JPH08233093A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents
トロイダル型無段変速機Info
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- JPH08233093A JPH08233093A JP6346195A JP6346195A JPH08233093A JP H08233093 A JPH08233093 A JP H08233093A JP 6346195 A JP6346195 A JP 6346195A JP 6346195 A JP6346195 A JP 6346195A JP H08233093 A JPH08233093 A JP H08233093A
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- Japan
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- sleeve
- range
- gear ratio
- spool
- continuously variable
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、電気系統の故障が発生した場合に
運転者のチャンジレバーの変速レンジの選択によって低
速側の変速比に固定できて積載での下り坂での安全走行
ができ、高車速で走行中に急激なエンジンブレーキが掛
からない安全性を損なわないトロイダル型無段変速機を
提供する。 【構成】 スプール弁20に組み込まれたスリーブ6
は、スプール軸方向にシフト可能に嵌合され、中立位置
に向けて常時ばね力で付勢されている。アクチュエータ
5の無効時に、スリーブ6の位置はLレンジ又はLレン
ジ以外の変速レンジに対応して作動されるマニュアル弁
装置10で変更できる。スリーブ6は、Lレンジでは減
速側の所定の変速比に固定させられ、Lレンジ以外の変
速レンジでは故障発生時の変速比を保持するか、又は増
速側の所定の変速比へ変速される。
運転者のチャンジレバーの変速レンジの選択によって低
速側の変速比に固定できて積載での下り坂での安全走行
ができ、高車速で走行中に急激なエンジンブレーキが掛
からない安全性を損なわないトロイダル型無段変速機を
提供する。 【構成】 スプール弁20に組み込まれたスリーブ6
は、スプール軸方向にシフト可能に嵌合され、中立位置
に向けて常時ばね力で付勢されている。アクチュエータ
5の無効時に、スリーブ6の位置はLレンジ又はLレン
ジ以外の変速レンジに対応して作動されるマニュアル弁
装置10で変更できる。スリーブ6は、Lレンジでは減
速側の所定の変速比に固定させられ、Lレンジ以外の変
速レンジでは故障発生時の変速比を保持するか、又は増
速側の所定の変速比へ変速される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、対向して配置された
入力ディスクと出力ディスクとに接触した状態で回転し
且つ傾転角度に応じて入力ディスクの回転を無段階に変
速して出力ディスクに伝達するパワーローラ及び該パワ
ーローラに支持されたトラニオンを有するトロイダル型
無段変速機に関する。
入力ディスクと出力ディスクとに接触した状態で回転し
且つ傾転角度に応じて入力ディスクの回転を無段階に変
速して出力ディスクに伝達するパワーローラ及び該パワ
ーローラに支持されたトラニオンを有するトロイダル型
無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トロイダル型無段変速機として、
特開昭61−127965号公報に開示されたものがあ
る。該トロイダル型無段変速機は、制御弁に相当するコ
ントロールバルブの可動部材の一方を油圧を用いて動作
させて制御の簡素化をはかるため、コントロールバルブ
の可動部材の一方を動作させるアクチュエータを、油圧
ピストンと該油圧ピストンの片側の室に収容され、油圧
ピストンを他方側へ付勢するスプリングと、変速比制御
装置からの信号により油圧ピストンの他方側の室への油
圧を制御するソレノイドバルブとで構成したものであ
る。
特開昭61−127965号公報に開示されたものがあ
る。該トロイダル型無段変速機は、制御弁に相当するコ
ントロールバルブの可動部材の一方を油圧を用いて動作
させて制御の簡素化をはかるため、コントロールバルブ
の可動部材の一方を動作させるアクチュエータを、油圧
ピストンと該油圧ピストンの片側の室に収容され、油圧
ピストンを他方側へ付勢するスプリングと、変速比制御
装置からの信号により油圧ピストンの他方側の室への油
圧を制御するソレノイドバルブとで構成したものであ
る。
【0003】従来、自動車に搭載されるトロイダル型無
段変速機としては、図2に示すようなものが知られてい
る。該トロイダル型無段変速機は、エンジン出力が入力
される入力軸11、入力軸11に回転可能に支持された
入力ディスク12、入力ディスク12に対向して配置さ
れ且つ出力軸8に回転可能に支持された出力ディスク1
3、入力ディスク12と出力ディスク13との間に配置
され且つ入力ディスク12から出力ディスク13へトル
クを伝達する傾転可能なパワーローラ3、パワーローラ
3を支持するトラニオン4を有し、パワーローラ3を傾
転させることにより、その傾転角度に応じて入力ディス
ク12の回転を出力ディスク13に無段階に変速して伝
達するように構成されている。上記のようなトロイダル
型無段変速機では、パワーローラ3の傾転はコントロー
ラ7からの指令で作動するアクチュエータ5によって行
われる。
段変速機としては、図2に示すようなものが知られてい
る。該トロイダル型無段変速機は、エンジン出力が入力
される入力軸11、入力軸11に回転可能に支持された
入力ディスク12、入力ディスク12に対向して配置さ
れ且つ出力軸8に回転可能に支持された出力ディスク1
3、入力ディスク12と出力ディスク13との間に配置
され且つ入力ディスク12から出力ディスク13へトル
クを伝達する傾転可能なパワーローラ3、パワーローラ
3を支持するトラニオン4を有し、パワーローラ3を傾
転させることにより、その傾転角度に応じて入力ディス
ク12の回転を出力ディスク13に無段階に変速して伝
達するように構成されている。上記のようなトロイダル
型無段変速機では、パワーローラ3の傾転はコントロー
ラ7からの指令で作動するアクチュエータ5によって行
われる。
【0004】変速ユニットにおけるパワーローラ3は、
対向して配置された入力ディスク12と出力ディスク1
3の間に挟まれるようにして対向して配置され、支持部
材のトラニオン4にそれぞれ回転自在に支持されてい
る。即ち、パワーローラ3はトラニオン4に偏心軸によ
って支持されている。また、トラニオン4は変速機ケー
シング(図示省略)に回動可能で且つ軸方向に移動可能
に支持されている。トラニオン4は傾転軸22を有し、
傾転軸22を中心として回動し、且つ傾転軸22の軸方
向に移動することができる。トラニオン4の傾転軸22
にはピストン14が固定され、ピストン14は変速機ケ
ーシングに形成された油圧シリンダ15内を摺動可能に
設けられている。油圧シリンダ15内にはピストン14
によって区画された2つのシリンダ室16,17が形成
されている。
対向して配置された入力ディスク12と出力ディスク1
3の間に挟まれるようにして対向して配置され、支持部
材のトラニオン4にそれぞれ回転自在に支持されてい
る。即ち、パワーローラ3はトラニオン4に偏心軸によ
って支持されている。また、トラニオン4は変速機ケー
シング(図示省略)に回動可能で且つ軸方向に移動可能
に支持されている。トラニオン4は傾転軸22を有し、
傾転軸22を中心として回動し、且つ傾転軸22の軸方
向に移動することができる。トラニオン4の傾転軸22
にはピストン14が固定され、ピストン14は変速機ケ
ーシングに形成された油圧シリンダ15内を摺動可能に
設けられている。油圧シリンダ15内にはピストン14
によって区画された2つのシリンダ室16,17が形成
されている。
【0005】油圧シリンダ15の各シリンダ室16,1
7は回路18,19によってスプール弁20に連通して
いる。スプール弁20内に配設されたスプール1は、軸
方向一端に配置されたスプリング21と他端に当接した
揺動レバー23とのバランスによって中立位置に保持さ
れている。スプール弁20は、ポンプ圧(油圧源)へ連
結されるPポート27、回路18を介してシリンダ室1
6へ連通されるAポート32、回路19を介してシリン
ダ室17へ連通されるBポート31、ドレンへ連通され
るTポート即ちドレンポート28を備えている。また、
スプール弁20とスプール1との間には、それぞれのA
ポート32、Bポート31、Pポート27、ドレンポー
ト28に連通するポートを備えたスリーブ6が移動可能
に嵌入している。スリーブ6は円筒部に5つの貫通孔即
ちポートを有し、スリーブ6が中立位置にある時には、
各ポートの位置は、弁本体24に設けられたAポート3
2、Bポート31、Pポート27、及び2つのドレンポ
ート28の位置にそれぞれ対応している。スリーブ6
は、変速比を所定値に設定するためコントローラ7から
出力された制御信号に応じてアクチュエータ5によって
作動するように構成されている。スリーブ6は、リター
ンスプリング25によって増速側の所定の変速比に復帰
されるように構成されている。
7は回路18,19によってスプール弁20に連通して
いる。スプール弁20内に配設されたスプール1は、軸
方向一端に配置されたスプリング21と他端に当接した
揺動レバー23とのバランスによって中立位置に保持さ
れている。スプール弁20は、ポンプ圧(油圧源)へ連
結されるPポート27、回路18を介してシリンダ室1
6へ連通されるAポート32、回路19を介してシリン
ダ室17へ連通されるBポート31、ドレンへ連通され
るTポート即ちドレンポート28を備えている。また、
スプール弁20とスプール1との間には、それぞれのA
ポート32、Bポート31、Pポート27、ドレンポー
ト28に連通するポートを備えたスリーブ6が移動可能
に嵌入している。スリーブ6は円筒部に5つの貫通孔即
ちポートを有し、スリーブ6が中立位置にある時には、
各ポートの位置は、弁本体24に設けられたAポート3
2、Bポート31、Pポート27、及び2つのドレンポ
ート28の位置にそれぞれ対応している。スリーブ6
は、変速比を所定値に設定するためコントローラ7から
出力された制御信号に応じてアクチュエータ5によって
作動するように構成されている。スリーブ6は、リター
ンスプリング25によって増速側の所定の変速比に復帰
されるように構成されている。
【0006】従って、スプール弁20のスプール1は、
スリーブ6内を移動して三つの位置、即ち、一方のシリ
ンダ室16をPポート27に連通し、他方のシリンダ室
17をTポート即ちドレンポート28に連通する第一位
置、一方のシリンダ室16をドレンポート28に連通
し、他方のシリンダ室17をPポート27に連通する第
二位置、シリンダ室16,17を両方ともPポート27
及びドレンポート28から遮断する中立位置の3つの位
置のうち、いずれか一つの位置に選択的に切り換えるこ
とができる。スプール1の切換制御は、コントローラ7
の指令でアクチュエータ5によって行われる。スプール
弁20の回路18のAポート32は、回路18によって
一方のシリンダ室16に連通されている。Aポート32
から油圧シリンダ15へ油圧が供給されている時には、
Aポート32の圧力は一方のシリンダ室16に作用す
る。また、スプール弁20のBポート31は、回路19
によって他方のシリンダ室17に連通されている。Bポ
ート31から油圧シリンダ15へ油圧が供給されている
時には、Bポート31の圧力は他方のシリンダ室17に
作用する。
スリーブ6内を移動して三つの位置、即ち、一方のシリ
ンダ室16をPポート27に連通し、他方のシリンダ室
17をTポート即ちドレンポート28に連通する第一位
置、一方のシリンダ室16をドレンポート28に連通
し、他方のシリンダ室17をPポート27に連通する第
二位置、シリンダ室16,17を両方ともPポート27
及びドレンポート28から遮断する中立位置の3つの位
置のうち、いずれか一つの位置に選択的に切り換えるこ
とができる。スプール1の切換制御は、コントローラ7
の指令でアクチュエータ5によって行われる。スプール
弁20の回路18のAポート32は、回路18によって
一方のシリンダ室16に連通されている。Aポート32
から油圧シリンダ15へ油圧が供給されている時には、
Aポート32の圧力は一方のシリンダ室16に作用す
る。また、スプール弁20のBポート31は、回路19
によって他方のシリンダ室17に連通されている。Bポ
ート31から油圧シリンダ15へ油圧が供給されている
時には、Bポート31の圧力は他方のシリンダ室17に
作用する。
【0007】また、一方の傾転軸22の先端にはプリセ
スカム2が連結され、中央部を枢着された揺動レバー2
3の一端がプリセスカム2に当接し、揺動レバー23の
他端がスプール1に当接している。揺動レバー23は、
トラニオン4の傾転軸22の軸方向変位及び傾転角度を
合成変位量としてスプール1に伝達する。トロイダル型
無段変速機では、トラニオン4を中立位置(パワーロー
ラ3の回転中心軸が入力ディスク12及び出力ディスク
13の回転中心軸と交叉する位置)からいずれか一方へ
傾転軸方向(即ち傾転軸22の軸方向)に変位させる
と、その方向と変位量に応じた向きと速さでトラニオン
4が傾転軸22回りに傾転し、該傾転により変速が行わ
れるという性質を利用して、変速制御が行われる。ま
た、このトロイダル型無段変速機は、その他にも車速セ
ンサー、エンジン回転センサー、スロットル開度センサ
ー等の各種センサーを備えており、これらのセンサーで
検出された車速、エンジン回転数、スロットル開度等の
変速情報信号がコントローラ7に入力されるように構成
されている。
スカム2が連結され、中央部を枢着された揺動レバー2
3の一端がプリセスカム2に当接し、揺動レバー23の
他端がスプール1に当接している。揺動レバー23は、
トラニオン4の傾転軸22の軸方向変位及び傾転角度を
合成変位量としてスプール1に伝達する。トロイダル型
無段変速機では、トラニオン4を中立位置(パワーロー
ラ3の回転中心軸が入力ディスク12及び出力ディスク
13の回転中心軸と交叉する位置)からいずれか一方へ
傾転軸方向(即ち傾転軸22の軸方向)に変位させる
と、その方向と変位量に応じた向きと速さでトラニオン
4が傾転軸22回りに傾転し、該傾転により変速が行わ
れるという性質を利用して、変速制御が行われる。ま
た、このトロイダル型無段変速機は、その他にも車速セ
ンサー、エンジン回転センサー、スロットル開度センサ
ー等の各種センサーを備えており、これらのセンサーで
検出された車速、エンジン回転数、スロットル開度等の
変速情報信号がコントローラ7に入力されるように構成
されている。
【0008】次に、上記トロイダル型無段変速機の作動
について説明すると、スプール弁のスプール1は、プリ
セスカム2を介してパワーローラ3を支持するトラニオ
ン4に連結され、トラニオン4の傾転角及び傾転軸22
の方向変位の合成値に対応した位置に保持される。アク
チュエータ5は、スリーブ6のスプール軸方向位置をコ
ントローラ7からの信号に応答して制御する。例えば、
スリーブ6が図2の状態よりも右側即ち減速側へ移動す
ると、スリーブ6はスプール1との相対位置が変化し、
回路19と油圧源に通じるPポート27が連通し、回路
18とTポート即ちドレンポート28とが連通する。そ
こで、回路19の油圧が回路18の油圧より高くなり、
ピストン14を介してトラニオン4が下向きにオフセッ
トする。この時、パワーローラ3は、サイドスリップ力
によって傾転軸22を中心に矢印DOWNの方向に傾転
を開始する。また、スリーブ6の図1の左側即ち増速側
方向への移動はリターンスプリング25のばね力で初期
位置へ移動するように構成されている。
について説明すると、スプール弁のスプール1は、プリ
セスカム2を介してパワーローラ3を支持するトラニオ
ン4に連結され、トラニオン4の傾転角及び傾転軸22
の方向変位の合成値に対応した位置に保持される。アク
チュエータ5は、スリーブ6のスプール軸方向位置をコ
ントローラ7からの信号に応答して制御する。例えば、
スリーブ6が図2の状態よりも右側即ち減速側へ移動す
ると、スリーブ6はスプール1との相対位置が変化し、
回路19と油圧源に通じるPポート27が連通し、回路
18とTポート即ちドレンポート28とが連通する。そ
こで、回路19の油圧が回路18の油圧より高くなり、
ピストン14を介してトラニオン4が下向きにオフセッ
トする。この時、パワーローラ3は、サイドスリップ力
によって傾転軸22を中心に矢印DOWNの方向に傾転
を開始する。また、スリーブ6の図1の左側即ち増速側
方向への移動はリターンスプリング25のばね力で初期
位置へ移動するように構成されている。
【0009】パワーローラ3が傾転するに従ってスプー
ル1はパワーローラ3の傾転軸方向変位と傾転角の合成
値分だけ右側へシフトし、Pポート27と回路19との
連通状態及びドレンポート28と回路18との連通状態
を絞って、スリーブ6とスプール1との所定の相対位置
が中立状態になったところで、回路18と回路19との
圧が等しくなる。しかしながら、この状態では、依然と
してパワーローラ3は傾転軸22方向にオフセットした
ままであるので、サイドスリップ力により傾転を続け、
スプール1はスリーブ6との中立位置よりも左側へ移動
し、回路19の油圧は回路18の油圧よりも小さくな
り、トラニオン4はピストン14を介して上向きに変位
し、パワーローラ3の傾転軸方向変位が小さくなるの
で、サイドスリップ力も弱まり、傾転速度が低下する。
上記トロイダル型無段変速機は、上記の作動を繰り返
し、パワーローラ3の傾転軸方向変位が零でスプール1
の位置がスリーブ6に対して中立となったところで変速
が終了する。
ル1はパワーローラ3の傾転軸方向変位と傾転角の合成
値分だけ右側へシフトし、Pポート27と回路19との
連通状態及びドレンポート28と回路18との連通状態
を絞って、スリーブ6とスプール1との所定の相対位置
が中立状態になったところで、回路18と回路19との
圧が等しくなる。しかしながら、この状態では、依然と
してパワーローラ3は傾転軸22方向にオフセットした
ままであるので、サイドスリップ力により傾転を続け、
スプール1はスリーブ6との中立位置よりも左側へ移動
し、回路19の油圧は回路18の油圧よりも小さくな
り、トラニオン4はピストン14を介して上向きに変位
し、パワーローラ3の傾転軸方向変位が小さくなるの
で、サイドスリップ力も弱まり、傾転速度が低下する。
上記トロイダル型無段変速機は、上記の作動を繰り返
し、パワーローラ3の傾転軸方向変位が零でスプール1
の位置がスリーブ6に対して中立となったところで変速
が終了する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ト
ロイダル型無段変速機では、電気的な故障が発生し、ア
クチュエータ5が失陥した場合即ち無効になった場合
に、スリーブ6の位置をコントローラ7の指令で制御す
ることができなくなるため、電気的な故障が発生した故
障発生時のスリーブ6の位置即ち変速比を保持するか、
又はスリーブ6が所定の変速比の位置に固定されるの
で、変速機の変速比もスリーブ6の位置に応じた変速比
に固定される。上記トロイダル型無段変速機では、この
場合、車速が速い状態で電気的な故障が発生した時、急
激なエンジンブレーキが掛かるのを防止するため、固定
される変速比が増速側の変速比に設定されるように構成
されている。ところが、トロイダル型無段変速機につい
て、変速比が増速側のままで車両が停車すると、車両が
登坂路で停車した時や大きな積載状態の時では、駆動力
が不足し、車両の発進性を著しく損なわれると共に、変
速比が増速側のままであるので制動力が不足して危険な
状態になる。また、最悪の場合には、車両が発進不能に
なるということもある。
ロイダル型無段変速機では、電気的な故障が発生し、ア
クチュエータ5が失陥した場合即ち無効になった場合
に、スリーブ6の位置をコントローラ7の指令で制御す
ることができなくなるため、電気的な故障が発生した故
障発生時のスリーブ6の位置即ち変速比を保持するか、
又はスリーブ6が所定の変速比の位置に固定されるの
で、変速機の変速比もスリーブ6の位置に応じた変速比
に固定される。上記トロイダル型無段変速機では、この
場合、車速が速い状態で電気的な故障が発生した時、急
激なエンジンブレーキが掛かるのを防止するため、固定
される変速比が増速側の変速比に設定されるように構成
されている。ところが、トロイダル型無段変速機につい
て、変速比が増速側のままで車両が停車すると、車両が
登坂路で停車した時や大きな積載状態の時では、駆動力
が不足し、車両の発進性を著しく損なわれると共に、変
速比が増速側のままであるので制動力が不足して危険な
状態になる。また、最悪の場合には、車両が発進不能に
なるということもある。
【0011】この発明の目的は、上記の課題を解決し、
低速段レンジに切り換えられたマニュアル弁からの信号
圧により低速段レンジではスリーブの位置を減速側の所
定の変速比の位置へシフトさせ、電気系統の故障が発生
した時に低速段レンジでは減速側へ変速し、車両が坂路
で停車した時や車両への積載状態が重い時でも、車両の
発進が可能になり、また、低速段レンジ以外の変速レン
ジではスリーブは従来通りに故障発生時の変速比を保持
するか又は増速側の所定の変速比へ変速するため、急激
なエンジンブレーキが掛かることがなく、車両の安全走
行を確保できるトロイダル型無段変速機を提供すること
である。
低速段レンジに切り換えられたマニュアル弁からの信号
圧により低速段レンジではスリーブの位置を減速側の所
定の変速比の位置へシフトさせ、電気系統の故障が発生
した時に低速段レンジでは減速側へ変速し、車両が坂路
で停車した時や車両への積載状態が重い時でも、車両の
発進が可能になり、また、低速段レンジ以外の変速レン
ジではスリーブは従来通りに故障発生時の変速比を保持
するか又は増速側の所定の変速比へ変速するため、急激
なエンジンブレーキが掛かることがなく、車両の安全走
行を確保できるトロイダル型無段変速機を提供すること
である。
【0012】
【課題を解決するため手段】この発明は、上記目的を達
成するため、次のように構成されている。即ち、この発
明は、対向して配置された入力ディスクと出力ディス
ク、前記両ディスクに対する傾転角度の変化に応じて前
記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力ディ
スクに伝達するパワーローラ、前記パワーローラを回転
自在に支持し且つ中立位置から傾転軸方向へ変位するこ
とによって前記パワーローラを傾転軸回りに傾転させる
トラニオン、前記トラニオンを傾転軸方向に変位させる
ピストンと該ピストンの両側に形成されるシリンダ室と
を有する油圧シリンダ、前記油圧シリンダへの油圧を調
節するスプールを備えたスプール弁、前記スプール弁に
スプール軸方向にシフト可能に組み込まれた変速比を所
定値に設定するスリーブ、該スリーブをアクチュエータ
によって移動させてスプール軸方向位置を制御するコン
トローラ、及び前記アクチュエータの無効時にチェンジ
レバーの変速レンジに対応して前記スリーブの設定位置
を変更できるマニュアル弁装置、を有することを特徴と
するトロイダル型無段変速機に関する。
成するため、次のように構成されている。即ち、この発
明は、対向して配置された入力ディスクと出力ディス
ク、前記両ディスクに対する傾転角度の変化に応じて前
記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力ディ
スクに伝達するパワーローラ、前記パワーローラを回転
自在に支持し且つ中立位置から傾転軸方向へ変位するこ
とによって前記パワーローラを傾転軸回りに傾転させる
トラニオン、前記トラニオンを傾転軸方向に変位させる
ピストンと該ピストンの両側に形成されるシリンダ室と
を有する油圧シリンダ、前記油圧シリンダへの油圧を調
節するスプールを備えたスプール弁、前記スプール弁に
スプール軸方向にシフト可能に組み込まれた変速比を所
定値に設定するスリーブ、該スリーブをアクチュエータ
によって移動させてスプール軸方向位置を制御するコン
トローラ、及び前記アクチュエータの無効時にチェンジ
レバーの変速レンジに対応して前記スリーブの設定位置
を変更できるマニュアル弁装置、を有することを特徴と
するトロイダル型無段変速機に関する。
【0013】また、このトロイダル型無段変速機におい
て、前記マニュアル弁装置は、低速段レンジで前記スリ
ーブを減速側の所定の変速比に固定する信号圧を前記ス
リーブに作用させる位置と前記低速段レンジ以外の変速
レンジで前記スリーブに作用する前記信号圧を零にする
位置とに切り換えられるマニュアル弁から構成されてい
る。
て、前記マニュアル弁装置は、低速段レンジで前記スリ
ーブを減速側の所定の変速比に固定する信号圧を前記ス
リーブに作用させる位置と前記低速段レンジ以外の変速
レンジで前記スリーブに作用する前記信号圧を零にする
位置とに切り換えられるマニュアル弁から構成されてい
る。
【0014】また、このトロイダル型無段変速機におい
て、前記スリーブはリターンスプリングによって増速側
の所定の変速比に復帰される。
て、前記スリーブはリターンスプリングによって増速側
の所定の変速比に復帰される。
【0015】また、このトロイダル型無段変速機におい
て、前記アクチュエータが無効時に低速段レンジで前記
スリーブを減速側の所定値に固定される変速比は、前記
アクチュエータが有効時の低速段での変速比より増速側
に設定されている。
て、前記アクチュエータが無効時に低速段レンジで前記
スリーブを減速側の所定値に固定される変速比は、前記
アクチュエータが有効時の低速段での変速比より増速側
に設定されている。
【0016】
【作用】この発明によるトロイダル型無段変速機は、上
記のように構成されているので、次のように作用する。
即ち、このトロイダル型無段変速機は、スプール弁の弁
本体とスプールとの間でスプール軸方向にシフト可能に
嵌合され且つ中立位置に向けて常時ばね力で付勢されて
いる変速比を所定値に設定するスリーブをコントローラ
の指令で作動させるアクチュエータが無効になった時
に、低速段レンジ又は低速段レンジ以外の変速レンジに
対応して作動されるマニュアル弁装置で変更できる。こ
の時、前記スリーブは低速段レンジでは前記スリーブの
設定位置を減速側の所定の変速比に固定させられ、低速
段レンジ以外の変速レンジでは前記スリーブは、リター
ンスプリングで復帰して故障発生時の変速比を保持する
か、又は増速側の所定の変速比へ変速される。従って、
このトロイダル型無段変速機では、電気的故障によって
前記アクチュエータが無効になっても、運転者の選択に
よって前記スリーブを減速側への変速が可能になり、積
載時或いは下り坂等でも車両を安全に走行させることが
でき、また、前記アクチュエータで設定されている変速
比に前記スリーブを保持するか又は増速側の所定の変速
比へ変速するので、車両に急激なエンジンブレーキが掛
かることはない。
記のように構成されているので、次のように作用する。
即ち、このトロイダル型無段変速機は、スプール弁の弁
本体とスプールとの間でスプール軸方向にシフト可能に
嵌合され且つ中立位置に向けて常時ばね力で付勢されて
いる変速比を所定値に設定するスリーブをコントローラ
の指令で作動させるアクチュエータが無効になった時
に、低速段レンジ又は低速段レンジ以外の変速レンジに
対応して作動されるマニュアル弁装置で変更できる。こ
の時、前記スリーブは低速段レンジでは前記スリーブの
設定位置を減速側の所定の変速比に固定させられ、低速
段レンジ以外の変速レンジでは前記スリーブは、リター
ンスプリングで復帰して故障発生時の変速比を保持する
か、又は増速側の所定の変速比へ変速される。従って、
このトロイダル型無段変速機では、電気的故障によって
前記アクチュエータが無効になっても、運転者の選択に
よって前記スリーブを減速側への変速が可能になり、積
載時或いは下り坂等でも車両を安全に走行させることが
でき、また、前記アクチュエータで設定されている変速
比に前記スリーブを保持するか又は増速側の所定の変速
比へ変速するので、車両に急激なエンジンブレーキが掛
かることはない。
【0017】
【実施例】以下、図1を参照して、この発明によるトロ
イダル型無段変速機の一実施例について説明する。図1
はこの発明によるトロイダル型無段変速機の一実施例を
示す説明図である。図1に示したこのトロイダル型無段
変速機は、図2に示した従来のトロイダル型無段変速機
と比較して、スリーブを作動するマニュアル弁装置を設
けている以外は、ほぼ同一の構造を有するので、同一部
品には同一符号を付している。
イダル型無段変速機の一実施例について説明する。図1
はこの発明によるトロイダル型無段変速機の一実施例を
示す説明図である。図1に示したこのトロイダル型無段
変速機は、図2に示した従来のトロイダル型無段変速機
と比較して、スリーブを作動するマニュアル弁装置を設
けている以外は、ほぼ同一の構造を有するので、同一部
品には同一符号を付している。
【0018】このトロイダル型無段変速機において、入
力ディスク12と出力ディスク13は対向して配置さ
れ、入出力ディスク12,13の間に一対のパワーロー
ラ3が配置されている。各パワーローラ3は両ディスク
に接触した状態で回転し、且つ傾転可能であって傾転角
度に応じて入力ディスク12の回転を無段階に変速して
出力ディスク13に伝達する。各パワーローラ3は偏心
軸によってトラニオン4に回転自在に支持されている。
パワーローラ3の下部には油圧シリンダ15が配置され
ている。油圧シリンダ15は、トラニオン4の傾転軸2
2に一体に設けられたピストン14によって区画された
二つのシリンダ室16,17を有し、いずれか一方のシ
リンダ室16,17にスプール弁20を介して油圧が供
給された時に、トラニオン4は中立位置から傾転軸22
の軸方向に変位する。また、トラニオン4の傾転軸22
方向変位に伴ってパワーローラ3は傾転軸22の回りに
傾転するように構成されている。即ち、パワーローラ3
は偏心軸によって回転自在にトラニオン4に支持されて
いるので、トラニオン4が中立位置から傾転軸22方向
に変位すると、パワーローラ3は入力ディスク12及び
出力ディスク13から速度ベクトルの方向に力を受け、
トラニオン4の軸方向変位に応じて傾転軸22回りに傾
転する。
力ディスク12と出力ディスク13は対向して配置さ
れ、入出力ディスク12,13の間に一対のパワーロー
ラ3が配置されている。各パワーローラ3は両ディスク
に接触した状態で回転し、且つ傾転可能であって傾転角
度に応じて入力ディスク12の回転を無段階に変速して
出力ディスク13に伝達する。各パワーローラ3は偏心
軸によってトラニオン4に回転自在に支持されている。
パワーローラ3の下部には油圧シリンダ15が配置され
ている。油圧シリンダ15は、トラニオン4の傾転軸2
2に一体に設けられたピストン14によって区画された
二つのシリンダ室16,17を有し、いずれか一方のシ
リンダ室16,17にスプール弁20を介して油圧が供
給された時に、トラニオン4は中立位置から傾転軸22
の軸方向に変位する。また、トラニオン4の傾転軸22
方向変位に伴ってパワーローラ3は傾転軸22の回りに
傾転するように構成されている。即ち、パワーローラ3
は偏心軸によって回転自在にトラニオン4に支持されて
いるので、トラニオン4が中立位置から傾転軸22方向
に変位すると、パワーローラ3は入力ディスク12及び
出力ディスク13から速度ベクトルの方向に力を受け、
トラニオン4の軸方向変位に応じて傾転軸22回りに傾
転する。
【0019】油圧シリンダ15の各シリンダ室16,1
7は回路18,19によってスプール弁20に連通して
いる。スプール弁20は、油圧源即ちポンプ圧Pへ連通
されるPポート27、回路18を介してシリンダ室16
へ連通されるAポート32、回路19を介してシリンダ
室17へ連通されるBポート31、ドレンへ連通される
Tポート28を備えている。スプール弁20は、弁本体
であるケース24、ケース24内に摺動自在に収納され
たスプール1、及びケース24とスプール1の間に摺動
自在に嵌合された円筒状のスリーブ6から構成されてい
る。スリーブ6の一端部にはリターンスプリング25が
配設され、リターンスプリング25のばね力によってス
リーブ6は所定の変速比の初期位置即ちアクチュエータ
5で設定された位置に復帰される。
7は回路18,19によってスプール弁20に連通して
いる。スプール弁20は、油圧源即ちポンプ圧Pへ連通
されるPポート27、回路18を介してシリンダ室16
へ連通されるAポート32、回路19を介してシリンダ
室17へ連通されるBポート31、ドレンへ連通される
Tポート28を備えている。スプール弁20は、弁本体
であるケース24、ケース24内に摺動自在に収納され
たスプール1、及びケース24とスプール1の間に摺動
自在に嵌合された円筒状のスリーブ6から構成されてい
る。スリーブ6の一端部にはリターンスプリング25が
配設され、リターンスプリング25のばね力によってス
リーブ6は所定の変速比の初期位置即ちアクチュエータ
5で設定された位置に復帰される。
【0020】このトロイダル型無段変速機は、特に、次
の構成に特徴を有している。このトロイダル型無段変速
機は、スプール弁20にスプール軸方向にシフト可能に
組み込まれた変速比を所定値に設定するスリーブ6、ス
リーブ6をアクチュエータ5によって移動させてスプー
ル軸方向位置を制御するコントローラ7、及びアクチュ
エータ5の無効時にチェンジレバー(図示せず)の変速
レンジに対応してスリーブ6の設定位置を変更できるマ
ニュアル弁装置10を有している。スリーブ6は、弁ケ
ース24とスプール1との間でスプール軸方向にシフト
可能に嵌合され且つ中立位置に向けてリターンスプリン
グ25のばね力で常時付勢されている。ここでは、スリ
ーブ6はリターンスプリング25によって増速側の所定
の変速比に復帰されるように設定されている。マニュア
ル弁装置10は、スリーブ6を所定の設定位置に維持す
るため、スリーブ6の一端部に信号圧Ppを作用させる
位置即ち低速段レンジの位置と、スリーブ6に作用する
信号圧を零にする低速段レンジ以外の変速レンジの位置
とに摺動移動して切り換えられるマニュアル弁9から構
成されている。
の構成に特徴を有している。このトロイダル型無段変速
機は、スプール弁20にスプール軸方向にシフト可能に
組み込まれた変速比を所定値に設定するスリーブ6、ス
リーブ6をアクチュエータ5によって移動させてスプー
ル軸方向位置を制御するコントローラ7、及びアクチュ
エータ5の無効時にチェンジレバー(図示せず)の変速
レンジに対応してスリーブ6の設定位置を変更できるマ
ニュアル弁装置10を有している。スリーブ6は、弁ケ
ース24とスプール1との間でスプール軸方向にシフト
可能に嵌合され且つ中立位置に向けてリターンスプリン
グ25のばね力で常時付勢されている。ここでは、スリ
ーブ6はリターンスプリング25によって増速側の所定
の変速比に復帰されるように設定されている。マニュア
ル弁装置10は、スリーブ6を所定の設定位置に維持す
るため、スリーブ6の一端部に信号圧Ppを作用させる
位置即ち低速段レンジの位置と、スリーブ6に作用する
信号圧を零にする低速段レンジ以外の変速レンジの位置
とに摺動移動して切り換えられるマニュアル弁9から構
成されている。
【0021】このトロイダル型無段変速機において、マ
ニュアル弁装置10から回路33を通じて送り込まれる
信号圧をスリーブ6に作用させるため、スリーブ6の端
部には段部26が形成されている。マニュアル弁装置1
0は、油圧源に通じるポート29を回路33の連通する
位置と回路33をドレンポート30に連通する位置にケ
ース34内を摺動移動するマニュアル弁9を有してい
る。マニュアル弁9は、チェンジレバー(図示せず)の
変速レンジに対応してケース34内を摺動移動するよう
に構成されている。図1では、変速レンジは、低速段レ
ンジのLレンジ、自動変速段レンジのDレンジ、ニュー
トラルレンジのNレンジ、後退段レンジのRレンジ及び
パーキングレンジのPレンジが示されている。ここで、
Lレンジは、1速又は2速のエンジンブレーキがかかる
変速レンジである。
ニュアル弁装置10から回路33を通じて送り込まれる
信号圧をスリーブ6に作用させるため、スリーブ6の端
部には段部26が形成されている。マニュアル弁装置1
0は、油圧源に通じるポート29を回路33の連通する
位置と回路33をドレンポート30に連通する位置にケ
ース34内を摺動移動するマニュアル弁9を有してい
る。マニュアル弁9は、チェンジレバー(図示せず)の
変速レンジに対応してケース34内を摺動移動するよう
に構成されている。図1では、変速レンジは、低速段レ
ンジのLレンジ、自動変速段レンジのDレンジ、ニュー
トラルレンジのNレンジ、後退段レンジのRレンジ及び
パーキングレンジのPレンジが示されている。ここで、
Lレンジは、1速又は2速のエンジンブレーキがかかる
変速レンジである。
【0022】このトロイダル型無段変速機は、通常、変
速ユニットに電気的故障が発生していない場合には、マ
ニュアル弁装置10において、弁ケース34内で摺動移
動するマニュアル弁9が低速段レンジのLレンジに位置
し、圧力源35が圧力ポート29からマニュアル弁9を
通じて回路33に連通し、スリーブ6の段部26に信号
圧Psとして圧力Ppが付勢されるが、Lレンジでのス
リーブ6の正常動作時の変速比は、スリーブ6が更に減
速側に設定されているので、信号圧Psの圧力Ppでス
リーブ6が減速側に押し込まれる量よりも更に減速側へ
アクチュエータ5により押されることになり、マニュア
ル弁9による正常時の制御への影響は全く無いことにな
る。
速ユニットに電気的故障が発生していない場合には、マ
ニュアル弁装置10において、弁ケース34内で摺動移
動するマニュアル弁9が低速段レンジのLレンジに位置
し、圧力源35が圧力ポート29からマニュアル弁9を
通じて回路33に連通し、スリーブ6の段部26に信号
圧Psとして圧力Ppが付勢されるが、Lレンジでのス
リーブ6の正常動作時の変速比は、スリーブ6が更に減
速側に設定されているので、信号圧Psの圧力Ppでス
リーブ6が減速側に押し込まれる量よりも更に減速側へ
アクチュエータ5により押されることになり、マニュア
ル弁9による正常時の制御への影響は全く無いことにな
る。
【0023】また、このトロイダル型無段変速機は、通
常、変速ユニットに電気的故障が発生していない場合に
は、マニュアル弁9が低速段レンジのLレンジ以外の変
速レンジ即ちDレンジ、Nレンジ、Rレンジ及びPレン
ジに位置する時には、回路33はマニュアル弁9を通じ
てドレンポート30に連通し、回路33の信号圧Psは
零になる。そこで、コントローラ7の指令でアクチュエ
ータ5によってスリーブ6の位置はリターンスプリング
25のばね力に抗して図1の右側へ押されてスプール軸
方向位置に制御され、変速比が所定の変速比に設定され
ている。即ち、スリーブ6は図1の左側即ち増速側へは
リターンスプリング25のばね力で押し付けられてい
る。この時には、チェンジレバーがLレンジ以外の変速
レンジでは、回路33はドレンされ、スリーブ6の段部
26には信号圧Psが掛からない状態になっており、ス
リーブ6はアクチュエータ5によってのみ制御されるよ
うに構成されている。
常、変速ユニットに電気的故障が発生していない場合に
は、マニュアル弁9が低速段レンジのLレンジ以外の変
速レンジ即ちDレンジ、Nレンジ、Rレンジ及びPレン
ジに位置する時には、回路33はマニュアル弁9を通じ
てドレンポート30に連通し、回路33の信号圧Psは
零になる。そこで、コントローラ7の指令でアクチュエ
ータ5によってスリーブ6の位置はリターンスプリング
25のばね力に抗して図1の右側へ押されてスプール軸
方向位置に制御され、変速比が所定の変速比に設定され
ている。即ち、スリーブ6は図1の左側即ち増速側へは
リターンスプリング25のばね力で押し付けられてい
る。この時には、チェンジレバーがLレンジ以外の変速
レンジでは、回路33はドレンされ、スリーブ6の段部
26には信号圧Psが掛からない状態になっており、ス
リーブ6はアクチュエータ5によってのみ制御されるよ
うに構成されている。
【0024】このトロイダル型無段変速機において、車
両の走行中に、変速ユニットに電気的故障が発生した場
合には、コントローラ7の指令が無くなり、アクチュエ
ータ5が無効になり、故障発生時のアクチュエータ5で
設定されている変速比に保持されるか、又は増速側の所
定の変速比へ変速するようになる。即ち、変速ユニット
の電気的故障の発生時が、チェンジレバーの変速レンジ
が低速段レンジのLレンジであれば、マニュアル弁9を
通じてスリーブ6の端部26に信号圧Psとして圧力P
pが作用し、スリーブ6は信号圧Ppとリターンスプリ
ング25のばね力とがバランスした位置、即ち減速側の
所定の変速比の位置に保持される。この時、低速側の変
速比は、アクチュエータ5が有効時の低速段での変速比
より増速側に設定されている。又は、変速ユニットの電
気的故障の発生時が、チェンジレバーの変速レンジが低
速段レンジのLレンジ以外の変速レンジD,N,R又は
Pレンジであれば、マニュアル弁9を通じてスリーブ6
の端部26の信号圧Psは零になり、スリーブ6はリタ
ーンスプリング25のばね力でアクチュエータ5が設定
した変速比の位置へ復帰し、電気的故障の発生時の変速
比を保持するか、又は増速側の所定の変速比へ変速す
る。
両の走行中に、変速ユニットに電気的故障が発生した場
合には、コントローラ7の指令が無くなり、アクチュエ
ータ5が無効になり、故障発生時のアクチュエータ5で
設定されている変速比に保持されるか、又は増速側の所
定の変速比へ変速するようになる。即ち、変速ユニット
の電気的故障の発生時が、チェンジレバーの変速レンジ
が低速段レンジのLレンジであれば、マニュアル弁9を
通じてスリーブ6の端部26に信号圧Psとして圧力P
pが作用し、スリーブ6は信号圧Ppとリターンスプリ
ング25のばね力とがバランスした位置、即ち減速側の
所定の変速比の位置に保持される。この時、低速側の変
速比は、アクチュエータ5が有効時の低速段での変速比
より増速側に設定されている。又は、変速ユニットの電
気的故障の発生時が、チェンジレバーの変速レンジが低
速段レンジのLレンジ以外の変速レンジD,N,R又は
Pレンジであれば、マニュアル弁9を通じてスリーブ6
の端部26の信号圧Psは零になり、スリーブ6はリタ
ーンスプリング25のばね力でアクチュエータ5が設定
した変速比の位置へ復帰し、電気的故障の発生時の変速
比を保持するか、又は増速側の所定の変速比へ変速す
る。
【0025】そこで、車両走行中に電気的故障が発生し
た場合に、運転者がエンジンブレーキを必要とする場合
には、チェンジレバーを操作してLレンジへ選択してシ
フトすると、圧力源35が圧力ポート29からマニュア
ル弁9を通じて回路33に連通され、スリーブ6の段部
26に信号圧Psとして圧力Ppが付勢され、圧力Pp
がリターンスプリング25のばね力とバランスする位置
へスリーブ6が移動し、スリーブ6が減速側(右側)の
所定の変速比に固定されることになる。この時、固定さ
れる変速比は、Lレンジにおける正常動作時(電気的故
障が発生せず、コントローラ7の指令でアクチュエータ
5によってスリーブが制御される時)の変速比よりは増
速側の変速比に設定されるように構成されている。ま
た、運転者がチェンジレバーのLレンジを選択している
時、電気系統に故障が発生した場合には、スリーブ6は
その段部26に作用する信号圧の出力信号で減速側(右
側)に力を受け、リターンスプリング25と釣り合う位
置へシフトし、変速比は減速側の所定の変速比に固定さ
れる。
た場合に、運転者がエンジンブレーキを必要とする場合
には、チェンジレバーを操作してLレンジへ選択してシ
フトすると、圧力源35が圧力ポート29からマニュア
ル弁9を通じて回路33に連通され、スリーブ6の段部
26に信号圧Psとして圧力Ppが付勢され、圧力Pp
がリターンスプリング25のばね力とバランスする位置
へスリーブ6が移動し、スリーブ6が減速側(右側)の
所定の変速比に固定されることになる。この時、固定さ
れる変速比は、Lレンジにおける正常動作時(電気的故
障が発生せず、コントローラ7の指令でアクチュエータ
5によってスリーブが制御される時)の変速比よりは増
速側の変速比に設定されるように構成されている。ま
た、運転者がチェンジレバーのLレンジを選択している
時、電気系統に故障が発生した場合には、スリーブ6は
その段部26に作用する信号圧の出力信号で減速側(右
側)に力を受け、リターンスプリング25と釣り合う位
置へシフトし、変速比は減速側の所定の変速比に固定さ
れる。
【0026】
【発明の効果】この発明によるトロイダル型無段変速機
は、上記のように構成されているので、次のような効果
を有する。このトロイダル型無段変速機は、電気系統の
故障が発生した時に、Lレンジにチェンジレバーがシフ
トされている場合、或いは運転者がチェンジレバーを作
動してLレンジを選択した場合には、スリーブの段部に
信号圧が作用してスリーブは減速側の変速比に固定さ
れ、車両が登坂路で停車した時や車両への積載状態が重
い時でも、車両の発進が可能になる。また、Lレンジ以
外の変速レンジにチェンジレバーがシフトされている場
合、アクチュエータで設定されている通りに故障発生時
の変速比を保持するか、増速側の所定の変速比へ変速す
る。従って、このトロイダル型無段変速機は、電気的故
障が発生したとしても、高車速走行時に、車両に急激な
エンジンブレーキが掛かることがなく、また、車両が重
い積載状態である時も、運転者のチェンジレバーの変速
レンジの選択によって低速側の変速比に固定され、エン
ジンブレーキを掛けた状態で車両を走行でき、車両の安
全走行を確保できる。
は、上記のように構成されているので、次のような効果
を有する。このトロイダル型無段変速機は、電気系統の
故障が発生した時に、Lレンジにチェンジレバーがシフ
トされている場合、或いは運転者がチェンジレバーを作
動してLレンジを選択した場合には、スリーブの段部に
信号圧が作用してスリーブは減速側の変速比に固定さ
れ、車両が登坂路で停車した時や車両への積載状態が重
い時でも、車両の発進が可能になる。また、Lレンジ以
外の変速レンジにチェンジレバーがシフトされている場
合、アクチュエータで設定されている通りに故障発生時
の変速比を保持するか、増速側の所定の変速比へ変速す
る。従って、このトロイダル型無段変速機は、電気的故
障が発生したとしても、高車速走行時に、車両に急激な
エンジンブレーキが掛かることがなく、また、車両が重
い積載状態である時も、運転者のチェンジレバーの変速
レンジの選択によって低速側の変速比に固定され、エン
ジンブレーキを掛けた状態で車両を走行でき、車両の安
全走行を確保できる。
【0027】このトロイダル型無段変速機は、上記のよ
うに、電気系統に故障が無い正常動作時には、変速ユニ
ットがコントローラの指令でアクチュエータのみによっ
て移動して所定の変速比に制御され、電気系統の故障時
にはアクチュエータが無効になってスリーブがチェンジ
レバーの変速レンジに応じて減速側と増速側との変速比
の2系統に制御されることになる。
うに、電気系統に故障が無い正常動作時には、変速ユニ
ットがコントローラの指令でアクチュエータのみによっ
て移動して所定の変速比に制御され、電気系統の故障時
にはアクチュエータが無効になってスリーブがチェンジ
レバーの変速レンジに応じて減速側と増速側との変速比
の2系統に制御されることになる。
【図1】この発明によるトロイダル型無段変速機の一実
施例を示す説明図である。
施例を示す説明図である。
【図2】従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す説
明図である。
明図である。
1 スプール 3 パワーローラ 4 トラニオン 5 アクチュエータ 6 スリーブ 7 コントローラ 9 マニュアル弁 10 マニュアル弁装置 12 入力ディスク 13 出力ディスク 14 ピストン 15 油圧シリンダ 16,17 シリンダ室 18,19,33 回路 20 スプール弁 22 傾転軸 25 リターンスプリング 29 圧力ポート 30 ドレンポート
Claims (4)
- 【請求項1】 対向して配置された入力ディスクと出力
ディスク、前記両ディスクに対する傾転角度の変化に応
じて前記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出
力ディスクに伝達するパワーローラ、前記パワーローラ
を回転自在に支持し且つ中立位置から傾転軸方向へ変位
することによって前記パワーローラを傾転軸回りに傾転
させるトラニオン、前記トラニオンを傾転軸方向に変位
させるピストンと該ピストンの両側に形成されるシリン
ダ室とを有する油圧シリンダ、前記油圧シリンダへの油
圧を調節するスプールを備えたスプール弁、前記スプー
ル弁にスプール軸方向にシフト可能に組み込まれた変速
比を所定値に設定するスリーブ、該スリーブをアクチュ
エータによって移動させてスプール軸方向位置を制御す
るコントローラ、及び前記アクチュエータの無効時にチ
ェンジレバーの変速レンジに対応して前記スリーブの設
定位置を変更できるマニュアル弁装置、を有することを
特徴とするトロイダル型無段変速機。 - 【請求項2】 前記マニュアル弁装置は、低速段レンジ
で前記スリーブを減速側の所定の変速比に固定する信号
圧を前記スリーブに作用させる位置と前記低速段レンジ
以外の変速レンジで前記スリーブに作用する前記信号圧
を零にする位置とに切り換えられるマニュアル弁から構
成されていることを特徴とする請求項1に記載のトロイ
ダル型無段変速機。 - 【請求項3】 前記スリーブはリターンスプリングによ
って増速側の所定の変速比に復帰されることを特徴とす
る請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。 - 【請求項4】 前記アクチュエータが無効時に低速段レ
ンジで前記スリーブを減速側の所定値に固定される変速
比は、前記アクチュエータが有効時の低速段での変速比
より増速側に設定されていることを特徴とする請求項1
に記載のトロイダル型無段変速機。
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6346195A JPH08233093A (ja) | 1995-02-28 | 1995-02-28 | トロイダル型無段変速機 |
US08/604,075 US5711741A (en) | 1995-02-27 | 1996-02-20 | Fail safe for toroidal continuous variable transmission |
EP96301190A EP0728960B1 (en) | 1995-02-27 | 1996-02-22 | Continuously variable toroidal transmission |
DE69609093T DE69609093T2 (de) | 1995-02-27 | 1996-02-22 | Stufenloses Toroidgetriebe |
DE0728960T DE728960T1 (de) | 1995-02-27 | 1996-02-22 | Stufenloses Toroidgetriebe |
US08/925,331 US5842945A (en) | 1995-02-27 | 1997-09-08 | Toroidal continuous variable transmission with a limited slip differential between the output toroid disks |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6346195A JPH08233093A (ja) | 1995-02-28 | 1995-02-28 | トロイダル型無段変速機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08233093A true JPH08233093A (ja) | 1996-09-10 |
Family
ID=13229910
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6346195A Pending JPH08233093A (ja) | 1995-02-27 | 1995-02-28 | トロイダル型無段変速機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08233093A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1998044279A1 (fr) * | 1997-03-31 | 1998-10-08 | Isuzu Motors Limited | Transmission toroidale continuement variable |
US6645120B1 (en) * | 1999-09-30 | 2003-11-11 | Nissan Motor Co., Ltd. | Speed change control device for a continuously variable transmission |
-
1995
- 1995-02-28 JP JP6346195A patent/JPH08233093A/ja active Pending
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