JPH08233255A - 燃焼異常検知機能付きガス湯沸器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ガス湯沸器において、熱交換器のフィン閉塞
に伴い、熱効率が低下したときにガスバーナを停止させ
ることにより機器使用上の安全を担保する。 【構成】 入水管１２および出湯管１４が設けられる熱
交換器１６と、この熱交換器１６を加熱するガスバーナ
２０とを備え、流れる湯量が最大時の出湯管１４を流れ
る湯の温度を検出する出湯温センサ３０と、入水管１２
を流れる水の温度を検出する入水温センサ２７と、ガス
バーナ２０へ供給されるガス量を検出するガス量センサ
２４（比例弁電流測定回路）からの検出信号に基づいて
熱効率を演算し、その算出された熱効率を基準熱効率と
比較してこれより低いと判断されたときに前記ガスバー
ナ２０の燃焼が停止されるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガスバーナにより熱交
換器を加熱して出湯水が得られるようにしたガス湯沸器
に関し、さらに詳しくは、その熱交換器のフィンが金属
酸化物等により閉塞されることに伴う燃焼異常を検知し
て燃焼を安全に停止させるようにした燃焼異常検知機能
付きガス湯沸器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のガス湯沸器は、周知のよ
うに、多数の集熱フィンが列設される熱交換器の各集熱
フィンの間をガスバーナによる燃焼ガスが通過するとき
にそのガス燃焼熱が集熱フィンに捕集され、その集熱フ
ィンを伝達された熱によってこの熱交換器を流れる水が
加熱され、出湯水が得られるものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
のガス湯沸器は、長年の使用によって熱交換器の集熱フ
ィンに燃焼生成物等を含んだドレーンが付着していき、
そのドレーンの付着によって集熱フィンが酸化促進さ
れ、その酸化物によりフィン間の間隙が徐々に（段々
と）閉塞されていく。そしてその集熱フィン相互間の閉
塞に伴ない、次第に集熱フィンの熱伝達が悪くなって熱
効率が低下していく。

【０００４】また、各集熱フィン相互間の閉塞に伴ない
その空隙が狭くなることによりガスバーナの燃焼ガスが
熱交換器の集熱フィン間を通過するときの通気抵抗が増
大していく。そうするとその通気抵抗の増大に伴ないガ
スバーナに供給される空気量も少なくなってガスの燃焼
が十分に果たされず、そのことが不完全燃焼を助長し、
やはり熱効率が低下していくという問題があった。

【０００５】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、その目的とするところは、熱交
換器のフィン詰りにより熱効率が低下したときにガスバ
ーナの燃焼を安全に停止させるようにしたガス湯沸器を
提供することにある。本発明の目的の二つめは、熱交換
器のフィン詰りにより熱効率が低下したときに最大湯量
時のガスバーナのインプット値が高くなることに着目
し、そのインプット値の判定によってガスバーナの燃焼
を安全に停止させるようにしたガス湯沸器を提供するこ
とにある。いずれもガス湯沸器使用上の安全を確保しよ
うとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のガス湯沸器は、入水管および出湯管が設けら
れる熱交換器と、この熱交換器を加熱するガスバーナと
を備え、出湯管を流れる湯の温度を検出する湯温検出手
段と、入水管を流れる水の温度を検出する入水温検出手
段と、ガスバーナへ供給されるガス量を検出するガス量
検出手段と、前記湯温検出手段、入水温検出手段、およ
びガス量検出手段からの検出信号に基づいて熱効率を演
算する熱効率演算手段と、この熱効率演算手段により算
出された熱効率を基準熱効率と比較してこれより低いか
否かを判定する熱効率判定手段とを備え、この熱効率判
定手段により算出熱効率が基準熱効率より低いと判断さ
れたときに前記ガスバーナの燃焼が停止されるように構
成したことを要旨とするものである。この場合に、前記
熱効率判定手段による判定に用いられる基準熱効率の値
は、初期使用時の演算値とするとよい。

【０００７】また本発明のガス湯沸器の二つめは、入水
管および出湯管が設けられる熱交換器と、この熱交換器
を加熱するガスバーナとを備え、出湯管を流れる湯の温
度を検出する湯温検出手段と、入水管を流れる水の温度
を検出する入水温検出手段と、ガスバーナへ供給される
ガス量を検出するガス量検出手段と、前記湯温検出手
段、入水温検出手段、およびガス量検出手段からの検出
信号に基づいて最大湯量時のガスバーナのインプット値
を演算するインプット値演算手段と、このインプット値
演算手段により算出されたインプット値を適正最大ガス
量と比較してこれより低いか否かを判定するインプット
値判定手段とを備え、このインプット値判定手段により
算出インプット値が適正最大ガス量より高いと判断され
たときに前記ガスバーナの燃焼が停止されるように構成
したことを要旨とするものである。この適正最大ガス量
は、出湯管を流れる湯量が最大時のガス熱量（最大アウ
トプット値）を正常状態での熱効率で除した値である。

【０００８】

【作用】上記の構成を有する本発明のガス湯沸器によれ
ば、入水管を介して熱交換器へ供給されてきた水がガス
バーナにより加熱されて出湯水として出湯管より得られ
るものであるが、そのガスバーナの燃焼状態において、
出湯管を流れる湯の温度と、入水管を流れる水の温度
と、入水管を流れる水又は出湯管を流れる湯の量と、ガ
スバーナへ供給されるガス量とが検出され、これらの検
出信号に基づいて熱効率が演算により求められる。そし
てこの算出された熱効率が基準熱効率と比較してこれよ
り低いと判断されると、ガスバーナの燃焼が停止され
る。そしてこの場合に基準熱効率の値を初回使用時の演
算値とすれば、ガス発熱量差、センサ誤差、インプット
差等により発生する器具毎の差がキャンセルされ異常検
出レベルが上がり、不完全燃焼が生じた時に、これが速
やかに発見され、好都合である。

【０００９】また二つめの発明に係るガス湯沸器によれ
ば、入水管を介して熱交換器へ供給されてきた水がガス
バーナにより加熱されて出湯水として出湯管より得られ
るものであるが、そのガスバーナの燃焼状態において、
流れる湯量が最大時の出湯管を流れる湯の温度と、入水
管を流れる水の温度と、ガスバーナへ供給されるガス量
とが検出され、これらの検出信号に基づいて最大湯量時
のガスバーナのインプット値が演算により求められる。
そしてこの算出されたガスバーナのインプット値が適正
最大ガス量と比較してこれより高いと判断されると、ガ
スバーナの燃焼が停止される。

【００１０】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。図１は、本発明が適用されるガス湯
沸器の概略構成を示したものである。この図１に示した
ガス湯沸器１０は、給水管１２および出湯管１４が配管
された熱交換器１６がケーシング１８内に配設されると
共に、このケーシング１８内にはその熱交換器１６を加
熱するガスバーナ２０が配設されている。

【００１１】そしてガスバーナ２０のガス管２２にはガ
ス比例弁２４が設けられ、前記給水管１２には水の流れ
を検知する水流スイッチ２６やその水の温度を検知する
入水温サーミスタ（入水温センサ）２７が設けられ、ま
たその水の流れを規制する水ガバナ２８なども設けられ
ている。一方前記出湯管１４には出湯温度を検知する出
湯温サーミスタ（出湯温センサ）３０が設けられ、出湯
管１４の出湯口には蛇口（水栓）３２が設けられてい
る。

【００１２】そしてこのガス湯沸器の運転を制御するバ
ーナコントローラ３４の入力側には、前記水量スイッチ
２６、入水温センサ２７、出湯温センサ３０等が接続さ
れ、またバーナコントローラ３４の出力側にはガス比例
弁２４などが接続されている。

【００１３】このガス湯沸器１０は、蛇口（水栓）３２
を開くことにより水流スイッチ２６がＯＮし、ガスバー
ナ２０が点火されて熱交換器１６が加熱され、入水管１
２より供給される水が加熱されて出湯水が出湯管１４よ
り得られる。そのとき出湯温センサ３０からの検知信号
によりバーナコントローラ３４よりガス比例弁２４へ指
令が与えられ、ガス比例弁２４の比例弁電流値の制御に
よりその開度が調節されて出湯温度が設定温度に保たれ
るように運転が制御される。

【００１４】かくして本発明では、熱交換器１６の出口
側の出湯温度を検知してガスバーナ２０のガス比例弁２
４の開度を調整しつつ、そのガス量をコントロールする
瞬間式ガス湯沸器などにおいて、そのガス湯沸器の使用
毎に熱効率を算出し、正常な熱効率と比較することによ
り、熱交換器のフィン閉塞を推定し、燃焼を安全に停止
させるもので、その１つの手法として、定流量弁タイプ
のものを提示するものである。

【００１５】この定流量弁タイプのものは、出湯温度を
検知してガス量をコントロールする瞬間式ガス湯沸器に
おいて、熱交換器の出湯出口に設けられる湯温検出手段
としての出湯温サーミスタ３０、給水通路部に設けられ
る給水温検出手段としての入水温サーミスタ２７と、通
水路のいづれかの位置に設けられる（この実施例では、
給水管１２に設けられる）最大湯量制限器としての水ガ
バナ２８と、ガス量検出手段としてのガス比例弁２４の
電流値測定回路等からの検出信号により、

【００１６】測定熱効率＝測定アウトプット／測定イン
プットを算出し、予めバーナコントローラ３４にて記憶
されている正常な熱効率を比較し、測定熱効率＜正常な
熱効率ならば、熱交換器１６の集熱フィンの空隙が燃焼
生成物等のドレーンにより閉塞されたと推定し、ガスバ
ーナ２０による燃焼を安全に停止させるものである。

【００１７】これを具体的に詳細に説明すれば、次のよ
うになる。すなわち上述した、測定熱効率＝測定アウト
プット／測定インプットの式において、測定アウトプッ
トおよび測定インプットは次の数１および数２の式のよ
うになる。

【００１８】

【数１】

【００１９】

【数２】

【００２０】ここに数２において、Ｑガス（測定時のガ
スインプット流量）は次の数３の式により得られる。

【００２１】

【数３】

【００２２】一方、正常な熱効率は、 器具差： ノズル径、ガスノズル圧、熱交換器の性
能、燃焼空燃比のバラツキ、サーミスタ、流量センサ、
バーコンのバラツキ等。 使用ガスの発熱量による差 使用環境による差： 気温、湿度、大気圧 出湯温、出湯量、入水温による熱交換器の性能による
差 経年変化により正常燃焼が可能な範囲の熱効率の低下
等 を考慮し、決定される。そしてその正常な熱効率は次の
数４の式に従って求められる。

【００２３】

【数４】

【００２４】例えば、この数４の演算式において初期性
能の熱効率（η基準）および係数（ｋ1 ）を次の数５の
ように条件設定すると、正常な熱効率（η正常）は次の
数６のようになる。

【００２５】

【数５】

【００２６】

【数６】

【００２７】η正常値としては、 （Ｉ） ガス種毎に設定し、ガス種コネクタ等により選
択設定してもよい。 （II） 出湯温−出湯量−入水温毎に設定記憶させてお
いてもよい。 尚、前述の数１の式において、入水温（Ｔ水）について
は熱交換器１６の出湯口側の出湯温サーミスタ３０によ
り毎日の最低温度を検知して、この値を代用するように
してもよい。そうすれば入水温サーミスタ２７が構成上
要らないことになる。

【００２８】また現場で初期状態にて初期の測定熱効率
を求め、その値をη初期値とし、次の数７によりη正常
値を求めるようにすれば、さらに異常検出レベルが上が
る。そしてこのように学習機能を含めたη正常値の設定
も有効である。

【００２９】

【数７】

【００３０】但し、学習機能でη正常値を補正する場合
には、補正時の出湯量を実測する等によりガスバーナの
アウトプットとインプットとをはっきりさせておく必要
があることは勿論である。

【００３１】次に本発明の第二の実施例について説明す
る。この第二の実施例では、各検出手段（出湯温サーミ
スタ３０、入水温サーミスタ２７、ガス比例弁２４）や
最大湯量制限器（水ガバナ２８）等の構成については、
前述の第一の実施例の場合と同様である。

【００３２】そしてこの第二の実施例では、定流弁（水
ガバナ２８）の最大水量の能力を例えば４５℃以下の低
温領域ではカットした値にセットし、低温出湯時に各水
温、各出湯温に応じた適正最大ガス量をバーナコントロ
ーラ３４に予め記憶させておき、算出されたガスバーナ
の測定インプット値が、この適正最大ガス量を上回る場
合には燃焼を停止させるものである。

【００３３】例えば、図２にガス湯沸器の湯量（Ｑ）と
出湯温度（Ｔ）との関係を示しているが、今この図にお
いて示した２０号の能力最大ライン（実線カーブ
「Ａ」）のガス湯沸器において、定流弁（水ガバナ２
８）で規制される最大水量が例えば水温０℃のとき９．
４リットル／ｍｉｎで管理されており、かつガスバーナ
２０の能力全開時の出湯温度が５３℃であるとした場合
に、それよりも低い温度（例えば、４５℃以下）では定
流弁（水ガバナ２８）の最大水量がカットされた値で適
正最大ガス量を定め、実際の測定インプット値がこの適
正最大ガス量を上回った場合には不完全燃焼が生じてい
るものとしてガスバーナの燃焼を停止させるものであ
る。今、ガスバーナの測定ガスインプット流量は、前述
の数３の式に示したとおりであり、また適正最大ガス量
は、次の数８の式に示したとおりである。

【００３４】

【数８】

【００３５】この数８の式において、η正常値は予め決
定されているため、測定インプットの計算のみ行ない、
適正最大ガス量と比較して燃焼の異常が判定されること
になる。尚、本発明は上記実施例に何等限定されるもの
ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計
変更又は改良が可能であることは勿論のことである。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の燃焼異常検知機能付きガス湯沸器によれば、熱交
換器のフィン閉塞等に伴う熱効率の低下を速やかに検知
し、ガスバーナの燃焼を停止させるようにしたものであ
るから、ガス器具使用上の安全性が担保されるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用されるガス湯沸器の全体の概略構
成図である。

【図２】図１に示したガス湯沸器における湯量（Ｑ）と
出湯温度（Ｔ）との関係を説明した図である。

【符号の説明】

１０ ガス湯沸器 １２ 給水管（入水管） １４ 出湯管 １６ 熱交換器 ２０ ガスバーナ ２４ ガス比例弁 ２７ 入水温センサ（入水温サーミスタ） ２８ 定流弁（水ガバナ） ３０ 出湯温センサ（出湯温サーミスタ） ３４ バーナコントローラ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入水管および出湯管が設けられる熱交換
   器と、この熱交換器を加熱するガスバーナとを備えたガ
   ス湯沸器において、 出湯管を流れる湯の温度を検出する湯温検出手段と、 入水管を流れる水の温度を検出する入水温検出手段と、 ガスバーナへ供給されるガス量を検出するガス量検出手
   段と、 前記湯温検出手段、入水温検出手段、およびガス量検出
   手段からの検出信号に基づいて熱効率を演算する熱効率
   演算手段と、 この熱効率演算手段により算出された熱効率を基準熱効
   率と比較してこれより低いか否かを判定する熱効率判定
   手段とを備え、この熱効率判定手段により算出熱効率が
   基準熱効率より低いと判断されたときに前記ガスバーナ
   の燃焼が停止されるように構成したことを特徴とする燃
   焼異常検知機能付きガス湯沸器。
2. 【請求項２】 前記熱効率判定手段による判定に用いら
   れる基準熱効率の値は、初期使用時の演算値としたこと
   を特徴とする請求項１に記載の燃焼異常検知機能付きガ
   ス湯沸器。
3. 【請求項３】 入水管および出湯管が設けられる熱交換
   器と、この熱交換器を加熱するガスバーナとを備えたガ
   ス湯沸器において、 出湯管を流れる湯の温度を検出する湯温検出手段と、 入水管を流れる水の温度を検出する入水温検出手段と、 ガスバーナへ供給されるガス量を検出するガス量検出手
   段と、 前記湯温検出手段、入水温検出手段、およびガス量検出
   手段からの検出信号に基づいて最大湯量時のガスバーナ
   のインプット値を演算するインプット値演算手段と、 このインプット値演算手段により算出されたインプット
   値を適正最大ガス量と比較してこれより低いか否かを判
   定するインプット値判定手段とを備え、このインプット
   値判定手段により算出インプット値が適正最大ガス量よ
   り高いと判断されたときに前記ガスバーナの燃焼が停止
   されるように構成したことを特徴とする燃焼異常検知機
   能付きガス湯沸器。