JPH08210178A - ライナ一体化シリンダブロック及びその製造方法 - Google Patents

ライナ一体化シリンダブロック及びその製造方法

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JPH08210178A
JPH08210178A JP1917195A JP1917195A JPH08210178A JP H08210178 A JPH08210178 A JP H08210178A JP 1917195 A JP1917195 A JP 1917195A JP 1917195 A JP1917195 A JP 1917195A JP H08210178 A JPH08210178 A JP H08210178A
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liner
cylinder block
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welded
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JP1917195A
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Yasuyuki Arakawa
恭行 荒川
Akio Sato
彰生 佐藤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ライナからシリンダブロック本体への伝熱性を
向上させてボア面の冷却性能を向上させるとともに、ラ
イナ及びシリンダブロック本体間のシール性を向上さ
せ、ひいてはエンジンの出力性能の向上を図る。 【構成】アルミニウム系合金よりなるシリンダブロック
本体1と、シリンダブロック本体1内に装備されてボア
を形成するライナ2とからなるライナ一体化シリンダブ
ロックを製造する方法であって、シリンダブロック本体
1とライナ2とを摩擦溶接により溶着して接合すること
を特徴とする。シリンダブロック本体1とライナ2とが
溶着されており、原子・分子レベルで金属学的に結合さ
れているので、ライナ2及びシリンダブロック本体1間
での熱抵抗が小さく、ライナ2からシリンダブロック本
体1への伝熱性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリンダブロック本体
内にライナが装備されてなるライナ一体化シリンダブロ
ック及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ピストンを往復動させるボアが
形成されたエンジン用シリンダブロックとしては、軽量
化等の要請からアルミニウム系合金で形成されたシリン
ダブロック本体と、このシリンダブロック本体に圧入、
嵌合されボアを形成する鋳鉄製ライナとからなるライナ
一体化シリンダブロックが知られている(実開昭61−
140147号公報参照)。また、アルミニウム系合金
よりなるシリンダブロック本体に鋳鉄製ライナを鋳包ん
でなるライナ一体化シリンダブロックも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シリンダブロ
ック本体内に圧入によりライナを装備したものでは、シ
リンダブロック本体とライナとが機械的に結合している
にすぎないので、両者間には空気断熱層等による熱抵抗
があり、したがってライナからシリンダブロック本体へ
熱が伝わりにくい。
【0004】ここで、一般に、エンジンの熱効率は混合
気を高圧縮化するほど優れるが、混合気が高圧縮化され
ることに伴い発熱量が多くなってボア内のガス温度が上
昇し、これによりノッキングを誘発し易くなることが知
られている。このため、ライナ圧入型のシリンダブロッ
クを採用したエンジンでは、熱効率を向上させるべく高
圧縮化した混合気を燃焼させると、ライナからシリンダ
ブロック本体へ熱が伝わりにくいことから、ボア面の冷
却性能が低下し、ボア内のガス温度が低下し難くなる。
したがって、点火時期の遅延調節(リタード)や高空燃
比化等の対策を講じなければノッキングを生じてしま
い、エンジン本来の高出力が得られ難いとともに、燃費
も悪化するなど、出力性能の低下を生じるという欠点が
あった。
【0005】また、ライナ圧入型のシリンダブロック
は、シリンダブロック本体及びライナ間におけるシール
性も必ずしも十分ではなく、ウェットライナタイプの場
合、冷却水の漏れが発生するおそれがあった。一方、ラ
イナ鋳包み型のシリンダブロックでは、シリンダブロッ
ク本体とライナとがアンカー効果により結合しているに
とどまり、ライナの熱をシリンダブロック本体に効果的
に伝達し難くなっている。このため、このシリンダブロ
ックを採用したエンジンでは、ライナ圧入型のシリンダ
ブロックを採用するエンジンよりはましなものの、やは
り本来の出力性能が得られない。
【0006】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あり、ライナからシリンダブロック本体への伝熱性を向
上させてボア面の冷却性能を向上させるとともに、ライ
ナ及びシリンダブロック本体間のシール性を向上させ、
ひいてはエンジンの出力性能の向上を図ることのできる
ライナ一体化シリンダブロック及びその製造方法を提供
することを解決すべき技術課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1記載のライナ一体化シリンダブロックの製造方法
は、シリンダブロック本体と、該シリンダブロック本体
内に装備されてボアを形成するライナとからなるライナ
一体化シリンダブロックを製造する方法であって、上記
シリンダブロック本体と上記ライナとを溶着により接合
することを特徴とするものである。
【0008】請求項2記載のライナ一体化シリンダブロ
ックの製造方法は、前記シリンダブロック本体と前記ラ
イナとを両者間に摩擦熱が発生するように互いに摺接さ
せて溶着することを特徴とするものである。請求項3記
載のライナ一体化シリンダブロックの製造方法は、前記
シリンダブロック本体と前記ライナとをライナ内面から
の高密度エネルギーの照射により溶着し、該溶着部をシ
リンダブロック本体材とライナ材とからなる合金部とす
ることを特徴とするものである。
【0009】請求項3記載の製造方法により製造される
請求項4記載のライナ一体化シリンダブロックは、シリ
ンダブロック本体と、該シリンダブロック本体内に装備
されてその内面でボアを形成するライナとからなるライ
ナ一体化シリンダブロックにおいて、上記シリンダブロ
ック本体と上記ライナとがライナ内面からの高密度エネ
ルギーの照射により溶着され、該溶着部がシリンダブロ
ック本体材とライナ材とからなる合金部とされ、該合金
部がボア面に表出していることを特徴とするものであ
る。
【0010】
【作用】請求項1〜4に係るライナ一体化シリンダブロ
ックは、シリンダブロック本体とライナとが溶着されて
おり、原子・分子レベルで金属学的に結合されているの
で、従来のライナ圧入型やライナ鋳包み型のシリンダブ
ロックと比べて、ライナ及びシリンダブロック本体間で
の熱抵抗が小さくライナからシリンダブロック本体への
伝熱性に優れている。このため、ボア面の冷却性能が従
来より向上し、ボア内のガス温度が低下し易くなってい
る。したがって、このライナ一体化シリンダブロックを
採用したエンジンで熱効率を向上させるべく高圧縮化し
た混合気を燃焼させる場合でも、ノッキングを効果的に
防止することができ、エンジン本来の高出力が得られる
とともに、燃費も悪化することがなく、出力性能の低下
を効果的に防止することができる。
【0011】また、請求項2記載のライナ一体化シリン
ダブロックの製造方法では、シリンダブロック本体とラ
イナとを両者間に摩擦熱が発生するように互いに摺接さ
せて溶着するので、溶着に際して別途エネルギー源を用
いる必要がなく、コスト低減に寄与する。また、シリン
ダブロック本体とライナとの摺接面においてのみ熱が発
生するので、シリンダブロック本体及びライナ間での材
質差による熱収縮歪みを抑えることができ、ボア変形等
を抑えることが可能である。
【0012】さらに、請求項3記載のライナ一体化シリ
ンダブロックの製造方法では、シリンダブロック本体と
ライナとをライナ内面からの高密度エネルギーの照射に
より溶着するので、高密度エネルギーの照射位置や照射
面積を制御することにより溶着部位や溶着面積を任意
に、かつ、容易に制御することができる。また、高密度
エネルギーの照射により溶着するので、局部的に溶着さ
せることが可能となり、シリンダブロック本体及びライ
ナ間での材質差による熱収縮歪みを効果的に抑えてボア
変形等を効果的に抑えることが可能である。
【0013】さらに、請求項3記載の製造方法により製
造された請求項4記載のシリンダブロックは、高密度エ
ネルギーにより照射された溶着部がシリンダブロック本
体材とライナ材とからなる合金部とされ、該合金部がボ
ア面に表出している。この合金部は、高密度エネルギー
の照射により溶融時に高い攪拌力が得られるため、ほぼ
均一に溶融凝固して得られたのであり、組織がほぼ均一
にチル化されている。このため、合金部は他の部分より
硬化されて耐摩耗性が向上している。したがって、請求
項3記載の製造方法において、ボア面のうち特に耐摩耗
性が要求されるピストンの上死点、下死点付近に相当す
る部位に高密度エネルギーの照射を集中させて、同部位
にチル化された合金部を意図的に多く存在させることに
より、耐摩耗性及び耐久性に優れたシリンダブロックと
することができる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (実施例1)本実施例に係るエンジン用シリンダブロッ
クは、図1の要部断面図に示すように、シリンダブロッ
ク本体1と、このシリンダブロック本体1内に装備され
てボアを形成するライナ2とから構成されている。
【0015】シリンダブロック本体1はアルミニウム系
合金(JIS AC2C)よりなり、ライナ2が装備さ
れる孔径(ライナ2が装備される前の状態の孔径):8
9.0mmの中央孔1aと、リング状の基部11と、冷
却水が供給されるウォータージャケット1bを形成する
内壁部12及び外壁部13とを有している。なお、基部
11及び内壁部12の内周面により中央孔1aが形成さ
れる。また、内壁部12の内周面上端部には、ライナ2
を中央孔1a内に装入する際に装入方向の位置決めの基
準となる環状段部12aが設けられている。
【0016】ライナ2は高シリコンアルミニウム系合金
(AA A390)よりなり、厚さ:3mm、外径(シ
リンダブロック本体1に装備される前の状態の外径):
90mmの円筒形状をなしている。これは、鋳造等によ
り別途製造して準備した。また、ライナ2の外周面上端
部には、上記環状段部12aと係合するフランジ部2a
が設けられている。このライナ2は、以下に説明するよ
うに、摩擦溶接によりシリンダブロック本体1の基部1
1及び内壁部12の内周面に溶着されている。
【0017】すなわち、打ち込み用油圧シリンダに接続
された拡径式のホルダーによりライナ2の内周面を保持
し、このホルダーを回転させながら打ち込み用油圧シリ
ンダを作動させて、ライナ2を回転させながらシリンダ
ブロック本体1の中央孔1a内に打ち込む。なお、この
ときのライナ2の回転速度は1500rpm以下程度
(本実施例では1200rpm)に、打ち込み速度は1
0mm/sec以上程度(本実施例では20mm/se
c)にすることができる。なお、打ち込み荷重は打ち込
み速度が一定になるように加えることができ、本実施例
では最大7840Nとした。また、上記油圧シリンダ
を、打ち込みストロークを検知しながら、打ち込み方向
と逆方向に交互に作動させることにより、ライナ2を装
入方向に微振動させながら打ち込むこともできる。な
お、振動条件及び打ち込み条件は、振動周波数:5〜1
0Hz程度、ストローク:2〜3mm程度とすることが
できる。このように、ライナ2を回転させながら又は微
振動させながら打ち込むことにより、ライナ2の外周面
とシリンダブロック本体1の基部11及び内壁部12の
内周面とが摺接して両者間に摩擦熱が発生するので、ラ
イナ2の外周面全体並びにシリンダブロック本体1の基
部11及び内壁部12の内周面全体が溶融し、その後放
置又は空冷することにより、ライナ2の外周面全体とシ
リンダブロック本体1の基部11及び内壁部12の内周
面全体とを摩擦溶接により溶着させることができる。
【0018】本実施例のシリンダブロックでは、シリン
ダブロック本体1の基部11及び内壁部12とライナ2
とが摩擦溶接により溶着されており、原子・分子レベル
で金属学的に結合されているので、ライナ2及びシリン
ダブロック本体1間での熱抵抗が小さくライナ2からシ
リンダブロック本体2への伝熱性に優れている。このた
め、ボア面の冷却性能が従来より向上し、ボア内のガス
温度が低下し易くなっている。したがって、このシリン
ダブロックを採用したエンジンで熱効率を向上させるべ
く高圧縮化した混合気を燃焼させる場合でも、ノッキン
グを効果的に防止することができ、エンジン本来の高出
力が得られるとともに、燃費も悪化することがなく、出
力性能の低下を効果的に防止することができる。
【0019】また、シリンダブロック本体1とライナ2
とが溶着されていることから、ライナ2及びシリンダブ
ロック本体1間でのシール性が向上している。このた
め、ウェットライナタイプのシリンダブロックでの水漏
れを効果的に防止することができる。さらに、本実施例
に係る製造方法では、シリンダブロック本体1とライナ
2とを両者間に摩擦熱が発生するように互いに摺接させ
て溶着するので、溶着に際して別途エネルギー源を用い
る必要がなく、コスト低減に寄与する。また、シリンダ
ブロック本体1の基部11及び内壁部12とライナ2と
の摺接面においてのみ熱が発生するので、シリンダブロ
ック本体1及びライナ2間での材質差による熱収縮歪み
を抑えることができ、ボア変形等を抑えることが可能で
ある。
【0020】なお、上記実施例1において、ライナ2内
周面を拡径式ホルダーにて保持し油圧シリンダの作動に
より、ライナ2をシリンダブロック本体1の中央孔1a
内に打ち込み、その後ライナ2の外周面とシリンダブロ
ック本体1の基部11及び内壁部12の内周面とが摺接
して両者間に摩擦熱が発生するようにライナ2を回転又
は微振動させることにより、ライナ2の外周面全体と、
シリンダブロック本体1の基部11及び内壁部12の内
周面全体とを摩擦溶接により溶着させることもできる。
【0021】また、上記実施例1において、ライナ2を
シリンダブロック本体1内に装備させる前の状態におい
て、ライナ2の外周面並びにシリンダブロック本体1の
基部11及び内壁部12の内面はそれぞれ切削仕上げ加
工してあっても、してなくてもいずれでもよい。 (その他の実施例)上記実施例1において、シリンダブ
ロック本体1及びライナ2の形状は特に限定されるもの
ではない。
【0022】例えば、図2に示すように、シリンダブロ
ック本体1の内壁部12をなくして、シリンダブロック
本体1の外壁部13とライナ2との間にウォータージャ
ケット1bが形成される構成とすることもできる。この
場合、基部11の内周面により中央孔1aが形成され、
この基部11の内周面全体とライナ2の外周面とが摩擦
溶接により溶着される。
【0023】また、図3に示すように、シリンダブロッ
ク本体1の内壁部12をなくすとともに、基部11の下
端部に内方に突出する環状突部11aを設け、シリンダ
ブロック本体1の外壁部13及び基部11とライナ2と
の間にウォータージャケット1bが形成される構成とす
ることもできる。この場合、シリンダブロック本体1の
基部11に設けられた環状突部11aの上面とライナ2
の下端面とが摩擦溶接により溶着される。
【0024】さらに、図4に示すように、シリンダブロ
ック本体1の内壁部12をなくすとともに、基部11の
下端内周面に下方に向かうに連れて縮径するテーパ内周
面11bを設け、かつ、ライナ2の下端外周面に下方に
向かうに連れて縮径するテーパ外周面2bを設け、シリ
ンダブロック本体1の外壁部13及び基部11とライナ
2との間にウォータージャケット1bが形成される構成
とすることもできる。この場合、シリンダブロック本体
1の基部11に設けられたテーパ内周面11bとライナ
2に設けられたテーパ外周面2bとが摩擦溶接により溶
着される。
【0025】そして、図3及び図4に示す実施例におい
ては、ライナ2をシリンダブロック本体1内に打ち込む
際、ライナ2の下端面あるいはテーパ外周面2bを基部
11の環状突部11aあるいはテーパ内周面11bに押
し付けながらライナ2を回転させたり、又はライナ2を
回転させて摩擦熱により溶融させた後、ライナ2の下端
面あるいはテーパ外周面2bを基部11の環状突部11
aあるいはテーパ内周面11bに押し付けたりすること
により、容易に、かつ、確実にシリンダブロック本体1
とライナ2とを摩擦溶接により溶着させることができ
る。また、ライナ2の外周側面をシリンダブロック本体
1との溶着部に用いていないので、ライナ2の外周側面
全体をウォータージャケット1b内の冷却水に接触させ
ることができ、ボア面の冷却性能を向上させるのに有利
となる。
【0026】また、上記実施例1において、ライナ2の
材質は、アルミニウム系合金よりなるシリンダブロック
本体1の材質との関係で、摩擦溶接によりシリンダブロ
ック本体1に溶着させることのできるものであれば特に
限定されるものではない。上記実施例1で用いた耐摩耗
性に優れる高シリコンアルミニウム系合金の他に、アル
ミニウム系合金母材中にセラミックス粒子が分散された
アルミ基セラミックス粒子複合材や、耐摩耗性に優れる
繊維強化アルミニウム基金属や、鋳鉄とすることも可能
である。但し、溶接性を考慮した場合、シリンダブロッ
ク本体1がアルミニウム系合金よりなるので、アルミニ
ウム基金属同士の方が溶接性が向上して両者の接合力が
増大するため、さらには軽量化にも有利となるため、ラ
イナ2の材質としては鋳鉄よりもアルミニウム系合金を
用いることが好ましい。
【0027】(実施例2)図5に模式的に示す本実施例
に係るシリンダブロックの製造方法は、シリンダブロッ
ク本体1とライナ2とを、ライナ2内面からの高密度エ
ネルギーの照射により溶着するものである。すなわち、
図5に示すように、アルミニウム系合金(JIS AC
2C)よりなるシリンダブロック本体1の中央孔1a
(孔径:89.0mm)内に鋳鉄(S45、非焼き入れ
品)よりなるライナ2(厚さ:0.5mm、外径:8
8.9mm)を装入、配設し、ライナ2内に反射ミラー
6を配設した。この反射ミラー6は、図示しない治具に
よりライナ2の軸方向略中央に固定されており、後述す
る集光レンズ7により収束されて水平方向に進行する高
密度エネルギーが反射ミラー6により略直角方向に反射
されるように配設されている。また、シリンダブロック
本体1は、図示しないNC加工機により、図5のX軸及
びY軸回りに回転可能とされている。
【0028】そして、NC加工機によりシリンダブロッ
ク本体1をX軸及びY軸回りに回転させながら、高密度
エネルギーを集光レンズ7及び反射ミラー6を介してラ
イナ2の内面に図6に示すようなパターン(黒点で示す
部分が照射部分)で照射してライナ2とシリンダブロッ
ク本体1とを溶着し、図6に黒点で示す溶着部を、シリ
ンダブロック本体1材とライナ2材とからなる合金部3
とした。上死点、下死点付近において、合金部3が占め
る面積の割合は60〜75%程度であり、上死点、下死
点付近以外の他の部分において、合金部3が占める面積
の割合は30〜50%程度である。また、各合金部3
は、図7に断面形状を示すように、中心部が局部的に深
くなり、周縁部に近づくほど浅くなっている。これは、
レーザなどの高密度エネルギーを用いた加工では、キー
ホール効果により溶融形状がこのような形状になるから
である。各合金部3の中心の最深部の深さDは0.7〜
1.2mm程度であり、各合金部3の巾はφ1mm程度
である。さらに、各合金部3におけるFe中のAl比率
は、1〜10wt%である。
【0029】なお、本実施例では高密度エネルギー源と
してYAGレザーを用い、加工条件は以下の通りであ
る。 出力 :3〜5J/パルス パルス巾 :10ms 繰り返し周波数 :10〜15Hz 加工速度 :1000mm/min 本実施例に係るシリンダブロックは、前記実施例1で説
明した作用、効果の他に以下に示す作用、効果も奏す
る。
【0030】すなわち本実施例では、シリンダブロック
本体1とライナ2とを高密度エネルギーの照射により溶
着するので、高密度エネルギーの照射位置や照射面積を
制御することにより溶着部位や溶着面積を任意に、か
つ、容易に制御することができる。また、高密度エネル
ギーの照射により局部的に溶着させることが可能とな
り、シリンダブロック本体1及びライナ2間での材質差
による熱収縮歪みを効果的に抑えてボア変形等を効果的
に抑えることが可能である。
【0031】さらに、高密度エネルギーにより照射され
た溶着部がシリンダブロック本体1材とライナ2材とか
らなる合金部3とされ、該合金部3がボア面に表出して
いる。この合金部3は、高密度エネルギーの照射により
溶融時に高い攪拌力が得られるため、ほぼ均一に溶融凝
固して得られたものであり、組織がほぼ均一にチル化さ
れている。このため、合金部3は他の部分より硬化され
て耐摩耗性が向上している。実際に合金部3が集中して
いる上死点(下死点)付近の硬さを測定したところ、2
50〜300Hvであり、ライナ2自身の硬さ(200
〜250Hv)より50Hv程度向上していた。したが
って、図6に示すように、ボア面のうち特に耐摩耗性が
要求されるピストンの上死点、下死点付近に相当する部
位に高密度エネルギーの照射を集中させて、同部位にチ
ル化された合金部3を意図的に多く存在させることによ
り、耐摩耗性及び耐久性に優れたシリンダブロックとす
ることができる。さらに、このように溶着部を合金部3
としてライナ2単体よりも硬さを高くすることができる
ことから、本実施例3で示したように、ライナ2として
厚さ:0.5mmと比較的薄いライナを用いても摩耗、
変形に対する信頼性が向上し、軽量化に有利となる。
【0032】ここで、上死点、下死点付近においては、
耐摩耗性を考慮して、合金部3が占める面積の割合は6
0〜75%程度とすることが好ましい。また、各合金部
3におけるFe中のAl比率は、1〜10wt%とする
ことが好ましい。Fe−Alの状態図によれば、Fe中
のAl比率が15wt%となる組成濃度以上になるとF
3 Alの金属間化合物が析出、生成するが、レーザな
どの高密度エネルギーを用いた加工では上記金属間化合
物が析出する組成濃度が低濃度側にシフトするため、F
e中のAl比率が約10%以上となったときに上記金属
間化合物が析出し始める。この金属間化合物は脆いた
め、合金部3内に金属間化合物が存在しない方が好まし
い。したがって、各合金部3におけるFe中のAl比率
は10wt%以下とすることが好ましい。
【0033】さらに、各合金部3の深さDとしては、ラ
イナ2の厚さより深く、かつ、合金部3におけるFe中
のAl比率が10wt%以下となる深さにすることが好
ましい。厚さ:0.5mmのライナ2を用い、高密度エ
ネルギー源を用いて溶融接合することにより得られる合
金部3の深さDを変化させた際の合金部3の深さDと、
合金部3におけるFe中のAl比率との関係を図9に示
すように、深さDが深くなるほどFe中のAl比率も増
大し、深さDが1.2mmを越えるとFe中のAl比率
が10wt%を越える。したがって、厚さ:0.5mm
のライナ2を用いた場合、合金部3の深さDは0.7〜
1.2mm程度とすることが好ましい。すなわち、合金
部3の深さDは、ライナ2の厚さの1.5〜2.5倍程
度とすることが好ましい。
【0034】したがって、合金部3におけるFe−Al
組成や深さD等を上述した範囲にするために、レーザー
加工条件として、出力を3〜5J/パルスに設定するこ
とが好ましい。なお、上記実施例2では、高密度エネル
ギーとしてYAGレーザを用いたが、この他にCO2
ーザや電子ビーム等の他の高密度エネルギーを用いるこ
とができ、同様の効果を得ることができる。
【0035】また、上記実施例2では、ライナ2の材料
としてFe系材料を用いたが、Co系材料やNi系材料
も用いることが可能である。
【0036】
【発明の効果】以上詳述したように本発明に係るシリン
ダブロックは、シリンダブロック本体とライナとを溶着
により接合したものであるから、ライナからシリンダブ
ロック本体への伝熱性を向上させてボア面の冷却性能を
向上させるとともに、ライナ及びシリンダブロック本体
間のシール性を向上させ、ひいてはエンジンの出力性能
の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に係るシリンダブロックの断面図で
ある。
【図2】 本実施例に係るシリンダブロックの他の態様
を示す断面図である。
【図3】 本実施例に係るシリンダブロックのさらに他
の態様を示す断面図である。
【図4】 本実施例に係るシリンダブロックのさらに他
の態様を示す断面図である。
【図5】 実施例2に係るシリンダブロックの製造方法
を模式的に説明する斜視図である。
【図6】 実施例2に係るシリンダブロックの製造方法
において、高密度エネルギーの照射パターンを説明する
斜視図である。
【図7】 実施例2に係るシリンダブロックにおける合
金部3の断面形状を示す断面図である。
【図8】 実施例2に係るシリンダブロックにおいて、
合金部3の深さDと、合金部3にけるFe中のAl比率
との関係を示す図である。
【符号の説明】
1はシリンダブロック本体、2はライナ、3は合金部で
ある。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダブロック本体と、該シリンダブ
    ロック本体内に装備されてボアを形成するライナとから
    なるライナ一体化シリンダブロックを製造する方法であ
    って、 上記シリンダブロック本体と上記ライナとを溶着により
    接合することを特徴とするライナ一体化シリンダブロッ
    クの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記シリンダブロック本体と前記ライナ
    とを両者間に摩擦熱が発生するように互いに摺接させて
    溶着することを特徴とする請求項1記載のライナ一体シ
    リンダブロックの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記シリンダブロック本体と前記ライナ
    とをライナ内面からの高密度エネルギーの照射により溶
    着し、該溶着部をシリンダブロック本体材とライナ材と
    からなる合金部とすることを特徴とする請求項1記載の
    ライナ一体化シリンダブロックの製造方法。
  4. 【請求項4】 シリンダブロック本体と、該シリンダブ
    ロック本体内に装備されてその内面でボアを形成するラ
    イナとからなるライナ一体化シリンダブロックであっ
    て、 上記シリンダブロック本体と上記ライナとがライナ内面
    からの高密度エネルギーの照射により溶着され、該溶着
    部がシリンダブロック本体材とライナ材とからなる合金
    部とされ、該合金部がボア面に表出していることを特徴
    とするライナ一体化シリンダブロック。
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