JPH08212827A - 導電性粉末、その製造方法、及びそれを含有してなる導電性ペースト - Google Patents

導電性粉末、その製造方法、及びそれを含有してなる導電性ペースト

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JPH08212827A
JPH08212827A JP5095823A JP9582393A JPH08212827A JP H08212827 A JPH08212827 A JP H08212827A JP 5095823 A JP5095823 A JP 5095823A JP 9582393 A JP9582393 A JP 9582393A JP H08212827 A JPH08212827 A JP H08212827A
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conductive
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water
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JP5095823A
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English (en)
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Yoshihiro Kobayashi
義浩 小林
Norimoto Nakanishi
紀元 中西
Shinroku Kawakado
眞六 川角
Michio Yamada
迪夫 山田
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KAWAKADO GIJUTSU KENKYUSHO KK
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
KAWAKADO GIJUTSU KENKYUSHO KK
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基板とその上に設けられた電極層とからなる
単位構造を持つ電子部品の製造において、コストの低減
と構造的欠陥の発生の抑制とを満足させる導電性微粉、
及びこのような導電性材料を含有してなる導電性ペース
トの提供。 【構成】 例えば、貴金属粉末、水溶性卑金属塩及び水
溶性ポリマーを含む水分散液と還元剤とを混合して卑金
属を貴金属粉末の粒子表面に還元析出せしめて製造され
る、貴金属粉末の粒子表面に卑金属被覆層が形成されて
いる導電性粉末、このような導電性粉末を導電性成分と
して含有する導電性ペースト、及びこのような導電性ペ
ーストを内部電極用材料として用いて作成した電子部
品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子部品産業における
新規な電極材料、すなわち、新規な導電性粉末、その製
法及びその利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、基板とその上に設けられた電
極層とからなる単位構造を持つ電子部品として各種のも
のが知られており、そのような電子部品の例として、コ
ンデンサ、サーミスタ、バリスタ、各種の抵抗器、CR
複合部品、IC基板、プリント配線板、圧電または電歪
アクチュエータなどを挙げることができる。
【0003】これらの電子部品の電極材料として最も一
般的に用いられているものは、銀、金、パラジウム、白
金などの貴金属あるいはそれらの合金である。これらの
貴金属は導電性が高く、電極材料として優れたものであ
るが、非常に高価であるために電子部品の製造コストの
低減に対して大きな障害になっている。また、貴金属粉
末を単独で用いた導電性ペーストをセラミックス製基板
上に塗布して同時焼成する際に、その貴金属とセラミッ
クスとの密着性(濡れ性)の悪さなどに起因する各種の
構造的欠陥(デラミネーションやクラック)が発生し、
そのようにして製造した例えばコンデンサの機械的特性
および耐久性が低くなり、製品の歩留まりを低下させる
という問題がある。
【0004】これらの理由から、電極用の材料として貴
金属の代わりに安価な卑金属を用いることにより貴金属
の使用量を低減させる方法、貴金属粉末と共に共材とな
るセラミックス粉末を数パーセント乃至十数パーセント
添加して導電性ペーストを調製する方法(特開昭55−
83216(特公昭63−23646)および同56−
162821)、セラミックス粉末を貴金属で被覆して
得た貴金属被覆粉末からなる導電性ペーストを用いる方
法(特開昭58−68918(特公平2−6206))
が検討されている。しかしながら、このような導電性ペ
ーストを調製する方法や導電性ペーストを用いる方法に
よれば、デラミネーションやクラックの発生を抑制し、
機械的強度および耐久性を高め、歩留まりを向上させる
ことが可能であるが、共材及び心材が絶縁体であるため
に、共材量及び心材量を増加させてデラミネーションや
クラックの発生の抑制作用を向上させればさせるほど、
電極としての品質が低下し、電子部品としての電気的特
性が悪化してしまうという問題が生じる。
【0005】また、電極用の材料として貴金属の代わり
に銅、ニッケルなどの卑金属を用いることは、例えば、
セラミックコンデンサ、IC基板などの製造において実
際に行われている。しかしながら、これらの卑金属を用
いる場合において、その基板への焼付け作業は、酸化防
止のため還元雰囲気下で実施する必要があり、その実施
には、雰囲気を制御した特殊な焼成炉が必要となり、多
大の投資を必要とするという問題がある。
【0006】さらにまた、本発明とは逆に銅等の卑金属
の粉末の粒子表面に金、銀等の貴金属の被覆層が形成さ
れた導電性材料も知られているが(特開昭56−150
101(特公昭61−22028))、このような導電
性材料はなお基板との密着性(濡れ性)の点において改
良を要する。
【0007】上記のような事情から、前記のような構造
を有する電子部品の製造において、コストの低減と構造
的欠陥の発生の抑制という双方を満足させる導電性微粉
末、ひいてはそのような微粉末を含有する導電性ペース
トは未だ知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の構造
を有する電子部品の製造において、焼成時のセラミック
ス製基板と電極との間のデラミネーションやクラックの
発生を抑制し、製品の機械的特性を向上させること、及
び、製品の電気的特性を低下させることなく貴金属の使
用量を低減できる導電性金属材料を提供し、そしてこの
ような材料を導電性成分として含有してなる導電性ペー
ストを提供することを主たる目的とする。
【0009】また、上のような導電性金属材料である、
セラミックスとの密着性(濡れ性)が良く、かつ導電性
をおとすことの無い導電性材料である卑金属被覆貴金属
粉末の優れた製法を提供すること、このような金属粉末
を導電性成分とする導電性ペーストを用いて製造される
前記の構造を有する電子部品を提供すること等をも目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意研究を行った結果、貴金属粉末の粒子表面
に卑金属被覆層を形成した金属粉末が電子部品の電極材
料として優れた性能を有すること、及び、従来の無電解
メッキ法に水溶性ポリマーを加えることにより、凝集の
ない目的の金属粉末を得ることの出来ることを見いだ
し、このような知見に基づき本発明を完成するに至っ
た。
【0011】すなわち、本発明は、貴金属粉末の粒子表
面に卑金属被覆層が形成されていることを特徴とする導
電性粉末、その製造方法、それを導電性成分として含有
する導電性ペースト、及びこのような導電性ペーストを
使用して製造された電子部品に関する。
【0012】以下、本発明を詳しく説明する。
【0013】本発明は第1に、上記のように、貴金属粉
末の粒子表面に卑金属被覆層が形成されていることを特
徴とする導電性粉末に関する。まず、これについて説明
する。
【0014】貴金属には、特別に制限はなく、通常、導
電性材料として用いられている金、白金、パラジウム、
銀等が挙げられる。このような貴金属の粉末の平均粒子
径に関しても特別の制限はなく、本発明の製造法によれ
ば、平均粒子径5μm 以下、特に平均粒子径1μm 以下
の貴金属微粉末を卑金属で高純度に被覆することができ
るので、貴金属粉末の平均粒子径としてはこのような数
値からを選ぶのが有利である。因みに、貴金属粉末はそ
の粒子径は、平均粒子径5μm 前後の場合は2〜10μ
m の範囲に分布したもの、そして平均粒子径1μm 前後
の場合は 0.5〜2μm の範囲に分布したものである。
【0015】本発明の製造法によれば、平均粒子径が0.
8 μm 以下、さらには平均粒子径0.5 μm 以下といった
貴金属微粉末粒子への均質な卑金属被覆を実現し得る
が、そのように貴金属粉末の粒子表面に被覆する卑金属
としては、銅、ニッケル、クロム、マンガン、タングス
テン、コバルト、亜鉛等が挙げられる。なお、卑金属被
覆における卑金属は、特に1種類に限定されるわけでは
なく、複合被覆、合金被覆等の複数種類の卑金属を併用
した被覆も本発明にいう卑金属被覆に含まれる。
【0016】本発明は第2に、貴金属粉末、水溶性卑金
属塩及び水溶性ポリマーを含む水分散液と還元剤とを混
合して卑金属を貴金属粉末の粒子表面に還元析出せしめ
ることを特徴とする本発明の導電性粉末の製造方法に関
する。
【0017】従来、貴金属表面に卑金属を被覆する方法
として、スパッタリング法、メカノケミカル法、無電解
メッキ法等が知られているが、スパッタリング法では、
小スケールでしかできないこと、装置が大がかりである
ことなどの問題があり、またメカノケミカル法、及び従
来の無電解メッキ法では、心材となる貴金属粉末の粒子
径が小さくなるにつれて凝集が生じる問題がある。しか
しながら、本発明の製造法によれば、安価で大量にかつ
前述のように、平均粒子径が0.8 μm 以下、さらには平
均粒子径が0.5 μm 以下といった貴金属の超微粒子への
均質な卑金属被覆が実現する。
【0018】本発明の卑金属被覆貴金属粉末の製造法
は、従来の無電解メッキ法を改良した方法ということが
出来る。貴金属粉末、水溶性卑金属塩及び水溶性ポリマ
ーを含む水分散液は、例えば次のようにして調製でき
る。すなわち、まず卑金属の塩を水に溶解して、その水
溶液を調製し、次いでこれに貴金属粉末を水溶性ポリマ
ーの水溶液に均一に分散させたものを加えて還元用水分
散液とする。また、貴金属粉末を水溶性ポリマーの水溶
液に均一に分散させた水分散液を先に調製し、これに水
溶性卑金属塩を直接溶解させる方法で還元用水分散液と
することもできる。
【0019】卑金属の塩としては、硝酸塩、硫酸塩、塩
化物等の無機塩類の他に、酢酸塩、ぎ酸塩等の有機塩類
やアンミン錯体等の錯化合物をあげることができる。ま
た、貴金属粉末の水分散液を調製するのに用いる水溶性
ポリマーとしては、貴金属微粉末の分散性の良い、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロースなどのような水溶性セルロース誘導
体、またはゼラチン、カゼインなどの水溶性天然物ポリ
マー、及びポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ンなどの水溶性合成高分子化合物が挙げられる。
【0020】還元に付すべき水分散液における水溶性卑
金属塩、水溶性ポリマー及び貴金属粉末の濃度は溶解度
と分散性を考慮して決めることができるが、通常、それ
ぞれ、1〜100 g/l、 0.1〜10 g/l及び1〜500
g/lが好ましい。
【0021】次いで、このようにして調製した貴金属粉
末、水溶性ポリマー及び卑金属塩の水分散液と還元剤と
を混合して卑金属を貴金属粉末の粒子表面に還元折出さ
せる。これは、具体的には例えば次のようにして行なう
ことができる。すなわち、水分散液を撹拌しながら、こ
れに還元剤を添加する。還元剤としては、ヒドラジン、
塩酸ヒドラジン、ぎ酸、ホルマリン、次亜リン酸などの
ような無電解メッキ法で利用される公知の還元剤を一般
的に用いることができる。還元剤は、通常水溶液として
上記の分散液に加える。また、上記の水分散液を還元剤
の水溶液に添加してもよい。還元剤の使用量は卑金属塩
量を考慮して決めることができる。
【0022】この水分散液と還元剤(還元剤水溶液)と
の混合により、貴金属粉末の粒子表面に卑金属被覆層が
形成される。
【0023】本発明の製造法によって卑金属被覆貴金属
粉末を得る場合、心部(核、またはコア)となる貴金属
部と被覆層(シェル)となる卑金属部との比率は、任意
に調節、選択することができ、通常、貴金属:卑金属を
5:95〜95:5(重量比)とすることは容易であ
る。特に貴金属:卑金属が50:50〜95:5(重量
比)のものが製造した粉末の分散性の見地から好まし
い。
【0024】次いで、上記の粒子表面に卑金属被覆層が
形成された貴金属粉末を還元反応液から例えば濾過によ
り分離したのち乾燥して目的の卑金属被覆貴金属粉末を
得る。
【0025】本発明の方法により製造される卑金属被覆
貴金属粉末(導電性粉末)は、貴金属相の露出が殆んど
なく、かつ純度の高い、すなわち貴金属成分の混在が少
ない卑金属被覆相を有する貴金属粉末である。このよう
な貴金属粉末とすることによりセラミックスとの密着性
が向上するというメリットが得られる。
【0026】本発明は第3に、本発明の製造法によって
得られる卑金属被覆貴金属粉末を導電性成分として含有
することを特徴とする導電性ペーストに関する。
【0027】このような導電性ペーストの調製には、特
別の制限はなく、従来の導電性粉末を用いた導電性ペー
ストの調製法に準じた方法により行うことが出来る。す
なわち、導電性粉末に適当な添加剤(例えば、ブチルフ
タリルグリコレート)、結合剤(例えば、エチルセルロ
ース、ポリビニルブチラール)、溶剤(例えば、テルピ
ネオール、ブタノール)などを添加混合して導電性ペー
ストの形態にする。この際、ペーストの無機物含有率
は、5%以上、特に好ましくは30%以上とする。
【0028】本発明は第4に、本発明の導電性ペースト
をセラミックス製基板上に塗布して同時焼成して作成さ
れたことを特徴とする基板とその上に設けられた電極層
とからなる単位構造を持つ電子部品に関する。
【0029】このような電子部品の作成にも、導電性ペ
ーストとして本発明の導電性ペーストを使用することを
除いては、特別の制限はない。すなわち、このような導
電性ペーストを使用してセラミックス製基板への電極の
形成は、例えばスクリーン印刷などの方法でセラミック
ス製基板に導電性ペーストを塗布したのち、焼成炉内で
焼成するなどの方法により実施することが出来る。
【0030】
【作用】貴金属粉末に卑金属材料を被覆した導電性粉末
を含有する導電性ペーストを一体焼成タイプの積層型圧
電アクチュエータの内部電極材料として用いた場合を例
として説明する。積層型圧電アクチュエータの内部電極
材料として用いた場合、貴金属粉末を単独で用いるもの
とは異なって、卑金属被覆貴金属粉末は表面に卑金属材
料を被覆してあるので、焼結過程において、卑金属が酸
化し圧電セラミックスと導電性ペーストとの密着性(濡
れ性)がよくなり、電極層を薄層化していっても電極切
れを起こさず、電極の電気的特性を低下させることな
く、貴金属粉末の使用量を低減できる。また、高温で酸
化した卑金属被覆層が接着剤的な役割を果たすために、
圧電セラミックス層と内部電極層との接着強度が向上す
ることによりデラミネーションやクラックの発生を抑制
し、機械的特性および耐久性が高くなり、製品の歩留ま
りが向上する。
【0031】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明の内容を詳細に
説明する。なお、以下の実施例は本発明の範囲を限定す
るものではなく、本発明の特徴をより明確に例示するた
めのものである。
【0032】実施例1 (ニッケル被覆パラジウム微粉
末の調製) 5.0gのパラジウム微粉末(粒子径分布 0.3〜0.5 μm 、
平均粒子径0.4 μm 、比表面積1.6 m2 /g)をヒドロキ
シエチルセルロース水溶液(100ml の水に0.1g溶解した
もの)に均一に充分に分散させ、懸濁させた。この分散
液に、2.25g の塩化ニッケル(NiCl2 ・6H2 O )と4.05
g の酢酸カルシウム(Ca(OAc) ・2H2 O、キレート剤で
あり、錯体を形成してニッケルイオンを浴中で安定化す
る)を水100ml に溶解した水溶液(金属ニッケルに換算
して0.55g/100ml の濃度の水溶液)を添加して、ニッケ
ル塩の水溶液にパラジウム微粉末が分散された水分散液
を調製した。この分散液を室温にて撹拌しながら、これ
に抱水ヒドラジン水溶液(80%抱水ヒドラジンを6ml 含
有)をゆっくりと添加した。この抱水ヒドラジン水溶液
の添加により、灰色のニッケル被覆層を有するパラジウ
ム微粉末が生成した。これを濾別し、水洗し、ついで乾
燥して乾燥微粉末を5.5g得た。
【0033】この乾燥微粉末を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、凝集がほとんど見られない均質な粉末であ
ることが確認された。なお、この被覆粉末は、90重量%
のパラジウムと10重量%のニッケルからなっていた(原
子吸光法により測定)。
【0034】実施例2 (銅被覆パラジウム微粉末の調
製) 実施例1におけると全く同様にして、5.0gのパラジウム
微粉末(粒子径分布 0.3〜0.5 μm 、平均粒子径0.4 μ
m 、比表面積1.6 m2 /g))をヒドロキシエチルセルロ
ース水溶液(100ml の水に0.1g溶解したもの)に均一に
充分に分散させ、懸濁させた。この分散液に、2.18g の
硫酸銅(CuSO4 ・5H2 O )と4.86g のエチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム(EDTA2Na ・2H2 O 、キレート剤)
を水100ml に溶解した水溶液(金属銅に換算して0.55g/
100ml の濃度の水溶液)を添加して、銅塩の水溶液にパ
ラジウム微粉末が分散された水分散液を調製した。この
分散液を40℃にて撹拌しながら、これにぎ酸を6.6ml ゆ
っくりと添加した。このぎ酸の添加により、褐色の銅被
覆層を有するパラジウム微粉末が生成した。これを濾別
し、水洗し、ついで乾燥して乾燥微粉末を5.5g得た。
【0035】この乾燥微粉末を実施例1におけると同じ
く、走査型電子顕微鏡で観察したところ、凝集がほとん
ど見られない均質な粉末であることが確認された。な
お、この被覆粉末は、90重量%のパラジウムと10重量%
の銅からなっていた。
【0036】比較例1 (銅被覆パラジウム微粉末の調
製) ヒドロキシエチルセルロース水溶液を水に替えた以外は
実施例2におけると全く同様にして乾燥微粉末を5.5g得
た。
【0037】この乾燥微粉末を実施例1におけると同じ
く、走査型電子顕微鏡で観察したところ、パラジウム粉
末は多量の銅金属微粉末および多量の銅被覆パラジウム
粉末の凝集体を含む粉末であることが確認された。な
お、この銅金属粉末と凝集体を含む粉末は、全体として
90重量%のパラジウムと10重量%の銅からなっていた。
【0038】比較例2 (パラジウム被覆銅粉末) 1.0gの銅微粉末(粒子径分布0.2〜1.0μm 、
平均粒子径0.5μm、比表面積8m2 /g)と1.0
mlのテトラクロロパラジウム酸アンモニウム水溶液
(金属パラジウムに換算して1g/100mlの濃度の
水溶液)とを純水100mlに添加して、テトラクロロ
パラジウム酸アンモニウム水溶液に銅微粉末が分散され
た一次分散液を室温にて撹拌しながら、これに0.4m
lの抱水ヒドラジン水溶液(100%抱水ヒドラジン1
mlを100mlの純水で希釈したもの)を添加した。
この銅微粉末を取り出して乾燥させたのち、これをヒド
ロキシエチルセルロース水溶液(0.1g/100m
l)に均一に分散させた。この分散液に、テトラアンミ
ンパラジウム酸クロライド水溶液(金属パラジウムに換
算して9g含有)を添加して、二次分散液を調製した。
ついで、二次分散液を撹拌しながら、これに室温にて、
抱水ヒドラジン水溶液(100%抱水ヒドラジン2.7
ml含有)をゆっくりと添加した。この抱水ヒドラジン
水溶液の添加により黒灰色の被覆層を有する銅微粉末が
得られた。これを濾別し、水洗し、ついで乾燥して乾燥
微粉末を10g得た。
【0039】この乾燥微粉末を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、凝集がほとんど見られない均質な粉末であ
ることが確認された。なお、この被覆粉末は、90重量
%の金属パラジウムと10重量%の銅からなっていた。
【0040】比較例3(パラジウム被覆ニッケル粉末) 1.0gのニッケル微粉末(粒子径分布0.2〜1.0
μm 、平均粒子径0.5μm、比表面積7.9m2
g)と1.0mlのテトラクロロパラジウム酸アンモニ
ウム水溶液(金属パラジウムに換算して1g/100m
lの濃度の水溶液)とを純水100mlに添加して、テ
トラクロロパラジウム酸アンモニウム水溶液にニッケル
微粉末が分散された一次分散液を室温にて撹拌しなが
ら、これに0.4mlの抱水ヒドラジン水溶液(100
%抱水ヒドラジン1mlを100mlの純水で希釈した
もの)を添加した。この銅微粉末を取り出して乾燥させ
たのち、これをヒドロキシエチルセルロース水溶液
(0.1g/100ml)均一に分散させた。この分散
液に、テトラアンミンパラジウム酸クロライド水溶液
(金属パラジウムに換算して9g含有)を添加して、二
次分散液を調製した。ついで、二次分散液を撹拌しなが
ら、これに室温にて、抱水ヒドラジン水溶液(100%
抱水ヒドラジン2.7ml含有)をゆっくりと添加し
た。この抱水ヒドラジン水溶液の添加により黒灰色の被
覆層を有するニッケル微粉末が得られた。これを濾別
し、水洗し、ついで乾燥して乾燥微粉末を10g得た。
【0041】この乾燥微粉末を走査型電子顕微鏡で観察
したところ、凝集がほとんど見られない均質な粉末であ
ることが確認された。なお、この被覆粉末は、90重量
%の金属パラジウムと10重量%のニッケルからなって
いた。
【0042】実施例3 (ニッケル被覆白金微粉末の調
製) 5.0gの白金微粉末(粒子径分布 0.3〜0.7 μm 、平均粒
子径0.5 μm 、比表面積0.8 m2 /g)をヒドロキシプロ
ピルセルロース水溶液(100ml の水に0.1g溶解したも
の)に均一に充分に分散させ、懸濁させた。この分散液
に、5.1gの塩化ニッケル(NiCl2 ・6H2 O )と8.1gの酢
酸カルシウム(Ca(OAc) ・2H2 O )を水100ml に溶解し
た水溶液(金属ニッケルに換算して1.25g/100ml の濃度
の水溶液)を添加して、ニッケル塩の水溶液に白金微粉
末が分散された水分散液を調製した。この分散液を室温
にて撹拌しながら、これに抱水ヒドラジン水溶液(80%
抱水ヒドラジンを12ml含有)をゆっくりと添加した。こ
の抱水ヒドラジン水溶液の添加により、灰色のニッケル
被覆層を有する白金微粉末が生成した。これを濾別し、
水洗し、ついで乾燥して乾燥微粉末を6.25g 得た。
【0043】この乾燥微粉末を実施例1におけると同じ
く、走査型電子顕微鏡で観察したところ、凝集がほとん
ど見られない均質な粉末であることが確認された。な
お、この被覆粉末は、80重量%の白金と20重量%のニッ
ケルからなっていた。
【0044】実施例4 (コバルト被覆白金微粉末の調
製) 5.0gの白金微粉末(粒子径分布 0.3〜0.7 μm 、平均粒
子径0.5 μm 、比表面積0.8 m2 /g)をメチルセルロー
ス水溶液(100ml の水に0.1g溶解したもの)に均一に充
分に分散させ、懸濁させた。この分散液に、3.56g の塩
化コバルト(CoCl2 ・6H2 O )と4.86g の酒石酸ナトリ
ウム二水和物( C4 H4 Na2 O6 ・2H2O 、キレート
剤)を水100ml に溶解した水溶液(金属コバルトに換算
して0.88g/100ml の濃度の水溶液)を添加して、コバル
ト塩の水溶液に白金微粉末が分散された水分散液を調製
した。この分散液を80℃にて撹拌しながら、これに抱水
ヒドラジン水溶液(80% 抱水ヒドラジンを9ml 含有)ゆ
っくりと添加した。この抱水ヒドラジン水溶液の添加に
より、灰色のコバルト被覆層を有する白金微粉末が生成
した。これを濾別し、水洗し、ついで乾燥して乾燥微粉
末を5.88g 得た。
【0045】この乾燥微粉末を実施例1におけると同じ
く、走査型電子顕微鏡で観察したところ、凝集がほとん
ど見られない均質な粉末であることが確認された。な
お、この被覆粉末は、85重量%の白金と15重量%のコバ
ルトからなっていた。
【0046】実施例5 (検査例1) 実施例2で得られた銅被覆パラジウム微粉末100 重量
部、エチルセルロース5重量部、及びテルピネオール75
重量部を3 本ロールを用いて混練し、導電性ペーストを
得た。また、比較のために、比較例1で得られた銅金属
微粉末と凝集体を含む粉末(対照1)、パラジウム被覆
銅粉末(対照2)、及び、パラジウム金属粉末(対照
3)をそれぞれ導電性成分として用い、同様にして導電
性ペーストを得た。
【0047】得られた4種類の導電性ペーストをそれぞ
れスクリーン印刷により、チタン酸バリウムグリーンシ
ート(未焼成基板)の上に印刷し、200 ℃で10分間乾燥
後、1300℃で1 時間焼成した。500 ℃までの脱脂過程に
は充分に時間をかけ、脱脂終了後の昇温は200 ℃/ 時で
行った。
【0048】このようにして作成した電極の、組成、AD
VANTEST 社製デジタルマルチメーターによって測定した
電気特性(抵抗値)及び外観(目視観察)を第1表に示
す。
【0049】
【表1】
【0050】実施例6 (検査例2) 実施例2で得られた銅被覆パラジウム微粉末の代わりに
実施例1で得られたニッケル被覆パラジウム微粉末100
重量部を使用した以外は実施例5におけると全く同様に
して、導電性ペーストを得た。また、比較のために、パ
ラジウム被覆ニッケル粉末(対照1)及びパラジウム金
属粉末(対照2)をそれぞれ導電性成分として用い、同
様にして導電性ペーストを得た。
【0051】得られた3種類の導電性ペーストについ
て、実施例5におけると同様にして評価を行った。結果
を第2表に示す。
【0052】
【表2】
【0053】実施例7 (アクチュエータの作成) 実施例5におけると同様にして調製した4種類の導電性
ペーストをそれぞれチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)グ
リーンシート上にスクリーン印刷し、積層して1150℃で
同時焼成して積層圧電アクチュエータ(10層)を製造
した。
【0054】得られたアクチュエータの内部電極の組
成、並びに表面及び断面の観察による内部電極の膜厚及
びデラミネーションの発生状況を第3表に示す。なお、
デラミネーションの発生状況は、製品アクチュエータ10
0 個当りの、デラミネーションの発生したアクチュエー
タの数で示す。
【0055】
【表3】
【0056】実施例8 (アクチュエータの作成) 実施例2で得られた銅被覆パラジウム粉末を導電性成分
として含む導電性ペーストを用いて同時焼成法により積
層型圧電アクチュエータ(50層、電極間隔200μm
(焼成後))を製造した。製品の、破壊応力 10MN
/m2 における3点曲げ試験での非破壊確率は100%
(サンプル数10個)であった。
【0057】比較のために、比較例2で得られたパラジ
ウム被覆銅粉末を導電性成分として含む導電性ペースト
を用い、同じく同時焼成法により積層型圧電アクチュエ
ータ(50層、電極間隔200μm(焼成後))を製造
した。製品の、破壊応力 10MN/m2 における3点
曲げ試験での非破壊確率は50%(サンプル数10個)
であった。
【0058】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、凝集体の生
成を高度に抑制した卑金属被覆貴金属粉末を、しかも平
均粒子径5μm 以下、更には1μm 以下の貴金属微粉末
の粒子表面を卑金属で被覆して、貴金属層の露出がほと
んどなく、かつ純度の高い、すなわち貴金属成分の混在
が少ない卑金属被覆層を形成したものを製造することが
できる。さらに、このようにして製造した卑金属被覆貴
金属粉末を導電成分として含む導電性ペーストを用いる
ことによって、貴金属粉末単独よりもはるかに密着性の
強い、単なる同組成の卑金属粉末と貴金属粉末の混合粉
末を用いるよりも、はるかに良好な導電性を示す導電性
ペーストを得ることが出来た。また、卑金属被覆貴金属
粉末を用いることにより、セラミックス製基板上に設け
られた電極層からなる電子部品の電極の電気的特性を低
下させることなく、金属の使用量を低減でき、かつ耐久
性および機械的特性を高め、製品の歩留まりを向上させ
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川角 眞六 神奈川県鎌倉市稲村が崎5丁目7番17号 (72)発明者 山田 迪夫 千葉県松戸市根木内353−48

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貴金属粉末の粒子表面に卑金属被覆層が
    形成されていることを特徴とする導電性粉末。
  2. 【請求項2】 貴金属粉末、水溶性卑金属塩及び水溶性
    ポリマーを含む水分散液と還元剤とを混合して卑金属を
    貴金属粉末の粒子表面に還元析出せしめることを特徴と
    する請求項1記載の導電性粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 導電性成分が請求項1記載の導電性粉末
    であることを特徴とする導電性ペースト。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の導電性ペーストをセラミ
    ックス製基板上に塗布して同時焼成して作成されたこと
    を特徴とする基板とその上に設けられた電極層とからな
    る単位構造を持つ電子部品。
JP5095823A 1993-04-22 1993-04-22 導電性粉末、その製造方法、及びそれを含有してなる導電性ペースト Withdrawn JPH08212827A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002334614A (ja) * 2001-05-07 2002-11-22 Kawakado Kimiko 導電性粒子
US8075949B2 (en) 2004-09-29 2011-12-13 Tdk Corporation Method of production of a conductive particle, conductive paste, and method of production of electronic device
JP2012142541A (ja) * 2010-12-30 2012-07-26 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 積層セラミック電子部品の内部電極用ナノ複合粉末及びその製造方法
JP2017179412A (ja) * 2016-03-28 2017-10-05 国立大学法人 名古屋工業大学 Pt−Zn−Ni系コアシェル粒子

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US8075949B2 (en) 2004-09-29 2011-12-13 Tdk Corporation Method of production of a conductive particle, conductive paste, and method of production of electronic device
JP2012142541A (ja) * 2010-12-30 2012-07-26 Samsung Electro-Mechanics Co Ltd 積層セラミック電子部品の内部電極用ナノ複合粉末及びその製造方法
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