JPH08209719A - 永久凍土地帯の基礎構造に用いられる杭およびそれを用いた杭基礎 - Google Patents

永久凍土地帯の基礎構造に用いられる杭およびそれを用いた杭基礎

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JPH08209719A
JPH08209719A JP13225595A JP13225595A JPH08209719A JP H08209719 A JPH08209719 A JP H08209719A JP 13225595 A JP13225595 A JP 13225595A JP 13225595 A JP13225595 A JP 13225595A JP H08209719 A JPH08209719 A JP H08209719A
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ヴラジーミル・ヴェー・ハリノフスキー
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FUSEROSHIISUKII NII PURIROODON
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Abstract

(57)【要約】 【目的】経済性及び施工性良く、永久凍土地帯において
確実に構造物を支持することができる永久凍土地帯の基
礎構造に用いられる杭およびそれを用いた杭基礎を提供
すること。 【構成】永久凍土層に根入されて使用され、永久凍土地
帯の基礎構造に用いられる杭であって、この杭は、永久
凍土層14に根入されるべき部分を有する杭体11を有
し、該杭体11の永久凍土層14に根入されるべき部分
には一つ又は複数の穴12が形成され、これによって杭
と永久凍土14との間にアンカー効果が生じる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、永久凍土地帯におけ
る構造物基礎などの基礎構造に使用される杭およびそれ
を用いた杭基礎に関する。なお、この発明で永久凍土地
帯とは、季節に無関係に年間を通じて凍結している地層
(以下、永久凍土層という)が分布している地域をい
い、その年平均気温は0℃以下である。このような永久
凍土地帯としては、例えば、アラスカ、カナダ、シベリ
ヤなどが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】例えば、永久凍土地帯のような寒冷地に
パイプラインの架台、その他の構造物を建造する場合、
地表から永久凍土層までの間に存在する活動層(地表か
ら永久凍土層までの部分で、年間の温度変化の影響を大
きく受け、冬期は凍結凍上し、夏期は融解沈下する地盤
をいう)の凍着凍上から構造物を保護することが必要不
可欠であり、そのために杭基礎が一般的に用いられる。
【0003】ところで、このような寒冷地における杭基
礎は、永久凍土内まで根入れし、永久凍土と杭表面との
間の凍着強度によって、構造物の自重、凍着凍上力等に
対抗しようとするものである。そして、このためには、
永久凍土と杭との間の確実な凍着強度及び永久凍土内へ
の杭の十分な根入れが必要であるが、永久凍土地帯とい
う特殊条件から、施工性及び経済性が悪いという問題が
あった。
【0004】このため、その対策として、杭基礎に作用
する凍着凍上力を低減したり、永久凍土と杭基礎との間
の凍着強度を増加させたりするいくつかの方法が考えら
れている。
【0005】従来行われている方法としては、例えば図
8〜図10に示したようなものがある。図8は、サーマ
ルパイル方式を示すものである。この図において、鋼管
杭、コンクリート杭等からなる杭体1の外周には、凍着
強度を増大させるために波部2が形成され、杭体1内に
はヒートパイプ3が挿入されている。ヒートパイプ3の
上端部にはラジエータ4が設けられている。この杭体1
は、活動層6及び永久凍土層5に設けられた掘削孔7内
に根入れされ、砂スラリー8により埋戻されている。な
お、図中Hは杭体1の根入長を示し、hは活動層6の厚
さを示す。
【0006】このようなサーマルパイル方式は、冬期間
にヒートパイプ3により根入部分の永久凍土5の温度を
強制的に冷却して冷熱を蓄え、夏期における凍結融解厚
さ(活動層6の厚さh)を減少させ、これにより、凍着
凍上防止効果を大きくしようとするものである。
【0007】さらに、このヒートパイルは夏期に上部構
造からの入熱により、杭体1の周面の永久凍土が融解す
るのを防止することができる。図9(a),(b)は凍
上防止杭方式を示すものである。凍上防止方式は、活動
層と杭周面との間に、杭と凍土間の付着をきるような材
料を充填したもので、(a)は杭体1の外側にこれと同
心的にケーシング9を配置して二重管とし、杭体1とケ
ーシング9との間を、濃度の高いオイルとワックスの混
合物10で満たし、ケーシング9の外周を砂スラリー8
で埋戻すことにより、凍着凍上力を分離するようにした
ものである。なお、参照符号9aはケーシングの下端に
設けられたフランジである。また、(b)に示すもの
は、土、オイル及びワックスを混合した材料10aを掘
削孔7の活動層6に対応する部分に埋戻したものであ
る。
【0008】図10は凍着強度増大杭方式を示すもので
あり、杭体1の永久凍土5内への根入部にノッチや波部
2を設けることにより、永久凍土5と杭体1との間の凍
着強度を増加させ、活動層6の凍着凍上力に対抗させる
ようにしたものである。この方法は、付着強度を増大さ
せて抵抗力を増大させるという点において、従来のソイ
ルセメント合成杭と同様の考え方である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、サーマ
ルパイルは活動層6の層厚hを多少薄くすることはでき
るが、凍着凍上力をそれほど低減することができず、構
造物の凍害を有効に防止するには至っていない。
【0010】例えば、サーマルパイル使用開始1年目の
冬には、地盤深部温度の低下により、サーマルパイルを
しない場合よりもかえって凍上量が増加し、大きな凍着
凍上力が発生することがある。また、2年目以降も、活
動層の温度低下が凍着凍上力を増加させる恐れがある。
従来の使用例では、サーマルパイルの永久凍土層内への
根入長Hを必要以上に長くして凍害防止を図っている
が、施工性、経済性の観点からは不十分である。
【0011】一方、凍上防止杭方式は、杭周面にオイル
とワックス等の混合物を充填したり埋戻したりしている
が、これらの作業は現地において行わなければならず、
そのための機械や装置を必要とするばかりでなく、施工
性の点でもあまり良好ではない。また、オイルとワック
ス等の混合物は、現場で埋戻し可能な程度の流動性を有
しているため、夏期に埋戻し材料が周囲地盤へ浸透して
分散し、このため再充填の必要が生じたり、凝固点降下
のため永久凍土を溶かすといった環境破壊が生じる。加
えて、二重管方式では活動層の凍結融解に伴ってケーシ
ングが持上り及び沈下を起こし、これが上部構造に悪影
響を及ぼすことがある。
【0012】凍着強度増大杭方式では、杭体1の根入部
に存在する永久凍土がソイルセメントのように必ずしも
均一ではなく、凍着強度にばらつきが生じること、ノッ
チや波部の形状、間隔によって付着力が変化するため、
これによって大きな凍着強度を得るためには、端部の異
形棒鋼状処理等にかなりの加工精度を必要とするなどの
問題がある。
【0013】また、永久凍土地帯の杭は、設置場所にお
ける活動層6の厚さhに対応した長さのものを用いなけ
ればならないが、活動層6の厚さhは、地域、場所等に
よって著しく相違するため、活動層6の厚さに対応した
各種の長さの杭を準備しなければならない。
【0014】このようなことから、例えばパイプライン
の架台として長距離に亘って杭基礎を設置する場合に
は、従来、各種長さの杭を予め工場で作製し、現地へ輸
送して活動層6の厚さに対応した長さの杭を選んで設置
しているのが現状である。
【0015】このため梱包が繁雑であるばかりでなく、
荷が大きくなって輸送が面倒であり、また大量生産に適
さないためコストが上昇し、コストの上昇を来す等の問
題がある。
【0016】この発明はかかる事情に鑑みてなされたも
のであって、経済性及び施工性良く、永久凍土地帯にお
いて確実に構造物を支持することができる、永久凍土地
帯の基礎構造に用いられる杭、およびそれを用いた杭基
礎を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明では、第1に、永久凍土層に根入されて使
用され、永久凍土地帯の基礎構造に用いられる杭であっ
て、永久凍土層に根入されるべき部分を有する杭体を有
し、該杭体の永久凍土層に根入されるべき部分の壁には
一つまたは複数の穴が形成され、これによって該杭基礎
と永久凍土との間にアンカー効果が生じる、永久凍土地
帯の基礎構造に用いられる杭が提供される。
【0018】第2に、上記杭のにおいて、前記穴が前記
杭体の長手方向に沿って複数段に亘って設けられている
永久凍土地帯の基礎構造に用いられる杭が提供される。
第3に、上記杭のいずれかにおいて、前記穴が杭体の軸
に直交する方向の貫通穴である、永久凍土地帯の基礎構
造に用いられる杭が提供される。
【0019】第4に、上記第1または第2の発明の杭に
おいて、前記穴は、前記杭体の長手方向に沿って複数段
に亘って設けられ、杭体の軸に直交する方向の貫通穴
で、かつその貫通穴の方向が互に交差している。
【0020】第5に、上記杭構造のいずれかにおいて、
前記杭体における前記穴の上方または下方に、鍔状の突
起を有する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に
記載の永久凍土地帯の基礎構造に用いられる杭が提供さ
れる。
【0021】第6に、上記杭のいずれかにおいて、前記
杭体における前記永久凍土層の上に存在する活動層に対
応する部分にプラスチック被覆を有する杭が提供され
る。第7に、上記いずいれかの杭を用いて構成された杭
基礎が提供される。なお、ここで貫通穴とは、一対の穴
であって、その一対の穴の中心を結ぶ線が杭体の軸とほ
ぼ直交するような穴をいう。
【0022】
【作用】この発明においては、杭体の永久凍土層内に根
入れされた部分に設けられた貫通穴を通して、杭周囲地
盤と杭体内部土が連続的に固結して一体となり、アンカ
ー効果を杭体に付与することが可能となる。このアンカ
ー効果により、杭の鉛直支持力及び引抜き抵抗力が増大
し、従来の杭基礎に比較して、永久凍土内への杭の根入
長を減少させることが可能であり、材料費、施工費を削
減することが可能となる。また、穴を杭体の長手方向に
沿って複数段にわたって設けることにより、永久凍土層
の深さ方向の異なる部分でアンカー効果を発揮させるこ
とができるため、杭と永久凍土層とのアンカー効果が一
層向上する。
【0023】さらに、杭体に設ける穴を杭体の軸に直交
する方向の貫通穴とする場合には、ドリルを用いること
により一度に貫通穴を加工できるなど、機械的方法によ
って高能率で穴を加工できるという利点を持つ。また、
貫通穴の方向を互いに直交させることにより、自重及び
凍着凍上力に対する支え棒が十字状となり、四方の永久
凍土地盤に均等に力を伝達することができるため、杭と
永久凍土との間のアンカー効果はさらに向上する。さら
に、貫通穴の上方又は下方に、鍔状の突起を設けること
により、杭外面と周辺の永久凍土地盤との間の凍着強度
が増大し、アンカー効果と凍着強度増大との相乗効果に
より、一層抵抗力が向上する。さらにまた、上記各態様
の杭体の活動層に対応する部分にプラスチック被覆を設
けることにより、杭に作用する凍着凍上力を大幅に低減
することができる。
【0024】
【実施例】以下、添付図面を参照して、この発明につい
て詳細に説明する。図1は、この発明の一態様に係る杭
基礎を永久凍土地帯に施工した状態を示す図である。杭
体11は、貫通穴を持たぬ上部鋼管11aと貫通穴を持
つアンカー鋼管11bとを溶接で接合して構成されてお
り、アンカー鋼管11b部分は、活動層13の下の永久
凍土層14に根入れされている。貫通穴12の形状は特
に限定されず、図示のように円形でもよいし、多角形で
も構わない。
【0025】この貫通穴12の存在により、杭体11の
周囲地盤と杭体11内部の土が連続的に固結して一体と
なり、アンカー効果を杭に付与することが可能となる。
なお、本発明に係る杭体は上部鋼管11a貫通穴を持つ
アンカー鋼管11bが溶接接合されていることに限定さ
れるものではなく、一本の鋼管杭の永久凍土層相当位置
に貫通穴を設けたものであっても構わない。
【0026】このような杭基礎の永久凍土層への設置は
次のようにして行われる。先ず、設置する杭体の外径よ
り通常20cm程度大きな穴を、杭の埋設深さまで掘削
し、その掘削穴に杭を建て込んで、杭体と掘削穴の隙間
に土のスラリーを充填する。このスラリーは杭体11の
根入れ部に形成された貫通穴12から杭体11の内部に
侵入し、杭体の内部及び外部にスラリーが連続的に満た
される。
【0027】充填されたスラリーは永久凍土層において
永久凍土の有する冷熱荷より凍結し、周辺の永久凍土と
一体化する。この時、杭体内部の充填スラリーの凍結に
よって、杭も周辺の永久凍土地盤と一体化する。
【0028】従って、支持構造物の自重による下向きの
力や、凍着凍上力による上向きの力が杭に作用する場
合、周辺の永久凍土地盤と一体化した貫通穴内部の凍結
土が、図2に示すように、これらの力に対してあたかも
支え棒のような役目を果たし、アンカー効果を発揮する
のである。
【0029】このように、本発明は今まで不都合とされ
ていた永久凍土の特性を極めて巧妙に利用したものであ
り、永久凍土地帯に極めて適した基礎構造用の杭および
杭基礎を提供するものである。
【0030】なお、貫通穴の数は1個に限らず複数でも
よく、穴の大きさ、数、間隔は、杭基礎を設置する地盤
の土質によって決定されるが、これらを適宜調節するこ
とにより、あらゆる土質に対して対応することができ
る。
【0031】また、杭体の長手方向に沿って複数段の貫
通穴を形成し、その方向を互いに直交させることもでき
る。例えば、図3に示すように貫通穴12aと12bと
を互いに直交するように形成する。このような構成によ
り、図4に示すように、自重あるいは凍着凍上力に対す
る支え棒が十字状となり、四方の永久凍土地盤に均等に
力を伝達することができるため、杭と永久凍土との間の
アンカー効果はさらに向上する。
【0032】さらに、杭体11の貫通穴の上方又は下方
に鍔状の突起を形成してもよく、例えば、図5に示すよ
うに、貫通穴12a及び貫通穴12bの上方に鍔状突起
15を形成する。これにより、杭体外面と周辺の永久凍
土地盤との間の凍着強度が増大する。すなわち、上述し
たアンカー効果に凍着強度増大効果が加わり、これらの
相乗効果によって、一層抵抗力が上昇する。
【0033】本発明の最も好ましい態様においては、図
6に示すように、永久凍土層14に根入れされた上記各
態様における杭体11の活動層13に対応部分の表面に
プラスチック被覆16を形成する。これにより、杭基礎
と活動層13との間に生じる摩擦力が軽減され、凍着凍
上力を大幅に低減することができる。この態様では、上
述したアンカー効果に加えて、凍着凍上力の大幅な低減
を実現することができるので、杭基礎の安定性を一層高
めることができ、永久凍土地帯の杭基礎として最も望ま
しい形態をい備えたものが実現される。なお、この態様
では上記いずれの態様とも組み合わせることが可能であ
るので、図6では貫通穴部分の記載を省略している。
【0034】この場合に、被覆に用いられるプラスチッ
ク材料としては、ポリプロピレン、プロピレン・エチレ
ン共重合体、ポリ4−メチル−1ペンテン等のポリオレ
フィン系プラスチック、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル
のほか、ポリスチレン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリクロ
ロ−3−フッ化エチレン等のポリハロオレフィン系プラ
スチック、ポリウレタン等の熱硬化性プラスチックなど
が好ましい。
【0035】次に、この発明の効果を確認するために、
永久凍土地帯で本発明に係る杭を実際に敷設した後、引
抜き試験を行いその時の引抜き荷重を測定した結果につ
いて説明する。
【0036】試験に用いた杭は、直径325mm、肉厚
9.5mm、長さ3.5mの上部鋼管に、長さ2.5m
のアンカー鋼管を溶接接合して構成した。アンカー鋼管
の直径、肉厚は上部鋼管と同じとした。杭を永久凍土層
へ施設した状態を図7に示す。図7において、(a)〜
(f)は本発明の実施例であり、(g)は比較例として
示した従来の杭である。試験条件および結果を表1に示
す。なお、表1の記号a〜gは図7の(a)〜(b)に
対応する。
【0037】
【表1】
【0038】aは1個の穴の場合を示すが、引抜き荷重
は10トンと測定され、比較例であるgの1.4倍の引
抜き抵抗を示し、本発明の効果が確認された。bは3個
の穴を3団に、杭の周方向に120°ずつずらして設け
た場合である。この場合の引抜き荷重は14トンであ
り、aに比べさらに大きな引抜き荷重となっていること
がわかる。この例では穴の位置は3段としたが、杭体の
直径が大きい場合には、高さ方向の同一の位置に穴を設
けることも有効である。
【0039】cは1対の貫通穴(穴の個数は2個)を設
けた場合で、引抜き力は15トンとさらに大きな値とな
った。dは2対の貫通穴(穴の個数は4個)を2段に配
置した場合を示す。この場合の引抜き荷重は20であ
り、aの2倍もの値が得られた。なお、dの例は貫通穴
の方向が互いに交差している場合を示しているが、交差
していなくともaと同等以上の効果が得られることを確
認した。
【0040】eはdに加え、上部鋼管11aの活動層相
当位置にプラスチック被覆を施した場合である。この場
合、プラスチック被覆層16の存在により、活動層が凍
結する時に働く上向きの力(凍着凍上力)が杭体に伝達
されるのが防止されたため、引抜き荷重はdの場合より
もさらに大きな値となり、プラスチック被覆の存在によ
り引抜き力が増大することが確認された。
【0041】fはdに加え、貫通穴の上部に鍔状突起を
設けた例である。この例では、鍔状突起が永久凍土層に
食い込んで引抜き力に対する抵抗となり、引抜き荷重は
d寄りも大きな値となっており、鍔状突起の存在により
引抜き力が増大することが確認された。その増大の程度
はeの場合よりも大きく、鍔状突起が極めて有効である
ことが確認された。また、鍔状突起を貫通穴の下部に設
けてもその効果が変わらないことも確認された。
【0042】以上のように、aは比較例のgよりも大き
な引抜き荷重を有しており、b〜fはaよりもさらに大
きな引抜き荷重を有していることが確認された。したが
って、b〜fは比較例として用いたgよりもはるかに大
きな引抜き力を有している。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、杭体の永久凍土地帯に根入されるべき部分に一つ又
は複数の穴が形成された杭を用い、これを施設した場合
に杭と永久凍土との間にアンカー効果が生じるので、杭
の鉛直支持力及び引き抜き抵抗力が著しく増大する。従
って、杭に作用する力に確実に抵抗するため、永久凍土
地帯における構造物を確実に支持することができる。ま
た、このように杭の鉛直支持力及び引き抜き抵抗力が著
しく増大するので、杭の根入長を大幅に短くすることが
でき、施工性及びメンテナンス性が良好となる。また製
造が容易で、大量生産が可能であり、しかも梱包、輸送
が容易である。従って、大幅なコスト低減を図ることが
できる。
【0044】また、複数段の穴の方向を互いに交差させ
ることにより、杭と永久凍土との間のアンカー効果はさ
らに向上され、上述の効果が一層著しいものとなる。さ
らに、貫通穴の上方又は下方に、鍔状の突起を設けるこ
とにより、杭外面と周辺の永久凍土地盤との間の凍着強
度が増大し、アンカー効果と凍着強度増大との相乗効果
により、一層抵抗力が向上する。
【0045】さらにまた、杭体の活動層に対応する部分
にプラスチック被覆を設けることにより、杭に作用する
凍着凍上力を大幅に低減することができ、上述のアンカ
ー効果と組み合わせることにより、杭の鉛直支持力及び
引き抜き抵抗力が飛躍的に向上し、杭基礎の安定性を一
層高め、杭の根入長をさらに短くすることができ、永久
凍土地帯の杭基礎として最も望ましい形態が実現され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一態様に係る杭基礎を永久凍土地帯
に施工した状態を示す図。
【図2】図1の杭基礎のアンカー効果を説明するための
図。
【図3】この発明の他の態様に係る杭基礎を永久凍土地
帯に施工した状態を示す図。
【図4】図2の杭基礎のアンカー効果を説明するための
図。
【図5】この発明のさらに他の態様に係る杭基礎を永久
凍土地帯に施工した状態を示す図。
【図6】この発明のさらに他の態様に係る杭基礎を示す
図。
【図7】本発明の実施例に係る杭を施設した状態を示す
図。
【図8】従来の杭基礎の一例を示す図。
【図9】従来の杭基礎の他の例を示す図。
【図10】従来の杭基礎のさらに他の例を示す図。
【符号の説明】
11;杭体、11a;上部鋼管、11b;アンカー鋼
管、12,12a,12b;穴、13;活動層、14;
永久凍土層、15;鍔状突起、16;プラスチック被
覆。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 茂 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 高野 公寿 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 森岡 芳之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 安部 貞至 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号日本 鋼管株式会社内 (72)発明者 ヴラジーミル・ヴェー・ハリノフスキー ロシア連邦、123182 モスクワ、シューキ ンスカヤ 12−44 (72)発明者 アレクサンドル・イ・グリチェンコ ロシア連邦、117296 モスクワ、ヴァヴィ ーロワ 52−4−284

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久凍土層に根入されて使用され、永久
    凍土地帯の基礎構造に用いられる杭であって、永久凍土
    層に根入されるべき部分を有する杭体を有し、該杭体の
    永久凍土層に根入されるべき部分の壁には一つまたは複
    数の穴が形成され、これによって該杭基礎と永久凍土と
    の間にアンカー効果が生じる、永久凍土地帯の基礎構造
    に用いられる杭。
  2. 【請求項2】 前記穴は、前記杭体の長手方向に沿って
    複数段に亘って設けられている、請求項1に記載の永久
    凍土地帯の基礎構造に用いられる杭。
  3. 【請求項3】 前記穴は、杭体の軸に直交する方向の貫
    通穴である、請求項1または請求項2に記載の永久凍土
    地帯の基礎構造に用いられる杭。
  4. 【請求項4】 前記穴は、前記杭体の長手方向に沿って
    複数段に亘って設けられ、杭体の軸に直交する方向の貫
    通穴で、かつその貫通穴の方向が互に交差している、請
    求項1または請求項2に記載の永久凍土地帯の基礎構造
    に用いられる杭。
  5. 【請求項5】 前記杭体における前記穴の上方または下
    方に、鍔状の突起を有する、請求項1ないし請求項4の
    いずれか1項に記載の永久凍土地帯の基礎構造に用いら
    れる杭。
  6. 【請求項6】 前記杭体における前記永久凍土層の上に
    存在する活動層に対応する部分にプラスチック被覆を有
    する、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の
    永久凍土地帯の基礎構造に用いられる杭。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項6のいずれか1項
    に記載の杭を用いて構成された杭基礎。
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