JPH08224762A - 射出成形品、その製造方法、及びその金型 - Google Patents
射出成形品、その製造方法、及びその金型Info
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Abstract
ウエルドの発生を抑える。 【解決手段】 射出成形品は、相対する方向Fから流れ
てきた溶融樹脂相互の合流部3を含む合流部領域18を
有し、この合流部領域18は、溶融樹脂の主流動方向F
に対して垂直な方向Vの成形品の一方の端部である第1
側面15から他方の端部である第2側面16まで、第1
側面15から第2側面16に向かうに連れて肉厚が次第
に薄くなっている。
Description
キャビティ内に射出された溶融樹脂同志の合流部を有す
る成形品、その製造方法、その金型に関する。
なった方向から流れてきた溶融樹脂同志の合流部にウエ
ルドと呼ばれる欠陥が形成されることがある。
用いて簡単に説明する。細長い直方体形状の製品を射出
成形で成形する場合に、製品の両端部に該当する箇所か
ら溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出すると、溶融樹
脂のフローパターンは、図45に示すようになる。な
お、同図において、一般の地図における等高線に似た曲
線は、溶融樹脂のフローフロントラインの時間経過に伴
う位置を示すもので、いわゆる等時間線1といわる。ま
た、同図中、符号2は、キャビティ内に溶融樹脂を射出
するゲートを示している。同図からも理解できるよう
に、製品の両端部に該当する箇所から射出されたそれぞ
れの溶融樹脂は、そのフローフロントラインが主流動方
向Fに対して垂直な方向にほぼ直線的になって流れて行
き、キャビティ内の最終充填部になる箇所、言い換える
と、製品の中央部が合流部3となる。ウエルドは、この
合流部3に沿って、流動方向Fに対して垂直な方向に伸
びる微細な凹部のスジとして発生する。このケースの場
合、合流部3におけるそれぞれ溶融樹脂の等時間線相互
のなす角度、つまり樹脂合流角αは、ほぼ0°で、実際
に試験を行った結果としては約5°であった。
るため、製品の意匠性を損なうのみならず、応力集中箇
所になり構造上の欠陥にもなる。そこで、従来において
は、高い意匠性が要求されるような場合、ウエルドの表
面的な欠陥を隠すために成形品に塗装を施すことが多
い。
ものとしては、例えば、特公昭59−15809号公報
に記載された技術がある。この技術は、金型キャビティ
内の樹脂合流部と予想される箇所に、溶融樹脂の流動方
向に対して垂直な方向に厚肉流路と、この肉厚流路から
急激に肉厚が薄くなっている薄肉流路とを設けたもので
ある。これは、樹脂の流れが流動抵抗の大きいところを
さけ、流動抵抗の小さいところを求めて流れ、かつ流動
抵抗が流路の厚さの大小によって決まることを利用し
て、薄肉流路内での樹脂合流部において、ウエルドの発
生を抑え、ウエルドラインの長さを最小限にすることを
ねらったものである。
「生研セミナーテキスト」(1993年10月)64〜
67頁に、前述した樹脂合流角度αを大きくすることに
よりウエルドの深さを浅くできるという報告がなされて
いる。
59−15809号公報に記載されている技術では、ウ
エルドラインの長さを短くできるものの、厚肉流路内で
の樹脂合流部にはウエルドが残り、樹脂合流部全体にお
いて、ウエルドの発生を抑えることができないという問
題点がある。
て、ウエルドを発生させない、あるいはウエルド深さを
浅くすることにより、樹脂合流部の強度を向上させると
ともにウエルドを目立ち難くした成形品、その製造方法
及びその金型を提供することを目的とする。
の第1の射出成形品は、複数のゲートから金型のキャビ
ティ内に溶融樹脂を射出して成形する射出成形品におい
て、異なる方向から流れてきた溶融樹脂相互の合流部を
含む領域(以下、合流部領域とする。)を有し、前記合
流部領域は、該溶融樹脂の主流動方向に対して垂直な方
向の成形品の一方の端部から少なくとも他方の端部に至
る途中まで、該一方の端部から該他方の端部に向かうに
連れて肉厚が次第に薄くなっていることを特徴とするも
のである。ここで、前記第1の射出成形品は、前記一方
の端部から前記他方の端部まで、該一方の端部から該他
方の端部に向かうに連れて肉厚が次第に薄くなっていて
もよい。
品は、複数のゲートから金型のキャビティ内に溶融樹脂
を射出して成形する射出成形品において、異なる方向か
ら流れてきた溶融樹脂相互の合流部を含む領域(以下、
合流部領域とする。)を有し、前記合流部領域は、該溶
融樹脂の主流動方向に対して垂直な方向の成形品の一方
の端部から他方の端部まで、肉厚が連続して変化してい
ることを特徴とするものである。
方の端部から前記他方の端部に至る途中まで、該一方の
端部から該途中に向かうに連れて肉厚が次第に薄く又は
厚くなり、該途中から該他方の端部まで、該途中から該
他方の端部に向かうに連れて肉厚が次第に厚く又は薄く
なっているものであってもよい。
前記合流部領域が、該合流部領域を中心として前記溶融
樹脂の流動上流側の領域と肉厚が異なっているものであ
ってもよい。
出成形品は、複数のゲートから金型のキャビティ内に溶
融樹脂を射出して成形する射出成形品において、相対す
る方向から流れてきた溶融樹脂相互の合流部を含む領域
(以下、合流部領域とする。)を有し前記合流部領域
は、該合流部領域を中心として前記溶融樹脂の流動上流
側の領域(以下、上流側領域とする。)と肉厚が異なっ
ており、前記上流側領域から前記合流部領域へ肉厚が変
わる箇所の稜線は、前記溶融樹脂の主流動方向に対して
垂直な方向の成形品の一方の端部から他方の端部まで伸
び、且つ曲線又は該主流動方向に対して傾斜した直線で
形成されていることを特徴とするものである。
流部領域の肉厚が、前記一方の端部から前記他方の端部
に向かうに連れて次第に薄くなっていてもよい。
品は、複数のゲートから金型のキャビティ内に溶融樹脂
を射出して成形する、角を有する射出成形品において、
異なる方向から流れてきた溶融樹脂相互の合流部が前記
角を含む領域に位置していることを特徴とするものであ
る。
角を有する矩形板状を成し、4つの角のうち少なくとも
1つの角を含む領域に、異なる方向から流れてきた溶融
樹脂相互の前記合流部が位置しているものであってもよ
い。
射出成形品は、表面に、微細な凹凸が形成されているこ
とが好ましい。また、少なくとも前記合流部領域の表面
は、表面粗さが1〜50μmRmaxで、光沢度が5〜2
0%であることが好ましい。さらに、前記溶融樹脂内
に、溶融していない充填材が混入していることが好まし
い。
第2の射出成形品の製造方法は、二つの位置から流れて
きた前記溶融樹脂相互の前記合流部における、一方の溶
融樹脂のフローフロントラインと他方の溶融樹脂のフロ
ーフロントラインとの成す角度(以下、樹脂合流角とす
る。)をいろいろと変える試験で、該樹脂合流角が大き
くなると前記合流部に形成されるウエルドの深さが急激
に浅くなる樹脂合流角(以下、臨界樹脂合流角とす
る。)を求め、前記合流部における最大の前記樹脂合流
角が前記臨界樹脂合流角以上になる、前記一方の端部か
ら前記他方の端部へ向かう方向における前記肉厚の変化
率(以下、設定変化率とする。)を試験又シミュレーシ
ョンで予め求め、前記溶融樹脂が流れ込んで前記合流部
領域を形成し、前記一方の端部から前記他方の端部へ向
かう方向における前記肉厚の変化率を前記設定変化率に
するキャビティが形成されているブロックと、前記一方
の端部から前記他方の端部へ向かう方向に対して垂直な
方向において前記合流部を中心としてほぼ相対する位置
に配され、該キャビティ内に前記溶融樹脂を射出する二
つのゲートとを有する金型を作成し、二つの前記ゲート
から前記溶融樹脂を前記キャビティ内に射出して成形品
を成形することを特徴とするものである。
品の他の製造方法は、複数のゲートと、複数のゲートの
うち二つのゲートから射出された溶融樹脂相互の合流部
を含む合流部領域を形成する合流部領域形成キャビティ
とを有する金型を用いて、射出成形品を作る射出成形品
の製造方法において、一方の溶融樹脂のフローフロント
ラインと他方の溶融樹脂のフローフロントラインとの成
す角度(以下、樹脂合流角とする。)をいろいろと変え
る試験で、該樹脂合流角が大きくなると前記合流部に形
成されるウエルドの深さが急激に浅くなる樹脂合流角
(以下、臨界樹脂合流角とする。)を求め、最大の前記
樹脂合流角が前記臨界樹脂合流角以上になる前記合流部
の形状を試験又シミュレーションで予め求め、二つの前
記ゲートは、前記合流部形成キャビティ内で前記合流部
になると想定される位置で両者から射出された溶融樹脂
が合流する位置に設けられ、前記合流部形成キャビティ
は、試験又シミュレーションで求めた前記合流部の形状
を形成する形状に形成され、二つの前記ゲートから前記
溶融樹脂を前記合流部領域形成キャビティ内に射出し、
成形品を成形することを特徴とするものである。
品の金型は、複数のゲートからキャビティ内に溶融樹脂
が射出されて、成形品を成形する金型において、複数の
前記ゲートのうち、二つのゲートから射出された溶融樹
脂がそれぞれ流れ込み、それぞれの溶融樹脂が合流する
前記合流部を含む領域を形成する合流部形成キャビティ
が形成されている型ブロックと、前記合流部形成キャビ
ティを囲む壁面の一部で前記合流部の表面に接し、前記
溶融樹脂の主流動方向に対して垂直な方向の一方の端部
から少なくとも他方の端部に至る途中までを形成し、該
一方の端部から該他方の端部に向かうに連れて該合流部
形成キャビティの幅(=該主流動方向及び該一方の端部
から他方の端部に向かう方向に垂直な方向の長さ)が次
第に薄くなる第1状態と、該一方の端部から該他方の端
部に向かって該合流部形成キャビティの幅が目的の幅に
なる第2状態とに、変位可能な変位ブロックと、前記変
位ブロックを前記第1状態から前記第2状態へ、及び該
第2状態から該第1状態に変位させる変位ブロック駆動
手段と、を備えていることを特徴とするものである。
ビティを囲む壁面の一部が、前記溶融樹脂を通すことな
く気体を通す通気部材の一方の面で形成されており、前
記型ブロックには、前記通気部材の前記一方の面に対向
する他方の面から外部に通じる通気路が形成されている
ことが好ましい。
いて説明する。
施形態について、図1及び図2を用いて説明する。この
射出成形品は、図1に示すように、底面11と、この底
面11に対して一定角度傾いて向い合っている斜面12
と、底面11と斜面12とを結び且つ互いに平行な第1
側面15及び第2側面16とを有している。なお、この
射出成形品の各面の名称は、この成形品の形状を明確に
する都合上つけたものであり、例えば、ここでの底面1
1が実際に成形品の下面を成す底面である必要はない。
この成形品は、図2に示すように、二つのゲート2,2
が各側面15,16に平行な方向において相対する位置
に設けられている金型で成形したもので、それぞれのゲ
ート2,2から射出され、相対する方向F1,F2から流
れてきた溶融樹脂相互が合流する合流部3を有してい
る。この合流部3は、二つのゲート2,2のほぼ中間位
置に形成されることになる。さらに、この合流部3は、
溶融樹脂の主流動方向Fに対して垂直な方向Vの成形品
の一方の端部(=第1側面15)から他方の端部(=第
2側面16)まで形成されることになる。この成形品
は、底面11に対して斜面12が一定角度θ傾いている
ので、第1側面15から第2側面16まで、第1側面1
5から第2側面16に向かうに連れて肉厚が次第に薄く
なっている。なお、前述した主流動方向Fとは、一つの
ゲートから射出された溶融樹脂全体のキャビティ内で平
均的な流動方向のことである。従って、この実施形態の
ように、金型に成形品の互いに平行な第1側面15及び
第2側面をそれぞれ形成する壁面があり、且つこれらの
壁面に平行な方向において二つのゲート2,2が相対し
ている場合、主流動方向Fは、二つのゲート2,2を結
んだ線分上の方向になる。
内で流路幅の狭い箇所の方が、流路幅の広い箇所より
も、流路抵抗の関係から遅く流れる。このため、以上で
述べた成形品を射出成形する過程で、向い合っているゲ
ート2,2から射出されたそれぞれの溶融樹脂は、図2
に示すように、肉厚の厚い第1側面15側よりも肉厚の
薄い第2側面16側の方が遅く流れる。この結果、合流
部3における樹脂合流角αは、従来技術として図45を
用いて説明したものよりも、大きくなり、しかも、この
樹脂合流角αは、第1側面15側から第2側面16側に
向かう連れて大きくなって行く。なお、図2に示す溶融
樹脂のフローパターンは、熱可塑性樹脂であるABS
(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂を用
い、金型温度が60℃、樹脂温度が230℃、射出率が
100(cm3/s)の成形条件下で得たものである。また、
このフローパターンは、斜面12が底面11に対して2
°傾いているときのものである。
6まで形成されている合流部3の各位置での樹脂合流角
αは、大きくなるので、合流部全体において、ウエルド
深さを浅くすることができ、特に、樹脂合流角αが非常
に大きい第2側面16側ではウエルドを実質的になくす
ことができる。
BS樹脂を用いたが、本発明はこれに限定されるもので
はなく、例えば、PP(ポリプロピレン)、HIPS
(ハイインパクトポリスチレン)、PC(ポリカ−ボネ
−ト)、PS(ポリスチレン)、PPE(ポリフェニレ
ンエ−テル)、PC/ABS(PCとABSのポリマ−
アロイ)等、各種熱可塑性樹脂を用いてもよい。また、
僅かに残るウエルドを目立たなくするために、充填材と
して、タルクや炭酸カルシウム等の無機フィラ、鱗片状
のアルミ、アルミ粉等の金属系のフィラを単独あるいは
組合せて0.1〜50wt%程度配合してもよい。さら
に、ウエルドを目立たなくするために、金型表面に形成
するシボの表面粗さは、できる限り細かい(1〜50μ
mRmax程度)方が望ましく、また光沢度は艶消し状態
であることが好ましいため5〜20%の範囲内が望まし
く、これらの値は実際のウエルドの発生状況に応じて適
宜選定すれば良い。
施形態について、図3及び図4を用いて説明する。この
射出成形品は、基本的には、直方体形状を成しているも
のの、樹脂合流部3を含む合流部領域18を先の第1の
実施形態と同様に形成したものである。すなわち、この
射出成形品の合流部領域18は、底面11と、この底面
11に対して一定角度θ傾いて向い合っている斜面12
と、底面11と斜面12とを結び且つ互いに平行な第1
側面15及び第2側面16とを有している。合流部3
は、溶融樹脂の主流動方向Fに対して垂直な方向Vの成
形品の端部となる第1側面15から第2側面16まで形
成されている。また、合流部領域18は、底面11に対
して斜面12が一定角度θ傾いているので、第1側面1
5から第2側面16まで、第1側面15から第2側面1
6に向かうに連れて肉厚が次第に薄くなっている。
動上流側には、合流部領域18よりも肉厚の厚い上流側
領域17,17が形成され、合流部領域18と上流側領
域17,17との間には肉厚変更領域19,19が形成
されている。上流側領域17は、溶融樹脂の主流動方向
Fに対して垂直な面での断面形状が矩形状を成してお
り、合流部領域18の底面11と面一の底面11と、こ
の底面11と向い合い且つ平行な上面13と、合流部領
域18の第1側面15と面一の第1側面15と、合流部
領域18の第2側面16と面一の第2側面16とを有し
ている。肉厚変更領域19は、上流側領域17から合流
部領域18に向かうに連れて肉厚が次第に薄くなり、上
流側領域17の上面14と合流部領域18の斜面12と
を結ぶ肉厚変更部傾斜面14を有している。合流部領域
18の両側に形成されている各肉厚変更領域19,19
は、第1側面15から第2側面16へ向かって直線的に
帯状に伸び、且つ互いに平行である。この肉厚変更領域
19,19は、上流側領域17から合流部領域18に向
かうに連れて肉厚を次第に薄くすることで、上流側領域
17から合流部領域18へ急激に肉厚が変わることに起
因する色むら発生を防いでいる。
1の実施形態と同様に、第1側面15から第2側面16
まで形成されている合流部3の各位置での樹脂合流角α
は、図4に示すように、大きくなるので、合流部3全体
において、ウエルド深さを浅くすることができる。
寸法等の変更した際の樹脂合流角について試験を行った
ので、その結果について説明する。この試験では、主流
動方向Fに対して垂直な方向Vにおける第1側面15か
らゲート2迄の距離L1(=10mm)、第1側面15
と第2側面16との間の距離L2(=30mm)、樹脂
流動方向における成形品の長さL4(=300mm)を
一定として、主流動方向Fおける合流部領域18と肉厚
変更領域19,19と合わせた長さ(L3)、及び合流
部領域18の底面11に対する斜面12の角度θ(=ar
ctan((t−t1)/L2))を変更して、そのときの樹脂
合流角αについて調べた。
し、L3/L4を変更したときの樹脂合流角αの解析結
果を図5に示す。なお、ここでは、樹脂合流角αとし
て、成形品の肉厚が最も厚い部分、つまり第1側面15
側の合流部3の合流角αを測定した。同図に示すよう
に、L3/L4が大きくなるに従い、樹脂合流角αも大
きくなるが、L3/L4≧0.2のときには、α=40
°と一定となる。
満たすように、L3/L4=0.27と一定とし、斜面
12の角度θを変更したときの樹脂合流角αの解析結果
を図6に示す。ここでも、樹脂合流角αとして、成形品
の肉厚が最も厚い部分の合流角αを測定した。同図に示
すように、斜面12の角度θが大きくなるに従い、樹脂
合流角αも大きくなるが、θ≧5°のときはα=60°
とほぼ一定となる。
大きいほどウエルド防止に良いことから、斜面12の角
度θは5°以上、L3/L4は0.2以上がより望まし
いことが分かった。なお、このよう設計条件において、
最小の樹脂合流角αは、第1側面15側の合流部3にお
ける樹脂合流角αは、60°であるが、第2側面16側
の合流部3における樹脂合流角αは、最大の約150°
となる。この樹脂合流角αが150°という値は、後述
する臨界合流角αよりも遥かに大きく、この合流角αで
はウエルド深さがほぼ0になる。
域19の肉厚変更部傾斜面14は、平面であるが、図7
(第3の実施形態)に示すように、上流側領域17の上
面13と合流部領域18の斜面12と結ぶ面14aは、
肉厚変更領域19aの肉厚が上流側領域17から合流部
領域18に向かうに連れて次第に薄くなるのであれば、
平面である必要はなく、曲面であってもよい。
施形態について、図8を用いて説明する。この射出成形
品は、合流部領域18の両側に形成されている各肉厚変
更領域19b,19bが、第1側面15から第2側面1
6へ向かって直線的に帯状に伸び、且つ互いの成す角度
θが約70°、言い換えると、主流動方向Fに対して約
55°(=90°−70°/2)であり、その他に関し
ては、第3の実施形態の射出成形品と同じものである。
この射出成形品は、肉厚変更領域19b,19b相互の
成す角度θが約70°であるため、上方からみた合流部
領域18の形状が第3の実施形態(第3の実施形態では
矩形状)と異なり、三角形状になっている。
が主流動方向Fに対して約55°傾いているため、ゲー
ト2から流れ出た溶融樹脂は、肉厚変更領域19b,1
9bで向きを変え、合流部3における樹脂合流角αが大
きくなる。さらに、この実施形態では、合流部3を含む
合流部領域18が第1側面15から第2側面16に向か
うに連れて次第に肉厚が薄くなっているので、肉厚変更
領域19が主流動方向Fに対して傾いていることと相俟
って、合流部3における樹脂合流角αをより大きくする
ことができる。この結果、合流部3に形成されるウエル
ドをより小さくすることができる。
領域19bが、第1側面15から第2側面16へ向かっ
て傾いて直線的に伸びているが、図9(第5の実施形
態)に示すように、肉厚変更領域19cを第1側面15
から第2側面16へ向かって曲線的に伸ばしても、ま
た、図10(第6の実施形態)に示すように、肉厚変更
領域19dを第1側面15から第2側面16への途中ま
で直線的に伸ばし、そこから屈曲させて第2側面16ま
で直線的に伸ばすようにしてもよい。なお、図10のよ
うに、帯状の肉厚変更領域を直線状に形成する場合に
は、主流動方向Fに対して、90°又は180°になっ
ていないことが必要である。
施形態について、図11を用いて説明する。この射出成
形品は、合流部領域18aが第1側面15から第2側面
16に至る途中まで、第1側面15から第2側面16に
向かうに連れて肉厚が次第に薄く成り、それ以降は肉厚
が一定のもので、その他は、第3の実施形態の射出成形
品と同様である。
面11と、この底面11と向い合っている斜面12a及
び上面12bと、斜面12aと底面11とを結ぶ第1側
面15と、上面12bと底面11とを結ぶ第2側面16
とを有している。斜面12aは、底面11に対して一定
角度θで傾いており、第1側面15から第2側面16に
至る途中まで形成されている。上面12bは、底面11
と平行で、斜面12の端部から第2側面16まで形成さ
れている。
側面側に斜面12を形成すると、斜面12の部分の樹脂
合流角αが第3の実施形態と同様に大きくなると共に、
合流部領域18の他の部分、つまり上面12bを有して
いる部分も、斜面12を有する部分に影響されて樹脂合
流角αが大きくなる。
施形態について、図12を用いて説明する。この射出成
形品は、合流部領域18bが、第1側面15から第2側
面16に至る途中まで、第1側面15から第2側面16
に向かうに連れて肉厚が次第に厚くなり、その途中から
第2側面16まで、途中から第2側面16に向かうに連
れて肉厚が次第に薄く成っており、その他は、第3の実
施形態と同様である。
面11と、この底面11と向い合う第1斜面12c及び
第2斜面12dと、底面11と第1斜面12cと結ぶ第
1側面15と、底面11と第2斜面12dとを結ぶ第2
側面16とを有している。第1斜面12c及び第2斜面
12dは、それぞれ、底面11に対して一定角度θで傾
斜している。このため、主流動方向Fに対して垂直な面
(A−A断面)での合流部領域18bの断面形状は、山
形になる。
面12cと第2斜面12dとの境界から各側面15,1
6に向かって次第に肉厚が薄くなっているので、第3の
実施形態と同様に、合流部3における樹脂合流角αを大
きくすることができる。なお、この実施形態では、第3
の実施形態と異なり、第1斜面12cと第2斜面12d
との境界部分が最も樹脂合流角αが小さく、各側面1
5,16に向かうに連れて樹脂合流角αが大きくなる。
また、合流部領域18bの断面形状を山形にすること
で、この部分の剛性が高まり、肉厚減少に伴う機械的強
度の低下を防ぐことができる。
直な面(A−A断面)での合流部領域の断面形状が山形
であるが、逆に、谷形のものであってもよい。この場
合、各側面15,16側が最も樹脂合流角αが小さく、
各斜面の境界に向かうに連れて樹脂合流角αが大きくな
る。
実施例のように、合流部3が伸びている方向(主流動方
向Fに対して垂直な方向)の肉厚が、合流部3の一方の
端部から他方の端部まで連続的に変っていれば、合流部
3全体において、樹脂合流角を大きくすることができ、
ウエルドの発生を抑えることができる。ここで、肉厚が
連続的に変っているとは、合流部3の一方の端部から他
方の端部への肉厚の変化率が滑らかになっていることで
はなく、いずれの点においても、その点に隣接する点に
対して肉厚が異なっていることを意味している。
0、11の実施形態について説明する。携帯型情報処理
装置の一つであるノート型ワードプロセッサは、図13
に示すように、キーボードやフロッピーディスクドライ
ブ装置や各種回路基板が搭載されている本体ケース5
と、液晶ディスプレィ装置(以下、LCDとする。)6
が搭載されている蓋ケース7とを備えている。蓋ケース
7は、LCD6が搭載されるLCD内蓋ケース20と、
外蓋ケース8とを有している。以下で説明する各実施形
態は、このノート型ワードプロセッサのLCD内蓋ケー
ス20に、本発明を適用したものである。
について説明する前に、図14〜図16を用いて、従来
のLCD内蓋ケース20dについて説明する。従来のL
CD内蓋ケース20dは、図14に示すように、矩形平
板状を成し、その中央部には、LCD6が搭載される矩
形状の開口21が形成されている。LCD内蓋ケース2
0dの一の外辺には、本体ケース5に取り付けるための
連結部22,22が形成されている。ここで、便宜上、
連結部22が形成されている外辺と開口縁との間を連結
側平行部23、連結部22が形成されている外辺と対向
している外辺と開口縁との間を揺動側平行部24、残り
の外辺と開口縁との間を横側平行部25,25とする。
は、キャビティ内の揺動側平行部24を形成する部分に
溶融樹脂を射出する二つのゲート2,2が設けられ、キ
ャビティ内の連結側平行部23を形成する部分の中央に
溶融樹脂を射出する一つのゲート2が設けられている。
3つのゲート2,2,2は、図15に示すように、各ゲ
ート2,2,2のほぼ中央部に位置している一つのスプ
ル9とランナ4,4,4を介して連結されている。
の樹脂フローパタ−ンを示している。これは、成形機の
ノズル(図示せず)から射出された溶融樹脂が、スプル
9、ランナ4,4,4及びゲ−ト2,2,2を通して金
型(図示せず)のキャビティ内に注入されたときの時間
的な挙動を示したものである。揺動側平行部24に位置
している二つのゲート2,2のうち、一方のゲート2か
ら射出された溶融樹脂の一部は、揺動側平行部24の中
央部の方へ流れ、残りは、横側平行部25の方へ流れ
る。揺動側平行部24の中央部の方へ流れた溶融樹脂
は、揺動側平行部24に位置している他方のゲート2か
ら射出された溶融樹脂と、揺動側平行部24の中央部で
合流し、ここに合流部3hを形成する。また、横側平行
部25の方へ流れた溶融樹脂は、連結側平行部23に位
置しているゲート2から射出された溶融樹脂と、横側平
行部25の連結側平行部23寄りで合流し、ここに合流
部3i,3jを形成する。これらの合流部3h,3i,
3jでの樹脂合流角αは、いずれも小さいので、各合流
部3h,3i,3jにウエルドが発生する。特に、揺動
側平行部24の合流部3hでの樹脂合流角αは、図16
に示すように、約5°で、非常に小さいので、この合流
部3hには顕著なウエルドが発生する。そこで、従来に
おいては、LCD内蓋ケース20dを塗装し、各合流部
3h,3i,3jに発したウエルドを隠蔽している。
施形態であるLCD内蓋ケース20について、図17〜
図19を用いて説明する。
0は、基本的には、図14等を用いて説明した従来のL
CD内蓋ケース20dと同じであるが、図17に示すよ
うに、揺動側平行部24の中央部分に、他の部分より肉
厚の薄い薄肉厚領域26を形成した点で、従来のLCD
内蓋ケース20dと異なっている。このLCD内蓋ケー
ス20の揺動側平行部24は、図18に示すように、厚
さt0=1.5mm、幅L2=27mm、長さL4=2
35mmである。また、LCD内蓋ケース20の揺動側
平行部24に形成した薄肉厚領域26は、正面から見た
形状が矩形状を成し、その一辺が開口21の一辺に接す
るようになっている。この薄肉厚領域26は、厚さt=
1mm、幅L1=15mm、長さL3=80mmであ
る。
等を用い説明した従来のものに対して、各ゲートの位置
を変更している。具体的には、従来、揺動側平行部24
に位置させていた二つのゲート2,2を、それぞれ、横
側平行部25,25の揺動側平行部24よりに変更して
いる。この結果、これらのゲート2,2から射出された
溶融樹脂と、連結側平行部23に位置しているゲート2
から射出された溶融樹脂との合流部3b,3cは、連結
部側平行部23寄りに移動し、横側平行部25,25と
連結側平行部23との角領域に位置することになる。こ
のため、横側平行部25,25に位置しているゲート
2,2から射出された溶融樹脂の一部と、連結側平行部
23に位置しているゲート2から射出された溶融樹脂と
は、横側平行部25,25と連結側平行部23とが成す
角度である90°以上の約140°の角度で合流する。
従って、この合流部3b,3cでの樹脂合流角αは、従
来よりも大きくなりウエルド深さを浅くすることができ
る。また、ウエルドが多少残ったとしても、角領域に形
成されるため、ウエルドのスジが美観を損なうようなこ
ともない。
ト2,2から射出された各溶融樹脂は、揺動側平行部2
4の中央部で合流する。揺動側平行部24の中央部の開
口21側には、薄肉領域26が形成されているため、揺
動側平行部24の中央部の開口21側と外側とでは、肉
厚が異なる。このため、図19に示すように、揺動側平
行部24において、同図の左右から中央部に至った各溶
融樹脂は、主流動方向Fに対して垂直方向におけるキャ
ビティ幅の違いにより、開口側の流動抵抗と外側の流動
抵抗とが異なることになり、開口側の流動速度と外側の
流動速度とに差違が生じる。この結果、同図に示すよう
に、揺動側平行部24の中央部の合流部3aにおける樹
脂合流角α(=約120°)が大きくなり、ウエルドを
目立たなくすることができる。
塑性のABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレ
ン)樹脂を用いて、型締力280トンの射出成形機によ
り成形したものである。また、この射出成形品の肉厚
は、1.5mm以下で薄肉であるため、成形条件は温度
と射出速度をやや高めに設定した。具体的には、成形機
のシリンダ温度を240℃、金型温度を60℃、射出時
間を2.7sに設定した。また、ABS樹脂にはセルロ
−ス繊維及び雲母を充填材として、それぞれ0.6、
0.5wt%配合し、金型表面には適度な光沢をもち、
表面粗さが1〜50μmRmax程度の微小な凹凸(シ
ボ)を形成した。このように、樹脂中に充填材を充填す
ると共に、金型にシボを形成した結果、僅かに発生する
ウエルドを実質的に外観上、見えなくすることができ
る。
平行部24の幅L2との比L1/L2、及び、薄肉厚領
域26の長さL3と揺動側平行部24の長さL4との比
L3/L4をそれぞれ変更するシミュレーションを行っ
たので、その結果を図20を用いて説明する。
90°とすると、幅の比L1/L2=0.3の場合は、
長さの比L3/L4が0.3以上になると、樹脂合流角
αが目標の90°を超える。また、幅の比L1/L2=
0.56の場合は、長さの比L3/L4がいずれの場合
でも、樹脂合流角αが目標の90°を超える。ところ
で、L3/L4が0.6を超えると、樹脂の流動抵抗が
大きい薄肉部分が長くなることから、成形性が急速に低
下するため、L3/L4は0.5以下であることが好ま
しい。従って、L3/L4は0.3〜0.5の範囲が最
適であると言える。
さの比L3/L4をどのように設定しても、樹脂合流角
αが目標の90°を超えることはない。また、薄肉領域
26の幅は、ウエルドを小さくする観点からは大きい方
がよいことから、L1/L2も大きい方が好ましい。従
って、L1/L2は0.3〜0.9の範囲が最適である
と言える。
肉厚t0との比t/t0に関しても、同様にシミュレーシ
ョンを行った結果、肉厚比t/t0は、0.5〜0.8
の範囲が最適であることがわかった。
合、L3/L4を0.3〜0.5、L1/L2を0.3
〜0.9、t/t0を0.5〜0.8にすることが好ま
しい。
24の中央部では、図19に示すように、薄肉領域26
が形成されている開口21側の樹脂合流角が大きくなる
ものの、外側では樹脂合流角が大きくならず、この部分
の合流部3aにウエルドが発生してしまう。そこで、次
に、合流部全体においてウエルドの発生を抑えることが
できる射出成形品を第10の実施形態として、図21〜
図23を用いて説明する。
ス20aは、その形状及びゲート2の位置に関しては、
基本的に第9の実施形態と同様であるが、揺動側平行部
24に、図8を用いて説明した第4の実施形態における
合流部領域18と実質的に同じものを形成したものであ
る。
形態と同様に、揺動側平行部24の合流部領域27以外
の領域(以下、上流側領域とする。)28との境界線2
7aが、開口側辺29aから外側辺29bまで直線状
に、且つ揺動側平行部24の主流動方向Fに対して斜め
に伸びている。さらに、合流部領域27は、外側辺29
bから開口側辺29aに向かうに連れて次第に肉厚が薄
くなっている。このため、この実施形態においても、揺
動側平行部24の合流部領域27近傍における流動パタ
ーンは、図23に示すように、第4の実施形態の流動パ
ターンと似た形状になり、合流部3a全体において樹脂
合流角αが大きくなり、合流部3a全体においてウエル
ドの発生を抑えることができる。
と同様にゲート2を配したので、図22に示すように、
横側平行部25,25に位置しているゲート2,2から
射出された溶融樹脂の一部と、連結側平行部23に位置
しているゲート2から射出された溶融樹脂とは、横側平
行部25,25と連結側平行部23との角領域で合流す
るため、この合流部3b,3cにおいても、合流部全体
においてウエルドの発生を抑えることができる。なお、
この実施形態は、揺動側平行部24に第4の実施形態に
おける合流部領域18を形成したものであるが、この換
わりに、第2、第3、第5、第6の実施形態における合
流部領域を形成するようにしてよい。
実施形態であるLCD内蓋ケース20bについて、図2
4を用いて説明する。この実施形態におけるLCD内蓋
ケース20bは、形状としては従来のLCD内蓋ケース
20bと同じ、つまり金型のキャビティ形状は従来のも
のと同じであるものの、ゲート2の数量とその配置を変
えて形成したものである。
ティ内を溶融樹脂が循環できるようなものでは、ゲート
2の数量分だけ合流部が形成される。そこで、この実施
形態では、額縁状のLCD内蓋ケース20bの角の数量
分だけ、つまり4つゲート2を設け、それぞれを連結側
平行部23の中央部、揺動側平行部24の中央部、横側
平行部25,25の中央部に配している。この結果、各
ゲート2,2,2,2から射出された溶融樹脂の合流部
3d,3e,3f,3gがLCD内蓋ケース20bの各
角領域に形成され、各合流部3d,3e,3f,3gで
の樹脂合流角αが大きくなり、各合流部3d,3e,3
f,3gでのウエルドの発生を抑えることができる。
態では、溶融樹脂の合流部に発生するウエルドを合流部
全体ににおいて抑えることができるので、合流部の強度
低下を防ぐことができると共に、意匠用の塗装を施さず
に使用することができる。従って、塗装工程が省かれる
ことにより、成形品の加工工数の低減ができ、製造コス
トを抑えることができると共に、回収した成形品の粉砕
時に強度低下の要因となる塗料の粒子が含まれなくなる
ため、材料リサイクルも容易となる。
の関係について、試験を行ったので、以下に、この試験
結果について説明する。この試験では、GPPS(汎用
ポリスチレン)と、PMMA(ポリメタクリル酸メチ
ル)とを用い、各種成形条件において、樹脂合流角αと
ウエルド深さΔZとの関係についての試験を行った。
すように、射出率、樹脂温度、金型温度をそれぞれパラ
メータとして、樹脂合流角αとウエルド深さΔZとの関
係についての試験を行った。いずれの場合でも、樹脂合
流角αが大きくなるに伴って、ウエルド深さΔZが浅く
なって行くものの、樹脂合流角αが108°(臨界樹脂
合流角αC)前後になると、急激にウエルド深さΔZが
浅くなり、樹脂合流角αが145°(ウエルド消失樹脂
合流角α0)前後で0になる。
29に示すように、射出率、金型温度をそれぞれパラメ
ータとして、樹脂合流角αとウエルド深さΔZとの関係
についての試験を行った。PMMAに関しても、いずれ
の場合も、樹脂合流角αが大きくなるに伴って、ウエル
ド深さΔZが浅くなって行くものの、樹脂合流角αが1
05°(臨界樹脂合流角αC)前後になると、急激にウ
エルド深さΔZが浅くなり、樹脂合流角αが138°
(ウエルド消失樹脂合流角α0)前後で0になる。
合流角αが大きくなると急激にウエルド深さΔZが浅く
なる臨界樹脂合流角αC、及びウエルド深さΔZが0に
なるウエルド消失樹脂合流角α0は、若干の振れ幅があ
るものの、成形条件にほとんど関係なく、樹脂固有の値
であることが分かる。
材料である樹脂に関して、臨界樹脂合流角αC及びウエ
ルド消失樹脂合流角αを予め試験で調べておき、全ての
樹脂合流部における合流角が、臨界樹脂合流角αC以
上、できれば、ウエルド消失樹脂合流角α0以上になる
よう、成形品の形状を決定すればよい。しかしながら、
第2の実施形態において、図6を用いて説明したよう
に、合流部における肉厚の変化率(傾き角度θ)を大き
くしても、樹脂合流角αはある値以上に大きくならない
こと、及び、肉厚の変化率を大きくすると、成形品の美
観が損なわれる場合があること等、の関係上、合流部に
おける最大樹脂合流角αが臨界樹脂合流角αC以上にな
るよう、合流部における肉厚変化率や、第4の実施形態
における肉厚変更領域19bの主流動方向Fに対する角
度等を設定すればよい。そして、設定した合流部におけ
る肉厚変化率等が得られる金型を作成し、その金型で、
成形品を成形するとよい。
について説明する。スクリュー式射出装置は、図30に
示すように、中空円筒状の射出シリンダ41と、射出シ
リンダ41の先端に取り付けられている射出ノズル42
と、射出シリンダ41内に収められているスクリュー4
3と、射出シリンダ41内に樹脂ペレットを供給するホ
ッパ45と、射出ノズル42に相対移動不能に取り付け
られている固定盤46と、固定盤46と平行で且つ固定
盤46に対して相対移動可能に取り付けられている可動
盤47と、固定盤46と可動盤47との間に配されてい
る金型と、可動盤47を移動させる型締シリンダ(図示
されていない。)と、これらが載るステージ(図示され
ていない。)とを備えている。
46に取り付けられている固定側型ブロック60と、可
動盤47に取り付けられている可動側型ブロック70
と、両型ブロック60,70内に変位可能に配されてい
る変位ブロック51と、この変位ブロック51を変位さ
せる変位ブロック駆動シリンダ55とを備えている。
に、上面32と、この上面32と向い合い且つ平行な底
面31と、上面32と底面31とを結び互いに平行な第
1側面33及び第2側面34と、第1側面33及び第2
側面34に対して垂直で上面32と底面31とを結び互
いに平行な第3側面35及び第4側面36を有する直方
体状の成形品30を成形するものである。
2に示すように、いわゆる雌型と呼ばれるもので、先に
述べた成形品30の形状にあったキャビティが形成され
ている。この固定側型ブロック60は、成形品30の各
面の内、上面32を除く各面を形成する壁面61,6
3,64,65,66を有している。また、可動側型ブ
ロック70及び変位ブロック51は、成形品の上面32
を形成する上面形成壁面72,52を有している。キャ
ビティは、固定側型ブロック60、可動側型ブロック7
0及び変位ブロック51の各壁面で囲まれた空洞であ
る。固定側型ブロック60には、さらに、射出ノズル4
2から射出された溶融樹脂を受け入れるスプル67と、
このスプル67に至った溶融樹脂をキャビティ内に導く
ランナ68,68と、ランナ68,68によって導かれ
た溶融樹脂をキャビティ内に射出する二つのゲート6
9,69とが形成されている。これら二つのゲート6
9,69のうち、一方のゲート69は、固定側型ブロッ
ク60の第3側面形成壁面65から第4側面形成壁面6
6に向かう方向に溶融樹脂を射出できるよう設けられ、
他方のゲート69は、固定側型ブロック60の第4側面
形成壁面66から第3側面形成壁面65に向かう方向に
溶融樹脂を射出できるよう設けられている。従って、こ
れらのゲート69,69から射出された溶融樹脂は、図
37に示すように、成形品30の主流動方向Fにおける
中央で合流し、そこに合流部39を形成することにな
る。
とは、前述したように、成形品30の上面32を形成す
る壁面72,52を有している。より具体的には、変位
ブロック51は、図32に示すように、成形品の上面3
2のうち、第3側面35と第4側面36との中間部分を
形成する上面中間部形成壁面52を有しており、可動側
型ブロック70は、成形品の上面32のうち、残った第
3側面35側と第4側面36側を形成する上面端部形成
壁面72,72を有している。可動側型ブロック70に
は、図31及び図35に示すように、変位ブロック51
の上面中間部形成壁面52が固定側型ブロック60の底
面形成壁面61に対して傾いている第1状態(図31の
状態)と、変位ブロック51の上面中間部形成壁面52
が固定側型ブロック60の底面形成壁面61に対して平
行な第2状態(図35の状態)とに、この変位ブロック
51が変位可能なブロック変位空間71が形成されてい
る。ここで、第1状態について、詳細に説明すると、第
1状態では、変位ブロック51の上面中間部形成壁面5
2と固定側型ブロック60の底面形成壁面61との間隔
が、第2側面34側が成形品の上面32と底面31との
間隔に一致し、第1側面33側が成形品の上面32と底
面31との間隔よりも大きくなるよう、変位ブロック5
1の上面中間部形成壁面52が固定側型ブロック60の
底面形成壁面61に対して傾いている。変位ブロック5
1は、固定側型ブロック60に設けられているバネ54
で、第2側面形成壁面64側から第1側面形成壁面63
側の方向へ付勢されている。この変位ブロック51は、
溶融樹脂を通すことなくガスを通す複数の孔が形成され
ている通気材で形成されている。この実施形態では、焼
結金属を通気材として用いている。また、通気材に形成
されている孔径は、ここでは1〜10μm程度である。
可動側型ブロック70には、変位ブロック51を第1状
態から第2状態へ、及び第2状態から第1状態へ変位さ
せる変位ブロック駆動シリンダ55が設けられている。
可動側型ブロック70には、さらに、変位ブロック51
の上面中間部形成壁面52の裏面から外部に通じる通気
路73,73が形成されている。
る。射出ノズル42から溶融樹脂が射出される前、変位
ブロック51は、図31に示すように、第1状態に位置
している。射出ノズル42から溶融樹脂が射出される
と、この溶融樹脂は、金型50のスプル67からランナ
68,68を経て、互いに対向しているゲート69,6
9からキャビティ内に射出される。第3側面形成壁面6
5に位置しているゲート69から射出された溶融樹脂
は、図32に示すように、第4側面形成壁面66へと向
い、第4側面形成壁面66に位置しているゲート69か
ら射出された溶融樹脂は、第3側面形成壁面65へと向
かう。各溶融樹脂は、以上のようにキャビティ内を流動
する過程で、ガスを発生する。この発生ガス及びキャビ
ティ内に当初から存在していたガスは、変位ブロック5
1の微細な孔を通って、可動側型ブロック70の通気孔
73に抜け、この通気孔73から外部に排気される。こ
のように、キャビティ内のガスが外部に排気されること
により、キャビティ内にガスが残って、このガスによる
ガス焼けで樹脂が変色してしまうのを防ぐことができ
る。
脂は、図33及び図34に示すように、第3側面形成壁
面65と第4側面36平成壁面との中間部で合流し、そ
こに合流部39が形成される。このとき、溶融樹脂の外
形は、図37(a)に示すように、基本的には、成形品
の外形と一致しているものの、変位ブロック51が第1
状態に位置している関係上、上面32の中間部32aが
底面31に対して傾いている。すなわち、この成形中間
段階の成形品30aでは、合流部39を含む合流部領域
の肉厚が、第1側面33から第2側面34まで、第1側
面33から第2側面34に向かうに連れて次第に薄くな
っている。従って、第1の実施形態や第2の実施形態等
と同様に、合流部39における樹脂合流角が大きくな
り、ウエルドを抑えることができる。
変位ブロック駆動シリンダ55が駆動して、変位ブロッ
ク51が第1状態から第2状態に変位し、変位ブロック
51の上面中間部形成壁面52が固定側型ブロック60
の底面形成壁面61と平行になり、つまり、成形中間段
階の成形品30aの合流部領域が圧縮されて、前述した
目的の形状である直方体状の成形品30が形成される。
の合流部領域を圧縮して、最終的に目的としている成形
品30を形成しているので、合流部39の溶融樹脂が一
旦合流した後、僅かに移動する結果、この移動によって
もウエルドの発生が抑えられる。また、この実施形態で
は、成形品30の合流部領域を、微細な孔が形成されて
いる変位ブロック51で形成しているので、この領域の
表面に微細な凹凸が形成され、ウエルドがたとえ発生し
たとしても、これを目立たなくすることができる。
について説明する。この金型も、第1の実施形態と同
様、図44(a)に示すように、成形中間段階の成形品
30bを形作った後、図44(b)に示すように、最終
的に直方体の成形品30を形作るものであるが、成形中
間段階の成形品30bの形状が第1の実施形態と異なっ
ている。具体的には、成形中間段階の成形品30bは、
第1の実施形態と同様、上面32の中間部32bが底面
31に対して傾いているものの、上面の中間部32bと
底面31との間隔が、第1側面33側では成形品30の
上面32と底面31との間隔よりも小さく、第2側面3
4側では成形品30の上面32と底面32との間隔に一
致している。
第1の実施形態の金型50と構成部品自体は基本的に同
じであるものの、成形品30の上面32の中間部32b
に面する変位ブロック51aの動作が第1の実施形態と
若干異なっている。さらに、第1の実施形態では、変位
ブロック51を通気材で形成したが、この実施形態で
は、固定側型ブロック60aの一部を通気材で形成して
いる点でも、第1の実施形態と異なっている。
ル42から溶融樹脂が射出される前、変位ブロック51
は、第1状態に位置している。この第1状態では、変位
ブロック51aの上面中間部形成壁面52と固定側型ブ
ロック60の底面形成壁面61との間隔が、第1側面3
3側では成形品30の上面32と底面31との間隔より
も小さく、第2側面34側では成形品30の上面32と
底面31との間隔に一致するよう、変位ブロック51の
上面中間部形成壁面52が固定側型ブロック60の底面
形成壁面61に対して傾いている。
と、互いに対向しているゲート69,69からキャビテ
ィ内に射出される。第3側面形成壁面65に位置してい
るゲート69から射出された溶融樹脂は、図39に示す
ように、第4側面形成壁面66へと向い、第4側面形成
壁面66に位置しているゲート69から射出された溶融
樹脂は、第3側面形成壁面65へと向かう。溶融樹脂か
ら発生したガス及びキャビティ内に存在していたガス
は、固定側型ブロック60aの一部を形成している通気
材61a及び通気孔69aを経て外部に排気される。
脂は、図40及び図41に示すように、第3側面形成壁
面65と第4側面36平成壁面との中間部で合流し、そ
こに合流部39が形成される。このとき、溶融樹脂の外
形は、図44(a)を用いて前述したように、変位ブロ
ック51が第1状態に位置している関係上、上面32の
中間部32bが底面31に対して傾いている。すなわ
ち、この成形中間段階の成形品30bでは、合流部39
を含む合流部領域の肉厚が、第1側面33から第2側面
34まで、第1側面33から第2側面34に向かうに連
れて次第に厚くなっている。従って、この実施形態で
も、先の実施形態等と同様に、合流部39における樹脂
合流角が大きくなり、ウエルドを抑えることができる。
変位ブロック駆動シリンダ55が駆動して、変位ブロッ
ク51が第1状態から第2状態に変位すると共に、各ゲ
ート69,69から溶融樹脂が射出されて、変位ブロッ
ク51の上面中間部形成壁面52が固定側型ブロック6
0の底面形成壁面61と平行になり、つまり、成形中間
段階の成形品30bの合流部領域の第1側面33側の肉
厚が厚くなって、前述した目的の形状である直方体状の
成形品30が形成される。
2の実施形態のように、主流動方向に対して垂直な方向
における、合流部39の肉厚の変化率を、完成時の目的
の変化率と異なる変化率になるよう一旦仮成形した後、
目的の変化率になるよう本成形するようにすると、完成
した成形品は、合流部39におけるウエルドの発生を抑
えることができると共に、合流部領域の肉厚と他の領域
の肉厚とをまったく同じにすることもできる。
脂合流角を大きくすることができるので、合流部全体に
おいてウエルドの発生を抑えることができる。このよう
に、合流部全体においてウエルドの発生を抑えることが
できる結果、合流部の強度低下を防ぐことができると共
に、意匠用の塗装を施さずに成形品を使用できる。さら
に、塗装工程を省くことができるために、製造コストを
低減することができる上に、強度低下の要因となる塗料
の粒子が成形品に含まれなくなるため、材料リサイクル
も容易となる。
斜視図である。
溶融樹脂フローパターンを示す説明図である。
形状説明図である。
形成する溶融樹脂のフローパターンを示す説明図であ
る。
主流動方向における寸法比L3/L4と樹脂合流角αと
の関係を示すグラフである。
底面に対する斜面の角度θと樹脂合流角αとの関係を示
すグラフである。
形状説明図である。
形状説明図である。
形状説明図である。
の形状説明図である。
の形状説明図である。
の形状説明図である。
蓋ケースの正面図である。
蓋ケースを形成する溶融樹脂のフローパターンを示す説
明図である。
型ワードプロセンサのLCD内蓋ケースの正面図であ
る。
型ワードプロセンサのLCD内蓋ケースを形成する溶融
樹脂のフローパターンを示す説明図である。
型ワードプロセンサのLCD内蓋ケースの寸法比L1/L2
と樹脂合流角αとの関係を示すグラフである。
ト型ワードプロセンサのLCD内蓋ケースの正面図であ
る。
ト型ワードプロセンサのLCD内蓋ケースを形成する溶
融樹脂のフローパターンを示す説明図である。
ト型ワードプロセンサのLCD内蓋ケースの正面図であ
る。
流角αとウエルド深さΔZとの関係を示すグラフであ
る。
合流角αとウエルド深さΔZとの関係を示すグラフであ
る。
合流角αとウエルド深さΔZとの関係を示すグラフであ
る。
流角αとウエルド深さΔZとの関係を示すグラフであ
る。
合流角αとウエルド深さΔZとの関係を示すグラフであ
る。
断面図(射出成形前の状態)である。
断面図(射出成形中間段階の状態)である。
断面図(射出成形最終段階の状態)である。
より形成された中間段階及び最終段階の成形品の斜視図
である。
断面図(射出成形前の状態)である。
断面図(射出成形中間段階の状態)である。
断面図(射出成形最終段階の状態)である。
より形成された中間段階及び最終段階の成形品の斜視図
である。
ターンを示す説明図である。
f,3g,3h,3i,3j…合流部、4…ランナ、9
…スプル、11…底面、12,12a…斜面、12c…
第1斜面、12d…第2斜面、15…第1側面、16…
第2側面、18,27…合流部領域、19,19a,1
9b,19c,19d…肉厚変更領域、20,20a,
20b,20d…LCD内蓋ケース、21…開口、23
…連結側平行部、24…揺動側平行部、25…横側平行
部、26…薄肉領域、50,50a…金型、51,51
a…変位ブロック、52…上面中間部形成壁面、55…
変位ブロック駆動シリンダ、60,60a…固定側型ブ
ロック、61…底面形成壁面、61a…通気材、63…
第1側面形成壁面、64…第2側面形成壁面、65…第
3側面形成壁面、66…第4側面形成壁面、67…スプ
ル、68…ランナ、69…ゲート、70,70a…可動
側型ブロック、71,71a…ブロック変位空間、72
…上面端部形成壁面、73,69a…通気路。
Claims (16)
- 【請求項1】複数のゲートから金型のキャビティ内に溶
融樹脂を射出して成形する射出成形品において、 異なる方向から流れてきた溶融樹脂相互の合流部を含む
領域(以下、合流部領域とする。)を有し、 前記合流部領域は、該溶融樹脂の主流動方向に対して垂
直な方向の成形品の一方の端部から少なくとも他方の端
部に至る途中まで、該一方の端部から該他方の端部に向
かうに連れて肉厚が次第に薄くなっていることを特徴と
する射出成形品。 - 【請求項2】請求項1記載の射出成形品において、 前記一方の端部から前記他方の端部まで、該一方の端部
から該他方の端部に向かうに連れて肉厚が次第に薄くな
っていることを特徴とする射出成形品。 - 【請求項3】複数のゲートから金型のキャビティ内に溶
融樹脂を射出して成形する射出成形品において、 異なる方向から流れてきた溶融樹脂相互の合流部を含む
領域(以下、合流部領域とする。)を有し、 前記合流部領域は、該溶融樹脂の主流動方向に対して垂
直な方向の成形品の一方の端部から他方の端部まで、肉
厚が連続して変化していることを特徴とする射出成形
品。 - 【請求項4】請求項3記載の射出成形品において、 前記一方の端部から前記他方の端部に至る途中まで、該
一方の端部から該途中に向かうに連れて肉厚が次第に薄
く又は厚くなり、該途中から該他方の端部まで、該途中
から該他方の端部に向かうに連れて肉厚が次第に厚く又
は薄くなっていることを特徴とする射出成形品。 - 【請求項5】請求項1、2、3又は4記載の射出成形品
において、 前記合流部領域は、該合流部領域を中心として前記溶融
樹脂の流動上流側の領域と肉厚が異なっていることを特
徴とする射出成形品。 - 【請求項6】複数のゲートから金型のキャビティ内に溶
融樹脂を射出して成形する射出成形品において、 相対する方向から流れてきた溶融樹脂相互の合流部を含
む領域(以下、合流部領域とする。)を有し前記合流部
領域は、該合流部領域を中心として前記溶融樹脂の流動
上流側の領域(以下、上流側領域とする。)と肉厚が異
なっており、 前記上流側領域から前記合流部領域へ肉厚が変わる箇所
の稜線は、前記溶融樹脂の主流動方向に対して垂直な方
向の成形品の一方の端部から他方の端部まで伸び、且つ
曲線又は該主流動方向に対して傾斜した直線で形成され
ていることを特徴とする射出成形品。 - 【請求項7】請求項6記載の射出成形品において、 前記合流部領域の肉厚は、前記一方の端部から前記他方
の端部に向かうに連れて次第に薄くなっていることを特
徴とする射出成形品。 - 【請求項8】複数のゲートから金型のキャビティ内に溶
融樹脂を射出して成形する、角を有する射出成形品にお
いて、 異なる方向から流れてきた溶融樹脂相互の合流部が前記
角を含む領域に位置していることを特徴とする射出成形
品。 - 【請求項9】請求項8記載の射出成形品において、 4つの角を有する矩形板状を成し、4つの角のうち少な
くとも1つの角を含む領域に、異なる方向から流れてき
た溶融樹脂相互の前記合流部が位置していることを特徴
とする射出成形品。 - 【請求項10】請求項1、2、3、4、5、6、7、8
又は9記載の射出成形品において、 成形品の表面には、微細な凹凸が形成されていることを
特徴とする射出成形品。 - 【請求項11】請求項1、2、3、4、5、6、7、8
又は9記載の射出成形品において、 少なくとも前記合流部領域の表面は、表面粗さが1〜5
0μmRmaxで、光沢度が5〜20%であることを特徴
とする射出成形品。 - 【請求項12】請求項1、2、3、4、5、6、7、
8、9、10又は11記載の射出成形品において、 前記溶融樹脂内に、溶融していない充填材が混入してい
ることを特徴とする射出成形品。 - 【請求項13】請求項1、2、3、4又は5記載の射出
成形品の製造方法において、 二つの位置から流れてきた前記溶融樹脂相互の前記合流
部における、一方の溶融樹脂のフローフロントラインと
他方の溶融樹脂のフローフロントラインとの成す角度
(以下、樹脂合流角とする。)をいろいろと変える試験
で、該樹脂合流角が大きくなると前記合流部に形成され
るウエルドの深さが急激に浅くなる樹脂合流角(以下、
臨界樹脂合流角とする。)を求め、 前記合流部における最大の前記樹脂合流角が前記臨界樹
脂合流角以上になる、前記一方の端部から前記他方の端
部へ向かう方向における前記肉厚の変化率(以下、設定
変化率とする。)を試験又シミュレーションで予め求
め、 前記溶融樹脂が流れ込んで前記合流部領域を形成し、前
記一方の端部から前記他方の端部へ向かう方向における
前記肉厚の変化率を前記設定変化率にするキャビティが
形成されているブロックと、前記一方の端部から前記他
方の端部へ向かう方向に対して垂直な方向において前記
合流部を中心としてほぼ相対する位置に配され、該キャ
ビティ内に前記溶融樹脂を射出する二つのゲートとを有
する金型を作成し、 二つの前記ゲートから前記溶融樹脂を前記キャビティ内
に射出して成形品を成形することを特徴とする射出成形
品の製造方法。 - 【請求項14】複数のゲートと、複数のゲートのうち二
つのゲートから射出された溶融樹脂相互の合流部を含む
合流部領域を形成する合流部領域形成キャビティとを有
する金型を用いて、射出成形品を作る射出成形品の製造
方法において、一方の溶融樹脂のフローフロントライン
と他方の溶融樹脂のフローフロントラインとの成す角度
(以下、樹脂合流角とする。)をいろいろと変える試験
で、該樹脂合流角が大きくなると前記合流部に形成され
るウエルドの深さが急激に浅くなる樹脂合流角(以下、
臨界樹脂合流角とする。)を求め、 最大の前記樹脂合流角が前記臨界樹脂合流角以上になる
前記合流部の形状を試験又シミュレーションで予め求
め、 二つの前記ゲートは、前記合流部形成キャビティ内で前
記合流部になると想定される位置で両者から射出された
溶融樹脂が合流する位置に設けられ、前記合流部形成キ
ャビティは、試験又はシミュレーションで求めた前記合
流部の形状を形成する形状に形成され、 二つの前記ゲートから前記溶融樹脂を前記合流部領域形
成キャビティ内に射出し、成形品を成形することを特徴
とする射出成形品の製造方法。 - 【請求項15】複数のゲートからキャビティ内に溶融樹
脂が射出されて、成形品を成形する金型において、 複数の前記ゲートのうち、二つのゲートから射出された
溶融樹脂がそれぞれ流れ込み、それぞれの溶融樹脂が合
流する前記合流部を含む領域を形成する合流部形成キャ
ビティが形成されている型ブロックと、 前記合流部形成キャビティを囲む壁面の一部で前記合流
部の表面に接し、前記溶融樹脂の主流動方向に対して垂
直な方向の一方の端部から少なくとも他方の端部に至る
途中までを形成し、該一方の端部から該他方の端部に向
かうに連れて該合流部形成キャビティの幅(=該主流動
方向及び該一方の端部から他方の端部に向かう方向に垂
直な方向の長さ)が次第に薄くなる第1状態と、該一方
の端部から該他方の端部に向かって該合流部形成キャビ
ティの幅が目的の幅になる第2状態とに、変位可能な変
位ブロックと、 前記変位ブロックを前記第1状態から前記第2状態へ、
及び該第2状態から該第1状態に変位させる変位ブロッ
ク駆動手段と、 を備えていることを特徴とする金型。 - 【請求項16】請求項15記載の金型において、 前記合流部形成キャビティを囲む壁面の一部は、前記溶
融樹脂を通すことなく気体を通す通気部材の一方の面で
形成されており、 前記型ブロックには、前記通気部材の前記一方の面に対
向する他方の面から外部に通じる通気路が形成されてい
ることを特徴とする金型。
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