JPH08224406A - 液中の溶存ガスの除去方法 - Google Patents

液中の溶存ガスの除去方法

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JPH08224406A
JPH08224406A JP3344395A JP3344395A JPH08224406A JP H08224406 A JPH08224406 A JP H08224406A JP 3344395 A JP3344395 A JP 3344395A JP 3344395 A JP3344395 A JP 3344395A JP H08224406 A JPH08224406 A JP H08224406A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 中空糸膜3を内蔵するモジュール1を用いて
液中の溶存ガスを除去するに際し、モジュールからの排
気ガスを、吸気装置のモーターの発熱を加熱源とする加
熱室10を通過させた後、吸気装置9へ導く。 【効果】 凝縮水が真空ポンプに流入することがないの
で、長期間安定して溶存ガスの除去性能が維持できる。
また、この方法は小型の真空ポンプの使用に適用でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液中に溶解している溶
存ガスの除去、特に半導体の洗浄用水、清涼飲料水用水
中の溶存酸素や、配管を腐食させる大きな要因となって
いるボイラー用水等の溶存酸素の除去、あるいは水道水
や井戸水に溶存する揮発性の有機物(特にクロロホル
ム、ジクロロブロモホルム等のトリハロメタンや1,
1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テト
ラクロロエチレン等の揮発性の有機ハロン)を除去する
方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶存ガスの除去方法としては、液
の入った容器を減圧にする方法や、薬品処理により溶存
ガスを除去する方法が知られている。また、このような
方法では、溶存ガスの完全除去が困難でかつ除去時間が
長いなどの問題があるために、最近では疎水性の多孔質
膜を用いた溶存ガス除去装置が提案されている(特開昭
62−42707号公報)。また、均質層をその両側か
ら多孔質層で挟み込んだ三層構造の複合中空糸膜を用い
て溶存ガスを除去する方法も知られている(特開平3−
7908号、特開平3−169303号公報)。更に、
溶存揮発性有機物の除去方法として、中空糸膜を用い液
流路とは膜面で隔てられた気相空間を換気することによ
り除去する方法が知られれている(特開平6−6353
6号公報、特開平6−47369号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
中空糸膜を用いた方法では、溶存ガス除去の開始直後
は、優れた溶存ガス除去性能が発揮できるものの、中空
糸膜を透過した水蒸気が中空糸膜気相側に凝縮し、中空
糸膜を閉塞し溶存ガス除去性能の維持に困難をきたす場
合がある。また、凝縮水が吸気装置に流入すると吸気装
置の故障の原因となる可能性がある。また、透過水蒸気
量以上の排気量を有する吸気装置を使用する方法もある
が、その場合は吸気装置が大型になる問題点があった。
【0004】本発明の目的は、長時間使用しても溶存ガ
スの除去性能が低下することなく、高い除去効率が維持
でき、かつ大型の装置が不要な溶存ガスの除去方法を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の液中
の溶存ガスの除去方法は、容器内に中空糸膜を内蔵して
なる溶存ガス除去モジュールを吸気装置に接続して、該
モジュール内の気相空間を減圧または換気してモジュー
ル内へ導入された液体から溶存ガスを除去する方法にお
いて、該モジュールからの排気ガスを、吸気装置のモー
ターの発熱を加熱源とする加熱室を通過させた後、吸気
装置へ導くことを特徴とする。
【0006】また、本発明の液中の溶存ガスの除去装置
は、液流入口、液流出口および排気口を有する容器内
に、中空糸膜を配設し、中空糸膜の膜面によって隔てら
れた液流路と、減圧または換気用の気相空間とを形成し
てなる溶存ガス除去モジュールを、吸気装置に接続して
なる液中の溶存ガスの除去装置において、該排気口と吸
気装置とを結ぶ排気ガス流路上に、吸気装置のモーター
の発熱を加熱源とする加熱室を配設したことを特徴とす
る。
【0007】本発明の方法は、溶存ガス除去モジュール
の少なくとも一つの排気口を、排気口が連通するモジュ
ール内の気相空間の最下方に位置させて排気を行うこと
が好ましい。
【0008】
【作用】溶存ガス除去モジュールからの排気ガスを吸気
装置のモーターの発熱を熱源とする加熱室へ導くと、モ
ジュール内で中空糸膜を透過した水蒸気が凝縮水やミス
トとして排気ガス中含まれていてもこれを蒸発させた後
に吸気装置へ導くので、吸気装置が順調に運転できる。
【0009】以下、図面に基づき本発明を説明する。図
1は、本発明の溶存ガスの除去装置の一例を示す模式図
である。
【0010】溶存ガス除去モジュール1は、容器2内に
多数本の中空糸膜3がほぼ平行に配列され、その両端部
がポッティング剤4により支持固定されて構成され、容
器1の内部は、ポッティング剤と中空糸膜によって二つ
の空間に仕切られている。この例では、中空糸膜の外表
面に臨む第1の空間に、この空間内の気体を排気するた
めの排気口5および換気のための外気をこの空間内に吸
い込む吸気口6が設けられている。一方、中空糸膜の中
空部と連通する第2の空間に、溶存ガスを含む液体を導
入する導入口7と処理された液体を導出する導出口8が
設けられている。排気口5の数には特に制限はないが、
少なくとも一つの排気口は、溶存ガス除去モジュールが
使用される状態において、排気口が設けられる第1の空
間の最下方に位置することが好ましい。最下方の排気口
は、第1の空間内で凝縮する液体の排出口9をも兼ねる
ことができる。この例とは逆に、中空糸膜の外表面に臨
む空間側に液体を流し、中空糸膜の中空部を気相側(排
気側)とすることもできるが、凝縮液により中空糸膜が
閉塞する可能性があるので、中空糸膜の外表面に臨む空
間を気相側とすることが好ましい。
【0011】吸気口6を配設し、外気をこの空間内に吸
い込みつつ換気を行なうと、低真空下で排気することが
可能となり、トルクの小さな小型の吸気装置の適用が可
能になる。しかし、吸気口を設けずに排気を行い、モジ
ュール内の気相空間を減圧にして溶存ガスを除去しても
よい。
【0012】排気口5(凝縮液体排出口9を含む)から
排出されるガス、水蒸気、凝縮水(凝縮液体)は、ダイ
ヤフラム型の真空ポンプ10のモーター部に接して設け
られた凝縮水蒸発室(加熱室)11へ導かれる。凝縮水
蒸発室は、凝縮水が流入しやすいように、凝縮液体排出
口9より下方に位置することが好ましい。ここに導かれ
たガスおよび水蒸気はそのままダイヤフラム型の真空ポ
ンプへ導かれ排気される。また、凝縮水やミストは、凝
縮水蒸発室内でダイヤフラム型の真空ポンプのモーター
部の発する熱により蒸発して水蒸気となった後、ダイヤ
フラム型の真空ポンプへ送気されて排気される。
【0013】本発明に用いる中空糸膜としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1
等のポリオレフィン;テトラフルオロエチレンやフッ化
ビニリデン等のフッ素系ポリマー;ポリスチレン;ポリ
エーテルエーテルケトン;ポリエーテルケトン;等の疎
水性高分子よりなる多孔質中空糸膜が好ましい。この場
合中空糸膜の細孔内部に水が侵入するのを防ぐために表
面の水の濡れ特性として接触角が大きいほど良く、90
°より大きいことが好ましい。また、多孔質中空糸膜の
細孔径が小さいほど表面張力により孔内に水が侵入しに
くいことから、細孔径が0.05μm以下のものが好ま
しい。
【0014】このような疎水性の多孔質中空糸膜を用い
ても長時間連続して使用すると水蒸気が疎水性中空糸膜
細孔内部に凝縮して細孔内部が完全に水に埋もれてしま
い、その結果水が中空糸膜からもれてしまう危険性があ
る。したがって、多孔質中空糸膜の膜構造としては、均
質層をその両側から多孔質層で挟み込んだ三層構造のも
のがより好ましい。この場合、均質層を構成する素材の
酸素透過速度が0.8×10-5cm3 (STP)/cm
2 ・sec・cmHg以上の性能を有するものであるこ
とが好ましい。複合中空糸膜の場合には均質層が存在す
るため、水の濡れ特性および細孔径が疎水性の多孔質膜
において好ましい条件外であっても長時間使用による水
漏れの心配はない。しかし、酸素透過速度が0.8×1
-5cm 3 (STP)/cm2 ・sec・cmHg未満
では溶存酸素等の溶存ガスの均質膜を透過する速度が遅
く効率的に溶存ガスを除去することができない。
【0015】このような複合中空糸膜は、例えば多重円
筒型の紡糸ノズルを用いて均質層を形成するポリマーと
多孔質層を形成するポリマーとを交互に配置し溶融紡糸
し、次いで均質層を多孔質化することなく多孔質層とな
る部分だけを多孔質化する条件で延伸する方法により製
造される。
【0016】均質層を構成するポリマー素材としては、
ガス透過性の優れたシリコンゴム系ポリマーを始めとし
て、ポリジメチルシロキサン、シリコンとポリカーボネ
ートの共重合体等のシリコンゴム系ポリマー、ポリ−4
−メチルペンテン−1、低密度ポリエチレン等のポリオ
レフィン系ポリマー、パーフルオロアルキル系ポリマー
等のフッ素含有ポリマー、エチルセルロース等セルロー
ス系ポリマー、ポリフェニレンオキサイド、ポリ−4−
ビニルビリジン、ウレタン系ポリマー及びこれらポリマ
ー素材の共重合体あるいはブレンド体等の各種ポリマー
をあげることができる。また、多孔質層を構成するポリ
マー素材としては、前述したポリオレフィン等の疎水性
高分子が用いられる。
【0017】均質層を構成するポリマー素材と、多孔質
層を構成するポリマー素材との組み合わせについては特
に限定されず、異種のポリマーはもちろん同種のポリマ
ーであってもよい。この複合中空糸膜は、均質層が多孔
質層で物理的に挟み込まれたサンドイッチ構造を有して
いるので、両膜間の接着性が悪くても実用上の弊害は生
じない。
【0018】本発明において、溶存ガス除去モジュール
からの排気ガスを導く加熱室は、その熱源として少なく
とも吸気装置のモーターの発熱を利用し、その内部で排
気ガス中の凝縮水を蒸発させた後、排気ガスを吸気装置
へ送気するものである。好ましい加熱室の一例として
は、モーターの発熱が排気ガス中の凝縮水やミストの蒸
発に最大限利用できるように発熱部から延びる多数の放
熱板が配設されるとともに、この放熱板が未蒸発の凝縮
水が吸気装置へ流出するのを防止する遮断板としても機
能するものが例示できる。
【0019】本発明に用いる吸気装置としては、真空ポ
ンプ、吸気ブロワー等が挙げられるが、小型で吸引力の
高い真空ポンプが好ましく、真空ポンプの中でも真空オ
イルの必要がなく、騒音の小さいダイヤフラム型真空ポ
ンプが好ましい。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。
【0021】参考例1 同心円状に配置された3つの吐出口を有する中空糸製造
用ノズルに対し、内層と外層に供給するポリマー素材と
して高密度ポリエチレン(三井石油化学工業(株)社製
Hizex2200J)を、中間層に供給するポリマ
ー素材としてセグメント化ポリウレタン(Therme
dics Inc.製 TecoflexEG80A)
を用い、吐出温度165℃、巻き取り速度180m/m
inで紡糸した。
【0022】得られた中空糸未延伸糸を100℃で1時
間アニール処理をした。次いでアニール処理糸を室温下
で80%延伸し、引き続き105℃に加熱された加熱炉
中で熱延伸倍率が130%になるまで熱延伸を行って、
複合中空糸膜を得た。
【0023】得られた複合中空糸膜は、図2に示される
ように最内層から順次多孔質層、均質層、多孔質層の三
層構造であり、内径が200μm、厚みが最内層から2
5μm、1μm、25μmの同心円状であった。この複
合中空糸膜の多孔質層表面を走査型電子顕微鏡で観察し
た結果、幅0.06〜0.09μm、長さ0.1〜0.
5μmのスリット状の孔が形成されていた。また、この
中空糸膜の酸素透過速度は1.2×10-5cm3 (ST
P)/cm2 ・sec・cmHgであった。
【0024】実施例 参考例の中空糸膜を用いて、図1に示されるような構造
の膜面積3m2 の溶存ガス除去モジュールを作成した。
このモジュールを図1に示すようなモーターの発熱を加
熱源として利用する加熱室を有するダイヤフラム型真空
ポンプ(10w)に接続した。クロロホルムを50pp
b含む25℃の水を1リットル/分の流速でモジュール
に導入し、真空ポンプを排気量15Nリットル/分で作
動させた。モジュールから放出された処理水中のクロロ
ホルムの除去率、モジュール内の凝縮水の量および真空
ポンプのダイヤフラムの状態を、処理開始当初と50m
3通水後にそれぞれ測定しその結果を表1に示した。
【0025】比較例 参考例の中空糸膜を用いて、図3に示されるような構造
の膜面積3m2 の溶存ガス除去モジュールを作成した。
このモジュールを図3に示すようにダイヤフラム型真空
ポンプに普通に接続した。この装置を用いて実施例1と
同じ条件でクロロホルム含有水を処理した結果を表1に
示した。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、凝縮水が真空ポンプに
流入することがないので、非常に長期間安定して溶存ガ
スの除去性能を維持することができ、ダイヤフラム型真
空ポンをメンテナンスフリーとすることができる。ま
た、本発明は小型の真空ポンプが使用できるため、家庭
用の溶存揮発性有機ハロンの除去装置として構成するこ
とができる。
【0028】更に、モジュール内の凝縮水を効率よく系
外に排出できるモジュールと併用することにより、溶存
ガスの除去性能の長期維持が増進される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法で用いる溶存ガス除去装置の例を
示す模式図である。
【図2】本発明の実施例で用いた三層構造の複合中空糸
膜を示す模式断面図である。
【図3】比較例で用いた溶存ガス除去装置を示す模式図
である。
【符号の説明】
1 溶存ガス除去モジュール 2 容器 3 中空糸膜 4 ポッティング剤 5 排気口 6 吸気口 7 液体導入口 8 液体導出口 9 凝縮水排出口 10 真空ポンプ 11 凝縮水蒸発室(加熱室) 12 多孔質膜 13 均質膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内に中空糸膜を内蔵してなる溶存ガ
    ス除去モジュールを吸気装置に接続して、該モジュール
    内の気相空間を減圧または換気してモジュール内へ導入
    された液体から溶存ガスを除去する方法において、該モ
    ジュールからの排気ガスを、吸気装置のモーターの発熱
    を加熱源とする加熱室を通過させた後、吸気装置へ導く
    ことを特徴とする液中の溶存ガスの除去方法。
  2. 【請求項2】 溶存ガス除去モジュールの少なくとも一
    つの排気口を、排気口が連通するモジュール内の気相空
    間の最下方に位置させて排気を行う請求項1記載の液中
    の溶存ガスの除去方法。
  3. 【請求項3】 液流入口、液流出口および排気口を有す
    る容器内に、中空糸膜を配設し、中空糸膜の膜面によっ
    て隔てられた液流路と、減圧または換気用の気相空間と
    を形成してなる溶存ガス除去モジュールを、吸気装置に
    接続してなる液中の溶存ガスの除去装置において、該排
    気口と吸気装置とを結ぶ排気ガス流路上に、吸気装置の
    モーターの発熱を加熱源とする加熱室を配設したことを
    特徴とする溶存ガスの除去装置。
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