電池の燃料電極とその成膜方法

Info

Publication number
JPH08273676A
JPH08273676A JP7100612A JP10061295A JPH08273676A JP H08273676 A JPH08273676 A JP H08273676A JP 7100612 A JP7100612 A JP 7100612A JP 10061295 A JP10061295 A JP 10061295A JP H08273676 A JPH08273676 A JP H08273676A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel electrode
solid electrolyte
electrode
electrolyte membrane
thermal expansion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7100612A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3609146B2 (ja
Inventor
Masakatsu Nagata
雅克 永田
Mikiyuki Ono
幹幸 小野
Tsutomu Iwazawa
力 岩澤
Satoru Yamaoka
悟 山岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP10061295A priority Critical patent/JP3609146B2/ja
Publication of JPH08273676A publication Critical patent/JPH08273676A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3609146B2 publication Critical patent/JP3609146B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/9041Metals or alloys
    • H01M4/905Metals or alloys specially used in fuel cell operating at high temperature, e.g. SOFC
    • H01M4/9066Metals or alloys specially used in fuel cell operating at high temperature, e.g. SOFC of metal-ceramic composites or mixtures, e.g. cermets
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/8636Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells with a gradient in another property than porosity
    • H01M4/8642Gradient in composition
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体電解質型燃料電池の燃料電極の電子伝導
性を損なうことなく、固体電解質膜と燃料電極の破損を
防止する。 【構成】 イットリア安定化ジルコニアからなる固体電
解質膜1を挟んで燃料電極2と空気電極とを設けた固体
電解質型燃料電池の燃料電極において、燃料電極2が、
その固体電解質膜1側の部分からその厚さ方向に熱膨張
率が直線的に増大するように、イットリア安定化ジルコ
ニアとニッケルとを混合しかつその混合割合を連続的に
変化させた混合粉末材料によって、多孔構造の膜状に形
成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、酸素イオン透過性の
ある固体電解質を介して酸化・還元反応を行うことによ
って起電力を得る固体電解質型燃料電池に関し、特にそ
の燃料電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体電解質型燃料電池は、図6に模式的
に示すように、薄膜状の固体電解質膜1を挟んだ両側
に、多孔質膜である燃料電極2と空気電極3とを形成し
たものであり、燃料電極2側に導入される水素ガス(H
2 ガス)等の燃料ガスと空気電極3側に導入される酸素
を含む気体(例えば空気)中の酸素(O2 )とが、固体
電解質膜1を介して電気化学的に反応することにより、
各電極2,3を介して起電力を得ることができる。
【0003】すなわち、空気は空気電極3の内部を固体
電解質膜1の表面にまで拡散し、その空気に含まれるO
2 がイオン化する。そして、酸素イオン(O2-)の濃度
差に起因して、O2-が固体電解質膜1の内部を燃料電極
2の方向へ移動する。また燃料電極2側では、H2 ガス
が燃料電極2の内部を固体電解質膜1の表面にまで拡散
し、ここで固体電解質膜1を通って移動してきたO2-
結合して電荷2eを放出する。このような電気化学的な
反応により生じる起電力が各電極2,3を介して外部に
取り出される。
【0004】上記の反応は、固体電解質膜1の活性度が
優れる1000℃程度で行われるので、固体電解質膜1
としては、酸素イオン透過性に優れることは勿論、高温
安定性に優れ、かつ導電性がないなどの特性が要求され
る。そのため従来では、イットリアやカルシアで安定化
したジルコニア(YSZあるいはCSZ)が固体電解質
として使用されている。
【0005】また、空気電極3は、強い酸化性雰囲気に
置かれるから、電子伝導性が高くかつ分極を生じにくい
こと、あるいは固体電解質膜1との熱膨張率の差が小さ
いことなどのほかに、耐酸化性に優れていることが要求
される。そこで従来では、空気電極3をペロブスカイト
型ランタン系複合酸化物によって形成している。
【0006】一方、燃料電極2は、起電力を外部に取り
出すための電極であるから、電子伝導性が高くかつ分極
を生じにくいことのほかに、高温の還元雰囲気に曝され
るから、高温での安定性が要求されている。そのため、
この燃料電極2として、従来、ニッケル(Ni )のサー
メットが採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の固体電解質
型燃料電池によって発電を行う場合、この固体電解質型
燃料電池の固体電解質膜1および燃料電極2は、長時間
高温の雰囲気中にさらされて、それぞれ高温状態とな
る。すると、Ni のサーメットから構成された燃料電極
2の熱膨張率とYSZ等から構成された固体電解質膜1
の熱膨張率の差に起因して、これら固体電解質膜1もし
くは燃料電極2にクラックが生じたり、これら固体電解
質膜1と燃料電極2との接合部分に剥離現象が生じると
いう不都合があった。
【0008】そこで、Ni とYSZとの混合材料による
サーメットを燃料電極2として採用することも考えられ
るが、そのような構成では燃料電極2の抵抗が大きくな
るため、この固体電解質型燃料電池としての発電効率が
低下してしまう。
【0009】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであって、発電効率を低下することなく、熱膨
張率の差に起因する燃料電池の損傷を防止することので
きる燃料電極およびその成膜方法を提供することを目的
とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載された発明は、イットリア安定化
ジルコニアからなる固体電解質膜を挟んで燃料電極と空
気電極とを設けた固体電解質型燃料電池の燃料電極にお
いて、前記燃料電極が、その固体電解質膜側の部分から
その厚さ方向に熱膨張率が次第に増大するように、イッ
トリア安定化ジルコニアとニッケルもしくは酸化ニッケ
ルとを混合しかつその混合割合を連続的に変化させた混
合粉末材料によって、多孔構造の膜状に形成されている
ことを特徴とするものである。
【0011】また、請求項2に記載した発明は、イット
リア安定化ジルコニアからなる固体電解質膜を挟んで燃
料電極と空気電極とを設けた固体電解質型燃料電池の燃
料電極において、前記燃料電極が、その熱膨張率が前記
固体電解質膜側で小さくかつ前記固体電解質膜側とは反
対の表面側で大きく、かつ所定厚さごとに段階的に大き
くなるよう、イットリア安定化ジルコニアとニッケルも
しくは酸化ニッケルとを混合しかつその混合割合を段階
的に変化させた混合粉末材料によって、多孔構造の膜状
に形成されていることを特徴とするものである。
【0012】このとき、請求項3に記載した発明は、前
記段階的に変化させた混合粉末材料によって形成される
燃料電極の隣接する部分の熱膨張率の差が、0.5×1
-6/K以内であることを特徴とするものである。
【0013】さらに、請求項4に記載した発明は、前記
燃料電極の前記固体電解質膜に隣接する部分が、ニッケ
ルの割合が15〜42wt%に調製された前記混合粉末材
料によって形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0014】また、請求項5に記載した発明は、イット
リア安定化ジルコニアからなる固体電解質膜を挟んで燃
料電極と空気電極とを設けた固体電解質型燃料電池の燃
料電極の成膜方法において、前記固体電解質膜の表面
に、ニッケルの割合を15〜42wt%にしたイットリア
安定化ジルコニアとニッケルもしくは酸化ニッケルとの
混合材料粉末を溶射して薄膜を形成し、その後、熱膨張
率が次第に増大するように、イットリア安定化ジルコニ
アとニッケルもしくは酸化ニッケルとの配合割合を調製
しつつその混合材料粉末を順次溶射して、所定の厚さの
多孔構造の膜状に形成することを特徴とするものであ
る。
【0015】
【作用】請求項1に記載した発明によれば、イットリア
安定化ジルコニアとニッケルもしくは酸化ニッケルとの
混合粉末材料から構成される燃料電極の熱膨張率は、イ
ットリア安定化ジルコニアの熱膨張率(10.5×10
-6/K)とニッケルの熱膨張率(17.0×10-6
K)との間の値になるとともに、これらイットリア安定
化ジルコニアとニッケルもしくは酸化ニッケルとの混合
割合で決定される。
【0016】そこで、燃料電極の熱膨張率が、固体電解
質膜側からその厚さ方向に連続的あるいは直線的に増大
するよう設定されているので、これら燃料電極と固体電
解質膜との境界面において、燃料電極や固体電解質膜に
作用する熱応力が小さくなる。そのため、これら固体電
解質膜や燃料電極のクラックの発生や固体電解質膜と燃
料電極との剥離現象が防止される。
【0017】一方、燃料電極の固体電解質膜とは反対側
の部分、すなわち燃料電極の表面側の部分が、その熱膨
張率を大きくするように、ニッケルの混合割合が大きく
構成されている。そのため、この部分の電子伝導性がニ
ッケルの電子伝導性に近くなる。
【0018】したがって、固体電解質と燃料電極との境
界面において、水素ガスと酸素イオンとが反応して電荷
が放出されると、この電荷は燃料電極の表面側の部分に
移動して、この部分を介して外部に取り出される。言い
換えると、電気化学反応によって得られた電気エネルギ
が、電子伝導性が良好な部分、すなわち電気抵抗の少な
い部分を通過して外部に移動する。そのため、発電され
た電気エネルギが、ジュール熱として消費されずに、外
部に取り出される。
【0019】また、請求項2に記載した発明によれば、
燃料電極の熱膨張率が、固体電解質膜側から所定厚さご
とに所定の値ずつ大きくなるように設定されているの
で、この燃料電極の各部位や固体電解質膜に作用する熱
応力を小さくすることができ、しかも発電された電気エ
ネルギが電子伝導性が良好な燃料電極の表面側の部分を
介して外部に取り出される。
【0020】請求項3に記載された発明によれば、請求
項2に記載した発明によって形成された燃料電極におけ
る隣接する各部位の熱膨張率の差が、0.5×10-6
K以内の所定の値に設定されているので、この燃料電極
の各部位や固体電解質膜にクラックや剥離現象を生じさ
せるような大きな熱応力が作用しない。すなわち、固体
電解質膜や燃料電極のクラックや固体電解質膜と燃料電
極との間の剥離現象が防止される。
【0021】さらに、請求項4に記載した発明によれ
ば、燃料電極の固体電解質膜に隣接する燃料電極の部分
が、ニッケルの割合を15wt%〜42wt%にした混合粉
末材料によって形成されている。この混合割合が15wt
%未満になると、この部分の電子伝導性が大幅に低下し
てしまい、この燃料電池によって発電された電気エネル
ギを良好に取り出せなくなってしまう。また、この混合
割合が42wt%を超えると、この部分の熱膨張率と固体
電解質膜の熱膨張率との差が過大になってしまうので、
固体電解質膜や燃料電極の固体電解質膜に隣接する部分
にクラックや剥離現象が生じることがある。
【0022】また、請求項5に記載した発明によれば、
混合材料の混合割合を連続的に変えながら行われる溶射
法によって、燃料電極が成膜される。したがって下層の
成膜とその上側の層の成膜とを同一工程で連続して行う
ことができ、その結果、傾斜機能をもった燃料電極が容
易かつ迅速に形成され、生産性が向上する。
【0023】
【実施例】つぎにこの発明を実施例に基いて説明する。
図1は請求項1に記載した発明による燃料電極の模式的
な断面図であって、イットリア安定化ジルコニア(YS
Z)からなる固体電解質1の表面に燃料電極2が形成さ
れている。この燃料電極2は、導電性および耐熱耐火性
を確保するためにニッケル(Ni )を主材として形成さ
れているが、YSZを配合することにより、固体電解質
1との熱膨張率の整合性が取られている。なお、Ni の
素材としては、Ni 粉末を使用できるが、これに替えて
酸化ニッケル(Ni O)を使用できる。Ni Oは、燃料
電池の発電中、高温の還元雰囲気にさらされてNi とな
って導電性を備えるので、Ni と何等変わることなく燃
料電極として作用する。
【0024】この燃料電極2の組成をより具体的に説明
すると、Ni の熱膨張率が17.0×10-6/Kである
のに対して、YSZからなる固体電解質1の熱膨張率が
10.5×10-6/Kであるから、両者の整合性を取る
ために、この燃料電極2は、Ni にYSZを配合して形
成されている。その配合割合は、固体電解質1の熱膨張
率が小さいのであるから、燃料電極2のうち固体電解質
1側の部分でYSZの配合割合が多くなっている。具体
的には、燃料電極2のうち固体電解質1との境界部分に
おけるNi の配合割合が、15wt%〜42wt%に設定さ
れている。
【0025】Ni の配合割合の下限値を15wt%とした
のは、図2に示すNi の配合割合に対する電気抵抗値の
変化から知られるように、Ni の配合割合が15wt%未
満であれば、その部分の電気抵抗が大きくなり過ぎて燃
料電池の全体としての発電効率を損なうことになるから
である。また上限値を42wt%としたのは、これより多
ければ、図3に示すNi の配合割合に対する熱膨張率の
変化から知られるように、燃料電極2と固体電解質1と
の境界部分での熱膨張率の差が大きくなり過ぎるからで
ある。具体的には、熱膨張率の差が0.5×10-6/K
を超えてしまい、発電温度(約1000℃)に加熱した
場合に、熱応力によって亀裂や剥離が生じるおそれがあ
る。
【0026】またこの燃料電極2は、Ni の配合割合を
固体電解質1側からこれとは反対側に向けて次第に増大
させることにより、その熱膨張率が表面側で次第に増大
するように構成されている。図1に示す例では、熱膨張
率が固体電解質1側からこれとは反対側すなわち表面側
に向けて直線的かつ連続的に増大するように構成されて
いる。これは、Ni の配合割合を次第に増大させること
により可能である。その場合、図3に示すように、Ni
含有率と熱膨張率とは反比例の関係にあり、この図3か
ら求められるNi 含有率を適宜選択して熱膨張率が直線
的かつ連続的に変化するように設定することができる。
【0027】なお、燃料電極2の熱膨張率は、段階的に
変化させることもできる。その例を図4に模式的に示し
てある。すなわち固体電解質1の表面に形成される第1
層2aの熱膨張率が最も小さく設定され、この上に積層
される第2層2b以降の層2c,2d,……2mでの熱
膨張率が、順に増大させられている。ここで第1層2a
は、固体電解質1に直接接触するのであるから、そのN
i の配合割合は、前述したように15wt%〜42wt%に
設定することが好ましい。これに対して第2層2b以降
の層での熱膨張率は、下側の層の熱膨張率に対して0.
5×10-6/K以下の変化幅の熱膨張率に設定されてい
る。このように熱膨張率を段階的に変化させるために
は、Ni もしくはNi OとYSZとの混合粉末における
Ni の配合割合を例えば図3に基づいて求めるととも
に、その配合割合に調整した混合粉末を使用して燃料電
極2の各層を形成すればよい。なお、その場合、第1層
2aでのNi の配合割合を例えば42wt%とすれば、そ
の熱膨張率が約11.0×10-6/Kとなるから、第1
3層2mにおけるNi の割合は100%となる。
【0028】この発明にかかる上記の燃料電極2を一方
の面に形成した固体電解質1の他の面には、通常の固体
電解質型燃料電池と同様に、空気電極が形成され、約1
000℃の活性温度に加熱された状態で、空気電極側に
空気を流通させ、かつ燃料電極2側にH2 ガスなどの燃
料ガスが流通させられて発電の用に供される。そして空
気電極側で空気中の酸素がイオン化し、そのイオンが固
体電解質1を透過して燃料電極2側で燃料ガスと反応す
る。そしてそれら一連の反応に伴う電気エネルギを各電
極から外部の負荷に取り出し、発電が行われる。
【0029】このように燃料電極2および固体電解質1
は、発電中に高温に加熱昇温されるが、図1に示すよう
に、燃料電極2におけるNi の配合割合が変化させられ
てその熱膨張率が直線的かつ連続的に変化した状態にな
っていれば、固体電解質1と燃料電極2との間の熱応力
は勿論のこと、燃料電極2の内部での熱応力が低減さ
れ、剥離や亀裂などが未然に防止される。また燃料電極
2におけるNi の配合割合が必要充分に確保されている
ので、燃料電極2の電気抵抗を低く抑えることができ。
その結果、燃料電極2でのジュール損失が少なくなって
燃料電池全体としての発電効率が良好になる。
【0030】また図4に示すように、燃料電極2の熱膨
張率を段階的に変化させ、かつその隣接する箇所同士の
間での熱膨張率の差を0.5×10-6/K以下とした場
合には、図1に示す場合と同様に、固体電解質1と燃料
電極2との間の熱応力および燃料電極2の内部の熱応力
を小さくして亀裂や剥離などを未然に防止することがで
き、さらに燃料電極2の電気抵抗を小さくして燃料電池
全体としての発電効率を向上させることができる。そし
て特に図4に示す構成では、燃料電極2を構成する混合
粉末のNi の配合割合を段階的に変えることができるの
で、混合粉末の調整など、製造作業性の良好なものとす
ることができる。
【0031】ここで上述した燃料電極2を形成する方法
について説明する。前述したようにこの発明にかかる燃
料電極2は、セラミックスの混合粉末から形成されてお
り、その形成方法として溶射方法が採用される。これを
図5に模式的に示してあり、プラズマを発生させる溶射
ガン4に対して原料チャンバ5から原料粉末が供給さ
れ、その原料粉末が溶融させられた状態で固体電解質1
の表面に吹き付けられ、ここに次第に堆積して燃料電極
2の薄膜を形成する。その原料チャバ5には、YSZ粉
末供給源6とNi 粉末供給源7とが接続されており、約
40μmの粒径に調製されたこれらの粉末原料が原料チ
ャンバ5に所定量づつ供給され、かつ撹拌混合される。
【0032】図1に示す構成の燃料電極2を形成する場
合には、溶射開始当初にNi の配合割合が15wt%〜4
2wt%に調整され、溶射の進行に伴ってNi 供給源7か
らの供給量が次第に増大させられ、Ni の配合割合が多
くなる。すなわち燃料電極2の表面側での熱膨張率が次
第に大きくする。
【0033】また図4に示す構成の燃料電極2を形成す
る場合には、所定の膜厚まで溶射を行った後にNi の供
給量を一定量増大し、1層ごとにNi の配合割合を多く
して表面側の層での熱膨張率を段階的に増大させる。
【0034】したがって上記の図1の燃料電極2あるい
は図4に示す燃料電極2のいずれを形成する場合であっ
ても、上述のようにYSZ粉末およびNi 粉末もしくは
NiO粉末を原料としてこれらを所定量づつ混合しなが
ら溶射を行えば、燃料電極2の厚さ方向での組成が変化
しているとしても、一工程で連続的に燃料電極2の全体
を形成することができる。そのためこの発明にかかる上
記の形成方法によれば、燃料電極2を迅速かつ容易に形
成することができ、燃料電極2を形成する作業性を向上
し、ひいては燃料電池全体としての製造作業性を向上さ
せることができる。
【0035】なお、上記の実施例では、プラズマ溶射法
によって燃料電極2を形成することとしたが、この発明
では、アーク溶射もしくはフレーム溶射等の適宜の溶射
方法を用いることができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による燃
料電極は、固体電解質側からこれとは反対側に向けて熱
膨張率が次第に大きくなるように傾斜化されて構成され
ているから、加熱昇温した際の固体電解質との間の熱応
力が低減されて、亀裂や剥離などが未然に防止され、さ
らに燃料電極の全体としては電気抵抗を低く抑えること
ができるので、発電効率を良好な状態に維持することが
できる。特に請求項2あるいは請求項3に記載したよう
に、熱膨張率が段階的に変化するように構成し、かつ隣
接する箇所での熱膨張率の差が0.5×10-6/K以下
となるように構成した場合には、熱膨張率が連続的に変
化する場合と同様に熱応力を低く抑えることができ、ま
た同時に製造時の混合粉末の調整が容易になって製造作
業性が向上する。
【0037】さらに請求項4に記載した発明のように、
燃料電極のうち固体電解質との境界部分のNi の配合割
合を15wt%〜42wt%とした場合には、燃料電極の電
気抵抗を増大させることなく、固体電解質との間の熱応
力を小さく抑えることができ、この部分での剥離や亀裂
などを確実に防止することができる。
【0038】そしてこの発明の方法によれば、厚さ方向
での組成が異なっている傾斜機能化した燃料電極を、一
工程でかつ連続的に形成することができ、燃料電極ある
いは燃料電池の製造作業性を従来になく向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は請求項1に記載した発明の一実施例を
模式的に示した概略の断面図であり、(B)は(A)に
示した燃料電極における厚さ方向での熱膨張率の変化の
状態を示した線図である。
【図2】YSZ粉末とNi 粉末との混合粉末におけるN
i 粉末の配合割合と発電時の分極抵抗値(300mA 通
電時の分極値)との関係を示す線図である。
【図3】YSZ粉末とNi 粉末との混合粉末からなる溶
射皮膜の熱膨張率とNi の配合割合との関係を示す線図
である。
【図4】熱膨張率を段階的に変化させた燃料電極の一例
を模式的に示す部分断面図である。
【図5】この発明の方法を説明するための模式図であ
る。
【図6】固体電解質型燃料電池の原理的な構造を示す模
式的な説明図である。
【符号の説明】
1…固体電解質膜、 2…燃料電極、 2a,〜2m…
薄膜、 4…溶射ガン、 5…チャンバ、 6…YSZ
粉末供給源、 7…Ni 粉末供給源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岡 悟 東京都江東区木場一丁目5番1号 株式会 社フジクラ内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イットリア安定化ジルコニアからなる固
    体電解質膜を挟んで燃料電極と空気電極とを設けた固体
    電解質型燃料電池の燃料電極において、 前記燃料電極が、その固体電解質膜側の部分からその厚
    さ方向に熱膨張率が次第に増大するように、イットリア
    安定化ジルコニアとニッケルもしくは酸化ニッケルとを
    混合しかつその混合割合を連続的に変化させた混合粉末
    材料によって、多孔構造の膜状に形成されていることを
    特徴とする固体電解質型燃料電池の燃料電極。
  2. 【請求項2】 イットリア安定化ジルコニアからなる固
    体電解質膜を挟んで燃料電極と空気電極とを設けた固体
    電解質型燃料電池の燃料電極において、 前記燃料電極が、その熱膨張率が前記固体電解質膜側で
    小さくかつ前記固体電解質膜側とは反対の表面側で大き
    く、かつ所定厚さごとに段階的に大きくなるよう、イッ
    トリア安定化ジルコニアとニッケルもしくは酸化ニッケ
    ルとを混合しかつその混合割合を段階的に変化させた混
    合粉末材料によって、多孔構造の膜状に形成されている
    ことを特徴とする固体電解質型燃料電池の燃料電極。
  3. 【請求項3】 前記段階的に変化させた混合粉末材料に
    よって形成される燃料電極の隣接する部分の熱膨張率の
    差が、0.5×10-6/K以内であることを特徴とする
    請求項2に記載の固体電解質型燃料電池の燃料電極。
  4. 【請求項4】 前記燃料電極の前記固体電解質膜に隣接
    する部分が、ニッケルの割合が15〜42wt%に調製さ
    れた前記混合粉末材料によって形成されていることを特
    徴とする請求項1ないし請求項3に記載の固体電解質型
    燃料電池の燃料電極。
  5. 【請求項5】 イットリア安定化ジルコニアからなる固
    体電解質膜を挟んで燃料電極と空気電極とを設けた固体
    電解質型燃料電池の燃料電極の成膜方法において、 前記固体電解質膜の表面に、ニッケルの割合を15〜4
    2wt%にしたイットリア安定化ジルコニアとニッケルも
    しくは酸化ニッケルとの混合材料粉末を溶射して薄膜を
    形成し、その後、熱膨張率が次第に増大するように、イ
    ットリア安定化ジルコニアとニッケルもしくは酸化ニッ
    ケルとの配合割合を調製しつつその混合材料粉末を順次
    溶射して、所定の厚さの多孔構造の膜状に形成すること
    を特徴とする固体電解質型燃料電池の燃料電極の成膜方
    法。
JP10061295A 1995-03-31 1995-03-31 固体電解質型燃料電池の燃料電極 Expired - Fee Related JP3609146B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10061295A JP3609146B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 固体電解質型燃料電池の燃料電極

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10061295A JP3609146B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 固体電解質型燃料電池の燃料電極

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08273676A true JPH08273676A (ja) 1996-10-18
JP3609146B2 JP3609146B2 (ja) 2005-01-12

Family

ID=14278676

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10061295A Expired - Fee Related JP3609146B2 (ja) 1995-03-31 1995-03-31 固体電解質型燃料電池の燃料電極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3609146B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001283876A (ja) * 2000-04-03 2001-10-12 Tokyo Gas Co Ltd 固体電解質型燃料電池の単電池
NL1016458C2 (nl) * 2000-10-23 2002-05-01 Stichting En Onderzoek Ct Nede Anodesamenstel.
JP2003059523A (ja) * 2001-08-14 2003-02-28 Nissan Motor Co Ltd 固体電解質型燃料電池
JP2009518810A (ja) * 2005-12-08 2009-05-07 シーメンス パワー ジェネレイション インコーポレイテッド 多段濃度勾配の燃料電極及びその製作方法
JP2010027457A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体電解質型燃料電池の発電膜及びこれを備えた固体電解質型燃料電池、並びに固体電解質型燃料電池の発電膜の製造方法
JP2011210420A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Toshiba Corp 電気化学セル
JP2012009228A (ja) * 2010-06-23 2012-01-12 Kyocera Corp 横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック、横縞型固体酸化物形燃料電池バンドルおよび燃料電池

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001283876A (ja) * 2000-04-03 2001-10-12 Tokyo Gas Co Ltd 固体電解質型燃料電池の単電池
NL1016458C2 (nl) * 2000-10-23 2002-05-01 Stichting En Onderzoek Ct Nede Anodesamenstel.
WO2002035634A1 (en) * 2000-10-23 2002-05-02 Stichting Energieonderzoek Centrum Nederland Anode assembly for an electrochemical cell
JP2003059523A (ja) * 2001-08-14 2003-02-28 Nissan Motor Co Ltd 固体電解質型燃料電池
JP2009518810A (ja) * 2005-12-08 2009-05-07 シーメンス パワー ジェネレイション インコーポレイテッド 多段濃度勾配の燃料電極及びその製作方法
JP2010027457A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 固体電解質型燃料電池の発電膜及びこれを備えた固体電解質型燃料電池、並びに固体電解質型燃料電池の発電膜の製造方法
JP2011210420A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Toshiba Corp 電気化学セル
JP2012009228A (ja) * 2010-06-23 2012-01-12 Kyocera Corp 横縞型固体酸化物形燃料電池セルスタック、横縞型固体酸化物形燃料電池バンドルおよび燃料電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP3609146B2 (ja) 2005-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6635376B2 (en) Solid oxide fuel cell having composition gradient between electrode and electrolyte
JP2695641B2 (ja) 固体電解質燃料電池の製造方法
JPH05135787A (ja) 固体電解質膜の製造方法及び固体電解質型燃料電池の製造方法
WO2006010260A1 (en) Anode supported solid oxide fuel cell with a porous multifunctional layer
JP4840718B2 (ja) 固体酸化物形燃料電池
JP3599894B2 (ja) 固体電解質型燃料電池の燃料電極
US8211587B2 (en) Plasma sprayed ceramic-metal fuel electrode
Lu et al. Enhanced performance of an anode-supported YSZ thin electrolyte fuel cell with a laser-deposited Sm0. 2Ce0. 8O1. 9 interlayer
JP3915500B2 (ja) 薄膜積層体、その製造方法およびそれを用いた固体酸化物型燃料電池
JPH08213029A (ja) 固体電解質型燃料電池の燃料電極
JP4859522B2 (ja) 固体電解質型燃料電池及びその製造方法
JPH08273676A (ja) 固体電解質型燃料電池の燃料電極とその成膜方法
JP3720539B2 (ja) 固体電解質型燃料電池の燃料電極材料およびそれを用いた燃料電極成膜方法
KR101522839B1 (ko) 프로톤 전도성 고체 산화물 연료전지용 공기극의 제조방법 및 이를 이용한 프로톤 전도성 고체 산화물 연료전지용 공기극
JP2003263996A (ja) 固体酸化物型燃料電池
JPH0395859A (ja) 固体電解質型燃料電池
JPH1074528A (ja) 固体電解質型燃料電池およびその製造方法
CN111029596B (zh) 固体氧化物燃料电池阴极及其制备方法、固体氧化物燃料电池及其制备方法和电动装置
JPH09266000A (ja) 固体電解質型燃料電池及びその製造方法
JP2818948B2 (ja) 固体電解質燃料電池の製造方法
JP2848551B2 (ja) 固体電解質型燃料電池の電解質膜製造方法
JPH09265999A (ja) 固体電解質型燃料電池及びその製造方法
JP2010192288A (ja) 電解質・電極接合体及びその製造方法
JPH08195216A (ja) 固体電解質型燃料電池の製造方法
JP2003263997A (ja) 固体酸化物型燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040323

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20041012

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041013

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081022

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091022

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101022

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees