JP3080123B2 - 強誘電性液晶素子の製造方法 - Google Patents

強誘電性液晶素子の製造方法

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JP3080123B2 JP13524893A JP13524893A JP3080123B2 JP 3080123 B2 JP3080123 B2 JP 3080123B2 JP 13524893 A JP13524893 A JP 13524893A JP 13524893 A JP13524893 A JP 13524893A JP 3080123 B2 JP3080123 B2 JP 3080123B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強誘電性液晶素子の製
造方法に係り、詳しくは強誘電性液晶中に配向欠陥が生
じないようにした製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、強誘電性液晶の屈折率異方性を利
用して、偏光子と組み合わせることにより透過光線を制
御する型の液晶素子がクラーク(Clark)及びラガ
ウエル(Lagerwall)により提案されている
(特開昭56−107216号公報、米国特許第436
7924号明細書等)。この強誘電性液晶は、双安定性
を有し、一般に特定の温度領域において、非らせん構造
のカイラルスメクティックC相(SmC* )又はカイラ
ルスメクティックH相(SmH* )を有している。そし
て、この強誘電性液晶に電界が印加されると、液晶分子
は電界ベクトルに対応した配向状態を示すようになる。
しかし、この状態間の移行は連続的に起こらず所定の閾
値を持って断続的に変化する。この結果、第1の光学的
安定状態と第2の光学安定状態とからなる2つの光学的
安定状態(双安定性)が現れる様になる。また、先の光
学的安定状態は熱力学的安定状態でもあることから、状
態間の移行にはエネルギ−を必要とし、この為電界印加
後でも電界印中の配向状態を維持する(メモリー特性)
特性がある。さらに、電界変化に対する応答が早く、且
つ、視野角も大きいことから、高速動作の可能な大型の
液晶素子への適用が期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、強誘電性液晶
を用いた液晶素子は、配向欠陥が生じ易く、この欠陥が
コントラストの低下や表示ムラになって見えるという欠
点があった。すなわち、スメクティック相のシェブロン
構造を含む配向は、図3に示すようなC1及びC2の2
種類の配向モデルで説明できる。なお、図3中で、符号
31はスメクティック層を示し、符号32はC1配向の
領域を示し、さらに符号33はC2配向の領域を示して
いる。スメクティック液晶は一般に層構造をもつが、S
A相からSC相またはSC*相に転移すると相間隔が縮
むので図3のように層が上下基板11a、11bの中央
で折れ曲がった構造(シェブロン構造)をとる。折れ曲
がる方向は図に示すようにC1とC2の2つ有り得る
が、よく知られているようにラビングによって基板界面
の液晶分子は基板に対して角度をなし(このように、基
板の配向膜の界面と液晶とのなす角度を“プレチルト
角”とする)、その方向はラビング方向Aに向って液晶
分子が頭をもたげる(先端が浮いた格好になる)向きで
ある。このプレチルトのためにC1配向とC2配向は弾
性エネルギー的に等価でなく、上述のようにある温度で
転移が起こる。また、機械的な歪みで転移が起こること
もある。図3の層構造を平面的にみると、ラビング方向
Aに向ってC1配向からC2配向に移るときの境界34
はジグザグの稲妻状でライトニング欠陥と呼ばれ、C2
からC1に移るときの境界35は幅の広い、穏やかな曲
線状でヘアピン欠陥と呼ばれる。
【0004】ところで、このような欠陥の有無は、強誘
電性液晶を用いた液晶素子の配向状態はプレチルト角α
と大きく関係しており、プレチルト角αが大きい場合
(具体的にはα≧10°)には配向欠陥のない良好な配
向状態が得られる。すなわち、上述したC1配向状態は
4つの配向状態を有し、従来のC1配向状態とは異なっ
ており、なかでも4つのC1配置状態のうちの2つの状
態は、双安定状態(ユニフォーム状態)を形成してい
る。ここで、無電界時のみかけのチルト角をθaとすれ
ば、C1配向状態における4つの状態のうち、2式の関
係を示す状態をユニフォーム状態という。
【0005】Θ>θa>Θ/2 … 2式 ユニフォーム状態においては、その光学的性質からみて
ダイレクタが上下基板間でねじれていないと考えられ
る。図4(a)はC1配向の各状態における基板間の各
位置でのダイレクタの配置を示す模式図である。図中5
1〜54は各状態においてダイレクタをコーンの底面に
投影し、これを底面から見た様子を示しており、51及
び52がスプレー状態、53及び54がユニフォーム状
態と考えられるダイレクタの配置である。同図からわか
るとおり、ユニフォームの2状態53と54において
は、上下いずれかの基板界面の液晶分子の位置がスプレ
イ状態の位置と入れ替わっている。図4(b)はC2配
向を示しており、界面のスイッチングはなく内部のスイ
ッチングで2状態55と56がある。このC1配向のユ
ニフォーム状態は、従来用いていたC2配向における双
安定状態よりも大きなチルト角θaを生じ、輝度が大き
くコントラストが高い。
【0006】しかし、このように大きいプレチルト角
(α≧10°)をもつ液晶素子は、製造処理枚数や製造
の工程によりその配向状態が変わるため、安定して製造
することが困難であった。
【0007】そこで、本発明は、良好な配向状態を安定
に達成し、表示品位の高い強誘電性液晶素子を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【課題を解決するための手段】 本発明は、上述事情に鑑
みなされたものであって、 電極及び一軸配向処理の施さ
れた配向膜を形成した基板を洗浄し乾燥させる第1の工
程と、該洗浄・乾燥された一対の基板をシール部材で張
り合せた後に該シール部材を硬化させる第2の工程と、
これらの一対の基板間に強誘電性液晶を注入する第3の
工程と、を備えた強誘電性液晶素子の製造方法におい
て、前記第1の工程にて一軸配向処理した後、前記第3
の工程にて強誘電性液晶を注入するまでに100℃以上
に加熱する時間をt1とし、該液晶を注入した後に80
℃以上に加熱する時間をt2とした場合に、 2t1>t2≧t1 の関係が成り立つようにすることを特徴とする。
【0013】この場合、前記一軸配向処理後から液晶を
注入するまでに加える熱履歴と、液晶を注入した後に加
える熱履歴をほぼ等しくする、ようにすると好ましい。
【0014】また、前記一軸配向処理を、高分子薄膜を
ラビングすることにより行う、ようにしてもよい。
【0015】さらには、前記基板における上下界面にお
ける一軸配向処理が交差し、その交差角θc が、20°
>θc >0°である、ようにしてもよい。
【0016】
【実施例】以下、図面に沿って、本発明の実施例につい
て説明する。
【0017】まず、液晶素子の構造について、図1に沿
って説明する。
【0018】図1に示すように、液晶素子は一対の平行
に配置した上基板11a及び下基板11bを備えてお
り、それぞれの基板11a,11b上には、厚さが約4
00−3000Åの透明電極12a,12bが形成され
ている。また、これらの透明電極12a,12b上に
は、厚さが100−3000Åの絶縁膜13a,13b
が形成されており、さらに絶縁膜13a,13bの上に
は、厚さが50−1000Åの配向制御層(配向膜)1
4a,14bが形成されている。そして、これらの上基
板11aと下基板11bとの間には強誘電性液晶15が
配置されている。なお、上述した絶縁膜13a,13b
は塗布焼成タイプの無機酸化物でも良いし、スパッタ膜
や、2層以上に構成した多層膜でも良い。また、配向制
御層14a,14bには高分子ポリマーが通常用いられ
るが、本発明のように大きいプレチルト角を与える必要
がある場合にはフッ素含有ポリイミド等を用いるのが好
ましい。なお、プレチルト角の値は10〜30°が好ま
しい。一軸配向処理方法としては、通常には高分子薄膜
であるポリマーをラビングする方法が用いられる。また
上下基板11a,11bをラビングする場合、上下のラ
ビング方向を0−20°の範囲で交差させることができ
る。これにより前述のユニフォーム状態53,54を安
定化することができ、より高いコントラストを得ること
ができる。本発明では強誘電性液晶15としてカイラル
スメクティック相状態のものを用いることができ、具体
的には、カイラルスメクティックC相(Sm*C)、H
相(Sm*H)、I相(Sm*I)、K相(Sm*K)
やG相(Sm*G)の液晶を用いることができる。特に
好ましい液晶としては、高温側でコレステリック相を示
すものを用いることができ、例えば下述の相転移温度及
び物性値を示すピリミジン系混合液晶を用いることがで
きる。
【0019】ピリミジン系液晶 A
【0020】
【外1】 コーン角 Θ=14° (30℃) 層の傾斜角 δ=11° ( 〃 ) 見かけのチルト角 θa=11.5°( 〃 ) なお、本実施例においては、プレチルト角αが10°以
上になるように一軸配向処理を施すと共に、かかる一軸
配向処理後から液晶注入までの熱履歴を100℃以下に
抑えるようにして、強誘電性液晶素子を製造した。
【0021】これにより、製造された液晶素子のプレチ
ルト角αは10°以上に維持され、安定した大きいプレ
チルト角が達成できる。そして、ジグザグ欠陥等の配向
欠陥のない、良好なユニフォーム配向状態を安定に作成
することができる。以下に、本発明者が効果を確認する
ために行った実験について説明する。
【0022】本実験に用いたガラス基板11a,11b
は、7.5cm×7.5cmの大きさであり、その基板
11a,11bの表面には透明電極12a,12bを形
成した。また、これらの透明電極12a,12bの上に
は、酸化タンタルの薄膜(絶縁膜13a,13b)をス
パッタ法で形成し、さらにその上にフッ素系ポリイミド
の1%NMP溶液をスピナーで塗布し270℃で1時間
焼成して配向制御層14a,14bを形成した。次に、
これらの基板11a,11bをラビングしてプレチルト
角αを10°以上にした。さらに、ラビング方向が同一
方向かつ平行からセル上方から見て時計まわりにねじら
れ、それらの交差角θc が10°となるように、かつ
1.5μmのセル厚を保つように、両基板11a,11
bを貼り合わせてセルを作成した。なお、ラビング後の
セルを洗浄し乾燥させる工程(第1の工程)において
は、洗浄液としてIPA(イソプロピルアルコール)を
用いて、乾燥が低温(80℃)でできるようにした。ま
た、上下基板11a,11bの張り合せ工程(第2の工
程)においてはシール部材としてUV硬化シールを用
い、UV光での硬化が可能なようにして熱履歴が加わら
ないよう工夫した。
【0023】このような方法で5つのセルを作成し、そ
のうちの4つのセルを80℃、100℃、120℃、1
50℃で6時間熱処理をした。また、残りの1つのセル
は熱処理をしなかった。さらに、UV硬化シールにて張
り合せた基板11a,11b間に液晶を注入する工程
(第3の工程)においては、まず基板11a,11b間
の脱気を行い、その後で、フェニルピリミジンを主成分
とするコーン角14°(但し、室温)の強誘電性液晶を
85℃の低温で注入した。さらに、その注入後にカイラ
ルスメクティックC相まで徐冷した。
【0024】なお、強誘電性液晶の相転移温度は以下の
とおりである。
【0025】
【外2】 このようにして液晶素子を作成し、下記4つのケースに
ついてそれぞれ液晶の配向状態を調べた。
【0026】1.駆動前の配向状態 2.15℃で駆動電圧25V駆動した時の配向状態 3.30℃ 〃 4.45℃ 〃 なお、かかる駆動電圧には、図2(b) に示す波形ものを
用いた。すなわち、Com信号及びSeg信号を合成し
たもので、ピーク間電圧Vppを50Vとした。また、
パルス幅は、液晶のスイッチングが正常に行える範囲で
適当に合せた。また、プレチルト角は、いわゆるクリス
タルローテーション法(Jpn.J.Appl.Phy
s.Vo.119(1980)NO.short No
tes2013に記載されている方法)に従って測定し
た。また、プレチルト角の測定用の液晶はチッソ社製強
誘電性液晶CS−1014に下記の構造式で示される化
合物を重量比で20%混合したものを標準液晶とした。
【0027】
【化1】 なお、この混合した液晶組成物は、10〜50℃でSm
A相を示す。そして測定法は、ガラス基板に垂直且つ一
軸配向処理軸を含む面で回転させながら、回転軸と45
°の角度をなす偏向面を持つヘリウム・ネオンレーザ光
を回転軸に垂直な方向から照射して、その反対側で入射
偏向面と平行な透過軸を持つ偏向板を通してフォトダイ
オードで透過光強度を測定した。この時、干渉によって
できた透過光強度の双曲線群の中心となる角とガラス基
板に垂直な線とのなす角度をφxとし、下式に代入して
プレチルト角αを求めた。
【0028】
【数1】 0 :常光屈折率 ne :異常光屈折率 実験結果を表1に示す。
【0029】
【表1】 表1に示した実験結果から、以下の事柄が分かる。
【0030】すなわち、駆動電圧を印加しない状態(駆
動前)の配向状態は、熱処理温度が100℃以下のも
の、及び未処理のものが良好なユニフォーム状態を示し
ており、それに対して熱処理温度を120℃以上とした
ものではC2配向が混在していた。また、15℃の温度
で駆動した場合には、熱処理温度が100℃のものにも
C2配向が混在した。そして、このC2配向が混在した
液晶については、ジグザグ欠陥の発生を確認し、コント
ラストの著しい低下を確認した。なお、熱処理温度を8
0℃以下としたものでは、駆動時の温度を30℃や45
℃に上げても、C2配向は見られなかった。
【0031】なお、このように100℃以上の熱履歴を
加えた場合にはC2配向が混在し、ジグザグ欠陥が発生
するが、このジグザグ欠陥は熱履歴の温度が高いほど顕
著になることも確認した。また、表1には示していない
が、プレチルト角αを10°未満にするとC1配向のユ
ニフォーム配向の中にC2配向が混在し、ジグザグ欠陥
が発生してくることも確認した。このような欠陥は、駆
動電圧を高くしたり、液晶素子の温度を低くすると顕著
になる。
【0032】また、本発明者は、熱処理時間を6時間か
ら20時間に長くして同様の実験を行った。その実験結
果を表2に示す。
【0033】
【表2】 本実験において20時間で熱処理した試料と、上述の実
験において6時間で熱処理した試料とを比較することに
より以下のことがわかった。すなわち、100℃以上の
温度で処理した試料では、熱処理時間を長くするとC2
状態の混在が著しくなり、ジグザグ欠陥も多くなる。一
方、80℃以下の温度で処理した場合には、熱処理時間
を長くしても良好なユニフォーム配向が得られる。この
ことより、熱処理時間の如何にかかわらず熱履歴を10
0℃未満にすれば良好なユニフォーム配向が得られるこ
とを確認した。
【0034】なお、本発明者は熱処理時間をさらに延ば
し30時間で実験を行ったが、80℃以下の温度では良
好なユニフォーム状態が得られた。
【0035】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。
【0036】本実施例においては、一軸配向処理後から
液晶を注入するまでに100℃以上の熱履歴を加える時
間をt1とし、また、液晶を注入した後に80℃以上の
熱履歴を加える時間をt2とした場合に、 2t1>t2≧t1 なる関係が成り立つようにした。
【0037】これにより、液晶は均一なユニフォーム状
態が得られた。以下に、本発明者が効果を確認するため
に行った実験について説明する。
【0038】本実施例においても、上述実施例と同様に
セルを作成した。すなわち、本実験に用いたガラス基板
11a,11bは、7.5cm×7.5cmの大きさで
あり、その基板11a,11bの表面には透明電極12
a,12bを形成した。また、これらの透明電極12
a,12bの上には、酸化タンタルの薄膜(絶縁膜13
a,13b)をスパッタ法で形成し、さらにその上にフ
ッ素系ポリイミドの1%NMP溶液をスピナーで塗布し
270℃で1時間焼成して配向制御層14a,14bを
形成した。次に、これらの基板11a,11bをラビン
グしてプレチルト角αを10°以上にした。さらに、ラ
ビング方向が同一方向かつ平行からセル上方から見て時
計まわりにねじられ、それらの交差角θc が10°とな
るように、かつ1.5μmのセル厚を保つように、両基
板11a,11bを貼り合わせてセルを作成した。な
お、ラビング後のセルを洗浄し乾燥させる工程(第1の
工程)においては、洗浄液としてIPA(イソプロピル
アルコール)を用いて、乾燥が低温(80℃)でできる
ようにした。また、上下基板11a,11bの張り合せ
工程(第2の工程)においてはシール部材としてUV硬
化シールを用い、UV光での硬化が可能なようにして熱
履歴が加わらないよう工夫した。
【0039】このような方法で5つのセルを作成し、そ
のうちの4つのセルについては100℃で6時間の熱処
理を行った。また、残りの1つのセルについては熱処理
をしなかった。さらに、これらのセルに、上述実施例と
同様に、フェニルピリミジンを主成分とするコーン角1
4°(但し、室温)の強誘電性液晶を注入した。なお、
この注入時の温度は88℃とし、注入時間は1時間とし
た。そして、上述のように100℃で6時間の熱処理を
行った後液晶を注入した4つの試料を、それぞれ100
℃で3時間、6時間、10時間、20時間の熱処理を行
った。また、液晶注入前に熱処理を行わなかった試料に
ついては注入後も熱処理を省略した。そして、これらの
試料をカイラルスメクチックC相まで徐冷した。さら
に、上述実施例と同様に、 1.駆動前の配向状態 2.15℃で駆動電圧25V駆動した時の配向状態 3.30℃ 〃 4.45℃ 〃 のそれぞれの配向状態を調べた。
【0040】なお、かかる駆動電圧には図2(b) に示す
波形ものを用い、またプレチルト角は、上述実施例と同
様にクリスタルローテーション法に従って測定した。
【0041】実験結果を表3に示す。
【0042】
【表3】 この実験においては、液晶素子を駆動する前において
は、熱処理を行わなかったもの(未処理)や、3時間と
いう短時間のみ熱処理を行ったものに、C1ツイスト状
態の混在が見られた。これに対し、6時間から20時間
の熱処理を行ったものの場合には、少なくとも駆動前に
おいては良好なユニフォーム状態が観察された。一方、
これらの試料を各温度で駆動すると、20時間の熱処理
を行ったものについては15℃の駆動温度でC2状態の
混在が見られジグザグ欠陥が多数発生していた。また、
6時間の熱処理を行ったものについては45℃の温度で
C1ツイスト状態の混在が見られ、コントラストの著し
い低下を確認した。
【0043】以上の実験結果より、一軸配向処理後から
液晶を注入するまでに100℃以上の熱履歴を加える時
間をt1(本実施例においては、t1=0,6時間)と
し、液晶を注入した後に80℃以上の熱履歴を加える時
間をt2(本実施例においては、t2=0,3,6,1
0,20)とした場合、 t2<t1(3時間の熱処理を行ったもの) 2t1<t2(20時間の熱処理を行ったもの) の条件では欠陥が発生し、 t2≦t1(6時間の熱処理を行ったもの) の条件では欠陥が発生しなかった。つまり、2t1>t
2≧t1の条件では駆動の有無を問わず均一なユニフォ
ーム配向が得られることがわかる。
【0044】これは、熱履歴によりプレチルト角が影響
を受け、しかも、t1とt2ではそれぞれプレチルト角
に与える影響が相反する方向であるためと考えられる。
すなわち、t1はプレチルト角を下げる方向に影響し、
t2はプレチルト角を上げる方向に影響するものである
と考えられる。したがって、一軸配向処理により制御し
た配向状態(t1=0時間、t2=0時間)を安定に作
成するためには、t1とt2を管理しなければならな
い。
【0045】また、本発明者は、本実施例による効果を
確かめるために他の実験を行った。すなわち、液晶注入
前のセルに、50℃、80℃、100℃、120℃の温
度で、それぞれ3、6、10、20、50時間の熱処理
を施し、熱処理を施していないセルと共に駆動前の配向
状態を調べた。その結果を表4に示す。
【0046】
【表4】 本実験より、100℃以上の温度で熱処理を施した試料
については配向状態の大きな変化を確認したが、熱処理
温度が50℃、80℃のものについては配向状態の大き
な変化が見られなかった。本実験より、一軸配向処理後
から液晶注入までの熱履歴で、配向状態に大きく影響す
るのは100℃以上の温度であることがわかった。な
お、この100℃という値は、ポリイミド配向膜のα分
散点やβ分散点にくらべ十分小さい値である。
【0047】さらに、本発明者は、液晶注入前のセルに
100℃・6時間の熱処理を行い、液晶注入後に、温度
が50℃、80℃、100℃で、時間が3、6、10、
20、50時間の熱処理を施し、熱処理を施していない
セルと共に駆動前の配向状態を調べた。その結果を表5
に示す。
【0048】
【表5】 この実験より、液晶を注入した状態の熱履歴でも80℃
以上の温度では時間により配向状態の変化が観察できた
が、50℃では配向状態の変化が見られなかった。この
実験から液晶注入後の熱履歴で、配向状態に大きく影響
するのは80℃以上の温度であることがわかる。また、
この80℃という値はポリイミド配向膜のα分散点やβ
分散点にくらべ十分小さい値であり、しかも液晶注入前
の熱履歴の場合より小さくなっている。これらのことを
考えると、熱履歴の影響を受ける温度は、ポリイミド配
向膜のα分散点やβ分散点ではなく、液晶材料と配向膜
の関係から決まるものではないかと考えられる。
【0049】
【0050】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明によると、
ツイスト状態やジグザグ欠陥のない良好なユニフォーム
配向状態を安定に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶素子の構造を示す断面図。
【図2】駆動波形を説明するための図。
【図3】C1配向及びC2配向を説明するための図。
【図4】ツイスト配向及びユニフォーム配向を説明する
ための図。
【符号の説明】
11a,11b 基板 12a,12b 電極(透明電極) 13a,13b 絶縁膜 14a,14b 配向膜(配向制御層) 15 強誘電性液晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−30219(JP,A) 特開 平4−221925(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 G02F 1/13 101 G09F 9/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極及び一軸配向処理の施された配向膜
    を形成した基板を洗浄し乾燥させる第1の工程と、該洗
    浄・乾燥された一対の基板をシール部材で張り合せた後
    に該シール部材を硬化させる第2の工程と、これらの
    対の基板間に強誘電性液晶を注入する第3の工程と、を
    備えた強誘電性液晶素子の製造方法において、 前記第1の工程にて一軸配向処理した後、前記第3の工
    程にて強誘電性液晶を注入するまでに100℃以上に加
    熱する時間をt1とし、該液晶を注入した後に80℃以
    上に加熱する時間をt2とした場合に、 2t1>t2≧t1 の関係が成り立つようにする、 ことを特徴とする強誘電性液晶素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記一軸配向処理後から液晶を注入する
    までに加える熱履歴と、液晶を注入した後に加える熱履
    歴をほぼ等しくする、 ことを特徴とする請求項記載の、強誘電性液晶素子の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記一軸配向処理を、高分子薄膜をラビ
    ングすることにより行う、 ことを特徴とする、請求項又は記載の、強誘電性液
    晶素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記基板における上下界面における一軸
    配向処理が交差し、 その交差角θが、20°>θ >0°である、 ことを特徴とする、請求項乃至のいずれか1項記載
    の、強誘電性液晶素子の製造方法。
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