JPH08218112A - 内部品質の良好な鋳片の製造方法 - Google Patents

内部品質の良好な鋳片の製造方法

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JPH08218112A
JPH08218112A JP4497095A JP4497095A JPH08218112A JP H08218112 A JPH08218112 A JP H08218112A JP 4497095 A JP4497095 A JP 4497095A JP 4497095 A JP4497095 A JP 4497095A JP H08218112 A JPH08218112 A JP H08218112A
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JP
Japan
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steel
weight
concentration
slab
embrittlement
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JP4497095A
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English (en)
Inventor
Masamitsu Wakao
昌光 若生
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、連続鋳造法による炭素鋼鋳片の製
造方法に関し、特に内部割れと中心偏析を防止する鋳造
用溶鋼の製造方法を提供する。 【構成】 少なくともPを0.005重量%以上含む炭
素鋼に対して、CeまたはLa、またはCe+Laを以
下の式で表される条件を満足するように添加することを
特徴とする内部品質の良好な鋳片の製造方法。 (%X)≧2×(%P) ここで、(%X):CeまたはLa、またはCe+La
の鋼中濃度 (%P):Pの鋼中濃度(重量%)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造法による炭素
鋼鋳片の製造方法に関し、特に内部割れと中心偏析を防
止する鋳造用溶鋼の製造方法に係わるものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋼中に含まれる燐(以下Pと
略記する)は、製品の材質に対して悪影響を与えること
が知られており、その低減および除去に多大の努力がな
されてきた。(例えば、第90,91回西山記念技術講
座「鋼中不純物元素の低減とその効果」(1983年)
P.57、日本鉄鋼協会)また、溶鋼から鋳片を製造す
る際の連続鋳造プロセスにおいても、Pが高いと内部割
れが発生しやすく、また鋳片中心部の偏析が悪化する等
の問題があり、それらに対する改善技術として、前記の
P低減とともに、連続鋳造機の曲げ部や矯正部を1点で
はなく多点にして、発生する歪みを低減することによ
り、内部割れを防止(例えば、鉄と鋼〈鋼の連続鋳造特
集号〉(1981年)P.95、日本鉄鋼協会)した
り、凝固末期に鋳片を圧下することにより中心偏析を改
善する技術(例えば、第126,127回西山記念技術
講座「高清浄鋼」(1988年)P.212、日本鉄鋼
協会)が提示されている。
【0003】しかしながら、Pを低減するためには、精
錬コストが高くなるという問題があり、また中心偏析を
低減する技術も多大な設備費がかかるという問題を含ん
でいる。更に、要求される材質によっては、例えば薄板
で強度をアップする目的で、Pを0.08重量%以上含
有することを必要とされる鋼種もあり、特に微小な内部
割れが発生するという問題が生じている。従って、Pを
含有しても中心偏析や鋳片の割れが発生しないような対
策が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、Pを含む炭
素鋼の鋼溶製の際に、Pと結合しやすい元素Ceまたは
Laを添加することにより、Pをある程度の量含有して
も中心偏析や鋳片の割れを防止する製造方法を提供する
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は以下の〜の構成を特徴とする。 Pを0.005〜0.3重量%含む炭素鋼に対して、
Ceを以下の式で表される条件を満足するように添加す
ることを特徴とする内部品質の良好な鋳片の製造方法。 (%Ce)≧2×(%P) ここで、(%Ce):Ceの鋼中濃度(重量%)、 (%P):Pの鋼中濃度(重量%) Pを0.005〜0.3重量%含む炭素鋼に対して、
Laを以下の式で表される条件を満足するように添加す
ることを特徴とする内部品質の良好な鋳片の製造方法。 (%La)≧2×(%P) ここで、(%La):Laの鋼中濃度(重量%)、 (%P):Pの鋼中濃度(重量%) Pを0.005〜0.3重量%含む炭素鋼に対して、
CeおよびLaを以下の式で表される条件を満足するよ
うに添加することを特徴とする内部品質の良好な鋳片の
製造方法。 (%Ce)+(%La)≧2×(%P) ここで、(%Ce):Ceの鋼中濃度(重量%)、 (%La):Laの鋼中濃度(重量%)、 (%P):Pの鋼中濃度(重量%)
【0006】なお、本発明で対象とする鋼の基本成分範
囲は以下の通りである。C:0.001〜1.5重量
%、Mn:0.1〜3重量%、Si:0.005〜2重
量%、P:0.005〜0.3重量%、S:0.005
〜0.02重量%、Al:0.001〜0.08重量
%、Ce:0.01〜0.6重量%、La:0.01〜
0.6重量%。その他として鋼の用途に応じてTi,N
b,Cr,Mo,V,Cu,Ni,Zr,Bの一種また
は二種以上を0.1重量%以下含んでも構わない。
【0007】
【作用】本発明者は、Pが鋼中にある程度含有されてい
ても、それを無害にすることができれば良いとの観点か
ら、Pと結合力の強い元素を鋼中に添加し、これにより
Pとその元素の化合物をつくり、Pの害を無くすとの発
想に立ち、検討を行った。その結果、添加元素としてC
eとLaが有効であるとの知見を得、本発明を着想する
に至った。
【0008】以下に本発明の詳細を記す。まず、Pが鋼
にとって有害となるのは、以下の場合である。 鋼中のPが高いと青熱脆化を起こしたり、割れが発生
しやすくなったり、衝撃特性の大幅な低下をまねく。 鋼に固溶した状態で存在するPが、凝固時にデンドラ
イト樹間で濃化し、その領域の鋼の凝固点が低下するた
めに割れが発生する(デンドライト樹間割れ)。 鋼の凝固末期の鋳片中心部にPが濃化(中心偏析)
し、この部分が強度的に弱くなり、製品の加工または使
用時に割れが発生する。
【0009】これらの割れはいずれも鋼中に固溶したP
が原因であり、もし、このPが鋼中で化合物となってい
れば、上述のような害を及ばさない可能性が考えられ
る。また、このような化合物は比較的温度が高い状態で
も安定している必要がある。もし高温で溶解してしまえ
ば、その効果は期待できない。そこで、本発明者はPと
結合力が強くかつ化合物の融点が非常に高い元素を、種
々の熱力学データから検討した結果、CeおよびLaが
適している可能性があることを見いだした。ただし、熱
力学データから得られる知見は実測値ではなく、あくま
で推定値であったので、本発明者はこれを実証し、かつ
効果の出る条件を求める目的で、実験室および製造ライ
ンでの実験を行った。
【0010】図1には、鋼の脆化挙動に対するCe濃度
とP濃度の影響を示す。ここで、脆化挙動は、グリーブ
ル型の引張り試験機により、CeおよびP濃度を変化さ
せて製造した鋼を所定の温度で引張り、破断面の絞り値
が60%を切った場合に脆化していると判断して、図中
に●印で脆化を示したものであり、○印は脆化していな
いと判断した(図2、図3も同様の基準による)。Ce
を入れない場合には、鋼の脆化が生じているのに対し
て、Ceを添加することにより、鋼の脆化が消失してい
ることが判る。またPの濃度を変化させた場合には、そ
れぞれ脆化を防止できる最低のCe濃度があることが判
る。これらの結果をもとに、本発明者は、Pによる鋼の
脆化を防ぐためにCe量として以下の関係式を得た。
【0011】(%Ce)≧2×(%P) ここで、(%Ce):Ceの鋼中濃度(重量%) (%P) :Pの鋼中濃度(重量%) 表1に供試鋼の基本成分(重量%)を示す。
【0012】
【表1】
【0013】また、図2には、鋼の脆化挙動に対するL
a濃度とP濃度の影響を示す。図1に示したCeの場合
と同様に、Laを入れない場合には、鋼の脆化が生じて
いるのに対して、Laを添加することにより、鋼の脆化
が消失していることが判る。またPの濃度を変化させた
場合には、それぞれ脆化を防止できる最低のLa濃度が
あることが判る。これらの結果をもとに、本発明者は、
Pによる鋼の脆化を防ぐためにCe量として以下の関係
式を得た。
【0014】(%La)≧2×(%P) ここで、(%La):Laの鋼中濃度(重量%) (%P) :Pの鋼中濃度(重量%) 表2に供試鋼の基本成分(重量%)を示す。
【0015】
【表2】
【0016】さらに、図3には、鋼の脆化挙動に対する
CeとLaの合計濃度とP濃度の影響を示す。この場合
にも図1に示したと同様にCeとLaを添加することに
より、鋼の脆化が消失していることが判る。またPの濃
度を変化させた場合の、脆化を防止できる最低のCe+
La濃度は、CeまたはLa単独の濃度の場合と同様な
関係にあることが判る。これは、CeとLaの原子量が
非常に近く、性質も似ているためだと考えられる。ま
た、CeとLaの比を変えても本発明の効果は変わらな
かった。これらの結果をもとに、発明者は、Pによる鋼
の脆化を防ぐためにCe量として以下の関係式を得た。
【0017】(%Ce)+(%La)≧2×(%P) ここで、(%Ce):Ceの鋼中濃度(重量%) (%La):Laの鋼中濃度(重量%) (%P) :Pの鋼中濃度(重量%) 表3に供試鋼の基本成分(重量%)を示す。
【0018】
【表3】
【0019】P濃度が高いにもかかわらず、Ce添加ま
たはLa添加により鋼の脆化が消失したサンプルを走査
型電子顕微鏡およびエレクトロンプローブマイクロアナ
ライザー(EPMA)で調査してみると、多数の微細な
析出物が観察され、詳細分析を行うと、CeとPの信号
またはLaとPの信号が確認されたので、予想通りCe
またはLaの燐化物が生成していることが確認された。
【0020】CeまたはLaの燐化物は、CePおよび
LaPと考えられ、化学量論的にみた場合に原子量比
は、Ce/P=4.52,La/P=4.48である
が、実際には鋼中に含まれるすべてのPがCeやLaに
化合しなくても良い。すなわち鋼中に固溶したPの量が
減少すれば良い。そのためにCe/P≧2,La/P≧
2であれば、Pの悪影響が防止できる結果となる。
【0021】次に、本発明の条件を想定した理由につい
て説明する。対象となる鋼種は、炭素鋼でPが0.00
5〜0.3重量%含まれていれば、どんなものでも良
い。これは、CeとPおよびLaとPの親和力が非常に
強いために他の元素の影響を受けにくいためである。し
かしながら、実際に使用される鋼材の鋼成分範囲を考慮
すると以下のような成分範囲となる。
【0022】Cは鋼の強度を持たすために不可欠の元素
であるため、下限を0.001重量%とし、上限は硬質
線材を用途とした1.5重量%を最大とした。また、M
nも強度を得るために必要であり、その効果を出すため
に下限を0.1重量%とし、上限は特殊用途で使用され
る場合の最大値3重量%とした。
【0023】Siは用途によっては不要の場合もある
が、不可避的に混入するためその下限を0.005重量
%とし、上限は特殊用途で用いられる2重量%とした。
【0024】Pは本発明における対象元素であり、発明
の効果を得る範囲として0.3重量%以下とした。また
Pの下限を設けた理由は、Pが0.005%未満の場合
にはPの悪影響がほとんど見られないために、本発明を
適用する必要がないためである。
【0025】Sは製品特性に害をなす場合が多く極力低
位とすることが望ましいが、その除去コストを考えると
下限値0.001重量%が現実的である。また上限は連
続鋳造時の割れを防ぐために0.02重量%とした。
【0026】Alは脱酸元素として一般的に使用されて
いるが、Alを非常に少なくする鋼種もあるので、その
下限を0.001重量%とし、上限はAl化合物の割れ
が生じないために0.08重量%とした。
【0027】CeやLaまたはCe+Laの添加量につ
いては、前述したように、 (%Ce)≧2×(%P) ここで、(%Ce):Ceの鋼中濃度(重量%) (%P) :Pの鋼中濃度(重量%) (%La)≧2×(%P) ここで、(%La):Laの鋼中濃度(重量%) (%P) :Pの鋼中濃度(重量%) (%Ce)+(%La)≧2×(%P) ここで、(%Ce):Ceの鋼中濃度(重量%) (%La):Laの鋼中濃度(重量%) (%P) :Pの鋼中濃度(重量%) の関係を満足するように決めれば良い。
【0028】上記の関係を満たせば、コスト的には少量
のほうが良いので、上限を設け、Ce:0.01〜0.
6重量%、La:0.01〜0.6重量%とした。な
お、実際の製造プロセスでは、添加した元素が100%
溶鋼中に含まれることになるわけではないので、歩留を
考慮して余分に添加する必要がある。また、添加方法に
ついては、特に規定はしない。上記関係を満足するよう
に鋼中に含有する方法であれば、どのような方法でも構
わない。その他、鋼の用途に応じてTi,Nb,Cr,
Mo,V,Cu,Ni,Zr,Bの一種または二種以上
を0.1重量%以下含んでも構わない。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】
【実施例】表4に示す成分の炭素鋼を下記1)の(1)
〜(3)に示す製造条件で製造した。 1)製造条件 (1)製造プロセス:転炉→RH→連続鋳造→熱間圧延 (2)CeおよびLaの添加法:以下の3種類の方法を
実施 RHで合金の形で添加 RH終了後、溶鋼鍋内にワイヤーの形で添加 連続鋳造のタンディッシュにワイヤーの形で添加 (3)連続鋳造:垂直曲げ型連鋳機 (垂直部3m,曲げ半径10.5m、スラブ連鋳機 (垂直部3m、曲げ半径10.5m、ブルーム連鋳機
【0032】鋳片の内部割れ発生および中心偏析のレベ
ルを調査し、更に圧延した鋼板から切り出したサンプル
を用いてシャルピー試験を行い、衝撃特性を調査した。
鋳片および鋼板の評価は下記2)の(1)〜(3)に示
した。
【0033】2)評価方法 (1)内部割れ:鋳片の断面を切断し、サルファープリ
ントをとって割れ発生の有無を調査 微小内部割れ有無の確認にはエッチプリントを用いた。 (2)中心偏析:鋳片の断面を切断し、研磨後EPMA
で濃度を測定。中心部P濃度/断面平均のP濃度≦5の
場合に合格(○)、P濃度>5の場合に不合格(×)と
した。 (3)衝撃特性:圧延後の鋼板から試験片を切り出し、
シャルピー試験を実施延性/脆性遷移温度が−40℃以
下を合格(○)、−40℃より上を不合格(×)とし
た。
【0034】その結果を表5に示す。表より、本発明の
場合には、いずれのP濃度においても固溶Pに起因する
内部割れ、中心偏析、衝撃特性が満足された。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明により、炭素鋼中の
P濃度が高い場合においても、固溶Pに起因する割れや
偏析、材質劣化を防止することができ、P濃度を特別低
下させたり、内部割れや中心偏析防止の特別な装置を設
けなくても、良好な鋼を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼中P濃度および鋼中Ce濃度と鋼の脆化挙動
の関係を表した図
【図2】鋼中P濃度および鋼中La濃度と鋼の脆化挙動
の関係を表した図
【図3】鋼中P濃度および鋼中Ce+La濃度と鋼の脆
化挙動の関係を表した図

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pを0.005〜0.3重量%含む炭素
    鋼に対して、Ceを以下の式で表される条件を満足する
    ように添加することを特徴とする内部品質の良好な鋳片
    の製造方法。 (%Ce)≧2×(%P) ここで、(%Ce):Ceの鋼中濃度(重量%)、 (%P):Pの鋼中濃度(重量%)
  2. 【請求項2】 Pを0.005〜0.3重量%含む炭素
    鋼に対して、Laを以下の式で表される条件を満足する
    よう添加することを特徴とする内部品質の良好な鋳片の
    製造方法。 (%La)≧2×(%P) ここで、(%La):Laの鋼中濃度(重量%)、 (%P):Pの鋼中濃度(重量%)
  3. 【請求項3】 Pを0.005〜0.3重量%含む炭素
    鋼に対して、CeおよびLaを以下の式で表される条件
    を満足するよう添加することを特徴とする内部品質の良
    好な鋳片の製造方法。 (%Ce)+(%La)≧2×(%P) ここで、(%Ce):Ceの鋼中濃度(重量%)、 (%La):Laの鋼中濃度(重量%)、 (%P):Pの鋼中濃度(重量%)
JP4497095A 1995-02-10 1995-02-10 内部品質の良好な鋳片の製造方法 Pending JPH08218112A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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