JPH08215913A

JPH08215913A - ガンドリル

Info

Publication number: JPH08215913A
Application number: JP8776595A
Authority: JP
Inventors: Tatsuo Murofushi; 達夫室伏
Original assignee: Toshiba Tungaloy Co Ltd
Current assignee: Tungaloy Corp
Priority date: 1995-02-17
Filing date: 1995-02-17
Publication date: 1996-08-27

Abstract

(57)【要約】【目的】鋼材に対しても高能率に穴明けができる２枚
刃のガンドリルを提供する。【構成】長軸に沿って直線状にフルート溝５の備わっ
たパイプ３の先端に、ねじれ角の一定なるねじれを伴っ
た超硬質工具材料を接合する。切れ刃体４にはそれぞれ
１対の切れ刃７と、クーラント穴８の開口９と、ねじれ
たフルート溝１０とを設けて、２枚刃のガンドリル１を
形成する。切れ刃体４のすくい面には、ねじれに沿って
切れ刃から延びるブレーカ溝１１を、少なくとも１溝配
設する。ブレーカ溝１１は、切れ刃７の内縁から外縁ま
での範囲内にあって、最も外縁にある場合でも、幅狭の
ランド１３が残るようにする。また、ブレーカ溝１１の
断面は、円弧状の滑らかな曲線形状が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、２枚刃のガンドリルに
関し、鋼材に対しても高能率な穴明けができる。

【０００２】

【従来の技術】被加工物に深穴を明けるために用いられ
るガンドリルは、通常、異形断面形状をしたパイプの先
端に、直刃を備えた超硬チップをろう付けして構成した
１枚刃形のガンドリルである。このガンドリルは、鋼材
のように特に切りくずの繋がりやすい被削材の穴明けを
行なう場合、切りくず詰りや、切りくずのパイプへの巻
き付きなどの問題が起きないように注意しながら使用す
る必要がある。この問題を解決するために、例えば、実
公昭６２−８０９号公報に記載された考案は、切れ刃チ
ップのすくい面に半円弧状の凹みを設けることによっ
て、切りくずを適当な長さに分断するようにしたもので
ある。

【０００３】一方、１枚刃形のガンドリルよりも高い切
削能率を得るべく開発されたのが２枚刃形のガンドリル
である。このガンドリルも通常は、８ノ字状の断面形状
を有するパイプの先端に、直刃を備えた超硬チップをろ
う付けしたものであって、鋳鉄，軽合金などの被加工物
に対して高送りによる加工を可能としたが、切削抵抗が
大きいために鋼材の穴明けには不適とされている。そこ
で、実開昭６４−１２７１５号公報には、超硬チップの
切れ刃より始まって、後端側のパイプにかけてねじれ角
（リード角）が漸次減少するようなねじれを持たせ、パ
イプ内でねじれ角が０となる２枚刃形のガンドリルが開
示されている。このように、先端切れ刃部をツイストド
リルに近似したガンドリルとすることにより切りくず排
出や切削抵抗が改善され、鋼材の穴明けにも適用できる
ようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ガンドリルのパイプ
は、１枚刃形用も２枚刃形用も、一般に引抜き加工され
たパイプに追加工を施して成形される。しかしながら、
上記の２枚刃形のガンドリルは、パイプ部分の一部にま
でねじれが備わっているために、引抜きによるパイプ部
材が利用できず、手間のかかる切削加工にて成形され
る。これは製作コストを押し上げる要因となる。また、
漸次減少するねじれ角は、切れ刃が摩耗して先端より再
研削した際に、ねじれ角が変わることによるすくい角の
変化や、クーラントの噴射穴の開口位置のズレを招き、
当初と同じ切削性能が維持されないという問題がある。

【０００５】本発明は、以上のような問題を解決したう
えで、上記１枚刃形のガンドリルの技術を応用し、その
結果、鋼材の穴明けにも好適する高能率ガンドリルを実
現したものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
実現するために、長軸に沿って直線状にフルート溝が備
わるパイプを使用し、その先端には、ねじれ角の一定な
るねじれを伴った超硬質工具材料を接合して切れ刃体を
形成したものである。そして、この切れ刃体の先端に、
軸心に対称に切れ刃と、クーラント穴の開口と、ねじれ
たフルート溝とをそれぞれ形成して２枚刃のガンドリル
とした上に、切れ刃体のすくい面に、ねじれに沿って切
れ刃から延びるブレーカ溝を、少なくとも１溝配設す
る。

【０００７】ブレーカ溝は、切れ刃の内縁から外縁まで
の範囲内にあって、最も外縁にある場合でも、幅狭のラ
ンドが残るようにする。また、ブレーカ溝の断面形状
は、円弧状の滑らかな曲線からなるようにするとよい。

【０００８】

【作用】直線状にフルート溝が備わったパイプ部材は、
引抜きパイプに若干の追加工をするだけでよいから、比
較的簡単に、低廉で得られる。一方、切れ刃体は、先端
切れ刃から基端部に亘って一定のねじれ角を有するフル
ート溝によって形成されているため、正角のすくい効果
により、穴あけ加工時における切削抵抗、とりわけスラ
スト力が低減されて、鋼材に対しても適用できる２枚刃
形のガンドリルが実現する。しかも、クーラント穴を一
定ねじれに沿ったスパイラル状にすることによって、摩
耗した切れ刃を再研削しても、クーラント噴射の開口位
置を常に一定に保つことができる。

【０００９】ねじれの効果により、切りくず排出の面で
も、ねじれのないものより改善が図られるが、切りくず
が繋がって延びようとする性質は変わらない。ガンドリ
ルにおいて切りくずは、ドリル後端部より連通するクー
ラント穴に供給された切削液が先端より噴射し、パイプ
と加工穴壁との間に形成されるフルート溝を伝って穴の
外方に戻る際に、切削液と一緒に強制的に押し戻されて
排出される。切りくずが、油圧や自重などによって自然
に分断されれば問題ないが、被削材料や切削条件によっ
ては長く繋がったままとなる。加工穴が深ければ深いほ
ど、トラブルが生じやすい。本発明におけるブレーカ溝
はこのようなトラブルを避けるためのものであって、溝
部での切りくず収縮作用を利用して、切りくずの分断を
図ったものである。

【００１０】

【実施例】次に、本発明の一実施例について、図を参照
しながら説明する。

【００１１】図１〜図３において、ガンドリル１は、ド
ライバー２，パイプ３，およびパイプ３にろう付け接合
された切れ刃体４によって構成されている。パイプ３
は、もともと円形断面を有するものであるが、途中より
先端まで塑性加工され、図４に示すような８ノ字状の断
面形状に成形される。その外側に形成された凹みがフル
ート溝５であって、長軸に沿って直線状に形成されてい
る。また、内部の空間がクーラント穴６となる。

【００１２】切れ刃体４には、１対の切れ刃７と、１対
のクーラント穴８およびその開口９と、１対のフルート
溝１０とが備わり、クーラント穴８とフルート溝１０と
は、一定のねじれ角でもってねじれている。切れ刃体４
とパイプ３とは、フルート溝５および１０、および、ク
ーラント穴６および８とが、それぞれ連接するように接
合される。加工しようとする穴の深さよりフルート溝の
長さが長ければ、開口９より噴射した切削液は、フルー
ト溝を伝ってガンドリル１の基端側に流れ出る際に、切
りくずを一緒に押し戻して穴の外に排出する。

【００１３】ねじれたクーラント穴８およびフルート溝
１０の備わる超硬質工具材料製の切れ刃体４は、押出し
成形により容易に得られる。また、クーラント溝５の備
わるパイプ３も容易に得ることができるので、ねじれ刃
をもつ２枚刃ガンドリルが低廉な製造コストで得られる
ようになる。

【００１４】切れ刃体４のすくい面上には、切れ刃７よ
りねじれに沿ってブレーカ溝１１が延びている。このブ
レーカ溝１１は、すくい面上の何処にあっても構わない
が、外周切れ刃１２の寿命低下を招かないために、最も
外縁にある場合でも、ランド１３が幅狭に残るように配
設されるのが好ましい。また、ブレーカ溝１１は必ずし
も対をなす必要はなく、切りくずの排出状況に応じて、
対をなす切れ刃７の一方の側にのみ設けたり、軸心に対
して非対称な位置にそれぞれ１溝づつ設けたり、大径の
ガンドリルでは例えば２溝対１溝の如く設けたりする。

【００１５】ブレーカ溝１１の断面形状は、円弧状の滑
らかな曲線によって形成されていることが好ましい。こ
のブレーカ溝１１が設けられたことにより、すくい面の
すくい角は一様にならず、ブレーカ溝１１のところで変
化する。具体的には、ブレーカ溝部でのすくい角が小さ
くなるために切りくずの剪断角が小さくなり、この部分
で切りくずは厚くなろうとする。周囲の薄い切りくずは
引張られ、全体に横幅が狭まり、丸まった切りくずに変
形しようとする。丸まった切りくずは、ある時点で穴の
内壁やフルート溝１０などに干渉して折れ曲るようにな
り、排出されやすい形状に分断される。また、丸まろう
とする切りくずは、すくい面との擦過長さを短くするの
で、切削抵抗も低減される。

【００１６】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、ねじれ
刃の効果とブレーカ溝の効果とによって、切削抵抗が低
く、切りくず排出の良好なる２枚刃のガンドリルが得ら
れる。この結果、鋼材の深穴加工に対しても高能率で穴
明けすることのできるガンドリルが提供できるようにな
る。しかもこのガンドリルは、本発明によれば、比較的
低廉な製造コストでもって得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す正面図である。

【図２】図１の先端部拡大図である。

【図３】図２の側面図である。

【図４】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【符号の説明】

１ガンドリル３パイプ４切れ刃体５，１０フルート溝６，８クーラント穴１１ブレーカ溝

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】長軸に沿って直線状にフルート溝５が備
わるパイプ３の先端には、ねじれ角の一定なるねじれを
伴った超硬質工具材料が接合されて切れ刃体４を形成
し、この切れ刃体４の先端には、切れ刃７と、クーラン
ト穴８の開口９と、ねじれたフルート溝１０とがそれぞ
れ軸心に対称に形成されてなる２枚刃のガンドリル１で
あって、前記切れ刃体４のすくい面には、ねじれに沿って切れ刃
７から延びるブレーカ溝１１が、少なくとも１溝配設さ
れていることを特徴とするガンドリル。
【請求項２】前記ブレーカ溝１１は、切れ刃７の内縁
から外縁までの範囲内にあって、最も外縁にある場合
は、幅狭のランド１３が形成されるように配設されてい
ることを特徴とする請求項１に記載のガンドリル。
【請求項３】前記ブレーカ溝１１は、その断面形状が
円弧状の滑らかな曲線によって形成されていることを特
徴とする請求項１に記載のガンドリル。