JP2010096022A - ピストン耐摩環、そのピストン耐摩環を備えたピストンおよびその製造方法 - Google Patents

ピストン耐摩環、そのピストン耐摩環を備えたピストンおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クーリングチャンネルと耐摩環との良好な溶接が得られ、優れた耐摩耗性を有するピストン耐摩環、そのピストン耐摩環を備えたピストンおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】エンジンのピストン15を鋳造する際にピストン15に鋳込まれるピストン耐摩環32であって、円環状の耐摩環41と、耐摩環41の放射内方側で耐摩環41に当接して収容され、この当接部分が全周囲に亘り溶接されるクーリングチャンネル42とを有し、クーリングチャンネル42が、内方側壁面部と、上側壁面部と、下側壁面部とを有するとともに、内部にディーゼルエンジン10のオイルを流通させる環状オイル通路42mを有し、環状オイル通路42mと外部空間とを連通する連通孔43が、内方側壁面部、上側壁面部および前記下側壁面部のうち少なくともいずれかの壁面部に形成されたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、ピストン耐摩環、そのピストン耐摩環を備えたピストンおよびその製造方法に関し、特に、溶接されたクーリングチャンネルを備えたピストン耐摩環、そのピストン耐摩環にオイルを供給するオイル通路を有するピストンおよびその製造方法に関する。
一般にエンジンのピストンは、高速で往復運動するので、慣性質量を小さくする必要があり、より軽量なアルミニウム合金で製造されている。このようなピストンに装着されるピストンリングは、より高い耐摩耗性が要求されるため、より高硬度のピストンリングが使用されている。この高硬度のピストンリングがピストンとともに高速で往復運動すると、ピストンに形成されたピストンリング溝部が、繰り返し衝撃を受けピストンリング溝部が摩耗し変形してしまうおそれがある。特に、アルミニウム合金製のピストンでは、摩耗や変形が生じ易い。また、燃焼温度および燃焼圧が高いディーゼルエンジンのピストンでは、ピストンの頂面近傍に形成されたトップリング溝部が受ける衝撃も大きく、摩耗や変形が生じ易い。このようなトップリング溝部の摩耗や変形により、ピストンの外周面とピストンを収容するシリンダブロックの内壁面との間の隙間からガス漏れが生じたり、この隙間に供給されるオイルの量が不足したりして、エンジンの出力が低下してしまうという問題がある。
このようなトップリング溝部の摩耗や変形を抑制するため、このトップリング溝部をピストンよりも耐摩耗性の高いものにしている。例えば、このトップリング溝部に、ピストンを形成するアルミニウム合金よりも高硬度、かつアルミニウム合金とほぼ同じ熱膨張係数を有するとともに、高温時にも耐摩耗性を発揮するニレジスト鋳鉄からなるピストン耐摩環が予め作製されている。次いで、このピストン耐摩環をピストンの鋳造の際に鋳込み、鋳込まれたピストン耐摩環にトップリング溝を形成するようにしている。
従来、この種のピストン耐摩環として、図13(a)、(b)に示すように、ニレジスト鋳鉄からなる耐摩環2と、ステンレス鋼からなり、半径方向に切断した断面がコの字状のクーリングチャンネル3とを含んで構成されたピストン耐摩環1が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このピストン耐摩環1においては、クーリングチャンネル3のコの字状の開口部側を耐摩環2の内周部に2点鎖線Yで示すように全周に亘って、プラズマ溶接機などの溶接機で溶接することにより、クーリングチャンネル3の内部に環状オイル通路4を形成している。すなわち、耐摩環2の内周部に溶接されたクーリングチャンネル3の環状オイル通路4内にオイルを流通させることにより、耐摩環2を冷却し、耐摩耗性を向上させるようにしている。
特開平4−300466号公報
しかしながら、従来のピストン耐摩環の場合には、図13(a)、(b)に示すように、耐摩環2とクーリングチャンネル3との当接部分を、矢印Aで示す方向に順次溶接し、元の溶接の開始位置まで全周に亘って溶接しているので、最後に溶接する位置、すなわち溶接開始位置5の近傍を溶接する際には、環状オイル通路4内の空気は著しく高温になっている。内部空気の温度が高くなる程、内部空気は大きく膨張し、Yで示す溶接ビード部における溶接直後の未凝固箇所6または溶接開始位置5の近傍の未溶接部分7から矢印で示すように内部空気が外部空間に噴き出して溶接されない貫通孔が形成されてしまう。この貫通孔の周辺部位では適正な溶接がなされず溶接不良となってしまうという問題があった。
このような溶接不良部分が残るピストン耐摩環1を鋳込んでピストンを製造した場合、ピストン耐摩環1とピストンの界面の溶接不良部分で両者の密着性が欠け、両者が溶接不良部分で剥離してしまうという問題があった。ピストン内部でこのような剥離が生ずると、クーリングチャンネル3の冷却機能や耐摩環2の機械的強度が低下して耐摩環2の耐摩耗性が低下してしまうという問題があった。さらに、ピストンに加わる衝撃により、ピストン耐摩環1とピストンの界面の剥離が進行すると、ピストンに亀裂が生じピストン耐摩環1がピストンから脱落してしまうおそれがあるという問題があった。
本発明は、前述の従来の問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明は、クーリングチャンネルと耐摩環との良好な溶接が得られ、優れた耐摩耗性を有するピストン耐摩環、そのピストン耐摩環を備えたピストンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係るピストン耐摩環は、目的を達成するため、(1)エンジンのピストンを鋳造する際に前記ピストンに鋳込まれるピストン耐摩環であって、外周面部にピストンリング溝が形成される円環状の耐摩環と、前記耐摩環の放射内方側で前記耐摩環に当接して収容されるとともに、前記当接した当接部分の全周囲に亘り、溶接手段により溶接されるクーリングチャンネルとを有し、前記クーリングチャンネルが、放射内方側に位置する内方側壁面部と、軸線方向に直交する上側壁面部と、前記上側壁面部と反対側の下側壁面部とを有するとともに、内部に前記エンジンのオイルを流通させる環状オイル通路を有し、前記環状オイル通路と外部空間とを連通する連通孔が、前記内方側壁面部、前記上側壁面部および前記下側壁面部のうち少なくともいずれかの壁面部に形成されたことを特徴とする。
この構成により、耐摩環とクーリングチャンネルとの当接部分が、順次溶接され、元の溶接の開始位置まで全周に亘って溶接が行われる際、最後に溶接する位置で、従来生じていた溶接不良部分の発生が解消される。すなわち、溶接の際に生ずる熱の影響により、環状オイル通路内の空気が著しく高温になっても、連通孔が形成されているので、従来の溶接の際に起きた内部空気の膨張が起きることはない。内部空気が膨張しないので、従来の溶接のように溶接開始位置の近傍の未溶接部分から内部空気が外部空間に噴き出して溶接されない貫通孔が形成されてしまうようなことはなく、溶接不良となってしまうということはない。
したがって、溶接不良部分が残るピストン耐摩環がピストンに鋳込まれることはなく、ピストン耐摩環とピストンの界面とが確実に密着し、ピストン耐摩環がピストンから剥離することはない。
上記(1)に記載のピストン耐摩環において、(2)前記連通孔の近傍の前記クーリングチャンネルの厚みをtとすると、前記連通孔の直径が、0.5t(mm)〜1.5t(mm)の大きさを有することが好ましい。
この構成により、連通孔の直径が適正な値で形成されているので、内部の空気が連通孔から外部空間に排出され易く、ピストン耐摩環がピストンに鋳込まれる際に、溶融金属が連通孔から内部に流入することが抑制される。したがって、流入した金属により環状オイル通路が狭くなってしまうようなこともなく、良好な環状オイル通路を有するクーリングチャンネルが得られる。
上記(1)または(2)に記載のピストン耐摩環において、(3)前記クーリングチャンネルが、放射外方側に開口する環状オイル通路が形成された開口面部を有し、前記耐摩環が前記外周面部から離隔した内周面部を有し、前記開口面部と前記内周面部とが当接する当接部分を前記溶接手段により溶接されるもので構成される。
この構成により、クーリングチャンネルが容易に形成されるとともに、クーリングチャンネルが耐摩環に容易に溶接され、さらに、耐摩環の内周面部が環状オイル通路の一部を構成しているので、環状オイル通路内を流通するオイルにより耐摩環が直接冷却される。
本発明に係るピストンは、目的を達成するため、(4)前記請求項1ないし請求項3の少なくともいずれか1の請求項に記載のピストン耐摩環が鋳込まれたピストンであって、前記連通孔と前記ピストンの外部空間とを連通させ、前記外部空間に開口する開口部から前記クーリングチャンネルの前記環状オイル通路内に前記オイルを流通させるオイル通路が形成されたことを特徴とする。
この構成により、ピストン耐摩環に形成された連通孔が、オイル通路の一端と連通し、オイル通路の開口として機能することになる。この場合、従来技術のように、ピストン耐摩環の溶接不良部分が、クーリングチャンネルと外部空間とを結ぶオイル通路以外の部分に位置してしまい、ピストンに加わる衝撃により、溶接不良部分に亀裂が生じ、さらに衝撃の繰り返しにより亀裂が進行してピストン耐摩環がピストンから脱落するおそれは生じない。したがって、優れた耐久性を有するピストンが得られる。
本発明に係るピストンの製造方法は、目的を達成するため、(5)請求項1に記載の耐摩環を形成する耐摩環形成工程と、請求項1ないし請求項3の少なくともいずれか1の請求項に記載のクーリングチャンネルを形成するクーリングチャンネル形成工程と、前記クーリングチャンネルに請求項1または請求項2に記載の連通孔を形成する連通孔形成工程と、請求項3に記載の当接部分を溶接により接合しピストン耐摩環を形成するピストン耐摩環形成工程と、前記ピストン耐摩環を鋳込んでピストンを形成するピストン本体形成工程と、前記ピストンに、請求項4に記載のオイル通路を形成するオイル通路形成工程と、を含むことを特徴とする。
この構成により、耐摩環形成工程、クーリングチャンネル形成工程およびピストン耐摩環形成工程を経てピストン耐摩環が形成されるので、溶接不良部分が残るピストン耐摩環がピストンに鋳込まれることはなく、ピストン耐摩環とピストンの界面とを確実に密着させることができる。また、良好な環状オイル通路を有するピストン耐摩環が適正にピストンに鋳込まれているので、ピストン耐摩環の冷却機能および機械的強度が向上し、耐摩耗性が著しく改善され、優れた耐摩耗性を有するピストン耐摩環を備えたピストンが得られる。
また、オイル通路形成工程により、オイル通路がピストンに形成されるので、連通孔から亀裂が生ずることはない。また、従来技術のように、ピストン耐摩環の溶接不良部分が、オイル通路以外の部分に位置してしまい、ピストンに加わる衝撃により溶接不良部分から生ずる亀裂もなく、ピストン耐摩環がピストンから脱落してしまうという弊害が起きないので、優れた耐久性を有するピストンが得られる。
上記(5)に記載のピストンの製造方法において、(6)前記ピストン耐摩環形成工程が、前記耐摩環の内周面部と前記クーリングチャンネルの開口面部とが当接する前記当接部分を溶接する溶接工程を含み、前記連通孔形成工程が、前記溶接工程よりも先に行われるよう構成する。
この構成により、連通孔形成工程が、溶接工程よりも先に行われるので、耐摩環とクーリングチャンネルとの当接部分が溶接される際、クーリングチャンネルに既に連通孔が形成されており、従来生じていた溶接不良部分の発生が解消される。すなわち、溶接の際に生ずる熱の影響により、環状オイル通路内の空気が著しく高温になっても、連通孔が形成されているので、従来の溶接の際に起きた内部空気の膨張が起きることはない。内部空気が膨張しないので、従来の溶接のように溶接開始位置の近傍の未溶接部分から内部空気が外部空間に噴き出して溶接されない貫通孔が形成されてしまうようなことはなく、溶接不良となってしまうということはない。
したがって、溶接不良部分が残るピストン耐摩環がピストンに鋳込まれることはなく、ピストン耐摩環とピストンの界面とが確実に密着し、ピストン耐摩環の冷却機能および機械的強度が向上し、耐摩耗性が著しく改善され、優れた耐摩耗性を有するピストン耐摩環を備えたピストンが得られる。
本発明によれば、クーリングチャンネルと耐摩環との良好な溶接が得られ、優れた耐摩耗性を有するピストン耐摩環、そのピストン耐摩環を備えたピストンおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環およびこのピストン耐摩環が鋳込まれたピストンについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環が鋳込まれたピストンを含むディーゼルエンジンの部分断面図である。図2(a)は、ピストン耐摩環が鋳込まれたピストンの一部を破断した分解斜視図であり、図2(b)は、図2(a)の部分拡大斜視図であり、図3(a)は、ピストン耐摩環の平面図であり、図3(b)は、図3(a)のC−C断面を示す断面図であり、図3(c)は、図3(b)の一部を拡大した部分拡大断面図である。
図4(a)は、耐摩環の平面図であり、図4(b)は、図4(a)のD−D断面を示す断面図であり、図5(a)は、クーリングチャンネルの平面図であり、図5(b)は、図5(a)のE−E断面を示す断面図である。
まず、構成を説明する。
図1に示すように、ディーゼルエンジン10は、シリンダ11を備えたシリンダブロック12と、シリンダブロック12に固定されたシリンダヘッド13と、シリンダヘッド13に固定されたシリンダヘッドカバー14と、シリンダ11内に収容されたピストン15と、ピストン15と図示しないクランクシャフトとを連結するコネクティングロッド16と、ピストン15とコネクティングロッド16とを回転可能に連結するピストンピン17と、シリンダヘッド13内に収容された吸気バルブ18および吸気バルブ18を駆動する吸気カムシャフト19と、排気バルブ21および排気バルブ21を駆動する排気カムシャフト22と、インジェクタ23とを含んで構成されている。シリンダブロック12とシリンダヘッド13との間には、シリンダヘッドガスケット24が介装されており、シリンダ11の気密性が確保されている。
シリンダブロック12は、図示しない他の3個のシリンダを含めて直列4気筒のディーゼルエンジン10を構成している。なお、ディーゼルエンジン10は、直列4気筒のものに限られず、V型などのように任意に気筒配列された多気筒や単気筒であってもよく、ガソリンエンジンなどの公知のエンジンであってもよい。
このシリンダブロック12は、例えば、鋳鉄やアルミ合金などの金属からなり、シリンダ11を囲むシリンダブロック12の内壁面部12nには、耐摩耗性の高い高硬度の金属からなるシリンダライナ12sが設けられており、内壁面部12nの耐久性を高めている。また、シリンダ11の周囲には、ウォータージャケット12wが設けられており、ウォータージャケット12w内に冷却水が流通し、シリンダ11の内壁面部12nおよびピストン15を冷却するようになっている。また、シリンダブロック12の図示しない側面部で、エンジンマウントを介して車体にマウントされている。
シリンダヘッド13は、シリンダブロック12と同様、鋳鉄やアルミ合金など金属からなり、一端が図示しない吸気マニホールドの吸気通路に連通し他端がシリンダ11に連通する吸気ポート13kpと、一端が図示しない排気マニホールドの排気通路に連通し他端がシリンダ11に連通する排気ポート13hpとを有している。
吸気ポート13kp内には、吸気バルブ18が収容されており、排気ポート13hp内には、排気バルブ21が収容されている。また、吸気ポート13kpとシリンダ11との連通部分には、吸気バルブ18が着座するバルブシート部13ksが形成されており、吸気バルブ18の昇降によりバルブシート部13ksが開閉されるようになっている。また、排気ポート13hpとシリンダ11との連通部分には、排気バルブ21が着座するバルブシート部13hsが形成されており、バルブシート部13hsが開閉されるようになっている。
このシリンダヘッド13の下面、シリンダ11およびピストン15の頂面により燃焼室11nが画成されており、この燃焼室11n内には吸気ポート13kpから吸入空気が流入するようになっている。また、シリンダヘッド13には、インジェクタ23が収容されており、このインジェクタ23から燃料が燃焼室11n内に噴射され、吸入空気と混合し混合気が生成されるようになっている。吸気バルブ18および排気バルブ21により密閉された燃焼室11n内の混合気は、ピストン15の上昇により高圧縮されて爆発、膨張し、このエネルギーによりピストン15が下降し、コネクティングロッド16を介してクランクシャフトに動力が出力される。
シリンダヘッドカバー14は、例えば、アルミ合金やマグネシウムなどの軽量な金属、プラスチックなどの軽量な材料からなり、シリンダヘッド13を覆って密封しシリンダブロック12およびシリンダヘッド13の内部の潤滑油が外部に漏れないようになっている。
また、シリンダヘッドカバー14の内壁面部には、図示しないオイルシャワーパイプが装着されており、このオイルシャワーパイプから吸気カムシャフト19および排気カムシャフト22に向けてオイルが放出され、吸気カムシャフト19および排気カムシャフト22のカム部やジャーナル部が潤滑されるようになっている。
図2(a)に示すように、ピストン15は、ピストン本体31と、ピストン本体31の鋳造時にピストン本体31に鋳込まれるピストン耐摩環32と、トップリング33と、セカンドリング34と、オイルリング35とを含んで構成されている。
ピストン本体31は、例えば、アルミ合金などの軽量な金属で円筒状に鋳造され、頂部31tと、外周面部31sと、頂部31tと反対側に位置する底面部31mと、ピストン本体31の軸線方向と直交する方向に形成されたピンボス部31pとを含んで構成されている。
頂部31tには、凹部31toが形成されており、この凹部31toにより燃焼室11nの一部が画成されている。
外周面部31sには、頂部31tと近接する側に鋳込まれているピストン耐摩環32にトップリング溝31stが形成されており、このトップリング溝31stにトップリング33が装着されるようになっている。また、外周面部31sの頂部31tと離隔する側には、オイルリング溝31soが形成されており、このオイルリング溝31soにオイルリング35が装着されるようになっている。
また、外周面部31sのトップリング溝31stとオイルリング溝31soとの間には、セカンドリング溝31ssが形成されており、このセカンドリング溝31ssにセカンドリング34が装着されるようになっている。
ピンボス部31pには、貫通孔31mkがピストン本体31の軸線方向と直交する方向、すなわちピンボス部31pの軸線と同軸上に形成されており、ピストンピン17が挿入されるようになっている。
また、ピストン本体31には、図2(b)に示すように、一端がピストン耐摩環32と接続され、他端が底面部31mで開口するオイル通路31oが複数箇所に形成されており、底面部31mの開口からオイルが供給され、オイル通路31oを通ってピストン耐摩環32内に流入し、ピストン耐摩環32内を流通して、ピストン耐摩環32を冷却した後、図示しない他のオイル通路31oを通って底面部31mの開口から排出されるようになっている。
図3(a)、(b)、(c)に示すように、ピストン耐摩環32は、耐摩環41と、クーリングチャンネル42とを含んで構成されており、耐摩環41とクーリングチャンネル42とが溶接により結合し一体構造となっている。
耐摩環41は、図3(a)、(b)、(c)および図4(a)、(b)に示すように、例えば、ニレジスト鋳鉄などの優れた耐摩耗性を有する金属からなり、円環状に形成されている。耐摩環41は、ピストン本体31の外周面部31sの外径とほぼ同じ外径Dtoと、所定の内径Dtiと、所定の高さHtとを有している。
耐摩環41は、外周面部41gと、この外周面部41gの反対側の内周面部41nとを有しており、外周面部41gには、トップリング溝31stが形成されるようになっている。また、内周面部41nは、クーリングチャンネル42が嵌め込まれるようになっている。
耐摩環41の所定の外径Dto、所定の内径Dtiおよび所定の高さHtは、このトップリング溝31stの深さおよび幅に対応して決定される。この耐摩環41の外周面部41gは、ディーゼルエンジン10が始動して適温となり、耐摩環41が熱膨張した状態で、真円に近づくよう略楕円形に形成されており、ピストン15がシリンダ11内に収容され、ディーゼルエンジン10の適温時には、耐摩環41の外周面部41gと、シリンダ11を囲むシリンダブロック12の真円に形成された内壁面部12nのシリンダライナ12sとの間に均一な隙間が画成されるようになっている。
図3(a)、(b)、(c)および図5(a)、(b)に示すように、クーリングチャンネル42は、例えば、SUS304などのステンレス鋼からなり、円環状に形成され、放射内方側に位置する内方側壁面部42nwと、軸線方向に直交する上側壁面部42jwと、上側壁面部42jwと反対側の下側壁面部42kwとを有し、放射外方に開口するコの字状の断面を有する溝が全周囲に形成されている。この溝は、本発明に係るピストン耐摩環の環状オイル通路42mを構成しており、環状オイル通路42m内には、オイルが流通するようになっている。
また、クーリングチャンネル42は、開口側に位置する開口面部42kmを有し、この開口面部42kmが耐摩環41の内周面部41nと当接するようになっている。
クーリングチャンネル42は、耐摩環41の内径Dtiよりも僅かに小さな外径Dcoを有しており、耐摩環41の放射内方側に嵌め込まれるようになっている。また、クーリングチャンネル42は、所定の内径Dciと、耐摩環41の高さHtとほぼ同一の高さHcと、均一に形成された所定の厚みtとを有しており、高さHc、内径Dciおよび厚みtは、環状オイル通路42m内を流通するオイルの流量、すなわちクーリングチャンネル42に要求される冷却能力に応じて適宜決定される。
また、クーリングチャンネル42の上側壁面部42jwには、連通孔43、44が形成されており、連通孔43、44により、環状オイル通路42mと外部空間とが連通している。
環状オイル通路42mと外部空間とが連通しているので、図3(a)、(b)、(c)に示すように、耐摩環41とクーリングチャンネル42とが溶接される際に、内部の空気が連通孔43、44から外部空間に排出され、クーリングチャンネル42の内圧の上昇が抑制され良好な溶接が行われる。
なお、この連通孔43、44は、上側壁面部42jwと、下側壁面部42kwと、内方側壁面部42nwのいずれか一方の一箇所のみに形成してもよく、3以上の複数箇所に形成されていてもよい。また、この連通孔43、44は、一方が上側壁面部42jwに形成され、他方が下側壁面部42kwまたは内方側壁面部42nwに形成されていてもよい。
また、この連通孔43の直径は、厚みtの0.5倍ないし1.5倍、すなわち0.5tないし1.5tであることが好ましい。連通孔43の直径が、0.5t未満であると、耐摩環41とクーリングチャンネル42とが溶接される際に、内部の空気が連通孔43、44から外部空間に排出され難くなり、良好な溶接が得られないことがある。他方、連通孔43の直径が、1.5tを超えると、ピストン耐摩環32がピストン15に鋳込まれる際に、溶融金属が連通孔43から内部に流入し、流入した金属により環状オイル通路42mを狭くしてしまうことがある。連通孔44も連通孔43と同様に形成されている。
本実施の形態の耐摩環41の外径Dto、内径Dti、高さHt、クーリングチャンネル42の外径Dco、内径Dci、高さHc、厚みtなどの寸法は、ピストン耐摩環32により構成されるピストン15の構造、形状、大きさ、材料およびピストン15により構成されるディーゼルエンジン10の仕様などの設計諸元により適宜決定される。
図2(a)に示すように、トップリング33は、鋳鉄や鋼鉄などの金属で、円環状に形成された環状部33kと、この環状部33kの一部を切断した合い口部33aとを含んで構成されており、薄幅・軽量化に耐える高強度や高靱性と、熱ヘタリに強い耐熱性と、摩擦抵抗を減らす低フリクションで、かつ長寿命の皮膜の形成し易い特性を有している。
トップリング33は、トップリング溝31stに装着された際、ピストン15の外周面部31sとシリンダブロック12の内壁面部12nのシリンダライナ12sとの間のすき間を無くし、燃焼室11nから図示しないクランクケース側に圧縮ガス、すなわちブローバイガスが抜けるのを防ぐようにしている。
また、合い口部33aが閉じた状態でトップリング33が装着されるため、放射外方へ開こうとする張力、すなわち元の形状に復帰しようとする復元力により、トップリング33とシリンダブロック12の内壁面部12nのシリンダライナ12sとが密着し、ピストン15の熱をシリンダブロック12に伝達するようにしている。
また、環状部33kの外周面には、窒化クロムからなる硬質皮膜を形成するコーティングや硬質クロムメッキなどの表面処理が施されており、耐摩耗性の向上が図られている。
セカンドリング34は、トップリング33と同様に、鋳鉄や鋼鉄などの金属で、円環状に形成された環状部34kと、この環状部34kの一部を切断した合い口部34aとを含んで構成されており、トップリング33の機能を補いながら、ピストン15の外周面部31sとシリンダブロック12の内壁面部12nのシリンダライナ12sとの間の余分なオイルを掻き下げるオイルコントロール機能も有している。
オイルリング35は、トップリング33と同様に、鋳鉄や鋼鉄などの金属で、円環状に形成された環状部35kと、この環状部35kの一部を切断した合い口部35aと、環状部35kの放射内方側に配置され、環状部35kを放射外方に拡径する押圧力が作用するよう環状に形成したコイルスプリングからなるエキスパンダ35eとを含んで構成されている。このエキスパンダ35eにより、トップリング33およびセカンドリング34の張力よりも高い張力がオイルリング35に付与されるとともに、環状部35kの外周に溝部35kmを形成し、オイルリング35とシリンダブロック12の内壁面部12nのシリンダライナ12sとの接触部分を二重にして、前述のオイルコントロール機能を向上させている。
コネクティングロッド16は、軽量かつ機械的強度の高い金属からなり、一端がピストンピン17と回動可能に連結され、他端が図示しないクランクピンと連結されており、ピストン15の往復直線運動をクランクシャフトの回転運動へ変換するよう構成されている。
ピストンピン17は、ピストン本体31の貫通孔31mkに挿入され、コネクティングロッド16にピストン15の往復直線運動を伝達するようになっている。
吸気バルブ18は、例えば、マルテンサイト系の耐熱鋼からなり、吸気カムシャフト19により開閉されるようになっている。排気バルブ21も、吸気バルブ18と同様に形成され、排気カムシャフト22により開閉されるようになっている。
インジェクタ23は、コモンレール型燃料噴射装置の一部を構成しており、燃焼室11n内に供給されて圧縮および昇温された吸入空気中に軽油を高圧で噴射し、自動着火させて燃焼、膨張させるようになっている。
このコモンレール型燃料噴射装置においては、図示しない電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)の制御により、例えば、インジェクタ23からの主噴射の直前に少量の燃料を噴射するパイロット噴射を行うことで騒音やNOxの発生を抑制するようにしている。また、インジェクタ23からの噴射の終了後には、再度少量の燃料を噴射するポスト噴射を行うことで排気温度を上昇させ、排気ガスに含まれる粒子状物質を減少させるDPF(Diesel Particulate Filter)の強制再生を行うようにしている。
このECUは、CPU(Central Processing Unit)、コモンレール型燃料噴射装置などのディーゼルエンジン10の各部の動作を実行させるプログラムなどが記憶されたROM(Read Only Memory)、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、バッテリを電源として作動し書換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、A/D変換器やバッファなどの入力インターフェース回路および駆動回路などの出力インターフェース回路を含んで構成されている。
次いで、本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環32を備えたピストン15の製造方法を構成する各製造工程について説明する。
図6は、本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環32を備えたピストン15の製造工程を示す説明図である。図7(a)〜(d)は、ピストン耐摩環32のクーリングチャンネル42の製造工程を示す説明図であり、図8は、ピストン耐摩環32の製造工程を示す説明図である。図9(a)〜(d)は、ピストン本体31の製造工程を示す説明図である。
図6に示すように、ピストン耐摩環32を備えたピストン15の製造工程は、準備工程S1と、耐摩環形成工程S2と、クーリングチャンネル形成工程S3と、連通孔形成工程S4と、溶接工程を含むピストン耐摩環形成工程S5と、ピストン本体形成工程S6と、オイル通路形成工程S7と、ピストンリング組付工程S8とを含んで構成されている。
本実施の形態に係るピストン耐摩環32を備えたピストン15の製造工程においては、連通孔形成工程S4は、ピストン耐摩環形成工程S5の溶接工程よりも先に行われる。
これ以外の各工程は、S1ないしS8の順に行ってもよく、他の順序で行ってもよい。例えば、耐摩環形成工程S2の前にクーリングチャンネル形成工程S3を行ってもよい。また、一の工程に他の工程の内容を含めて一の工程に統合して行ってもよい。例えば、クーリングチャンネル形成工程S3に連通孔形成工程S4の内容を含めてクーリングチャンネル形成工程S3に統合してもよく、ピストン本体形成工程S6にオイル通路形成工程S7の内容を含めてピストン本体形成工程S6に統合してもよい。
準備工程S1は、ピストン耐摩環32およびピストン15を製造するために事前に準備すべき装置、工具、材料および治具などの製造器具や検査器具を取り揃え確認するなどの製造に関わるすべての準備作業が含まれる。この準備工程においては、例えば、鋳造装置、プレス加工装置、溶接装置、切削加工装置、鋳造型、プレス型、溶接治具、切削工具などの製造器具を使用して各工程を実行する前段階までのセッティングや加工材料のセッティングなどの準備作業が行われる。
耐摩環形成工程S2は、ニレジスト鋳鉄などの高い耐摩耗性を有する金属から耐摩環41を形成する工程である。例えば、素材となるニレジスト鋳鉄を溶融させ、鋳型の湯口から鋳型内に溶融ニレジスト鋳鉄からなる湯を流し込み、次いで、流し込んだ湯を凝固させ収縮させ、さらに冷却させた後、鋳造品を鋳型から取り出すことにより行われる。取り出した鋳造品に対して、バリ除去などの後処理を行い、図4(a)、(b)に示される耐摩環41が得られる。この耐摩環41は、他の形成方法で作製してもよく、例えば、金属の丸棒から切削加工により形成してもよく、金属の板材から、切削またはプレス加工により形成してもよい。
クーリングチャンネル形成工程S3は、図7(a)に示す円板形成ステップ、図7(b)に示す絞り加工ステップ、図7(c)に示すサイドカットステップ、図7(d)に示すフランジ形成ステップの各ステップを含んで構成されており、図7(a)ないし図7(d)の順に行われるが、これらのステップ以外の加工方法によりクーリングチャンネル42を形成するようにしてもよい。例えば、旋盤などの切削装置によりクーリングチャンネル42を形成してもよい。
円板形成ステップは、図7(a)に示すように、例えば、SUS304などのステンレス鋼板から、図5(a)、(b)に示すクーリングチャンネル42の外径Dcoよりも絞り加工の加工代分だけ大きい外径を有する円板42eを形成するステップである。円板形成ステップにおいては、例えば、プレス加工装置によるプレス加工により円板42eが形成される。
絞り加工ステップは、図7(b)に示すように、円板形成ステップで得られた円板42eに対して絞り加工を行い有低の円形穴を有するキャップ42cを形成するステップである。絞り加工ステップにおいては、例えば、プレス絞り加工装置やへら絞り加工装置による絞り加工によりキャップ42cが形成される。
サイドカットステップは、図7(c)に示すように、絞り加工ステップで得られた有低のキャップ42cに対して、底部をカットして円筒部42tとフランジ部42fとを有するリング42rを得るステップである。サイドカットステップにおいては、例えば、プレス加工装置により底部がプレス加工される。なお、プレス加工装置のほか、旋盤加工により底部を直接切削加工してもよい。
フランジ形成ステップは、図7(d)に示すように、サイドカットステップで得られたリング42rの円筒部42tに対して絞り加工を行い、リング42rのフランジ部42fと同様のフランジ部42dを形成し、クーリングチャンネル42を得るステップである。フランジ形成ステップにおいては、絞り加工ステップと同様、プレス絞り加工装置やへら絞り加工装置による絞り加工によりフランジ部42dが形成される。
このフランジ形成ステップにより得られたクーリングチャンネル42に対して、適宜、絞り加工などにより生じたバリを除去する仕上げが行われ、次の工程に移される。
連通孔形成工程S4は、連通孔43および連通孔44を、上側壁面部42jwと、下側壁面部42kwと、内方側壁面部42nwの少なくともいずれかに形成する工程である。
例えば、図5(a)に示すように、連通孔43および連通孔44を、上側壁面部42jwに形成してもよく、図示しないが下側壁面部42kwに形成してもよく、内方側壁面部42nwに形成してもよい。また、連通孔43を上側壁面部42jwに形成するとともに、連通孔44を下側壁面部42kwまたは内方側壁面部42nwのいずれか一方に形成してもよい。また、連通孔44を上側壁面部42jwに形成するとともに、連通孔43を下側壁面部42kwまたは内方側壁面部42nwのいずれか一方に形成してもよい。
連通孔43または連通孔44の直径の大きさは、連通孔43または連通孔44の近傍におけるクーリングチャンネル42の厚みtの0.5倍ないし1.5倍で形成される。
この連通孔43または連通孔44は、例えば、ボール盤やパンチプレスなどの穿孔機により加工される。なお、この連通孔形成工程は、クーリングチャンネル形成工程の円板形成ステップにおいて、プレス加工による円板形成と同時にプレス加工により円板に連通孔となる貫通孔を形成するようにしてもよい。
ピストン耐摩環形成工程S5は、図3および図8に示すように、連通孔形成工程S4で連通孔43、44が加工されたクーリングチャンネル42の開口面部42kmを、耐摩環41の内周面部41nに接合してピストン耐摩環32を形成する工程であり、ピストン耐摩環形成工程S5においては、例えば、プラズマ溶接機50などの溶接機により突合せ溶接が行われる溶接工程が含まれる。このプラズマ溶接機50は、例えば、高周波電源部51と、電極部52と、出力整合部53と、パイロットガス供給部54と、被加工物支持部55と、アーク制御部56とを含んで構成されている。
高周波電源部51は、図示しない外部の電源装置と接続され電源装置から供給された電力を高周波にしてプラズマ溶接機を稼動させるよう構成されている。
電極部52は、図示しないタングステン電極と、このタングステン電極と同軸状に配置され、タングステン電極を所定の間隔で囲む筒状部と、この筒状部の先端に形成されたノズルとを含んで構成されている。このタングステン電極と筒状部との間で発生し、イオン化されたガスが、ノズルから被加工物の溶接部に向けて、プラズマジェットとなって噴出される。このプラズマジェットは、ノズルを通過する際に緊縮され高密度となり高温のアーク放電となる。
出力整合部53は、高周波電源部51で発生した高周波エネルギーを、負荷となる被加工物に必要な電圧および電流に合わせる出力の整合を行うよう構成されており、電極部52側にマイナスの電力を供給し、被加工物側にプラスの電力を供給することにより、電極部52側と被加工物側との間に最適なアーク放電を行わせるようになっている。
パイロットガス供給部54は、電極部52内でタングステン電極と拘束ノズルとの間に低電流のパイロットアークを生じさせるよう、拘束ノズル内にアルゴンなどの不活性ガスからなるパイロットガスを供給するよう構成されている。
被加工物支持部55は、被加工物となる耐摩環41およびクーリングチャンネル42を支持するよう図示しない支持盤やクランプ機構などにより構成されている。
アーク制御部56は、これらの各部の動作および実行タイミングなど、プラズマ溶接に必要な制御処理を、例えば、メモリなどの記憶手段に格納されているプログラムに基づいて実行するよう構成されている。
なお、このピストン耐摩環形成工程S5においては、プラズマ溶接機50以外の溶接機により被加工物を溶接してもよい。例えば、プラズマ溶接と同様の構成で、タングステン電極からノズルを通さないで直接被加工物の接合部にアーク放電させるティグ溶接で溶接してもよく、燃焼ガスと酸素あるいは空気との混合ガスを溶接吹き管より噴射し、高温の火炎を接合部に照射し溶融させて接合するガス溶接で溶接してもよい。
ピストン耐摩環形成工程S5においては、図8に示すように、電極部52の先端が耐摩環41とクーリングチャンネル42が当接する当接部分にセットされ、さらに溶接棒などの溶接材50yが当接部分にセットされ、電極部52のアーク放電により当接部分が高温になる。このとき、当接部分の耐摩環41とクーリングチャンネル42が溶解するとともに溶接材50yが溶解し、図3に示すように、当接部分に溶接ビード部Yが形成されて当接部分が一体化され耐摩環41とクーリングチャンネル42が接合される。この当接部分は、図8に示す矢印F方向に順次溶接され、全周に亘って溶接される。このとき、クーリングチャンネル42に連通孔43、44が形成されているので、従来技術のような、最後に溶接する位置近傍で、内部空気が外部空間に噴き出して溶接されない貫通孔が形成され、この貫通孔の周辺部が溶接不良となってしまうという弊害がなく、全周に亘って適正に溶接される。
ピストン本体形成工程S6は、ピストン耐摩環表面処理ステップと、ピストン耐摩環位置決ステップと、図9(a)に示すピストン本体鋳造ステップと、図9(b)に示すピストンリング溝形成ステップとを含んで構成されている。
ピストン耐摩環表面処理ステップは、ピストン耐摩環形成工程S5により形成されたピストン耐摩環32に対して表面処理を施すステップであり、この表面処理により、ピストン耐摩環32がピストン本体31に鋳込まれる際、ピストン本体31とピストン耐摩環32との密着性を向上させるようにしている。
具体的には、ピストン耐摩環32を溶融アルミニウムに浸漬させるステップを含むアルフィン処理が施され、ピストン耐摩環32を形成しているステンレスやニレジスト鋳鉄と、ピストン本体31を形成するアルミ合金との密着性が高められる。また、ピストン耐摩環32をアルカリ脱脂処理、溶剤脱脂処理、マスキング処理などの準備工程を経て、ピストン耐摩環32の表面にアルミニウムと鉄との化学結合層を形成させてピストン耐摩環32のステンレスやニレジスト鋳鉄と、ピストン本体31のアルミ合金とが馴染むようにしてもよい。また、ピストン耐摩環32の表面に酸化皮膜が形成されるのを防止するフラックスを、ピストン耐摩環32の表面に塗布するようにしてもよい。
ピストン耐摩環位置決ステップは、図2(a)、(b)に示すピストン本体31に対して、図3に示すピストン耐摩環32の連通孔43、44の位置を決める工程であり、ピストン耐摩環32をピストン本体31を鋳造する鋳型にセットする際に行われる。
この位置決めは、位置決治具を使用してもよく、鋳型に位置決めのための係合部を設け、この係合部にピストン耐摩環32を係合させることにより行ってもよい。
この位置決めにより、図2(b)に示すように、オイル通路31oの一端の開口と、ピストン耐摩環32の連通孔43とが連通し、オイル通路31oから連通孔43を介してクーリングチャンネルの環状オイル通路内に流入することができる。連通孔44についても、連通孔43と同様に、他のオイル通路31oの一端の開口と、ピストン耐摩環32の連通孔44とが連通し、環状オイル通路内のオイルを他のオイル通路31oから排出させることができる。この位置決めにおいては、連通孔43、44のいずれか一方の位置が決まれば、他方の位置も決まるので、いずれか一方の位置決めをすればよい。
ピストン本体鋳造ステップは、ピストン耐摩環表面処理ステップにより表面処理が施されたピストン耐摩環32を鋳込んで、図9(a)に示すピストン本体31の鋳造品31cを取得するステップである。この鋳造品31cを取得する鋳造方法は、例えば、アルミ合金の溶湯に高い圧力を加えアルミ合金を鋳型に打ち込む高圧ダイキャスト鋳造であってもよく、アルミ合金の溶湯に圧力を加えずアルミ合金を鋳型に流し込むグラビティ鋳造であってもよく、ピストン本体31を鋳造する際に使用するピストン本体31の模型を鋳造過程で消失させるフルモールド鋳造であってもよい。
ピストンリング溝形成ステップは、ピストン本体形成工程S6のピストン本体鋳造ステップで得られた鋳造品31cに対して、切削装置などにより切削加工を施し、ピストンリング溝が形成されたピストン本体加工品31kを取得するステップである。
このピストンリング溝形成ステップにおいては、ピストン耐摩環32の図3(b)に示す高さHtにおける高さ方向の中央部分に、トップリング溝31stが形成され、トップリング溝31stの下部に位置するピストン本体31の外周面部31sにセカンドリング溝31ssが形成され、さらにセカンドリング溝31ssの下部に位置するピストン本体31の外周面部31sにオイルリング溝31soが形成される。
オイル通路形成工程S7は、図2(b)および図9(c)に示すように、ピストン耐摩環位置決ステップにより得られたピストン本体加工品31kに対して、位置決めされているピストン耐摩環32の連通孔43、44と、ピストン本体31の外部空間とを貫通させることによりオイル通路31oを形成する工程である。
具体的には、オイル通路31oは円形の断面を有し、このオイル通路31oの直径は、連通孔43、44の直径よりも大きく形成され、オイル通路31oの加工により、連通孔43、44の直径が拡大され、オイル通路31oの直径と連通孔43、44の直径とが同じ大きさで連通するようになる。このオイル通路31oの直径は、例えば、数mmで形成される。
なお、前述のように、オイル通路形成工程S7は、ピストン本体形成工程S6におけるピストンリング溝形成ステップの内容に含めて行うようにしてもよい。
ピストンリング組付工程S8は、オイル通路形成工程S7により得られたピストン本体加工品31kにピストンリングを組付る工程であり、組付前のピストン本体加工品31kに生じたバリを除去するバリ除去工程などの組付準備工程も含まれる。
図9(d)に示すように、順次、ピストン本体加工品31kのトップリング溝31stにトップリング33が組付けられ、セカンドリング溝31ssにセカンドリング34が組付けられ、オイルリング溝31soにオイルリング35が組付けられる。
次いで、ディーゼルエンジン10の動作について簡単に説明する。
図1に示すディーゼルエンジン10が始動すると、吸気行程、圧縮行程、爆発行程および排気行程のサイクルで、停止するまでピストン15が往復運動し、コネクティングロッド16を介して図示しないクランクシャフトに動力が伝達される。
吸入行程においては、排気行程に続いてピストン15が下降し、吸気バルブ18が開いて吸入空気が吸気ポート13kpから燃焼室11n内に吸入され、ECUの制御によりインジェクタ23から燃焼室11n内に燃料が噴射され、燃焼室11n内で混合される。
続く圧縮行程においては、ピストン15が上昇し、吸入空気と燃料との混合気が燃焼室11n内で圧縮され、温度、圧力共に上昇し高温、高圧の状態になる。爆発行程においては、高温、高圧の混合気が発火して燃焼を開始し、急激に燃焼ガスが膨張する。このとき吸気バルブ18および排気バルブ21が閉じているので、燃焼ガスはピストン15を押し下げつつ、さらに膨張し、ピストン15が下降しクランクシャフトに動力が伝達される。
排気行程においては、爆発行程を終ったピストン15がその慣性力で上昇し、排気バルブ21が開かれ、膨張した燃焼ガスを排気ポート13hpから大気へ排出する。
このような1サイクルが行われる間にクランクシャフトは2回転していることになる。
また、1サイクルが行われる間に、シリンダブロック12の下部に設けられた図示しないオイル噴射口から、図1の矢印で示すように、ECUにより制御された適量のオイルが上方のピストン15に向けて噴射される。このとき、ピストン15のトップリング33、セカンドリング34およびオイルリング35にオイルが供給され、各リングとシリンダブロック12のシリンダライナ12sが潤滑される。また、シリンダブロック12内のウォータージャケット12w内を流通する冷却液により、シリンダライナ12sおよび各リングおよびピストン15が冷却される。さらに、オイル噴射口から噴射されたオイルが、ピストン15のオイル通路31oに流入し、ピストン耐摩環32のクーリングチャンネル42内の環状オイル通路42mに流入する。環状オイル通路42m内を流通するオイルにより、ピストン耐摩環32が冷却され、ピストン耐摩環32に装着され、高温になったトップリング33が冷却される。特に、高温、高圧になるディーゼルエンジン10においては、ピストン耐摩環32のクーリングチャンネル42の冷却機能が発揮され、ピストン耐摩環32の耐久性が向上する。
本実施の形態に係るピストン耐摩環32は、以上説明したように構成されているので、下記の効果が得られる。
すなわち、外周面部41gにトップリング溝31stが形成される円環状の耐摩環41と、耐摩環41の放射内方側で耐摩環41に当接して収容されるとともに、当接した当接部分の全周囲に亘り、プラズマ溶接機50により溶接されるクーリングチャンネル42とを有し、クーリングチャンネル42が、放射内方側に位置する内方側壁面部42nwと、軸線方向に直交する上側壁面部42jwと、下側壁面部42kwとを有するとともに、内部にディーゼルエンジン10のオイルを流通させる環状オイル通路42mを有し、環状オイル通路42mと外部空間とを連通する連通孔43、44が、内方側壁面部42nw、上側壁面部42jwおよび下側壁面部42kwのうち少なくともいずれかの壁面部に形成されたことを特徴としている。
その結果、耐摩環41とクーリングチャンネル42との当接部分を、順次溶接し、元の溶接の開始位置まで全周に亘って溶接する際、最後に溶接する位置で、従来生じていた溶接不良部分の発生が解消される。すなわち、溶接する際に生ずる熱の影響により、環状オイル通路42m内の空気が著しく高温になっても、連通孔43、44が形成されているので、従来の溶接の際に起きた内部空気の膨張が起きることはない。内部空気が膨張しないので、従来の溶接のように溶接開始位置の近傍の未溶接部分から内部空気が外部空間に噴き出して溶接されない貫通孔が形成されてしまうようなことはなく、溶接不良となってしまうという問題が解消されるという効果がある。また、連通孔43の直径は、クーリングチャンネル42の厚tの0.5倍ないし1.5倍で形成されているので、内部の空気が連通孔43、44から外部空間に排出され易く、ピストン耐摩環32がピストン本体31に鋳込まれる際に、溶融金属が連通孔43、44から内部に流入し、流入した金属により環状オイル通路42mを狭くしてしまうようなこともない。
したがって、溶接不良部分が残るピストン耐摩環32が鋳込まれることはなく、ピストン耐摩環32とピストン本体31の界面とが確実に密着し、ピストン耐摩環32がピストン本体31から剥離してしまうという問題が解消されるという効果がある。
このように、良好な環状オイル通路42mを有するピストン耐摩環32が適正にピストン本体31に鋳込まれているので、ピストン耐摩環32の冷却機能および機械的強度が向上し、耐摩耗性が著しく改善され、優れた耐摩耗性を有するピストン耐摩環が得られるという効果がある。
また、本実施の形態に係るピストン15は、以上説明したように構成されているので、下記の効果が得られる。
すなわち、本実施の形態に係るピストン耐摩環32が鋳込まれたピストン15であって、連通孔43、44とピストン15の外部空間とを連通させ、外部空間に開口する開口部からクーリングチャンネル42の環状オイル通路42m内にオイルを流通させるオイル通路31oが形成されたことを特徴としている。
その結果、ピストン耐摩環32に形成された連通孔43、44が、オイル通路31oの一端と連通し、オイル通路31oの開口として機能することになる。この場合、従来技術のように、ピストン耐摩環の溶接不良部分が、クーリングチャンネルと外部空間とを結ぶオイル通路以外の部分に位置してしまい、ピストンに加わる衝撃により、溶接不良部分に亀裂が生じ、さらに衝撃の繰り返しにより亀裂が進行してピストン耐摩環がピストンから脱落してしまうという弊害が起きない。したがって、優れた耐久性を有するピストンが得られるという効果がある。
また、本実施の形態に係るピストン15の製造方法は、以上説明したように構成されているので、下記の効果が得られる。
すなわち、本実施の形態に係る耐摩環41を形成する耐摩環形成工程S2と、クーリングチャンネル42を形成するクーリングチャンネル形成工程S3と、クーリングチャンネル42に連通孔43、44を形成する連通孔形成工程S4と、耐摩環41とクーリングチャンネル42との当接部分をプラズマ溶接機50により溶接しピストン耐摩環32を形成するピストン耐摩環形成工程S5と、ピストン耐摩環32を鋳込んでピストン本体31を形成するピストン本体形成工程S6と、ピストン本体31に、オイル通路31oを形成するオイル通路形成工程S7とを含むことを特徴としている。
また、このピストン耐摩環形成工程S5には、耐摩環41の内周面部41nとクーリングチャンネル42の開口面部42kmとが当接する当接部分を溶接する溶接工程が含まれ、連通孔形成工程S4が、この溶接工程よりも先に行われることを特徴としている。
その結果、連通孔形成工程S4が、溶接工程よりも先に行われるので、耐摩環41とクーリングチャンネル42との当接部分が溶接される際、クーリングチャンネル42に既に連通孔43、44が形成されており、従来生じていた溶接不良部分の発生が解消されるという効果がある。すなわち、溶接の際に生ずる熱の影響により、環状オイル通路42m内の空気が著しく高温になっても、連通孔43、44が形成されているので、従来の溶接の際に起きた内部空気の膨張が起きることはない。内部空気が膨張しないので、従来の溶接のように溶接開始位置の近傍の未溶接部分から内部空気が外部空間に噴き出して溶接されない貫通孔が形成されてしまうようなことはなく、溶接不良となってしまうということはないという効果がある。
したがって、本実施の形態に係るピストン15の製造方法においては、溶接不良部分が残るピストン耐摩環32がピストン本体31に鋳込まれることはなく、ピストン耐摩環32とピストン本体31の界面とを確実に密着させることができる。また、良好な環状オイル通路42mを有するピストン耐摩環32が適正にピストン本体31に鋳込まれているので、ピストン耐摩環32の冷却機能および機械的強度が向上し、耐摩耗性が著しく改善され、優れた耐摩耗性を有するピストン耐摩環32を備えたピストン15が得られる。
また、従来技術のように、ピストン耐摩環の溶接不良部分が、オイル通路以外の部分に位置してしまい、ピストンに加わる衝撃により、溶接不良部分から生ずる亀裂もなく、ピストン耐摩環32がピストン15から脱落してしまうという弊害が起きないので、優れた耐久性を有するピストン15が得られるという効果がある。
本実施の形態に係るピストン耐摩環32においては、図3に示すように、耐摩環41の高さとクーリングチャンネル42の高さがほぼ等しく形成される構造の場合について説明した。しかしながら、本発明に係るピストン耐摩環においては、耐摩環およびクーリングチャンネルを、本実施の形態に係る耐摩環41とクーリングチャンネル42以外の形状で構成してもよい。
以下、本実施の形態に係る耐摩環41とクーリングチャンネル42以外の形状で構成したピストン耐摩環の変形例について説明する。
図10は、本実施の形態の変形例に係る耐摩環141とクーリングチャンネル142とで構成されたピストン耐摩環132の製造工程を示す説明図である。
本実施の形態の変形例に係る耐摩環141は、本実施の形態の係る耐摩環41と比較して、図4に示すように、耐摩環41の高さがHtであるのに対して、図10に示すように、耐摩環141の高さがHsである点が異なっている。本実施の形態の変形例に係る耐摩環141の形状、大きさなどの他の部分は、耐摩環41と同様に構成されている。
また、本実施の形態の変形例に係るクーリングチャンネル142は、本実施の形態の係るクーリングチャンネル42と異なっている。すなわち、本実施の形態の係るクーリングチャンネル42が、図3ないし図5に示すように、クーリングチャンネル42の高さHcは、耐摩環41の高さHtとほぼ同一であるのに対して、図10に示すように、クーリングチャンネル142の高さはHuで、耐摩環141の高さがHsであり、Hu<Hsとなっている点が異なっている。本実施の形態の変形例に係るクーリングチャンネル142の形状、大きさなどの他の部分は、クーリングチャンネル42と同様に構成されている。
このように、クーリングチャンネル142を耐摩環141に嵌め込んだ際に、高さ方向にHs−Huの段差が生ずるよう構成し、図10に示すよう、本実施の形態に係るピストン耐摩環32と同様の製造工程により、クーリングチャンネル142を耐摩環141に溶接するよう構成してもよい。
図11は、本実施の形態の他の変形例に係る耐摩環241とクーリングチャンネル242とで構成されたピストン耐摩環232の製造工程を示す説明図である。
本実施の形態の他の変形例に係る耐摩環241は、本実施の形態の係る耐摩環41と異なっている。すなわち、本実施の形態の係る耐摩環41が、図4に示すように、耐摩環41の断面形状が方形であるのに対して、図11に示すように、耐摩環241の断面形状が上方に開口する環状オイル通路241mを有する点が異なっている。本実施の形態の他の変形例に係る耐摩環241の形状、大きさなどの他の部分は、耐摩環41と同様に構成されている。
また、本実施の形態の他の変形例に係るクーリングチャンネル242は、本実施の形態の係るクーリングチャンネル42と異なっている。すなわち、本実施の形態の係るクーリングチャンネル42が、図5に示すように、クーリングチャンネル42の環状オイル通路42mが形成されているのに対して、図11に示すように、クーリングチャンネル242は円盤状に形成されている点が異なっている。このクーリングチャンネル242は、耐摩環241の環状オイル通路241mの開口端にクーリングチャンネル242を嵌め込むように構成されている。本実施の形態の他の変形例に係るクーリングチャンネル142の大きさなどの他の部分は、クーリングチャンネル42と同様に構成されている。
このように、クーリングチャンネル242を耐摩環241に嵌め込んだ際に、外形状がピストン耐摩環32と同一になるよう構成し、図11に示すよう、本実施の形態に係るピストン耐摩環32と同様の製造工程により、クーリングチャンネル242を耐摩環241に溶接するよう構成してもよい。
図12は、本実施の形態の他の変形例に係る耐摩環341とクーリングチャンネル342とで構成されたピストン耐摩環332の製造工程を示す説明図である。
本実施の形態の他の変形例に係る耐摩環341は、本実施の形態の係る耐摩環41と異なっている。すなわち、本実施の形態の係る耐摩環41が、図4に示すように、耐摩環41の断面形状が方形であり環状オイル通路が形成されていないのに対して、図12に示すように、耐摩環341の断面形状が放射内方に開口する環状オイル通路341mを有する点が異なっている。本実施の形態の他の変形例に係る耐摩環241の形状、大きさなどの他の部分は、耐摩環41と同様に構成されている。
また、本実施の形態の他の変形例に係るクーリングチャンネル342は、本実施の形態の係るクーリングチャンネル42と異なっている。すなわち、本実施の形態の係るクーリングチャンネル42が、図5に示すように、クーリングチャンネル42の環状オイル通路42mが形成されているのに対して、図12に示すように、クーリングチャンネル342はリング状に形成されている点が異なっている。また、連通孔43、44が耐摩環341に形成されている点も異なっている。本実施の形態の他の変形例に係るクーリングチャンネル342の大きさなどの他の部分は、クーリングチャンネル42と同様に構成されている。
このように、クーリングチャンネル342を耐摩環341に嵌め込んだ際に、外形状がピストン耐摩環32と同一になるよう構成し、図12に示すよう、本実施の形態に係るピストン耐摩環32と同様の製造工程により、クーリングチャンネル342を耐摩環341に溶接するよう構成してもよい。
以上のように、本発明に係るピストン耐摩環は、連通孔が形成されており、最後に溶接する位置で従来生じていた溶接不良部分の発生が解消されるので、溶接不良部分が残るピストン耐摩環がピストンに鋳込まれることはなく、ピストン耐摩環とピストンの界面とを確実に密着させることができる。また、本発明に係るピストンは、ピストン耐摩環に形成された連通孔が、オイル通路の一端と連通し、オイル通路の開口として機能するので、連通孔から亀裂が生じることはなく、優れた耐久性を有するピストンが得られる。また、本発明に係るピストンの製造方法は、耐摩環形成工程、クーリングチャンネル形成工程およびピストン耐摩環形成工程を経てピストン耐摩環が形成されるので、溶接不良部分が残るピストン耐摩環がピストンに鋳込まれることはなく、ピストン耐摩環とピストンの界面とを確実に密着させることができる。また、良好な環状オイル通路を有するピストン耐摩環が適正にピストンに鋳込まれているので、ピストン耐摩環の冷却機能および機械的強度が向上し、耐摩耗性が著しく改善され、優れた耐摩耗性を有するピストン耐摩環を備えたピストンが得られる。
したがって、内燃機関のピストン耐摩環、ピストン耐摩環を備えたピストンおよびその製造方法全般に有用である。
本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環が鋳込まれたピストンを含むディーゼルエンジンの部分断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環が鋳込まれたピストンの一部を破断した分解斜視図であり、(b)は、図2(a)の部分拡大斜視図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環の平面図であり、(b)は、(a)のC−C断面を示す断面図であり、(c)は、(b)の一部を拡大した部分拡大断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環の平面図であり、(b)は、(a)のD−D断面を示す断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環のクーリングチャンネルの平面図であり、(b)は、(a)のE−E断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環を備えたピストンの製造工程を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環のクーリングチャンネルの製造工程を示す説明図であり、(a)は、円板形成ステップを示し、(b)は、絞り加工ステップを示し、(c)は、サイドカットステップを示し、(d)は、ブランジ形成ステップを示す。 本発明の実施の形態に係るピストン耐摩環の製造工程を示す説明図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係るピストンの製造方法におけるピストン本体形成工程のピストン本体鋳造ステップを示す説明図であり、(b)は、ピストンの製造方法におけるピストン本体形成工程のピストンリング溝形成ステップを示す説明図であり、(c)は、ピストンの製造方法におけるオイル通路形成工程を示す説明図であり、(d)は、ピストンの製造方法におけるピストンリング組付工程を示す説明図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る耐摩環とクーリングチャンネルとで構成されたピストン耐摩環の製造工程を示す説明図である。 本発明の実施の形態の他の変形例に係る耐摩環とクーリングチャンネルとで構成されたピストン耐摩環の製造工程を示す説明図である。 本発明の実施の形態の他の変形例に係る耐摩環とクーリングチャンネルとで構成されたピストン耐摩環の製造工程を示す説明図である。 (a)は、従来のピストン耐摩環の平面図であり、(b)は、(a)のB−B断面を示す断面図である。
符号の説明
10 ディーゼルエンジン
11 シリンダ
12 シリンダブロック
13 シリンダヘッド
14 シリンダヘッドカバー
15 ピストン
31 ピストン本体
31o オイル通路
31s、41g 外周面部
31so オイルリング溝
31ss セカンドリング溝
31st トップリング溝
32、132、232、332 ピストン耐摩環
41、141、241、341 耐摩環
41n 内周面部
42、142、242、342 クーリングチャンネル
42jw 上側壁面部
42km 開口面部
42kw 下側壁面部
42m 環状オイル通路
42nw 内方側壁面部
43、44 連通孔
50 プラズマ溶接機

Claims (6)

  1. エンジンのピストンを鋳造する際に前記ピストンに鋳込まれるピストン耐摩環であって、
    外周面部にピストンリング溝が形成される円環状の耐摩環と、
    前記耐摩環の放射内方側で前記耐摩環に当接して収容されるとともに、前記当接した当接部分の全周囲に亘り、溶接手段により溶接されるクーリングチャンネルとを有し、
    前記クーリングチャンネルが、放射内方側に位置する内方側壁面部と、軸線方向に直交する上側壁面部と、前記上側壁面部と反対側の下側壁面部とを有するとともに、内部に前記エンジンのオイルを流通させる環状オイル通路を有し、前記環状オイル通路と外部空間とを連通する連通孔が、前記内方側壁面部、前記上側壁面部および前記下側壁面部のうち少なくともいずれかの壁面部に形成されたことを特徴とするピストン耐摩環。
  2. 前記連通孔の近傍の前記クーリングチャンネルの厚みをtとすると、前記連通孔の直径が、0.5t(mm)〜1.5t(mm)の大きさを有することを特徴とする請求項1に記載のピストン耐摩環。
  3. 前記クーリングチャンネルが、放射外方側に開口する環状オイル通路が形成された開口面部を有し、前記耐摩環が前記外周面部から離隔した内周面部を有し、前記開口面部と前記内周面部とが当接する当接部分を前記溶接手段により溶接することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のピストン耐摩環。
  4. 前記請求項1ないし請求項3の少なくともいずれか1の請求項に記載のピストン耐摩環が鋳込まれたピストンであって、前記連通孔と前記ピストンの外部空間とを連通させ、前記外部空間に開口する開口部から前記クーリングチャンネルの前記環状オイル通路内に前記オイルを流通させるオイル通路が形成されたことを特徴とするピストン。
  5. 請求項1に記載の耐摩環を形成する耐摩環形成工程と、請求項1ないし請求項3の少なくともいずれか1の請求項に記載のクーリングチャンネルを形成するクーリングチャンネル形成工程と、前記クーリングチャンネルに請求項1または請求項2に記載の連通孔を形成する連通孔形成工程と、請求項3に記載の当接部分を溶接により接合しピストン耐摩環を形成するピストン耐摩環形成工程と、前記ピストン耐摩環を鋳込んでピストンを形成するピストン本体形成工程と、前記ピストンに、請求項4に記載のオイル通路を形成するオイル通路形成工程と、を含むことを特徴とするピストンの製造方法。
  6. 前記ピストン耐摩環形成工程が、前記耐摩環の内周面部と前記クーリングチャンネルの開口面部とが当接する前記当接部分を溶接する溶接工程を含み、前記連通孔形成工程が、前記溶接工程よりも先に行われることを特徴とする請求項5に記載のピストンの製造方法。
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