JP3270937B2 - エンジンのシリンダヘッド構造 - Google Patents

エンジンのシリンダヘッド構造

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修平 安達
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼結材から成るバルブ
シートをシリンダヘッドの吸・排気ポート部周縁に接合
して構成されるエンジンのシリンダヘッド構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】所謂粉末治金法によって得られる焼結材
は、高い材料歩留、高精度等が期待されることから自動
車部品等に多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、斯かる焼結
材は、圧粉体を焼結して得られるものである故に他部材
への接合が非常に難しい材料である。例えば、抵抗溶接
による場合には、焼結材自体の電気抵抗が大きいため、
該焼結材は内部で発熱が起きて加圧力を受けると塑性変
形が生じるだけであって、所望する接合界面での発熱、
溶融、接合は起こらない。
【0004】他方、内燃エンジンの分野においては、近
年、多バルブ化が進み、シリンダヘッドの各気筒には複
数の吸・排気ポートが近接して配置されるため、各ポー
ト間の距離が短くなりつつあり、斯かる状況の下で焼結
材から成るバルブシートを吸・排気ポートの周縁に従来
通り圧入すると、シリンダヘッドのポート間に強度不足
のための割れが発生する等の問題が発生する。
【0005】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、特に多バルブエンジン用シリ
ンダヘッドの吸・排気ポート部周縁に、焼結材から成る
バルブシートを、シリンダヘッドの割れ等を起こすこと
なく、接合することができるシリンダヘッド構造を提供
することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、焼結材から成るバルブシートをシリンダ
ヘッドの吸・排気ポート部周縁に接合して構成されるエ
ンジンのシリンダヘッド構造において、前記燒結材の空
孔に電気伝導率が高くて燒結材に含浸し易い金属を溶浸
処理によって充填するとともに、該燒結材から成るバル
ブシートをシリンダヘッドの吸・排気ポート部周縁に抵
抗溶接によって接合したことを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明によれば、バルブシートを構成する燒結
材の空孔にCu,Al等の電気伝導率が高くて焼結材に
含浸し易い金属が充填されるため、バルブシート全体の
電気伝導率が高められ、該バルブシートをシリンダヘッ
ドの吸・排気ポート部周縁に抵抗溶接する場合、バルブ
シート内部の発熱量が減少し、その代わりに接合界面で
の発熱量が増え、この結果、当該バルブシートが接合可
能となる。従って、バルブシートは、従来の圧入方式に
よらなくても、シリンダヘッドの吸・排気ポート部周縁
に抵抗溶接によって接合され、特にポート間距離の短い
多バルブエンジン用シリンダヘッドに割れ等の問題が発
生することはない。
【0008】
【実施例】以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0009】図1(a),(b)は本発明に係る接合前
処理方法をその工程順に示す説明図、図2は抵抗溶接の
説明図である。
【0010】図1(a)に示す焼結材1は所謂粉末治金
法によって得られるものであって、これはFeを主体と
する多数の粉体粒子2の結合体であり、粉体粒子2の間
には多数の空孔3が形成されている。
【0011】而して、本実施例においては、焼結材1に
溶浸処理を施し、図1(b)に示すように、電気伝導率
が高くて焼結材1に含浸し易いCu等の金属4を焼結材
1の空孔3に充填する。尚、焼結材1がCuを主体とす
る粉体粒子の結合体である場合には、これの空孔3に充
填する金属4としてはAlが選ばれる。
【0012】以上の接合前処理が施された焼結材1を図
2に示すように部材5に抵抗溶接によって接合する場
合、焼結材1と部材5を上下の電極6,7によって挟ん
で圧力を加え、続いて通電する。そして、焼結材1と部
材5との接合面及びその付近(溶接部)が溶融温度又は
これに近い温度まで加熱されると、通電を遮断し、焼結
材1と部材5に強圧を加えて両者を接合する。
【0013】而して、上記抵抗溶接においては、焼結材
1の空孔3には前述の接合前処理によって熱伝導率の高
い金属4が充填されているため、焼結材1全体の電気伝
導率が高められ、該焼結材1の内部発熱量が減少し、そ
の代りに焼結材1と部材5の接合界面での局部的な発熱
量が増え、この結果、焼結材1の抵抗溶接による接合が
可能となる。
【0014】次に、本発明に係るエンジンのシリンダヘ
ッド構造を図3及び図4に基づいて説明する。尚、図
3、図4はそれぞれバルブシート接合前、後の状態を示
すシリンダヘッドの吸気ポート部の断面図である。
【0015】シリンダヘッド20は軽量なAl合金鋳物
で構成され、これの吸気ポート21周縁にはリング状の
段凹部21aが機械加工によって形成されている。
【0016】一方、22は耐衝撃性、耐摩耗性及び高温
強度に優れた焼結材で構成されるバルブシートであっ
て、これには前記接合前処理が施されている。
【0017】而して、バルブシート22を抵抗溶接によ
ってシリンダヘッド20の吸気ポート21周縁に接合す
る場合、図3に示すように、バルブシート22とシリン
ダヘッド20の段凹部21aとの間に薄いCu箔、Al
箔等のインサート23を介在させて図2に示した要領で
抵抗溶接を実施する。すると、図4に示すようにバルブ
シート22は前述の理由でシリンダヘッド20の吸気ポ
ート21周縁の段凹部21aに嵌合、密着し、従来のよ
うに圧入方式によらないでバルブシート22を溶接によ
って接合することができる。
【0018】従って、シリンダヘッド20が特に多バル
ブエンジン(例えば、5バルブエンジン)用であって、
隣接する吸気ポート21間の距離が極めて短いような場
合であっても、吸気ポート21間の狭い部分に圧入によ
る過大な力が加わることがなく、該部分に割れが発生す
る等の不具合が生じない。
【0019】又、バルブシート22を構成する焼結材に
は電気伝導率の高い金属が含浸されるため、バルブシー
ト22の電気伝導率が高くなって放熱し易くなり、エン
ジンの燃焼室内の温度上昇が抑えられてノッキングの発
生が防がれるという効果も得られる。
【0020】尚、以上はバルブシートの吸気ポート側へ
の接合構造のみについて述べたが、排気ポート側への接
合構造も同様に構成することができる。
【0021】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、焼結材から成るバルブシートをシリンダヘッド
の吸・排気ポート部周縁に接合して構成されるエンジン
のシリンダヘッド構造において、前記燒結材の空孔に電
気伝導率が高くて燒結材に含浸し易い金属を溶浸処理に
よって充填するとともに、該燒結材から成るバルブシー
トをシリンダヘッドの吸・排気ポート部周縁に抵抗溶接
によって接合したため、特に多バルブエンジン用シリン
ダヘッドの吸・排気ポート部周縁に、焼結材から成るバ
ルブシートを、シリンダヘッドの割れ等を起こすことな
く、接合することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は接合前処理方法をその工程順
に示す説明図である。
【図2】抵抗溶接の説明図である。
【図3】バルブシート接合前の状態を示すシリンダヘッ
ドの吸気ポート部の断面図である。
【図4】バルブシート接合後の状態を示すシリンダヘッ
ドの吸気ポート部の断面図である。
【符号の説明】
1 焼結材 3 空孔 4 金属 20 シリンダヘッド 21 吸気ポート 22 バルブシート
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−167844(JP,A) 特開 昭59−118801(JP,A) 特開 平2−160185(JP,A) 特開 昭49−121754(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 3/26 B23K 11/34,15/00 B23K 20/10,26/00 F16J 10/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼結材から成るバルブシートをシリンダ
    ヘッドの吸・排気ポート部周縁に接合して構成されるエ
    ンジンのシリンダヘッド構造において、 前記燒結材の空孔に電気伝導率が高くて燒結材に含浸し
    易い金属を溶浸処理によって充填するとともに、該燒結
    材から成るバルブシートをシリンダヘッドの吸・排気ポ
    ート部周縁に抵抗溶接によって接合したことを特徴とす
    るエンジンのシリンダヘッド構造。
JP11422092A 1992-04-08 1992-04-08 エンジンのシリンダヘッド構造 Expired - Fee Related JP3270937B2 (ja)

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DE102004005799A1 (de) * 2004-02-06 2005-09-01 Daimlerchrysler Ag Verfahren zur Herstellung einer lokalen Verstärkung für ein Bauteil einer Brennkraftmaschine

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