JP3136437B2 - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JP3136437B2 JP07352788A JP35278895A JP3136437B2 JP 3136437 B2 JP3136437 B2 JP 3136437B2 JP 07352788 A JP07352788 A JP 07352788A JP 35278895 A JP35278895 A JP 35278895A JP 3136437 B2 JP3136437 B2 JP 3136437B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、液晶ライトバル
ブ、液晶プロジェクター、空間光変調素子等で用いられ
る液晶表示素子、特にカイラルスメクティック液晶を用
いた液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶の屈折率異方性を利用して
偏光素子との組合せにより透過光線を制御する型の表示
素子がクラーク(Clark)及びラガーウォル(La
gerwall)により提案されている(特開昭56−
107216号公報、米国特許第4367924号明細
書等)。この強誘電性液晶は、一般に特定の温度域にお
いて、カイラルスメクティックC相(SmC)または
H相(SmH)を有し、この状態において、印加され
る電界に応答して第一の光学的安定状態と第二の光学的
安定状態のいずれかを取り、且つ電界の印加のない時は
その状態を維持する性質、即ち双安定性を有し、また電
界に対する応答も速やかであり、高速並びに記憶型の表
示素子としての広い利用が期待されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】液晶素子の駆動方法と
しては、走査電極と信号電極とで構成したマトリクス電
極を組み込み、走査電極には順次走査信号を印加し、該
走査信号と同期して信号電極には情報信号を印加するマ
ルチプレクシング駆動が一般的である。このマルチプレ
クシング駆動を、前記カイラルスメクティック相を呈す
るカイラルスメクティック液晶を用いた液晶素子に適用
すると、走査電極に走査信号を繰り返し周期的に印加す
るリフレッシュ駆動を行なった際に、表示画面でちらつ
き(画面全体の輝度が周期的に変化するために生じるち
らつき)が発生するという問題があった。
【0004】本発明は、上記問題点を解決し、ちらつき
のない液晶素子を提供することを目的とするものであ
り、詳しくは、マルチプレクシング駆動を行なっても表
示画面にちらつきを生じないカイラルスメクティック液
晶素子を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、カイラルスメ
クティック液晶と、該液晶を挟持して対向する一対の基
板と、前記一対の基板のそれぞれの対向面に相互に交差
して画素を構成するように設けられた液晶駆動用の透明
電極群とを具備した液晶素子であって、前記一対の基板
の少なくとも一方に一軸配向処理が施され、上記配向処
理方向に対して、画素の手前側で且つ50〜90°の角
度をなす画素の一辺近傍の画素内を覆う遮光層を、該一
辺に長尺方向が交差する透明電極上に設けたことを特徴
とする液晶素子である。
【0006】即ち、ちらつきの原因は画素の端部に発生
する反転異常ドメインであるが、本発明においては、画
素の一部に上記遮光層を形成することにより、画素の開
口率を大幅に下げることなく、上記反転異常ドメインを
遮光して、表示画面上のちらつきを軽減したものであ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0008】 図1に本発明の液晶素子の一実施形態の
液晶駆動用電極の概略図を示す。図中、12aが上基板
に形成された透明電極(信号電極)12bが下基板に形
成された透明電極(走査電極)で、図1に示すように互
いに交差するように上下基板が対向配置される。また図
2は図1に示した電極群の交差部、即ち一画素を拡大し
て示したもので、21が任意の一画素、22が透明電極
12a又は12b上に形成された遮光層で、反転異常ド
メイン23が遮光層22によって遮光されている。24
は上基板のラビング方向、25は下基板のラビング方
向、26はスペーサー、27はヘアピン欠陥、28はラ
イトニング欠陥である。図3は図2中の一点鎖線で示さ
れた部位の断面図である。図3中、31a、31bが基
板、33a、33bが絶縁膜、34a、34bは配向制
御膜、35は液晶、37a、37bは偏光板である。
【0009】図3に示すように、本発明の液晶素子は一
対の平行に配置した基板31a及び31b上に、それぞ
れ厚さが400〜3000Åの透明電極12a、12b
を備え、その間に例えばカイラルスメクティック相を示
す液晶35が挟持されている。透明電極12bの上には
遮光層22が設けられており、液晶内に生じた反転異常
ドメイン23にオーバーラップしている。さらに透明電
極12a、12b上には厚さ100〜3000Åの絶縁
膜33a、33bが形成されている。
【0010】本発明において上記絶縁膜33a、33b
は多層膜でも構わない。また配向制御膜34a、34b
は通常50〜1000Åの膜厚で、高分子ポリマー等で
形成されるが、特にフッ素含有ポリイミドなどの高いプ
レティルト角を与える材料が好適である。
【0011】配向制御膜34a、34bは表面をラビン
グ処理により一軸配向処理されており、そのラビング方
向、即ち一軸配向処理方向は、例えば上下基板で20°
以下の範囲で交差させることができ、これによりカイラ
ルスメクティック液晶を用いたユニフォーム配向状態
(特にC1ユニフォーム状態)が安定的に発現し、高い
コントラスト比が実現する。
【0012】本発明において、液晶としては好ましく
は、カイラルスメクティック相、具体的にはSmC
相、SmH相、SmI相、SmK相、SmG
相の液晶を用いることができる。特に好ましい液晶とし
ては、高温側でコレステリック相を示すものを用いるこ
とができる。
【0013】次に、本発明の液晶素子の製造工程を例を
挙げて簡単に説明する。
【0014】厚さ1.1mmのガラス基板31a、31
bに厚さ1500Å、幅170μm、間隔30μmのス
トライプ状のITOからなる透明電極12a、12bを
スパッタ法により形成する。その上に、ショート防止用
の絶縁膜33a、33bとして厚さ900ÅのTa
膜をスパッタ法で形成し、さらに、表面状態改質のた
め塗布型絶縁層(TiSi=1:1,東京応化社製)を
厚さが1200Åとなるように塗布し300℃で焼成し
た。
【0015】次に、ポリアミド酸(日立化成社製/LQ
1802)をNMP/nBC=1/1液で1.5重量%
に希釈した溶液をスピンナーで2000rpm、20s
ecの塗布条件で塗布し、その後270℃、1時間焼成
し、ラビング処理して膜厚は200Åの配向制御膜34
a、34bを形成した。この配向制御膜34a、34b
としては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリア
ミドイミド、ポリエステルイミド、ポリパラキシリレ
ン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセ
タール、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリスチレン、
セルロース樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アクリル
樹脂などの有機絶縁物質が用いられる。また、ラビング
処理としては、円柱状のローラーにナイロン布等のラビ
ング布を貼り付けたラビングローラーを回転させながら
所定圧で上記配向制御膜に当接させ、ガラス基板を移動
させて配向制御膜を摺擦することにより配向規制力が付
与される。尚、この配向規制力はラビングローラーをガ
ラス基板に当接させる際の圧により決定され、通常はラ
ビングローラーを上下させることにより(押し込み量を
変える)、ラビング布と配向制御膜との接触量で制御さ
れる。
【0016】 このようにして作製された基板を、一
には平均粒径0.1〜3.5μmのビーズスペーサー2
6(シリカビーズ、アルミナビーズ等)を散布し、他方
の基板の周縁部にはエポキシ樹脂の接着剤であるシール
接着剤をスクリーン印刷法で形成し、液晶35の層厚
(基板に垂直な方向の距離)が上述したスペーサービー
ズの径に対応するように両基板を貼り合わせてセルを形
成する。
【0017】上記工程で形成されたセルに、液晶を減圧
下でIso相に昇温し、毛管現象により注入して、その
後徐冷して配向させる。
【0018】本発明者等は、従来の液晶素子、即ち図
2、3に示された遮光層22を持たない液晶素子におい
て、図5に示す表示を図6に示す駆動波形(Vope
20V)で走査電極に走査信号を繰り返し周期的に印加
するリフレッシュ駆動を行なった時に発生する表示画面
のちらつきについてその原因を解析した。その結果、画
素の端部に反転異常ドメイン23が存在し、上記リフレ
ッシュ駆動においてこの反転異常ドメイン23の大きさ
が変化することによりちらつきが発生することを知見し
た。さらに、本発明者等は、この反転異常ドメイン23
の発生源が、ライトニング欠陥28がヘアピン欠陥27
よりも近い側の上基板の透明電極12aの稜線の一方、
即ちラビング方向に対して手前側の稜線であることをつ
きとめた。
【0019】本発明は、上記知見に基づき、画素内に発
生した反転異常ドメインを、対応する領域に遮光層22
を設けることにより、視覚的に認識されないようにして
ちらつきを低減せしめたものである。本発明において、
当該遮光層22は、ラビング方向24に対して手前側で
且つ該方向とは50〜90°の角度を有する画素の辺に
発生する反転異常ドメイン23を遮光するべく、該画素
辺近傍に形成される。従って、図2、3に示した以外
に、ブラックマトリクス等遮光層が形成される液晶素子
においては、当該画素辺の遮光層幅(隣接する画素の透
光領域までの距離)が最も広く形成されることになる。
尚、ラビング方向については、両基板のラビング方向の
平均方向、即ち、交差する場合では交差角の中央(交差
角の1/2)の方向とする。
【0020】 本発明において遮光層22の素材として
は、モリブデン等の低抵抗金属が好適に用いられ、15
00Å程度の厚みでスパッタ法により形成される。ま
た、上記遮光層22を、反転異常ドメイン23の発生源
である基板側に設けると、該遮光層が原因となって反転
異常ドメイン23の領域が広がり(図4)、図3に示し
た反対側の基板、即ち下基板に設ける場合よりも若干低
減効果が低くなる。しかしながら、透明電極12a上に
設ける場合には、その長尺方向に平行に形成されるた
め、透明電極12aの配線抵抗を低減するという効果が
得られる。また、対向する透明電極12bが図1や図2
に示す完全なライン状ではなく画素構成に応じて種々の
形状にパターニングされることがある(不図示)。この
場合、特に透明電極12bが透明電極12aのストライ
プの長手方向と同方向に稜線を持つことがあり、かかる
稜線を起点に発生する反転異常ドメインを遮光するべく
図4に示す構成は有効である。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、画素の一辺に遮光層を設けることにより、表示画面
のちらつきの原因となる反転異常ドメインを遮光し、よ
って、該ちらつきを低減して良質な表示が実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子の電極群を示す平面図であ
る。
【図2】本発明の液晶素子の一画素の拡大図である。
【図3】図2に示した画素の断面図である。
【図4】遮光層を上基板側に設けた液晶素子の断面図で
ある。
【図5】図6の駆動波形で表示されるパターンを示す図
である。
【図6】リフレッシュ駆動用駆動波形を示す図である。
【符号の説明】 12a、12b 透明電極 21 画素 22 遮光層 23 反転異常ドメイン 24、25 ラビング方向 26 スペーサー 27 ヘアピン欠陥 28 ライトニング欠陥 31a、31b ガラス基板 33a、33b 絶縁膜 34a、34b 配向制御膜 35 カイラルスメクティック液晶 37a、37b 偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−233427(JP,A) 特開 平2−228629(JP,A) 特開 平3−37627(JP,A) 特開 平5−281563(JP,A) 特開 平4−116620(JP,A) 特開 平4−109220(JP,A) 特開 平9−127524(JP,A) 特開 平7−56160(JP,A) 特開 平7−13166(JP,A) 特開 平6−222372(JP,A) 特開 平5−72526(JP,A) 特開 平5−93912(JP,A) 実開 昭61−106923(JP,U) 実開 昭62−127525(JP,U) 実開 昭62−123626(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1335 500 G02F 1/1337 500 G02F 1/141

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カイラルスメクティック液晶と、該液晶
    を挟持して対向する一対の基板と、前記一対の基板のそ
    れぞれの対向面に相互に交差して画素を構成するように
    設けられた液晶駆動用の透明電極群とを具備した液晶素
    子であって、前記一対の基板の少なくとも一方に一軸配
    向処理が施され、 上記配向処理方向に対して、画素の手前側で且つ50〜
    90°の角度をなす画素の一辺近傍の画素内を覆う遮光
    層を、該一辺に長尺方向が交差する透明電極上に設けた
    ことを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記遮光層がモリブデンからなる請求項
    1に記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 記遮光層により遮光された領域が、
    カイラルスメクティック液晶の膜厚がバルク状態下で
    固有するらせん構造の形成を抑制するのに十分に薄く設
    定されていると共に、前記画素において、対をなすヘア
    ピン欠陥部とライトニング欠陥部を発生する傾向を有す
    る請求項1記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 前記対をなすヘアピン欠陥部とライトニ
    ング欠陥部が発生した時に、該ライトニング欠陥部がヘ
    アピン欠陥部より前記遮光領域に近い方に位置する配向
    状態のドメインが形成される請求項記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】 前記配向状態がC1ユニフォーム状態で
    ある請求項記載の液晶素子。
  6. 【請求項6】 前記遮光領域が、その画素の他の辺に設
    けられた遮光領域よりも幅が広い請求項1記載の液晶素
    子。
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