JPH0821639A - 室内用蓄熱暖房装置およびこの装置を用いた部屋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 送風による不快感や局所的な暖かさの発生を
除くことができ、また、利用者を直ちに暖めることがで
きる、室内用蓄熱暖房装置およびこの装置を用いた部屋
を提供する。 【構成】 電力供給により発熱する板状ヒータ４０と、
板状ヒータ４０の一方の面側に取り付けられ、熱を遮断
する断熱材５０と、板状ヒータ４０の他方の面側に取り
付けられ、板状ヒータ４０からの熱を蓄積すると共に蓄
えた熱を徐々に放熱する蓄熱材３０と、蓄熱材３０に取
り付けられ、熱を均一にして伝えるアルミ板２０と、ア
ルミ板２０に取り付けられ、室内側に凹凸をもつと共に
アルミ板２０からの熱をこの凹凸から輻射する天井板１
０とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、室内用蓄熱暖房装置
およびこの装置を用いた浴室や乾燥室などの部屋に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】室内の壁や天井に取り付けられる暖房装
置は、一般的に、内部にヒータを備え、このヒータから
の熱で周囲の空気を暖める。通常、このような暖房装置
は、電気によりヒータを加熱するので、室内に取り付け
ても安全であり、また、取り扱いに便利である。

【０００３】一方、近年、住宅に快適性が求められ、こ
のような暖房装置を、居間の他にも浴室、キッチン、ト
イレなどの部屋に取り付ける場合がある。このような部
屋に暖房装置を取り付けると、寒いときでも、部屋の快
適な利用を可能にする。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、先に述べた
暖房装置は、ヒータにより暖めた空気を送風する。した
がって、この暖房装置は、空気の対流により暖房をする
ので、利用者に温風を送ることになる。この結果、送風
による不快感や、風が当たった部分だけが暖かくなる局
所的な暖かさによる不快感を利用者に対して与える。

【０００５】一方、このような暖房装置を浴室などの部
屋に取り付けた場合、対流により部屋を暖めるために、
利用者が室内に入り、しばらく時間が経過してから、室
内が暖まる。このために、利用者が部屋を使い初めると
きには、快適さが欠ける。

【０００６】この発明の目的は、このような欠点を除
き、送風による不快感や局所的な暖かさの発生を除くこ
とができ、また、利用者を直ちに暖めることができる、
室内用蓄熱暖房装置およびこの装置を用いた部屋を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】その目的を達成するた
め、請求項１の発明は、電力供給により発熱する電気ヒ
ータ部と、電気ヒータ部の一方の面側に取り付けられ、
熱を遮断する断熱部と、電気ヒータ部の他方の面側に取
り付けられ、電気ヒータ部からの熱を蓄積すると共に蓄
えた熱を徐々に放熱する熱蓄積部と、熱蓄積部に取り付
けられ、熱を均一にして伝える熱伝導部と、熱伝導部に
取り付けられ、室内側に凹凸をもつと共に熱伝導部から
の熱をこの凹凸から輻射する板部とを有する。

【０００８】請求項２の発明では、電気ヒータ部は、深
夜電力時間帯での電力供給により発熱する。

【０００９】請求項３の発明では、板部の凹凸の形状
が、三角形、円形および楕円形の少なくとも１つであ
る。

【００１０】請求項４の発明は、請求項１、２または３
に記載の室内用蓄熱暖房装置を、部屋の天井の少なくと
も一部と、壁の少なくとも一部との、少なくとも一方に
備える。

【００１１】請求項５の発明では、部屋が浴室である。

【００１２】請求項６の発明では、部屋が乾燥室であ
る。

【００１３】

【作用】請求項１の発明では、電気ヒータ部は、電力供
給により発熱する。断熱部は、電気ヒータ部からの熱を
遮断するので、この熱は、主に熱蓄積部に伝わり、熱蓄
積部は、この熱を蓄える。熱蓄積部は、蓄えた熱を徐々
に放熱し、熱伝導部は、この熱を均一にして、板部に伝
える。

【００１４】板部は、室内側に凹凸をもつ。これによ
り、板部の室内側の表面積が大きくなるので、熱伝導部
から伝わる熱を、多量にしかも均一に輻射することがで
きる。

【００１５】請求項２の発明では、電気ヒータ部の発熱
に深夜電力を利用するので、暖房費を低くできる。

【００１６】請求項３の発明により、凹凸の形状は、三
角形、円形および楕円形の少なくとも１つであればよ
い。これにより、板部が輻射する熱の方向や量などを変
えることができる。

【００１７】請求項４の発明では、室内用蓄熱暖房装置
を、部屋の天井の少なくとも一部に備えてもよく、壁の
少なくとも一部に備えてもよい。また、天井と壁の両方
に備えてもよい。これにより、部屋の利用者は、天井や
壁からの輻射熱により、室内に入ると直ちに暖まること
ができる。

【００１８】請求項５の発明では、室内用蓄熱暖房装置
を、浴室に取り付ける。これにより、室内用蓄熱暖房装
置からの輻射熱により、室内に入った利用者を直ちに暖
めることができる。また、室内が使用されていないとき
は、室内用蓄熱暖房装置からの輻射熱により、浴室内を
乾かし、浴室を清潔に保つことができる。

【００１９】請求項６の発明では、室内用蓄熱暖房装置
を、乾燥室に取り付ける。熱蓄積部は、蓄えた熱を徐々
に放熱するので、室内の例えば洗濯物は、長時間、室内
用蓄熱暖房装置からの熱を受ける。このときの熱は、輻
射熱であるので、室内を換気しても、洗濯物が受ける輻
射熱量が変わらない。これにより、洗濯物を速く乾かす
ことができる。

【００２０】

【実施例】次に、この発明の実施例を、図面を用いて説
明する。

【００２１】［実施例１］図１は、この発明に係る室内
用蓄熱暖房装置１の断面図である。室内用蓄熱暖房装置
１は、室内の壁や天井に取り付けられて用いられる。

【００２２】室内用蓄熱暖房装置１は、板部として天井
板１０と、熱伝導部としてアルミ板２０と、熱蓄積部と
して蓄熱材３０と、電気ヒータ部として板状ヒータ４０
と、断熱部として断熱材５０，６０とを備える。

【００２３】天井板１０は、図２に示すように、四角形
状の板部分１１と、この板部分１１の一方の板面１１Ａ
側に取り付けられている複数の三角柱１２とを備える。
天井板１０の板面１１Ａ側が、室内に向けて配置され
る。

【００２４】三角柱１２は、天井板１０に凹凸を形成
し、アルミ板２０から板部分１１に伝わった熱を、効率
よく室内に輻射する。つまり、三角柱１２を板部分１１
に取り付けることにより、板面１１Ａの面積に比べて、
複数の三角柱１２の表面積の方が大きくなる。これによ
り、天井板１０は、大きな表面積から多くの熱を輻射す
る。また、三角柱１２は、図３に示すように、その側面
１２Ａ，１２Ｂが、板面１１Ａに対して傾斜しているの
で、板面１１Ａの真下方向Ａに比べて、斜めの方向に多
くの熱１０１，１０２を輻射する。

【００２５】天井板として、図４に示すものがある。こ
の天井板は、図２の三角柱１２の代わりに、三角柱１２
の頂角αを大きくした三角柱１３を、板部分１１にそれ
ぞれ備える。この天井板は、図２に比べて、板面１１Ａ
の真下方向Ａに近い方向に、多くの熱１０３，１０４を
輻射する。

【００２６】天井板として、図５に示すものがある。こ
の天井板は、三角柱１２の代わりに、円柱の一部を切り
取った部分円柱１４、または、楕円柱の一部を切り取っ
た部分楕円柱（図示を省略）を、板部分１１にそれぞれ
備える。この場合には、板面１１Ａの真下方向Ａに熱１
０５を輻射すると共に、斜め方向にも、熱１０６，１０
７を輻射する。

【００２７】天井板として、図６に示すものがある。こ
の天井板は、楕円形の溝１５または円形の溝（図示を省
略）を、板部分１１の内部にそれぞれ備える。この天井
板は、三角柱や円柱などを不要にし、かつ、図５の天井
板と同じように、板面１１Ａの真下方向Ａに熱１０８を
輻射すると共に、斜め方向にも、熱１０９，１１０を輻
射する。

【００２８】図２の天井板１０の板面１１Ａと反対側の
板面１１Ｂには、この板面１１Ｂを覆うようにアルミ板
２０が取り付けられている。アルミ板２０は、良好の熱
伝導体であって、蓄熱材３０の放熱が不均一であって
も、天井板１０に対して、均一に熱を伝える。

【００２９】このアルミ板２０の代わりに、熱を良く伝
えるものであれば、熱伝導部として用いることが可能で
ある。

【００３０】蓄熱材３０は、板状ヒータ４０からの熱を
蓄え、蓄えた熱を徐々に放熱する。

【００３１】板状ヒータ４０は、折り曲げが自在な、フ
レキシブルナな電気ヒータであり、蓄熱材３０に密着し
て取り付けられる。これにより、板状ヒータ４０は、発
生した熱を効率よく蓄熱材３０に伝える。また、板状ヒ
ータ４０は、制御回路（図示を省略）により、昼間に比
べて電力が安い深夜電力時間帯に、電力の供給を受け
る。板状ヒータ４０は、この深夜電力により発熱する。

【００３２】断熱材５０は、発砲ポリウレタン（多孔質
断熱材の一種）などのような板状のものであり、板状ヒ
ータ４０と外部とを熱的に絶縁する。そして、板状ヒー
タ４０の熱が外部に逃げることを防ぐ。

【００３３】断熱材６０は、グラスウール（繊維質断熱
材の一種）などのようなものであり、断熱材５０の上に
載せられて用いられる。断熱材６０は、断熱材５０と共
に断熱効果をさらに高める。

【００３４】次に、室内用蓄熱暖房装置１の動作につい
て説明する。

【００３５】深夜電力時間帯になると、制御回路（図示
を省略）は、板状ヒータ４０に通電を開始する。これに
より、板状ヒータ４０が発熱して、熱が放射される。断
熱材５０，６０の断熱により、板状ヒータ４０からの熱
は、主に蓄熱材３０に蓄えられる。蓄熱材３０は、蓄え
た熱を徐々に放射する。蓄熱材３０から放射される熱
は、アルミ板２０により、均一に天井板１０に伝えられ
る。

【００３６】天井板１０の板部分１１は、アルミ板２０
からの熱を三角柱１２にそれぞれ伝える。天井板１０の
複数の三角柱１２により、板部分１１の板面１１Ａの表
面積が大きくなっているので、天井板１０は、大きな表
面積から多くの熱を輻射する。同時に、三角柱１２の側
面１２Ａ，１２Ｂが、板面１１Ａに対して傾斜している
ので、真下方向Ａに比べて、斜めの方向に多くの熱１０
１，１０２を輻射する。

【００３７】これにより、室内用蓄熱暖房装置１は、深
夜電力により発生した熱を蓄えて、徐々に放熱するの
で、暖房のコストを安くできる。かつ、三角柱１２の頂
角の開度により、板面１１Ａの真下方向Ａ以外にも熱を
放射することができる。つまり、天井板１０の凹凸の形
状を変えることにより、任意の方向に熱を輻射すること
ができ、また、輻射する熱量を変えることができる。

【００３８】なお、室内用蓄熱暖房装置１では、天井板
１０は、三角柱１２を備えたが、これに限定されない。
例えば、三角柱、円柱、楕円柱、図６の板部分１１など
を組み合わたものを、天井板１０が備えてもよい。

【００３９】さらに、室内用蓄熱暖房装置１では、断熱
部として、断熱材５０，６０を用いたが、断熱材５０だ
けを用いてもよい。

【００４０】［実施例２］図７は、この発明に係る浴室
の概略図である。この浴室は、実施例１の室内用蓄熱暖
房装置１を天井に備える。このとき、三角柱１２が室内
側に配置される。この浴室は、室内用蓄熱暖房装置１か
らの熱１０１，１０２を利用者２１０に輻射するので、
室内に入った利用者２１０を、直ちに寒さから守ること
ができる。さらに、浴室は、不使用時に熱１０１，１０
２を壁、バス、床などに輻射するので、室内に付着した
水滴を乾燥させて、湿気を除き、室内を清潔に保つこと
ができる。

【００４１】なお、実施例２では、浴室に室内用蓄熱暖
房装置１取り付けたが、これに限定されない。例えば、
人が利用する部屋として、洗面用の部屋や、トイレなど
に室内用蓄熱暖房装置１を取り付けてもよい。

【００４２】［実施例３］図８は、この発明に係る乾燥
室の概略図である。この乾燥室は、実施例１の室内用蓄
熱暖房装置１を天井に備える。このとき、実施例２の浴
室と同様に、三角柱１２が室内側に配置される。この乾
燥室は、室内用蓄熱暖房装置１からの熱１０１，１０２
を直接、吊し台２２０の洗濯物２３０などに当てるの
で、室内の空気を対流により温めて洗濯物２３０を乾燥
させる場合に比べて、エネルギーの無駄を省き、効率的
な乾燥を可能にする。同時に、この乾燥室は、輻射熱を
乾燥に利用するので、洗濯物２３０の乾燥中でも室内の
湿った空気１２０を換気して、洗濯物を速く乾燥でき
る。

【００４３】なお、実施例２，３では、部屋の天井に、
室内用蓄熱暖房装置１を取り付けたが、室内用蓄熱暖房
装置１の取り付け場所は、これに限定されない。例え
ば、部屋の壁に、室内用蓄熱暖房装置１を取り付けても
よい。

【００４４】

【発明の効果】以上、説明したように、請求項１の発明
は、熱蓄積部が蓄えた熱を、熱伝導部が均一にし、か
つ、凹凸により板部の表面積を大きくしているので、板
部の各部分から、同じような強さの多くの熱を輻射する
ことができる。

【００４５】請求項２の発明では、電気ヒータ部の発熱
に深夜電力を利用するので、暖房費を低くできる。

【００４６】請求項３の発明により、凹凸の形状を変え
ると、板部が輻射する熱の方向や量などを変えることが
できる。

【００４７】請求項４の発明では、請求項１の室内用蓄
熱暖房装置を、部屋の天井の少なくとも一部に備えても
よく、壁の少なくとも一部に備えてもよい。また、天井
と壁の両方に備えてもよい。これにより、部屋の利用者
は、天井や壁からの輻射熱により、室内に入ると直ちに
暖まることができる。

【００４８】請求項５の発明は、室内用蓄熱暖房装置か
らの輻射熱により、室内に入った浴室内の利用者を、直
ちに暖かくする。また、室内が使用されていないとき
は、室内用蓄熱暖房装置からの輻射熱により、浴室内を
乾かし、浴室を清潔に保つことができる。

【００４９】請求項６の発明は、室内用蓄熱暖房装置が
蓄えた熱を徐々に放熱するので、乾燥室内の例えば洗濯
物は、長時間室内用蓄熱暖房装置からの熱を受ける。こ
のときの熱は、輻射熱であるので、乾燥室内を換気して
も、洗濯物が受ける輻射熱量が変わらない。これによ
り、洗濯物を速く乾かすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る室内用蓄熱暖房装置の断面図で
ある。

【図２】天井板を示す図である。

【図３】天井板の凹凸を示す図である。

【図４】天井板の凹凸を示す図である。

【図５】天井板の凹凸を示す図である。

【図６】天井板の凹凸を示す図である。

【図７】この発明に係る浴室を示す断面図である。

【図８】この発明に係る乾燥室を示す断面図である。

【符号の説明】

１０ 天井板 ２０ アルミ板 ３０ 蓄熱材 ４０ 板状ヒータ ５０ 断熱材

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電力供給により発熱する電気ヒータ部
   と、 前記電気ヒータ部の一方の面側に取り付けられ、熱を遮
   断する断熱部と、 前記電気ヒータ部の他方の面側に取り付けられ、前記電
   気ヒータ部からの熱を蓄積すると共に蓄えた熱を徐々に
   放熱する熱蓄積部と、 前記熱蓄積部に取り付けられ、熱を均一にして伝える熱
   伝導部と、 前記熱伝導部に取り付けられ、室内側に凹凸をもつと共
   に前記熱伝導部からの熱をこの凹凸から輻射する板部と
   を有することを特徴とする室内用蓄熱暖房装置。
2. 【請求項２】 前記電気ヒータ部は、深夜電力時間帯で
   の電力供給により発熱することを特徴とする請求項１記
   載の室内用蓄熱暖房装置。
3. 【請求項３】 前記板部の凹凸の形状が、三角形、円形
   および楕円形の少なくとも１つであることを特徴とする
   請求項１または２記載の室内用蓄熱暖房装置。
4. 【請求項４】 請求項１、２または３に記載の室内用蓄
   熱暖房装置を、部屋の天井の少なくとも一部と、壁の少
   なくとも一部との、少なくとも一方に備える、室内用蓄
   熱暖房装置を用いた部屋。
5. 【請求項５】 前記部屋が浴室であることを特徴とする
   請求項４記載の、室内用蓄熱暖房装置を用いた部屋。
6. 【請求項６】 前記部屋が乾燥室であることを特徴とす
   る請求項４記載の、室内用蓄熱暖房装置を用いた部屋。