JP2013023978A - 小規模建築物用基礎の補強工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軟弱地盤N上へ直接基礎8による戸建て住宅を建設する際に、同軟弱地盤を補強する工法は、直接基礎の直下において、軟弱地盤内にコルゲートパイプ3を埋設し、同埋設したコルゲートパイプの中空部内へ砂利又は砕石で成る充填材5を同コルゲートパイプの上端位置まで充填して締め固めて成る。
【選択図】図1
Description
上記特許文献1に記載されている補強工法は、ドレーン杭の埋設装置のケーシングにより軟弱地盤を所定の深度まで掘削し、同ケーシングを順次引き上げる毎に同ケーシング内へ装備した砕石で成る中込材を順次落下させ、水平方向と鉛直方向へ押し込み締め固める作業を繰り返し行うことで、中込材で成るドレーン杭を形成して地盤を改良して支持力を補強する方法である。特許文献1では特に前記埋設装置のケーシングが改良されて、掘削時には掘削孔の壁面に掘削土砂を押し付けて締め固め、壁面の崩壊を防止すること、中込材の締め固め力を適切に調整してドレーン杭全体を均一に締め固めることが特長として記載されている。
しかし、この補強工法は、ドレーン杭の周辺地盤からの土圧によりドレーン杭の形状が保持されている工法である
したがって、一旦液状化現象が生じてしまうと周辺地盤が緩くなり、砕石を締め固めて成るドレーン杭は、その形状を保持できなる。すると、支持力が著しく低下し結局不同沈下してしまう虞がある。因みにドレーン杭を保持するために、鋼管等で外殻を形成することが考えられるが、この場合杭上端部に荷重が作用すると、外殻に軸力が発生し、外殻が面外座屈を起こす虞があり、結局ドレーン杭の形状を保持できない。したがって、依然として不同沈下を効果的に防止する「砕石を用いた地盤補強工法」は無い。
軟弱地盤上へ直接基礎により小規模建築物を建設する際に、直接基礎の支持力を補強する工法であって、
前記直接基礎の直下の、軟弱地盤中にコルゲートパイプを埋設し、埋設したコルゲートパイプの中空部内へ砂利又は砕石で成る充填材を同コルゲートパイプの上端位置まで充填して締め固めて成ることを特徴とする。
軟弱地盤内に埋設されるコルゲートパイプは、上記小規模建築物に対する支持力を充分に発揮する深さまで埋設することを特徴とする。
コルゲートパイプの中空部内へ充填する、充填材の粒径は6号であることを特徴とする。
充填材を充填したコルゲートパイプの上端面に、ぐり石を載置したことを特徴とする。
コルゲートパイプは、鋼製であることを特徴とする。
コルゲートパイプは、複数に分割された円弧状のセクションの接合箇所がコルゲートパイプの中心から放射状に加わる力に対して変形可能に重ね合わせ接合されて成ることを特徴とする。
コルゲートパイプは、複数に分割された円弧状の各セクションの両端部にフランジ片を設け、対峙するそれぞれのセクションのフランジ片同士を付き合わせて接合し、同コルゲートパイプの中心から放射状に加わる力に対して前記フランジ片が開いて変形を許容する構成とされていることを特徴とする。
コルゲートパイプは、樹脂製であることを特徴とする。
直接基礎の直下において、支持力の不足している軟弱地盤内にコルゲートパイプを、小規模建築物に対して十分に支持力を発揮する深さまで埋設し、同埋設したコルゲートパイプの中空部内へ砂利又は砕石で成る充填材を同コルゲートパイプの上端位置まで充填して締め固めている。つまり、上記した「砕石を用いた地盤補強方法」としてコルゲートパイプを使用して補強したことを特長としている。よって、液状化現象が生じた際にもコルゲートパイプによって中空部内の充填材が外へ流れ出ることがないので、地盤の補強箇所に損傷を及ぼす虞が無く安定した支持力を得ることができる。また、コルゲートパイプは波形である故に、外周の軟弱地盤層との接触面積が鋼管に比して増え摩擦抵抗が大きくなり軸力に対する支持力を十分に期待できる。
したがって、このコルゲートパイプに、その上端に構築される直接基礎及び戸建て住宅の荷重が作用すると、コルゲートパイプの外殻には軸力が殆ど発生せず、外殻が面外に座屈することがなく、中空部内の充填材に軸力の殆どが作用することになる。すると、充填材が圧縮変形すると共にコルゲートパイプの内壁面を中心から放射方向に押す力が作用して、コルゲートパイプを外側へ膨らませる所謂ちょうちん変形が生じる。斯くすると、充填材の剪断破壊(座屈)を防ぎ、作用した軸力を確実に下層地盤(支持層)へ伝達することができる。のみならず、上記のようにちょうちん変形することで前記軟弱地盤層(外周土)を押し付けることにより摩擦力が増加し、支持力を充分に確保して不同沈下を効果的に防止することができる。
また、コルゲートパイプは、複数に分割された円弧状のセクション接合箇所がコルゲートパイプの中心から放射状に加わる力に対して容易に変形可能に重ね合わせ接合される構成とされている。又は、各セクションの両端部にフランジ片を設け、対峙するそれぞれのセクションのフランジ片同士を付き合わせて接合し、同コルゲートパイプの中心から放射状に加わる力に対して前記フランジ片が開いて変形を許容する構成とされている。
上記のごとく構成したので、コルゲートパイプの中心から放射方向に力が加わる際に、重ね合わせた部分の水平移動、又はフランジ片同士の開きにより変形を許容するため、同パイプの外側への膨らみを最大限許容するので、周辺地盤を押し付けることにより摩擦力が増大し、大きな支持力が期待できる。
更に、コルゲートパイプを鉛直剛性が更に低い樹脂製とすることにより、軸力に対して充填材の放射方向への変形力が高まり、同パイプ管の外側への膨らみが増すことになる。斯くすると、コルゲートパイプの外周が軟弱地盤層を押し付けることにより摩擦力が増し大きな支持力を期待することができる。
前記直接基礎8の直下の、軟弱地盤N中にコルゲートパイプ3を上記小規模建築物Hに対する支持力を充分に発揮する深さまで埋設する。前記コルゲートパイプ3は、複数に分割されたセクション30、30を組み合わせて成る。
埋設したコルゲートパイプ3の中空部内へサイズは6号の砕石で成る充填材5を同コルゲートパイプ3の上端位置まで充填して締め固める。
前記充填材5を充填したコルゲートパイプ3の上端面に、ぐり石7を載置して布基礎8を構築する。しかる後に、その上部へ戸建て住宅Hを建設する。
本発明は、図4に示すように、鉛直荷重が比較的低い戸建て住宅やコンビニエンスストアなどのような小規模建築物を建築する際に好適に実施されるものである。したがって、特に小規模建築物おいて実施されている直接基礎を補強することを前提に、以下、地盤補強工法を説明する。因みに、直接基礎として布基礎やべた基礎において同様の工法で本実施例を実施できる。
本発明の小規模建築物用基礎の補強工法の大きな特長は、効果にも記載したように、コルゲートパイプを使用し、その中空部内へ砕石を充填する補強工法である。
上記のように形成された掘削孔2内へ、同掘削孔2の深度よりも若干浅く(低く)なる高さを有するコルゲートパイプ3が挿入される。そして、掘削孔2とコルゲートパイプ3の外周との隙間に掘削残土をしっかり埋め戻して、外周土からの土圧を期待できるようにコルゲートパイプ3を埋設する。当然、コルゲートパイプ3の下端は支持層Sへ到達する深さで埋設されており、その上端は現段階においては露出する程度に埋設されている。因みに、地盤又は小規模建築物Hの重量によっては、掘削孔2及びコルゲートパイプ3は支持層Sに到達させる必要はない。所謂コルゲートパイプ3を摩擦杭の如くに構成して実施することもできる。
つまり、本実施例ではコルゲートパイプ3を支持層Sに到達する深さに埋設した状態を示したが、小規模建築物においては、その荷重量、基礎形式、地盤の程度によりコルゲートパイプ3が有する摩擦力などで十分に支持力を発揮できる場合には、支持層Sに到達せずとも、軟弱地盤N内であっても上記小規模建築物に対する支持力を充分に発揮する深さに埋設して同様に実施できる。
本実施例の場合、図2Bの平面図に示すように、平面視が2つのセクション30を連結して成る半割型であり、両セクション30、30の両端部に設けられた両フランジ片31、31をそれぞれ突き合わせ、同フランジ片31に設けられたボルト孔(図示省略)へボルト4を差し込みナットで締め付けて接合されている。前記フランジ片31、31同士は溶接接合はされずボルト接合であるため、後述するがコルゲートパイプ3の中心から放射方向に力が加わる際に、波形による変形許容量に加えて、同フランジ片31、31が開き同パイプ管3の外側への膨らみを最大限許容できる構成とされている。
次に、図1Fにおいて直接基礎8を構築するが、特には図2Aに示すように、スラブ筋80、あばら筋81、主筋82、腹筋83を配筋しコンクリートを打設して構築される。その後、布基礎8の下端が隠れるまで埋め戻しが行われる。上記作業を図5の符号3の箇所すべてに行い、しかる後に、図4に示すように、地盤補強を行った布基礎8の上部へ小規模建築物Hが建設される。したがって、前記小規模建築物Hに必要十分な支持力が確保でき、且つ液状現象が生じても充填材5が流れ出で補強した箇所が損傷する虞が一切無く安定した支持力を恒久的に期待できるのである。
上記コルゲートパイプ3の設置位置は、図5に示した限りではなく千鳥配置として実施することも適宜行われる。
先ず、図6の作用図に示すように、上記布基礎8から荷重が作用すると、充填材5は圧縮変形すると同時に水平方向にも変形する。しかし、コルゲートパイプ3の外殻により拘束され所謂フープ張力が発生する。コルゲートパイプ3は上記したように波形であり且つ複数のセクションの連結箇所であるフランジ片31が開いてコルゲートパイプを外側への膨らみを許容して所謂ちょうちん変形を生じさせる。これにより、充填材5が剪断破壊(座屈)することを防ぎ、作用した軸力を支持層Sまで確実に伝達することができる。また、上記のようにちょうちん変形することで周辺地盤(軟弱地盤層N)を押し付けることにより摩擦力が増加し、支持力を充分に確保して不同沈下を効果的に防止することができるのである。
即ち、このコルゲートパイプ3Rは、フランジ片を有さないタイプである。したがって、各セクション30R、30R同士は両端部において、一定のラップ長さRで重ね合わせて、その端部に設けられたボルト孔(図示省略)へボルトを挿入しナットで締め付けて組み合わされている。このタイプの場合、コルゲートパイプ3Rの中心から放射方向に加わる力に対して前記ラップ部Rが水平移動して許容するべく、ボルト孔を長孔にして実施することが望ましい。
即ち、コルゲートパイプ3Pは例えばポリエチレンで成る樹脂製であり、その外殻の形状は、拡大図に示したように凹凸形状とされている。
したがって、伸縮性が非常に高く鉛直剛性をかなり低くすることができ、外殻の外側への膨らみも相当に期待できるため、充填材5の剪断破壊(座屈)を防いで、作用した軸力を支持層Sまで確実に伝達できるし、外周土(軟弱地盤層N)との接触面積が更に増して軟弱地盤層Nを押し付けることにより摩擦力が増加し、大きな支持力を常に安定して確保できる利点がある。
以下、実施例1〜3の相違点のみ説明する。コルゲートパイプ3を埋設し、同コルゲートパイプ3の上端にぐり石7を設置することは上記したとおりである。同ぐり石7の上面に砕石10を敷く。砕石10としては例えば割栗石を使用する。その上でスラブ筋11a、あばら筋11b、主筋11c、腹筋11dを配筋しコンクリートを打設してべた基礎11を構築して実施できる。
2 掘削孔
3、3R、3P コルゲートパイプ
30 セクション
31 フランジ片
4 ボルト
5 充填材
6 土砂ホッパー
7 ぐり石
8 直接基礎
11 べた基礎
H 戸建て住宅
Claims (8)
- 軟弱地盤上へ直接基礎により小規模建築物を建設する際に、直接基礎の支持力を補強する工法であって、
前記直接基礎の直下の、軟弱地盤中にコルゲートパイプを埋設し、埋設したコルゲートパイプの中空部内へ砂利又は砕石で成る充填材を同コルゲートパイプの上端位置まで充填して締め固めて成ることを特徴とする、小規模建築物用基礎の補強工法。 - 軟弱地盤内に埋設されるコルゲートパイプは、上記小規模建築物に対する支持力を充分に発揮する深さまで埋設することを特徴とする、請求項1に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- コルゲートパイプの中空部内へ充填する、充填材の粒径は6号であることを特徴とする、請求項1又は2に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- 充填材を充填したコルゲートパイプの上端面に、ぐり石を載置したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- コルゲートパイプは、鋼製であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- コルゲートパイプは、複数に分割された円弧状のセクションの接合箇所がコルゲートパイプの中心から放射状に加わる力に対して変形可能に重ね合わせ接合されて成ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- コルゲートパイプは、複数に分割された円弧状の各セクションの両端部にフランジ片を設け、対峙するそれぞれのセクションのフランジ片同士を付き合わせて接合し、同コルゲートパイプの中心から放射状に加わる力に対して前記フランジ片が開いて変形を許容する構成とされていることを特徴とする、請求項1〜5記載のいずれか一に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
- コルゲートパイプは、樹脂製であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載した小規模建築物用基礎の補強工法。
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