JP2001182611A - シリンダヘッドとその製造方法 - Google Patents

シリンダヘッドとその製造方法

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JP2001182611A
JP2001182611A JP37110999A JP37110999A JP2001182611A JP 2001182611 A JP2001182611 A JP 2001182611A JP 37110999 A JP37110999 A JP 37110999A JP 37110999 A JP37110999 A JP 37110999A JP 2001182611 A JP2001182611 A JP 2001182611A
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cylinder head
reinforcing member
fitting recess
combustion chamber
valve seat
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JP37110999A
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English (en)
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Yukitoshi Hikita
幸俊 引田
Satoyoshi Ryuzaki
悟賢 龍崎
Masami Ueno
正巳 上野
Isao Suzuki
勇雄 鈴木
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強化部材を摩擦熱を利用してろう付けすること
により、加工途中のシリンダヘッドの変形を防止でき
る、軽合金製のシリンダヘッドの下面側の吸・排気ポー
ト周辺部を強化したシリンダヘッドとその製造方法を提
供する。 【解決手段】エンジンの各一気筒毎の燃焼室2に臨む部
分に嵌合凹部17を設け、該嵌合凹部17に耐熱性に優れた
強化部材14を嵌合配置するシリンダヘッド10であって、
該強化部材14は燃焼室2に臨む面は少なくとも吸気弁用
と排気弁用のバルブシートリング11a,12aの外周縁部
を含む第1の円形C1に形成し、かつ、燃焼室2と反対
側は、前記第1の円形C1より縮径させて形成すると共
に、前記強化部材14と前記嵌合凹部17とを溶融性接着材
料15を介在させて摩擦圧接により接合して形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンの燃焼室
に臨み、耐熱性や熱疲労強度が必要とされる、吸・排気
バルブのバルブシート周辺等の部分に、耐熱性等に優れ
た材料で形成された強化部材を嵌合配置したアルミニウ
ム系合金等の軽合金製のシリンダヘッド及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近のエンジンにおいては、エンジン本
体をアルミニウム合金等の軽合金製とすることにより軽
量化を図っている。この軽合金製のエンジンにおいて
は、鉄系合金製と異なり、耐熱性や熱疲労強度に劣るた
め、図8に示すように、吸気バルブや排気バルブが当接
する弁座(バルブシート)部分や、シリンダヘッド20の
下面の吸気ポート21及び排気ポート22の周辺部、特に、
吸気弁用バルブシートリング21aや排気弁用バルブシー
トリング22aの周辺部に、亀裂や座屈や変形等が発生し
易いという問題がある。
【0003】そのため、シリンダヘッドとは別の材料で
作られた、耐熱性及び熱疲労強度に優れた強化部材を組
み合わせて局部的に強化することが行われ、肉盛や摩擦
圧接等が行われている。なお、一般的にバルブシートリ
ング21a、22aは焼結材や耐熱鋼で形成される。
【0004】そして、肉盛で強化する場合には、バルブ
シートリングが配置される部分に熱疲労強度に優れた銅
合金を肉盛しているが、この肉盛層を形成する作業は、
精密な管理のもとでする必要があり、多くの工数と時間
が掛かるため、シリンダヘッドの製造コストが高くなる
という問題がある。
【0005】また、摩擦圧接により強化部材を接合する
場合に関しては、その例として、特開平9−11934
1号公報及び特開平9−119342号公報に、シリン
ダヘッドの吸・排気ポートの開口縁部とバルブシートを
含む触火面に、耐熱鋳鋼や軽合金複合材料等の耐熱材料
を摩擦圧接して形成し、弁間亀裂を防止するシリンダヘ
ッド構造が提案されている。
【0006】この摩擦圧接は、5〜15MPaの摩擦圧
力で、摩擦時間25〜50sの間摩擦しつつ相対運動さ
せて接合し、その後、アプセット時間3〜7sの間、1
0〜30MPaのアプセット圧力でアップセットを行う
としている。
【0007】この摩擦圧接は、図9に示すシリンダヘッ
ド20の嵌合凹部27の部分に、鉄系やアルミ系の耐熱材料
24を嵌合配置するもので、図10に示すように、シリン
ダヘッド20を摩擦圧接機30に固定すると共に、耐熱材料
24を摩擦圧接機30の回転押圧部32に装着して、シリンダ
ヘッド20の嵌合凹部27に当接して回転させながら、摩擦
推力Pでシリンダヘッド20に押圧して、発生する摩擦熱
により耐熱材料24をシリンダヘッド20に接合することに
より行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示すように、シリンダヘッド20の強化部材24を接合する
側には、吸気ポート21や排気ポート22等が開口していて
おり、この摩擦圧接により強化部材24を接合する方法を
用いると、この開口が多く構造的に弱い部分に強化部材
を押圧することになり、しかも、摩擦推力Pが大きく、
温度も高くなるので、摩擦圧接時に、図11に示すよう
なシリンダヘッド20の変形が生じてしまうという問題が
ある。
【0009】この変形が生じると、吸気ポート形状の変
形を伴い、理想的な燃焼が阻害される。また、シリンダ
ヘッド内部冷却水路が圧迫されるため、冷却性能の低下
を引きおこす。そのため、このシリンダヘッドの変形を
防止することが極めて重要となる。
【0010】そして、この変形を防止するために、W/
Jとポート部を強化アップするために亜鉛やショット玉
等を入れる、つまり、内部冷却水路やポート内に亜鉛等
を充填し、剛性を高めた上で圧接後に除去する等の工夫
を凝らすと工程が増え生産効率が悪くなり、また、コス
トも高くなるという問題がある。
【0011】本発明は、上述の問題を解決するためにな
されたものであり、その目的は、強化部材を摩擦熱を利
用してろう付けすることにより、加工途中のシリンダヘ
ッドの変形を防止できる、軽合金製のシリンダヘッドの
下面側の吸・排気ポート周辺部を強化したシリンダヘッ
ドとその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】以上のような目的を達成
するためのシリンダヘッドとその製造方法は、以下のよ
うに構成される。
【0013】1)このシリンダヘッドは、エンジンの各
一気筒毎の燃焼室に臨む部分に嵌合凹部を設け、該嵌合
凹部に耐熱性に優れた強化部材を嵌合配置するシリンダ
ヘッドであって、該強化部材は燃焼室に臨む面は少なく
とも吸気弁用と排気弁用のバルブシートリングの外周縁
部を含む第1の円形に形成し、かつ、燃焼室と反対側
は、前記第1の円形より縮径させて形成すると共に、前
記強化部材と前記嵌合凹部とを溶融性接着材料を介在さ
せて摩擦圧接により接合したことを特徴とする。
【0014】この構成により、最も強化が必要な範囲、
即ち、シリンダヘッド下面の熱亀裂が発生し易い吸気弁
用及び排気弁用のバルブシートリングの外周部分が強化
部材で強化される。
【0015】また、強化部材を溶融性接着材料を介在さ
せて摩擦接合することにより、シリンダヘッドの嵌合凹
部と強化部材の接合を、比較的低温で且つ低摩擦圧力で
容易に行うことができるので、接合が堅固なシリンダヘ
ッドとなる。
【0016】また、強化部材の燃焼室と反対側の先端部
を縮径することにより、余分なろう材と気体が排出しや
すくなるので、ろう回り不足やボイド等の欠陥の発生を
防止しながら、接合面間にろうを十分に流すことがで
き、薄い均一な層を作ることができる。
【0017】なお、シリンダヘッドの材料としては、ア
ルミニウムやアルミニウム合金(AC2B等)があり、
また、強化部材の材料としては、アルミ鋳物製のシリン
ダヘッドより強度特性に優れた、Al−Cu−Mg系合
金(例えば、1Cu−12Si−1Mg−1Ni)、Y
合金(4Cu−1Mg−2Ni)や、アルミニウム合金
展伸材などを使用することができる。
【0018】2)そして、上記シリンダヘッドに関し
て、前記強化部材の深さを、バルブシートリング穴の深
さよりも大きく形成すると共に、該強化部材の燃焼室と
反対側の先端部を、少なくとも前記各バルブシートリン
グの中心を含む第2の円形に形成する。
【0019】この構成により、強化する必要がある部分
を強化部材でカバーすることができる。
【0020】3)また、上記のシリンダヘッドにおい
て、前記溶融性接着材料を硬ろう材とすることにより、
溶融性接着材料が燃焼室温度でも溶融しないようにする
ことができる。
【0021】この硬ろう材としては、接合対象の材料に
対して、ぬれ易く、接合作業に適した溶融温度で毛細管
力により隙間に侵入し易いものがよく、アルミニウム合
金ろう、リン銅ろう、銀ろう、金ろう等がある。
【0022】4)そして、上記のシリンダヘッドにおい
て、前記シリンダヘッド、前記強化部材、及び、前記溶
融性接着材料を、アルミ系材料とすることにより、全体
がアルミ系材料で構成されることになるので、相互間が
接着し易くなり、結合強度が向上する。
【0023】5)そして、上記のシリンダヘッドにおい
て、前記シリンダヘッドの前記嵌合凹部の前記底部と内
周面とが交差する部分に丸み付け又は面取りをしたりす
ることによって、余分となる溶融性接着材料と気体を排
出し易くする。
【0024】この丸み付け部(R部)や面取り部を設け
る構成により、更に、余分なろう材と気体が排出しやす
くなるので、ろう付けを更に堅固なものとすることがで
き、また、同時に、円盤状の強化部材の外周部の角部や
嵌合凹部の角部も無くなるので強化部材側の応力集中を
緩和でき、強化部材を強化できる。
【0025】そして、上記のシリンダヘッドを製造する
方法は次のように構成される。
【0026】6)このシリンダヘッドを製造する方法
は、エンジンの燃焼室に臨む部分に嵌合凹部を設け、該
嵌合凹部に耐熱性に優れた強化部材を嵌合配置するシリ
ンダヘッドの製造方法であって、前記嵌合凹部を設けた
状態で前記シリンダヘッドを形成し、該嵌合凹部に溶融
性接着材料を塗布し、塗布した後に、該嵌合凹部に前記
強化部材を当接して摩擦圧接することにより、前記溶融
性接着材料を溶融して、前記強化部材を前記嵌合凹部に
接合し、接合後に、バルブシートリング穴を形成するこ
とを特徴とするシリンダヘッドの製造方法である。
【0027】このシリンダヘッドの製造方法によれば、
溶融性接着材料を塗布してから、摩擦圧接をするので摩
擦推力及び上昇温度を低くすることができ、製造時のシ
リンダヘッドの変形を防止できる。
【0028】この方法では摩擦圧接を使用するが、接合
圧力は1〜5MP程度で良いため、シリンダヘッドの変
形を防止できる。
【0029】そして、上昇温度範囲と接合圧力が小さい
ので、接合における作業効率がよく、摩擦圧接装置も小
型で済む。特に、摩擦推力を同一の融接能力を持つ超音
波融接装置と摩擦圧接装置を比較した場合、摩擦推力が
低くなるため、圧接装置を簡素化できる。
【0030】7)前記シリンダヘッドの製造方法におい
て、前記摩擦圧接時にシリンダヘッドの吸・排気ポート
と前記嵌合凹部との間に変形防止壁を形成していること
を特徴とする。
【0031】これにより、摩擦圧接時にシリンダヘッド
の吸・排気ポートと嵌合凹部との間に変形防止壁を形成
し、吸気ポート、排気ポート、インジェクタ・グロープ
ラグ挿入孔の開口部を閉塞した剛性の高い状態で摩擦圧
接を行うことにより、摩擦圧接時のシリンダヘッドの変
形を防止できる。
【0032】従って、このシリンダヘッドの製造方法に
よれば、従来の摩擦圧接工法と比べ、変形に対する考慮
が不用になり、比較的短時間で安価に、加工途中におけ
るシリンダヘッドの変形を防止しながら、軽合金製のシ
リンダヘッドの下面側の吸・排気ポート周辺部を強化部
材で強化したシリンダヘッドを製造できる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明に係
るシリンダヘッドとその製造方法について説明する。
【0034】本発明の実施の形態であるシリンダヘッド
10は、シリンダヘッド10の鋳造時に、図1〜図4に示す
ように、エンジンの燃焼室2を臨む下面の部分に、耐熱
性や熱疲労強度に優れた材料で作られた強化部材14を嵌
合するための嵌合凹部17を設けて形成する。
【0035】この嵌合凹部17は、図2、図3、図4に示
すように、燃焼室2のシリンダ軸3のZ方向から見た時
の平面視で、シリンダヘッド10の下面における開口面17
bは、燃焼室2の中心を略中心とし、少なくとも吸気弁
用のバルブシートリング11aの外周縁部と排気弁用のバ
ルブシートリング12aの外周縁部を含む大きさ(直径D
1)の第1の円形C1に形成され、また、底部17aは、
第1の円形C1と同心で、少なくとも吸気弁用のバルブ
シートリング11aの中心11cと排気弁用のバルブシート
リング12aの中心12cを含む大きさ(直径D2)の第2
の円形C2に形成される。
【0036】また、図3及び図4に示すように、その深
さH2は、バルブシートリング穴16の深さH1よりも5
mm〜8mm程度大きく形成される。この嵌合凹部17の
部分がシリンダヘッド10の局部強化の範囲となる。
【0037】この部分を局部的に強化することにより、
シリンダヘッド10下面の熱亀裂が発生し易く、最も強化
が必要な部分をすべて強化できる。つまり、上記の嵌合
凹部17及び強化部材14の範囲が、このアルミニウム鋳物
であるシリンダヘッド10の吸気弁用のバルブシートリン
グ11aや排気弁用のバルブシートリング12aの周辺部や
吸・排気ポート11,12周辺の不具合が発生する部分を全
部カバーできる最小限度範囲を含んだ範囲となる。
【0038】そして、この嵌合凹部17は、第1の円形C
1と第2の円形C2との間が傾斜面の内周面17cで形成
される円錐台形状で形成されるが、図2に示すように、
底部17aと内周面17cとが交わる部分17crに、丸み付
け、又は、面取りをしておわん形状とすることもでき
る。
【0039】このおわん形状に形成すると、ろう付け時
に余分となるろう材、フラックス、発生するガスやエア
が逃げやすくなるので、ろう回り不足やボイドの発生を
防止できる。ろう付けが確実に行なえる。従って、接合
面間にろう材15を十分に流すことができて、ろう付けに
重要な薄い均一な層を作ることができる。そのため、堅
固な接合ができる。
【0040】また、この嵌合凹部17の底部17aは、シリ
ンダヘッド20の鋳造時には、図3に示すように、シリン
ダヘッド20に設けられる吸気ポート11と排気ポート12の
開口部となる部分を完全に開口しておかずに、変形防止
壁18を形成して剛性を高めておき、摩擦圧接によるろう
付け時のシリンダヘッド20の変形を防止する。この変形
防止壁18にはシリンダヘッド鋳造時の砂抜きや中子支え
等の必要性に応じて、小径穴19a等を設けてもよい。
【0041】なお、シリンダヘッドの材料としては、ア
ルミニウムやアルミニウム合金(AC2B等)等を使用
することができる。
【0042】次に、強化部材14は、嵌合凹部17に嵌合す
る形状に形成される。
【0043】つまり、嵌合凹部17の形状に合わせて、吸
気弁用と排気弁用のバルブシートリング11a,12aが配
設される部分を含み、かつ、燃焼室2と反対側の、嵌合
凹部17の底部17aに当接する先端部14a側を縮径させて
形成する。
【0044】更に、強化部材14の深さH2を、吸排気弁
用のバルブシートリング穴16の深さH1(複数ある時は
最深の値)よりも大きく形成すると共に、強化部材14の
シリンダヘッド10下面における部分を、燃焼室2のシリ
ンダ軸3の方向(Z方向)から見た時の平面視で、少な
くとも吸気弁用と排気弁用のバルブシートリング11a,
12aの外周縁部を含む第1の円形C1に形成すると共
に、強化部材14の先端部14aを、少なくとも各バルブシ
ートリング11a,12aの中心11c,12cを含む第2の円
形C2に形成する。
【0045】そして、外周部分14cをテーパー形状とし
て形成し、更に、嵌合凹部17の形状に応じて、外周部分
14cと先端部14aとが交わる部分に丸み14crを付けた
り、面取りしたりして形成する。この丸み付けや面取り
により、強化部材14の角部を無くすことができるので、
強化部材14の応力集中部を無くし強化できる。
【0046】この強化部材14の材料としては、アルミシ
リンダヘッド鋳物の強度特性より向上した材料、つま
り、耐熱性及び熱疲労強度に優れた金属材料、例えば、
A2024等を使用する。
【0047】そして、嵌合凹部17に溶融性接着材料15を
塗布して、強化部材14を摩擦圧接する。この溶融性接着
材料15として、例えば、接着温度550℃のアルミット
AM−055又はAM−350(日本アルミット(株)
製)のろう材を使用できる。
【0048】この他にも、この溶融性接着材料15として
は、接合対象材料にぬれ易く、接合作業に適した溶融温
度で毛細管力により隙間に侵入し易いものであればよ
く、アルミニウム合金ろう、リン銅ろう、銀ろう、金ろ
う等の硬ろう材を使用できる。なお、アルミニウム合金
系ろう材を使用した場合には、ろう付け温度範囲は、5
20℃〜620℃となる。
【0049】この硬ろう材を溶融性接着材料15として使
用することにより、溶融性接着材料15の溶融温度を燃焼
ガスに曝されて昇温する温度より高くできるので、高温
の燃焼ガスに曝される強化部材14の接合を確実に行え
る。
【0050】更に、シリンダヘッド10、前記強化部材1
4、及び、前記溶融性接着材料15を、アルミ系材料と
し、全体をアルミ系材料で構成することにより、相互間
が接着し易くなるので、結合強度を更に向上させること
が出来る。
【0051】以上の構成のシリンダヘッド10によれば、
強化部材14を、摩擦熱によって溶融する溶融性接着材料
15によって、シリンダヘッド10の嵌合凹部17に接合して
いるので、比較的高い温度や大きい摩擦推力Pを受ける
ことがなくなり、シリンダヘッド10を変形の少ない状態
で製造することができるため、工作精度の高いシリンダ
ヘッドとなる。
【0052】次に、本発明に係るシリンダヘッド10を製
造する方法について説明する。
【0053】先ず、上述した嵌合凹部17を有するシリン
ダヘッド10と強化部材14と溶融性接着材料15を用意し、
シリンダヘッド10の嵌合凹部17に、溶融性接着材料15を
塗布する。
【0054】そして、シリンダヘッド10を摩擦圧接機30
の固定部31に固定すると共に、強化部材14を回転押圧部
32に取り付け、この強化部材14を嵌合凹部17に嵌合さ
せ、1〜5MPa、例えば、約2MPaの摩擦推力Pで
押圧しながら、約1,500rpmで回転する。
【0055】この押圧及び回転によって発生する摩擦熱
により、溶融性接着材料である硬ろう材15が溶融し、図
4(a)に示すように、強化部材14が嵌合凹部17にろう
付けされる。
【0056】この強化部材14がろう付けされたシリンダ
ヘッド10を、必要に応じて熱処理した後、機械加工す
る。この機械加工では、図4(b)に示すように、バル
ブシートリング穴16を穿孔したり、インジェクション穴
13を開孔したりする。そして、このバルブシートリング
穴16に、バルブシートリング11a,12aを嵌合したり、
シリンダヘッド10の所定の場所にバルブガイドを嵌合し
たりする等の製品加工を行い、シリンダヘッド10を完成
する。
【0057】そして、以上のようなシリンダヘッドの製
造方法によれば、次のような効果を奏することができ
る。
【0058】このシリンダヘッドの製造方法において
は、溶融性接着材料15を塗布により嵌合凹部17に配置す
るので、作業が単純化し、また、摩擦圧接で溶融性接着
材料15を溶融するので、溶融性接着材料15の加熱溶融が
容易にできる。
【0059】また、摩擦圧接をろう付け用の熱発生のた
めにだけに使用しているので、摩擦推力Pはシリンダヘ
ッド10の変形が起こり難い比較的低い摩擦推力Pで済む
ので、シリンダヘッド10の変形を防止できる。
【0060】その上、摩擦推力P及び上昇温度が低くて
よいので、摩擦圧接装置30が小型化し、製造コストを低
減できる。しかも、製造時のシリンダヘッド10の変形や
変質を防止できるので、仕上がり精度の良いシリンダヘ
ッド10を提供できる。
【0061】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明に係るシリ
ンダヘッド及びシリンダヘッドの製造方法によれば、次
のような効果を奏することができる。
【0062】1)本発明に係るシリンダヘッドによれ
ば、強化部材で局部的に強化する部分を、吸気弁用と排
気弁用のバルブシートリングを配設する部分を含むの
で、シリンダヘッド下面の熱亀裂が発生し易く、最も強
化が必要な部分を強化部材で強化できる。
【0063】また、強化部材の燃焼室と反対側の先端部
を縮径することにより、余分なろう材と気体が排出しや
すくなるので、ろう回り不足やボイド等の欠陥の発生を
防止しながら、接合面間にろうを十分に流すことがで
き、薄い均一な層を作ることができる。
【0064】そして、強化部材を、摩擦熱によって溶融
する溶融性接着材料によって接合するので、シリンダヘ
ッドの嵌合凹部と強化部材の接着を比較的低温で且つ比
較的低い摩擦推力で容易に行うことができ、変形の少な
い工作精度の高いシリンダヘッドとなる。
【0065】2)また、溶融性接着材料に、燃焼室温度
でも溶融しない硬ろう材を使用することにより、ろう材
の溶融温度が、高温の燃焼ガスに曝される強化部材の上
昇温度より高くなるので、エンジンの運転中にろう材が
溶けることが無く、接合を確実なものとすることができ
る。
【0066】3)そして、嵌合凹部の内周縁部や強化部
材の外周縁部に対して、丸み付けや面取りすることによ
り、更に、フラックス及びろうから発生するガスや溶け
たフラックスが逃げ易くできるので、ろう回り不足やボ
イドの発生を防止できる。そのため、接合面間にろう材
を十分に流すことができて、ろう付けに重要な薄い均一
な層を作ることができ、より堅固な接合ができる。
【0067】4)更に、シリンダヘッド、前記強化部
材、及び、前記溶融性接着材料を、アルミ系材料とし、
全体をアルミ系材料で構成することにより、相互間が接
着し易くなるので、結合強度を更に向上させることが出
来る。
【0068】5)そして、このシリンダヘッドの製造方
法によれば、溶融性接着材料を塗布で嵌合凹部に配置す
るので、作業が単純化し、また、摩擦圧接で溶融性接着
材料を溶融するので、溶融性接着材料の加熱溶融が容易
にできる。
【0069】また、摩擦圧接をろう付け用の熱発生のた
めにだけに使用しているので、摩擦推力及び上昇温度が
低くてよい。その結果、摩擦圧接装置が小型のもので済
むので、製造コストを低減でき、しかも、製造時のシリ
ンダヘッドの変形を防止できるので、仕上がり精度の良
いシリンダヘッドを提供できる。
【0070】6)また、強化部材の摩擦圧接する時に、
嵌合凹部の底部に変形防止壁を設けることにより、吸気
ポート、排気ポート、インジェクション穴(インジェク
タ・グロープラグ挿入孔)等の開口部を閉塞した剛性の
高い状態で、摩擦圧接を行うことができるので、摩擦圧
接時のシリンダヘッドの変形をより効果的に防止でき、
更に、加工精度の高いシリンダヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシリンダヘッドにおける強化部材
を嵌合する範囲を示す底面図である。
【図2】図1の強化部材を示す図であり、上は側断面図
で、下は底面図である。
【図3】本発明に係るシリンダヘッドの変形防止壁を有
している嵌合凹部を示す図1のA−A線の側断面図であ
る。
【図4】本発明に係るシリンダヘッドの強化部材を嵌合
接合した部分を示す図1のB−B線の側断面図で、
(a)は強化部材を嵌合した状態を示す側断面図で、
(b)は嵌合後にバルブシートリングを設けた状態を示
す拡大側断面図である。
【図5】シリンダヘッドの嵌合凹部にろう材を塗布し、
強化部材を嵌合する状態を示す側断面図である。
【図6】シリンダヘッドの嵌合凹部に強化部材を押圧し
た状態を示す側断面図である。
【図7】シリンダヘッドと強化部材を摩擦圧接機にセッ
トした状態を示す側面図である。
【図8】従来技術のシリンダヘッドにおけるキレツ、座
屈、変形の発生する場所を示すシリンダヘッドの底面図
である。
【図9】従来技術のシリンダヘッドであって、強化部材
を接合する部分を示す側断面図である。
【図10】従来技術のシリンダヘッドと強化部材を摩擦
圧接機にセットした状態を示す側面図である。
【図11】従来技術のシリンダヘッドの変形を示す図1
0のX部分の模式的な拡大側断面図である。
【符号の説明】
2 シリンダボア 3 シリンダ軸 10 シリンダヘッド 11 吸気ポート 11a 吸気弁用のバルブシートリング 11c 吸気弁用のバルブシートリングの中心 12 排気ポート 12a 排気弁用のバルブシートリング 12c 排気弁用のバルブシートリングの中心 13 インジェクション穴 14 強化部材 14a 先端部 15 溶融性接着材料 16 バルブシートリング穴 17 嵌合凹部 17a 底部 17c 内周面 18 変形防止壁
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月20日(2000.1.2
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】そして、この変形を防止するために、W/
(ウォータージャケット)とポート部を強化アップす
るために亜鉛やショット玉等を入れる、つまり、内部冷
却水路やポート内に亜鉛等を充填し、剛性を高めた上で
圧接後に除去する等の工夫を凝らすと工程が増え生産効
率が悪くなり、また、コストも高くなるという問題があ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23K 103:10 B23K 103:10 (72)発明者 上野 正巳 神奈川県藤沢市土棚8番地 いすゞ自動車 株式会社藤沢工場内 (72)発明者 鈴木 勇雄 神奈川県藤沢市土棚8番地 いすゞ自動車 株式会社藤沢工場内 Fターム(参考) 3G024 AA14 AA15 FA01 FA14 GA01 GA32 GA33 HA07 4E067 AA05 AB06 BG00 DA17 EB00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの各一気筒毎の燃焼室に臨む部
    分に嵌合凹部を設け、該嵌合凹部に耐熱性に優れた強化
    部材を嵌合配置するシリンダヘッドであって、該強化部
    材は燃焼室に臨む面は少なくとも吸気弁用と排気弁用の
    バルブシートリングの外周縁部を含む第1の円形に形成
    し、かつ、燃焼室と反対側は、前記第1の円形より縮径
    させて形成すると共に、前記強化部材と前記嵌合凹部と
    を溶融性接着材料を介在させて摩擦圧接により接合した
    ことを特徴とするシリンダヘッド。
  2. 【請求項2】 前記強化部材の深さを、バルブシートリ
    ング穴の深さよりも大きく形成すると共に、該強化部材
    の燃焼室と反対側の先端部を、少なくとも前記各バルブ
    シートリングの中心を含む第2の円形に形成したことを
    特徴とする請求項1記載のシリンダヘッド。
  3. 【請求項3】 前記溶融性接着材料は硬ろう材からなる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のシリンダヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 前記シリンダヘッド、前記強化部材、及
    び、前記溶融性接着材料を、アルミ系材料としたことを
    特徴とする請求項3記載のシリンダヘッド。
  5. 【請求項5】 前記シリンダヘッドの前記嵌合凹部の前
    記底部と内周面とが交差する部分に丸み付け又は面取り
    をしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれに記載の
    シリンダヘッド。
  6. 【請求項6】 エンジンの燃焼室に臨む部分に嵌合凹部
    を設け、該嵌合凹部に耐熱性に優れた強化部材を嵌合配
    置するシリンダヘッドの製造方法であって、前記嵌合凹
    部を設けた状態で前記シリンダヘッドを形成し、該嵌合
    凹部に溶融性接着材料を塗布し、塗布した後に、該嵌合
    凹部に前記強化部材を当接して摩擦圧接することによ
    り、前記溶融性接着材料を溶融して、前記強化部材を前
    記嵌合凹部に接合し、接合後に、バルブシートリング穴
    を形成することを特徴とするシリンダヘッドの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記シリンダヘッドの製造方法におい
    て、前記摩擦圧接時に、シリンダヘッドの吸・排気ポー
    トと前記嵌合凹部との間に変形防止壁が形成されている
    ことを特徴とする請求項6記載のシリンダヘッドの製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008120428A1 (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Kawasaki Jukogyo Kabushiki Kaisha 接合方法および接合装置
WO2009150296A1 (en) * 2008-06-12 2009-12-17 Wärtsilä Finland Oy Method of reconditioning of cylinder head of an internal combustion engine

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