JPH08244362A - 熱転写受像シート - Google Patents

熱転写受像シート

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JPH08244362A
JPH08244362A JP7074702A JP7470295A JPH08244362A JP H08244362 A JPH08244362 A JP H08244362A JP 7074702 A JP7074702 A JP 7074702A JP 7470295 A JP7470295 A JP 7470295A JP H08244362 A JPH08244362 A JP H08244362A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 昇華性染料を用いる熱転写プリンターに対す
る使用適性、及び転写画像の保存安定性が優れると共
に、転写した受像シートを絵ハガキとしても利用できる
よう、裏面に各種筆記具による筆記適性と切手の接着性
を付与した熱転写受像シートを提供する。 【構成】 基材シートの一方の面に染料受容層を設け、
その反対側の面に酢酸セルロース樹脂とマイクロシリカ
とを主成分とする裏面層を設けた構成を基本とする。ま
た、上記裏面層に有機及び/又は無機フィラーと、酢酸
ビニル樹脂のいずれか一方、又は両方を適宜加えること
により、熱転写受像シートの性能を一層向上させること
ができる。更に、必要に応じて基材シートと染料受容層
の間に中間層を、また、基材シートと裏面層の間に裏面
中間層を設けてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱転写シートと重ね合
わせ、サーマルヘッドをデバイスとして色材を熱転写す
ることにより画像を形成するための熱転写受像シートに
関し、更に詳しくは、受像シートの画像形成面とは反対
側の面に裏面層を設け、これに筆記適性、切手の接着適
性などの機能を付加し、ポストカードなどの新たな用途
にも利用できる熱転写受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の熱転写方法が公知である
が、それらの中で、昇華性染料を記録材とし、これをポ
リエステルフィルムなどの基材シートに担持させた熱転
写シートから、昇華性染料で染着可能な被転写材、例え
ば、紙やプラスチックフィルムなどに、染料受容層を形
成した、受像シート上に昇華性染料を熱転写し、各種の
フルカラー画像を形成する方法が提案されている。この
方法では、熱転写の加熱手段として、プリンターのサー
マルヘッド或いはレーザーが使用され、極めて短時間の
加熱によって3色又は4色の多色の、加熱量が調整され
た色ドットを受像シートに転移させ、多色の色ドットに
より原稿のフルカラーを再現するものである。
【0003】この様に形成された画像は、色材が染料で
あることから、非常に鮮明であり、且つ、透明性に優れ
ているため、得られる画像は中間色の再現性や階調性に
優れ、従来のオフセット印刷やグラビア印刷による画像
と同様であり、且つ、フルカラー写真画像に匹敵する高
品質の画像である。現在、上記の如き熱転写方式を行う
ためのプリンターは、自動給紙により熱転写受像シート
をプリンター内部の熱転写部まで搬送し、印画後、自動
排紙されるタイプが主流である。そのため受像シートの
裏面には、自動給紙に適応するための滑り層を設けてい
るのが一般的であり、また、表裏を識別するために熱転
写受像シートの裏面に検知マークを設ける場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の如き熱転写方法
を有効に実施するためには、熱転写シートの構成は勿
論、画像を形成するための受像シートの構成も同様に重
要であり、特にプリンターにおいて、自動枚葉給排紙が
負荷なく行われるためには、熱転写受像シートの裏面の
物性や、熱転写受像シート自体のアンチカール特性が重
要である。このため、裏面に滑り層や、カール防止層を
設けており、天然紙の面が裏面にむき出しであることは
なく、樹脂を主成分とする層が裏面の最表面になってい
ることが一般的である。そのため、印画したプリント物
の裏面に、メッセージやメモなどを書き込みたい場合で
も、一般に使用される筆記用具である鉛筆、シャープペ
ンシル、或いは、万年筆、水性ペンなどの水性筆記用具
では筆記できないという問題が発生している。
【0005】更に、ポストカード、写真印画紙、カラー
コピーなどでは、裏面に検知マークがない方が、外観上
好ましいといった要求があるが、検知マークがない場
合、受像面と裏面の区別がつきにくく熱転写受像シート
を表裏逆にプリンターにセットした時、誤セットをプリ
ンターで検知できずプリントを開始してしまう。この場
合、従来の受像シートの裏面では、裏面に印画されると
異常転写を生じ、プリンター内部で熱転写シートと熱融
着を起こし、熱転写受像シートが排紙されないため、メ
ーカー修理に出さなければならないという問題が発生す
る。以上の如き裏面熱融着の問題を解決する手段とし
て、基材シートの両面に染料受容層を有する熱転写受像
シートが考えられるが、この場合印画物を重ねて保存す
ると染料が移行し画像濃度の低下、汚染、再汚染等の問
題が発生する。また、染料受容層面は外観上、及び、熱
転写シートとの密着性を上げるために通常平滑であり、
このため熱転写受像シート同士が密着し易くなり、多重
差し、自動給紙不良の問題が発生し易い。そして、これ
を防ぐためにフィラーを入れると、ハイライト印画部の
ざらつきにより画像が不鮮明になるという問題が発生す
る。
【0006】従って、染料非受容性の裏面層に離型剤を
使用すればよいが、離型剤を添加すると、受像シートを
重ね合わせたときに、裏面の離型成分が受像面に転移す
ることにより印画面の部分的白抜けや、印画濃度の不均
一などの印画不良を起こしたり、受像面と熱転写シート
の染料層面との動摩擦係数が低下し色ずれの原因となっ
たり、裏面層の離型成分が、プリンターの給紙ゴムロー
ラー等給排紙機構や、プラテンローラーに移行し、摩擦
係数が変化することから、給排紙エラーや、印画の斜行
等の印画不良を起こし易いといった問題が生じる。
【0007】また近年、ハガキサイズで、絵ハガキとし
て使用したいという、ポストカードとしてのニーズが高
まっているが、上記のような裏面処理や、両面受容層タ
イプでは、切手が接着しないという問題点がある。従っ
て、本発明の目的は、昇華性染料を使用する熱転写方法
において、裏面が各種の筆記用具での筆記適性を有し、
ハガキサイズの場合には、絵ハガキとして使用できるよ
うに切手が接着し、裏面を受像面と誤って印画した場合
にも優れた離型性を有し、熱転写シートと融着せずにプ
リンターから排紙され、印画面と裏面とを重ね合わせて
保存したとき印画面の濃度低下・裏面への染料の移行が
少ない裏面を有する熱転写受像シートを提供することに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明によって達成される。即ち、本請求項1の発明は、基
材シートの一方の面に染料受容層を設け、もう一方の面
に筆記性を有する裏面層を設けてなる熱転写受像シート
において、該裏面層が、主成分として、酢酸セルロース
樹脂とマイクロシリカとを含有することを特徴とする熱
転写受像シートからなる。
【0009】また、本請求項2の発明は、前記請求項1
の発明の熱転写受像シートの裏面層に、更に、滑性を有
する有機及び/又は無機フィラーを追加して含有させた
構成の熱転写受像シートである。そして、本請求項3の
発明は、前記請求項1または2の発明の熱転写受像シー
トの裏面層に、更に、酢酸ビニル樹脂を追加して含有さ
せた構成の熱転写受像シートである。
【0010】<好ましい実施態様>次に、本発明の熱転
写受像シートの各層の構成材料および加工方法など好ま
しい実施態様について説明する。 (基材シート)基材シートは、受容層を保持するという
役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるた
め、加熱された状態でも取り扱い上支障がない程度の機
械的強度を有することが好ましい。このような基材シー
トの材料は特に限定されず、例えば、コンデンサーペー
パー、グラシン紙、硫酸紙のほか、サイズ度の高い紙、
或いは、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート
紙、壁紙、裏打ち用紙、板紙、その他セルロース繊維
紙、そして、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴ
ムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙などのほか、プラ
スチックラミネート紙(片面または両面にポリオレフィ
ンなどの樹脂を押し出しコートした紙、例えばRCペー
パー等)、ポリオレフィン系或いはポリスチレン系等の
合成紙、更には、ポリエステル、ポリアクリレート、ポ
リカーボネイト、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエー
テルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
ビニリデン、ポリビニールアルコール、ポリビニールブ
チラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオ
ロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレ
ン・エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオ
ロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなど各種プラ
スチックのフィルム又はシートが使用でき、また、これ
らのプラスチックに白色顔料や、充填剤を加えて成膜し
た白色不透明のフィルム、或いは、発泡させた発泡シー
トなども使用できる。
【0011】また、上記基材シートの任意の組み合わせ
による積層体も使用できる。代表的な積層体の組み合わ
せ例として、セルロース繊維紙と合成紙の積層体、或い
は、セルロース繊維紙とプラスチックフィルム又はシー
トとの積層体、或いは、異なる種類またはグレードのプ
ラスチックフィルムまたはシートの積層体などが挙げら
れる。このような積層体は2層体でもよいが、基材の風
合いや質感を出すために、芯材としてコート紙や白色ま
たは透明プラスチックフィルムを用い、その両面に合成
紙や発泡プラスチックフィルムを貼合した3層体もしく
は3層以上の積層体が好ましい。これらの基材シートの
厚みは任意でよく、通常10〜1000μm程度の厚み
が一般的である。また、上記の如き基材シートは、その
表面に形成する層との密着力が乏しい場合には、その表
面にコロナ放電処理やプラズマ処理、或いは各種プライ
マーコートなどを施すことができる。
【0012】(受容層)本発明の熱転写受像シートにお
いて、基材シートの表面に形成される染料受容層は、熱
転写シートから移行してくる昇華性染料を受容し、形成
された画像を維持するためのもので、染料染着性のある
樹脂を主成分とする昇華型熱転写方式の染料受容層に使
用されている公知のものはいずれも使用できる。但し、
熱転写シートとの熱融着を防ぐ程度の離型性を有するこ
とも必要であり、通常、染料透過性の離型剤を含有させ
たり、受容層の上に離型層を設けたりすることが多い。
また、この他、顔料等の各種添加剤を添加してもよい。
また、受容層と基材シートとの間には、少なくとも一層
以上の中間層を設けても良い。中間層は、接着層(プラ
イマー層)、白色付与層、バリアー層、UV(紫外線)
吸収層、発泡層、帯電防止層など、受容層と基材シート
との間に設ける層全てを意味し、公知のものは、必要に
応じていずれも使用できる。
【0013】(裏面層)本発明の熱転写受像シートは、
この裏面層に特徴を有するものであり、一般に使用され
る筆記用具である鉛筆・シャープペンシルをはじめ、万
年筆・水性ペン等水性筆記用具、或いは、ボールペン・
油性ペン等油性筆記用具などいずれの筆記用具でも筆記
でき、ハガキサイズの場合には、絵ハガキとして使用で
きるように切手がよく接着し、受像シートの裏面を受像
面と誤ってプリンターに給紙した場合でも、裏面が優れ
た離型性を有し、熱転写シートと融着せずスムーズにプ
リンターから排紙され、また、画像記録面と裏面とを重
ね合わせて保存しても、裏面層が染料で汚染されること
がないという性能を有するものである。このために、裏
面層は、先ず酢酸セルロース樹脂とマイクロシリカとを
主成分として構成し、必要に応じて、更に有機及び/又
は無機フィラーと酢酸ビニル樹脂とを適宜追加して構成
するものである。
【0014】本発明で使用する酢酸セルロース樹脂は、
裏面層に良好な離型性を付与し、印画面と裏面とを重ね
合わせて保存した時、印画面の濃度低下、裏面への染料
移行を少なくし、裏面の汚染を防止するためのものであ
り、平均重合度が100〜400、酢化度30〜63重
量%のものが好ましく、更には、一般溶剤の溶解性と溶
解濃度から平均重合度が100〜200、酢化度53〜
57重量%のものが好ましい。尚、酢化度は、酢酸セル
ロース中に結合されている酢酸含有量を重量百分率で示
したものである。市販の酢酸セルロースとしては、ダイ
セル化学工業(株)のL−20、30、40、50、6
0、70などがある。
【0015】本発明で使用するマイクロシリカは、主に
筆記適性と切手接着性を向上させるために用いるもの
で、非晶質のシリカであり、含水シリカを主成分とする
もの、或いは、その表面に親水性処理を施したものが好
ましく使用できる。表面にワックス処理や親油性処理を
施したものは、水性筆記用具の筆記性が低下するため好
ましくない。製造メーカーとしては、塩野義製薬
(株)、徳山曹達(株)、日本シリカ(株)、水澤化学
工業(株)等がある。上記のようなマイクロシリカは、
平均粒径が、1.5μm以上が好ましく、2μm以上の
ものが更に好ましい。平均粒径が1.5μm未満である
と鉛筆、シャープペンシルでの筆記性が低下するため好
ましくない。また、上限では、10μm以下のものが好
ましく、10μm以上になると水性筆記用具を用いた場
合、にじみ易くなる傾向があるため好ましくない。マイ
クロシリカの添加量は、裏面層の樹脂成分100重量部
に対して、マイクロシリカが15〜200重量部が好ま
しい。15重量部未満であると、切手の接着性が低下
し、200重量部以上は、筆記適性及び切手接着性が大
きく変わらず、むしろ塗布方法によっては塗布適性が低
下し、塗膜強度も低下傾向となるため好ましくない。
【0016】本発明で裏面層に含有させる酢酸ビニル樹
脂は、主に、裏面層を積層する基材シート若しくは裏面
中間層との接着性を向上させるためのものであり、固形
の樹脂を有機溶剤で溶解するか、または、最初から有機
溶剤中に溶解しているものを使用することが好ましい。
エマルジョン型のものは、酢酸セルロースが水主体の溶
媒に溶けないので、事実上使用できない。酢酸ビニル樹
脂の製造メーカーとしては、(株)クラレ、電気化学工
業(株)、日本合成化学工業(株)、積水化学工業
(株)などがあり、例えば、積水化学工業(株)から
は、市販品として、エスニールC−2A、2B、2C、
3、5と、重合度の異なるグレードが出されている。重
合度は、特に限定はされないが、使用する酢酸セルロー
ス樹脂と相溶する範囲内で選択すればよく重合度150
〜600程度のものが好ましい。
【0017】このような酢酸ビニル樹脂の添加量は、裏
面層の樹脂成分、即ち、酢酸セルロース樹脂と酢酸ビニ
ル樹脂の混合系の樹脂中における酢酸ビニル樹脂の含有
量として、8〜40重量%の範囲が好ましい。酢酸ビニ
ル樹脂の含有量が8重量%未満では基材シートへの接着
性や、水性筆記具の筆記性が低下し、一方、40重量%
を超える場合には離型性が低下するため好ましくない。
【0018】本発明に使用する有機及び/又は無機フィ
ラーは、プリンターの多重差しを防止するために滑り性
を付与するためのものであり、従来公知の有機及び/又
は無機フィラーを使用することができる。具体的には、
ポリエチレンワックス、ビスアマイド、ナイロン、アク
リル樹脂、架橋ポリスチレン、テフロン樹脂、シリコー
ン樹脂、シリコーンゴム、タルク、炭酸カルシウム、酸
化チタンなどが挙げられ、特に限定はされず少なくとも
一種類以上添加されていれば、何れでも使用できるが、
中でもナイロンフィラーが好ましく、ナイロン12フィ
ラーが特に好ましい。粒径は、マイクロシリカより大き
いものが好ましく、2〜15μmの範囲が好ましい。ま
た、滑性効果を上げるためには、球形をしているものが
更に好ましい。有機及び/又は無機フィラーの添加量
は、使用するフィラーによって異なるが、一般的に、酢
酸セルロース樹脂と酢酸ビニル樹脂とを合わせた樹脂分
100重量部に対して、有機及び/又は無機フィラー
(マイクロシリカを除く)の総量が5〜100重量部程
度の範囲である。
【0019】以上の添加剤の他に、帯電防止剤を添加し
てもよい。帯電防止剤は、公知の全てのものが使用でき
る。添加量は帯電防止剤の種類により異なるが、効果が
発揮される範囲内で最小限の量が好ましい。必要以上に
添加すると裏面の染料による耐汚染性が低下するため好
ましくない。また、特に必要でない場合は、耐汚染性の
面から添加しない方が好ましい。
【0020】(裏面中間層)本発明の裏面層は、基材シ
ートの上に単層として直接設けてもよいが、基材シート
と裏面層との間に、裏面中間層を設けることが更に好ま
しい。裏面中間層は、基材シートと裏面層の接着性を向
上させ、また、裏面層の耐水性、切手接着性の向上を補
助するものであり、好ましくは、基材シートに接着性の
よい樹脂に、酢酸ビニル樹脂または酢酸ビニル共重合樹
脂、及び/又はマイクロシリカを添加して構成するのが
よい。酢酸ビニル樹脂または酢酸ビニル共重合樹脂、及
び/又はマイクロシリカの添加量は、使用する基材シー
トおよび基材シートに接着性のよい樹脂の選択により異
なるが、酢酸ビニル樹脂または酢酸ビニル共重合樹脂と
マイクロシリカの総量、またはどちらか一方が、5〜5
0重量%程度が好ましい。また、ポリウレタン樹脂のよ
うに種々の基材シートに対して接着性の良い樹脂を選択
した場合には、酢酸ビニル樹脂やマイクロシリカの添加
を除くこともできる。
【0021】上記の酢酸ビニル共重合樹脂としては、例
えば、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化エチレ
ン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合樹脂、酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂、
その他ビニル系共重合体中に酢酸ビニルをランダム若し
くはブロック共重合させた樹脂等、公知の共重合樹脂が
使用できる。以上のような裏面中間層には、通常受容層
側に設ける中間層として用いられている公知のものをそ
のまま用いることもでき、また、裏面中間層として用い
られている公知のものを用いることもできる。尚、受容
層の中間層には、必要に応じて、蛍光増白剤や、炭酸カ
ルシウム、酸化チタンなどの各種フィラーが白色付与剤
として添加されたり、帯電防止剤が添加されているが、
これらの添加剤を上記裏面中間層に添加してもよい。
【0022】以上のような材料で構成される熱転写受像
シートは、通常、基材シートに対して、上記各層の材料
を溶媒に溶解、或いは、分散し、塗布液とした上でグラ
ビアコート、ロールコート、ブレードコート、ナイフコ
ート、コンマコート、ワイヤーバーコート、スプレーコ
ート等の方法で、塗布、乾燥して各層を形成する。塗布
方法自体は特に限定されず、それぞれ適する方法を自由
に選択してよい。塗布量としては固形分で、受容層が
1.5〜20g/m2 、中間層を設ける場合は中間層が
0.5〜20g/m2 、そして、裏面層が0.5〜20
g/m2 、裏面中間層を設ける場合には、これを0.5
〜20g/m2 程度の範囲とするのが好ましい。
【0023】
【作用】本発明の熱転写受像シートは、基材シートの染
料受容層を設けた面の反対側の面に、筆記性を有する裏
面層を設け、該裏面層を、酢酸セルロース樹脂とマイク
ロシリカとを主成分とする層で構成したものである。こ
の構成において、酢酸セルロース樹脂が、昇華性染料を
殆ど染着させず、しかも、熱転写シートとの離型性や、
各種筆記用具での筆記性、切手の接着性などに優れるた
め、受像シートの裏面を受像面と誤って印画しても熱転
写シートと融着せず、プリンターから排紙され、また、
受像シートの裏面に各種の筆記具で筆記できるようにな
ると共に、切手の接着も可能になる。そして、マイクロ
シリカを含有することにより筆記性および切手の接着性
が更に向上する。また、上記裏面層に、更に有機及び/
又は無機フィラー、酢酸ビニル樹脂を含有させることに
より、有機及び/又は無機フィラーが受像シートの滑り
性を向上させ、酢酸ビニル樹脂が裏面層の下層である基
材シートまたは裏面中間層との接着性を向上させ、同時
に、裏面層に水性ペンで筆記した際の滲みを防止する作
用を付与するものである。
【0024】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
更に具体的に説明する。 (実施例1)基材シートとして、厚さ150μmの合成
紙〔YUPO FPG#150 王子油化合成紙(株)
製〕を用い、その一方の面に下記組成の裏面層用塗布液
をワイヤーバーコート方式で、塗布量が2.5g/m2
(固形分)となるように塗布し、130℃/1分の条件
で乾燥した後、もう一方の面に下記組成の受容層用塗布
液を前記と同じ方法で塗布量が5.0g/m2 (固形
分)となるように塗布し、130℃/3分の条件で乾燥
して実施例1の熱転写受像シートを作成した。
【0025】 裏面層用塗布液の組成 酢酸セルロース樹脂〔L−30 ダイセル化学工業(株)〕 8重量部 酢酸ビニル樹脂〔エスニールC−2C 積水化学工業(株)〕 2重量部 マイクロシリカ〔Maizukasil P73 水澤化学工業(株)〕 3重量部 ナイロンフィラー〔MW−330 神東塗料(株)〕 2重量部 酢酸エチル 180重量部 受容層用塗布液の組成 ポリエステル樹脂〔バイロン200 東洋紡績(株)〕 20重量部 アミノ変性シリコーン〔KF−393 信越化学工業(株)〕 1重量部 エポキシ変性シリコーン〔X-22-343 信越化学工業(株)〕 1重量部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比 1:1) 100重量部
【0026】(実施例2)実施例1の構成において、基
材シートと裏面層の間に下記の塗布液からなる裏面中間
層を追加して設けた構成とした。即ち、基材シートに裏
面層を塗布する前に、下記の組成の裏面中間層用塗布液
をワイヤーバーコート方式で、基材シートに塗布量が2
g/m2 (固形分)となるように塗布し、130℃/1
分の条件で乾燥した他は、総て実施例1と同様に加工し
て実施例2の熱転写受像シートを作成した。 裏面中間層用塗布液の組成 ポリウレタン樹脂〔N−5199 日本ポリウレタン(株)〕 5重量部 酸化チタン〔TCA−888 トーケムプロダクツ(株)〕 10重量部 メチルエチルケトン/トルエン/イソプロピルアルコール (重量比 2:2:1) 70重量部
【0027】(実施例3)実施例2の構成において、裏
面中間層用塗布液の組成のみを下記組成の塗布液に換え
て塗布した他は、総て実施例2と同様に加工して実施例
3の熱転写受像シートを作成した。 裏面中間層用塗布液の組成 塩素化ポリプロピレン樹脂 〔ハードレン B13 東洋化成工業(株)〕 10重量部 塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂 〔スーパークロンBX 日本製紙(株)〕 5重量部 マイクロシリカ〔Maizukasil P−640水澤化学工業(株)〕 5重量部 炭酸カルシウム〔ナノ#30 丸尾カルシウム(株)〕 20重量部 トルエン/酢酸エチル/メチルエチルケトン (重量比 2:1:2) 120重量部
【0028】(比較例1)実施例1における、裏面層用
塗布液のみを下記組成の塗布液に換え、その他は総て実
施例1と同様に加工して、比較例1の熱転写受像シート
を得た。 裏面層用塗布液の組成 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 〔E−C110 積水化学工業(株)〕 10重量部 ナイロンフィラー〔MW−330 神東塗料(株)〕 2重量部 メチルエチルケトン/トルエン(重量比 1:1) 90重量部
【0029】(試験及び結果)以上のように作成した実
施例1〜3及び比較例1の各熱転写受像シートを試料と
して、下記項目について試験を行いその結果を表1に示
した。 1)受像シート裏面の筆記性 下記の筆記用具を用いて、実施例1〜3及び比較例1の
各熱転写受像シートの裏面に文字を書き、下記の基準で
評価を行った。 使用筆記用具 鉛筆 :三菱事務用鉛筆 No.9800 HB 三菱鉛
筆(株) 万年筆 :直液式細字 SVP-20VB 黒(株)パイロッ
ト 水性ペン1:0.2mm ZEBRA ミリPEN 100 黒 ゼブラ
(株) 水性ペン2:Pentel Sign Pen 黒 ぺんてる(株) 油性ペン :マジックインキNO.700黒 寺西化学工業
(株) ボールペン:BiC No.5130 黒 (株)廣済堂 評価基準 ○:文字がにじまず、読むことができる。 △:文字がにじみ読みづらい。 ×:文字は読めるが、24時間経過後、指で軽く擦ると
消えてしまう。
【0030】2)受像シート裏面の切手接着性 日本郵便50円切手の接着面全面に水道水を指で塗り、
実施例1〜3及び比較例1の各熱転写受像シートの裏面
に貼り付け、24時間放置した後、下記の基準で評価を
行った。 評価基準 ○:24時間経過後、接着している。 ×:24時間経過後、接着しておらず手で容易に剥がれ
る。
【0031】3)受像シート裏面の離型性 下記の熱転写シートと昇華性染料熱転写方式プリンター
を用いて、実施例1〜3及び比較例1の各熱転写受像シ
ートの裏面にクロスハッチ画像を印画し、下記の基準で
評価を行った。 評価基準 ○:多少の異常転写があってもプリンター内で貼り付か
ず排紙される。 ×:異常転写によりプリンター内部で貼り付きが起こり
排紙されない。 熱転写シート:VY−SS30の熱転写シート〔(株)
日立製作所〕 プリンター :カラービデオプリンターVY−P1
〔(株)日立製作所〕
【0032】4)受像シート裏面の耐汚染性 以下の熱転写シートと昇華性染料熱転写方式プリンター
を用い実施例1〜3及び比較例1の各熱転写受像シート
受像面にクロスハッチ画像を印画し、それぞれ実施例1
〜3及び比較例1の各熱転写受像シートの裏面と重ね合
わせ、その両側を平滑なアルミ板で挟み、上から20g
・ f /cm2 の荷重を掛けて、40℃/90%の恒温恒湿
槽で120時間放置した後、各試料の裏面への染料の移
行状況を目視により、下記の基準で評価を行った。 評価基準 ○:染料の移行が殆ど認められないもの。 ×:染料の移行が認められるもの。 熱転写シート:VY−SS30の熱転写シート〔(株)
日立製作所〕 プリンター :カラービデオプリンターVY−P1
〔(株)日立製作所〕
【0033】 *使用筆記用具 鉛筆 :三菱事務用鉛筆 No.9800 HB 三菱鉛筆(株) 万年筆 :直液式細字 SVP-20VB 黒(株)パイロット 水性ペン1:0.2mm ZEBRA ミリPEN 100 黒 ゼブラ(株) 水性ペン2:Pentel Sign Pen 黒 ぺんてる(株) 油性ペン :マジックインキNO.700黒 寺西化学工業(株) ボールペン:BiC No.5130 黒 (株)廣済堂
【0034】
【発明の効果】本発明の熱転写受像シートは、以上に説
明したように、基材シートの一方の面に染料受容層を設
け、もう一方の面に筆記性を有する裏面層を設けてなる
熱転写受像シートにおいて、該裏面層が、主成分とし
て、酢酸セルロース樹脂とマイクロシリカとを含有する
ように構成したものである。このような構成をとること
により、裏面が、各種の筆記用具での筆記適性を有し、
ハガキサイズの場合には、絵ハガキとして使用できるよ
うに切手の接着性を有し、また、裏面を受像面と誤って
印画した場合にも裏面が優れた離型性を有するため、熱
転写シートと融着せずにプリンターから排紙され、更
に、印画面と裏面とを重ね合わせて保存した時にも印画
面の濃度低下・裏面への染料の移行が殆どないという使
用適性に優れた、熱転写受像シートを提供できる効果を
奏する。また、前記裏面層を、酢酸セルロース樹脂とマ
イクロシリカに、更に、滑性を有する有機及び/又は無
機フィラーを加えて構成した場合には、受像シートの滑
り性が向上し、プリンターにおける多重差しや異常転写
時の排紙不良も防止できる。更に、裏面層を、酢酸セル
ロース樹脂、マイクロシリカの系、または、酢酸セルロ
ース樹脂、マイクロシリカ、有機及び/又は無機フィラ
ーの系に、酢酸ビニル樹脂を加えて構成した場合には、
裏面層と基材シートまたは裏面中間層との接着性が向上
し、同時に、水性ペンなどで筆記した際のにじみ防止性
の向上、筆記用具による裏面層の削れ防止効果も得られ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートの一方の面に染料受容層を設
    け、もう一方の面に筆記性を有する裏面層を設けてなる
    熱転写受像シートにおいて、該裏面層が、主成分とし
    て、酢酸セルロース樹脂とマイクロシリカとを含有する
    ことを特徴とする熱転写受像シート。
  2. 【請求項2】 前記裏面層が、更に、滑性を有する有機
    及び/又は無機フィラーを含有することを特徴とする請
    求項1記載の熱転写受像シート。
  3. 【請求項3】 前記裏面層が、更に、酢酸ビニル樹脂を
    含有することを特徴とする請求項1または2記載の熱転
    写受像シート。
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