JPH08233007A - 防振ブッシュ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 防振ブッシュの軸方向のばね定数を軸直角方
向のばね定数に近づける。 【構成】 防振ブッシュ１０は、円筒形の内筒金具１１
を設けており、その外周には両端にリング形状のフラン
ジ部１２ａを有する樹脂ブロック１２が接着されてい
る。内筒金具の外側には外筒金具１３が同軸的に配設さ
れている。外筒金具と内筒金具及び樹脂ブロック間には
ゴム層１４が加硫成形されている。ゴム層１４の両端部
にはリング形状の樹脂製の拘束板１５が接着されてい
る。ゴム層の拘束板の接着部分１４ａと外筒金具間及び
内筒金具間には、内側に向けて凹部１４ｂ，１４ｃが設
けられている。拘束板とゴム層は接着されており、拘束
板は外筒金具に固定されているため、軸方向に対して
は、拘束板とフランジ部間のゴム層には圧縮力を効かせ
ることができるので、軸方向のばね定数を高めることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両のサスペンション
等に用いられる防振ブッシュに係り、特に防振ブッシュ
の軸方向のばね定数の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の防振ブッシュは、例えば
図４に示すように、円筒形で両端を除く外周面にへこみ
部分１ａを設けた内筒金具１と、へこみ部分１ａの対応
位置に同軸的に設けた外筒金具２と、その間に加硫成形
されたゴム層３とを設けたものが知られている。このへ
こみ部分１ａによりゴム層３の軸方向での圧縮成分を増
そうとしている。また、他の防振ブッシュとしては、図
５に示すように、円筒形の内筒金具４と、外筒金具５
と、その間に加硫成形されたゴム層６を設け、外筒金具
５の両端部を内側に曲げてカシメたものが知られてい
る。このかしめ部分５ａによりゴム層６の軸方向での圧
縮成分を増そうとしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記両防振ブ
ッシュは、いずれも軸方向に対してゴム層を直接的に圧
縮する部分がほとんどないので、軸方向のばね定数を効
果的に上げることができないという問題がある。本発明
は、上記した問題を解決しようとするもので、軸方向の
ばね定数を軸直角方向のばね定数に近づけた防振ブッシ
ュを提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、上記請求項１に係る発明の構成上の特徴は、内筒金
具と、内筒金具の外周面に一体または別体で設けられ両
端にリング状の突出部を有する中間部材と、内筒金具の
外側に同軸的に設けられた外筒金具と、内筒金具及び外
筒金具の間に加硫成形により設けられ両端の内筒金具及
び外筒金具との境界部分が所定長さ内側に向けて除去さ
れたゴム層と、内筒金具の外周面及び外筒金具の内周面
間に同軸的に配設されゴム層の両端に接着固定された中
間部材の突出部に対向するリング状の拘束板とを設けた
防振ブッシュであって、外筒金具の絞り加工により拘束
板の外周部と外筒金具の内周面とが接触状態にされ、か
つ外筒金具の拘束板の外側に位置する部分が内側に曲げ
込まれてなることにある。

【０００５】また、上記請求項２に係る発明の構成上の
特徴は、前記請求項１に記載の防振ブッシュにおいて、
外筒金具との境界のゴム層除去部分を、中間部材の両端
より内側位置にまで延ばしたことにある。

【０００６】

【発明の作用・効果】上記のように構成した請求項１に
係る発明においては、拘束板とゴム層は接着されてお
り、また拘束板は外筒金具のカシメにより外筒金具に強
固に固定されている。そのため、軸方向に対しては、ゴ
ム層に拘束板と中間部材の両端の突出部間により圧縮力
を効かせることができ、軸直角方向に対してはゴム層に
せん断力を効かせることができる。その結果、防振ブッ
シュの軸方向のばね定数が高められ、軸直角方向のばね
定数に近づけることができる。また、拘束板とゴム層は
接着されているため、軸方向の振動により、両者が離れ
ることがなく、そのためゴム層の耐久性が保証される。
さらに、外筒金具のカシメの際に、拘束板が位置決めの
役割を果たすため、自動的にかつ位置精度の良いカシメ
を行うことができる。

【０００７】また、上記のように構成した請求項２に係
る発明においては、拘束板と中間部材の端部間のゴム層
の伸縮がより自由に行われる。従って、軸方向のばね定
数をより軸直角方向のばね定数に近づけることができ
る。また、外筒金具の絞り時に、中間部材と拘束板間の
ゴム層に余分な圧縮応力が加わることがないので、ゴム
層の耐久性が損なわれることもない。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明
すると、図１〜図３は、同実施例に係る車両用の防振ブ
ッシュ１０の加硫成形直後の状態、絞り加工後の状態及
びかしめ加工終了の完成品を断面図により概略的に示し
たものである。防振ブッシュ１０は、鉄製の円筒形の内
筒金具１１を設けている。内筒金具１１の外周には、円
筒形の樹脂ブロック１２が接着されている。樹脂ブロッ
ク１２は、長さが内筒金具１１より短く、両端にリング
形状のフランジ部１２ａを有している。内筒金具１１の
外側には外筒金具１３が同軸的に配設されている。外筒
金具１３は、長さが内筒金具１１より短く、樹脂ブロッ
ク１２より長くなっている。そして、外筒金具１３と内
筒金具１１及び樹脂ブロック１２間にはゴム層１４が加
硫成形されている。ゴム層１４と、外筒金具１３、内筒
金具１１及び樹脂ブロック１２間には接着処理が施され
ている。

【０００９】そして、ゴム層１４の両端部にはリング形
状の樹脂製の拘束板１５が接着されている。なお、拘束
板１５は、樹脂製であることが外筒金具との接触音防止
の上で好ましいが、金属製であってもよい。ゴム層１４
の両端部の拘束板１５の接着部分１４ａと外筒金具間及
び拘束板１５接着位置と内筒金具１１間には、内側に向
けていわゆるすぐりといわれる凹部１４ｂ，１４ｃが設
けられている。外筒金具側の凹部１４ｂは、図１に示す
ように、先端が樹脂ブロック１２のフランジ部１２ａの
内側にまで延びている。また、内筒金具側の凹部１４ｃ
は、フランジ部１２ａと拘束板１５の中間位置にまで延
びている。

【００１０】つぎに、上記防振ブッシュの製造行程につ
いて説明する。外周に樹脂ブロック１２が接着されかつ
接着処理が施された内筒金具１１と内周面に接着処理が
施された外筒金具１３及び拘束板１５を成形金型にセッ
トし、ゴムの加硫成形を行うことにより、図１に示すよ
うに、ゴム加硫成形後の防振ブッシュ１０が得られる。
この防振ブッシュ１０を、外筒金具１３に絞り加工を施
して縮径させることにより、図２に示すように、外筒金
具１３の内側面に、拘束板１５の外周が接触した状態に
される。さらに、外筒金具１３の両端部を拘束板１５位
置にて内側に絞り込んで曲げることにより、拘束板１５
は、図３に示すように、外筒金具１３の曲げ部分１３ａ
によりカシメ固定される。

【００１１】以上に説明したように、防振ブッシュは拘
束板１５とゴム層１４は接着されており、また拘束板１
５は外筒金具１３のカシメにより外筒金具１３に固定さ
れているため、軸方向に対しては、拘束板１５と中間部
材１２のフランジ部１２ａ間のゴム層１４には圧縮力を
効かせることができ、軸直角方向に対してはゴム層１４
にせん断力を効かせることができる。また、外筒金具側
の凹部１４ｂは、先端が樹脂ブロック１２のフランジ部
１２ａの内側にまで延びているため、拘束板１５と中間
部材のフランジ部１２ａ間のゴム層１４の伸縮がより自
由に行われる。その結果、防振ブッシュの軸方向のばね
定数が高められ、これを軸直角方向のばね定数に近づけ
ることができる。また、拘束板１５とゴム層１４は接着
されているため、軸方向の振動により、両者が離れるこ
とがなく、そのためゴム層１４の耐久性が保証される。
さらに、外筒金具１３のカシメの際に、拘束板１５が位
置決めの役割を果たすため、カシメの位置精度を高める
ことができ、カシメ作業の自動化が容易になる。また、
外筒金具側の凹部１４ｂの先端が樹脂ブロック１２のフ
ランジ部１２ａの内側にまで延びているため、外筒金具
の絞り時に、フランジ部１２ａと拘束板１５間のゴム層
に余分な圧縮応力が加わることがないので、ゴム層の耐
久性が損なわれることもない。

【００１２】なお、上記各実施例においては、樹脂ブロ
ックを用いているが、金属製のブロックとしてもよく、
その場合には内筒金具とブロックとを一体で形成しても
よい。また、上記実施例においては、外筒金具側の凹部
の先端を樹脂ブロックのフランジ部の内側にまで延ばし
ているが、必要に応じて、フランジ部の外側までにとど
めてもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る防振ブッシュのゴム加
硫成形後を概略的に示す断面図である。

【図２】同防振ブッシュの絞り加工後を概略的に示す断
面図である。

【図３】同防振ブッシュのカシメ加工後を概略的に示す
断面図である。

【図４】従来例に係る防振ブッシュを概略的に示す部分
破断面図である。

【図５】従来例に係る防振ブッシュを概略的に示す部分
破断面図である。

【符号の説明】

１０…防振ブッシュ、１１…内筒金具、１２…樹脂ブロ
ック、１２ａ…フランジ部、１３…外筒金具、１４…ゴ
ム層、１４ａ…接着部分、１４ｂ，１４ｃ…凹部、１５
…拘束板。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内筒金具と、同内筒金具の外周面に一体
   または別体で設けられ両端にリング状の突出部を有する
   中間部材と、前記内筒金具の外側に同軸的に設けられた
   外筒金具と、前記内筒金具及び外筒金具の間に加硫成形
   により設けられ両端の同内筒金具及び外筒金具との境界
   部分が所定長さ内側に向けて除去されたゴム層と、前記
   内筒金具の外周面及び外筒金具の内周面間に同軸的に配
   設され前記ゴム層の両端に接着固定された前記中間部材
   の突出部に対向するリング状の拘束板とを設けた防振ブ
   ッシュであって、 前記外筒金具の絞り加工により前記拘束板の外周部と外
   筒金具の内周面とが接触状態にされ、かつ同外筒金具の
   拘束板の外側に位置する部分が内側に曲げ込まれてなる
   ことを特徴とする防振ブッシュ。
2. 【請求項２】 前記請求項１に記載の防振ブッシュにお
   いて、 前記外筒金具との境界のゴム層除去部分を、前記中間部
   材の両端より内側位置にまで延ばしたことを特徴とする
   防振ブッシュ。