JPH0822147B2 - 超音波モーター - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （発明の技術分野） 本発明は、超音波振動を利用した超音波モーターに関
する。

（発明の背景） 従来、この種の装置は、圧電体と弾性体とからなるス
テーター（固定子）と、該ステーターに加圧接触された
ローター（移動子）とから成り、駆動回路にてステータ
ーに進行波を発生させ、加圧接触されたローターを駆動
するように構成されていた。このステーターはローター
によって間接的に加圧力を受けながら励振する為、この
ステーターと該ステーターを固定支持する固定部との間
には緩衝効果を有する緩衝支持部材（例えば、フェルト
等）が用いられていた。ところが、この緩衝支持部材
は、構造上、圧電素子のほぼ全面に接触している為にス
テーターの振動を減衰させやすく、駆動効率の向上を妨
げる原因となっていた。

更に、ステーターの励振を受けて駆動させられるロー
ターに関しても、そのローターを支持する場合には同様
な問題が生じてくる。

また、ステーターとローターとの加圧力を加える加圧
方法によっては、ステーターとローターとを均一に押圧
することができない場合があり、均一な押圧状態にない
と、ステーターとローターとが片当たりして駆動効率を
低下させる原因ともなる。

（発明の目的） 本発明は、これらの問題を解決し、駆動効率の高い超
音波モーターを得ることを目的とする。

（発明の概要） 本発明は、固定子もしくは移動子を支持する為に、前
記固定子と前記移動子とを加圧接触させるための押圧力
を伝達する弾性をそれぞれ有する複数の支持子が形成さ
れた支持部材を備え、前記支持子からの前記押圧力を受
ける為に、前記固定子もしくは前記移動子には振動振幅
の小さい中立面近傍部分から突出したフランジ状の係合
部が設けられ、前記支持子が前記フランジ状の係合部に
対してほぼスラスト方向から前記係合部に前記押圧力を
加えるよう構成している。これにより、本発明では、支
持方法による損失を最小限度に抑え、超音波モーターの
駆動効率を向上させたことを技術的要点としている。

（実施例） 第１図（Ａ）は本発明による実施例である超音波モー
ターの分解斜視図であり、第１図（Ｂ）は前記超音波モ
ーターのAA矢視断面図である。

第１図（Ａ），（Ｂ）において、円環状の弾性体１に
は円環状の圧電体２が一体的に接着されていて、不図示
の駆動制御回路より圧電体２に所定周波数の交流電圧が
印加され、圧電体２が励振される。圧電体２の励振によ
り弾性体１の駆動面1aには、所定の波数（本実施例にお
いては９波）の進行波が発生する。この弾性体１と圧電
体２とを合わせてステーター（固定子）が構成される。

ステーター用の支持部材５は、円環形状をしており、
弾性を有する９個のＬ字型の支持子5aを有する。第１図
（Ｂ）に示す如くこの支持子5aは、支持部材５の円周に
等間隔で配置され、その先端部5bは支持部材５の内周側
に突出している。この９個の支持子5aの先端部5bは、圧
電体２の接着された弾性体１の外周下方部1cに当接して
嵌合し、更に支持子5aの上頭部5cは、弾性体１の外周部
に設けられたフランジ部1bに当接して係合している。こ
のように、ステーターは、支持子5aの先端部5bにより弾
性体１のラジアル方向に支持され、且つ支持子5aの上頭
部5cによりスラスト方向に支持される。ステーターは、
支持子5aの先端部5bに接着、あるいは嵌め合いにより、
支持部材５に固定されている。尚、この弾性体１のフラ
ンジ部1bは、弾性体１と圧電体２とからなるステーター
の中立軸付近に設けられ、ステーターが振動した場合に
最も振動の少ない部分となっている。

ローターは、ローター母材３とスライダー４とから構
成され、ステーターの弾性体１の駆動面1aとローターの
スライダー４とが加圧接触してステーターにより駆動さ
れる。ローター用の支持部材６を介して、不図示の加圧
部材によりローターはステーターに加圧接触される。こ
の時、ローターはステーターの励振を受けて強制振動を
起こし９波の進行波が生じる為に、ローターもステータ
ー同様の支持をすることが望ましい。

そこで、ステーター用の支持部材５と同様に、ロータ
ー用の支持部材６は、円環形状をしており、弾性を有す
る９個のＬ字型の支持子6aを有する。第１図（Ｂ）に示
す如くこの支持子6aは、支持部材６の円周に等間隔で配
置され、その先端部6bが支持部材６の内周側に突出して
いる。この９個の支持子6aの先端部6bは、ローター母材
３の外周上方部3cに当接して嵌合し、更に支持子6aの上
頭部6cは、弾性体１の外周部に設けられたフランジ部3b
に当接して係合している。このように、ローターは、支
持子6aの先端部6bによりローター母材３のラジアル方向
が支持され、且つ支持子6aの上頭部6cによりスラスト方
向に支持される。ローターは、支持子6aの先端部6bに接
着、あるいは嵌め合いにより、支持部材６に固定されて
いる。尚、このローター母材３のフランジ部3bは、ロー
ター母材３とスライダー４とからなるローターの中立軸
付近に設けられ、ローターが振動した場合に最も振動の
少ない部分となっている。

第２図は、第１図のステーターを圧電体２側から見た
場合の圧電体面であり、圧電体２は第２図の実線で示さ
れるように2a,2b,2c,2dの４部分に電極が分割されてい
る。そして、圧電体２は、更に弾性体１との接着面側で
は実線と点線とで示されるように18部分に電極が分割さ
れており、図のように2b,2dの裏面側の部分ではプラス
・マイナス交互の方向に分極されている。これにより、
不図示の駆動制御回路により交流電圧が印加されると、
弾性体１には所定の９波の進行波が発生する。

また、本実施例においては、ローターを円環形状の移
動体として説明したが、本発明におけるローターとはス
テーターによって駆動される移動体を総称して呼ぶもの
であって、円環形状に限るものではなく、例えば、リニ
ヤ型の超音波モーターにおいては、並進運動に適した形
状となる。また、本実施例においては、ステーター及び
ローターの支持部材は、ステーター及びローターの外周
面を支持するように構成されているが、これに限定され
ることはなく、例えば円環状のステーター及びローター
であればそれらの内周面側を実施例と同様に支持するよ
うに構成してもよい。

（発明の効果） 以上のように本発明によれば、固定子もしくは移動子
を支持する為に、前記固定子と前記移動子とを加圧接触
させるための押圧力を伝達する弾性をそれぞれ有する複
数の支持子が形成された支持部材を備え、前記支持子か
らの前記押圧力を受ける為に、前記固定子もしくは前記
移動子には振動振幅の小さい中立面近傍部分から突出し
たフランジ状の係合部が設けられ、前記支持子が前記フ
ランジ状の係合部に対してほぼスラスト方向から前記係
合部に前記押圧力を加えるよう構成している。これによ
り、本発明では、固定子もしくは移動子に形成されたフ
ランジ状の係合部により支持子からの押圧力を受ける構
成であるので、固定子と移動子との圧接面（駆動面）に
均一な力を与えることができ、支持子に多少の弾性力の
違いがあったとしもその影響を除去でき、よって、支持
による損失を最小限度に抑え、超音波モーターの駆動効
率を向上させた超音波モーターを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図（Ａ）は、本発明による超音波モーターの実施例
の分解斜視図であり、第１図（Ｂ）は前記超音波モータ
ーのAA矢視断面図であり、第２図は、第１図（Ａ）のス
テーターを下方から見た場合の圧電体の平面図である。 （主要部分の符号の説明） １……弾性体、２……圧電体、３……ローター母材、４
……スライダー、５……ステーター用支持部材、5a……
支持子、６……ローター用支持部材、6a……支持子

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 袴田 和男 東京都品川区西大井１丁目６番３号 日本 光学工業株式会社大井製作所内 (56)参考文献 特開 昭60−96183（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】圧電体の励振により弾性体表面に進行性振
   動波を発生する固定子と、 前記進行性振動波によって駆動される移動子と、 前記固定子もしくは前記移動子を支持する為に、前記固
   定子と前記移動子とを加圧接触させるための押圧力を伝
   達する弾性をそれぞれ有する複数の支持子が形成された
   支持部材とを有し、 前記支持子からの前記押圧力を受ける為に、前記固定子
   もしくは前記移動子には振動振幅の小さい中立面近傍部
   分から突出したフランジ状の係合部が設けられ、前記支
   持子が前記フランジ状の係合部に対してほぼスラスト方
   向から前記係合部に前記押圧力を加えることを特徴とす
   る超音波モーター。