JPH09127510A - 液晶素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶素子及びその製造方法

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JPH09127510A
JPH09127510A JP30850195A JP30850195A JPH09127510A JP H09127510 A JPH09127510 A JP H09127510A JP 30850195 A JP30850195 A JP 30850195A JP 30850195 A JP30850195 A JP 30850195A JP H09127510 A JPH09127510 A JP H09127510A
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liquid crystal
crystal element
phase
chiral smectic
specific resistance
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JP30850195A
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Inventor
Hiroyuki Kitayama
宏之 北山
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Ch相の欠如したカイラルスメクチック液晶
であっても均一配向が得られ且つ放置単安定を解消する
ことが可能な液晶素子を提供する。 【解決手段】 一方の基板に形成された配向膜には一方
向に配向処理が施され、他方の基板には垂直配向処理が
施されているカイラルスメクチック液晶素子において、
該液晶素子の双安定状態の一方から他方への電界印加に
よるスイッチング直後の比抵抗値ρ(0min)と、5
分後の比抵抗値ρ(5min)とが、 1<ρ(5min)/ρ(0min)≦1.5 の関係を満たすことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子や液
晶光シャッター等で用いる液晶素子、特にカイラルスメ
クチック液晶素子に関し、さらに詳しくは電気光学特性
を改善したカイラルスメクチック液晶素子に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】カイラルスメクチック液晶の屈折率異方
性を利用して偏光素子との組み合わせにより透過光線を
制御する型の表示素子がクラーク(Clark)及びラ
ガーウオル(Lagerwall)により提案されてい
る(特開昭56−107216号公報、米国特許第43
67924号明細書等)。
【0003】このカイラルスメクチック液晶は、一般に
特定の温度域において、カイラルスメクチックC相(S
mC* )またはH相(SmH* )を有し、この状態にお
いて、印加される電界に応答して第1の光学的安定状態
と第2の光学的安定状態のいずれかをとり、かつ電界の
印加の無いときはその状態を維持する性質、すなわち双
安定性を有し、また、電界の変化に対する応答も速やか
であり、高速並びに記憶型の表示素子用として広い利用
が期待されている。
【0004】この双安定性を有するカイラルスメクチッ
ク液晶を用いた光学変調素子が所定の素子特性を発揮す
るためには、一対の平行基板間に配列される液晶が、欠
陥のない均一な配向状態であること、及び電界の印加に
よる上記2つの安定状態での変換が効率的に起こり、か
つ電界を印加していないときはその前の状態を保持する
ような分子配向状態であることが必要である。
【0005】一般にカイラルスメクチック液晶を配向さ
せるには、基板表面にポリイミド(PI)、ポリビニル
アルコール(PVA)、ポリアミド(PA)等の水平配
向性、あるいは傾斜配向性の高分子膜を形成し、夫々ラ
ビング処理した一対の基板を用いる。この場合、使用す
る液晶が温度降下により、等方相(Iso)−コレステ
リック相(Ch)−スメクティックA相(SmA)−S
mC* 相の相変化をするものであれば、配向はCh相に
おいて均一化されるため、SmC* 相での配向が均一に
なりやすい。
【0006】しかしながら、相転移がIso相−SmA
相−SmC* 相の順で起こる液晶を用いた場合は、Is
o相−SmA相の転移(I/A転移)の際、バトネ(一
種の結晶核)の発生、成長、結合の過程を踏むため、ス
メクティック相っでの層法線方向のずれやバトネの結合
部に欠陥等が生じ、均一配向を得にくい。
【0007】本発明者らの実験によれば、このようなC
h相の欠如した液晶に対しては、対向する基板の一方の
みをラビングし、ラビングを行わない側の基板表面は垂
直配向処理をすることによって均一配向が得られた。こ
れは、I/A転移温度近傍でラビングを行った側の基板
表面から液晶が成長し、対向基板に到達する転移過程を
踏むためである。事実、両面を水平配向膜としたセルに
おけるI/A転移温度は、両面を垂直処理したセルのI
/A転移温度に比べ0.5℃以上高いことが確かめられ
ている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、カイラ
ルスメクチック液晶を均一に配向させるためには、特に
液晶がCh相を持たない場合、一方の基板はラビング処
理し、他方は垂直配向処理する非対称構成が有効であ
る。
【0009】しかしながら、配向膜基板と対向膜基板の
性質は一般に異なるため、カイラルスメクチック液晶の
双安定状態が崩れ、2つの安定状態間の電気光学的スイ
ッチング特性が非対称となる問題(初期の非対称性)が
ある。
【0010】上記のような初期の非対称性の問題を解決
するために、従来よりセル構成などの最適化が行われて
きたが、初期の非対称性を無くした場合であっても、双
安定な状態の一方に放置することによって、以下に説明
するように、カイラルスメクチック液晶素子の画面全体
を書き換えることができる駆動マージンが経時的に減少
していくという問題(放置単安定)がある。
【0011】上下の基板に夫々走査電極,情報電極とな
るストライプ状の電極を設け、それらの交差部に画素が
形成されるマトリックス表示の液晶素子に対しては、例
えば図2に示すように、走査電極にはSN ,SN+1 ,S
N+2 のような電圧波形を印加し、情報電極にはIのよう
な電圧波形が印加される。この時、これらの合成波形と
してSN −I,SN+1 −Iなどの波形が画素に実際に印
加される波形となる。
【0012】例えば、図2のSN −Iで示される波形の
マイナス側で白(W)を、SN+1 −Iで示される波形の
プラス側で黒(B)をそれぞれ書き込むことによって、
ディスプレイの白・黒表示が可能となる。
【0013】今、図2において、印加電圧波形の電圧
(Vop)を一定とし、ΔTを小さな値から大きな値へ変
化させると、図3に示すようにW,B夫々の波形につい
て、白表示又は黒表示を完全に保てるΔTの範囲、即
ち、 ΔTmin ≦ ΔT ≦ ΔTmax が存在する。このΔTの範囲は、図3に示したように、
W波形とB波形で一般にずれた領域をもつものとなるた
め、これらの共通範囲、即ち、
【0014】
【数1】 で、WもBも完全に書き換えられることになる。
【0015】そこで、これらの挙動をもとに、駆動マー
ジンパラメータ(M)を以下の式のように定義すると有
用である。
【0016】
【数2】
【0017】このため、ディスプレイパネルにおいて、
液晶をパネルに注入した直後は白・黒の画像書換えが可
能であるにもかかわらず、経時と共にその書換えが徐々
に困難になっていくという現象が現れ、駆動方法に制限
を与えることになる。
【0018】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、Ch相を有するカイラルスメクチック液晶は
もちろん、Ch相の欠如したカイラルスメクチック液晶
であっても均一に配向させることができ、且つ放置単安
定を解消することが可能な液晶素子を提供することを目
的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく成
された本発明の構成は、以下の通りである。
【0020】すなわち、本発明の第一は、カイラルスメ
クチック液晶を間に保持して対向するとともに、その対
向面には夫々カイラルスメクチック液晶に電圧を印加す
るための電極が形成された一対の基板を備え、一方の基
板に形成された配向膜には一方向に配向処理が施され、
他方の基板には垂直配向処理が施されている液晶素子に
おいて、該液晶素子の双安定状態の一方から他方への電
界印加によるスイッチング直後の比抵抗値ρ(0mi
n)と、5分後の比抵抗値ρ(5min)とが、 1<ρ(5min)/ρ(0min)≦1.5 なる関係式を満たすことを特徴とする液晶素子にある。
【0021】また、本発明の第二は、上記本発明第一の
液晶素子の製造方法であって、前記配向処理が施された
一対の配向膜のうち少なくとも一方を、当該配向膜形成
時に用いた溶剤と同一の溶剤で洗浄する工程を有するこ
とを特徴とする液晶素子の製造方法にある。
【0022】
【発明の実施の形態】先述した放置単安定という問題
は、液晶素子におけるイオン等の不純物が関係した電気
特性の違いに起因しているものと考えられる。
【0023】そこで本発明者らは、この放置単安定とい
う経時的な現象を、液晶素子の誘電特性の経時変化とい
う面で検出できないかと検討を重ねた結果、放置単安定
が現れる液晶素子では、周波数(f)がf=20kHz
というほぼディスプレイパネルの駆動周波数領域におい
て、液晶素子の比抵抗値(ρ)がスイッチング直後に5
分位の時間オーダーで経時変化しているのが確認され
た。また、この比抵抗値(ρ)の経時変化が少なくなる
ように制御することにより、放置単安定も少なくできる
ことを見いだした。
【0024】本発明において、液晶素子の比抵抗値
(ρ)の測定は以下のように行った。
【0025】即ち、ディスプレイ用のマトリックス表示
の液晶素子と同一構成で、ストライプ電極の代わりに電
極面積を0.7cm2 とした単ビットセルを作成し、こ
のセルにカイラルスメクチック液晶を注入した測定セル
を用いた。誘電率と比抵抗の測定にはYHP社のLCR
メーター4192Aを用い、0.5Vsin波、周波数
20kHz、温度30℃の条件で測定を行った。
【0026】上記条件下での誘電特性の測定結果の一例
を表1に示す。この測定結果は、双安定状態の一方に数
分保持した後、適当なパルスでもう一方の安定状態にス
イッチングした直後からsin波だけを印加して液晶セ
ルの誘電率と誘電損失及び比抵抗の値の5分間の経時変
化を測定した結果である。尚、この測定用液晶セルの液
晶厚みは、2.5μmである。
【0027】
【表1】
【0028】表1に示されるように、誘電率には殆ど経
時変化は無いが、比抵抗ρ[Ω・cm](誘電損失をε
2 としたとき、ρ=1/(2πfε0 ε2 )から求めら
れる。ここで、fは測定周波数[Hz]、ε0 は真空の
誘電率である。)は経時的に徐々に増大し、ρ(5mi
n)/ρ(0min)=1.3となっていることが分か
る。
【0029】そして、本発明者らによれば、このスイッ
チング直後の比抵抗値ρ(0min)と、5分後の比抵
抗値ρ(5min)とが、 1<ρ(5min)/ρ(0min)≦1.5 なる関係式を満たす時にのみ放置安定性が小さく、従っ
て駆動マージンパラメータ(M)の減少が小さいという
ことを見いだすに至ったのである。
【0030】ρ(5min)/ρ(0min)が1.5
を超えると、Mの減少が著しくなり、ディスプレイとし
ての良好な駆動特性を得ることができない。
【0031】なお、ρ(5min)/ρ(0min)=
1の場合は、比抵抗値の経時変化が全く存在しないこと
を意味し、理想的な素子と言えるが、本発明で用いた上
下非対称な配向膜を用いたセル構成では、このような場
合は存在しなかった。
【0032】比抵抗値ρが経時的に変化するメカニズム
については、次のように考えられる。
【0033】液晶セルをRCの並列等価回路と考えた
時、一般に強誘電体の誘電損失(ε2)は、次式で表さ
れる。
【0034】
【数3】
【0035】ここで、ω=2πfは角周波数、σは電気
伝導度、PS は自発分極、ηはスイッチング粘性、Θは
コーン角である(粘性ゆらぎ損失は、文献R.Blin
cらの Phys. Rev. A18, p740
(1978)にある一般化感受率から求めることができ
る。)。
【0036】ρ=1/(ωε0 ε2 )より、ρが経時的
に増大するということは、誘電損失(ε2 )が経時的に
減少することを意味している。ε2 は一般にエネルギー
の損失を表現しており、上述の式より、イオン伝導によ
る損失と粘性ゆらぎによる損失という2つの損失の項で
表されている。一方の安定状態から他方の安定状態へス
イッチングした直後の状態はエネルギー的に不安定であ
り、スイッチング直後のPS を安定化させるように、イ
オンが移動したり、カイラルスメクチック液晶分子のη
が変化してゆらぎが減少することなどによって、経時的
にエネルギー的に安定な状態へ変化していく、と考えら
れる。
【0037】従って、このようなρの経時変化が少ない
液晶素子が、駆動マージンの変化の少ない良好な駆動特
性を持つことが合理的に理解できる、と考えられる。
【0038】誘電損失(ε2 )が経時的に減少する点に
ついて、さらにその原因を考察してみる。ε2 の減少
は、電気伝導度σの減少、スイッチング粘性ηの増大、
初期位相角φ0 の減少などが原因と考えられるが、カイ
ラルスメクチック相状態ではε2 をイオン伝導損失と粘
性ゆらぎ損失とに分離して測定することは困難である。
このため、温度を100℃として等方相状態でε2 を測
定すれば、PS =0なのでイオン伝導損失の項だけとな
る。
【0039】そこで、カイラルスメクチック液晶と上下
配向膜の各種組み合わせについて、等方相でのε2 つま
り比抵抗ρを測定したところ、詳しいデータは実施例で
述べるが、同一なカイラルスメクチック液晶を用いても
水平配向膜や垂直配向膜との組み合わせによっては、等
方相の比抵抗値が1.82×108 Ω・cm〜9.09
×108 Ω・cmと大きく異なる値が得られた。このこ
とは、液晶素子の比抵抗値は、液晶材料のみでは決まら
ないことを示しており、配向処理膜から液晶中にしみ出
したり、配向処理膜−液晶界面に存在していると考えら
れるイオン量の違いが寄与していること、逆に言えば等
方相での液晶素子の比抵抗値を測定することによって、
イオン量を定量化できることがわかる。
【0040】また、等方相の比抵抗値が大きいものほ
ど、カイラルスメクチック相での駆動特性が良いことが
判明しており、このことはイオン量をあまり多くし過ぎ
ないことが、良好な駆動特性にとって必須であることを
示している。
【0041】以上考察したように、本発明では液晶素子
の比抵抗値を制御することが重要である。その中でもと
りわけ、配向処理膜起源のイオン量を少なくすることが
必要である。
【0042】そこで、本発明者らは、上記の配向処理膜
起源のイオン量を少なくする方法について検討を重ねた
結果、液晶素子の配向処理が施された一対の配向処理膜
のうち少なくとも一方を、当該配向膜形成時に用いた溶
剤と同一の溶剤で洗浄することによって、等方相での比
抵抗を増大させられることを見いだした。これは、配向
処理膜表面に付着しているイオン性不純物を取り除くこ
とによって、高抵抗を実現できたものと考えることがで
きる。
【0043】尚、上記溶剤洗浄の方法は、配向処理後の
膜を溶剤に浸す方法や、スピンナー上で溶剤を膜に垂ら
す方法などがあるが、これらに限定されるものではな
い。
【0044】本発明で用いるカイラルスメクチック液晶
は特に限定されないが、温度降下に従い、等方相、スメ
クチックA相、カイラルスメクチック相の順に相転移す
るものに本発明は特に有効である。
【0045】本発明で特に好ましく用いられるカイラル
スメクチック液晶は、フルオロカーボン末端鎖と、炭化
水素末端鎖からなるフッ素含有液晶化合物であって、該
両末端鎖が中心核によって結合され、スメクチック中間
相あるいは潜在的スメクチック中間相を持つもの、を含
有する液晶組成物である。該化合物そしてその他用いら
れ得る具体的な例としては以下の構造のものが挙げられ
る。また、潜在的スメクチック中間相を持つ化合物と
は、それ自身でスメクチック中間相を示さなくとも、ス
メクチック中間相を持つ化合物または他の潜在的スメク
チック中間相を持つ化合物との混合物において、適当な
条件下スメクチック中間相を発現する化合物を言う。
【0046】
【化1】
【0047】次に、本発明の液晶素子の一例(液晶セル
の構成例)を図1の模式図を用いて説明する。
【0048】図1において、11a,bはガラス基板、
12a,bは酸化錫,酸化インジウム,酸化インジウム
錫(ITO)等の透明電極、13a,bは酸化シリコ
ン,酸化タンタル等の絶縁膜、14aはラビング条件に
よって1〜2°のプレチルト角が得られる配向膜、14
bは垂直配向処理膜で、ポリシロキサン膜やシランカッ
プリング処理が好ましいが、それらに限定されるもので
はなくラビング等の一軸処理は施さない。15はシリカ
ビーズ等のビーズスペーサ、16はカイラルスメクチッ
ク液晶、17a,bは偏光板である。
【0049】上記構成の中で、配向膜14aを構成する
高分子、そのラビング条件等を変えることにより、液晶
分子と基板とのなすプレチルト角αが制御される。つま
り、ラビング条件を制御することによりプレチルト角α
を変え、配向膜14aからの規制力を変化させることが
できる。
【0050】
【実施例】以下、実施例に沿って本発明を詳細に説明す
る。
【0051】[実施例1〜3及び比較例]本実施例の液
晶セルは図1に示したような構成のものであり、以下に
この液晶セルの製造方法を説明する。
【0052】厚さ1.1mmのガラス基板11a,11
b上に透明電極12a,12bとして約150nm厚の
ITO膜を形成した。かかる透明電極が形成されたガラ
ス基板上に、スピンコート法により以下に示す各種配向
制御膜を形成した。
【0053】まず、一方の基板上に形成した各水平配向
膜の作製法を説明する。
【0054】水平配向膜:2700rpmの速度で回
転している上記ガラス基板に溶液(東レ社製のLP64
のNMP/nBC=2/1の0.7重量%溶液)を垂ら
し、そのまま20秒間回転させた。その後、80℃で5
分間前乾燥を行った後、270℃で1時間加熱焼成処理
を施した。なお、このような方法によって形成した配向
制御膜の膜厚は5nmであった。配向処理として、ナイ
ロン布によるラビングを施した。
【0055】水平配向膜:3000rpmの速度で回
転している上記ガラス基板に溶液(下記繰り返し単位を
有する高分子化合物のNMP/nBC=2/1の0.8
重量%溶液)を垂らし、そのまま20秒間回転させた。
【0056】
【化2】
【0057】その後、80℃で5分間前乾燥を行った
後、250℃で1時間加熱焼成処理を施した。なお、こ
のような方法によって形成した配向制御膜の膜厚は5n
mであった。配向処理として、ナイロン布によるラビン
グを施した。
【0058】水平配向膜’:2700rpmの速度で
回転している上記ガラス基板に溶液(東レ社製のLP6
4と、水平配向膜で用いた高分子化合物を1:1の重
量比で混合させたもののNMP/nBC=2/1の0.
8重量%溶液)を垂らした以外は、水平配向膜と同一
条件で膜を形成した。この配向制御膜の膜厚は5nmで
あった。
【0059】次に、他方の基板上に形成した各垂直配向
膜の作製法を説明する。
【0060】垂直配向膜:2000rpmの速度で回
転している上記ガラス基板に溶液(シランカップリング
剤;ODS−Eのエタノールの0.5重量%溶液)を垂
らし、そのまま20秒間回転させた。その後、80℃で
5分間前乾燥を行った後、180℃で1時間加熱焼成処
理を施した。
【0061】垂直配向膜:1500rpmの速度で回
転している上記ガラス基板にアンチモンドープのSnO
2 超微粒子(粒径約100Å)を分散したシロキサンの
エタノールを主成分とする溶液を垂らし、そのまま10
秒間回転させた。その後、80℃で5〜15分間前乾燥
を行った後、200℃で1時間加熱焼成処理を施した。
この時の膜厚は180nmであった。
【0062】垂直配向膜:垂直配向膜において、シ
ロキサンのエタノールを主成分とする溶液の代わりに、
シリカのエタノールを主成分とする溶液とシロキサンの
エタノールを主成分とする溶液を1:1の重量比で混合
させた溶液を用いた以外は、全く同様にして膜を作製し
た。この配向制御膜の膜厚は180nmであった。
【0063】以上のようにして水平配向膜或は垂直配向
膜を形成した基板を用いて、表2に示す配向膜の組み合
わせによる液晶セルを作製した。この作製方法を以下に
説明する。
【0064】まず、実施例1及び実施例3では、ラビン
グ後の水平配向膜の基板を2700rpmの速度で回
転しているスピンナーに乗せ、溶剤NMPを垂らし、配
向処理膜を溶液洗浄した後、十分乾燥させた。実施例2
では、垂直配向膜の基板を溶剤のエタノールに浸して
配向処理膜を溶液洗浄した後、直ちに乾燥させた。一
方、比較例では、上記のような溶液洗浄を全く施さない
基板を用いた。
【0065】続いて、一方のガラス基板上にスペーサ1
5として平均粒径2.0μmのシリカビーズを散布し、
他方のガラス基板を互いのITOストライプが直交する
ように重ねて張り合せ、セルを作製した。
【0066】次に、本実施例で用いた液晶について説明
する。
【0067】まず、実施例2,3及び比較例で用いた液
晶材料については、下記の化合物を用いてA/B1
2 /B3 /C=80/3/3/4/5の重量比で液晶
組成物とした。該組成物の25℃での自発分極は26n
C/cm2 、20℃での層傾き角δは0°、チルト角は
27°であり、液体−スメクチックA相転移温度は77
℃、スメクチックA−カイラルスメクチックC相転移温
度は41℃、カイラルスメクチックC−結晶相転移温度
は3℃であった。
【0068】
【化3】
【0069】次に、実施例1で用いた液晶材料は、上
記の液晶材料に、下記構造を有する添加化合物を0.
005%添加して液晶組成物を調製した。
【0070】
【化4】
【0071】以上のようにして調製した液晶材料を、前
述した各種配向膜を形成したセルに、以下のようにして
注入した。
【0072】まず、セルを真空容器内で120℃に温
め、ロータリーポンプで減圧して1時間保った。その
後、窒素ガスでパージしながら常圧状態にし、95℃の
温度にして液晶材料を等方相の状態でセルに注入し、S
mC* 相まで4℃/minで徐冷することにより液晶素
子を得た。
【0073】以上のようにして得られた液晶素子を用い
て、前述した方法に従って比抵抗の測定を行った。次
に、前述した方法に従って駆動マージンの初期値M(0
hr)及び、1時間黒(B)状態に放置した後の駆動マ
ージンの値M(1hr)を測定した。なお、この時の測
定温度並びに放置温度はともに30℃である。
【0074】上記測定結果を表2に纏めて示した。表2
に示されるように、ρ(5min)/ρ(0min)の
値が1.5以下の場合には、M(1hr)/M(0h
r)は大きな値となっており、駆動マージンの減少を小
さく抑えられることが分かる。さらに、等方相(100
℃)での比抵抗値ρが大きい方が、駆動マージンパラメ
ータの減少を抑えられることも分かる。
【0075】さらに、実施例3と比較例との比較によ
り、配向処理膜を溶剤洗浄した場合にのみ、優れた駆動
特性を得ることができることが分かる。
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
特にCh相の欠如したカイラルスメクチック液晶であっ
ても均一に配向させることができ、且つ放置単安定を解
消することが可能であり、優れた駆動特性を持った液晶
素子が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶素子の一実施態様を説明するため
の図である。
【図2】マトリックス表示の液晶素子の駆動波形を示す
図である。
【図3】駆動マージンを説明するための図である。
【符号の説明】 11a,b ガラス基板 12a,b 透明電極 13a,b 絶縁膜 14a,b 配向膜 15 スペーサ 16 カイラルスメクチック液晶 17a,b 偏光板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カイラルスメクチック液晶を間に保持し
    て対向するとともに、その対向面には夫々カイラルスメ
    クチック液晶に電圧を印加するための電極が形成された
    一対の基板を備え、一方の基板に形成された配向膜には
    一方向に配向処理が施され、他方の基板には垂直配向処
    理が施されている液晶素子において、該液晶素子の双安
    定状態の一方から他方への電界印加によるスイッチング
    直後の比抵抗値ρ(0min)と、5分後の比抵抗値ρ
    (5min)とが、 1<ρ(5min)/ρ(0min)≦1.5 なる関係式を満たすことを特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】 前記カイラルスメクチック液晶が、温度
    降下に従い、等方相、スメクチックA相、カイラルスメ
    クチック相の順に相転移するものであることを特徴とす
    る請求項1に記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】 前記カイラルスメクチック液晶が、 フルオロカーボン末端鎖と、炭化水素末端鎖からなるフ
    ッ素含有液晶化合物であって、該両末端鎖が中心核によ
    って結合され、スメクチック中間相あるいは潜在的スメ
    クチック中間相を持つもの、 を含有する液晶組成物であることを特徴とする請求項1
    に記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の液晶素
    子の製造方法であって、 前記配向処理が施された一対の配向膜のうち少なくとも
    一方を、当該配向膜形成時に用いた溶剤と同一の溶剤で
    洗浄する工程を有することを特徴とする液晶素子の製造
    方法。
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