JPH0826081A - トラバーサの積載台車位置ずれ防止構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トラバーサの台板に積載されて搬送される台
車の台板上での位置ずれを防止する構造の提供。 【構成】 トラバーサ２０は、互いに平行な搬入レール
と搬出レールとの端部間をチェーン２３によって移動す
る台板２４を有し、搬入レール上を走行してきた台車を
台板上に搬入して搬出レールに搬出するようになってい
る。積載台車位置ずれ防止構造は、台板上に形成され台
車の車輪のフランジを受け入れる溝３５を有している。
台板２７は、台車を積載して搬入レールと搬出レールと
の間を移動する。台車は搬入レールから台板に乗り移る
とき、溝３５とフランジＢに案内されて台板に乗り移
る。台板に積載された台車は、車輪のフランジが溝に係
合しているため、台板の始動、停止時に台板上で滑るよ
うなことがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、トラバーサの台板に積
載されて搬送される台車の台板上での位置ずれを防止す
るための構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、トラバーサは、例えば、自動車組
立工場で使用され、図６に示すように、互いに平行な搬
入レール１１，１１と搬出レール１２，１２との端部間
を２条のチェーン（図示省略）の駆動によって移動する
台板１３を有している。台板１３（図７参照）の上面は
平坦に形成され、台車Ａを積載するようになっている。

【０００３】組立中の自動車ボディを積載した台車Ａ
は、搬入レール１１を走行し、台板１３に乗り移った
後、搬出レール１２まで搬送され、搬出レール１２に引
き出され、搬出レール１２を走行するようになってい
る。このように、トラバーサ１０は台車Ａの走行方向を
変更する役目をしている。

【０００４】ところが、台板１３の上面が平坦になって
いるため、台板１３に積載された台車Ａは、台板１３の
始動時或いは停止時に、慣性によって台板１３上を図７
の左右方向に滑するので、台板１３が搬出レール１２と
位置合わせして停止しても、台車の車輪と搬出レール１
２との相対位置関係にずれが生じ、搬出レール１２に乗
り移ることができなくなることがある。

【０００５】このため、多少の位置ずれを見込んで搬出
レール１２の端部に末広がり状の案内片１４，１４（図
６参照）を設け、この案内片１４，１４によって位置の
ずれた台車Ａの車輪Ｈを搬出レール１２に誘導してい
る。なお、搬入レール１１を搬出レールとして使用し、
搬出レール１２を搬入レール１１として使用する場合も
あるため、搬入レール１１の端部にも案内片１５，１５
（図６参照）が設けられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
トラバーサ１０は次の問題点を有している。 (1) 案内片１４，１５は床上に突出しているため、そ
の分、床上の突出物が多くなり、作業員の足元の危険性
が増す。 (2) 台板１３上で台車Ａが滑ったとき、車輪Ｈと台板１
３が損傷を受ける。 (3) 台車Ａは台板１３上で滑ったとき、平行に滑らず斜
めに滑ることがある。この場合、車輪はレールに対して
こじるようにして進入するため、円滑に進入することが
できず、損傷を受けたり、レールに損傷を与えたりする
ことがある。 (4) 又、案内片を設けてあっても、滑り量が多いと、車
輪が搬出レールに進入することができないことがある。
このため、台車Ａが搬出レールの所まで搬送されたか否
かを検知してチェーンを停止させるセンサーを必要とす
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、互いに平行な
搬入レールと搬出レールとの端部間をチェーン駆動によ
って移動する台板を有し、搬入レール上を走行してきた
台車を前記台板上に搬入して前記搬出レールに搬出する
トラバーサにおいて、前記台板上に前記台車の車輪のフ
ランジを受け入れる溝を凹設した積載台車位置ずれ防止
構造により、前記の課題を解決した。

【０００８】

【作用】台板は、台車を積載して搬入レールと搬出レー
ルとの間を移動する。台車は搬入レールから台板に乗り
移るとき、車輪のフランジと溝を案内にして台板に乗り
移る。台板に積載された台車の車輪は、車輪のフランジ
が溝に係合しているため、台板の始動、停止時に台板上
で滑るようなことがない。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１乃至図５に基づ
いて説明する。トラバーサ２０は、例えば、自動車組立
ラインに設置され、従来のトラバーサ１０（図６参照）
と同様に、一対の搬入レール２１，２１（図１参照）か
ら搬出レール（図示省略）へ台車を搬送して、台車の走
行方向を変更する装置である。台車は、組立中の自動車
ボディ（図示省略）を積載している。トラバーサ２０
は、駆動モータ２２、チェーン２３，２６、溝付きスラ
ット（台板）２４，２７、平スラット２５等を有してい
る。

【００１０】減速機付き駆動モータ２２は、トラバーサ
２０の固定フレーム３０に設置されている。駆動モータ
２２の出力軸上には減速機３１が設けられている。減速
機３１にはチェーン駆動軸３２が連結されている。チェ
ーン駆動軸３２は固定フレーム３０上に軸承されてい
る。なお、減速機は、軸上減速機３１であるから、減速
機の占める高さ方向のスペースを小さくすることができ
る。

【００１１】チェーン駆動軸３２には、チェーン２３，
２６（図２参照）が懸回噛合するスプロケット（図示省
略）が設けられている。２条のチェーン２３，２６に
は、上面に溝３５（図１参照）が形成された溝付きスラ
ット２４，２７と、上面が平坦な平スラット２５とが設
けられている。

【００１２】溝付きスラット２４，２４，２７，２７
は、鍛造品であり、台車の４つの車輪Ｈの位置に相当す
る位置においてチェーン２３上に設けられている。溝付
きスラット２４（図２乃至図４参照）は、フレーム３６
と、分離帯板３７と、ローラ３８とで構成されている。
フレーム３６は、チェーン２３に４本のボルト３９によ
って取り付けられている。フレーム３６には側壁４６，
４６が立設され、フレーム３６は断面コ字状に形成され
ている。

【００１３】分離帯板３７は、菱形に形成され、２本の
ボルト４０によって、交換可能にフレーム３６に取り付
けられている。分離帯板３７と側壁４６，４６とによっ
て、車輪ＨのフランジＢ、Ｂを受け入れる一対の溝３
５，３５が形成されている。溝３５の両端の幅は中央の
幅より広く設定され、溝３５は車輪ＨのフランジＢが進
入し易い形状に形成されている。ローラ３８は、フレー
ム３６の両側に２個ずつ設けられ、チェーン２３が走行
するチェーン案内レール４１上を走行するようになって
いる。

【００１４】片方のチェーン２６（図２参照）に設けら
れた溝付きスラット２７の分離帯板４２の上面には、チ
ェーン２６の移動方向と直交する方向の中央がへこんだ
凹み４３が形成されている。符号２７で示す溝付きスラ
ットも、分離帯板４２とフレーム３６の側壁（図示省
略）とによって溝３５，３５（図１参照）が形成され、
フレーム３６（図２参照）にローラ３８が設けられてい
る。

【００１５】平スラット２５（図２、図３、図５参照）
は、溝付きスラット２４，２７の間でチェーン２３，２
６上に２本のボルト４５によって設けられている。この
平スラット２５は、チェーン案内レール４１，４１上を
摺動するようになっている。平スラット２５は、本来、
設ける必要がないが、設けられていないとその部分だけ
トラバーサ２０全体の表面に穴が空いた状態になり、作
業員が足をとられたり、工具が落ち込んだり、塵埃が侵
入したりすることがあるため、穴埋めのために設けられ
ている。

【００１６】平スラット２５は、台車を積載せず、チェ
ーン案内レール４１上を単に摺動するだけであるから、
樹脂成形品が使用され、摺動し易く且つ軽量になってい
る。又、平スラット２５を樹脂成形品にすると、駆動力
の小さい小型のモータを使用することができるととも
に、小型のチェーンを使用することができ、高さ方向の
スペースを小さくすることのできる軸上減速機３１の使
用と相俟って、トラバーサ２０全体の厚みを薄くするこ
とができる。

【００１７】ちなみに、平スラットに鍛造品を使用し、
減速機に固定フレーム３０に設置される減速機を使用す
ると、トラバーサ全体の厚みが約６００ｍｍ乃至９００
ｍｍになる。一方、本発明のように、平スラット２５に
樹脂成形品を使用し、減速機に軸上減速機３１を使用す
ると、トラバーサ２０の全体の厚みを約３００ｍｍに薄
くすることができる。２列の溝付きスラットと平スラッ
トの間にはめくら板４４が設けられ、トラバーサ２０全
体の表面が平坦に形成されている。

【００１８】なお、溝付きスラット２４，２７、平スラ
ット２５は、ボルト３９，４５を外すと、トラバーサ２
０に接続される一対の搬入、搬出レールの間隔に合わせ
て、取り付け位置を変更することができる。又、ボルト
４０を外すことによって、分離帯板３７，４２同士を交
換することができる。さらに、溝付きスラット２４，２
７に形成されている溝３５の間隔も、分離帯板３７，４
２を交換することによって、車輪ＨのフランジＢの間隔
に合う間隔の溝に形成することができる。

【００１９】次に、動作を説明する。組立中の自動車ボ
ディを積載した台車は、搬入レール２１上を走行してく
る。溝付きスラット２４，２７は、搬入レール２１の延
長線上で待機している。台車は、溝付きスラット２４，
２７に乗り移る。台車の車輪ＨのフランジＢが溝３５，
３５に進入する。片側の車輪Ｈは溝付きスラット２７の
凹み４３に落ち込む。凹み４３は、溝付きスラット２
４，２７の移動中に台車が図２において左右方向に位置
がずれないように規制する。

【００２０】その後、溝付きスラット２４，２７はチェ
ーン２３，２６によって同期移動し、搬出レール（図示
省略）の所で停止する。この間、平スラット２５もチェ
ーン２３と一体に移動する。チェーン２３，２６には公
知のニードルブシュチェーンが使用されている。ニード
ルブシュチェーンは、ピンとブシュとの間にニードルベ
アリングが組み込まれ、ピンとブシュとの間の摩耗を少
なくしたチェーンであるから、他の種のチェーンと比較
して全長の伸びが少ないチェーンである。このため、溝
付きスラット２４，２７は搬出レールの延長線上で停止
することができる。

【００２１】一方、チェーン２３，２６の始動、停止時
における台車にチェーン２３，２６の移動方向の慣性力
が発生し、台車は溝付きスラット２４，２７上で同方向
へ滑ろうとする。しかし、車輪ＨのフランジＢが溝３５
に係合しているため、台車は溝３５に規制され溝付きス
ラット２４，２７上で滑るようなことがない。従って、
溝付きスラット２４，２７が搬出レールの延長線上で停
止することと、台車が溝付きスラット２４，２７上で滑
らないこととから、台車は搬出レールに円滑に乗り移る
ことができる。

【００２２】

【発明の効果】本発明の積載台車位置ずれ防止構造は、
台板上に乗り移った台車の車輪のフランジが溝に係合し
ているため、台板の始動、停止時における台車の慣性に
よって台板上での台車の滑りを防止することができる。
これによって、台車の車輪と台板との損傷を防止するこ
とができる。しかも、台板上での台車の滑りが防止され
ると、台車を搬出レールの延長線上に停止させることが
でき、円滑に搬出レールに乗り移らせることができる。
又、台板上での台車の滑りがなくなることによって、搬
出レールに設けられた案内片が不用になり、床上の突出
物がなくなり、作業員の足元の安全性を高めることがで
きる。さらに、台車が搬出レールの所まで搬送されたこ
とを検知するセンサーも不用になり、トラバーサの構成
を簡素化することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例の積載台車位置ずれ防止構造
を具えたトラバーサの平面図である。

【図２】 図１中２−２矢視断面図である。

【図３】 図１の溝付きスラットの左側面図である。

【図４】 溝付きスラットの平面図である。

【図５】 平スラットの平面図である。

【図６】 従来のトラバーサの平面図である。

【図７】 図６の台板の左側面図である。

【符号の説明】

Ｈ 車輪 ２０ トラバーサ
２１ 搬入レール ２４，２７ 溝付きスラット（台板）
２６ チェーン ３５ 溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梅沢 研二 大阪府大阪市鶴見区鶴見４丁目17番96号 株式会社椿本チエイン内 (72)発明者 加藤 幸司 大阪府大阪市鶴見区鶴見４丁目17番96号 株式会社椿本チエイン内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに平行な搬入レールと搬出レールと
   の端部間をチェーン駆動によって移動する台板を有し、
   搬入レール上を走行してきた台車を前記台板上に搬入し
   て前記搬出レールに搬出するトラバーサにおいて、 前記台板上に前記台車の車輪のフランジを受け入れる溝
   を凹設したことを特徴とする、トラバーサの積載台車位
   置ずれ防止構造。