JPH082090A

JPH082090A - インクジェット記録型カード類、その製造方法およびその記録媒体

Info

Publication number: JPH082090A
Application number: JP6139163A
Authority: JP
Inventors: Katsutoshi Sumita; 勝俊簾田; Hitoshi Kijimuta; 等雉子牟田
Original assignee: Asahi Glass Co Ltd
Current assignee: AGC Inc
Priority date: 1994-06-21
Filing date: 1994-06-21
Publication date: 1996-01-09
Anticipated expiration: 2018-09-08
Also published as: JP3443940B2

Abstract

(57)【要約】【目的】高品質のフルカラー画像や文字情報をインクジ
ェット方式で記録した、耐摩耗性、耐汚染性、耐水性、
耐候性、保存性に優れたカード類を提供する。【構成】基材１、アルミナ水和物多孔質層２、樹脂多孔
質層３が積層されたカード状記録媒体に、インクジェッ
トプリンターによって、樹脂多孔質層３を介してアルミ
ナ水和物多孔質層２に画像を形成した後、樹脂多孔質層
３を緻密化して透明樹脂膜４を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録型
カード類、その製造方法およびその記録媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】情報処理技術の発展に伴い、キャッシュ
カード、クレジットカード、ＩＤカード、テレホンカー
ド、オレンジカード、定期券、バスカード等の磁気カー
ド等が広く大量に使用されるようになって、正にカード
社会の到来である。また、社員証、会員証等の証明書カ
ードにおいても、顔写真等をフルカラーで直接カード上
に記録することも増えつつある。

【０００３】こうしたカード類においては、カード表面
に個別の画像や文字情報を簡単に記録することができれ
ば信頼性や業務効率の向上の面で有効である。また、テ
レホンカード等のプリペイドカードにおいては、通常の
カードのほか、個別のデザインによる付加価値の増大、
ファッション性の向上をねらいとしたデザインカードが
広く普及しはじめており、より少ない枚数からデザイン
カードが発行できることが望まれている。さらに、フル
カラー化への要望も高まっている。

【０００４】これらのカード上への文字、画像情報の記
録方式としては、主に印刷技術が利用されてきた。印刷
技術は、画像品質も高く、大量印刷時のコストが低いの
で、定型的な文字や画像情報を多量に記録する場合に向
いているが、少数のカードに個別に文字、画像情報を記
録するのには不向きである。また、カード上に形成され
た文字、画像情報には耐摩耗性や耐汚染性が要求され、
そのために表面を透明フィルムで覆う方法や、紫外線硬
化インクを用いて印刷する方法等が採られている。

【０００５】一方、近年のノンインパクト記録技術の発
展に伴い、少数のカードへの個別の画像情報をスピーデ
ィに記録する方法の開発が進められている。例えば、磁
気定期券においては、発券業務の効率化のために、磁気
面への記録と同時に券面への個別情報の記録を行うこと
が望まれ、ノンインパクト記録方式の適用が検討され、
実用化されている。

【０００６】このように、カード媒体にノンインパクト
記録技術を用いて記録することが実用化されており、記
録内容については、単に文字情報のみではなく、個別の
フルカラー画像を記録することが望まれている。

【０００７】ノンインパクト記録方式としては、インク
ジェット記録方式、電子写真方式、静電転写方式、熱転
写方式、感熱方式等が検討されている。このなかで、特
に、インクジェット記録方式は、ノズルから高速で射出
したインク液滴を、記録媒体に付着させて記録する方式
であり、フルカラー化が容易である、印字騒音が低いな
どの特徴を有している。

【０００８】このインクジェット記録方式においては、
使用されるインクは多量の溶媒を含んでいるので、高色
濃度を得るためには大量のインクを用いる必要がある。
また、インク液滴は連続的に射出されるので、最初の液
滴が吸収されないうちに次の液滴が射出されると、イン
ク液滴が融合してインクのドットが接合するビーディン
グ現象が生じて画像が乱れてしまう。したがって、イン
クジェットプリンター用の記録媒体には、インクの吸収
容量が大きく、かつ、インクの吸収速度が高いことが要
求される。

【０００９】しかし、普通の紙やフィルムでは十分な吸
収性、発色性や解像度が得られないので、特開平２−２
７６６７０号などのように、基材上にアルミナ水和物か
らなる多孔質層を設けた記録媒体が提案されている。こ
のような記録媒体に、インクジェット記録方式で記録す
ると、インクの吸収性、色素の定着性に優れ、解像度の
高い画像が得られることが報告されている。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかし、インクジェッ
ト記録方式においては、水性溶剤可溶性の色素により文
字や画像情報が形成されているので、記録物の耐水性、
耐候性については必ずしも十分でなく、屋外で長時間曝
露されるような環境では、退色などの問題が発生するお
それがある。また、アルミナ水和物多孔質層がインク以
外の成分を吸着して画像が汚れるおそれもある。

【００１１】さらに、インクジェット記録方式でアルミ
ナ水和物多孔質層に記録した場合には、当初は美しい画
像が形成されるが、特にカードのような使用状況である
と、長時間の使用で汚れてしまう場合がある。また、ア
ルミナ水和物多孔質層自体が摩耗する可能性もある。

【００１２】本発明の目的は、解像度、発色性が良好
で、かつ、耐水性、耐候性、耐汚染性、耐摩耗性に優れ
たインクジェット記録型カード類およびその製造方法を
提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、カード
状基材上に、インクジェットプリンターによって画像ま
たは文字情報が形成されたアルミナ水和物多孔質層を有
し、該アルミナ水和物質層上に透明樹脂膜を有するイン
クジェット記録型カード類が提供される。

【００１４】また、本発明によれば、基材と前記基材上
に設けられたアルミナ水和物多孔質層と前記アルミナ水
和物多孔質層上に設けられた樹脂多孔質層とを備えた記
録媒体の前記アルミナ水和物多孔質層に、インクジェッ
トプリンターによって画像または文字情報を形成する工
程と、その後、前記樹脂多孔質層を加熱処理することに
より緻密化して前記アルミナ水和物多孔質層上に透明樹
脂膜を形成する工程と、を有するインクジェット記録型
カードの製造方法が提供される。

【００１５】また、本発明によれば、基材上に、アルミ
ナ水和物多孔質層を有し、該アルミナ水和物多孔質層上
にインク透過性でかつ加熱処理により緻密透明化できる
樹脂多孔質層を有するインクジェット記録型カード類の
記録媒体が提供される。

【００１６】本発明に用いられる基材としては、特に限
定されず、種々のものを使用することができるが、カー
ド材料として使用されている紙や、ＰＶＣ（ポリ塩化ビ
ニル）、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタラート）等のプ
ラスチックが好適である。これらの基材には、アルミナ
水和物多孔質層の接着強度を向上させるなどの目的で、
コロナ放電処理やアンダーコート処理などを行うことも
できる。

【００１７】アルミナ水和物多孔質層は、アルミナ水和
物をバインダーで結合した構成が好ましい。アルミナ水
和物としては、ベーマイト（Ａｌ₂ Ｏ₃ ・ｎＨ₂ Ｏ、ｎ
＝１〜１．５）が、吸収性が良好であるとともに、色素
を選択的によく吸着し、色濃度が高く鮮明な画像が得ら
れるので、好ましい。

【００１８】アルミナ水和物多孔質層は、その細孔構造
が実質的に半径１〜１５ｎｍの細孔からなり、細孔容積
が０．３〜１．０ｃｃ／ｇであることが、十分な吸収性
を有し、かつ透明性もあるので好ましい。この範囲の細
孔構造を有するアルミナ水和物多孔質層を用いれば、基
材の質感を損なわずにインクの吸収性等の必要とされる
物性を付与することができる。また、アルミナ水和物多
孔質層の平均細孔半径が３〜７ｎｍの範囲であればさら
に好ましい。なお、細孔径分布の測定は、窒素吸脱着法
による。

【００１９】上記のような細孔構造を有するアルミナ水
和物多孔質層を形成するには、アルミナゾルに好ましく
はバインダーを加えてスラリー状とし、ロールコータ
ー、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコ
ーター、バーコーター、コンマコーターなどを用いて基
材上に塗布し、乾燥する方法を好ましくは採用すること
ができる。

【００２０】アルミナ水和物多孔質層に用いられるバイ
ンダーとしては、でんぷんやその変性物、ポリビニルア
ルコールおよびその変性物、ＳＢＲ（ブタジエンスチレ
ンゴム）ラテックス、ＮＢＲ（ブタジエンアクリロニト
リルゴム）ラテックス、ヒドロキシセルロース、ポリビ
ニルピロリドン等の有機物を用いることができる。バイ
ンダーの使用量は、少ないとアルミナ水和物多孔質層の
強度が不十分になるおそれがあり、逆に多すぎるとイン
クの吸収量や色素の担持量が低くなるおそれがあるの
で、アルミナ水和物の５〜５０重量％程度が好ましい。

【００２１】アルミナ水和物多孔質層の厚さは、薄すぎ
るとインクの吸収量や色素の吸着量が十分でなく、色濃
度の低い印刷物しか得られないおそれがあるので好まし
くない。逆に厚すぎると多孔質層の強度が低下したり、
透明性が減少して記録物の質感が損なわれるおそれがあ
るので好ましくない。アルミナ水和物多孔質層の好まし
い厚さは、１〜５０μｍである。

【００２２】本発明の透明樹脂膜は、上記アルミナ水和
物多孔質層上に形成され、アルミナ水和物多孔質層を被
覆する。この透明樹脂膜は、アルミナ水和物多孔質層に
形成された画像の耐水性、耐候性、耐汚染性を向上さ
せ、また、アルミナ水和物多孔質層の耐摩耗性も向上さ
せる。ここで、透明とは、アルミナ水和物多孔質層に形
成された画像が、樹脂膜を通して観察し得ることをい
う。無色であることが好ましいが、意匠性を付与するた
めに着色したものであってもよい。

【００２３】透明樹脂膜の形成手段としては、基材上の
アルミナ水和物多孔質層上にあらかじめ樹脂多孔質層を
形成した記録媒体を用い、インクジェットプリンターに
よりアルミナ水和物多孔質層に画像を形成した後、樹脂
多孔質層を加熱処理することにより緻密化してアルミナ
水和物多孔質層上に透明樹脂膜を形成する方法が採用さ
れる。

【００２４】なお、透明樹脂膜の形成手段として、イン
クジェット記録方式でアルミナ水和物多孔質層に記録し
た後に、アルミナ水和物多孔質層上に塗料等を塗布、乾
燥して、アルミナ水和物多孔質層を保護フィルムで被覆
する方法も考えられるが、この場合はかなりの手間にな
ってしまう。

【００２５】樹脂多孔質層は、アルミナ水和物多孔質層
上に高分子ラテックスを塗布、乾燥して形成することが
好ましい。高分子ラテックスとしては、ＰＶＣラテック
ス（塩ビラテックス）、ＳＢＲラテックス、ＮＢＲラテ
ックスなどを単独で、あるいは混合して用いることがで
きる。

【００２６】高分子ラテックスは、平均粒子径が０．０
５〜０．５μｍであることが好ましい。高分子ラテック
スの平均粒子径が０．０５μｍに満たない場合には、イ
ンクの吸収性、透過性の良好な多孔質層が形成されず、
その結果、アルミナ水和物多孔質層に十分インクが浸透
して定着されず、所望の画像が形成できない。高分子ラ
テックスの平均粒子径が０．５μｍを超える場合は、イ
ンクのドットが不均一になり、画質の低下が生じるおそ
れがある。高分子ラテックスのより好ましい平均粒子径
は０．０８〜０．３μｍである。

【００２７】高分子ラテックスの皮膜形成最低温度は５
０〜１５０℃の範囲にあることが好ましい。皮膜形成最
低温度とは、高分子ラテックスの塗膜を加熱した際に、
これを均一に皮膜化できる最低温度である。本発明にお
いては、高分子ラテックスを塗布した後、樹脂多孔質層
にするために、緻密な樹脂皮膜とはならないが一定の機
械的強度を持つ程度にはラテックス粒子が結合するよう
な条件で加熱、乾燥することが望まれる。

【００２８】皮膜形成温度が５０℃に満たない場合に
は、アルミナ水和物多孔質層上に高分子ラテックスを塗
布して乾燥する際に緻密皮膜化しやすく、多孔質の樹脂
層を得るのが困難であり、これを防ごうとすると乾燥時
間が長くなり、工業的でないので好ましくない。皮膜形
成最低温度が１５０℃を超える場合には、画像形成後の
熱処理温度を高くする必要があり、樹脂の分解や着色の
問題、基材あるいは色素の熱変成の問題があるので好ま
しくない。より好ましい皮膜形成最低温度は５５〜１３
０℃である。

【００２９】樹脂多孔質層には金属酸化物微粒子を含有
させることもできる。このように、樹脂多孔質層に金属
酸化物微粒子が分散している場合には、インクジェット
プリンターで記録した場合の耐ビーディング特性が著し
く向上し、解像度が向上するので好ましい。金属酸化物
微粒子としてはシリカ粒子が好ましくは用いられる。シ
リカ粒子を用いれば、樹脂多孔質層を加熱処理により緻
密化したときに透明性を保つことができる。

【００３０】シリカ粒子が分散した樹脂多孔質層を得る
には、高分子ラテックスとシリカゾルとの混合物をアル
ミナ水和物多孔質層上に塗布、乾燥して形成することが
好ましい。この場合、シリカ粒子は樹脂多孔質層形成の
際にクラックが発生するのを抑制する効果も有する。シ
リカゾルは、その平均粒子径が０．０３μｍ以上である
ことが好ましい。平均粒子径が０．０３μｍに満たない
場合には、インクの吸収性、透過性の良好な樹脂多孔質
層が形成されず、所望の画像を形成できないからであ
る。

【００３１】シリカゾルの添加量は、多孔質層中の樹脂
に対し、固形分換算重量割合で５０重量％以下であるこ
とが好ましい。シリカゾルの添加量が５０重量％を超え
る場合は、樹脂多孔質層を熱処理しても緻密化すること
が困難なので好ましくない。シリカゾルのより好ましい
添加量は、固形分換算重量割合で１５〜４０重量％であ
る。

【００３２】樹脂多孔質層の厚さは０．３〜５μｍが好
ましい。厚さが０．３μｍに満たない場合には、皮膜化
したときの耐水性、耐候性、耐汚染性向上の効果が十分
でなく、かつ、干渉色の発現による画質の低下をきたす
おそれがあるので好ましくない。厚さが５μｍを超える
場合には、インクの吸収性が低下したり、クラックが発
生して、皮膜化したときに画質が低下したり、耐水性、
耐候性、耐汚染性向上の効果が得られなくなるおそれが
あるので好ましくない。より好ましい厚さは、０．５〜
３μｍである。なお、シリカ粒子が分散した樹脂多孔質
層の厚さについても同様である。

【００３３】高分子ラテックスの固形分については特に
制限はないが、２．５〜５０重量％の固形分のラテック
スを適宜使用することができる。なお、ラテックスには
バインダー作用のある他の高分子成分、例えば皮膜形成
最低温度の低いラテックスを添加してもよい。

【００３４】高分子ラテックスの塗布方法は、特に制限
されず、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレー
ドコーター、ロッドコーター、バーコーター、グラビア
コーターなどを使用することができる。なお、高分子ラ
テックスとシリカゾルとの混合物の塗布方法についても
同様である。また、乾燥は、使用する高分子ラテックス
の皮膜形成最低温度以下の温度で行うことが好ましい。

【００３５】このようにして、基材上にアルミナ水和物
多孔質層および樹脂多孔質層が形成された記録媒体に、
樹脂多孔質層の上からインクジェットプリンターで画像
や文字情報を記録した場合、インク液滴は、まず、樹脂
多孔質層に吸収され、しだいに樹脂多孔質層を通してイ
ンクがアルミナ水和物多孔質層まで浸透する。アルミナ
水和物は、インク中の色素の吸着性が高いので、インク
中の色素は選択的にアルミナ水和物多孔質層に吸着され
て、高い色濃度を発現する。このようにして、画像や文
字情報は実質的にアルミナ水和物多孔質層に形成され
る。

【００３６】この後、樹脂多孔質層を熱処理することに
より緻密化すると、樹脂多孔質層は透明皮膜化し、か
つ、アルミナ水和物多孔質層に定着された色素の保護膜
として作用するようになる。熱処理は、高分子ラテック
スの皮膜形成最低温度以上の温度で行えばよく、加熱手
段は、特に制限されず、熱風やアイロン、加熱ロールな
どを使用することができる。

【００３７】透明樹脂膜を形成することにより、記録面
の耐水性、耐候性、耐汚染性や耐摩耗性が向上するのみ
ならず、光沢度も向上する。光沢度が向上することによ
り、基材として紙を用いた場合には、特に、画質の向上
がみられる。また、例えば、基材として平滑なプラスッ
チックを使用した場合等のように、逆に光沢度が高くな
りすぎて質感が悪くなる場合には、透明樹脂膜に艶消し
処理を施すこともできる。

【００３８】基材上にアルミナ水和物多孔質層および樹
脂多孔質層が形成された記録媒体がカードよりも大きい
場合は、加熱処理により透明樹脂膜を形成した後に記録
媒体を各カードに切断してもよく、インクジェットプリ
ンターによってアルミナ水和物多孔質層に画像を形成し
た後に記録媒体を各カードの大きさに切断しその後加熱
処理によって各カードごとに透明樹脂膜を形成してもよ
く、基材上にアルミナ水和物多孔質層および樹脂多孔質
層が形成された記録媒体をまず各カードの大きさに切断
し、その後、インクジェットプリンターによって各カー
ドのアルミナ水和物多孔質層に画像を形成した後に熱処
理によって透明樹脂膜を形成してもよく、カードの種
類、その印刷工程等に応じて適宜選択することができ
る。

【００３９】本発明が適用されるカード類としては、名
刺、社員証、会員証等の証明書カード、キャッシュカー
ド、クレジットカード、ＩＤカード、テレホンカード、
オレンジカード、定期券、バスカード等の磁気カード等
が好適に挙げられる。

【００４０】本発明が適用されるインクジェット記録型
カード類の一例を図１に示す。まず、図１（Ａ）に示す
ように、基材１上にアルミナ水和物多孔質層２を形成
し、次に、アルミナ水和物多孔質層２上に、樹脂多孔質
層３を形成して記録媒体を作成する。その後、インクジ
ェットプリンターにより、樹脂多孔質層３を介して、ア
ルミナ水和物多孔質層２に画像を形成する。次に、図１
（Ｂ）に示すように、加熱処理を行い、樹脂多孔質層３
を緻密化して、透明樹脂膜４を形成する。このように、
樹脂多孔質層３が予め形成された記録媒体を用いると、
記録後に塗料などを用いなくとも透明樹脂膜５が形成さ
れたカード類が得られる。

【００４１】図２は、本発明が適用されるインクジェッ
ト記録型カード類の他の例を説明するための断面図であ
る。この例は、本発明を、キャッシュカード、クレジッ
トカード、ＩＤカード、テレホンカード、オレンジカー
ド、定期券、バスカード等の磁気カード類に適用した場
合である。まず、図２（Ａ）に示すように、磁性体層４
を裏面に有する基材１の表面上にアルミナ水和物多孔質
層２を形成し、次に、アルミナ水和物多孔質層２上に、
樹脂多孔質層３を形成して記録媒体を作成する。その
後、インクジェットプリンターにより、樹脂多孔質層３
を介して、アルミナ水和物多孔質層２に画像を形成す
る。次に、図２（Ｂ）に示すように、加熱処理を行い、
樹脂多孔質層３を緻密化して、透明樹脂膜４を形成す
る。

【００４２】

【作用】本発明において、カード面にアルミナ水和物多
孔質層と樹脂多孔質層とを形成することにより、インク
ジェットプリンターによって高品質の画像や文字情報を
フルカラーで記録できる機能を有し、さらに、樹脂多孔
質層を加熱処理することによって緻密化して、透明樹脂
膜がアルミナ水和物多孔質層を被覆するようにすること
により、カード面の耐摩耗性や耐汚染性の向上、記録し
た画像や文字情報の保存性の向上を簡便容易に図ること
ができる。

【００４３】

【実施例】

実施例１アルミニウムアルコキシドの加水分解・解膠法で合成し
た固形分１８重量％のアルミナゾル１００ｇと、ポリビ
ニルアルコール６．２重量％水溶液３２ｇとを混合して
塗工液とした。この塗工液をＡ４サイズのポリエチレン
テレフタレートフィルム（白フィルム、１７５μｍ厚）
上に、乾燥後の塗工量が３０ｇ／ｍ² になるようにバー
コーターを用いて塗工した。乾燥後、１４０℃で熱処理
して、アルミナ水和物多孔質層が形成されたシートを得
た。さらに、このシート上に、固形分１０重量％のＳＢ
Ｒラテックス（日本ゼオン（株）、商品名Ｎｉｐｏｌ
ＬＸ３８２）とバーコーターを用いて乾燥時の厚さが
１．５μｍになるように塗布し、７０℃で乾燥し、記録
媒体を得た。

【００４４】この記録媒体に、インクジェットプリンタ
ー（アイリス社製）を用いて、あらかじめ、顔写真と文
字情報を名刺サイズに読み込んだフルカラーの画像を記
録した後、熱風（１３０℃）で熱処理して、樹脂多孔質
層を緻密透明化して、その後、名刺サイズに裁断して、
インクジェット記録型カード類を得た。本実施例のイン
クジェット記録型カード類は、解像度、発色性が良好で
あり、また、耐水性、耐候性、耐汚染性および耐摩耗性
に優れていた。

【００４５】実施例２実施例１と同様の塗工液を用い、ホワイトテレホンカー
ド上に、乾燥時の塗工量が２０ｇ／ｍ² になるようにバ
ーコーターを用いて塗布し、乾燥後、１４０℃で熱処理
した。さらに、実施例１で用いたＳＢＲラテックスとシ
ルカゾル（触媒化成工業（株）製カタロイドＳ１−８０
Ｐ）との混合物（固形分重量比８：２、１０重量％）
を、乾燥時の厚さが２μｍになるように塗布し、８０℃
で乾燥した。

【００４６】このカード媒体に、インクジェットプリン
ター（アイリス社製）によりフルカラーの画像を記録し
た後、熱風（１３０℃）で熱処理し、シリカ粒子を含む
樹脂多孔質層を緻密透明化して、テレホンカードのテス
トカードを作成した。本実施例のテレホンカードは、解
像度、発色性が良好であり、また、耐水性、耐候性、耐
汚染性および耐摩耗性に優れていた。

【００４７】

【発明の効果】本発明のインクジェット記録型カード類
においては、高品質でフルカラーの画像や文字情報をイ
ンクジェット記録方式で記録することによって、個別の
デザインによる付加価値やファッション性を向上させる
ことができ、また、より少ない枚数から発行することが
できる。また、透明樹脂膜の形成により、耐水性、耐候
性の外、耐摩耗性や耐汚染性が付与される。さらに、こ
の透明樹脂膜を、樹脂多孔質層を加熱処理することによ
って緻密化して形成することにより、簡便容易に本発明
のインクジェット記録型カード類を形成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用されるインクジェット記録型カー
ド類の一例を示す断面図である。

【図２】本発明が適用されるインクジェット記録型カー
ド類の他の例を示す断面図である。

【符号の説明】

１：基材２：アルミナ水和物多孔質層３：樹脂多孔質層４：透明樹脂膜５：磁性体層

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】カード状基材上に、インクジェットプリン
ターによって画像または文字情報が形成されたアルミナ
水和物多孔質層を有し、該アルミナ水和物多孔質層上に
透明樹脂膜を有するインクジェット記録型カード類。
【請求項２】前記アルミナ水和物が、ベーマイトである
請求項１記載のインクジェット記録型カード類。
【請求項３】前記透明樹脂膜が、樹脂多孔質層を加熱処
理によって緻密化して得られるものである請求項１また
は２記載のインクジェット記録型カード。
【請求項４】基材と前記基材上に設けられたアルミナ水
和物多孔質層と前記アルミナ水和物多孔質層上に設けら
れた樹脂多孔質層とを備えた記録媒体の前記アルミナ水
和物多孔質層に、インクジェットプリンターによって画
像または文字情報を形成する工程と、その後、前記樹脂多孔質層を加熱処理することにより緻
密化して前記アルミナ水和物多孔質層上に透明樹脂膜を
形成する工程と、を有するインクジェット記録型カード
の製造方法。
【請求項５】前記樹脂多孔質層が、樹脂ラテックスを塗
布、乾燥して形成される請求項４記載のインクジェット
記録型カードの製造方法。
【請求項６】前記樹脂多孔質層が、金属酸化物微粒子を
含有している請求項４または５記載のインクジェット記
録型カードの製造方法。
【請求項７】前記金属酸化物微粒子が、シリカの微粒子
である請求項６記載のインクジェット記録型カードの製
造方法。
【請求項８】前記樹脂多孔質層が、樹脂ラテックスとシ
リカゾルとの混合物を塗布、乾燥して形成される請求項
４記載のインクジェット記録型カードの製造方法。
【請求項９】基材上に、アルミナ水和物多孔質層を有
し、該アルミナ水和物多孔質層上にインク透過性でかつ
加熱処理により緻密透明化できる樹脂多孔質層を有する
インクジェット記録型カード類の記録媒体。