JP4608134B2 - 丸形フープ筋加工装置及び丸形フープ筋加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、端部にフックが形成された丸形フープ筋を製造する丸形フープ筋加工装置に関する。
【0002】
【背景技術】
建設分野で用いられているフープ筋を加工するために、フープ筋加工装置が知られている。
このフープ筋加工装置として、従来では、線材を長手方向に送りながら同一平面内で曲げ加工する曲げ爪を有し、角形フープ筋を加工するフープ筋加工装置がある(特許2683460号)。
【0003】
フープ筋には、従来例で製造される角形フープ筋の他に、両端部にフックが形成されるとともに円形に形成された丸形フープ筋がある。
この丸形フープ筋を製造するため、長手方向に送られた線材の端部を挟んで互いに対向配置された一対のロールと、このロールでフックが形成された線材の側面を押圧する押圧ローラを備え、線材を長手方向に送りながら線材側面を押圧することで、一定の曲率を有する丸形フープ筋を加工する装置が考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述の丸形フープ筋加工装置において曲率の異なる丸形フープ筋を加工することがあり、そのためには、押圧ローラの進退量を調整する必要がある。
押圧ローラの進退量を調整するには、押圧ローラをフレームに対して進退自在にボルトで固定し、このボルトで押圧ローラの取付位置を調整することが考えられるが、丸形フープ筋の曲率を変更する毎に、作業員がボルトを取り外し、押圧ローラの進退量を調整する作業を行うことは煩雑である。
特に、丸形フープ筋の曲率半径は製品によって微小な相違があるため、この曲率半径を線材に形成するには、作業員の熟練した作業が必要とされる。
【0005】
本発明の目的は、丸形フープ筋の曲率半径を簡単に変更することができる丸形フープ筋加工装置及び丸形フープ筋加工方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、線材に曲率を形成するための曲げ成形ロールをロール駆動機構で進退させ、このロール駆動機構の駆動を制御することで前記目的を達成しようとするものである。
具体的には、本発明の丸形フープ筋加工装置は、線材をその長手方向に送る線材送り機構と、前記線材を挟んで互いに対向配置された固定ロール及びこの固定ロールの軸芯を回転中心として回動する回動ロールを有しフックを形成する一対のフック形成用ロールと、このフック形成用ロールで端部にフックが形成された線材の側面を押圧して線材を湾曲する曲げ成形ロールと、この曲げ成形ロールを前記線材に対して進退させるロール駆動機構と、このロール駆動機構の進退駆動を制御する制御機構とを備え、前記制御機構は、前記フックが先端部に形成された前記線材であって前記固定ロールと前記回動ロールとの間を通って前進中の前記線材の側面を押圧するように前記ロール駆動機構を前進駆動させ、所定長さに渡って湾曲しかつ後端部が切断された前記線材に対して前記ロール駆動機構を後退駆動することを特徴とする。
本発明の丸形フープ筋加工方法は、線材をその長手方向に送る線材送り機構と、前記線材を挟んで互いに対向配置された固定ロール及びこの固定ロールの軸芯を回転中心として回動する回動ロールを有しフックを形成する一対のフック形成用ロールと、このフック形成用ロールで端部にフックが形成された線材の側面を押圧して線材を湾曲する曲げ成形ロールと、この曲げ成形ロールを前記線材に対して進退させるロール駆動機構とを備えた丸形フープ筋加工装置を用いて丸形フープ筋を加工する方法であって、前記線材送り機構で前記線材を、その先端部が前記固定ロールと前記回動ロールとの間に位置するまで前進させ、その後、前記回動ロールを前記固定ロールに対して回動させて前記線材の先端部にフックを形成し、前記回動ロールを回動して元の位置に戻し、前記ロール駆動機構を前進駆動して前記曲げ成形ロールを前進させるとともに前記線材送り機構で前記線材を前進させて前進中の前記線材の側面を前記曲げ成形ロールで押圧して所定の曲率半径をもって湾曲させ、前記線材送り機構を操作して前記線材の前進を停止し、前記線材の後端部を切断し、その後、前記回動ロールを回動して前記線材の後端部に当接させ、前記線材送り機構を操作して前記線材を前進させ、切断した前記線材の後端部を送り、前記ロール駆動機構を後退駆動して前記曲げ成形ロールを前記線材から後退させ、その後、前記回動ロールを回動して前記線材の後端部にフックを形成することを特徴とする。
【0007】
この構成の本発明では、線材送り機構によって線材をその先端部がフック形成用ロールの間に位置するまで前進させておき、フック形成用ロールを作動して線材の先端部にフックを形成する。その後、線材送り機構を作動して線材を前進させると同時に曲げ成形ロールをロール駆動機構で前進させて線材を所定の曲率で湾曲させる。さらに、線材の後端部近傍がフック形成用ロールの間に位置したなら、線材送り機構による線材の前進を停止し、フック形成用ロールを作動して線材の後端部にフックを形成する。これにより、両端部にフックが形成された丸形フープ筋が加工されることになり、この丸形フープ筋は、所定の収納場所、例えば、製品受け台装置に収納される。
【0008】
曲率半径の異なる丸形フープ筋を加工するには、制御機構によってロール駆動機構の進退駆動を制御する。例えば、曲率半径の小さい丸形フープ筋を加工するには、曲げ成形ロールの線材に対する前進量を大きくし、曲率半径の大きな丸形フープ筋を加工するには、曲げ成形ロールの線材に対する前進量を小さくする。
制御機構では、曲げ成形ロールの前進量と丸形フープ筋の曲率半径との関係を予め求めておき、所定の曲率半径となるように曲げ成形ロールの前進量を決定する。
そのため、本発明では、制御機構を操作するだけで、丸形フープ筋の曲率半径を簡単に変更することができるため、その操作に熟練を必要としない。
【0009】
ここで、本発明では、前記一対のフック形成用ロールは、固定ロールと、この固定ロールの軸芯を回転中心として回動する回動ロールとを備えた構成である。
この構成の発明では、固定ロールと回動ロールとの間に線材の先端部を挿通し、この状態で固定ロールに対して回動ロールを一方向に回動させて先端部にフックを形成する。さらに、固定ロールと回動ロールとの間まで線材の後端部を移動し、この状態で固定ロールに対して回動ロールを前記一方向とは逆方向に回動させて後端部にフックを形成する。
そのため、固定ロールと回動ロールとで線材の両端部にフックを形成することができるため、フック形成用ロールを簡易な構造とすることができる。
【0010】
さらに、本発明では、前記回動ロールと前記曲げ成形ロールとの一方が前記線材を押圧した際に前記線材にかかる力を抑えるバックアップ部材を備え、前記バックアップ部材は、前記線材の先端部にフックを形成するためのバックアップロールと、前記線材の後端部にフックを形成するための後端抑え部材とを備え、前記曲げ成形ロールは、基板部と、この基板部に回転自在に設けられたロール部とを備え、抑え面が前記曲げ成形ロールに対して出没するように前記後端抑え部材が回動可能に前記基板部に取り付けられる構成としてもよい。
この構成の発明では、回動ロール又は曲げ成形ロールが線材を押圧する際に線材に生じる力をバックアップ部材で抑えることで、回動ロール又は曲げ成形ロールで線材に押圧力を付与しても、この押圧力が逃げることがない。
そのため、フックの形成や曲げ形成を精度良く行うことができる。
しかも、バックアップロールを線材の先端部側面に当接させた状態で回動ロールを回動することで線材の先端部にフックを形成する。その後、回動ロールを元の位置に戻した状態にしておき、線材送り機構によって線材を送るとともに曲げ成形ロールを線材の側面に押しつけて線材に曲げ形成する。この際、バックアップロールは線材の側面に当接されたままとされるので、線材の送りを妨げることがないとともに、曲げ成形ロールの押圧に伴って線材に生じる力を抑えることで、精度良く線材を湾曲させることができる。
線材の後端部にフックを形成するには、バックアップロールを線材から離隔するとともに後端抑え部材を線材に押圧する。回動ロールが逆方向に回動して線材の後端部に曲げ力を付与することに伴って線材に力が生じるが、この力を後端抑え部材で抑えることができるため、後端部にフックを精度よく形成することができる。
【0012】
また、本発明では、前記曲げ成形ロールは、前記線材が略水平面内で湾曲するように、その軸芯が略鉛直に沿って配置され、前記曲げ成形ロールで曲げが形成された線材を曲げ平面内に保持するためのサポートロールを備えた構成が好ましい。
この構成の発明では、略水平面内で線材の曲げが形成されるため、湾曲した線材は、曲げ成形ロールから離れるに従って自重により下がることになるが、サポートロールで略水平面内に保持されることになるので、線材の曲げが精度良く形成されることになる。
【0013】
さらに、本発明では、前記ロール駆動機構は、前記曲げ成形ロールに連結されたボールねじ機構と、このボールねじ機構を駆動するサーボモータとを備え、前記制御機構は、前記サーボモータの回転を制御する構成が好ましい。
この構成の発明では、ボールねじ機構とサーボモータという機械部品として汎用される部材からロール駆動機構を構成したから、このロール駆動機構の構造を簡単なものにすることができる。しかも、制御機構でサーボモータの回転を制御する構成としたので、ロール駆動機構の制御を容易に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本実施形態の丸形フープ筋加工装置が適用された線材加工装置1の全体構成が示されている。
図1において、線材加工装置1は、高強度の線材Mを引き出し可能とした線材加工用巻き戻しスタンド2と、線材Mを折り曲げて丸形フープ筋を加工する丸形フープ筋加工装置3とを備えている。
【0015】
巻き戻しスタンド2は、線材コイルCを支持する支持部20と、この支持部20の外縁に起立して設けられた略円筒状の外枠21と、この外枠21に設けられ線材コイルCの外周部を押さえる押さえロール22と、この押さえロール22を線材コイルCの外周部に向けて付勢する付勢機構23と、線材コイルCの内周側に設けられた略円筒状のスペーサ24と、このスペーサ24の内周面に転がり接触する複数本のインナーロール25とを備えて構成されている。
【0016】
支持部20は、予め線材Mが巻き取られた状態で線材コイルCを収納するものであって、線材コイルCの底面に対向する支持板部(図示せず)に複数の支持ロール(図示せず)が回転可能に取り付けられた構造であり、支持ロールの回転を阻止する電磁ブレーキが連結されている。
本実施形態では、支持部20に線材コイルCの重量を計測する重量センサ(図示せず)を取り付け、この重量センサに制御装置(図示せず)を接続し、この制御装置により、支持部20で支持された線材コイルCの重量に応じて製造可能な丸形フープ筋の個数を演算・表示する構成を採用することができる。
【0017】
丸形フープ筋加工装置3は、巻き戻しスタンド2から略水平面内で送られる線材Mの曲げを矯正する横型プレ矯正機4と、この矯正機4で矯正された線材Mの長さを測定するメジャーロール装置5と、このメジャーロール装置5から送られる線材Mを送るピンチロール装置6と、このピンチロール装置6から送られた線材Mから丸フープ筋を製造する加工装置本体7と、この加工装置本体7で加工された丸形フープ筋を収納する製品受け台装置8とを備えている。
【0018】
ピンチロール装置6は、線材Mを挟んで複数のローラ6Aが配置された構成であり、線材Mをその長手方向に送る線材送り機構として機能する。
加工装置本体7は、所定長さの線材Mを略水平面内で湾曲して円形にするとともに、その両端部にフックを形成して丸フープ筋を製造する装置であり、線材Mを所定長さに切断する油圧カッタ9と、この油圧カッタ9で切断された線材Mを曲げ加工する成形ロール装置10と、この成形ロール装置10で加工する際に線材Mを保持するバックアップロール11と、成形ロール装置10で曲げ加工された線材Mを曲げ平面内に保持するためのサポートロール12とを備えて構成されている。
【0019】
成形ロール装置10は、線材Mを挟んで互いに対向配置されたフック形成用ロール40と、このフック形成用ロール40で端部にフックが形成された線材Mの側面を押圧して線材Mに曲げ形成をする曲げ成形ロール41と、この曲げ成形ロール41を線材Mに対して進退させるロール駆動機構42と、このロール駆動機構42の進退駆動を制御する制御機構43とを備えている。
フック形成用ロール40は、芯金を構成する固定ロール40Aと、この固定ロール40Aの軸芯を回転中心として回動する回動ロール40Bとを備え、回動ロール40Bが図1中、矢印PA方向(時計方向)に回動することで線材Mの先端部にフックを形成し、図1中、矢印PB方向(反時計方向)に回動することで線材Mの後端部にフックを形成する構成である。これらの固定ロール40Aと回動ロール40Bとの間には所定の隙間が形成されている。
【0020】
曲げ成形ロール41及びロール駆動機構42は、それぞれ基台44に取り付けられている。
このロール駆動機構42は、曲げ成形ロール41をフック形成用ロール40に近接離隔させるためのレール45と、このレール45に沿って曲げ成形ロール41を進退させる駆動機構本体46とから構成されている。
【0021】
駆動機構本体46は、曲げ成形ロール41に連結されたボールねじ機構47と、このボールねじ機構47を駆動するサーボモータ48とを備えており、ボールねじ機構47は、曲げ成形ロール41の底面に固定されたナット部材49と、このナット部材49に螺合されるねじ軸50とから構成されている。
制御機構43は、図示しない操作パネルを操作することでサーボモータ48を所定の回転数だけ回転させるものである。この際、サーボモータ48の回転数は、丸形フープ筋の異なる曲率半径毎に予め設定しておき、これらの設定された回転数に応じてサーボモータ48を回転駆動する。
【0022】
曲げ成形ロール41の詳細な構造が図2に示されている。
図2において、曲げ成形ロール41は、裏面にナット部材49が固定された基板部51と、この基板部51のフック形成用ロール40と対向する先端部に回転自在に取り付けられたロール部52とから構成されている。このロール部52は線材Mが略水平面内で湾曲するように、その軸芯が略鉛直に沿って配置されている。
基板部51の先端部には、線材Mの後端部にフックを形成するための後端抑え部材53が90度の範囲で回動自在に取り付けられており、この後端抑え部材53はシリンダ装置54により回動操作される。
【0023】
シリンダ装置54は、基板部51の側部に回動自在に取り付けられたシリンダ部54Aと、このシリンダ部54Aに進退自在に設けられ先端に後端抑え部材53と連結されたピストン部54Bとから構成される。
後端抑え部材53は、線材Mの側面を所定長さに渡って押圧する抑え面53Aを備えており、この抑え面53Aはシリンダ装置54が前進操作された際に線材Mを押圧するものであって、ロール部52よりフック形成用ロール40側に突出される。シリンダ装置54が後退操作される際には、後端抑え部材53の抑え面53Aと直交する直交面53Bがフック形成用ロール40に対してロール部52より後退した位置となる。なお、直交面53Bは、シリンダ装置54が前進操作される際にロール部52と対向するが、この直交面53Bには、ロール部52と干渉しないように切欠き部53Cが形成されている。
【0024】
バックアップロール11は、線材Mに当接可能とされるロール部11Aと、このロール部11Aを回動自在に支持する支持部材11Bと、この支持部材11Bを進退駆動する図示しない駆動機構とを備え、この駆動機構は、回動ロール40Bと曲げ成形ロール41との一方が線材Mを押圧した際に線材Mにかかる力を抑えるために、前進駆動してロール部11Aを線材Mに当接させる。
本実施形態では、バックアップロール11と後端抑え部材53とからバックアップ部材が構成される。
【0025】
サポートロール12は、曲げ成形ロール41で曲げが形成された線材Mを曲げ平面(略水平面)内に保持するためのものであり、その周面の上辺が線材Mと当接するロール本体12Aと、このロール本体12Aを鉛直面内で回動自在に支持する支持部材12Bと、この支持部材12Bを前記曲げ平面内で回動する図示しない回動機構とを備え、この回動機構により、線材Mの通過位置と、この通過位置から外れる位置との間でロール本体12Aが回動される。
ロール本体12Aは曲率半径の異なる丸形フープ筋を支持するために、その軸方向長さが所定長さとされている。
【0026】
図1において、製品受け台装置8は、加工装置本体7で加工された丸形フープ筋を複数積み重ねるターンテーブル13と、このターンテーブル13を加工装置本体7に対して近接離隔させる図示しない駆動装置とを備えている。
この駆動装置は曲率半径が異なる複数種類の丸形フープ筋を収納可能とするために設けられるものであって、レール14に沿って進退駆動される。
【0027】
次に、丸形フープ筋加工装置3の作用を図3から図9に基づいて説明する。
まず、所定の巻き姿の線材コイルCをクレーン等で吊り下げ、この状態で線材コイルCを支持部20の上に配置する。さらに、線材コイルCを回転させて線材Mを巻き戻しスタンド2から繰り出す。
さらに、線材Mの先端を横型プレ矯正機4に送り、メジャーロール装置5及びピンチロール装置6を通して加工装置本体7に送る。
【0028】
加工装置本体7では、図3(A)に示される通り、油圧カッタ9で線材Mを切断し、その後、図3(B)に示される通り、ピンチロール装置6で線材Mを、その先端部が固定ロール40Aと回動ロール40Bとの間に位置するまで前進させる。この状態で、バックアップロール11を前進させて線材Mにロール部11Aを当接させておく。
【0029】
その後、図3(C)に示される通り、ピンチロール装置6を操作して線材Mの前進を停止し、回動ロール40Bを矢印PA(時計方向)に回動させる。すると、線材Mの先端部は回動ロール40Bにより矢印PA方向に曲げ力がかかっているため、線材Mの固定ロール40Aを挟んだ反対側に逃げようとする力が生じるが、この力をバックアップロール11が抑えている。
【0030】
さらに、図3(D)に示される通り、回動ロール40Bを矢印PB(反時計方向)に回動して元の位置に戻す。さらにその後、図4(E)に示される通り、ピンチロール装置6を操作して線材Mの所定寸法前進させる。この際、回動ロール40Bは元の位置に戻っているので、線材Mと干渉することがない。さらに、図4(F)に示される通り、ピンチロール装置6を操作して線材Mの前進を停止し、回動ロール40Bを矢印PAに再度回動させる。この際の回動ロール40Bの回動量は図3(C)の場合に比べて少ない。これにより、図3(C)と図4(F)との工程から線材Mの先端部にフックFが形成されることになる。さらに、図4(G)に示される通り、回動ロール40Bを矢印PBに再度回動して元の位置に戻す。
【0031】
その後、制御機構43の所定の操作ボタンを操作してロール駆動機構42を前進駆動する。これにより、図4(H)に示される通り、曲げ成形ロール41は所定量だけ前進する。さらに、サポートロール12を回動して曲げ成形ロール41で曲げが形成された線材Mの通過位置に配置しておく。
この状態で、ピンチロール装置6を操作して線材Mを前進させると、図5(I)に示される通り、線材Mの側面が曲げ成形ロール41で押圧されているので、線材Mが所定の曲率半径をもって湾曲される。湾曲された線材Mはサポートロール12で支持されているので、線材Mの適正な曲げ面が維持される。なお、サポートロール12を通過した線材Mの先端部は、その自重により下方に変位されるため、線材Mの後端部側と干渉することがない。
【0032】
線材Mが所定長さに渡って湾曲したなら、図5(J)に示される通り、ピンチロール装置6を操作して線材Mの前進を停止し、バックアップロール11を後退させる。
さらに、図6(K)に示される通り、線材Mの後端部を油圧カッタ9で切断し、その後、図6(L)に示される通り、回動ロール40Bを元の位置から矢印PBに回動して線材Mの後端部に当接させる。さらに、図7(M)に示される通り、ピンチロール装置6を操作して線材Mを前進させ、切断した線材Mの後端部を送る。なお、油圧カッタ9の内部には、切断した線材Mの後端と、この線材Mに続く線材Mとが直線上に配置されているため、後の線材Mが前進することで、切断された線材Mが突き出されて油圧カッタ9の外部に排出される。
【0033】
その後、制御機構43を操作してロール駆動機構42を後退駆動する。これにより、図7(N)に示される通り、曲げ成形ロール41は後退する。さらに、図8(O)に示される通り、シリンダ装置54を前進操作して後端抑え部材53を回動して抑え面53Aを線材Mの側面に対向させる。
さらに、図8(P)に示される通り、ロール駆動機構42を前進駆動して後端抑え部材53の抑え面53Aを線材Mの側面に当接させる。
【0034】
この状態で、図9(Q)に示される通り、回動ロール40Bを図6(L)に示される位置から矢印PBにさらに回動して線材Mの後端部にフックFを形成する。この際、線材Mの先端部側は後端部より下方に変位しているため、先端部が折り曲げられることがない。これにより、線材Mの先端部と後端部との双方にフックFが形成された丸形フープ筋が加工されたことになる。その後、図9(R)に示される通り、曲げ成形ロール41を後退させるとともに、サポートロール12を回動させて丸形フープ筋を取り外しやすくする。取り外された丸形フープ筋は製品受け台装置8に積載される。
【0035】
ここで、曲率半径の異なる丸形フープ筋を加工するには、制御機構43の異なる操作ボタンを操作して曲げ成形ロール41の前進量を調整する。
例えば、曲率半径の小さい丸形フープ筋を加工するには、曲げ成形ロール41の線材Mに対する前進量を大きくし、曲率半径の大きな丸形フープ筋を加工するには、曲げ成形ロール41の線材Mに対する前進量を小さくする。
【0036】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)線材をその長手方向に送るピンチロール装置6と、線材Mを挟んで互いに対向配置され相対的に回動してフックFを形成する一対のフック形成用ロール40と、このフック形成用ロール40で端部にフックFが形成された線材Mの側面を押圧して線材に曲げ形成する曲げ成形ロール41と、この曲げ成形ロール41を線材Mに対して進退させるロール駆動機構42と、このロール駆動機構42の進退駆動を制御する制御機構43とを備えて丸形フープ筋加工装置3を構成したので、制御機構43を操作するだけで、丸形フープ筋の曲率半径を簡単に変更することができる。そのため、ボルトを着脱して曲げ成形ロールの進退量を調整する場合に比べて、変更作業が容易となり、その操作に熟練を必要としない。
【0037】
(2)一対のフック形成用ロール40を、芯金を構成する固定ロール40Aと、この固定ロール40Aの軸芯を回転中心として回動する回動ロール40Bとを備えて構成したから、これらのロール40A,40Bで線材Mの両端部にフックFを形成することができるため、フック形成用ロール40を簡易な構造とすることができる。
【0038】
(3)回動ロール40Bと曲げ成形ロール41との一方が線材Mを押圧した際に線材Mにかかる力を抑えるバックアップ部材を備えて丸形フープ筋加工装置3を構成したので、回動ロール40B又は曲げ成形ロール41で線材Mに押圧力を付与しても、この押圧力が逃げることがないから、フックFの形成や曲げ形成を精度良く行うことができる。
(4)バックアップ部材として、線材Mの後端部にフックFを形成するための後端抑え部材53を備えたから、回動ロール40Bが回動して線材Mの後端部に曲げ力を付与する際に線材Mに力が生じても、この力を後端抑え部材53で抑えることができるため、後端部に形成されるフックFの精度を良いものにできる。
【0039】
(5)バックアップ部材として、線材Mの先端部にフックFを形成するためのバックアップロール11を備えたから、線材Mの先端部にフックFを形成する際に、線材Mに力が生じても、この力をバックアップロール11で抑えることができるため、先端部に形成されるフックFの精度を良いものにできる。しかも、線材Mの先端部にフックFを形成した後、ピンチロール装置6で線材Mを送る際に、バックアップロール11が線材Mに当接されたままとしても、バックアップロール11のロール部11Aが回転するため、線材Mの送りを妨げることがない。そのため、この点からも、精度良く線材Mを湾曲させることができる。
【0040】
(6)曲げ成形ロール41は、線材Mが略水平面内で湾曲するように、その軸芯が略鉛直に沿って配置されたから、丸形フープ筋加工装置3の全体高さを低くすることができる。
(7)曲げ成形ロール41で曲げが形成された線材Mを曲げ平面内に保持するためのサポートロール12を備えて丸形フープ筋加工装置3を構成したので、湾曲した線材Mは、曲げ成形ロール41から離れるに従って自重により下がることになるが、サポートロール12で略水平面内に保持されることになるので、線材Mの曲げが精度良く形成されることになる。
【0041】
(8)サポートロール12は、湾曲した線材Mが通過する位置とこの位置から外れる位置とに回動可能とされたので、丸形フープ筋を搬出する際には、サポートロール12を湾曲した線材Mが通過する位置から外れる位置にすることで、この搬出作業を容易に行うことができる。
(9)ボールねじ機構47とサーボモータ48という機械部品として汎用される部材からロール駆動機構42を構成したから、このロール駆動機構42の構造を簡単なものにすることができる。
【0042】
(10)制御機構43でサーボモータ48の回転を制御する構成としたので、ロール駆動機構42の制御を容易に行うことができる。
(11)曲げ成形ロール41の先端部に、線材Mの側面を押圧する抑え面53Aを備えた後端抑え部材53を回動自在に取り付け、この後端抑え部材53をシリンダ装置54により回動操作して抑え面53Aを曲げ成形ロール41のロール部52から出没させた構成としたので、後端抑え部材53を進退させる構造と曲げ成形ロール41を進退させる構造とを共通化することで、部品点数を減少させることができる。つまり、曲げ成形ロール41と後端抑え部材53とは、線材Mを成形するために大きな押圧力を生じる構造がともに必要とされるが、この押圧力を生じる構造を曲げ成形ロール41に設け、この曲げ成形ロール41に後端抑え部材53を取り付けた構造とすれば、大きな押圧力を生じる構造を共有化させることができる。
【0043】
(12)巻き戻しスタンド2は、線材コイルCを支持する支持部20と、この支持部20に設けられるとともに線材コイルCの外周部を押さえる押さえロール22と、この押さえロール22を線材コイルCの外周部に向けて付勢する付勢機構23とを備えて構成されているので、線材コイルCを支持部20に装着する際に、支持部20で支持されている線材コイルCの外周部は押さえロール22で常時押しつけられているため、線材コイルCにスプリングバックが生じても、線材Mの先端部が飛び跳ねることを防止できる。そのため、線材コイルCの巻き戻し作業が不要とされるので、線材コイルCの装着作業を容易に行える。
(13)製品受け台装置8を、加工装置本体7で加工された丸形フープ筋を複数積み重ねるターンテーブル13と、このターンテーブル13を加工装置本体7に対して近接離隔させる図示しない駆動装置とを備えて構成したから、曲率半径が異なる複数種類の丸形フープ筋を収納することができる。
【0044】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を含むものであれば、次のような変形形態を含むものである。
例えば、前記実施形態では、一対のフック形成用ロール40を固定ロール40A及び回動ロール40Bから構成したが、本発明では、ともに所定の回転中心を中心として回動する2個の回動ロールから構成してもよい。
【0045】
また、本発明では、後端抑え部材53を省略し、この後端抑え部材53を曲げ成形ロール41が兼ねる構成としてもよい。
さらに、前記実施形態では、曲げ成形ロール41は、線材Mが略水平面内で湾曲するように、その軸芯が略鉛直に沿って配置されたが、本発明では、曲げ成形ロール41は、線材Mが略鉛直面内で湾曲するように、その軸芯が略水平に沿って配置された構造でもよい。この構造では、装置設置面積を狭くすることができる。
【0046】
また、本発明では、必ずしもサポートロール12を備えることを要しない。
さらに、前記実施形態では、ボールねじ機構47とサーボモータ48とからロール駆動機構42を構成したが、ロール駆動機構の具体的な構造は限定されるものではない。例えば、ボールねじ機構47に代えてラック・ピニオン機構を採用することができる。
また、巻き戻しスタンド2は、ターンテーブル構造のものを採用することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、線材をその長手方向に送るピンチロール装置と、線材を挟んで互いに対向配置され相対的に回動してフックを形成する一対のフック形成用ロールと、このフック形成用ロールで端部にフックが形成された線材の側面を押圧して線材に曲げ形成する曲げ成形ロールと、この曲げ成形ロールを線材に対して進退させるロール駆動機構と、このロール駆動機構の進退駆動を制御する制御機構とを備えて丸形フープ筋加工装置を構成したので、制御機構を操作するだけで、丸形フープ筋の曲率半径を簡単に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る丸形フープ筋加工装置が適用された線材加工装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】前記実施形態にかかる丸形フープ筋加工装置の要部を示す平面図である。
【図3】(A)から(D)は前記丸形フープ筋加工装置の作用を説明するための概略図である。
【図4】(E)から(H)は前記丸形フープ筋加工装置の作用を説明するための概略図である。
【図5】(I)(J)は前記丸形フープ筋加工装置の作用を説明するための概略図である。
【図6】(K)(L)は前記丸形フープ筋加工装置の作用を説明するための概略図である。
【図7】(M)(N)は前記丸形フープ筋加工装置の作用を説明するための概略図である。
【図8】(O)(P)は前記丸形フープ筋加工装置の作用を説明するための概略図である。
【図9】(Q)(R)は前記丸形フープ筋加工装置の作用を説明するための概略図である。
【符号の説明】
1 線材加工装置
2 巻き戻しスタンド
3 丸形フープ筋加工装置
6 ピンチロール装置(線材送り機構)
8 製品受け台装置
9 油圧カッタ
11 バックアップロール
12 サポートロール
40 フック形成用ロール
40A 固定ロール
40B 回動ロール
41 曲げ成形ロール
42 ロール駆動機構
43 制御機構
47 ボールねじ機構
48 サーボモータ
53A 抑え面
54 シリンダ装置
C 線材コイル
F フック
M 線材
Claims (5)
- 線材をその長手方向に送る線材送り機構と、前記線材を挟んで互いに対向配置された固定ロール及びこの固定ロールの軸芯を回転中心として回動する回動ロールを有しフックを形成する一対のフック形成用ロールと、このフック形成用ロールで端部にフックが形成された線材の側面を押圧して線材を湾曲する曲げ成形ロールと、この曲げ成形ロールを前記線材に対して進退させるロール駆動機構と、このロール駆動機構の進退駆動を制御する制御機構とを備え、
前記制御機構は、前記フックが先端部に形成された前記線材であって前記固定ロールと前記回動ロールとの間を通って前進中の前記線材の側面を押圧するように前記ロール駆動機構を前進駆動させ、所定長さに渡って湾曲しかつ後端部が切断された前記線材に対して前記ロール駆動機構を後退駆動することを特徴とする丸形フープ筋加工装置。 - 請求項1に記載の丸形フープ筋加工装置において、
前記回動ロールと前記曲げ成形ロールとの一方が前記線材を押圧した際に前記線材にかかる力を抑えるバックアップ部材を備え、前記バックアップ部材は、前記線材の先端部にフックを形成するためのバックアップロールと、前記線材の後端部にフックを形成するための後端抑え部材とを備え、
前記曲げ成形ロールは、基板部と、この基板部に回転自在に設けられたロール部とを備え、抑え面が前記曲げ成形ロールに対して出没するように前記後端抑え部材が回動可能に前記基板部に取り付けられることを特徴とする丸形フープ筋加工装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の丸形フープ筋加工装置において、
前記曲げ成形ロールは、前記線材が略水平面内で湾曲するように、その軸芯が略鉛直に沿って配置され、前記曲げ成形ロールで曲げ形成された線材を曲げ平面内に保持するためのサポートロールを備えたこと特徴とする丸形フープ筋加工装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の丸形フープ筋加工装置において、
前記ロール駆動機構は、前記曲げ成形ロールに連結されたボールねじ機構と、このボールねじ機構を駆動するサーボモータとを備え、前記制御機構は、前記サーボモータの回転を制御することを特徴とする丸形フープ筋加工装置。 - 線材をその長手方向に送る線材送り機構と、前記線材を挟んで互いに対向配置された固定ロール及びこの固定ロールの軸芯を回転中心として回動する回動ロールを有しフックを形成する一対のフック形成用ロールと、このフック形成用ロールで端部にフックが形成された線材の側面を押圧して線材を湾曲する曲げ成形ロールと、この曲げ成形ロールを前記線材に対して進退させるロール駆動機構とを備えた丸形フープ筋加工装置を用いて丸形フープ筋を加工する方法であって、
前記線材送り機構で前記線材を、その先端部が前記固定ロールと前記回動ロールとの間に位置するまで前進させ、その後、前記回動ロールを前記固定ロールに対して回動させて前記線材の先端部にフックを形成し、前記回動ロールを回動して元の位置に戻し、
前記ロール駆動機構を前進駆動して前記曲げ成形ロールを前進させるとともに前記線材送り機構で前記線材を前進させて前進中の前記線材の側面を前記曲げ成形ロールで押圧して所定の曲率半径をもって湾曲させ、
前記線材送り機構を操作して前記線材の前進を停止し、前記線材の後端部を切断し、その後、前記回動ロールを回動して前記線材の後端部に当接させ、前記線材送り機構を操作して前記線材を前進させ、切断した前記線材の後端部を送り、前記ロール駆動機構を後退駆動して前記曲げ成形ロールを前記線材から後退させ、
その後、前記回動ロールを回動して前記線材の後端部にフックを形成することを特徴とする丸形フープ筋加工方法。
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