JPH08243670A - 鉄筋の曲げ加工装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄筋を円形や多角形のスパイラル状に加工す
る曲げ加工装置に関し、成形された鉄筋を作業者が保持
する必要のない曲げ加工装置を得る。 【構成】 曲げローラ４を芯金３の下方から側方へと上
方に回動させることにより、鉄筋６を上方に向けて曲げ
る。テーブル面１から手前側に延びる支え台７を設け、
更に枢軸９まわりに、支え台７と同一面となる下降位置
とそれより上方の起立位置との間で曲げローラ４の旋回
と略同期して揺動する、揺動台８を設ける。成形された
スパイラル状の鉄筋１３は、下辺を支え台７で支持さ
れ、引込装置５で鉄筋６を送り込むと、スパイラル状の
鉄筋１３は支え台７上から揺動台８上へと滑って移動す
る。曲げ工程に入ると、鉄筋の曲げに伴ってスパイラル
状の鉄筋１３は揺動台８の上面から支え台７の上面へ転
がり戻るように回動する。このとき揺動台８が回動途中
のスパイラル鉄筋１３を保持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、コンクリートに埋設
される補強鉄筋の曲げ加工装置に関するもので、鉄筋を
円形や多角形のスパイラル状に加工するのに使用する曲
げ加工装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】コンクリート躯体内に埋めこまれる補強
用鉄筋は、縦筋と横筋とで籠状に加工されているが、横
筋を予めスパイラル状に成形しておくことにより、籠状
の鉄筋を簡易迅速に組み立てることができる。

【０００３】鉄筋を円形や多角形のスパイラル形状に加
工するために、従来図４および図５に示すような曲げ加
工装置が用いられている。

【０００４】図４および図５において、１は若干斜めに
なった鉛直方向のテーブル面であり、その略中央部に設
けた凹所内に円形の芯金３が突出し、この芯金まわりに
上方から側方へと旋回する曲げローラ４が設けられてい
る。

【０００５】曲げ加工される鉄筋６は、図示しない直線
機を通って曲がりを矯正され、直線機と芯金３との間の
テーブル裏面に設けた引込装置（ローラで鉄筋を挟持し
て当該ローラの回転により鉄筋を長手方向に給送する装
置）５により、芯金３とその上方で待機する曲げローラ
４との間に送り出されてくる。

【０００６】このような装置で多角形（主に四角形）の
スパイラル鉄筋を成形するときは、多角形の一辺の長さ
に相当する長さの鉄筋を引込装置５で芯金３と曲げロー
ラ４との間に送り出した後、引込装置５を停止して曲げ
ローラ４を芯金３の上方から側方へと約９０度（四角形
の場合）旋回して送り出された鉄筋を下方に曲げる。次
に曲げローラ４を上方に復帰させ、再び引込装置５で辺
の長さに相当する長さの鉄筋を送り込み、引込装置５を
停止して再び曲げローラ４を旋回させて鉄筋を曲げる。

【０００７】このような動作を繰り返すことにより、送
り込まれた鉄筋が次々と曲げられて多角形状となり、テ
ーブル面１の傾斜によって曲げ方向が若干斜めになるた
め、曲げられた後の鉄筋が芯金３の軸方向に少しずつ送
られてスパイラル状となる。スパイラル状となった鉄筋
はテーブル面１の面直角方向（図４の手前側）に送り出
されてくることとなる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】テーブル面１の面直角
方向に送り出されてくるスパイラル状に成形された鉄筋
１３は、図５に示すように自重によって下方に垂れ下が
ろうとする。このような垂れ下がりが生ずると、曲げロ
ーラ４で曲げる鉄筋の角度に誤差が生じてくるので、作
業者がテーブル面１の手前に送り出されてくるスパイラ
ル状の鉄筋１３を保持して、曲げローラ４の旋回に合わ
せてスパイラル状の鉄筋１３を回動させていた。

【０００９】しかしこのような作業は体力を要するうえ
に危険を伴うという問題があった。そこでこの発明は、
スパイラル状に成形された鉄筋を作業者が保持する必要
のない曲げ加工装置を得ることを課題としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】この発明の曲げ加工装置
では、まず第１に曲げローラ４を芯金３の下方から側方
へと上方に向けて回動させることにより、芯金３と曲げ
ローラ４との間に送り出された鉄筋６を上方に向けて曲
げる構造を採用している。すなわちこの発明の曲げ加工
装置では、鉄筋送り込み時に曲げローラ４が芯金３の下
方に位置している。

【００１１】第２にこの発明の曲げ加工装置は、テーブ
ル面１から手前側に延びる支え台７を設けている。この
支え台７は曲げ加工装置への鉄筋の送り込み高さ、すな
わち芯金３の下方に位置するときの曲げローラ４の上端
の高さと同一の高さで、テーブル面１の手前側に延びる
ように設けられる。

【００１２】第３にこの発明の装置は、テーブル面１と
略直交する枢軸９まわりに、支え台７の上面と同一面と
なる下降位置とそれより上方の起立位置との間で揺動す
る、揺動台８を備えている。この揺動台８の揺動中心と
なる枢軸９は、芯金３から鉄筋の送り込み方向に偏倚し
た、芯金３の斜め下方に位置している。より正確には、
起立したときに揺動台８の上面が曲げローラ４によって
曲げられた後の鉄筋の外側に添設される位置である。こ
の揺動台８はエアシリンダ１１などにより、曲げローラ
４の旋回と略同期して揺動駆動される。

【００１３】

【作用】図３の（ａ）ないし（ｄ）は、四角形のスパイ
ラル鉄筋を成形する際における１回の曲げ動作を模式的
に示したものである。すでに曲げられた部分のスパイラ
ル状の鉄筋１３は、下辺を支え台７で支持された状態と
なっている。この状態から引込装置５で鉄筋６を送り込
むと、スパイラル状の鉄筋１３は支え台７上から揺動台
８上へと滑って移動する。

【００１４】次に曲げローラ４が旋回して曲げ工程に入
ると、鉄筋の曲げに伴ってスパイラル状の鉄筋１３は揺
動台８の上面から支え台７の上面へ転がり戻るように回
動する。このとき揺動台８は曲げローラ４の旋回と略同
期して上方に揺動し、回動途中のスパイラル鉄筋１３を
保持するとともに、その転動を補助する。この場合の曲
げローラ４の旋回角と揺動台８の揺動角とに厳密な同期
は必要ではなく、たとえば曲げローラ４が旋回するとき
に揺動台８を空気圧等によって上方に付勢するようにす
れば、揺動台８がスパイラル鉄筋１３の回転に追従する
ように上動する。

【００１５】以上の図３の（ａ）ないし（ｄ）に示す動
作を繰り返すことにより、スパイラル状の鉄筋１３が成
形され、成形されたスパイラル鉄筋は支え台７と揺動台
８とで次々に保持されるので、下方に垂れ下がることが
ない。

【００１６】図４および図５に示す従来の装置において
は、鉄筋６を下方に向けて曲げていたので、成形された
後のスパイラル状の鉄筋１３がその上隅を中心として回
動したため、成形後のスパイラル鉄筋１３を支えようと
すると、その支え構造が複雑になって安価な装置を得る
ことができなかった。

【００１７】この発明においては、鉄筋６を上方に向け
て曲げるようにしたので、成形後のスパイラル鉄筋１３
の回動中心が下隅の位置となり、スパイラル鉄筋１３が
支え台７上を転動するように回動するので、支え台７お
よび揺動台８を単純な構造にできる。

【００１８】またこの発明の装置は、従来の曲げ加工装
置の芯金３に対する曲げローラ４の待機位置と鉄筋６の
供給位置（芯金の上か下か）とを変更し、テーブル面１
の前方に固定の支え台７とエアシリンダ等によって揺動
駆動される揺動台８とを設けることで実現できるので、
既設の曲げ加工装置を改造することも容易である。

【００１９】

【実施例】図１はこの発明の実施例を模式的に示した正
面図である。曲げ加工装置は従来と同様な鉛直方向のテ
ーブル面１を備えており、その略中央の凹所２に芯金３
とこれを中心に旋回する曲げローラ４とが配置されてい
る。曲げローラ４は芯金３の下方から図の右側方へと上
方に向かって旋回駆動されるように設けられている。線
材の引込装置５は芯金３の下端側に向けて鉄筋６を供給
する位置に配置されている。この線材引込装置は従来構
造と同様のものでよい。また芯金３および曲げローラ４
の支持構造および旋回駆動機構も従来構造と同様でよ
い。

【００２０】テーブル面１は、従来構造と同様に下方が
手前側になるように若干傾斜した面を備えているが、凹
所２に隣接する部分に屈折した鉄筋１３を手前側に押し
出す押出面１４を設けている。図示実施例の装置では、
線材引込装置５のカバー１５を断面三角形状のものとし
て、そのカバーの上面を押出面１４としている（図
２）。

【００２１】芯金３の下方手前側から線材引込装置のカ
バーの手前側にかけて、水平な上面を有する支え台７が
テーブル面１から手前側に延びるように設けられてい
る。またこの支え台７の上面と同一面となる上面を有す
る揺動台８が芯金３の下方手前側から鉄筋６の送り出し
側に延びるように設けられており、この揺動台８は芯金
３の斜め下方に位置する枢軸９で支え台７に枢支されて
いる。

【００２２】揺動台８の揺動端側下部には、図示しない
フレームにトラニオン構造で設けたエアシリンダ１１の
ロッドが枢支されている。シリンダ１１のロッドが縮退
したとき、揺動台８の上面は支え台７の上面と同一面と
なり、シリンダ１１のロッドを伸長させることにより、
揺動台８は枢軸９を中心に上方へ揺動する。

【００２３】次にこの実施例装置の動作を説明する。線
材引込装置５の送りローラ１２を所定回転数駆動するこ
とにより、所定長の鉄筋６を芯金１３とこの芯金の下方
で待機する曲げローラ４との間に挿通する。次に曲げロ
ーラ４を芯金３の回りに上方に向けて旋回駆動し、芯金
３と曲げローラ４との間を通過した鉄筋を上方に屈曲す
る。このときシリンダ１１のヘッドエンド側に空気圧を
供給して揺動台８を起立方向に付勢し、曲げられる鉄筋
を押し上げるようにする。次に曲げローラ４を芯金３の
下方位置に復帰させるとともに、シリンダ１１のロッド
エンド側に圧力空気を供給して揺動台８を復帰し、送り
ローラ１２を所定量回転して曲げようとする多角形の一
辺の長さに相当する線材を送り出す。この動作を繰り返
すことにより、多角形のスパイラル鉄筋が成形される。

【００２４】成形されたスパイラル鉄筋１３はテーブル
面の前方へと送り出されてくるが、送り出されたスパイ
ラル鉄筋１３の下辺は、前記作用の項で説明したよう
に、支え台７の上面と揺動台８の上面とで交互に支持さ
れる。そして鉄筋が曲げられるとき、スパイラル鉄筋１
３の転動に伴って揺動台８が上方に起立し、鉄筋の曲げ
動作に伴うスパイラル鉄筋１３の転動を補助する。この
ようにしてスパイラル鉄筋１３は成形された後垂れ下が
ることなく、その回動もスムーズに行われて正確な形状
のスバイラル鉄筋を成形することができる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したこの発明によれぱ、成形さ
れて送り出されてくるスパイラル鉄筋を作業者が保持す
る必要がなく、スパイラル鉄筋製作時の作業負担が大幅
に軽減され、回動する鉄筋の切断端に接触して作業者が
怪我をする等の事故も防止できる。また成形されたスパ
イラル鉄筋が正確な平面で保持され、かつその回動も揺
動する面で案内されるため、成形後のスパイラル鉄筋の
姿勢を正確に保つことができ、従ってより正確な形状の
スパイラル鉄筋を成形できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す模式的な正面図

【図２】図１の装置の模式的な側面図

【図３】鉄筋の成形工程を順に示す説明図

【図４】従来の同種装置の模式的な正面図

【図５】図４の装置の模式的な側面図

【符号の説明】

１ テーブル面 ３ 芯金 ４ 曲げローラ ６ 鉄筋 ７ 支え台 ８ 揺動台 ９ 枢軸 11 エアシリンダ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉛直方向のテーブル面と、その略中央部
   に設けた凹所内に突出する円形の芯金(3) と、この芯金
   まわりに旋回する曲げローラ(4) とを備えた鉄筋の曲げ
   加工装置において、曲げローラ(4) は芯金(3) の下方か
   ら側方へと上方に向けて旋回して鉄筋(6) を上方に向け
   て曲げ、テーブル面(1) から手前側に延びる支え台(7)
   を備え、この支え台(7) は芯金(3) の下方に位置すると
   きの曲げローラ(4) の上端と同一高さである、鉄筋の曲
   げ加工装置。
2. 【請求項２】 テーブル面(1) と略直交する枢軸(9) ま
   わりに、支え台(7)の上面と同一面となる下降位置とそ
   れより上方の起立位置との間で、揺動する揺動台(8)
   と、この揺動台(8) を曲げローラ(4) の旋回動作と略同
   期させて起立させる駆動装置(11)とを備え、揺動台(8)
   の揺動中心となる枢軸(9) は芯金(3) の鉄筋の送り込み
   方向に偏倚した斜め下方に位置していることを特徴とす
   る、請求項１記載の鉄筋の曲げ加工装置。