JPH08210A - 多孔質乾燥食品の製造方法 - Google Patents

多孔質乾燥食品の製造方法

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JPH08210A
JPH08210A JP13846394A JP13846394A JPH08210A JP H08210 A JPH08210 A JP H08210A JP 13846394 A JP13846394 A JP 13846394A JP 13846394 A JP13846394 A JP 13846394A JP H08210 A JPH08210 A JP H08210A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 野菜及び/又は果実を高温にさらすことな
く、かつ野菜及び/又は果実が本来有する特性をできる
だけ損なうことなく、乾燥野菜や乾燥果実を製造できる
方法を提供すること。 【構成】 スライス状に裁断した野菜及び/又は果実に
ペクチナーゼ処理を施した後、更にセルラーゼ処理を施
して野菜及び/又は果実の組織を軟化させ、次いで減圧
膨化乾燥又は真空凍結乾燥する多孔質乾燥食品の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、野菜及び/又は果実の
組織を多孔質状にして乾燥した乾燥食品、特にスナック
食品として幅広く利用可能な多孔質乾燥食品の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品を酵素により分解してスナック食品
として使用する種々の技術が開発されている。このう
ち、特開昭63−214146号公報には、多様な食品
の酵素分解物をスナック食品の主原料に添加して多様な
味を持ち、しかも栄養価の高いスナック食品が開示され
ている。しかしながら、この方法ではあくまでもスナッ
ク食品の主原料であるポテトやコーン等に、酵素分解し
た野菜、果物、海藻等を添加しており、主原料自体は酵
素分解されておらず、酵素分解した野菜及び/又は果実
をそのまま乾燥してスナック食品とするものではない。
一方、野菜及び/又は果実をそのまま乾燥してスナック
食品とする方法としては、野菜及び/又は果実を適宜厚
さのスライス状に裁断した後、油揚げする方法が知られ
ている。しかし、この方法では、常圧での油揚げの場
合、野菜及び/又は果実が100℃以上の温度にさらさ
れることになり、野菜及び/又は果実が有する自然感を
維持することができない。減圧で油揚げした場合には、
野菜及び/又は果実にかかる温度は低くなるものの、油
揚げによる吸油量が増えるために健康食品として好まし
いものではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、野菜及び/
又は果実を高温にさらすことなく、かつ野菜及び/又は
果実が本来有する特性をできるだけ損なうことなく、乾
燥野菜や乾燥果実を製造できる方法を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、生の野菜及び
/又は果実にペクチナーゼ処理とセルラーゼ処理を施し
て野菜及び/又は果実の組織を軟化させ、次いで特定の
乾燥方法により乾燥すると、野菜及び/又は果実の組織
が多孔質状態になった乾燥野菜や果実を効率的に製造で
き、上記課題を解決できるとの知見に基づいてなされた
のである。すなわち、本発明は、スライス状に裁断した
野菜及び/又は果実にペクチナーゼ処理を施した後、更
にセルラーゼ処理を施して野菜及び/又は果実の組織を
軟化させ、次いで減圧膨化乾燥又は真空凍結乾燥するこ
とを特徴とする多孔質乾燥食品の製造方法を提供する。
本発明では、種々の野菜や果実を対象とすることがで
き、特定のものに限定されるものではない。本発明で対
象とする野菜としては、にんじん、たまねぎ、ごぼう、
トマト、ジャガイモ、さつまいも、だいこん等が例示で
きる。これらは、単独でも2種以上の混合物としても使
用することができる。又、果実としては、りんご、バナ
ナ、イチゴ、メロン、キウイ、モモ、マンゴウ、パイナ
ップル等が例示できる。これらも、単独でも2種以上の
混合物としても使用することができる。尚、本発明にお
いては、野菜と果実を併用することもできる。
【0005】本発明では、先ず、生の野菜及び/又は果
実を適宜厚さのスライス状に裁断する。その際の厚さ
は、スナック食品として喫食し得る厚さであれば特に限
定されない。本発明の効果上から、3〜10mm程度の厚
さにするのが好ましく、より好ましくは5〜7mmであ
る。この際、所望により、スライス状に裁断する前に、
野菜及び/又は果実の皮を除くことができるが、皮がつ
いたままの状態で裁断することもできる。本発明では、
所望により、次の工程であるペクチナーゼ処理を行う前
に、スライス状に裁断した野菜及び/又は果実をシロッ
プなどの調味液を含浸させることができる。この際、シ
ロップとしては、グルコース、キシロース、フラクトー
ス、シュークロース、ラクトース等の糖類、ソルビトー
ル、マンニトール等の糖アルコール類、その他の甘味料
を1〜40%含有する水溶液、あるいはこれら水溶液に
アスコルビン酸、重合リン酸塩等の品質改良剤を適宜添
加した水溶液を用いることができる。
【0006】次にスライス状に裁断した野菜及び/又は
果実をペクチナーゼ処理し、その後にセルラーゼ処理す
る。ペクチナーゼ処理とセルラーゼ処理を同時に実施し
たり、セルラーゼ処理の後にペクチナーゼ処理しても、
本発明の効果を充分に達成することができない。ペクチ
ナーゼ処理としては、ペクチナーゼを溶解又は分散した
水溶液にスライスした野菜及び/又は果実を接触させる
こと、好ましくは浸漬することにより行うのがよい。具
体的には、ペクチナーゼを0.001〜3重量%(以下、
%と略称する)含有する水溶液に、温度20〜50℃で
1〜8時間浸漬して行うのがよい。又、セルラーゼ処理
もペクチナーゼ処理と同様に、セルラーゼを溶解又は分
散した水溶液にスライスした野菜及び/又は果実を接触
させること、好ましくは浸漬することにより行うのがよ
い。具体的には、セルラーゼを0.01〜5%含有する水
溶液に、温度30〜50℃で1〜15時間浸漬して行う
のがよい。尚、ペクチナーゼとセルラーゼは、粉状物や
粒状物などの市販品を適宜使用することができる。
【0007】ペクチナーゼ処理後、直ちにセルラーゼ処
理を行うのが好ましいが、ペクチナーゼ処理後スライス
した野菜及び/又は果実に付着したペクチナーゼ溶液を
水洗などにより除去したあと、セルラーゼ処理を行うの
が好ましい。尚、ペクチナーゼ処理及びセルラーゼ処理
の条件としては、細胞間のペクチンを部分的に分解し、
細胞壁のセルロースを部分的に分解する程度に止める必
要がある。分解程度が進み過ぎると野菜及び/又は果実
の形状を維持することが困難になり、その結果、本発明
の目的を達成することができなくなる。具体的には、セ
ルラーゼ処理後の野菜及び/又は果実の硬さが5〜15
0となるようにするのがよい。このような硬度は、例え
ば、測定装置:レオメーター(サン科学(株)製)、プ
ランジャーの種類:カミソリ片刃、プランジャーの下降
速度:60mm/分、サンプルのサイズ:10mm×10mm
×5mmの条件により容易に求めることができる。
【0008】セルラーゼ処理後、直ちに又はスライスし
た野菜及び/又は果実に付着したセルラーゼ溶液を水洗
などにより除去したあと、果実を減圧膨化乾燥または真
空凍結乾燥する。このうち減圧膨化乾燥の方が、得られ
る乾燥物の食感をより好ましいサクッサクッとしたもの
にすることができる。減圧膨化乾燥は、特公平3−24
180号公報に開示の方法により行うことができる。
又、真空凍結乾燥は、常法により実施すればよい。本発
明では、減圧膨化乾燥または真空凍結乾燥において任意
の水分含量の乾燥食品が得られるように乾燥条件を設定
することができるが、0.5〜5%の水分含量の乾燥食品
が得られるようにするのがよい。本発明によれば、この
ようにして、嵩比重が0.02〜0.3の乾燥食品を容易に
製造することができる。本発明では、このようにして製
造した乾燥食品を各種包装容器、例えば、プラスチック
製の密封袋などに密封充填するのがよい。
【0009】
【発明の効果】本発明によれば、簡易に多孔質の程度が
大きい乾燥食品を得ることができる。そして、得られた
乾燥食品はサクッサクッとした食感を有しており、スナ
ック食品として最適である。また、野菜および/または
果実をそのまま乾燥してスナック食品とするために風味
や色調も自然のものに近く、従って健康食品としても最
適である。次に実施例により本発明を説明する。
【0010】
【実施例】
実施例1 生のニンジンの皮を剥いだ後、5mm厚にスライスし、次
いでスライス品5gをペクチナーゼ(阪急バイオインダ
ストリー(株)製のセルロシンPEL)を0.02g含有
する50mlの水溶液に室温で2時間浸漬した後、水洗
し、次いでセルラーゼ(阪急バイオインダストリー
(株)製のセルロシンAC8)を0.01g含有する50
mlの水溶液に室温で7時間浸漬した。この後常圧から約
2500パスカルにまで1秒間以内で減圧にした後、更
に100パスカルにまで減圧にし、40℃で約4時間の
条件により乾燥し、嵩比重0.072の多孔質乾燥ニンジ
ンを得た。得られた多孔質乾燥ニンジン内部の電子顕微
鏡写真(75倍)を図1に示す。この写真から明らかな
ように、多孔質乾燥ニンジンの内部組織には、細胞が複
数個破壊されてできた大きな孔が形成されていることが
わかる。又、この多孔質乾燥ニンジンを喫食したところ
サクッサクッとした優れた食感であった。
【0011】比較例1 セルラーゼ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様
の操作を行い、嵩比重0.093の多孔質乾燥ニンジンを
得た。得られた多孔質乾燥ニンジン内部の電子顕微鏡写
真(75倍)を図2に示す。この写真から明らかなよう
に、多孔質乾燥ニンジンの内部組織には、不均一な孔が
形成されていることがわかる。又、この多孔質乾燥ニン
ジンを喫食したところ、実施例1で得られたものに比べ
てサクサク感が劣っていた。
【0012】実施例2 生のリンゴの皮を剥いだ後、5mm厚にスライスし、次い
でスライス品5gをペクチナーゼ(阪急バイオインダス
トリー(株)製のセルロシンPEL)を0.001g含有
する50mlの水溶液に室温で4時間浸漬した後、水洗
し、次いでセルラーゼ(阪急バイオインダストリー
(株)製のセルロシンAC8)を0.01g含有する50
mlの水溶液に室温で2時間浸漬した。この後実施例1と
同様の方法により乾燥し、嵩比重0.030の多孔質乾燥
リンゴを得た。得られた多孔質乾燥リンゴ内部の電子顕
微鏡写真(50倍)を図3に示す。この写真から明らか
なように、多孔質乾燥リンゴの内部組織には、細胞間隙
が破壊されてできた大きな不定形な孔が形成されている
ことがわかる。又、この多孔質乾燥リンゴを喫食したと
ころサクッサクッとした優れた食感であった。
【0013】比較例2 セルラーゼ処理を行わなかった以外は、実施例2と同様
の操作を行い、嵩比重0.047の多孔質乾燥リンゴを得
た。得られた多孔質乾燥リンゴ内部の電子顕微鏡写真
(50倍)を図4に示す。この写真から明らかなよう
に、多孔質乾燥リンゴの内部組織には、ほぼ均一ではあ
るが小さな孔が形成されていることがわかる。又、この
多孔質乾燥リンゴを喫食したところ、実施例2で得られ
たものに比べてサクサク感が劣っていた。
【0014】比較例3 ペクチナーゼ処理を行わなかった以外は、実施例2と同
様の操作を行い、嵩比重0.089の多孔質乾燥リンゴを
得た。得られた多孔質乾燥リンゴ内部の電子顕微鏡写真
(50倍)を図5に示す。この写真から明らかなよう
に、多孔質乾燥リンゴの内部組織には、ほぼ均一ではあ
るが小さな孔が形成されていることがわかる。又、この
多孔質乾燥リンゴを喫食したところ、実施例2で得られ
たものに比べてサクサク感が劣っていた。
【0015】比較例4 ペクチナーゼ処理とセルラーゼ処理を行なう順序を逆に
した以外は、実施例2と同様の操作を行い、嵩比重0.0
31の多孔質乾燥リンゴを得た。得られた多孔質乾燥リ
ンゴ内部の電子顕微鏡写真(50倍)を図6に示す。こ
の写真から明らかなように、多孔質乾燥リンゴの内部組
織には、ほぼ均一ではあるが小さな孔が形成されている
ことがわかる。又、この多孔質乾燥リンゴを喫食したと
ころ、実施例2で得られたものに比べてサクサク感が劣
っていた。
【0016】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1において得られた本発明の多孔質乾
燥ニンジン内部の繊維の形状を示す電子顕微鏡写真(7
5倍)である。
【図2】 比較例1において得られた多孔質乾燥ニンジ
ン内部の繊維の形状を示す電子顕微鏡写真(75倍)で
ある。
【図3】 実施例2において得られた本発明の多孔質乾
燥リンゴ内部の繊維の形状を示す電子顕微鏡写真(50
倍)である。
【図4】 比較例2において得られた多孔質乾燥リンゴ
内部の繊維の形状を示す電子顕微鏡写真(50倍)であ
る。
【図5】 比較例3において得られた多孔質乾燥リンゴ
内部の繊維の形状を示す電子顕微鏡写真(50倍)であ
る。
【図6】 比較例4において得られた多孔質乾燥リンゴ
内部の繊維の形状を示す電子顕微鏡写真(50倍)であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スライス状に裁断した野菜及び/又は果
    実にペクチナーゼ処理を施した後、更にセルラーゼ処理
    を施して野菜及び/又は果実の組織を軟化させ、次いで
    減圧膨化乾燥又は真空凍結乾燥することを特徴とする多
    孔質乾燥食品の製造方法。
  2. 【請求項2】 セルラーゼ処理後の野菜及び/又は果実
    の硬さが5〜150であることを特徴とする請求項1記
    載の製造方法。
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