JP5777435B2 - 小規模建築物用基礎の補強工法 - Google Patents
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Description
上記特許文献1に記載されている補強工法は、ドレーン杭の埋設装置のケーシングにより軟弱地盤を所定の深度まで掘削し、同ケーシングを順次引き上げる毎に同ケーシング内へ装備した砕石で成る中込材を順次落下させ、水平方向と鉛直方向へ押し込み締め固める作業を繰り返し行うことで、中込材で成るドレーン杭を形成して地盤を改良して支持力を補強する方法である。特許文献1では特に前記埋設装置のケーシングが改良されて、掘削時には掘削孔の壁面に掘削土砂を押し付けて締め固め、壁面の崩壊を防止すること、中込材の締め固め力を適切に調整してドレーン杭全体を均一に締め固めることが特長として記載されている。
しかし、この補強工法は、ドレーン杭の周辺地盤からの土圧によりドレーン杭の形状が保持されている工法である
したがって、一旦液状化現象が生じてしまうと周辺地盤が緩くなり、砕石を締め固めて成るドレーン杭は、その形状を保持できず、支持力が著しく低下し結局不同沈下してしまう虞がある。
因みにドレーン杭を保持するために、鋼管等で外殻を形成することも考えられる。しかし、この場合は杭上端部に荷重が作用すると、外殻に軸力が発生し、外殻が面外座屈を起こす虞があり、結局ドレーン杭の形状を保持できない。したがって、依然として不同沈下を効果的に防止する「砕石を用いた地盤補強工法」は見当たらない。
軟弱地盤上へ直接基礎8を構築して小規模建築物11を建設するに際し、直接基礎8の支持力を補強する工法であって、
前記直接基礎8の直下の軟弱地盤中へコルゲートパイプ3を埋設し、埋設したコルゲートパイプ3の中空部内へ砂利又は砕石で成る充填材5を同コルゲートパイプ3の上端位置まで充填して締め固めること、
前記コルゲートパイプ3は、円周を縦方向へ複数に分割された円弧状の各セクション30の両端部の縦縁に沿って外向きにフランジ片31を設け、相対峙する各セクション30、30のフランジ片31同士を突き合わせてボルト接合し、同コルゲートパイプ3の中心から放射状方向外向きに加わる力に対しては、前記フランジ片31、31間が開いて膨張する変形を許容する構成とされていることをそれぞれ特徴とする。
軟弱地盤内に埋設されるコルゲートパイプ3は、上記小規模建築物11に対する支持力を充分に発揮する深さまで埋設することを特徴とする。
コルゲートパイプ3の中空部内へ充填する充填材5の粒径は6号であることを特徴とする。
充填材5を充填したコルゲートパイプ3の上端面に、ぐり石7を載置したことを特徴とする。
コルゲートパイプ3は、鋼製であることを特徴とする。
直接基礎の直下において、支持力が不足している軟弱地盤中に、コルゲートパイプ3を、小規模建築物に対して十分な支持力を発揮する深さまで埋設し、同埋設したコルゲートパイプ3の中空部内へ砂利又は砕石で成る充填材5を同コルゲートパイプ3の上端位置まで充填して締め固め、上記した「砕石を用いた地盤補強方法」にコルゲートパイプを使用して補強することを特長としている。よって、液状化現象が生じた際にもコルゲートパイプによってパイプ内部の充填材が拘束されて外へ流れ出ることを拘束されるので、地盤の補強箇所に損傷を及ぼす虞が無く、安定した支持力を得ることができる。また、コルゲートパイプは波形断面であるが故に、外周の軟弱地盤層との接触面積が鋼管に比して拡大され摩擦抵抗が大きく、軸力に対する支持力も十分に期待できる。
したがって、このコルゲートパイプ3の上端に構築された直接基礎及び戸建て住宅の荷重が作用すると、コルゲートパイプ3の外殻には軸力が殆ど発生せず、外殻が面外に座屈することがなく、中空部内の充填材5に軸力の殆どが作用することになる。よって、充填材5が圧縮変形すると共にコルゲートパイプ3の内壁面を中心から放射方向外方へ押す力が作用して、コルゲートパイプを外側へ膨らませる所謂ちょうちん変形が生じる。このときコルゲートパイプ3を構成する各セクション30は円周を縦方向に分割された構成で、その両端部の縦縁に沿って直角外向きにフランジ片31を設けて、各セクション30は前記フランジ片31同士を突き合わせてボルト接合し、コルゲートパイプ3の中心から放射状方向外向きに加わる力に対しては、前記フランジ片31、31間が開いて膨張する変形を許容する構成であるため、充填材の剪断破壊(座屈)を防ぎ、作用した軸力を確実に下層地盤(支持層)へ伝達することができる。
のみならず、コルゲートパイプ3が上記のようにちょうちん変形することで、外周の軟弱地盤層(外周土)を押し付ける現象により摩擦力が一層増加し、支持力を更に大きく確保して不同沈下を効果的に防止することができる。
前記直接基礎8の直下の軟弱地盤N中へコルゲートパイプ3を埋設する。埋設したコルゲートパイプ3の中空部内へ砂利又は砕石で成る充填材5を同コルゲートパイプ3の上端位置まで充填して締め固める。
前記コルゲートパイプ3は、円周を縦方向へ複数に分割された円弧状の各セクション30の両端部の縦辺に沿って外向きにフランジ片31を設け、相対峙する各セクション30、30のフランジ片31同士を突き合わせてボルト接合し、同コルゲートパイプ3の中心から放射状方向外向きに加わる力に対しては、前記フランジ片31、31の間が開いて膨張する変形を許容する構成とされている。
本発明は、図4に示すように、鉛直荷重が比較的小さい戸建て住宅やコンビニエンスストアなどのような小規模建築物を建築する際に好適に実施される基礎の補強工法である。したがって、特に小規模建築物において実施されている直接基礎を補強することを前提に、以下、本発明による小規模建築物用基礎の補強工法の実施例を説明する。但し、直接基礎と称する布基礎やべた基礎においても同様に本発明を実施できることを申し添える(図9を参照)。
本発明の小規模建築物用基礎の補強工法の大きな特長は、効果の項に記載したように、コルゲートパイプを使用し、その中空部内へ砕石等を充填する補強工法の点にある。
以下、一箇所に実施される地盤補強工法を説明するが、当然、他の箇所にも同様の工法が実施される。
上記の掘削装置1とは、一般的に地盤の掘削に使用されるケーシング10を有する装置であり、特に特許文献1のようなケーシングに特別な構成を具備する高価な装置である必要はない。
上記のように形成された掘削孔2内へ、同掘削孔2の深度よりも若干浅い高さを有するコルゲートパイプ3が挿入される。そして、掘削孔2とコルゲートパイプ3の外周との隙間に掘削残土をしっかり埋め戻して、外周土からの土圧を期待できるようにコルゲートパイプ3を埋設する。当然、コルゲートパイプ3の下端は支持層Sへ到達する深さで埋設されており、その上端は現段階においては露出する程度に埋設されている。因みに、地盤又は小規模建築物Hの重量によっては、掘削孔2及びコルゲートパイプ3は支持層Sに到達させる必要はない。所謂コルゲートパイプ3を摩擦杭の如くに構成して実施することもできる。
つまり、本実施例ではコルゲートパイプ3を支持層Sに到達する深さに埋設した状態を示したが、小規模建築物においては、その荷重量、基礎形式、地盤の程度によりコルゲートパイプ3が有する摩擦力などで十分に支持力を発揮できる場合には、支持層Sに到達せずとも、軟弱地盤N内であっても上記小規模建築物に対する支持力を充分に発揮する深さに埋設して同様に実施できる。
本実施例の場合、図2Bの平面図に示すように、平面視が2つのセクション30を連結して成る半割型であり、両セクション30、30の両端部へ直角外向きに取り付けられた各フランジ片31、31同士をそれぞれ突き合わせ、同フランジ片31に設けられたボルト孔(図示省略)へボルト4を差し込みナットを締め付けて接合されている。前記フランジ片31、31同士は溶接接合はされずボルト接合であるため、後述するようにコルゲートパイプ3の中心から放射方向外方への力が加わった際には、波形による変形許容量に加えて、各フランジ片31、31の間が開き、同コルゲートパイプ3が外側へ膨らむちょうちん変形を最大限許容できる構成とされている。
次に、図1Fに示す直接基礎8を構築するが、具体的には図2Aに示すように、スラブ筋80、あばら筋81、主筋82、腹筋83を配筋しコンクリートを打設して構築される。その後、布基礎8の下端が隠れるまで埋め戻しが行われる。上記作業を図5の符号3の箇所すべてに行う。しかる後に、図4に示すように、地盤補強を行った布基礎8の上部へ小規模建築物Hが建設される。したがって、前記小規模建築物Hに必要十分な支持力を確保でき、且つ液状化現象が生じても充填材5が流れ出で補強した箇所が損傷する虞が一切無く安定した支持力を恒久的に期待できるのである。
上記コルゲートパイプ3の設置位置は、図5に示した限りではなく、千鳥配置として実施することも適宜行われる。
先ず、図6の作用図に示すように、上記布基礎8から荷重が作用すると、充填材5は圧縮変形すると同時に水平方向へ膨張する変形もする。しかし、コルゲートパイプ3の外殻により拘束されて所謂フープ張力が発生する。コルゲートパイプ3は上記したように断面が波形構造であり、しかも複数のセクション30の縦の連結箇所であるフランジ片31、31間が開いてコルゲートパイプ3の外側への膨らみを許容し、所謂ちょうちん変形を生じさせる。これにより充填材5が剪断破壊(座屈)することを防ぎ、作用した軸力を支持層Sまで確実に伝達することができる。また、上記のようにちょうちん変形することで周辺地盤(軟弱地盤層N)を外方へ押し付けることにより摩擦力が増加し、支持力を充分に確保して不同沈下を効果的に防止することができるのである。
以下には、上記実施例1との相違点のみ説明する。
コルゲートパイプ3を埋設し、同コルゲートパイプ3の上端にぐり石7を設置することまでは上記した実施例1のとおりである。前記ぐり石7の上面に砕石10を敷く点が異なる。砕石10としては、例えば割栗石を使用する。その上でスラブ筋11a、あばら筋11b、主筋11c、腹筋11dを配筋し、コンクリートを打設してべた基礎11を構築して実施される。
2 掘削孔
3 コルゲートパイプ
30 セクション
31 フランジ片
4 ボルト
5 充填材
6 土砂ホッパー
7 ぐり石
8 直接基礎
11 べた基礎
H 戸建て住宅
Claims (5)
- 軟弱地盤上へ直接基礎を構築して小規模建築物を建設するに際し、直接基礎の支持力を補強する工法であって、
前記直接基礎の直下の軟弱地盤中へコルゲートパイプを埋設し、埋設したコルゲートパイプの中空部内へ砂利又は砕石で成る充填材を同コルゲートパイプの上端位置まで充填して締め固めること、
前記コルゲートパイプは、円周を縦方向へ複数に分割された円弧状の各セクションの両端部の縦辺に沿って外向きにフランジ片を設け、相対峙する各セクションのフランジ片同士を突き合わせてボルト接合し、同コルゲートパイプの中心から放射状方向外向きに加わる力に対しては、前記フランジ片間が開いて膨張する変形を許容する構成とされていることをそれぞれ特徴とする、小規模建築物用基礎の補強工法。 - 軟弱地盤内に埋設されるコルゲートパイプは、上記小規模建築物に対する支持力を充分に発揮する深さまで埋設することを特徴とする、請求項1に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- コルゲートパイプの中空部内へ充填する充填材の粒径は6号であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- 充填材を充填したコルゲートパイプの上端面に、ぐり石を載置したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- コルゲートパイプは、鋼製であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
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