JPH08211399A - 液晶表示パネル用フィルム透明電極の製造方法 - Google Patents

液晶表示パネル用フィルム透明電極の製造方法

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JPH08211399A
JPH08211399A JP2049095A JP2049095A JPH08211399A JP H08211399 A JPH08211399 A JP H08211399A JP 2049095 A JP2049095 A JP 2049095A JP 2049095 A JP2049095 A JP 2049095A JP H08211399 A JPH08211399 A JP H08211399A
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film
sputtering
ito
liquid crystal
thin film
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JP2049095A
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Toshiaki Yatabe
俊明 谷田部
Hisashi Jo
尚志 城
Kazuhito Morisada
和仁 森貞
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ITOの透明導電性薄膜を、フィルム基板上に
スパッタリングにより形成することで、液晶表示パネル
用のフィルム透明電極を製造する際の、膜特性向上およ
び生産性向上。 【構成】フィルム基板を連続的に走行させる機構を有す
るスパッタリング装置を使用し、スパッタリングターゲ
ットとしてのITOターゲットに接続した直流電源から
直流電力を供給して、膜厚が10〜160nmあるいは
表面抵抗値が10〜500Ω/□であるITO薄膜を、
膜厚分布が±10%以内、かつ表面抵抗値分布が±15
%以内、さらに可視光線透過率分布が±3%以内の特性
を有するように、ITO薄膜とフィルム基板を対象に、
可視光線透過率と抵抗値をモニターして、スパッタリン
グガス流量あるいはスパッタリングガス中の酸素濃度の
いずれかを制御しながらスパッタリングを継続させて、
ITO薄膜を連続的に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ITO(すなわちイン
ジウム−スズ酸化物)の透明導電性薄膜を、フィルム基
板上にスパッタリングにより形成することで、液晶表示
パネル用のフィルム透明電極を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示素子は、より薄葉化、よ
り軽量化、より大型化、任意の形状化、曲面表示対応等
の高度な要求がある。特にポケベルや携帯電話や電子手
帳及びペン入力機器等の身につけて携帯するいわゆる個
人情報端末機器の利用の拡大につれて、従来のガラス基
板に替わってプラスチックを基板とする液晶表示パネル
が検討され、一部で実用化されはじめた。こうしたプラ
スチック基板は、ガラス基板に比較して軽量化・薄葉化
の要望を満たし、液晶表示パネルの視認性向上を果たし
てくれる。また、プラスチック基板の中でも、シート形
状のリジットな基板でなくフレキシビリティに優れるフ
ィルム状の基板は本用途に好適に用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のプラスチック基
板は光学特性と透明導電性の点においては、ガラス基板
に劣っていた。特に光学特性においては、ガラス基板は
本質的に光学等方的であるのに対し、プラスチック基板
はその保有する複屈折に起因するリターデイションが表
示品位を著しく損なうという課題を有していた。近年、
フィルム製膜技術の向上と基材成形技術の向上によりS
TN表示基板においてもガラス基板と遜色無いレベルの
表示が可能な液晶表示パネルがプラスチック基板におい
ても可能となってきた。
【0004】一方、透明導電性については、ガラス基板
の場合200℃近くの基板温度をかけて製膜するため
に、透明性・導電性供にITO薄膜として最高特性のも
のが得られている。しかるに、プラスチック基板の場合
にはガラス基板対比の耐熱性が低いことから十分な特性
の透明導電性薄膜が得られているとは言えなかった。シ
ート形状のリジットな基板の場合には更に、熱膨張・吸
湿膨張などに起因する基板の反り等も課題となってい
た。
【0005】フレキシブルなフィルムを基板として用い
た場合には、反りなどの矯正は比較的簡単であるが、広
幅で連続的にスパッタリングなどの方法を用いて製膜さ
れる場合に、長さ方向と幅方向で均一に良好な特性の透
明導電性薄膜の形成が困難であった。
【0006】本発明はこうした課題を解決して、液晶表
示パネル用フィルム基板として十分な特性を有する透明
導電性薄膜を、経済的な観点から、具体的には大面積で
均一性に優れた光学特性、機械特性、電気特性及び信頼
性を有する液晶表示パネル用透明電極基板として、ガラ
ス基板対比十分なコスト競争力のある方法手段で実現す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示パネル
用フィルム透明電極は、ITO(すなわちインジウム−
スズ酸化物)の透明導電性薄膜を、フィルム基板上にス
パッタリングにより形成することで、液晶表示パネル用
のフィルム透明電極を製造する方法において、フィルム
基板を連続的に走行させる機構を有するスパッタリング
装置を使用し、スパッタリングターゲットとしてのIT
Oターゲットに接続した直流電源から直流電力を供給し
て、膜厚が10〜160nmあるいは表面抵抗値が10
〜500Ω/□であるITO薄膜を、膜厚分布が±10
%以内、かつ表面抵抗値分布が±15%以内、さらに可
視光線透過率分布が±3%以内の特性を有するように、
ITO薄膜とフィルム基板を対象に、可視光線透過率と
抵抗値をモニターして、スパッタリングガス流量あるい
はスパッタリングガス中の酸素濃度のいずれかを制御し
ながらスパッタリングを継続させて、ITO薄膜を連続
的に形成することを特徴としている。
【0008】すなわち、広幅で連続的にフィルム上にI
TOによる透明導電性薄膜を形成する際に、薄膜の特性
である可視光線透過率と導電性を直接モニターしプロセ
スにフィードバックをかけることによりかかる特性の均
一性に優れた液晶表示パネル用フィルム透明電極を工業
的に得ることが可能となる。
【0009】ここで液晶表示パネル用としてのフィルム
基板に用いられるフィルムの材料としては、厚さが70
〜300μm程度の光学等方性を有するポリマーフィル
ムが用いられる。これらのポリマーフィルムの例として
は、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルフォ
ンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエステルカ
ーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム及びアモ
ルファスポリオレフィンフィルム等が好適に用いられ
る。
【0010】そしてこれらのフィムの光学特性として
は、リターデイション値が可視光線590nmの測定値
として20nm以下であることが好ましく、かかる特性
を有するべく溶融押出し法あるいは溶液製膜法で製膜さ
れたフィルムであることが好ましい。しかるに、かかる
フィルムは基本的に非晶質の特性を有し液晶表示パネル
用フィルム基板として要求される、酸素バリアー性や水
分バリアー性を保有していない。これらの要求特性を満
たすために、かかるフィルム上にコーティング法や蒸着
あるいはスパッタリング法でバリアー性を付与する機能
を有する層を積層し、また液晶パネル製造プロセスで使
用される各種薬品や各種溶剤に耐えるハードコート層な
ども積層して使用される。
【0011】こうした液晶表示パネル用としてのフィル
ム基板には、ガラス基板にみられるように液晶の配向を
阻害しないような表面平滑性が求められる。このため
に、最外層の表面平滑性はRa値として200nm以下
の平坦性が要求され、この結果としてフィルムのハンド
リング、特に連続走行させる時に各種の工夫が必要とな
る。
【0012】しかしながら平滑性の高いフィルムは一般
的に滑り性が非常に悪く、またフィルム同士の貼り付き
によるブロッキング等の障害を起こしやすい。これらは
大気中ではもちろんのこと、フィルム間及びフィルムと
ロールの接触する界面に空気の介在がなくなる真空中で
は更に大きな課題となる。これらの課題を解決する方策
として、フィルム基板のITO薄膜を形成する側とは反
対側の面に、弱粘着性を有するマスキングフィルムを貼
りつけて、フィルムの背面に滑り性を付与することが好
ましい。
【0013】こうしたマスキングフィルムの材料として
は、弱粘着加工されたポリオレフィンフィルム、エチレ
ンビニールアセテート共重合体フィルムあるいはポリエ
ステルフィルムなどから選択して用いることができる。
【0014】かかるマスキングフィルムは、スパッタリ
ング中にフィルム基板ごとITOプロセス制御のための
可視光線透過率を測定するために、できるだけ透明性に
優れたものが好ましいが、選択の基準として可視光線で
のヘイズ値が5%以下であることが好ましい。また、か
かるマスキングフィルムの剥離力は軽いことが好まし
く、例えば50g/cm以下であること、及び弱粘着材
の層から液晶パネル製造プロセスで害のあるアルカリ金
属イオンや有害な有機添加物を含んでいないことが好ま
しい。
【0015】また、マスキングフィルムを貼りつけたま
ま真空プロセスにかかるフィルム基板を投入するため
に、気泡などの巻き込みがあると、真空中で大きく膨ら
みスパッタリングプロセスの障害となるため、フィルム
基板とマスキングフィルムは均一な圧力で気泡などの巻
き込みができないように貼り合わせておくことが好まし
い。
【0016】なお、得られる透明導電性薄膜の特性は、
スパッタリングの条件設定とITOターゲットの材質に
よってほぼ決定されてしまう。ITOターゲットとして
は種々のインジウム−スズ酸化物の混合比率の材料が市
販されているが、材料の安定性の観点からはスズが5〜
15mol%インジウムに混合されたインジウム−スズ
酸化物をターゲットとして用いることが好ましい。スズ
の量を増加させると、透明導電性薄膜の安定性つまり環
境安定性は増加するが可視光線透過率は低下する傾向が
見られる。また、スズの増加にともなって耐エッチング
性も向上する。これらの観点から、可視光線透過率を良
好にする場合にはスズが5mol%含有される材料を、
また耐環境性を良好にする場合にはスズが10mol%
含有される材料をターゲットとして用いることが好まし
い。
【0017】またITOターゲットとした場合にはその
ターゲットの充填度、つまりITOの真の密度を1立方
cm当たり7.15gとした場合に対する、相対密度の
比(充填度(%)=相対密度/真の密度×100)が、
得られるITO透明導電薄膜の特性とスッパタリングの
効率に影響を与える。充填度は高い方が、単位時間当り
のスパッタリング速度は向上し、かつ特性の安定したI
TO透明導電薄膜を得ることが可能となるが、反面ター
ゲットの欠け等による異常放電の発生等の頻度の高まり
と、ターゲット価格の高価格化という経済的なデメリッ
トを有している。これらの観点から少なくともターゲッ
トの充填度は85%以上が好ましく用いられる。そして
さらに安定性の観点と信頼性の点では90%以上の充填
度が特に好ましく、93%以上であればさらにより好ま
しく用いることができる。そして充填度の高いITOタ
ーゲットを得る方法としてはホットプレス法とコールド
プレス法の2つの方法があるが、本発明の目的からはど
ちらの方法でも好適に用いることができる。
【0018】そしてこうしたターゲットに投入する電力
は、スッパタリングの速度を決定すると供にカソード周
辺の加熱、ターゲットおよびフィルム基板の温度等を決
定する因子となる。投入電力を定量的に把握するため
に、本発明においてはターゲットの総面積で投入電力を
割った値を投入電力密度と定義する。ここでの総面積と
はターゲットのスパッタされる面の長辺と短辺の積であ
る。厳密にはターゲット内に形成されるエロージョンの
面積で規格化すべきであるが、エロージョンの面積は時
間と供に立体的要素を含めて変化するために、かえって
誤差を招きやすいこととターゲットの使用効率の経済的
見地からエロージョンサイズにできるだけ近いサイズの
ターゲットが選ばれるのが通例であることから、この投
入電力密度は略的を得たパラメーターとなる。
【0019】本発明においてこの投入電力密度は、少な
くとも1平方cm当たり0.5W以上を投入することが
スパッタリングの速度と得られるITOの膜質の点から
好ましく、上限値としてはターゲットとバッキングプレ
ートとの貼り合わせ状態、冷却効率、バッキングプレー
トの受ける応力と機械強度のバランス、カソードの冷却
効率と構造およびスパッタリングされたITOが積層さ
れるフィルム基板の冷却効率で決定されるべきである
が、通例として1平方cm当たり6W以下の投入電力で
用いられることが好ましく、一般的には1平方cm当た
り4W以下の投入電力密度で使用されることが好まし
い。
【0020】またターゲットの厚さは、スパッタリング
時の使用効率と投入電力による熱衝撃による割れの発生
とバッキングプレートにかかる冷却水の水圧による割れ
の発生のバランスにより選ばれるべきであるが、使用効
率の観点からは厚い方が好ましく、割れを防ぐ点からは
薄い方が好ましい。これらのバランスをとって最低限の
厚さとして5mm以上の厚みのターゲットを用いること
が好ましい。ターゲットの冷却水の配管の工夫及びバッ
キングプレートの強度及びターゲットの製造上の均一性
が十分に確保される場合にはターゲットの厚みは8mm
以上が使用効率の点から好ましく用いることができる。
ただし、ターゲット成形の観点と機械強度の観点から最
大でも12mm以下の厚みが好ましい範囲である。
【0021】また、本発明で使用されるターゲットのサ
イズであるが、フィルムの幅方向に対しては、十分なサ
イズの余裕を有するターゲットを用いることが好まし
い。ターゲットのサイズを大きくすることは、経済的な
点からは好ましいことではないが、フィルムの幅方向の
特性の均一性を確保する点からはできるだけ大きなサイ
ズのターゲットを用いることが好ましいが、少なくとも
フィルムの幅の長さよりも40cm以上長いターゲット
を用いることで好適な幅方向のITO膜厚の均一性と特
性の均一性を得ることができる。この場合其々のフィル
ムの端部よりも20cm以上づつターゲットの方が長い
ことを意味している。幅方向のより均一な特性を得る目
的で、ターゲットとフィルム基板との間にスパッタリン
グされた粒子の分布を規制するマスクを設けてさらに膜
厚分布の均一性を高めることも可能である。
【0022】ターゲットのフィルム走行方向のサイズは
大きい方が、スパッタリング速度を向上させるためには
好ましいが、ターゲットにかかる前記応力やスパッタ中
にフィルムを保持するクーリングドラム直径との相関に
よる、斜めスパッタリング成分との相関及びターゲット
の経済的利用率の観点から40cm以下であることが好
ましい条件である。
【0023】この様なサイズの関係を有するターゲット
とフィルム幅を用いることにより、幅方向の膜厚均一性
と特性の安定性が、ターゲットとフィルム基板間に挿入
するマスクの開口率を大きく設定しても、また複雑な形
状の開口部を有するマスクとせずに達成可能となり、結
果として付着効率などのターゲット利用率を逆に高める
ことができる。
【0024】なお、ターゲットのサイズがフィルムの幅
にしたがって大型化する場合には、ターゲットは必ずし
も1枚で形成されていなくともかまわない。つまり小さ
なサイズのターゲットをスパッタリング圧力の放電可能
ギャップ以下の隙間を持たせてで敷きつめることによ
り、いかなるサイズのターゲットも作成することができ
る。ターゲットは一般にバッキングプレートと呼ばれる
支持板に低融点金属材料を以て貼り合わせて使用される
が、支持板には無酸素銅の加工されたものあるいは燐青
銅の加工されたものが用いられ、低融点金属材料として
は金属インジウムを成分として含有する材料を用いるこ
とができる。
【0025】ところで、スパッタリングターゲットをス
パッタリングする際に一般的にマグネトロンカソードが
使用される。マグネトロンカソードは磁場によりプラズ
マをターゲット近傍に綴じ込め、有効なスパッタリング
速度を生みだすと供に、基板への電子衝撃を弱め基板上
に形成されるスパッタリング薄膜の特性を劣化させない
役割を有している。
【0026】一般的に磁場強度をあげるとプラズマの閉
じ込めが強くなり、ターゲットのエロージョン領域が狭
まる。磁場強度が下がるとターゲットのエロージョンが
拡大するが、反面プラズマの空間領域への拡大により基
板に与えるプラズマダメージの影響が無視できなくな
る。ターゲットエロージョン面積は直接的には、スパッ
タリング速度とターゲットの有効利用率に関係してお
り、磁場強度の設定は膜特性とスパッタリングの経済性
に大きな影響を与える。
【0027】これらはカソードの設計、特にカソードの
磁気回路の設計によって決定されるが、本発明において
は、今まで記したITOターゲットのサイズと材料特性
と併せて、カソードの磁場強度の好ましい範囲を例示し
ておく。磁場強度の測定方法は使用前の5mm厚のター
ゲットを設定した上で、そのターゲットのエロジョン中
心部位置でのターゲットに接した部位の水平磁界を、ガ
ウスメーターで測定して28mT以下であることが好ま
しく、下限として10mT以上であることが好ましい。
【0028】スパッタリング時にスパッタゾーンを通過
するフィルム基板はプラズマによる熱輻射により表面温
度が上昇する。この現象を緩和するためには、クーリン
グドラムによりスパッタ中のフィルム基板を保持しつ
つ、フィルム基板のITO薄膜を形成する側とは反対の
面から、フィルム基板の冷却を実施することが好まし
い。フィルム基板の温度が上昇すると、フィルム基板の
表面性などに悪影響がでると供にフィルムからの急激な
脱ガス等によりスパッタ条件の維持が困難になる場合が
ある。また、基板温度が上昇するとスパッタリングされ
たITO薄膜に結晶化等の現象が生じてしまう怖れがあ
る。
【0029】すなわち、ガラス基板の場合には結晶化し
たITO薄膜が好ましく用いられるが、フィルム基板の
ようにフレキシブルな基板にITO薄膜を形成して液晶
基板として利用する場合には、結晶化したITOよりも
アモルファス状態のITOであることが好ましい。一般
にITOを結晶化させるとフレキシビリティが不足し、
折り曲げ等のパネル組立工程での断線率が上昇する。こ
の場合に結晶化とは、ITOが完全に結晶化している場
合のみならず、部分的に微結晶がアモルファスのITO
の中に混在して存在する場合も含められる。
【0030】これらの結晶化を防止するためには、基板
温度の上昇を防止する必要がありそのためには、スパッ
タリング中に基板を冷却する機能を有するクーリングド
ラムの温度を温度を80℃以下に設定する必要がある。
これらの条件は、クーリングドラム中に流す冷却水の温
度を80℃以下に設定するすることによって達成するこ
とができる。
【0031】スパッタリング中の厳密なフィルム基板の
表面温度は測定が不可能であり、擬似的にクーリングド
ラムの温度をフィルム基板の温度として定めるものとす
る。また、フィルムの基板温度は、投入電力によっても
影響を受けるため、総合的なスパッタリング機器の固有
特性も含めて考慮に入れれば、スパッタリング中のクー
リングドラムの温度は、スパッタリングされるITO薄
膜が結晶化しない範囲として定めることが正しい表現で
あり、代表的な数字として80℃と定めておくものとす
る。
【0032】なおITO薄膜の結晶化の評価はスパッタ
リングされたITO薄膜を有するフィルム基板を、フィ
ルム基板のみ溶解しITOを溶解しない溶媒(例えばメ
チレンクロライドなど)に浸積してフィルム基板を溶解
せしめ、分離されたITO薄膜をメッシュですくいあげ
て、透過型の電子顕微鏡で観察することにより判断され
る。あるいは、確認のためにX線デフラクトメーターで
判断することも可能であるが、ITO薄膜が非常に薄い
場合、例えば20nm以下とか、結晶化の程度が低い場
合には十分なS/Nが採れないので、透過型電子顕微鏡
での観察を実施して判断することが好ましい。
【0033】ところで前述のスパッタリングのカソード
は、クーリングドラムの直径にもよるが、スパッタリン
グの効率を向上させる場合には1基のみならず複数個の
カソードを配置して利用することもできる。かかる場合
には、各々のカソードが個別に独立に制御可能なように
ガス配管系と電源を設定しておく必要がある。通常の配
置を考えた場合にはクーリングドラムに対し其々90度
の角度をおいて3基の配置が少なくとも可能である。
【0034】ITOのスパッタ条件を制御するために
は、スパッタ投入電力、スパッタリング圧力、導入ガス
量、フィルム基板温度スパッタリング導入ガス量中の酸
素濃度及びスパッタリングターゲット上の磁場強度等を
制御する必要がある。また外乱として、連続的に供給さ
れるフィルムに含まれる空気及び水分等の影響を排除し
て連続的に最適なスパッタリング条件を維持する必要が
ある。
【0035】これらの条件からスパッタリングの状態を
常にモニターする必要がある。モニターするパラメータ
ーとしては、ITO膜厚、光透過率及び電気導電性が考
えられる。ITOターゲットのスパッタ特性としては投
入電力を一定に保てば略一定の状態が保たれるために、
多少の膜厚のバラツキを許容すれば連続的にある範囲の
なかに収めることが可能であり、膜特性として重要な可
視光線透過率と電導電性つまり抵抗値がモニターできれ
ばプロセスを連続的に安定に最適範囲のなかに制御する
ことができる。この際に、フィードバックをかけるスパ
ッタリング制御因子としては、スパッタリングガス流量
あるいはスパッタリングガス中の酸素濃度であり、マス
フローメーターによりこれらのパラメーターは制御する
ことが可能である。
【0036】その際に、かかるモニターの結果を有効に
フィードバックするためには、ITOターゲットにスパ
ッタリングガスを供給する配管系において、マスフロー
メーターをITOターゲットのフィルム幅方向の一定区
間毎に独立して設置する。そしてマスフローメーターを
用いて各区間毎に独立に、スパッタリングガスとしての
アルゴンと酸素の混合ガスの流量と酸素濃度を制御する
ことが好ましい。これらはある程度の試行錯誤によっ
て、スパッタリング装置の特性とカソードの固有特性を
考慮しながら設定する必要がある。
【0037】スパッタリングガスは一般的なアルゴンと
酸素の混合ガスを利用するが酸素の混合比として、0.
1%オーダーのレベルの酸素濃度を制御する機能がある
ことが好ましい。
【0038】またスパッタリング中のITO導電薄膜が
積層されたフィルム基板の可視光透過率の測定装置とし
ては種々の構成が考えられるが、まずモニターを設置す
る場所としてスパッタリングゾーンの最も近い場所でフ
ィルムがモニターされることが、フィードバックの効率
から言って好ましい。一般的にはクーリングドラムから
剥離されたフィルムがワインダーに向かって走行する部
分に設置することが好ましい。
【0039】モニターに使われる構成としては、光源と
特定波長を透過するバンドパスフィルター及び光強度を
計測するセンサーがあれば基本的には機能を満足させる
ことができる。市販の部材を利用する場合には例えば大
塚電子(株)製の商品名PHOTAL−MCPD−10
00等を使用すれば任意の波長領域での連続的な測定が
可能であり、好適に利用することができる。かかる装置
を利用する場合には、あらかじめフィルム基板の可視光
線透過率を計測しておき、ITO積層後の可視光線透過
率と比較することにより、間便にプロセス制御を実施す
ることができる。
【0040】また、抵抗値のモニターの方法としては、
よく知られる非接触の抵抗値モニターである渦電流によ
る抵抗値モニターあるいは、触針式とか導電性のロール
を保有する接触式の抵抗値モニターを利用することがで
きる。これらを使用する際にはフィルムの幅全体からの
抵抗値を測定することになるために、あらかじめ切りだ
して測定される表面抵抗値Ω/□との相関を十分に把握
しておく必要がある。
【0041】これらのモニターの状態をスパッタリング
中計測記録機に接続して連続的にあるいは間歇的にモニ
ターを実施することにより、スパッタリングの状態が酸
化側にあるのか還元側にあるのかを把握することが可能
となり、スパッタリングガス流量あるいはスパッタリン
グガス中の酸素濃度を微妙にフィードバックさせること
により、常に最適なスパッタリング状態の維持が可能で
ある。
【0042】かかる、スパッタリング状態のモニターの
ためには最低限フィルムの幅方向のセンター位置でのモ
ニターが必要であるが、フィルムの幅が広くなった時に
は少なくとも可視光線透過率モニターはフィルムの幅方
向に30cm以下の間隔で配置してフィルムの幅方向の
均一性をモニターすることが好ましい。
【0043】ITOターゲットに接続してスパッタリン
グの電力を供給する電源としては直流電源を用いること
が好ましい。しかるに、直流電源を用いたスパッタリン
グを実施すると、ITOターゲットの表面に発生するウ
ィスカーあるいはノジュールといった突起の発生と、I
TOターゲットの表面上体の変化に起因した異常放電を
発生しやすい。小さな異常放電はトラブルの主因とはな
らないが、アークを伴うような大きな異常放電は、時に
はターゲット表面を破壊したりスパッタされた薄膜が形
成されているフィルム表面に異常な突起上の付着物を生
じさせたりする。このため、直流電源には異常放電防止
機能を備えた電源を使用することが好ましい。
【0044】スパッタリングされて形成されたITO透
明電極は液晶表示パネル用途に使用される場合には、種
々の要求特性がある。前述のようにITO薄膜が、結晶
化していないこと、すなわち結晶を全く含まないアモル
ファス構造を有していることは、その一つであるが、信
頼性の点でITO薄膜の抵抗値変化も重要なパラメータ
ーとなる。
【0045】ITO薄膜は一般的によく知られるように
n型半導体の性質を有しており、導電性をつかさどるキ
ャリアーは電子がその役割を果たしている。キャリアー
である電子を形成する源はドーピングされているスズと
スパッタリング中にITO薄膜中に形成される酸素欠陥
がその大きな供給源といわれている。
【0046】そしてITO薄膜の抵抗値の変化はアモル
ファス薄膜の場合には酸素欠陥の量、つまり薄膜が酸化
過剰状態にあるのか、過還元状態にあるのかによって大
きく異なることになる。しかるに信頼性の高いITO薄
膜とは、抵抗値変化の少ないITO薄膜のことであり、
評価方法としては表面抵抗値を測定する方法に準じてサ
ンプルを切りだし、銀ペイントで対向する両辺に測定電
極を形成し初期の抵抗値をΩ/□の単位で測定し、然る
のち130℃に加熱されたオーブン中で4時間の熱処理
を施し、同様の方法で処理後の抵抗値をΩ/□の単位で
測定する。処理後の抵抗値を初期の抵抗値で割った値が
0.8〜1.5倍の範囲に入っていることが、液晶表示
パネル用フィルム透明電極として信頼性が高いITO薄
膜ということができる。
【0047】これは本来であればITO薄膜のキャリア
ー密度とキャリアー移動度と酸素の化学量論数で定義す
べきであるが、ITOの導電機構は複雑であり一義的に
上記パラメーターでITO薄膜の物性を説明し定義する
ことは困難である。上記の様に信頼性に優れた抵抗値変
化の少ないITO薄膜は、スパッタリングプロセスにお
いてITO薄膜の膜厚、可視光線透過率および抵抗値に
よって、酸化還元状態を制御し最適化を図ることによっ
て達成されるものである。
【0048】このことは使用するスパッタリング装置の
固有特性と使用するターゲットの材料物性およびスパッ
タリング条件が複雑に絡み合って決定されており、IT
Oスパッタリングプロセスの十分な理解と多少の試行錯
誤によって最適制御パラメーターの決定が可能となり、
その結果として信頼性に足るITO薄膜が形成できるこ
とを意味している。その得られた最適条件を継続して実
施することにより、連続的なフィルムに大面積にわたっ
て均一なITO薄膜が初めて形成可能となり、そのため
には最適プロセスの維持のために可視光線透過率と抵抗
値にモニターによって、プロセス制御パラメーターであ
るスパッタリングガス流量あるいはスパッタリングガス
中の酸素濃度を最適制御し長時間にわたって、最適なス
パッタリング条件を維持することが初めて可能となるわ
けである。
【0049】かかるITO薄膜は表面抵抗値を決定する
比抵抗も重要な特性となる。この特性としては700μ
Ω・cm以下であることが好ましい。比抵抗値がこの値
より大きいことはITO薄膜の特性が最適条件よりずれ
ていることを示唆しており、下限値としてはITOがア
モルファス薄膜の場合には300μΩ・cm以下とはな
り得ない。この範囲でできるだけ小さな比抵抗値を実現
するようにプロセスを制御する必要がある。
【0050】ITO薄膜が、前述のように結晶化してい
ないことは、液晶パネルとして実装段階での断線率の低
減と接続および信頼性の向上に効果があるのみならず、
液晶パネルとして利用する際にパターニング工程のエッ
チングの切れ味の良さおよびエッチング残査の低減に有
効である。エッチング性の良さの評価としては、塩化第
2鉄:塩酸:水=1:1:10の水溶液にITO薄膜付
きのフィルム基板を浸積し、1分後には完全溶解してい
ることなどで評価することができる。一般的に結晶化し
たITO薄膜よりもアモルファスのITO薄膜の方がエ
ッチングされやすい特性がある。この結果、エッチング
後もエッチング残査の殆ど無い良好なエッチング特性を
有するITO薄膜を得ることができる。
【0051】またかかる液晶表示パネル用フィルム透明
電極を液晶パネル組立プロセスに採用する場合には、I
TO薄膜側の面を凸にカールした基板であることが好ま
しい。ITO薄膜側の面を凸にカールすることはITO
薄膜が圧縮応力を受けていることを意味しており、引っ
張り応力を受けているITO薄膜よりも耐クラック性が
高く断線などのトラブルが生じにくく、より好適に液晶
表示パネル基板として用いることができる。ITO薄膜
を凸にしてカールするフィルム基板は使用するフィルム
基板の、熱膨張率、熱収縮率と湿度膨張率などを考慮す
る必要はあるが、主にスパッタリングプロセスのスパッ
タリングガス圧で制御することができる。
【0052】
【実施例1】ビスフェノール成分がビスフェノールAだ
けからなる平均分子量37000のポリカーボネート樹
脂(帝人化成(株)製の商品名「C−1400」)をメ
チレンクロライドに20重量%溶解した溶液をダイコー
ティング法により厚さ175μmのポリエステルフィル
ム上に流延させ、然る後乾燥炉を通過せしめて残留溶媒
が12重量%近くになった時、ポリエステルフィルムか
ら剥離せしめて温度120℃の乾燥炉中で、縦横の張力
をバランスせしめて残留溶媒が0.13%になる迄乾燥
させた。得られたフィルムの厚みは102μmであり幅
方向の膜厚ムラは±3μmであった。フィルムのヘイズ
値はヘイズメーターの測定値で0.5%であった。
【0053】寸法安定性は120℃1時間の熱処理後は
0.03%であり、150℃30分の熱処理後は0.0
8%であった。590nmにおけるリターデイション値
は幅方向で8±2nmであり、フィルムの走行方向にむ
いた遅相軸のバラツキは±8度であった。
【0054】かかるフィルム上にプライマー層として信
越化学製の商品名「PC7A」をメチルイソブチルケト
ンと酢酸nブチルが1/1の混合溶媒で希釈した塗液を
用い、バリアーコート層としてポリビニールアルコール
樹脂(クラレ製の商品名「PVA−117」)を十分に
熱水で洗浄して、不純物として含有される酢酸ソーダを
ppmレベルまで除去した後、精製水に溶解した塗液を
用い、プライマーはマイヤーバーコーターで、バリアー
コートはリバースロールコーターで連続的に塗工乾燥せ
しめ、其々厚さが0.5μmと3μmのプライマー層と
バリアーコート層をポリカーボネートフィルム上に積層
せしめた。かかるバリアーコート層の上に、日本精化製
の商品名「NS−2451」ハードコート剤をイソプロ
ピルアルコールで希釈した塗液を用いてリバースロール
コーターで塗工乾燥せしめて厚さ8μmのハードコート
層を形成した。コーターでの乾燥条件はプライマー層、
バリアー層とハードコート層乾燥温度は其々130℃、
130℃と135℃である。かかる工程を其々2度繰り
返すことにより。ポリカーボネートフィルムの両側にプ
ライマー層、バリアー層とハードコート層の積層構成を
作成した。
【0055】得られた積層体の一方の面にサンエー化学
製の商品名「PAK2」をラミネートした。ラミネート
が均一になるようにラミネーターのラミネートロールを
40℃に加熱して気泡を巻き込まないようにラミネート
した。ラミネートされたフィルム基板の可視光線全光線
透過率は90%であった。
【0056】ラミネートされたフィルムの反対面にプラ
イマー層として日本曹達製の商品名「アトロンNSi」
をイソプロピルアルコールで希釈して、マイクログラブ
アコーターを用いて塗工乾燥せしめて厚さ60nmのプ
ライマー層を形成した。かかるプライマー層上に透明導
電薄膜であるインジウムースズ酸化物薄膜層を形成し
た。インジウム−スズ酸化物薄膜層はフィルムの連続ス
パッタ装置に、かかる処理済みのフィルムをセットし
1.3mPaの圧力迄排気した後、アルゴン/酸素=9
8.5/1.5の混合比の混合ガスを導入し0.27P
aの圧力でスパッタリングを行なった。
【0057】スパッタリングターゲットは、三井金属鉱
山製のインジウム/スズ=90/10モル比で充填度が
90%のインジウムースズ酸化物ターゲットを用いて投
入電力密度を1平方cm当たり1WのDCスパッタリン
グを行なった。基板温度は60℃に設定し、得られるI
TO薄膜の膜厚が25nmになるようにフィルム速度を
設定した。ターゲットはひとつのクーリングドラムに対
して3個配置可能となっているが、本実施例において
は、ITOターゲットを1基のみセットして動作させ
た。接続したDC電源はアドバンストエナジー社製の商
品名「DCマグネトロンドライブMDX−10」と異常
放電防止のための商品名「SPARC−LE」を所定ど
おり設定した。
【0058】可視光線透過率測定には大塚電子製の商品
名「PHOTAL,MCPD−1000」をフィルムの
幅90cmに対して幅方向に検知ヘッドを30cmおき
に3個セットした。抵抗値を検出するヘッドは通常の4
端子の検出ヘッドをフィルムの幅方向のセンター位置に
セットした。4端子ヘッドを用いるとフィルムの走行時
には抵抗値の測定は不可能であるがフィルムを停止させ
4端子ヘッドを上げ下げすることで測定は可能である。
【0059】ターゲットのサイズは、フィルムの幅方向
に150cmでありフィルムの走行方向に25.5cm
であり、ターゲットの厚みは使用前に8mmである。タ
ーゲットは同一サイズの分割された8枚のターゲットを
バッキングプレート上で接合したタイプである。
【0060】スパッタの経過とともに透過率モニターの
値が上昇し、抵抗値も低下する傾向が見られたために、
スパッタリングのガス流量は初期値の800sccmを
維持させたまま酸素濃度の絞り込みを段階的に実施した
結果スパッタ終了時のスパッタガス中のアルゴン/酸素
=98.8/1.2であった。
【0061】長さ方向に450m連続してスパッタした
結果、得られたITO薄膜の特性は、膜厚が25nm±
8%の範囲に、可視光線透過率(550nm)が85%
±2%の範囲に、初期抵抗値が240Ω/□±25Ω/
□の範囲に入っており特性の均一性が非常に高かった。
【0062】スパッタ開始直後、中間部とスパッタ終了
部の3箇所を切りだして初期抵抗値を計測後130℃で
4時間の熱処理を実施した結果抵抗値の変化は、其々
1.21,1.30,1.19であった。また得られた
ITO薄膜を透過型の電子顕微鏡サンプルとして観察し
た結果全体がアモルファス構造であることが確認され
た。得られたフィルムはITO薄膜側を凸にカールして
おり、10cm角のサンプルでの最大カールは約12m
mであった。
【0063】所定のエッチング液である塩化第2鉄:塩
酸:水=1:1:10の溶液に浸積した場合に30秒間
で完全に溶解したことが、インジウムを目的元素とした
蛍光X線法にて確認された。
【0064】
【実施例2】藤森工業(株)製の商品名「アモレックス
AM3500」を基板として用い、スパッタリングター
ゲットのインジウム/スズ=95/5モル比で充填密度
が92%のインジウム−スズ酸化物ターゲットを用いる
以外は、実施例1と全く同様のスパッタリングプロセス
でITO薄膜を連続的に形成した。「アモレックスAM
3500」にはマスキングフィルムが基板の一方の面に
貼り合わされており、反対の面にITO薄膜を形成し
た。フィルム基板の幅は900mmであり、長さは40
0mであった。
【0065】スパッタリング時の傾向も実施例1と同様
な、時間とともに透過率が上がってゆく傾向を示し、抵
抗値が下がる傾向にあったためスパッタリングガス中の
酸素濃度を絞る操作を段階的に実施した結果最終的には
スパッタガス中のアルゴン/酸素=98.7/1.3で
あったスパッタリング中の制御も実施例1と同様に実施
した結果以下の特性を有するITO薄膜を有効幅880
mm、長さ350mにわたって略均一な特性で得ること
ができた。
【0066】すなわちITO薄膜膜厚=34nm±8
%、表面抵抗値=180Ω/□±20Ω/□、比抵抗値
=620μΩ・cm以下、可視光線透過率=84%±1
%(全光線透過率)、加熱抵抗値変化=1.05〜1.
28(130℃ 4時間)、薄膜構造=アモルファス構
造、カール=8mm以下(ITO薄膜面凸)、エッチン
グ特性=40秒間で完全溶解。
【0067】
【発明の効果】本発明は以上詳述したように、光学特
性、機械特性、電気特性及び信頼性に優れ、良好な表示
品位を有するフィルム液晶表示パネルを実現する液晶表
示パネル用フィルム透明電極を、均一性良く、大面積に
わたって連続的に製造することができる。
【0068】すなわち液晶表示パネル用に用いられるフ
ィルム透明電極を、連続的に均一な特性を有するように
スパッタリングプロセスを制御することにより、液晶表
示パネル用フィルム透明電極として信頼性、エッチング
性およびプロセス作業性に優れた特性を有するフィルム
基板を大面積で、ガラス基板に対して十分にコスト競争
力のある方法手段で得ることができる。
【0069】かかる優れた特性を有する該透明電極は液
晶表示装置はもちろんのこと、透明面発熱体、アナログ
入力タッチパネル及び有機EL用透明電極等に利用する
ことができる。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ITO(すなわちインジウム−スズ酸化
    物)の透明導電性薄膜を、フィルム基板上にスパッタリ
    ングにより形成することで、液晶表示パネル用のフィル
    ム透明電極を製造する方法において、フィルム基板を連
    続的に走行させる機構を有するスパッタリング装置を使
    用し、スパッタリングターゲットとしてのITOターゲ
    ットに接続した直流電源から直流電力を供給して、膜厚
    が10〜160nmあるいは表面抵抗値が10〜500
    Ω/□であるITO薄膜を、膜厚分布が±10%以内、
    かつ表面抵抗値分布が±15%以内、さらに可視光線透
    過率分布が±3%以内の特性を有するように、ITO薄
    膜とフィルム基板を対象に、可視光線透過率と抵抗値を
    モニターして、スパッタリングガス流量あるいはスパッ
    タリングガス中の酸素濃度のいずれかを制御しながらス
    パッタリングを継続させて、ITO薄膜を連続的に形成
    することを特徴とする液晶表示パネル用フィルム透明電
    極の製造方法。
  2. 【請求項2】 フィルム基板のITO薄膜を形成する側
    とは反対の面に、真空中のフィルム走行を滑らかにする
    機能を有するマスキングフィルムを貼り合わせたまま、
    スパッタリングすることを特徴とする請求項1記載の液
    晶表示パネル用フィルム透明電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 ITOターゲットとしてはITOの充填
    度が90%以上である物を用い、ターゲット全面積に対
    する直流電源からの投入電力密度を1平方cm当たり
    0.5W以上でスパッタリングすることを特徴とする請
    求項1〜2のいずれかに記載の液晶表示パネル用フィル
    ム透明電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 ITOターゲットとしては使用前の厚み
    が5mm以上である物を用いることを特徴とする請求項
    1〜3記載のいずれかに記載の液晶表示パネル用フィル
    ム透明電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 ITOターゲットとしては、スパッタリ
    ングされるフィルム基板の幅よりも、幅が40cm以上
    広い物を用いることを特徴とする請求項1〜4記載のい
    ずれかに記載の液晶表示パネル用フィルム透明電極の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 ITOターゲットとしては、フィルム走
    行方向の長さが40cm以下の物を用い、ITOターゲ
    ット上で測定されるスパッタリングエロージョン中心部
    の水平方向の磁界を28mT以下の条件にしてスパッタ
    リングすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに
    記載の液晶表示パネル用フィルム透明電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 スパッタリング中はフィルム基板のIT
    O薄膜を形成する側とは反対の面に、温度制御を行うた
    めのクーリングドラムを接触させ、かつクーリングドラ
    ムの温度は80℃以下にすることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の液晶表示パネル用フィルム透明
    電極の製造方法。
  8. 【請求項8】 マスフローメーターをITOターゲット
    のフィルム幅方向の一定区間毎に独立して設置し、マス
    フローメーターを用いて各区間毎に独立に、スパッタリ
    ングガスとしてのアルゴンと酸素の混合ガスの流量と酸
    素濃度を制御することを特徴とした請求項1〜9のいず
    れかに記載の液晶表示パネル用フィルム透明電極の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 スパッタリングされたITO薄膜の透過
    率をモニターする可視光線透過率測定機を、フィルム基
    板の幅方向に30cm以下の間隔で配置して、フィルム
    の幅方向の状態をモニターすることを特徴とする請求項
    1〜8のいずれかに記載の液晶表示パネル用フィルム透
    明電極の製造方法。
  10. 【請求項10】 ITOターゲットに接続する直流電源
    としては、スパッタリングの際の異常放電発生を抑制す
    る機能を備えた物を用いるを特徴とする請求項1〜9の
    いずれかに記載の液晶表示パネル用フィルムの製造方
    法。
  11. 【請求項11】 ITO薄膜としては、結晶を全く含ま
    ないアモルファス構造を有し、130℃で4時間の熱処
    理を施したときに表面抵抗値の変化が熱処理前の初期抵
    抗値の0.8〜1.5倍になる物を、スパッタリングに
    よって形成することを特徴とする請求項1〜10のいず
    れかに記載の液晶表示パネル用フィルム透明電極の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 ITO薄膜としては、比抵抗値が70
    0μΩ・cm以下であり、かつ塩化第2鉄と塩酸と水の
    溶液(塩化第2鉄:塩酸:水=1:1:10)に浸積し
    た際に1分間以内に完全溶解する物を、スパッタリング
    によって形成することを特徴とする請求項1〜11のい
    ずれかに記載の液晶表示パネル用透明電極の製造方法。
  13. 【請求項13】 液晶表示パネル用透明電極がITO薄
    膜側を凸にしてカールするように、ITO薄膜を形成す
    ることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の
    液晶表示パネル用透明電極の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0894331B1 (en) * 1997-01-17 2003-09-03 Koninklijke Philips Electronics N.V. Method of manufacturing a cathode ray tube
US6812977B1 (en) 1999-11-22 2004-11-02 Minolta Co., Ltd. Liquid crystal element
JP2007234397A (ja) * 2006-03-01 2007-09-13 Ulvac Japan Ltd 透明電極及びその形成方法
JP2016527561A (ja) * 2013-08-01 2016-09-08 ザ・ユニバーシティ・オブ・マンチェスターThe University Of Manchester 液晶装置および製造方法
WO2023107590A1 (en) * 2021-12-07 2023-06-15 Intevac, Inc. System and method for scratch and scuff resistant low reflectivity optical coatings

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