JPH08262386A - カイラルスメクチック液晶素子の製造方法 - Google Patents

カイラルスメクチック液晶素子の製造方法

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JPH08262386A
JPH08262386A JP6824795A JP6824795A JPH08262386A JP H08262386 A JPH08262386 A JP H08262386A JP 6824795 A JP6824795 A JP 6824795A JP 6824795 A JP6824795 A JP 6824795A JP H08262386 A JPH08262386 A JP H08262386A
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JP
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liquid crystal
chiral smectic
phase
temperature
smectic liquid
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JP6824795A
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Tadashi Mihara
正 三原
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】液晶の配向不良を改善し、画像品質に優れたカ
イラルスメクチック液晶素子を製造する。 【構成】配向制御膜7a,7bの表面には、補助電極5
a,…,5b,…に起因する凹凸が形成されている。し
たがって、該表面にラビング処理を施しても、多少の配
向不良が発生する。しかし、本発明においては、作成し
た液晶表示素子Pに所定の温度履歴を加え、 TSmAch+TchISOSmAch≦Tmax≦−−−−−−−−−−−−−−− 2 なる関係を満たす温度Tmax にまで液晶表示素子Pを昇
温し、その後、所定の降温レート(好ましくは、2.2
℃/min 以上)で冷却する。これにより、液晶の配向不
良は改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的には、一対の基
板間にカイラルスメクチック液晶が挟持されて構成され
るカイラルスメクチック液晶素子の製造方法に係り、詳
しくは液晶注入後の処理に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利用
して偏光素子との組み合わせにより透過光線を制御する
型の表示素子がクラーク(Clark)及びラガーウォ
ル(Lagerwall)により提案されている(米国
特許第4639089号明細書、米国特許第43679
24号明細書等)。この強誘電性液晶は、一般に特定の
温度域において、非らせん構造のカイラルスメクチック
C相(SmC* )又はカイラルスメクチックH相(Sm
* )を有し、この状態において、加えられる電界に応
答して第1の光学的安定状態と第2の光学的安定状態の
いずれかを取り、且つ電界の印加のないときはその状態
を維持する性質、すなわち双安定性を有する。また、電
界の変化に対する応答も速やかであり、高速ならびに記
憶型の表示素子用としての広い利用が期待されている。
【0003】ところで、この液晶素子においてはITO
等の透明電極によって信号が送られるようになってい
る。また、近年は、このような液晶素子について大容量
化の要求があり、信号を高速で送る必要がある。
【0004】しかし、上述した透明電極は配線抵抗が比
較的大きいものであり、大容量化に伴って信号が遅延し
たり、駆動波形のなまりが生じたりするという問題があ
った。そして、画像品質を著しく低下させていた。
【0005】そこで、従来より、透明電極の表面に低抵
抗金属による補助電極を形成し、配線抵抗を小さくして
上記問題を回避するようにした液晶素子が利用されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たように補助電極を形成した液晶素子においては、その
補助電極によって配向制御膜の表面に凹凸が生じてい
た。そして、この配向制御膜の表面にラビング処理を施
しても、配向不良が発生し易く、画像品質を低下させて
しまう恐れがあった。
【0007】ここで、配向処理方法としては、温度勾配
による方法、磁場による配向方法、有機配向膜に一軸配
向処理を施す方法、SiO2 等の斜方蒸着による方法等
があるが、有機配向膜に一軸配向処理を施す方法は、安
価で、かつ大面積での配向処理が可能という利点を有し
ており、広く利用されている。
【0008】また、このような配向不良の発生を防止す
る方法として、 配線抵抗が極小である金属を補助電極として使用
し、補助電極の厚みを小さくする方法や、 補助電極を透明電極の下に埋め込んで、配向制御膜
表面の凹凸をなくす方法、等が考えられているが、これ
らの方法は、コストがかかったり、製造が困難である
等、種々の点で問題があった。
【0009】そこで、本発明は、液晶注入後の液晶素子
に所定の温度履歴を加えて再配向処理を施すことによ
り、液晶の配向状態を改善し、画像品質の低下を防止す
る、カイラルスメクチック液晶素子の製造方法を提供す
ることを目的とするものである。また、再配向処理工程
における最高到達温度を所定の範囲にすることにより、
液晶の配向状態をより改善し、画像品質の低下を防止す
る、カイラルスメクチック液晶素子の製造方法を提供す
ることを目的とするものである。さらに、再配向処理工
程における降温レートを所定の範囲(2.2℃/min 以
上)にすることにより、液晶の配向状態をより改善し、
画像品質の低下を防止する、カイラルスメクチック液晶
素子の製造方法を提供することを目的とするものであ
る。またさらに、前記再配向処理工程終了後における前
記カイラルスメクチック液晶素子を、前記最高到達温度
以上の温度には昇温しないようにすることにより、良好
な配向状態を保持する、カイラルスメクチック液晶素子
の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るカイラルス
メクチック液晶素子の製造方法は、上述事情に鑑みなさ
れたものであって、一対の基板間にカイラルスメクチッ
ク液晶を注入してカイラルスメクチック液晶素子を作成
する液晶注入工程と、前記カイラルスメクチック液晶が
カイラルスメクチックC相からコレステリック相になる
まで、前記液晶注入工程終了後のカイラルスメクチック
液晶素子を昇温し、その後、該液晶がカイラルスメクチ
ックC相になるまで降温する再配向処理工程と、からな
ることを特徴とする。この場合、前記再配向処理工程に
おけるカイラルスメクチック液晶素子の最高到達温度を
max とし、スメクチックA相からコレステリック相へ
の相転移温度をTSmAchとし、コレステリック相から
等方相への相転移温度をTchISO とした場合に、 が成立する、ようにすると好ましい。また、前記再配向
処理工程におけるカイラルスメクチック液晶素子の降温
レートが、2.2℃/min 以上である、ようにすると好
ましい。さらに、前記再配向処理工程終了後における前
記カイラルスメクチック液晶素子は、最高到達温度T
max 以上の温度には昇温されない、ようにすると好まし
い。またさらに、前記再配向処理工程終了後のカイラル
スメクチック液晶素子を、前記カイラルスメクチック液
晶がカイラルスメクチックC相からスメクチックA相に
なるまで昇温し、その後、該液晶がカイラルスメクチッ
クC相になるまで降温する後処理工程を備えた、ように
すると好ましい。この場合、前記後処理工程においてA
C電界を印加する、ようにすると好ましい。また、前記
後処理工程において、前記液晶がカイラルスメクチック
C相からSmA相まで昇温しその後SmC相まで降温す
る過程でAC電界を印加する、ようにしてもよい。さら
に、前記後処理工程を2〜20サイクル繰り返し行うよ
うにしてもよい。
【0011】
【作用】以上構成に基づき、カイラルスメクチック液晶
素子が、透明電極の表面に補助電極が形成されて配向制
御膜の表面に凹凸が生じた素子であり、かつ、該配向制
御膜の表面にラビング処理を施して配向処理を行なうも
のであっても、前記再配向処理工程を施すことによって
前記凹凸に伴う配向不良は解消される。
【0012】
【実施例】以下、図1乃至図4に沿って、本発明の実施
例について説明する。
【0013】本実施例に係る液晶表示素子(カイラルス
メクチック液晶素子)Pは、図1に示すように、平行に
配置された一対の電極基板1a,1bを備えている。こ
れらの電極基板1a,1bは、厚さが1.1mmのガラ
ス基板2a,2bをそれぞれ備えており、ガラス基板2
a,2bの表面にはストライプ状(幅170μm程度)
の透明電極3a,…,3b,…が所定間隙(例えば、3
0μm)を開けて多数形成されている。また、これらの
透明電極3a,…,3b,…の表面には、同じくストラ
イプ状(幅20μm程度)の補助電極5a,…,5b,
…が形成されている。なお、透明電極3a,…,3b,
…は、厚さが400〜3000Å(好ましくは、400
〜2000Å。例えば、1500Å)の範囲に設定され
ており、補助電極5a,…,5b,…は、厚さが500
Å〜3000Åの範囲に設定されている。
【0014】さらに、これらの電極3a,…,3b,
…,5a,…,5b,…は絶縁膜6a,6bによって被
覆されており、駆動時におけるショート防止が図られて
いる。これらの絶縁膜6a,6bは、厚さが100〜3
000Å(好ましくは、200〜3000Å)の範囲に
設定されており、Ti−Si膜、SiO2 膜、TiO2
膜、Ta25 膜等によって形成されている。
【0015】またさらに、絶縁膜6a,6bの表面には
配向制御膜7a,7bが形成されている。この配向制御
膜7a,7bは、厚さが50〜1000Åの範囲に設定
されており、高分子ポリマー(ポリビニルアルコール、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、
ポリパラキシリレン、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリアミ
ド、ポリスチレン、セルロース樹脂、メラミン樹脂、ユ
リア樹脂やアクリル樹脂などの有機絶縁物質)によって
形成されている。なお、フッ素含有ポリイミド等にて配
向制御膜7a,7bを形成し、高いプレチルト角を与え
るようにすると好ましい。また、この配向制御膜7a,
7bにはラビング処理が施されており、プレチルト角の
値が10〜30°の範囲内になるように設定されてい
る。さらに、そのラビング処理の方向は、電極基板1
a,1bを貼り合わせた状態における、一方の電極基板
1a又は1bのラビング方向と他方の電極基板1b又は
1aのラビング方向とがなす角度(平面視における交差
角)をθcとした場合に、 0°<θc<20° なる関係を満たすような方向である。なお、角度θcを
このようにすることにより、ユニフォーム配向状態は比
較的安定化され、高いコントラスト比が実現される。
【0016】また、上述した構造の電極基板1a,1b
の間には多数のビーズスペーサ9,…が介装されて、電
極基板1a,1bが所定の間隙を有するように構成され
ている。これらのビーズスペーサ9,…はシリカビーズ
やアルミナビーズによって形成されており、その平均粒
径は0.1〜3.5μm(好ましくは、0.5〜1.6
μm)の範囲内である。
【0017】さらに、電極基板1a,1bは、その周縁
にシール材(不図示)が塗布されて貼り合わされてお
り、電極基板1a,1bの間隙には強誘電性液晶10、
好ましくは、少なくとも2つの安定状態を有する非らせ
ん構造の強誘電性スメクティック液晶(カイラルスメク
チック相状態のもの、具体的にはSm* C相、Sm*
相、Sm* I相、Sm* K相、Sm* G相の液晶)が挟
持されている。
【0018】特に好ましい液晶としては、高温側でコレ
ステリック相(Ch)を示すものを用いることができ、
例えば、下述の相転移温度及び物性値を示すピリミジン
系混合液晶を用いることができる。
【0019】
【化1】 コーン角 Θ=14° 層の傾料角 δ=11° 見かけのチルト角 θa=11.5° なお、以上の物性パラメータ(コーン角Θ、層の傾料角
δ、見かけのチルト角θa及びプレチルト角)は以下の
ようにして測定した。 〈コーン角Θの測定〉10〜30VのDCをFLC素子
の上下基板間に印加しながら直交クロスニコル下、その
間に配置されたFLC素子を偏光板と水平に回転させ第
1の消光位(透過率が最も低くなる位置)を捜し、次に
上記と逆極性のDCを印加しながら第2の消光位を捜
す。このときの第1の消光位から第2の消光位までの角
度の1/2をコーン角Θとした。 〈見かけのチルト角θaの測定〉液晶のしきい値の単発
パルスを印加した後、無電界下、かつ直交クロスニコル
下、その間に配置されたFLC素子を偏光板と水平に回
転させ第1の消光位を捜し、次に上記の単発パルスと逆
極性のパルスを印加した後、無電界下、第2の消光位を
捜す。このときの第1の消光位から第2の消光位までの
角度の1/2をθaとした。 〈プレチルト角αの測定〉Jpn.J.Appl.Ph
ys.Vol.19(1980)No.10、Shor
t Notes 2013に記載されている方法(クリ
スタルローテーション法)に従って求めた。つまり、平
行かつ反対方向にラビングした基板を貼り合わせてセル
厚20μmのセルを作成し、0〜60℃の範囲でSmA
相(スメクチックA相)を有する液晶(A)を封入し測
定を行なった。液晶セルを上下基板に垂直かつ配向処理
軸を含む面で回転させながら回転軸と45°の角度をな
す偏光面を持つヘリウム・ネオンレーザ光を回転軸に垂
直な方向から照射し、その反対側で入射偏光面と平行な
透過軸を持つ偏光板を通してフォトダイオードで透過光
強度を測定した。干渉によってできた透過光強度の双曲
線群の中心となる角と液晶セルに垂直な線となす角度を
φxとし、下式に代入してプレチルト角α0を求めた。
【0020】
【式1】 0 ;常光屈折率 ne ;異常光屈折率 なお、図1中の符号11a,11bは偏向板を示す。
【0021】次に、液晶表示素子Pの製造方法について
説明する。 〈透明電極の形成〉スパッタ法によってガラス基板2
a,2bの表面にITO膜を形成し、フォトリソグラフ
ィ法によってストライプ状にパターニングする。 〈補助電極の形成〉次に、モリブデン等の金属薄膜を2
300Åの厚さに形成し、フォトリソグラフィ法によっ
てストライプ状にパターニングする。 〈絶縁膜の形成〉さらに、Ta25 等の薄膜(例え
ば、厚さ900Å)をスパッタ法によって形成し、その
後に、表面状態改質のため塗布型絶縁層(TiSi=
1:1東京応化社製)を塗布する。そして、300°の
温度で焼成を行なう。膜厚は1200Åである。 〈配向制御膜の形成〉さらに、ポリアミド酸(日立化成
(株)製;LQ1802)をNMP/nBC=1/1液
で1.5wt%に希釈した溶液をスピナーで2000r
pm、20secの条件で塗布し、その後、270℃で
約1時間加熱焼成処理を施した。なお、かかる方法によ
り形成した配向制御膜7a,7bの膜厚は200Åであ
った。 〈ラビング処理〉ラビング処理は、図2に示すラビング
装置30によって行なう。このラビング装置30はラビ
ングローラ31とこれを回転駆動する駆動手段(不図
示)とからなり、ラビングローラ31は、円柱状のロー
ラ21と、該ローラ21の外周面に貼り付けられたナイ
ロン布等のラビング布22によって構成されている。そ
して、ラビング処理に際しては、ラビングローラ31は
矢印Cの方向に回転され、電極基板1a,…は、ラビン
グローラ31に所定圧で当接された状態でBの方向に搬
送される。したがって、配向制御膜7a,7bはラビン
グ布22によって擦られ、該膜には配向規制力が付与さ
れる。なお、この配向規制力の大きさは、ラビングロー
ラ31と配向制御膜7a,7bとの間の当接力によって
決定され、通常はラビングローラ31を上下させて押し
込み量εを変えることにより調整されている。なお、本
実施例におけるラビング条件は、押し込み量εを0.3
5mm、ローラ回転数を1000rmp、ローラ送り速
度を30mm/sec、ラビング回数を2回とした。 〈基板貼り合わせ〉次に、一方の電極基板1a又は1b
の表面にビーズスペーサ9,…を散布し、他方の電極基
板1b又は1aの表面周縁にはエポキシ樹脂等のシール
材をスクリーン印刷法にて塗布し、これらの電極基板1
a,1bを貼り合わせた。 〈液晶注入〉さらに、下記の相転移温度、及び物性値を
示すピリミジン系強誘電性液晶10を減圧下でIso相
(等方相)に昇温し、毛管現象を利用して該液晶をセル
に注入し、その後徐冷した。
【0022】
【化2】 チルト角 θ=15.1° (30℃) 自発分極 Ps=5.5(nc/cm2 ) (30℃) 〈再配向処理工程〉さらに、液晶を注入した液晶表示素
子Pを所定の温度Tmax (以下、“最高到達温度T
max ”とする)まで昇温し、その後所定の冷却速度(以
下、“降温レート”とする)で冷却し、再配向処理を行
なった。
【0023】なお、本実施例においては、再配向時の最
高到達温度Tmax は式2を満足するようにし、降温レー
トは、少なくともCh相からSmA相に転移する間にお
いては、1.6℃/min 以上、好ましくは2.2℃/mi
n 以上とした。これにより、液晶の配向状態が大幅に改
善された。
【0024】
【式2】 ここで、TSmAch;SmA相からCh相への相転移温
度 TchISO ;Ch相からISO相への相転移温度 なお、最高到達温度Tmax の適正範囲(式2)や、降温
レートの適正範囲は、本発明者が実験により求めた。以
下、その実験の内容について説明する。 最高到達温度Tmax について 本発明者は、液晶表示素子Pを種々の最高到達温度T
max まで昇温し、液晶相状態及び配向状態と最高到達温
度Tmax との関係を求めた(表1参照)。なお、液晶表
示素子Pに与えた温度履歴は図3に示す通りであり、室
温を25℃とし、昇温レート及び降温レートを2.5℃
/min とした。
【0025】
【表1】 これより、最高到達温度Tmax が93〜98℃で液晶相
状態がCh相となれば、液晶の配向状態が改善でき、特
に低い温度領域(93〜95℃)が好ましいことが確認
された。
【0026】次に、本発明者は、液晶表示素子Pの温度
を25℃から101℃まで上昇させ、その間における液
晶の配向状態の変化を偏光顕微鏡によって観察した。そ
の結果、液晶注入直後(温度25℃)では配向状態は悪
く、その状態は91.7℃まで保たれていた。そして、
91.7℃〜96℃の温度では配向状態はきれいにな
り、96℃以上の温度ではいくつかの画素においてねじ
れが発生した。さらに100.1℃以上の温度ではすべ
ての画素でIso状態になっていた。また、液晶表示素
子Pの温度を101℃から25℃まで降温させたが、1
01℃から96℃まで降温される過程においてねじれた
配向状態が発生し、さらに温度を下げても、このねじれ
た配向状態は保存されたまま、液晶10はSmC* 状態
になっていた。
【0027】以上の観察から、液晶10は、96℃〜1
00℃の温度に昇温されることにより、その配向状態は
ねじれた状態になり、この温度領域を再配向時に通過す
ることで配向状態が悪くなっているものと考えられる。
すなわち、上述した通り、再配向時の最高到達温度T
max が式2を満たすようにすることにより、液晶の配向
状態が大幅に改善できることが分かった。 降温レートについて 次に、本発明者は、液晶を注入した液晶表示素子Pを多
数作成し、それらを93℃の温度まで昇温し、その後、
この液晶表示素子Pを種々の降温レート(1℃/min 〜
3.1℃/min )で冷却し(図4参照。但し、x℃/mi
n =1、1.3、…℃/min )、冷却後における液晶の
配向状態を観察した。その結果、降温レートが1〜1.
3℃/min では筋状の配向が発生しており、降温レート
が1.6〜1.9℃/min では配向状態は多少改善さ
れ、2.2℃/min 以上の降温レートではきれいな配向
状態であることが確認された(表2参照)。
【0028】
【表2】 次に、本実施例の効果について説明する。
【0029】本実施例によれば、透明電極3a,…,3
b,…の表面に補助電極5a,…,5b,…が形成され
て配向制御膜7a,7bの表面に凹凸が形成されたもの
であり、かつラビング処理によって配向処理がなされる
ものでありながら、再配向処理工程を施すことによって
液晶の配向状態が改善される。したがって、画像品質が
良好となる。
【0030】また、上述のように補助電極5a,…,5
b,…が形成されているため、液晶表示素子全体の配線
抵抗が低減される。その結果、大容量のものであっても
信号の遅延や駆動波形のなまり等の問題は解消される。
【0031】さらに、上述のように、ラビング処理によ
って配向処理が施されるため、ラビング処理本来の利
点、すなわち、安価で、かつ大面積での配向処理が可能
という利点を利用できる。
【0032】またさらに、配線抵抗が特別に低い特別な
材料にて補助電極5a,…,5b,…を形成する必要が
ないため、液晶表示素子Pが安価になる。
【0033】また、補助電極5a,…,5b,…を透明
電極3a,…,3b,…の下に埋め込んだりする必要が
ないため、製造が簡単となり、その分安価になる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
再配向処理工程(特に、再配向処理工程における最高到
達温度を所定の範囲にすること、及び、再配向処理工程
における降温レートを所定の範囲(2.2℃/min 以
上)にすること)によって液晶の配向状態が改善される
ため、画像品質に優れた液晶素子を製造できる。なお、
前記再配向処理工程終了後におけるカイラルスメクチッ
ク液晶素子を、前記最高到達温度以上の温度には昇温し
ないようにすることにより、良好な配向状態が保持され
る。
【0035】また、本発明によれば、カイラルスメクチ
ック液晶素子が、透明電極の表面に補助電極が形成され
て配向制御膜の表面に凹凸が生じた素子であり、かつ、
該配向制御膜の表面にラビング処理を施して配向処理を
行なうものであっても、前記再配向処理工程を施すこと
によって前記凹凸に伴う配向不良は解消される。したが
って、補助電極によって信号の遅延や駆動波形のなまり
等の問題が解消された液晶素子を得ることができる。
【0036】さらに、ラビング処理を利用できるため、
ラビング処理本来の利点、すなわち、安価で、かつ大面
積での配向処理が可能という利点を利用できる。
【0037】またさらに、配線抵抗が特別に低い特別な
材料にて補助電極を形成する必要がないため、液晶表示
素子が安価になる。
【0038】また、補助電極を透明電極の下に埋め込ん
だりする必要がないため、製造が簡単となり、その分安
価になる。
【0039】なお、上述実施例においては、特に述べて
いないが、再配向処理工程終了後に液晶表示素子Pに対
して後処理工程を施し、液晶表示素子Pを、液晶10が
SmC* 相からSmA相になるまで昇温し、その後、該
液晶10がSmC* 相になるまで降温するようにしても
よい。この場合、AC電界を印加するようにしてもよ
い。また、このAC電界の印加を、液晶10がSmC*
相である状態で行なっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示素子の構造を示す図であり、(a) は斜
視図、(b) はそのA−A断面図。
【図2】ラビング処理の方法を示す図であり、(a) は斜
視図、(b) は断面図。
【図3】再配向処理工程における最高到達温度Tmax
適正範囲を求める実験において、液晶表示素子に与えた
温度履歴を説明するための図。
【図4】再配向処理工程における降温レートの適正範囲
を求める実験において、液晶表示素子に与えた温度履歴
を説明するための図。
【符号の説明】
1a,1b 電極基板(基板) 2a,2b ガラス基板 3a,…,3b,… 透明電極 5a,…,5b,… 補助電極 6a,6b 絶縁膜 7a,7b 配向制御膜 10 カイラルスメクチック液晶 P 液晶表示素子(カイラルスメクチック液晶素
子) Tmax 再配向処理工程における液晶表示素子の最高
到達温度

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の基板間にカイラルスメクチック液
    晶を注入してカイラルスメクチック液晶素子を作成する
    液晶注入工程と、 前記カイラルスメクチック液晶がカイラルスメクチック
    C相からコレステリック相になるまで、前記液晶注入工
    程終了後のカイラルスメクチック液晶素子を昇温し、そ
    の後、該液晶がカイラルスメクチックC相になるまで降
    温する再配向処理工程と、 からなるカイラルスメクチック液晶素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記再配向処理工程におけるカイラルス
    メクチック液晶素子の最高到達温度をTmax とし、スメ
    クチックA相からコレステリック相への相転移温度をT
    SmAchとし、コレステリック相から等方相への相転移
    温度をTchISO とした場合に、 が成立する、 ことを特徴とする請求項1記載のカイラルスメクチック
    液晶素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記再配向処理工程におけるカイラルス
    メクチック液晶素子の降温レートが、2.2℃/min 以
    上である、 ことを特徴とする請求項1又は2記載のカイラルスメク
    チック液晶素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記再配向処理工程終了後における前記
    カイラルスメクチック液晶素子は、最高到達温度Tmax
    以上の温度には昇温されない、 ことを特徴とする請求項2又は3記載のカイラルスメク
    チック液晶素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記再配向処理工程終了後のカイラルス
    メクチック液晶素子を、前記カイラルスメクチック液晶
    がカイラルスメクチックC相からスメクチックA相にな
    るまで昇温し、その後、該液晶がカイラルスメクチック
    C相になるまで降温する後処理工程を備えた、 ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の
    カイラルスメクチック液晶素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記後処理工程においてAC電界を印加
    する、 ことを特徴とする請求項5記載のカイラルスメクチック
    液晶素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記後処理工程において、前記液晶がカ
    イラルスメクチックC相からSmA相まで昇温しその後
    SmC相まで降温する過程でAC電界を印加する、 ことを特徴とする請求項6記載のカイラルスメクチック
    液晶素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記後処理工程を2〜20サイクル繰り
    返し行うことを特徴とする請求項7記載のカイラルスメ
    クチック液晶素子の製造方法。
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