JPH08217738A - フタロニトリル化合物、ジイミノイソインドリン化合物、フタロシアニン近赤外吸収材料及びそれらの製造方法並びに光情報記録媒体 - Google Patents

フタロニトリル化合物、ジイミノイソインドリン化合物、フタロシアニン近赤外吸収材料及びそれらの製造方法並びに光情報記録媒体

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JPH08217738A
JPH08217738A JP7047806A JP4780695A JPH08217738A JP H08217738 A JPH08217738 A JP H08217738A JP 7047806 A JP7047806 A JP 7047806A JP 4780695 A JP4780695 A JP 4780695A JP H08217738 A JPH08217738 A JP H08217738A
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辰也 戸村
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登 笹
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勉 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 フタロシアニン骨格のベンゼン環に−O(又
はS)−(ノル)ボルナン(又はノルボルネン)残基か
らなる置換基を導入してなるフタロシアニン近赤外吸収
材料、その中間体である同置換基を有するフタロニトリ
ル化合物とジイミノイソインドリン化合物及びそれらの
製造方法並びに該フタロシアニン化合物を記録層に含有
してなる光情報記録媒体。 【効果】 本発明のフタロシアニン近赤外吸収材料は、
良好な安定性を保持しながら、種々の有機溶媒に可溶な
ものとなり、しかも高い近赤外線吸収能を持っている。
その結果、溶剤塗工法による塗膜形成が可能となり、利
用形態が非常に拡大され、該材料を用いた光情報記録媒
体は、高密度記録が可能な630〜720nmのレーザ
ーを用いたピックアップに適応でき、しかも770〜8
30nmに高い屈折率を有し、保存寿命が長く再生によ
る劣化の少ない追記型CD用、追記型CD−R用の媒体
を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光記録材料、光電変換
材料、赤外線カットフィルター等に利用可能な新規なフ
タロシアニン近赤外吸収材料、その中間体である新規な
フタロニトリル化合物及びジイミノイソインドリン化合
物、それらの製造方法、並びに該フタロシアニン近赤外
吸収材料を含有する光情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近赤外吸収材料は各種の用途に用いられ
ている。このような用途例としては、例えば次のような
ものが挙げられる。 赤外線感光性感光材料用セーフライトフィルター 植物の生育の制御を目的とした赤外カットフィルター 太陽光の熱線の遮断材料 人間の目の組織に有害な赤外線カットフィルター 半導体受光素子の赤外線カットフィルター等。 更に大きな用途として、光情報記録媒体における記録材
料としての用途を挙げることができる。
【0003】これまで赤外線吸収性物質としては、シア
ニン色素、フェナンスレン系色素、ナフトキノン系色
素、ピリリウム系色素、スクアリリウム系色素等が知ら
れており、これらの色素を記録材料として用いた情報記
録媒体も知られている(例えば、特開昭55−9703
3号、特開昭58−83344号、特開昭58−224
793号、特開昭58−214162号、特開昭59−
24692号各公報等)。
【0004】ただ、上記のような色素は、記録材料とし
た場合、種々の問題点をかかえている。例えば、フェナ
ンスレン系色素、ナフトキノン系色素及びスクアリリウ
ム系色素は、蒸着しやすいという利点を有する反面、反
射率が低いという問題点を有している。反射率が低い
と、レーザー光により記録された部分と未記録部分との
反射率に関するコントラストが低くなり、記録された情
報の再生が困難になる。また、ピリリウム系色素やシア
ニン色素は、塗布によるコーティングができるなどの利
点を有する反面、耐光性に劣り、再生光(自然光)によ
り劣化しやすいという問題がある。
【0005】上記のような色素に対し、フタロシアニン
系色素は、熱、光に対する安定性が極めて高く、有機色
素薄膜を記録層とする記録媒体において、該有機色素薄
膜にフタロシアニン化合物を使用したものが知られてい
る(特開昭58−183296号、同58−37851
号公報等)。フタロシアニン化合物は熱、光に対する安
定性が極めて高いという特長がある一方、有機溶剤等へ
の溶解性に乏しく、従来は蒸着法でしか薄膜化はできず
生産性に難点があり、また会合しやすく、高い屈折率、
高い反射率が得られないという問題があった。
【0006】一方、最近では、高記録密度化を図るべく
従来の光ディスクで使用されてきた波長域より短波長に
発振波長(〜680nm)を有する半導体レーザーが実
用化されはじめている。ところが、従来の有機色素薄膜
では700nm以下の波長域に光吸収能及び光反射能を
有するものはなく、材料面で高密度記録性に限界があっ
た。
【0007】更に、基板上に、有機色素薄膜、金属反射
層及び保護層を順次積層してなる追記コンパクトディス
ク型(CD−R)記録媒体においては、そのCD規格を
満足するには高い反射率を必要とし、そのため再生波長
域(700〜830nm)に高い屈折率を有し且つ安定
性の高い有機色素材料の開発が必要であった。
【0008】最近、フタロシアニン化合物の会合を阻止
し高屈折率化を達成するために、フタロシアニンのα位
にかさ高いアルコキシ基を導入することが試みられ、更
にハロゲン化フタロシアニンとすることで波長整合を計
ったCD−R型記録媒体が提案されている(特開平3−
62878号、同3−215466号、同4−3481
68号、同4−226390号、同4−15263〜6
号、同5−17477号、同5−86301号、同5−
25177号、同5−25179号、同5−17700
号、同5−1272号各公報等)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらのフ
タロシアニン化合物は確かに屈折率等の向上をもたらす
が、未だ充分満足されるものではなく、更なる向上が望
まれている。
【0010】従って、本発明の第1の目的は、フタロシ
アニン化合物が本来もっている安定性を損なうことな
く、溶解性を高め、生産性が高く、しかも近赤外線に高
い吸収をもつ、新規なフタロシアニン近赤外線吸収剤と
その中間体及びそれらの製造方法を提供することにあ
る。また、本発明の第2の目的は、フタロシアニン化合
物の持つ特長を生かしつつ、有機溶剤への溶解性が高
く、生産性が高く、溶剤塗工可能なフタロシアニン化合
物を記録材料とする記録媒体を提供することにある。更
に、本発明の第3の目的は、高密度記録可能な630〜
720nmの半導体レーザーを用いた光ピックアップに
適用できる記録媒体を提供することにある。更に、本発
明の第4の目的は、770〜830nmの波長域におい
て高屈折率を有し、保存安定性及び再生安定性に優れた
高反射率のCD−Rメディアの達成を可能とする記録媒
体を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】フタロシアニン化合物は
大環状の平面化合物であり、極めて会合性が高く、その
ため薄膜化すると吸収スペクトルがブロードになり、且
つ反射率(屈折率)も低くなる性質を有している。そこ
で、本発明は、フタロシアニン環への置換基として、立
体的にかさ高い構造の置換基を導入し、会合を阻止し、
高い吸収能及び高い反射率(屈折率)化を実現させ、且
つ有機溶剤に対する溶解性をも向上させたものである。
【0012】即ち、本発明によれば、下記一般式(I)
で示されるフタロニトリル化合物が提供される。
【化1】 (式中、X1、R1及びyはそれぞれ以下のものを表わ
す。 X1:酸素又は硫黄原子、 R1:置換されていてもよい又はメチレン基を介してX1
と結合してもよいボルナン残基、ノルボルナン残基及び
ノルボルネン残基から選ばれた1種の残基、 y:1又は2。)
【0013】また、本発明によれば、下記の一般式(I
I)で示されるジイミノイソインドリン化合物が提供さ
れる。
【化2】 (式中、X1、R1及びyはそれぞれ以下のものを表わ
す。 X1:酸素又は硫黄原子、 R1:置換されていてもよい又はメチレン基を介してX1
と結合してもよいボルナン残基、ノルボルナン残基及び
ノルボルネン残基から選ばれた1種の残基、 y:1又は2。)
【0014】更に、本発明によれば、下記の一般式(II
I)で示されるフタロシアニン近赤外吸収材料が提供さ
れる。
【化3】 〔式中、M、X1〜X4、R1〜R4及びk〜nは、それぞ
れ以下のものを表わす。 M:2個の水素原子、ハロゲン原子若しくは酸素原子を
有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、 X1〜X4:それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子、 R1〜R4:それぞれ独立に置換されていてもよい又はメ
チレン基を介してX1と結合してもよいボルナン残基、
ノルボルナン残基及びノルボルネン残基から選ばれた1
種の残基、 k、l、m、n:それぞれ独立に0〜4の整数、但し全
部が同時に0になることはなく、k、l、m、nが3以
下の場合ベンゼン環の他の置換基は水素原子又はハロゲ
ン原子である。〕
【0015】また、本発明によれば、3−又は4−ニト
ロフタロニトリルを、有機溶媒中で水素化ナトリウムの
存在下、前記ボルナン残基、ノルボルナン残基及びノル
ボルネン残基から選ばれた1種の残基を有するアルコー
ル誘導体又は同メルカプタン誘導体と反応させることを
特徴とする前記一般式(I)で示されるフタロニトリル
化合物の製造方法が提供され、更に3−若しくは4−ヒ
ドロキシフタロニトリル又は2,3−ジシアノハイドロ
キノンを、有機溶媒中でアルカリの存在下、前記ボルナ
ン残基、ノルボルナン残基及びノルボルネン残基から選
ばれた1種の残基を有するハライドと反応させることを
特徴とする前記一般式(I)で示されるオキシ基含有フ
タロニトリル化合物の製造方法が提供される。
【0016】また、本発明によれば、前記一般式(I)
で示される少なくとも一種のフタロニトリル化合物又は
前記一般式(II)で示される少なくとも一種のジイミノ
イソインドリン化合物と、金属又は金属誘導体とを、有
機溶媒中で反応させることを特徴とする前記一般式(II
I)で示される金属フタロシアニン化合物の製造方法が
提供され、また、前記一般式(I)で示される少なくと
も一種のフタロニトリル化合物又は前記一般式(II)で
示される少なくとも一種のジイミノイソインドリン化合
物に、有機溶媒中でリチウム又はナトリウムを作用させ
ることを特徴とする前記一般式(III)においてMが2
個の水素原子であるフタロシアニン化合物の製造方法が
提供される。
【0017】更に、本発明によれば、基板上に直接又は
下引き層を介して記録層を設け、更に必要に応じて、そ
の上に保護層を設けてなる光情報記録媒体において、前
記記録層中に前記一般式(III)で示されるフタロシア
ニン化合物を含有してなることを特徴とする光情報記録
媒体が提供される。
【0018】また、本発明によれば、前記記録層と保護
層との間に金属反射層を設けてなり、CDフォーマット
信号の記録を行なう追記コンパクトディスク型の記録媒
体であることを特徴とする前記光情報記録媒体が提供さ
れ、更に前記一般式(III)において、k=l=m=n
=1又は2であり、置換位置が式中1又は/及び4であ
り、その他の置換基は水素原子又はハロゲン原子である
前記光情報記録媒体が提供される。
【0019】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
新規なフタロニトリル化合物は、本発明のフロシアニン
近赤外吸収材料の中間体として有用なものであり、下記
の一般式(I)で示される。
【化1】 (式中、X1、R1及びyはそれぞれ以下のものを表わ
す。 X1:酸素又は硫黄原子、 R1:置換されていてもよい又はメチレン基を介してX1
と結合してもよいボルナン残基、ノルボルナン残基及び
ノルボルネン残基から選ばれた1種の残基、 y:1又は2。)
【0020】なお、上記定義中、R1の具体例として
は、表1に示す残基が挙げられる。
【0021】
【表1−(1)】
【0022】
【表1−(2)】
【0023】本発明の前記一般式(I)で示されるフタ
ロニトリル化合物は、3−若しくは4−ニトロフタロニ
トリル又は3,4−ジニトロフタロニトリルを、有機溶
媒中で水素化ナトリウムの存在下、前記ボルナン残基、
ノルボルナン残基及びノルボルネン残基から選ばれた1
種の残基を有するアルコール誘導体又は同メルカプタン
誘導体と反応させることにより、下記反応式(I)、
(II)に従って製造することができる。
【化4】
【0024】ここで用いる前記残基を有するアルコール
誘導体及び同メルカプタン誘導体としては、前記表1で
示される残基を有するアルコール及びメルカプタン誘導
体が挙げられる。また、用いる有機溶媒としては、N,
N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトア
ミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキ
シドなどが挙げられるが、特にN,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。上
記アルコール誘導体及びメルカプタン誘導体の使用量
は、上記ニトロフタロニトリルに対し、0.5〜2倍モ
ル、好ましくは0.8〜1.2倍モルである。また、こ
のときの反応温度は−20〜120℃、好ましくは−1
0〜60℃である。
【0025】また、前記一般式(I)で示されるオキシ
基含有フタロニトリルは、3−若しくは4−ヒドロキシ
フタロニトリル又は2,3−ジシアノハイドロキノン
を、有機溶媒中でアルカリの存在下、前記ボルナン残
基、ノルボルナン残基及びノルボルネン残基から選ばれ
た1種の残基を有するハライドと反応させることによ
り、下記反応式(III)、(IV)に従って製造することがで
きる。即ち、3−若しくは4−ヒドロキシフタロニトリ
ル又は2,3−ジハイドロキノンと炭酸カリウム、水酸
化ナトリウム等のアルカリとを有機溶媒中で溶解し、こ
れに上記ハライドを作用させることによって、目的とす
るオキシ基含有フタロニトリルが得られる。
【化5】
【0026】本反応で用いる前記残基を有するハライド
としては、例えば前記表1で示される残基を有するハラ
イドが挙げられる。また、本反応に使用する有機溶媒と
しては、前述のニトロフタロニトリルからの一般式
(I)で示されるフタロニトリル化合物の製造方法で用
いた溶媒と同様なものが用いられる。
【0027】本発明の新規なジイミノイソインドリン化
合物は、本発明のフタロシアニン近赤外吸収材料の中間
体として有用なものであり、下記の一般式(II)で示され
る。
【化2】 (式中、X1、R1及びyはそれぞれ以下のものを表わ
す。 X1:酸素又は硫黄原子、 R1:置換されていてもよい又はメチレン基を介してX1
と結合してもよいボルナン残基、ノルボルナン残基及び
ノルボルネン残基から選ばれた1種の残基、 y:1又は2。) なお、上式のR1の残基の具体例としては、前記一般式
(I)の場合と同一のものが挙げられる。
【0028】本発明の前記一般式(II)で示されるジイ
ミノイソインドリン化合物は、前記一般式(I)で示さ
れる少なくとも一種のフタロニトリル化合物を、アルコ
ール溶媒中、ナトリウム(金属ナトリウム又はナトリウ
ムアルコキシド)の存在下に、アンモニアガスと反応さ
せることによって、下記の反応式(V)に従って得られ
る。
【化6】 なお、この場合の代表的なアルコールとしては、メタノ
ールが一般的である。
【0029】本発明の新規なフタロシアニン近赤外吸収
材料は、下記一般式(III)で示されるものである。
【化3】 〔式中、M、X1〜X4、R1〜R4及びk〜nは、それぞ
れ以下のものを表わす。 M:2個の水素原子、ハロゲン原子若しくは酸素原子を
有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、 X1〜X4:それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子、 R1〜R4:それぞれ独立に置換されていてもよい又はメ
チレン基を介してX1と結合してもよいボルナン残基、
ノルボルナン残基及びノルボルネン残基から選ばれた1
種の残基、 k、l、m、n:それぞれ独立に0〜4の整数、但し全
部が同時に0になることはなく、k、l、m、nが3以
下の場合ベンゼン環の他の置換基は水素原子又はハロゲ
ン原子である。〕
【0030】上記一般式(III)において、Mで表わさ
れる金属原子としては、Al,Si,Ca,Cd,T
i,V,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,
Mo,Ru,Rh,Pd,In,Sn,Pt,Pb等が
挙げられる。
【0031】この一般式(III)で示されるフタロシア
ニン近赤外吸収材料は、フタロシアニン化合物が本来も
っている安定性を損なうことなしに、有機溶剤への高い
溶解性を有し、もちろん近赤外線に対し高い吸収力を有
する。即ち、溶解性が向上したため、溶剤塗工法により
薄膜化が可能で、生産性に優れ、安定性の良いしかも吸
収能の高い膜が得られ、各種電子材料への応用が可能と
なる。
【0032】本発明の前記一般式(III)で示されるフ
タロシアニン近赤外吸収材料は、前記一般式(I)で示
される少なくとも1種のフタロニトリル化合物又は前記
一般式(II)で示される少なくとも1種のジイミノイソ
インドリン化合物と、金属又は金属誘導体を反応させる
ことによって製造することができる。
【0033】この場合のフタロシアニン環合成は、有機
溶媒中で実施するのが好ましい。即ち、原料のフタロニ
トリル又はジイミノイソインドリン化合物の少なくとも
1種(1〜4種)を、金属又は金属誘導体と溶媒中、9
0℃〜240℃で加熱反応させる。ここで反応温度が9
0℃より低いと、反応進行が遅い又は進行しない等の不
具合が生じるし、240℃を越えると、分解物が多く生
成し、収率が落ちるという不具合が生じる。溶媒の使用
量としては、フタロニトリル又はジイミノイソインドリ
ン化合物の1〜100重量倍、好ましくは3〜25重量
倍であり、溶媒としては、沸点が90℃以上あれば良
い。使用する溶媒としては、アルコールが好ましく、そ
の具体例としては、n−ブチルアルコール、n−アミル
アルコール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、
2−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2
−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチルヘキサ
ノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、エトキシエタノール、プロポキシ
エタノール、ブトキンエタノール等が挙げられる。ま
た、反応に用いる金属又は金属誘導体としては、Al,
Si,Ca,Cd,Ti,V,Mn,Fe,Co,N
i,Cu,Zn,Ge,Mo,Ru,Rh,Pd,I
n,Sn,Pt,Pb及びそれらのハロゲン化物、カル
ボン酸誘導体、硫酸塩、硝酸塩、カルボニル化合物、酸
化物、錯体等が挙げられる。
【0034】金属又は金属誘導体とフタロニトリル又は
ジイミノイソインドリン化合物の使用量は、モル比で
1:3〜6モルが好ましい。なお、環形成反応の触媒と
して、有機塩基、例えば、ジアザビシクロウンデセン、
ジアザビシクロノネンなどの強塩基の補助剤を添加して
も良く、その添加量は、フタロニトリル又はジイミノイ
ソインドリン化合物1モルに対して0.1〜10モル、
好ましくは0.5〜2モルである。
【0035】更に、前記一般式(III)において、Mが
2個の水素原子である、いわゆるメタルフリーフタロシ
アニンの場合には、前記一般式(I)で示される少なく
とも一種のフタロニトリル化合物又は前記一般式(II)
で示される少なくとも一種のジイミノイソインドリン化
合物に、リチウム又はナトリウムを作用させることによ
って製造することができる。
【0036】この反応の場合も、有機溶媒(特にアルコ
ール系)中で実施するのが好ましい。即ち、フタロニト
リル又はジイミノイソインドリン化合物と、Na,L
i,CH3ONa,NaH又はブチルリチウム等の存在
下、アルコール中で70〜150℃で反応させる。ここ
で金属Li又はNaの添加量は、フタロニトリル又はジ
イミノイソインドリン化合物に対し、0.5〜4倍モル
がよい。使用するアルコールの具体例やアルコール量な
どは、前述の金属フタロシアニン製造の際と全く同様で
あるが、反応温度は150℃以下である。150℃を越
えると分解物の生成が多くなる。
【0037】本発明の光情報記録媒体は、基板上に直接
又は下引き層を介して記録層を設け、更に必要に応じ
て、その上に保護層を設けてなる光情報記録媒体におい
て、前記記録層中に前記一般式(III)で示されるフタ
ロシアニン化合物を含有してなることを特徴とし、好ま
しい態様においては、前記記録層と保護層との間に金属
反射層を設けてなり、CDフォーマット信号の記録を行
なう追記コンパクトディスク型の記録媒体であることを
特徴とする。
【0038】本発明で使用するフタロシアニン化合物
は、フタロシアニン骨格のベンゼン環に立体的にかさ高
い置換基として、前記(X11)yで表わされる置換基を
導入することにより、会合を阻止し、高吸収能及び高反
射率(屈折率)化を実現させ、且つ有機溶剤に対する溶
解性を向上させたものである。従って、波長770〜8
30nmに高い屈折率を示し且つ高い安定性を有するた
め、本フタロシアニンを使用したCD−R記録媒体は、
高反射率で保存安定性及び再生安定性に優れたものとな
る。また、波長630〜720nmに高い吸収能、光反
射性を有し、630〜720nmの半導体レーザーを用
いたピックアップに適用できるため、現状の770〜8
30nm対応の記録媒体に比べ、1.5〜1.8倍の高
密度化が可能になる。
【0039】なお、本発明において使用する前記一般式
(III)で示されるフタロシアニン化合物の中でも、特
にk=l=m=n=1又は2であり、且つ置換位置が式
中1又は/及び4である置換体であって、しかもその他
の置換基が水素原子又はハロゲン原子(置くに臭素原
子)であるものが、吸収波長の制御が容易であり、且つ
会合を阻止し、膜の屈折率を高め、反射率を向上できる
という点から特に好ましい。
【0040】まず、記録媒体の構成について述べる。図
1は、本発明の記録媒体に適用し得る層構成例を示す図
で、基板1の上に、必要に応じて下引き層3を介して、
記録層2を設け、更に必要に応じ保護層4が設けられ
る。図2は、本発明の記録媒体に適用し得る別のタイプ
の層構成例を示す図で、図1の構成の記録層2の上に金
属反射層5が設けられている。
【0041】本発明の記録媒体は、図1及び図2に示し
た構成の記録層(有機薄膜層)を内側にして、他の基板
と空間を介して密封したエアーサンドイッチ構造にして
もよく、また保護層を介して接着した貼合せ構造にして
もよい。
【0042】次に、構成各層の必要特性及びその構成材
料について述べる。 1)基板 基板の必要特性としては、基板側より記録再生を行なう
場合には使用レーザー光に対して透明でなければならな
いが、記録層側から記録再生を行なう場合は透明である
必要はない。基板材料としては、例えばポリエステル、
アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポ
リオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リイミドなどのプラスチック、ガラス、セラミックある
いは金属などを用いることができる。なお、基板の表面
にトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス
信号などのプレフォーマットが形成されていてもよい。
【0043】2)記録層 記録層はレーザー光の照射により何らかの光学的変化を
生じさせその変化により情報を記録できるものであっ
て、この記録層中には前記一般式(I)のフタロシアニ
ン化合物が含有されている必要がある。記録層の形成に
当っては、本発明の化合物を1種又は2種以上組み合わ
せて用いてもよい。更に、本発明の化合物は他の染料、
例えばポリメチン色素、ナフタロシアニン系、スクアリ
リウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノ
ン系、アントラキノン(インダンスレン)系、キサンテ
ン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒド
ロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系
染料、あるいは金属錯体化合物などと組み合わせて用い
てもよい。この場合、上記の染料は単独で用いでもよい
し、2種以上の組み合わせにしてもよい。
【0044】また、本発明の化合物は金属、金属化合
物、例えばIn、Al、Te、Bi、Al、Be、Te
2、SnO、As、Cdなどを分散混合あるいは積層
の形態で用いることもできる。更に、本発明の化合物中
に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド系
樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴ
ムなどの種々の材料若しくはシランカップリング剤など
を分散混合して用いてもよく、あるいは特性改良の目的
で安定剤(例えば、遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、
滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などと一緒に用
いることができる。
【0045】記録層の形成は蒸着、スパッタリング、C
VD又は溶剤塗布などの通常の手段によって行なうこと
ができる。塗布法を用いる場合には、上記化合物などを
有機溶剤に溶解して、スプレー、ローラー塗布、ディッ
ピング又はスピナー塗布などの慣用の塗布方法で行な
う。有機溶剤としては、一般にメタノール、エタノー
ル、イソプロパノールなどアルコール類、アセトン、メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどの
スルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ
エチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテ
ルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエ
ステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタ
ン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪族ハロゲ
ン化炭素類、ベンゼン、キシレン、モノクロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼンなどの芳香族類、あるいはメチル
セルソルブ、エチルセルソルブなどのセルソルブ類、ヘ
キサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキ
サンなどの炭化水素類などを用いることができる。記録
層の膜厚は、図1のような媒体構成の場合は、100Å
〜10μm、好ましくは200Å〜1000Åが適当で
あり、図2のような媒体構成の場合は、300Å〜5μ
m、好ましくは500Å〜2000Åが適当である。
【0046】3)下引き層 下引き層は、(a)接着性の向上、(b)水又はガスな
どに対するバリヤー、(c)記録層の保存安定性の向
上、(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板の保
護、(f)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形
成などを目的として使用される。(a)の目的に対して
は高分子、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド、ビニ
ル系樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴ
ムなどの種々の高分子物質及びシランカップリング剤な
どを用いることができ、(b)及び(c)の目的に対し
ては、上記高分子材料以外に無機化合物、例えばSiO
2、MgF2、SiO、TiO2、ZnO、TiN、Si
N、及びZn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、
Ag、Alなどの金属又は半金属などを用いることがで
きる。また、(b)の目的に対しては、金属、例えばA
l、Agなどや、金属光沢を有する有機薄膜、例えばメ
チン染料、キサンテン系染料などを用いることができ、
(e)及び(f)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、
熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
下引き層の膜厚は0.01〜30μm、好ましくは0.
05〜10μmが適当である。
【0047】4)金属反射層 金属反射層は単体で高反射率の得られる腐食されにくい
金属、半金属などが使用できる。具体的材料としては、
Au、Ag、Cu、Al、Cr、Niなどが挙げられ、
好ましくはAu、Alがよい。これらの金属、半金属は
単独で使用してもよく、2種以上の合金としてもよい。
膜形成法としては蒸着、スパッタリングなどが挙げら
れ、膜厚としては50〜3000Å、好ましくは100
〜1000Åである。
【0048】5)保護層、基板表面ハードコート層 保護層又は基板表面ハードコート層は、(a)記録層を
傷、埃、汚れなどから保護する、(b)記録層の保存安
定性の向上、(c)反射率の向上などを目的として使用
される。これらの目的に対しては、前記の下引き層に示
した材料を用いることができる。また無機材料としてS
iO、SiO2なども用いることもでき、有機材料とし
てアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポ
リスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロー
ス、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然ゴ
ム、スチレン−ブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワ
ックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジンなどの熱軟化
性、熱溶融性樹脂も用いることができる。上記材料のう
ち保護層又は基板表面ハードコート層に最も好ましいも
のは、生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。保護層又
は基板表面ハードコート層の膜厚は0.01〜30μ
m、好ましくは0.05〜10μmが適当である。本発
明において、前記の下引き層及び保護層には記録層の場
合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止
剤、界面活性剤、可塑剤などを含有させることができ
る。
【0049】本発明においては、前記一般式(III)で
示されるフタロシアニン化合物が記録層に含有される
が、この一般式(III)で示される化合物の具体例とし
ては、例えば表2に示すものが挙げられる。
【0050】
【表2−(1)】
【0051】
【表2−(2)】
【0052】
【表2−(3)】
【0053】
【実施例】以下実施例について本発明を説明するが、本
発明これらに限定されるものではない。
【0054】実施例1 (フタロニトリルの合成) (I)ボルネオール15g(97.2mmol)を80
mlのDry DMFにアルゴン雰囲気下溶解し、氷浴
にて約5℃に保つ。次いで、水素化ナトリウム(60
%)3.89g(97.2mmol)を加える。ここで
3−ニトロフタロニトリル16.82g(97.2mm
ol)をDMFに溶解した液を徐々に滴下し、滴下終了
後、氷浴をはずし、室温にて36時間攪拌する。反応物
を希塩酸400mlにあけ、トルエン約1リットルにて
抽出し、トルエン層を充分に水洗いして、硫酸マグネシ
ウムを適量加えて、攪拌、放置、濾過し、濾液のトルエ
ンを留去し、これをトルエンシリカゲルカウムにて精製
し、更に得られた結晶をメタノール、次いでヘキサンで
洗浄し、乾燥することにより、下記式(a)で示される
化合物(白色結晶)を23.48g(収率86.2%)
得た。
【化7】 得られた化合物の元素分析値は次の通りであり、そのI
Rスペクトルを図3に示す。 C(%) H(%) N(%) O(%) 理論値 77.14 7.14 10.0% 5.71 実測値 77.38 7.01 10.21 5.40
【0055】実施例2 (フタロニトリルの合成)1,3,3−トリメチルノル
ボルナン−2−オル 25g(162.07mmol)
を120mlのDry DMFにアルゴン雰囲気下溶解
し、氷浴にて約5℃に保つ。次いで、水素化ナトリウム
(60%)6.48g(162.07mmol)を加え
る。ここで3−ニトロフタロニトリル28.04g(1
62.07mmol)をDMFに溶解した液を、徐々に
滴下し、滴下終了後氷浴をはずして室温にて43時間攪
拌する。反応物を希塩酸400mlにあけ、後は実施例
1と全く同様にして下記式(b)で示される化合物(白
色結晶)を37.18g(収率81.9%)得た。
【化8】 得られた化合物の元素分析値は次の通りであり、そのI
Rスペクトルを図4に示す。 C(%) H(%) N(%) O(%) 理論値 77.14 7.14 10.0% 5.71 実測値 77.41 7.00 10.01 5.49
【0056】実施例3 (フタロニトリルの合成)2,3−ジシアノヒドロキノ
ン15g(93.75mmol)と炭酸カリウム12.
95g(93.75mmol)をN,Nジメチルアセト
アミドに加熱溶解し、アルゴン雰囲気下、α−3−ブロ
モカンファー43.4g(93.75×2mmol)を
40℃で加え、温度を70〜80℃とし、30時間攪拌
した。反応物が室温になるまで冷却した後、0.7N塩
酸500mlにあけ、クロロホルム1.3リットルで抽
出し、クロロホルム層を充分水洗いした後、硫酸マグネ
シウムで水分を除いた後、クロロホルム/シリカゲルカ
ラムにて精製し、下記式(c)で示される化合物(白色
結晶)を31.48g(収率57.7%)得た。
【化9】 得られた化合物の元素分析値は次の通りであった。 C(%) H(%) N(%) O(%) 理論値 73.04 6.96 6.08 13.92 実測値 73.14 6.79 6.00 14.07
【0057】実施例4 (ジイミノイソインドリンの合成)実施例1で得た前記
式(a)で示される化合物10g(35.7mmol)
とナトリウムメトキシド3.86g(35.7×2mm
ol)をDry メタノールに加え、アンモニアガスを
バブルしながら室温で1時間攪拌し、その後加熱還流し
ながらアンモニアガスを吹き込み、反応物を室温まで冷
却の後、メタノールを留去し、析出物を充分水洗いする
ことにより、下記式(d)で示される化合物を10.1
g(収率95.5%)得た。
【化10】 得られた化合物の元素分析値は次の通りであった。 C(%) H(%) N(%) O(%) 理論値 72.97 7.43 14.19 5.41 実測値 72.59 7.08 14.68 5.65
【0058】実施例5 (フタロニトリルの合成)4−ヒドロキシフタロニトリ
ル20gと炭酸カリウム10.55gをDMF180m
lに加熱溶解し、アルゴン雰囲気下、α−3−ブロモカ
ンファー32.1gを35℃にて添加し、反応温度を6
5〜80℃に保ち、38時間攪拌した。反応物を冷却
し、希塩酸400mlにあけ、トルエン1.5リットル
で抽出、トルエン層を水洗いした後、硫酸マグネシウム
にて余分な水分を除き、トルエンを留去し、トルエン/
シリカゲルカラムにて精製し、下記式(e)で示される
化合物(白色結晶)を29.8g(収率50.7%)得
た。
【化11】 得られた化合物の元素分析値は次の通りであった。
【0059】実施例6 (フタロシアニンの合成)前記式(a)で示される化合
物8g(28.6mmol)を、22gのn−ペンタノ
ールとジアザビシクロウンデセン3.04g(28.6
×0.7mmol)中にアルゴン雰囲気下加熱溶解し、
塩化パラジウム(II)1.27g(286/4mmo
l)を加え、温度120〜130℃にて30時間攪拌す
る。室温まで冷却の後、反応物のトルエン不溶物を濾取
し、濾液のトルエンを留去してメタノール300mlを
加え、析出した結晶を濾取してメタノールで洗浄後乾
燥、これをトルエン/ヘキサン=8/2シリカゲルカウ
ムにて精製し、下記式(f1)、(f2)、(f3)及
び(f4)で示される(f1)/(f2)/(f3)/
(f4)=15/75/5/5の混合物(暗緑色結晶)
を4.86g(収率55.54%)得た。なお、この混
合物のクロロホルム中のλmaxは696nmであっ
た。そのIRスペクトルを図5に示す。
【0060】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】 但し、上記式(f1)〜(f4)中、Rは下記基を表わ
す。
【化16】
【0061】実施例7〜11 (フタロシアニンの合成)実施例6と同様の反応で、表
3に示されるフタロシアニン化合物を得た。なお、本実
施例においても実施例6と同様な異性体は存在するが、
別々には列挙しない。実施例7、8及び9で得られたフ
タロシアニン化合物のIRスペクトルを図6、7及び8
に示す。
【0062】
【表3】
【0063】実施例12 (フタロシアニンのハロゲン化)実施例6で得たフタロ
シアニン1.3gを、1,1,2−トリクロロエタン/
ヘキサン/水=36g/4g/40g混合液中に溶解
し、35℃にて臭素0.678gを1,1,2−トリク
ロロエタン6gに溶解した液を滴下し、温度を55℃と
した。3時間攪拌ののち室温まで冷却後、トルエン40
0mlを注ぎ、水酸化ナトリウム、次いで水で洗浄し、
トルエン層を濃縮して、トルエン/ヘキサン=6/4シ
リカゲルカラムにて精製し、1.59gの臭素化フタロ
シアニンを得た。そのIRスペクトルを図9に示す。
【0064】(評価)実施例6〜12で得られたフタロ
シアニン化合物は種々の溶媒に可溶であり、溶剤塗工法
による塗膜が容易に得られ、しかも近赤外領域に優れた
吸収能を有する。
【0065】実施例13 厚さ1.2μmのポリメチルメタアクリレート板上にフ
ォトポリマーにて、深さ1000Å、半値幅0.4μ
m、トラックピッチ1.4μmの案内溝を形成した基板
上に、表2の化合物No.1の1,2−ジクロロエタン
溶液をスピナー塗布し、厚さ800Åの記録層を設けて
記録媒体とした。
【0066】実施例14〜18 実施例13において、表2の化合物No.1の代わり
に、それぞれ同表の化合物No.6、No.10、N
o.12、No.18、No.20を用いたこと以外
は、実施例13と同様にして実施例14〜18の記録媒
体を得た。
【0067】比較例1 実施例13において、表2の化合物No.1の代わりに
下記式(XI)で示される化合物を用いたこと以外は、実
施例13と同様にして比較例1の記録媒体を得た。
【化17】(但し、式中t−Buは2〜2′′′の位置
と3〜3′′′の位置についたものの混合物である。
【0068】前記の実施例13〜実施例18及び比較例
1の記録媒体を用い、下記の記録条件で基板を介して記
録し、その後記録位置を連続レーザー光で再生し、下記
の条件でC/Nを測定した。また反射率も測定した。そ
の結果を表4に示す。 記録条件: 線速 2.1m/sec 記録周波数 1.25MHz レーザー発振波長 680nm ピックアップレンズ N.A.0.5 再生条件: スキャニングフィルター 30KHz 再生パワー 0.25〜0.3mW
【0069】
【表4】
【0070】実施例19 深さ1000Å、半値幅0.45μm、トラックピッチ
1.6μmの案内溝を有する厚さ1.2mmの射出成形
ポリカーボネート基板上に、表2の化合物No.4の2
−エトキシエタノール/1,2−ジクロロエタン/TH
F[=8/1.5/0.5(重量比)]混合溶液をスピ
ナー塗布し、厚さ1800Åの記録層を設け、その上に
Auを1200Åの厚みで真空蒸着して反射層とし、更
にその上にアクリル系フォトポリマーをスピナー塗布
し、UV硬化処理して保護層を形成し、CD−R型の記
録媒体とした。
【0071】実施例20〜23 実施例19において、表2の化合物No.4の代わりに
それぞれ同表の化合物No.1、No.2、No.9、
No.21を用いたこと以外は、実施例19と同様にし
て実施例20〜23の記録媒体を得た。
【0072】比較例2 実施例19において、表2の化合物No.4の代わりに
比較例1で用いたフタロシアニンを使用したこと以外
は、実施例19と同様にして比較例2の記録媒体を得
た。
【0073】比較例3 実施例19において、表2の化合物No.4の代わりに
下記式(XII)の化合物を用いたこと以外は、実施例1
9と同様にして比較例3の記録媒体を得た。
【化18】
【0074】比較例4 比較例3において、上記式(XII)の化合物に対して1
0重量%の下記式(XIII)のニッケル錯体化合物を添加
した混合物を用いたこと以外は、比較例3と同様にして
比較例4の記録媒体を得た。
【化19】
【0075】実施例19〜23及び比較例2〜4の記録
媒体を用い、レーザー発振波長790nm、線速1.4
m/secの記録条件でEFM信号を記録し、記録前及
び光照射後の未記録部の反射率及び最適パワーでのC1
エラー数を測定した。その結果を表5に示す。
【0076】
【表5】
【0077】(評価)本発明の光情報記録媒体は、波長
630〜720nmに高い光吸収能、光反射性を有し、
630〜720nmの半導体レーザーを用いたピックア
ップに適用できるし、また波長770〜830nmに高
い屈折率を示し、且つ高い安定性を有するため、高反射
率で保存安定性及び再生安定性に優れたCD−R媒体を
提供できる。
【0078】
【発明の効果】請求項1のフタロニトリル化合物及び請
求項2のジイミノイソインドリン化合物は、それぞれ前
記一般式(I)及び一般式(II)で示される構造を有
することから、請求項3のフタロシアニン近赤外吸収材
料の中間体として有用なものとなる。
【0079】請求項3のフタロシアニン近赤外吸収材料
は、前記一般式(III)で示される構造を有すること
から、フタロシアニン化合物が本来有している熱、光等
に対する安定性を保持したまま、種々の有機溶媒に可溶
なものとなり、しかも高い赤外線吸収能を持っている。
その結果、溶剤塗工法による塗膜形成が可能となり、利
用形態が非常に拡大され、特に後記光記録媒体用として
有用なものとなる。
【0080】請求項4及び5の前記一般式(I)で示さ
れるフタロニトリル化合物の製造方法並びに請求項6の
前記一般式(III)で示される金属フタロシアニン化
合物の製造方法及び請求項7の前記一般式(III)で
示されるメタルフリーフタロシアニン化合物の製造方法
は、いずれも温和な条件で容易に目的物を得ることがで
きるので、いずれも工業的に極めて有利な製造方法とい
うことができる。
【0081】請求項8及び9の光情報記録媒体は、前記
一般式(III)で示されるフタロシアニン化合物を記
録層中に含有してなるものとしたことから、次のような
卓越した効果を奏する。 イ)波長630〜720nmに高い光吸収能と光反射性
を有しているため、高密度記録が可能な630〜720
nmの半導体レーザーを用いたピックアップに適応で
き、現状の770〜830nmの光記録媒体に比べ記録
密度で1.6〜1.7倍の高密度化が可能となる。 ロ)波長770〜830nmに高い屈折率を示し、且つ
高い安定性を有するため、高反射率で保存安定性及び再
生安定性に優れたCD−R用記録媒体が提供できる。
【0082】請求項10の光情報記録媒体は、前記一般
式(III)において、k=1=m=n=1又は2であ
り、置換位置が式中1又は/及び4であり、その他の置
換基は水素原子又はハロゲン原子であるフタロシアニン
化合物を記録層に含有してなるものとしたことから、吸
収波長の制御が容易になり、また会合の阻止能力が更に
向上し、膜の屈折率をより高め、反射率をより向上でき
るという効果が加わる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体に適用し得る層構成例を示す
図である。
【図2】本発明の記録媒体に適用し得る他のタイプの層
構成例を示す図である。
【図3】実施例1で得られたフタロニトリル化合物のI
Rスペクトル図である。
【図4】実施例2で得られたフタロニトリル化合物のI
Rスペクトル図である。
【図5】実施例6で得られたフタロシアニン化合物のI
Rスペクトル図である。
【図6】実施例7で得られたフタロシアニン化合物のI
Rスペクトル図である。
【図7】実施例8で得られたフタロシアニン化合物のI
Rスペクトル図である。
【図8】実施例9で得られたフタロシアニン化合物のI
Rスペクトル図である。
【図9】実施例12で得られた臭素化フタロシアニン化
合物のIRスペクトル図である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層(有機色素層) 3 下引き層 4 保護層 5 金属反射層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 323/62 9271−4C C07D 487/22 C07D 487/22 C09B 47/18 C09B 47/18 47/20 47/20 47/30 47/30 C09K 3/00 105 C09K 3/00 105 8721−5D G11B 7/24 516 G11B 7/24 516 7416−2H B41M 5/26 Y

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示されるフタロニト
    リル化合物。 【化1】 (式中、X1、R1及びyはそれぞれ以下のものを表わ
    す。 X1:酸素又は硫黄原子、 R1:置換されていてもよい又はメチレン基を介してX1
    と結合してもよいボルナン残基、ノルボルナン残基及び
    ノルボルネン残基から選ばれた1種の残基、 y:1又は2。)
  2. 【請求項2】 下記の一般式(II)で示されるジイミノ
    イソインドリン化合物。 【化2】 (式中、X1、R1及びyはそれぞれ以下のものを表わ
    す。 X1:酸素又は硫黄原子、 R1:置換されていてもよい又はメチレン基を介してX1
    と結合してもよいボルナン残基、ノルボルナン残基及び
    ノルボルネン残基から選ばれた1種の残基、 y:1又は2。)
  3. 【請求項3】 下記の一般式(III)で示されるフタロシ
    アニン近赤外吸収材料。 【化3】 〔式中、M、X1〜X4、R1〜R4及びk〜nは、それぞ
    れ以下のものを表わす。 M:2個の水素原子、ハロゲン原子若しくは酸素原子を
    有してもよい2価、3価若しくは4価の金属原子、 X1〜X4:それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子、 R1〜R4:それぞれ独立に置換されていてもよい又はメ
    チレン基を介してX1と結合してもよいボルナン残基、
    ノルボルナン残基及びノルボルネン残基から選ばれた1
    種の残基、 k、l、m、n:それぞれ独立に0〜4の整数、但し全
    部が同時に0になることはなく、k、l、m、nが3以
    下の場合ベンゼン環の他の置換基は水素原子又はハロゲ
    ン原子である。〕
  4. 【請求項4】 3−又は4−ニトロフタロニトリルを、
    有機溶媒中で水素化ナトリウムの存在下、前記ボルナン
    残基、ノルボルナン残基及びノルボルネン残基から選ば
    れた1種の残基を有するアルコール誘導体又は同メルカ
    プタン誘導体と反応させることを特徴とする前記一般式
    (I)で示されるフタロニトリル化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 3−若しくは4−ヒドロキシフタロニト
    リル又は2,3−ジシアノハイドロキノンを、有機溶媒
    中でアルカリの存在下、前記ボルナン残基、ノルボルナ
    ン残基及びノルボルネン残基から選ばれた1種の残基を
    有するハライドと反応させることを特徴とする前記一般
    式(I)で示されるオキシ基含有フタロニトリル化合物
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一般式(I)で示される少なくとも
    一種のフタロニトリル化合物又は前記一般式(II)で示
    される少なくとも一種のジイミノイソインドリン化合物
    と、金属又は金属誘導体とを、有機溶媒中で反応させる
    ことを特徴とする前記一般式(III)で示される金属フ
    タロシアニン化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記一般式(I)で示される少なくとも
    一種のフタロニトリル化合物又は前記一般式(II)で示
    される少なくとも一種のジイミノイソインドリン化合物
    に、有機溶媒中でリチウム又はナトリウムを作用させる
    ことを特徴とする前記一般式(III)においてMが2個
    の水素原子であるフタロシアニン化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 基板上に直接又は下引き層を介して記録
    層を設け、更に必要に応じて、その上に保護層を設けて
    なる光情報記録媒体において、前記記録層中に前記一般
    式(III)で示されるフタロシアニン化合物を含有して
    なることを特徴とする光情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記記録層と保護層との間に金属反射層
    を設けてなり、CDフォーマット信号の記録を行なう追
    記コンパクトディスク型の記録媒体であることを特徴と
    する請求項8に記載の光情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記一般式(III)において、k=l
    =m=n=1又は2であり、置換位置が式中1又は/及
    び4であり、その他の置換基は水素原子又はハロゲン原
    子である請求項8又は9に記載の光情報記録媒体。
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