JPH06297830A

JPH06297830A - 記録シート

Info

Publication number: JPH06297830A
Application number: JP5086279A
Authority: JP
Inventors: Michiko Noguchi; 道子野口; Teruo Matsunaga; 輝雄松永
Original assignee: Teijin Ltd
Current assignee: Teijin Ltd
Priority date: 1993-04-13
Filing date: 1993-04-13
Publication date: 1994-10-25
Anticipated expiration: 2013-10-30
Also published as: JP2818353B2

Abstract

(57)【要約】【目的】シート上に記録された画像や文字の濃度が高
く、色調が鮮明でかつインクの吸収能に優れ、特に高密
度・フルカラー記録に適したインクジェット記録方式用
の記録シートを提供する。【構成】プラスチック基材フイルム上に少なくとも一
層のインク受容層が設けられている記録シートであっ
て、該インク受容層がカチオン性コロイダルシリカ、ア
ルミナ水和物及び親水性樹脂からなることを特徴とする
インクジェット記録方式用の記録シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録方式
に用いる記録シートに関し、さらに詳しくはシート上に
記録された画像や文字の濃度が高く、色調が鮮明で、か
つインクの吸収能に優れ、特に高密度フルカラー記録に
適したインクジェット記録方式用の記録シートに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】インクジェット記録方式は、インクの微
小液滴を種々の作用原理により飛翔させ、それらの一部
または全部を紙等の記録シートに付着させ、画像・文字
等の記録を行なうものであるが、騒音が少いこと、カラ
ー化が容易であること、高速記録が可能であること、銀
塩写真のような現像・定着が不要であること等の理由か
ら、ファクシミリ、各種プリンター等への応用が進めら
れている。

【０００３】インクジェット記録用のインクとしては、
ジェットノズルの詰りを防ぐために乾燥しにくいインク
が用いられる。このインクの成分はバインダー、染料、
溶媒、添加剤等を水に溶解したものが一般的である。

【０００４】従って、インクジェットプリンターで印刷
記録を行なう場合、記録シートは吸水性を有する必要が
あり、通常インクを十分吸収する機能を付与するように
特別に設計された紙が使用されてきた。

【０００５】近年、インクジェット記録の高密度化、フ
ルカラー化に伴なって、例えば透明なプラスチック基材
フイルムに記録を行ない、スライドやオーバーヘッドプ
ロジェクター（ＯＨＰ）用シートとして、若しくはカラ
ー印刷のポジ版を作成する際の色分解版としての使用、
また透明若しくは不透明なプラスチック基材フイルムに
記録を行ない、ショーウインドウ等での展示用シートと
しての使用等の要求が高まっている。

【０００６】これらの用途では高解像度、多色高品質の
インクジェット記録を得るため、記録シートにはより高
度で広範な特性が要求される。

【０００７】すなわち１）インクの記録シートへの吸収速度が大きい。２）インクの着色成分の発色性が優れ、光学濃度（Ｏ
Ｄ）が高い。３）ビーディング（多量のインクが受容層表面に偏在し
ていわゆる「濃度ムラ」を生じる現象）が発生しない。４）ブリーディング（異なる色の境界部がにじむ現象）
が発生しない。５）耐ブロッキング性に優れている。６）透光性に優れたものであるか、または不透明体の場
合は白色度が高い。７）表面に光沢がある。等の基本的諸要求を満足させる必要がある。

【０００８】上記ビーディング現象は、インク滴の大き
い液滴を用いる場合、液滴の吐出周波数の高い場合、カ
ラー記録のように多色の液滴が用いられる場合等に特に
顕著に観察され、この現象があると高精細な画像を得る
ことが困難になる。

【０００９】また、上記耐ブリーディング性は、多色の
インクによるフルカラー画像を形成する場合のように、
同時に多量のインクが記録シートに着滴するときに要求
される。すなわち、異なる色が着滴した場合には、それ
らの異なる色の境界部が大きくにじむことのないように
可及的に速やかにインクを吸収することが必要である。

【００１０】さらにまた、上記耐ブロッキング性もフル
カラー画像を形成する場合のように、同時に多量のイン
クが記録シートに着滴するときに要求される。すなわ
ち、多量のインクを吸収したインク受容層の樹脂がイン
クにより溶解・膨潤し、粘着性が発現し、紙、プラスチ
ックフイルムなどに粘着する現象が生じる。この現象を
ブロッキング現象と呼び、記録シートに多量のインクが
付与されてもブロッキング現象を起こさないことが必要
である。

【００１１】従来から上述の機能を満足すべく種々の検
討がなされ、ある程度の成果をあげているものの、これ
らの要求特性を全て満たした記録シートは未だ知られて
いない。

【００１２】例えば、インクジェット用記録シートのイ
ンク受容層は、従来、親水性天然樹脂及び水溶性若しく
は親水性合成樹脂の１種以上から実質的になることが多
かったが、この場合インクが多量に着滴した際にビーデ
ィング現象が起こり、高精細な画像は得難い。またビー
ディングの他に、フルカラーの場合にはブリーディング
現象が生じ、高解像度の画質が損なわれてしまう問題が
あった。さらにまた耐ブロッキング性が不十分であり、
非水溶性若しくは疎水性の化合物を併用すると、耐ブロ
ッキング性は改良されるが半面、インク吸収性が悪化す
るという欠点が生じる。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フル
カラー印字の如く高密度で多量のインクが付与された場
合でも、インク吸収性、耐ブロッキング性、耐ビーディ
ング性、耐ブリーディング性（にじみ性）に優れ、記録
された画像や文字の濃度が高く、色調が鮮明で、解像度
に優れたインクジェット記録方式用の記録シートを提供
することにある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、プラスチック基材フイルム上に少くとも一層
のインク受容層が設けられている記録シートであって、
該インク受容層がカチオン性コロイダルシリカ、アルミ
ナ水和物及び親水性樹脂からなることを特徴とするイン
クジェット記録方式用の記録シートによって達成され
る。

【００１５】本発明においてプラスチック基材フイルム
としては、透光性、非透光性のいずれの基材フイルムも
使用できる。透光性の基材フイルムとしては、例えばポ
リエステル、ジアセテート、トリアセテート、アクリル
系ポリマー、セロハン、セルロイド、ポリカーボネー
ト、ポリ塩化ビニル、ポリイミド等のプラスチックから
なるフイルム（シート）を挙げることができる。これら
の中ポリエステルフイルムが好ましい。

【００１６】このポリエステルフイルムについて更に説
明すると、ポリエステルは、芳香族二塩基酸またはその
エステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形
成性誘導体とから製造される結晶性の線状飽和ポリエス
テルであり、具体的には、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレン―２，６―ナフタレート、ポ
リ（１，４―シクロヘキシレンジメチレンテレフタレー
ト）などが好ましく例示される。また、これらの一部が
他成分で置換された共重合体や、ポリアルキレングリコ
ールあるいは他の樹脂との混合体であってもよい。

【００１７】ポリエステルフイルムは、従来から知られ
ている方法で製造できる。例えば、上記ポリエステルを
乾燥後溶融し、ダイ（例えばＴダイ、Ｉダイ等）から冷
却ドラム上に押出し急冷して未延伸フイルムとし、該未
延伸フイルムを二軸方向に延伸し、更に熱固定すること
によって製造することができる。

【００１８】かかるプラスチック基材フイルムの厚みは
２５〜３００μｍが好ましく、さらには５０〜２００μ
ｍが好ましい。フイルム厚みが２５μｍ未満では記録時
の機械内での搬送性が悪くなり、一方３００μｍを超え
るとコストの面から不利となる。

【００１９】本発明においてプラスチック基材フイルム
上に設けているインク受容層は、カチオン性コロイダル
シリカ、アルミナ水和物及び親水性樹脂からなる。

【００２０】コロイダルシリカは、通常、無水珪酸（シ
リカ）の超微粒子を安定に水に分散させたアニオン性の
コロイド状分散液であり、ＤｕＰｏｎｔ社のＬｕａｌ
ｏｘ、日産化学のスノーテックス等の銘柄名で市場に供
給されている。

【００２１】これらのコロイダルシリカは各種の製法が
知られているが、一般的にはイオン交換樹脂を用いる方
法で、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂に通
して、ＳｉＯ₂／Ｎａ₂Ｏが６０〜１３０のゾルとし、
これを６０℃以上に加熱熟成して独立分散粒子まで成長
させ、これに新たにイオン交換樹脂層を通したゾルを添
加することによって重合沈積させて３〜２００ｎｍの平
均粒子径にまで成長させ安定したゾルとする方法で製造
される。そして、シリカゾルはシロキサン構造を持ち、
通常はシリカの各粒子にそれらが互いに反発し合うのに
十分な負電荷（アニオン性）を持たせている。

【００２２】本発明におけるカチオン性コロイダルシリ
カとは、アルミニウムイオン等の多価金属イオンの化合
物または有機カチオン性化合物をシリカ表面または内部
に含有することによって、少なくともシリカ粒子表面を
カチオン性に荷電させたものである。特に好ましくは、
塩基性アルミニウムにより総体的にカチオン化されたコ
ロイダルシリカである。これらコロイダルシリカ、例え
ば日産化学（株）のスノーテックスＡＫ等は市販されて
おり、入手可能である。

【００２３】カチオン化コロイダルシリカの粒子径とし
ては、３〜２００ｎｍの範囲にあることが好ましいが、
透光性をもたせる場合には３〜５０ｎｍ、特に３〜２０
ｎｍの範囲が好ましい。

【００２４】本発明におけるアルミナ水和物としては種
々のものを用い得るが、とりわけ擬ベーマイトが好まし
い。この擬ベーマイトによると、優れた発色性が得られ
る。ここで、擬ベーマイトとは、コロイド状ベーマイト
（ＡｌＯ（ＯＨ））粒子の凝集体であり、例えば触媒化
成工業（株）の「カタロイドＡＳ」、日産化学工業
（株）の「アルミナゾル＃５２０」、川研ファインケミ
カル（株）の「クリヤーゾル」等の銘柄名で市場に供給
されている。

【００２５】かかる擬ベーマイトは種々の方法で製造さ
れるが、アルミニウムアルコキシドの加水分解により製
造する方法が特に好ましい。アルミニウムアルコキシド
の加水分解により生成した擬ベーマイトは、粒子径が均
一でかつ細孔構造の制御されたものができるので、記録
シートの色素吸着材としては特に好ましい。

【００２６】本発明における親水性樹脂としては特に限
定されず、例えばアルブミン、ゼラチン、カゼイン、デ
ンプン、カチオンデンプン、アラビアゴム、アルギン酸
ソーダ等の親水性天然樹脂、ポリビニルアルコール、カ
チオン化ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリアク
リルアミド、ポリビニルピロリドン、四級化ポリビニル
ピロリドン、ポリ（Ｎ―ビニル―３―メチルピロリド
ン）、ポリビニルイミダゾール、ポリアリルアミン、ポ
リアリルアミン塩酸塩、ポリエチレンイミン、ポリビニ
ルピリジウムハライド、メラミン樹脂、ポリウレタン、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ポリエステル、ポリアクリル
酸ソーダ、ポリアルキレンオキサイド等の水溶性若しく
は親水性合成樹脂等を挙げることができる。これらの
中、デンプンやその変性物、ポリビニルアルコール及び
その変性物、ＳＢＲラテックス、ＮＢＲラテックス、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロ
リドン及びその共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリ
ル酸ナトリウム等が好ましく、特にポリビニルアルコー
ル及びその変性物が好ましい。

【００２７】本発明においてカチオン性コロイダルシリ
カとアルミナ水和物の重量比は９８：２〜３０：７０で
あり、好ましくは９５：５〜５５：４５である。カチオ
ン性コロイダルシリカの割合が大きすぎると、造膜性が
悪くなり、印字時ヒビ割れが発生し、良好な画像は得ら
れない。一方アルミナ水和物の割合が大きすぎると、ブ
リーディング（にじみ）が大きくなり、高解像度の画像
を得ることができない。

【００２８】また、カチオン性コロイダルシリカおよび
アルミナ水和物の総量と親水性樹脂の重量比は９８：２
〜５０：５０である。親水性樹脂の割合が小さすぎる
と、造膜性が悪くなり、良好な画像は得られない。一
方、親水性樹脂の割合が大きすぎると、インク吸収速度
が低下、ビーディングが起こり易くなる。

【００２９】本発明においてインク受容層の厚みは１〜
１００μｍが好ましく、特に３〜５０μｍが好ましい。
この厚みが１μｍ未満ではインクの吸収性や染料の吸着
性が不十分であり、一方１００μｍを超える場合は透明
性が損なわれたり、受容層の強度が低下するおそれがあ
るので好ましくない。

【００３０】インク受容層をプラスチック基材フイルム
上に形成するに当っては、塗布液を直接そのまま塗布し
てもよいが、基材フイルムと形成されたインク受容層の
密着性が不足する場合には、受容層を形成させる前に、
基材フイルム上に易接プライアーを施すことが好まし
い。基材フイルム上にインク受容層を形成する方法とし
ては、グラビアコート、バーコート、リバースロールコ
ート、ナイフコート等、通常のコーティング手段を用い
ることができる。

【００３１】本発明においてインク受容層は、プラスチ
ック基材フイルムの片面にのみ形成しても、両面に形成
してもよい。

【００３２】

【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳細に
説明する。なお、例中の「部」、「％」は、特に断らな
い限り、重量基準である。

【００３３】また、記録シートの特性は、下記の方法で
測定した。

【００３４】（１）インク定着性イエロー、シアン、アゼンタの３色のフルドットを記録
した後、室温に放置し、記録画像に指触した時に、指に
付着しなくなるまでの時間（秒）を測定する。

【００３５】（２）画像濃度記録シートにイエロー、シアン、マゼンタの３色のフル
ドットを記録した後、印字物の光学濃度（ＯＤ）をマク
ベス濃度計ＴＲ―５２４を用いて測定する。

【００３６】（３）ビーディング記録シートにイエロー、シアン、マゼンタの３色のフル
ドットを記録した後、目視にて判定し、ビーディングの
生じていないものを○、生じているものを×、その中間
を△とする。

【００３７】（４）耐ブリーディング性記録シートにレッド、ブルー、グリーンの２色フルドッ
トを記録した後、目視にて判定し、境界部のにじみのな
いものを○、あるものを×、その中間を△とする。

【００３８】（５）耐ブロッキング性記録シートにイエロー、シアン、マゼンタの３色のフル
ドットを記録した後、３分間室温で放置し、記録画像に
同一記録シートを４０ｇ／ｃｍ²の圧力で積層した時に
容易に剥離できるかどうかで判断する。容易にはがれる
ものを○、剥離にかなりの力を要するものを×、そして
その中間を△とする。

【００３９】

【実施例１〜３及び比較例１〜４】粒子表面をアルミナ
（Ａｌ₂Ｏ₃）で被覆した、平均粒径が８ｎｍのカチオ
ン性コロイダルシリカ、擬ベーマイト構造を有するアル
ミナゾル（触媒化成製：カタロイドＡＳ―３）及びポリ
ビニルアルコール（クラレ社製：ＰＶＡ１１７）に水を
加えて、表１に示す組成を有する固形分１０％の塗布液
を調製した。

【００４０】この塗布液を、乾燥後の塗布量が１０ｇ／
ｍ²となるようにバーコーター法により、厚さ１００μ
ｍのポリエチレンテレフタレートフイルム上に塗工し、
１４０℃で３分間の条件で乾燥した。

【００４１】得られた記録シートに対し、キャノン製バ
ブルジェットプリンターＢＪＣ―８２０Ｊを使用してイ
エロー、シアン、マジェンダの３色のフルドット、また
はレッド、ブルー、グリーンの２色のフルドットをイン
クジェット記録して各特性を評価した。この結果を表１
に示す。

【００４２】

【表１】

【００４３】本発明によれば、インク受容層がカチオン
化コロイダルシリカ、アルミナ水和物及び親水性樹脂か
らなることで、インクが速やかにその内部に吸収され、
異色のインクが短時間内に同一箇所に重複して付着した
場合にもビーディングやブリーディング現象がなく、高
解像度の鮮明な画像を与え、しかも得られた画像は高濃
度であり、耐ブロッキング性も優れている、インクジェ
ット記録方式用の記録シートを提供することができる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】プラスチック基材フイルム上に少くとも
一層のインク受容層が設けられている記録シートであっ
て、該インク受容層がカチオン性コロイダルシリカ、ア
ルミナ水和物及び親水性樹脂からなることを特徴とする
インクジェット記録方式用の記録シート。
【請求項２】カチオン性コロイダルシリカとアルミナ
水和物の重量比が９８：２〜３０：７０であり、これら
の総量と親水性樹脂の重量比が９８：２〜５０：５０で
ある請求項１記載の記録シート。
【請求項３】プラスチック基材フイルムがポリエステ
ルフイルムである請求項１または２記載の記録シート。