JPH08266604A - 消臭・抗菌剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 鉄クロロフィリンまたはその誘導体を有効成
分とする消臭・抗菌剤。 【効果】 本発明の消臭・抗菌剤は、悪臭原因物質（硫
化水素、メチルメルカプタン等の悪臭硫黄化合物、アン
モニア、トリメチルアミン、インドール、スカトール等
の悪臭アミン化合物、プロピオン酸、ノルマル酪酸、イ
ソ酪酸等の悪臭低級脂肪酸、およびスチレン、アセトア
ルデヒド等）に対する化学的消臭効果が非常に高く、か
つカビの発生など視覚的に不快感を与える各種微生物の
成育をも抑制するこができ、しかもそれらの効果を長時
間に持続させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、硫黄化合物、アミン化
合物、低級脂肪酸等の悪臭原因物質を強力に消臭し、か
つ微生物の成育を抑制することのできる消臭・抗菌剤に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より消臭に有効な手段としては、芳
香性物質によって悪臭や異臭をマスクする方法、シリカ
ゲルや活性炭などに吸着させたり、シクロデキストリン
に包接させることによる物理的方法、悪臭や異臭成分と
化学的に反応（中和、付加、縮合、酸化等）させて無臭
化する方法等が知られている。

【０００３】クロロフィル化合物である銅クロロフィ
ル、銅クロロフィリンナトリウムなどは消臭効果を有す
ることが知られており、これらの作用機序は、硫黄化合
物、アミン化合物、低級脂肪酸等の悪臭原因物質に対す
る中和、付加、縮合、酸化等の化学的作用によるもので
ある。しかしながら、この様な作用による消臭効果は一
定の効果は有するが、それは一時的であるにすぎず、ま
た有効成分のコストや色調の観点から消臭剤への配合量
には自ずと制限があり、消臭効果を大きくすることがで
きない。また、これらは消臭効果はあるものの、環境汚
染や食品の腐敗の原因となる各種微生物に対し、優れた
抗菌効果を発揮することは期待できない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情を
改善するために成されたもので、消臭効果のみならず、
各種微生物に対して抗菌効果を同時に発揮しうる、消臭
・抗菌剤を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく悪臭原因物質の効率的な除去作用と微生物
に対する抗菌作用を併せ持つ有効成分の探索を試みた結
果、鉄クロロフィリンまたはその誘導体が、硫黄化合
物、アミン化合物、低級脂肪酸等の悪臭原因物質に対し
て消臭効果の不足と持続性が改善された優れた消臭作用
を有し、しかも環境汚染や食品の腐敗の原因となる各種
微生物の成育をも抑制する作用を有することを見出し、
本発明を完成した。すなわち、本発明は、鉄クロロフィ
リンまたはその誘導体を有効成分とする消臭・抗菌剤で
ある。

【０００６】以下、本発明につき更に詳しく検討する。
本発明の消臭・抗菌剤は、鉄クロロフィリンまたはその
誘導体を有効成分とする。鉄クロロフィリンの誘導体と
しては、鉄クロロフィリンアルカリ金属塩、鉄クロロフ
ィリンアルカリ土類金属塩、鉄クロロフィリン塩基性ア
ミノ酸塩、および鉄クロロフィリンと脱脂綿、レーヨン
など高分子材料との共有結合体等が挙げられる。これら
のうち、特に鉄クロロフィリンアルカリ金属塩が好適で
あり、具体的には鉄クロロフィリンナトリウム、鉄クロ
ロフィリンカリウムが挙げられる。これらの一種を単独
で使用しても良く、二種以上を併用しても良い。なお鉄
クロロフィリンナトリウムの薬理作用に関しては、近年
わが国でも様々な研究が成されており、抗菌作用、その
ＳＯＤ様活性による抗癌作用、酸素配位結合特性をいか
した人工血液としての応用性などもあるが、消臭力と消
臭効果の持続性などを飛躍的に向上させるとともに、微
生物生育抑制効果も有するということは本発見者らの新
知見によるものである。

【０００７】本発明の消臭・抗菌剤の化学的消臭作用に
より消臭されうる悪臭原因物質としては、例えば、生ゴ
ミ、煙草、人間またはペットの糞尿、口臭等が発生源と
なっている、硫化水素、メチルメルカプタン等の悪臭硫
黄化合物、アンモニア、トリメチルアミン、インドー
ル、スカトール等の悪臭アミン化合物、プロピオン酸、
ノルマル酪酸、イソ酪酸等の悪臭低級脂肪酸、およびス
チレン、アセトアルデヒド等）である。その作用機序
は、これらの悪臭原因物質を中和、付加、重合、縮合、
酸化、還元、イオン結合、水素結合、キレート、包接な
どの化学反応により、無臭もしくは悪臭とならない化合
物に変えてしまうことによる。

【０００８】また、本発明の消臭・抗菌剤は、各種微生
物の生育を抑制し、優れた抗菌力を発揮しうる。本発明
の消臭・抗菌剤によってその生育が抑制されうる微生物
としては、枯草菌（Bacillus subtilis)、大腸菌 (Esch
erichia coli) 、緑膿菌(Pseudomanos aeruginosa)、黄
色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) 、黒色アスペル
ギルス(Aspergillus nigar) 、カンジダ アルビカンス
(Candida alubicans)ウェルシュ菌(Clostridium perfri
ngens) 、白癬菌（Trichophyton rubrum)、ストレプト
コッカス アウレウス(Streptococcus aureus)等が挙げ
られる。

【０００９】本発明の消臭・抗菌剤の用途としては、例
えば、茶、ドリンク、キャンディー、ガム、タブレッ
ト、ビーズ、ゼリー、シロップ、キャラメル等の各種飲
食・嗜好物、練歯磨、石鹸、シャンプー、ティッシュペ
ーパー、トイレットペーパー、ちり紙、紙オムツ、マス
ク、脱脂綿等の各種衛生用品、シーツ、ふとん、カーテ
ン、タイル目地、塗料、建築材等の住環境用品、口紅、
リップクリーム、トローチ、肝油ドロップ、口中清涼
剤、口中香錠、うがい薬等の各種化粧品、医薬部外品、
医薬品等が挙げられる。

【００１０】また、その使用態様・剤型についても、特
に限定されることなく、例えば、固形状、液状、ペース
ト状、粉末、スプレー剤、ムース状、錠剤等、用途に応
じて多岐にわたって選択されうる。さらに、本願発明の
有効成分を担持、吸着あるいは化学的に結合させた脱脂
綿、レーヨンなどの各種高分子材料もあげることが出来
る。これらは、その態様・剤型に応じた他の成分を配合
して常套的な手段にて調製することができる。また、他
の公知の消臭・抗菌成分と併用することもできる。

【００１１】本発明の消臭・抗菌剤中における有効成分
の含有量は、その使用態様、剤型により適宜変更しる
が、例えば口臭除去用組成物とする場合、有効成分を0.
01〜0.5 重量％程度とすることが例示される。この範囲
の上限を越えると、香味的ににも満足し得なくなった
り、色相も悪くなり、また下限を下回ると効果が得にく
くなり望ましくない。

【００１２】

【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。 〔実施例１〜２，比較例１〜４〕表１に示す組成のキャ
ンディーをそれぞれ調製した。

【００１３】

【表１】

【００１４】〔試験例１〕実施例１〜２，比較例１〜４
で調製したキャンディーについて、その消臭効果を、例
としてメチルメルカプタンおよびトリメチルアミンの除
去率を調べることで確認した。内容量30mlのテフロン製
バイアル瓶に、砕いた各種キャンディ−100mg と水1.5m
l を入れる。次に1ppmメチルメルカプタン水溶液を0.45
mlあるいは、1ppmトリメチルアミン水溶液を1ml 入れ、
すぐに栓をし、37℃15分間振とう保温した後、ガスタイ
トシリンジで外気を1ml 注入し、5 秒間攪拌し、ヘッド
スペース1ml を抜き取り、ガスクロマト分析でメチルメ
ルカプタンのピークあるいはトリメチルアミンのピーク
の面積を測定した。その面積値から消臭率を次のように
計算した。

【００１５】

【式１】消臭率＝｛（Ｃ−Ｓ）／Ｃ｝×１００（％） Ｃ：コントロールのメチルメルカプタンあるいはトリメ
チルアミンピーク面積 Ｓ：サンプル添加時のメチルメルカプタンあるいはトリ
メチルアミンピーク面積

【００１６】ガスクロマトグラフィーの分析条件は以下
の通りである。 メチルメルカプタンのガスクロマトグラフ：Shimadzu G
C-17A 型 カラム：ββ’-Oxydipropionitrile 25% Chromosorb
W AW-DMCS 60〜80メッシュ ガラスカラム: 3.1m×2.6mmφ カラム温度：80℃ キャリアガス：ヘリウム 30ml/min. 検出器：FPD ． トリメチルアミンのガスクロマトグラフ：Shimadzu GC-
17A 型 カラム：Amipack 141 80〜100 メッシュ ガラスカラム: 3.1m×2.6mmφ カラム温度：60℃ キャリアガス：窒素 40ml/min. 検出器：FID 結果を表２に示す。

【００１７】

【表２】

【００１８】〔実施例３〜４，比較例５〜８〕表３に示
す組成のそれぞれガムを調製した。

【００１９】

【表３】

【００２０】〔試験例２〕実施例３〜４，比較例５〜８
で調製したガムについて、その消臭効果を、例としてメ
チルメルカプタンおよびトリメチルアミンの除去率を調
べることで確認した。内容量30mlのテフロン製バイアル
瓶に、海砂と共に細かくした各種ガム100mgと水1.5ml
を入れ、以下試験例１と同様に試験を行った。結果を表
４に示す。

【００２１】

【表４】

【００２２】〔試験例３〕表５に示す濃度の銅クロロフ
ィルアセトン溶液（）、銅クロロフィリンナトリウム
水溶液（）、および鉄クロロフィリンナトリウム水溶
液（）を調製し、微生物に対する成育抑制効果を、
例としてBacillus subtilis, Streptococcus aureus お
よびTrichophyton rubrum の成育に与える作用を見るこ
とで確認した。Bacillus subtilis, Streptococcus aur
eus はＢ−４ブイヨン寒天培地に植菌し、３７℃で１日
培養した。培地に生じたコロニ−から菌をかきとって試
験管で振とう培養し、翌日、これを同じ寒天培地で希釈
しシャ−レに流し込み固形化させた。次に表５に示す濃
度の溶液50μlを直径8mm のペーパーディスクに吸収さ
せ、乾燥後これを固形化した培地の上にのせて培養し、
１〜２日後菌の成育状況と阻止円の大きさを観察した。
Trichophyton rubrum はY-1 酵母エキス麦芽エキス寒天
培地に植菌し、上記と同様に試験を行った。結果を表６
に示す。

【００２３】

【表５】

【００２４】

【表６】

【００２５】〔実施例５，比較例９〕まず、以下に示す
方法で、鉄クロロフィリンナトリウムおよび銅クロロフ
ィリンナトリウムを吸着させたレ−ヨン繊維を調製し
た。レーヨン繊維20g を０．５％鉄クロロフィリンナト
リウムあるいは銅クロロフィリンナトリウム水溶液５０
０ｍｌに浸し、室温で１日攪拌する。次に染色された繊
維を取りだし、水洗、乾燥した。

【００２６】〔試験例４〕実施例５，比較例９で得たレ
ーヨン繊維の消臭効果を、例としてメチルメルカプタン
およびトリメチルアミンの除去率を調べることで確認し
た。内容量30mlのテフロン製バイアル瓶に、各レーヨン
繊維100mg を入れた後、20ppm メチルメルカプタンを2
2.5μlあるいは20ppm トリメチルアミンを50μl加え、
以下実施例１〜２と同様に試験を行った。ここで表７に
バイアル瓶に入れたレーヨン繊維の種類と重量を示し、
結果を表８に示す。

【００２７】

【表７】

【００２８】

【表８】

【００２９】〔実施例６，比較例10〜11〕表９に示す水
溶液を調製した。

【００３０】

【表９】

【００３１】〔試験例５〕実施例６，比較例10〜11で調
製したクロロフィリン水溶液および茶抽出物水溶液の消
臭持続性を確認するために、室温で一定期間放置したこ
れらの水溶液のメチルメルカプタン(MeSH)およびトリメ
チルアミン(TMA) の除去率を調べることで確認した。内
容量30mlのテフロン製バイアル瓶に上記の各試験水溶液
1ml と水1.5ml を入れ、以下試験例１と同様に試験を行
った。結果を表10に示す。

【００３２】

【表１０】

【００３３】

【発明の効果】本発明の消臭・抗菌剤は、悪臭原因物質
（硫化水素、メチルメルカプタン等の悪臭硫黄化合物、
アンモニア、トリメチルアミン、インドール、スカトー
ル等の悪臭アミン化合物、プロピオン酸、ノルマル酪
酸、イソ酪酸等の悪臭低級脂肪酸、およびスチレン、ア
セトアルデヒド等）に対する化学的消臭効果が非常に高
く、かつカビの発生など視覚的に不快感を与える各種微
生物の成育をも抑制するこができ、しかもそれらの効果
を長時間に持続させることができる。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄クロロフィリンまたはその誘導体を有
   効成分とする消臭・抗菌剤。